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時空旅行者の砂時計
時空旅行者の砂時計
方丈貴恵/東京創元社
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総合評価

47件)
3.9
10
22
11
1
0
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    特殊設定ギミックを巧妙に駆使した本格ミステリ 風呂敷をかなり広げてるな…という感じでドキドキしながら読んだけど、綺麗に畳まれていった

    0
    投稿日: 2025.11.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かったです!! クローズドサークルにまさかのタイムトラベル要素が追加され、呪いを解くために事件の謎を解き明かすというストーリー。 古き良きミステリーとタイムトラベルというSF要素。この二つが組み合わさった新しい形のミステリーでとても面白かったです。SFながらもトリックは論理的で伏線もかみ合っていて、とてもスッキリとしました。 ストーリーとしてはタイムトラベルで主人公の奥さんの先祖である竜泉家の呪いを解放するという流れから遥か彼方の未来における争いに発展していくというストーリーの壮大さがとても面白かったです。 最後も爽快な結末でハッピーエンドで良かったです。最後の描写の感じからおそらく続編に繋がっていくと思うのでそちらも読んでいきたいです。 この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。 加茂冬馬:木村良平 加茂怜菜:高橋李依 竜泉太賀:屋良有作 竜泉文香:羊宮妃那 竜泉幻二:石田彰 竜泉漱次朗:山路和弘 竜泉月彦:河西健吾 竜泉月恵:斎賀みつき 雨宮広夜:浦和希 マイスター・ホラ:森川智之 D・カシオペイア:甲斐田裕子

    40
    投稿日: 2025.08.14
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    本格ミステリとしてすごく面白かったです。 SFは普段読みませんが、本格ミステリ×SFという組み合わせは、可能性が無限大(その分、設定が大切)だと思いました。 スッキリした読了感でした。

    0
    投稿日: 2025.05.07
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    妻を救うために約60年前にタイムトラベルするSFミステリー。登場人物も多く設定過多ではあるが、意外と混乱せず読めたし結末も良かった。

    7
    投稿日: 2025.05.04
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    時系列もそうですが、どの部屋に誰が泊まっているのかや地図・家系図を都度都度確認しながら読みました。 読後感が良いです。 「彼は火のついたマッチを灰皿の中に落とした。」 「理由は直接聞いてみるといい」

    11
    投稿日: 2025.04.27
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    読み切れるか不安を感じる時もありましたが途中で手を止めつつ読み終えました。 続き?もあるようなので読んでみようかな、と。

    0
    投稿日: 2025.04.07
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    大好きなタイムトラベルもの。 SF要素がなかなか強め。 内田けんじ監督で映画化して、分かりやすく映像化してほしい。 誰がどの部屋かは覚えられないし、家系図も何回も見返したw 読者への挑戦があるためか、登場人物の行動が細かく描かれている。

    10
    投稿日: 2025.03.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めっちゃ面白かった。 竜泉家の呪いの引き金になってしまった事件を解くために過去に戻る話。 SF×ミステリーでこんなのみんな好きでしょ。 いわゆるクローズドサークル系のミステリーでかなり好みな感じの作品。 次々と事件が起こる連続殺人で、しかもその中には不可能犯罪まである。さらに読者への挑戦もあり読んでて楽しい作品だった。 読者への挑戦があるから自分なりに色々考えてみたけど全然分からなかった。難しいけど解決編を読むと納得の内容だし、トリックにタイムトラベルが使われたモノがあるのもSF小説ならではで良かった。鵺の見立てがミスリードになっていたのも面白かった。 徐々に竜泉家やマイスター・ホラ、賀茂について分かっていくのも面白かった。 SF、ミステリー、クローズドサークル、読者への挑戦色々な要素が詰まってて大満足。 3部作がこれからどうなっていくのかがすごく気になる。 めっちゃ面白かった。

    1
    投稿日: 2025.03.23
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    エピローグが気になる。 描かれたままの情景通りに理解すれば良いのか、何らかの含みがあるのか。 とても気になる。

    0
    投稿日: 2025.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読者への挑戦状をやってみようとしたが、再読してヒントを集めるのが大変だったからやめた 最初に読むときにメモとらねえとだめだな… トレーラーがタイムトラベルしてるとは分かったが、日付・時刻まで当てないとなあ なんかすげえハッピーエンドで終わってった! それにしても一周目にどうやって結婚したのかが気になる マリスの話は根本的に解決してないような… あと伶奈のばあちゃんの文乃の事件も… 第二部以降も楽しみだ

    1
    投稿日: 2025.03.08
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    あなたは『竜泉家の呪い』を知っているでしょうか?  (*˙ᵕ˙*)え? “人または霊が、物理的手段によらず精神的あるいは霊的な手段で、悪意をもって他の人や社会全般に対し災厄や不幸をもたらさしめんとする行為”を指すという『呪い』。悪魔の『呪い』によって白鳥に姿を変えられた王女が描かれる「白鳥の湖」など、私たちは幼い頃から『呪い』というものに対して漠然とした恐怖の感情を抱きながら生きています。 一方で科学技術の発達によって、かつては摩訶不思議とされた事ごとも科学技術の力で解き明かされるようになりました。『呪い』さえも笑って吹き飛ばしてしまえる時代になったと言えそうですが、実際にはそう単純な話でもなさそうです。幼い頃に植え付けられた恐怖心はそう簡単には消え去ってくれないからです。 さてここに、『竜泉家の呪い』に立ち向かう一人の男性を描く物語があります。『五十八年前』にまさかの『タイムトラベル』を見せるこの作品。そんな先に待つ”ミステリ”と対峙する主人公を見るこの作品。そしてそれは、鮎川哲也賞を受賞された方丈貴恵さんのデビュー作な物語です。 『俺がもっとしっかりしていれば…』と『ベッドに横たわる』『妻の左手を握り締め』るのは主人公の加茂冬馬(かも とうま)。『大丈夫、すぐに良くなるよ』と語りかける加茂は、一方で『これが最後の会話になるかも知れないと覚悟』します。思いを伝えようとする妻の伶奈にペンを握らせた加茂は、『こうなることは分かっていた。ずっとずっと前から』、『竜泉(りゅうぜん)家の呪いからは絶対に逃れられない』と書く伶奈に『ごめんな…守ってあげられなくて』と『弱々しい声』を絞り出します。『免疫が暴走し、自らの肺の間質を攻撃』するという『間質性肺炎』を患う伶奈。『病魔は驚くべきスピードで彼女の身体を蝕』み続けています。『ここ三日がヤマになる、と考えて頂いた方が…』と医師に告げられるも面会時間の制限からICUを後にした加茂ですが『車の運転席に座り込んだまま動く気力が起きな』くなり、助手席に置いた資料にふと目をやります。『彼が担当していた雑誌の企画で「幸せを呼ぶ都市伝説〜奇跡の砂時計〜(仮)」と銘うたれ』たその資料。『二年ほど前から、SNS上では「奇跡の砂時計」に関する都市伝説が話題になってい』ます。『砂時計のペンダントを拾うと、その砂時計が願いを一つだけ叶えてくれる、という』その噂を思い、『そんな砂時計が本当に存在しているとしたら、伶奈の病気も治すことが出来るのだろうか?』と思う加茂は、『いや、呪いなんてある訳がない』と呟きます。そんな時『スマホの着信音が鳴り響』き、『非通知着信』と表示された電話に出た加茂は『ありますよ』と耳元から届いた声に『驚くよりも先にウンザリ』します。『迷惑電話なら、他所でやってくれないかな』と言う加茂に『…竜泉家の呪いは確かに存在しています』、『竜泉家の血を継ぐ人は呪われているのです』と語る電話の主。訝しがる加茂は『何度も通話を終了させよう』としますがスマホが反応しません。『N県に詩野という場所があります… 当主である竜泉太賀の誕生日を祝う為だったのですが…陸の孤島に閉じ込められた彼らは殺意ある者に殺されていきました』、『…続けて発生した土砂崩れに巻き込まれて、彼らは全滅してしまった』、『その後も竜泉家の血を受け継ぐ人間は、次々と不幸に見舞われ…今では、あなたの奥さんが最後の一人です』と続ける電話の主に、加茂は『ふざけるな』と『力任せにスマホをフロントガラスに叩きつけ』ます。そして、伶奈との過去を振り返る加茂は、スマホを再び手にします。そこには『酷い雑音混じりの声が聞こえ』ます。『竜泉家の呪いを解いてみませんか?宜しければ、私が手を貸しましょう』という電話の主に『お前は一体、何者だ』と訊く加茂。そんな加茂に『マイスター・ホラと申します』と告げる電話の主は『車の下にあるものを拾い上げて頂けますか』と告げます。扉を開け車の外に出た加茂は『車の前輪の傍に砂時計が転がってい』るのを見つけます。『大きさは直径一センチ弱、高さは三センチ』という『砂時計』を拾い上げた加茂はそれが『都市伝説の「奇跡の砂時計」と合致してい』ることに気づきました。『ペンダントを首に掛け』た加茂に『それでは移動を始めましょうか』と告げるホラ。そんな次の瞬間、『瞬きをするよりも早く、見知らぬ場所に移動していた』加茂は『どこだ、ここは?』と『周囲を見渡し』ます。『これは詩野の別荘ですよ』と語るホラに『そんなバカな!あの別荘は五十八年前の土砂崩れに巻き込まれて崩壊したんだ。これは別の建物に違いない』と『悲鳴混じりの声』を上げる加茂。まさかの『タイムトラベル』によって過去の世界へとやってきた加茂が『名探偵』として『竜泉家の呪い』と対峙していく姿が描かれていきます。 “瀕死の妻を救うために約60年前にタイムトラベルした加茂。妻を救うには彼女の祖先である竜泉家の人々を襲った『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止する必要があるのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして竜泉家の一族を呪いから解放できるのか”と内容紹介にうたわれるこの作品。方丈貴恵さんのデビュー作でもあるこの作品は”創意と情熱溢れる鮮烈な推理長編”に対して与えられる東京創元社の新人文学賞・第29回鮎川哲也賞を受賞しています。 そうです、この作品には”ミステリ”な世界が描かれていくわけですが、それよりも何よりも私の心を射抜いたのは”約60年前にタイムトラベルした加茂”という一文でした。私は今までに900冊以上の小説ばかりを読んできましたが、その目的は一冊でも多くの『タイムトラベル』系の作品に出会うためです。そうです。私さてさては、数多の小説のジャンルの中で『タイムトラベル』系の作品をこよなく愛しているのです。では、ここで私が今まで読んできた『タイムトラベル』系の作品を整理しておきましょう。  ● 『タイムトラベル』系の小説リスト(保存版(笑))(作者五十音順)   ・阿部暁子さん「どこよりも遠い場所にいる君へ」: “神隠し”の言い伝えがある島の入り江に倒れている少女を見つけた主人公。”1974年”と呟く少女との交流が描かれる物語。   ・阿部暁子さん「また君と出会う未来のために」: 小学三年生の時に、遠い未来 -2070年- へと時間を超えた過去を持つ主人公の爽太が未来を見据える物語。   ・彩坂美月さん「金木犀と彼女の時間」: 誰にも気づかれず同じ時間が5回も繰り返す中に、最適解な結末を探し求める主人公・菜月の姿が描かれる物語。   ・彩坂美月さん「文化祭の夢に、おちる」: “いつも通りに登校したら、学校には人の気配が皆無だった”と前日の朝に時間が戻った世界を描く物語。   ・乾くるみさん「リピート」: 今の意識そのままに10ヶ月前の自分の身体へと”タイムスリップ”した主人公他10人の男女が同じ時間を繰り返す先の物語。   ・恩田陸さん「ねじの回転」: “俺は一度死んだはずだった。もしかして、これは罰なのだろうか”という思いを抱く主人公が、まさかの”二・二六事件”の瞬間を繰り返す物語。   ・恩田陸さん「ライオンハート」: エドワードとエリザベスの二人が時空を超えて、何度も何度も奇跡の運命の出会いを果たす壮大なラブストーリー。   ・垣谷美雨さん「リセット」: 元同級生でもある47才の女性3人が、意識そのままに、高校3年4月の自身の身体へと”タイムスリップ”して生きていく物語。   ・加納朋子さん「いつかの岸辺に跳ねていく」: “私はただ一人で、残酷な未来と対峙するしかないのだ”と孤軍奮闘する主人公の徹子を見守る存在に涙溢れる物語。   ・汐見夏衛さん「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」: “私は、七十年前の日本に、タイムスリップしてしまったのだ”という主人公が特攻隊員に想いを寄せていく物語。   ・辻堂ゆめさん「君といた日の続き」: 80年代からタイムスリップしてきたらしい少女との共同生活を送り始めた主人公が、来るべき日を迎えた先の未来を描く物語。   ・畑野智美さん「ふたつの星とタイムマシン」: 大学の研究室で”これって、何に使うんですか?”と訊く主人公に”タイムマシンです”、”過去に戻れます”と答える教授…と展開する物語。   ・畑野智美さん「タイムマシンでは、行けない明日」: 目の前で大切な人を事故で失った主人公が”タイムマシン”に乗り込んだ結果論の世界で生きていく物語。   ・藤岡陽子さん「晴れたらいいね」:意識が戻らない患者の看護をする主人公が、”昭和十九年のフィリピン”で”従軍看護婦”として働いていた患者の体へと意識が移る先の物語。 いかがでしょうか?私は女性作家さんが書かれた小説限定の読書をしていることもあって、男性作家さんの書かれた作品を読めないのがとても残念なのです(※ 乾くるみさんは女性だと勘違いしました(笑)) が、女性作家さんが書かれた作品だけでも結構な作品数があることがわかります。でも私はもっともっと読みたい!です。上記で挙げた作品以外に女性作家さんが書かれた『タイムトラベル』系の作品をご存知の方がいらっしゃいましたら是非お知らせください!よろしくお願いします。 さて、そんな『タイムトラベル』系の作品でもあるこの作品の特徴を見ていきましょう。この作品には、『二〇一八年』の今を生きる主人公の加茂冬馬が『五十八年前』に『タイムトラベル』する姿が描かれていきます。『タイムトラベル』系の作品には畑野智美さんの作品に代表されるように明確に”タイムマシン”を操作して過去の世界へと赴くものがある一方で、汐見夏衛さん、藤岡陽子さんの作品のように『タイムトラベル』自体はあくまで演出道具であって、移動した先での特殊な体験を重視するものまで多々あります。もちろん、そう単純に分類できるほど簡単なものでもないかもしれませんが読み味的にはそのような感じです。そして、この作品はこの両者を上手く組み合わせた作りになっています。  『奇跡の砂時計の力でタイムトラベルをしたのかも知れない』 この作品で『タイムトラベル』の原動力となるのは『奇跡の砂時計』と呼ばれる『直径一センチ弱、高さは三センチ』という『砂時計』です。そして、この作品で興味深いのはそんな『砂時計』が『マイスター・ホラと申します』と自己紹介することです。また、この『砂時計』がとにかく喋る、喋る、喋る!兎にも角にもおしゃべり好きだということです。これこそがこの作品の唯一無二の個性だと思います。そんな『砂時計』のホラは『時空移動の四つの制約』を加茂に説明します。これがこの作品内における『タイムトラベル』のお約束ごとになっていきます。  ● 『時空移動の四つの制約』について   ① 十二時間以上を空けなければ能力が使えない    → 時空移動に必要なエネルギーは膨大で、それをチャージする為にはどうしても時間を要する   ② 時空移動をさせられる最小の単位が一辺三メートルの立方体    → 移動させる対象とともに当該範囲にあるものは一緒に移動してしまう   ③ 緯度と経度と時間は目的地に定めたところから一定の範囲内で揺れ動く    → 緯度と経度はメートルで表すと±五メートル以内、時間は±二時間以内   ④ 同じ時間に同一人物が二人以上存在することが出来ないという、大原則    → 未来へ移動する方がずっと容易、直近の過去への移動は非常に危険 “④”は『タイムトラベル』系の作品にはお決まりのようなものですが、”①”から”③”はこの作品ならではの設定です。個人的には『緯度と経度』を定め、移動する場所を選ぶことができるという発想が新鮮です。ドラえもんの”タイムマシン”では時間しか指定できないために時々おかしな場所に出現したりしますからね。そして、この作品では『五十八年前』という過去へと『タイムトラベル』する加茂の姿が描かれます。また、この作品では、上記した作品群の中では汐見さんの作品同様に着ていた服や履いていた靴込みで『タイムトラベル』する姿が描かれます。その分、こんな問題が生じてしまいます。  『加茂のシャツもパンツも二〇一八年では平均的な細身のものだったが、この時代にマッチしているとはとても思えなかった』   → 『加茂の着ているシャツは化繊の形状記憶のものなのだが、この時代にそんなものはまだない。靴も皆が黒や茶色や白の革靴を履いているのに対し、スニーカーを履いているのは彼一人だ』      ↓  『加茂は自分がとてつもなく変なモノを着ている気分になって、憂鬱になった』 これはなかなかに面白い描写です。汐見さんの作品ではセーラー服の制服姿で戦時中に移動した主人公が奇異に見られる姿が描かれていきますが、そこまでいかずとも、やはり『五十八年』という時間差はそう簡単なものではありません。この辺りの描写も細やかです。そんな物語は、一見、『タイムトラベル』を演出道具としてサラッと出すだけと思わせながら展開した後、後半に向けて大きく動き出します。『タイムトラベル』自体が物語の核となって大きく動き出すのです。これは間違いなく面白いです。 そんな物語の展開でもう一つ忘れてはいけないのが”ミステリ”です。その核となるのが『五十八年前』に端を発する『竜泉家の呪い』です。こちらも整理しておきましょう。  ● 『竜泉家の呪い』って何?   ・竜泉家の親類と関係者が十名、N県の詩野にあった別荘に、当主である竜泉太賀の誕生日を祝う為に集まった。   ・陸の孤島に閉じ込められた彼らは殺意ある者に殺されていきました   ・何人かは殺意ある者から逃げ延びることに成功したものの、続けて発生した土砂崩れに巻き込まれて、彼らは全滅してしまった   ・ひ孫の文乃が密かに太賀の知人に預けられて育てられていたが、強盗に襲われて殺される   ・その後も竜泉家の血を受け継ぐ人間は、次々と不幸に見舞われて命を落とした。加茂冬馬の妻・伶奈が最後の一人 これは恐ろしいです。まさしく『呪い』ですね。物語は、『ひとつ、竜泉家の呪いを解いてみませんか?』と冬馬に提案する『砂時計』のホラの言葉の先に『五十八年前』へと『タイムトラベル』して”ミステリ”の真相を糾明するために奮闘する加茂の姿が描かれていきます。 そんな物語が見せてくれるのは”ミステリ”の中でも人気の高い密室劇です。『外部へ通じる電話線が切られ』、外部へと脱出するための唯一の『橋が落ちてしま』うという中に密室となっていく別荘。『五十八年前』という時代設定がケータイが登場する余地を奪います。そんな密室な別荘に閉じ込められたのは、当主の竜泉大賀、孫の竜泉文香、使用人の刀根川つぐみ…という面々と、『五十八年前』からやってきた冬馬の計11人です。そんな中、密室劇のお約束事として、一人また一人…と登場人物が無惨な死を遂げていきます。  『クローズド・サークルの対応としてはありがちですが…全員でどこかに集まって夜を明かす以外にないでしょう』 そんな提案もしながら『難事件をいくつも解決している名探偵』という位置付けで犯人を突き止めるべく推理を働かせていく加茂の姿が描かれていきます。  『彼が文香たちの運命に介入することで、未来を悪い方向に変えてしまう可能性もある…彼がこれから起きる事件の阻止に更に失敗すれば、もっともっと大きな不幸と絶望がまき散らされることになるのだろう』。 そんな思いにも囚われる加茂。”ミステリ”として描かれるだけでもこの作品の舞台は十二分に面白いものがありますが、その面白さを何倍にも増していくのが『タイムトラベル』としての味付けです。相乗効果という言葉はこの作品のためにある!というくらいに『タイムトラベル』要素が”ミステリ”を演出し、”ミステリ”が『タイムトラベル』と鮮やかな結びつきを見せてもいくこの作品。この両者がこんなにも相性が良いものだと気付かされる物語は結末に向かって鮮やかな種明かしモードに移行します。そんな物語が見せる結末、そこには陰惨な『クローズド・サークル』的展開からは考えられないほどの清々しさに満ち溢れた納得感のある結末が描かれていました。  『①殺人者は誰か?   ②その人物はどのように一連の不可能犯罪を生み出したのか?』 “瀕死の妻を救うために”『五十八年前』の世界に『タイムトラベル』した主人公の加茂。この作品ではそんな加茂が『名探偵』として数多の謎に立ち向かっていく姿が描かれていました。『クローズド・サークル』な”ミステリ”としての面白さに酔うこの作品。『タイムトラベル』要素が、そんな面白さを何倍にも増幅させるこの作品。 『タイムトラベル』× “ミステリ”に無限の可能性を感じさせる素晴らしい作品でした。

    262
    投稿日: 2024.12.21
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    タイムトラベルとクローズドサークルを掛け合わせたミステリ。 タイムパラドックスを起こさないようにする殺人は何か。 sfチックで理解しにくい箇所も多数ありましたが面白かったです。

    9
    投稿日: 2024.11.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    クローズドサークル本格ミステリであり、タイムパラドックス、時空移動ありのSF要素もあるという、新しいタイプの作品。 2018年、加茂は妻の伶奈が原音不明の間質性肺炎に罹り、命の危険に晒されている。 時空旅行装置の人工知能「ホラ」により、伶奈の祖先の竜泉家でかつて起こった「死野の惨劇」による呪いが玲那を苦しめていることがわかり、なんとかして殺人事件を解決しようと58年前に遡るお話。 バラバラ殺人等々、次々と事件が起こっていくが、家系図を追いながら読むのが大変でした。 読者への挑戦状は、完敗でした… タイムリープを利用した本格ミステリは初めて読みました。 大どんでん返しとかではないが、じっくりと楽しめました。

    15
    投稿日: 2024.11.18
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    タイムトラベルとミステリを組み合わせるとこうなるのか〜!と感心。正直すべてにすっきりしたわけではなかったけれど、タイムトラベルの制約が絡む中でこれ以上うまくまとめることはできないと思った。後半の真相に近づいていくところはやっぱりどきどきして、ごはん食べるのもあとまわしにして一気読みしちゃった。登場人物多かったし、建物やタイムトラベルの設定もあったけれど、意外と混乱せずに読めた気がする。読んだことのない種類のミステリでたのしかった。

    0
    投稿日: 2024.11.03
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    評判が良かったので購入。 前半はクローズドサークル感もあって楽しめたんだけど、中盤あたりから失速。あ、それ言うんだ、、と思った後から一気に説明が増えて読む気が薄れてしまった。元々SFが好きではないので余計に辛かった。個人的にこういう超常現象系のミステリーはその力を使った使わなかったの議論からナンセンスだと思ってるので基本的にあたしには合わなかったかな。。 でもラストの数ページはすごい良かった。この部分だけでも読んできた甲斐がある流れでとても感動した。 三部作らしいので、縁があれば他のも読んでみようかと思います。

    13
    投稿日: 2024.11.01
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    評判が良いらしいので買い集めていたシリーズだが3部作まで積読状態になってしまったので、ようやく手に取る SF気味の特殊設定ミステリー 読者への挑戦状も好み 解決編 謎解きのカタルシスは得られなかったが、伏線が丁寧な印象 結末も良し 続けて次作も読むか

    0
    投稿日: 2024.10.31
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    SF×ミステリの傑作。タイムトラベルの厳しい制約を見事にクリアし、論理的に犯人を当てる技巧に感動した。本作のタイムトラベルのルールも興味深く、また犯人の正体も意外性のあるものだった。鮎川哲也賞受賞も納得。

    9
    投稿日: 2024.10.30
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    『竜泉家の呪い』にまつわる特殊設定ミステリー。 タイムトラベル×密室殺人のロジックを、数日かけて味わった。 破綻しないよう緻密に設定も組まれていたおかげで、スッと世界観に入り込めてとても楽しめた作品。読後感も良かった。

    0
    投稿日: 2024.10.03
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    鮎川哲也賞受賞で、 練りにねった作品という前提で やむを得ないのかもしれないが、 登場人物も多く、情報・設定過多で ついていけなかった所が多い。 読みやすいともいえず、 読んでてしんどい感じがあった。 作者は京大ということで、 自身と同じ理解力、同じ熱量で 読者と作品に向き合うわけではない ということをわかって欲しいと言う感想。

    0
    投稿日: 2024.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    時空旅行者が過去にあった事件の真相を追う、SFミステリ。SF要素(タイムトラベル)とその制約(連続使用不可や周囲3メートルは物がない、時差±数時間など)が事件を複雑にしている。 普通に面白かったけど、部屋と人数とが多くて正直解く気では読めなかった。読者への挑戦状もあったが、その時点では事件の予想はいくつかできても犯人まではわからなかったなぁ。

    0
    投稿日: 2024.08.13
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    すっごく練られててものすごいトリックだったと思います…多分(汗) ですが…本格推理が大好きな割に自分で謎解きすることに全く興味がない私にとって、クローズドサークルとタイムトラベルの要素が入り混じったトリックがややこしすぎて途中からは理解するのを諦めました(笑) 逆に私は読者への挑戦から後の種明かし以降の章のがよかったです。 実は本格推理とは全く別にタイムトラベルものも好きで、この小説のタイムトラベル要素の部分が好きです(トリックではなくて)。 未来が明るく書き換わっているところ、過去にトラベルしたときに出会えた素敵な人達が名前だけでしたけど登場するところが明るい気持ちになってよかったです。

    2
    投稿日: 2024.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者のデビュー作。竜泉家の一族シリーズ第一弾。 いわゆる特殊設定ミステリ。 妻の死を回避するため、原因と思われる竜泉家の過去の惨劇を解決しにタイムスリップするもの。 SF的な要素はありつつも、骨格はゴリゴリの本格ミステリで。トリックも、SF要素を使ったのか、使わなかったのか、そこもしっかりと練り込んであって良かった。 多分、これ系は好みが分かれるだろうなと思うけど、個人的には好み。三部作とのことで楽しみ。

    13
    投稿日: 2024.07.11
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    冒頭の屋敷の見取図、家系図がミステリー好きにはワクワクの要素だけれど、それにプラスされたタイムトラベルという特殊設定が推理を困難にしていて、かなり手強い。 タイムトラベルにも条件があり更にややこしくしている。最後に全ての謎解きがされた時にも理解力を要した。 難しいけれど、物語としても良い結末だったので第2弾の作品も読み進めたい。

    13
    投稿日: 2024.06.29
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    タイムトラベルミステリは初心者なので、初めはとても戸惑いましたが、本格ミステリ感も強くどんどん引き込まれました。 ただ、当然ながらトリックにはタイムトラベルが関係してくるので、時系列を都度把握しなければいけないところはなかなか大変でした。 読者への挑戦状があったり、他の作家の本が出てきたり、あの有名な作品の音が出てきたり…ミステリ愛に溢れた一冊でした。

    9
    投稿日: 2024.06.18
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    本書を選んだ理由は帯と題名! 題名は時空旅行者、帯には本格ミステリと矛盾を感じてしまう表現が・・・ そして裏表紙のあらすじには『呪い』という文字が!? この矛盾から本書を選んで数ヶ月、積読になっていたので読んでみたら大変なことに!!! 作者の作品は初めてだったのですが、同シリーズが他に二作あるとのことでしたので早く読みたいと思わされました! 主人公の加茂は呪いにより瀕死の妻を助けるべく、2018年から1960年へタイムトラベル!? そこには『竜泉家の呪いの』の始まりの地で後に『死野の惨劇』と呼ばれることになる連続殺人が待っていた!!! 表紙を捲ると、巻頭に『登場人物』『別荘の地図』『家系図』が載っていました! 地図にはピザ窯が有りましたので『チェーホフの銃』を思い出しました。 ピザ窯があったら物語で使われない事は無い、その作品がミステリであれば呑気にピザは焼かない・・・ 因みに、別荘は物語の成り行き上、近くの橋が落とされ電話は繋がらなくなります。普通のミステリであれば3次元的に封鎖された空間で内外へ移動する事は出来ませんが、タイムトラベルありの世界では四つ目の軸を使っての移動が可能になり、クローズドミステリには向いてないのでは? と思ってしまいますが、ちゃんとルールはあるようで、閉鎖空間は保たれます! SFと本格ミステリの融合に興味のある方はぜひお読みください!

    43
    投稿日: 2024.06.16
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    クローズドサークルがありタイムトラベルがあるミステリーとSFの本格推理もの。病気の妻を救うため2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。妻の先祖に降りかかった事件を阻止することで助けることができるかもしれないということ。先祖の竜泉家の人たちの複雑な関係性と、次々起こる殺人事件。終盤にある「読者への挑戦」と読み応えもあってとても楽しめる。三部作の一作目であと二作も早く読もうと思う。

    1
    投稿日: 2024.06.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者の作品は初めてですが、楽しんで読めました。気になる行動などはある程度ヒントを与えてもらっているような記述なので、直感の犯人は想像通りでしたが、トリックはおおっと思いました。SF要素が入って面白い!

    1
    投稿日: 2024.05.05
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    序盤は読みにくかったが中盤以降はどんどん読み進めることが出来た。 個人的にはややこしい話だと思った。

    1
    投稿日: 2024.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった!!! タイムトラベルものは好きだけど海外SFは苦手だというジレンマを抱えていたところ、運命的な出会いを果たしました。 最初の前振りは長かったけど、丁寧に描かれているからこそ事件が起きた後の没入感がすごい。当初、たくさん登場人物いるから覚えられるかな~とか思ってたけど、そんなの杞憂なくらい面白かった。 竜泉家のその後にも、加茂の妻に対する愛にもグッと来た。 あとこれが2作もあるの~!?嬉しい楽しみ早く読むぞ!

    2
    投稿日: 2024.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本格ミステリーは、劇中で説明されている描写と制約条件を前提として、著者と読者が向かい合って謎を解くのが一般的な楽しみ方だ。ミステリーというカテゴリー全体では著者が読者を「それまでには明かされていない方法であっと驚かす」ということが許されているが、”本格”ではそれは許されないとする読者が多い。いわゆる「フェアか、フェアではないか」という議論だ。 言い換えれば、作中でしっかりネタと制約が明示されていれば、SF的な設定であろうと、魔法であろうと利用は可能となる。本作ではタイトルに明記されているように時空旅行(タイムスリップ)が事件に利用されているが、その使い方が作中で説明されているルールの通りになっていればOKなのだ(そして実際にフェアに利用がされている)。 タイムスリップが出来てしまえば密室トリックは意味がなくなるし、たとえば「過去から未来に移動して誰かを殺し、その後に過去に戻ってしまう」みたいな移動をすれば永遠に犯人はわからないままだ。もちろん”本格”を志向する本作ではそのようなアンフェアなことは行わないが。 言い換えれば不可能犯罪と思われるような事件も簡単に起こせてしまうわけで、作家としてはルールを厳密に設定して野放図な使い方を防いだ上で、タイムスリップを論理的に組み合わせた事件を作るというところが腕の見せどころだ。 こう書くと、本作はかなり面白そうな作品に聞こえてくると思う。実際に、最後まで読んでみればわかるとおりタイムスリップという通常であればミステリーのルール違反になってしまうような発想を組み合わせた本格ミステリーをきっちり作り上げるパズラーとしての著者の能力は見事だと思う。フェアであるが故にちゃんと犯人を論理的に特定することが出来るし、実際に自分はトリックにはややズレがあったが、無事に犯人を当てることが出来た。 しかしそういったパズラーとしての評価を離れると、本作は小説としてはあまり面白くない。自分はaudibleで聞いていたのだが、文の構成はかなり拙いし、描写も具体的に絵が浮かんでくるような場面がほとんどない。「〜った」が繰り返される文は淡々とその状況を説明しているだけであり、文章を用いて”表現”をしようとする工夫の跡があまり見られない。いくら本格ものとはいえ、もう少し編集者が手を入れた方が良かったのではないかと思うほどだ。 また細かいところで言えば、ミヒャエル・エンデの『モモ』からとったという、マイスターホラやカシオペイアといった名前もいただけない。設定では彼らが作られたのは今から300年以上未来という話であり、さすがにエンデが偉大な作家といえどもその名前が広く知られているとはちょっと想像ができない。しかも、そのカシオペイアが闇落ちしたキャラクターの名前は”ダークカシオペイア”・・・ティーン向けのゲームのキャラクターの名前じゃないんだから。 著者にとってはその辺りはどうでもいいことだったのかもしれないが、さすがにちょっと拙さが出過ぎている。 そういうわけで、本作は「本格ミステリーが好きで好きで、パズルを解くことに生きがいを感じる」人以外にはちょっとお勧めしづらい。残念ながら自分はそういったタイプではないので、このシリーズをこれ以上読み進めることはないと思う。

    2
    投稿日: 2024.04.11
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    加茂は妻の伶奈の命を救う為 マイスター·ホラの声に導かれて 2018年から1960年にタイムトラベルをする 伶奈の祖先の竜泉家の人々を 「死野の惨劇」から救うため立ち上がる 数多い登場人物と数あるアリバイの証言 タイムトラベルの仕組み 付箋に書いていきながら読んでみた 真犯人2人までは絞れたけれど 正解まではたどり着けなかった 王道ミステリーにSF要素がプラスされて 不思議な読後感だった

    12
    投稿日: 2024.03.26
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    時空旅行者の砂時計という題名、ストレートな感じであるが、中身はどうだろう。プロローグでマスター・ホラは語り部であると書いていて、直球なところが、一層怪しく期待が持てる。タイムリープということはファンタジーであり、内容はミステリーだろう。 2018年を生きる加茂冬馬はタイムリープにより1960年に飛ぶ。その背景(妻伶奈の家系)から本格ミステリーの要素が香ってくる。 妻の「竜泉家の呪い」を解くことはできるのだろうか? ストーリーは一見平凡だが、本格ミステリーと言える内容だ。それは謎が謎を呼び、論理的に組み立てられた構成がそう思わせているのかもしれない。後半に入ると、益々ページを捲る速度が上がる。マスター・ホラは何者かも・・・。 終盤はマスター・ホラからの挑戦状もある。犯人は誰か?それは、なぜ犯罪を犯したのか?が読み解く鍵になる。 論理的に思考を巡らせれば、ある程度結末が見えてくる。その楽しさは秀逸である。 加茂の妻を思う強い気持ちも心地よい後味を残した。

    21
    投稿日: 2024.02.28
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    瀕死の妻を救うために約60年前にタイムトラベルした加茂。妻を救うには彼女の祖先である竜泉家の人々を襲った『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止する必要があるのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして竜泉家の一族を呪いから解放できるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。 タイムトラベルをして事件を解決するなんて、なんだか新しい気がする。それも未解決の事件を自分が行って愛する妻のためとはいえ、名探偵するなんて…私には無理だと思った。そんな頭ないです。 しかし、クローズドサークルになってしまった別荘で、少し不可能犯罪的な感じで次々に事件が起こる。読んでいるうちに、マジで犯人は誰なのよと気になって気になって仕方なかった。 この一族、かなりごちゃごちゃしてるかんじがして、途中から誰がどういう関係か分からなくなってしまうときがあった。そして、月彦がすごい嫌なやつだったなぁ。そりゃ、太賀さんも少し差別するわなぁと思った。月恵ちゃんが告白した過去の話を聞いても月彦らしいというか、嫌なやつをすごい増してた。 犯人はまさかの人だった。いやぁ、彼の生い立ちは可哀想だった。そして、元の時代に戻った加茂さんに、幸せが待っていて良かったし、文香ちゃん少しハードル上げすぎじゃない??って思ったし、なんだか良かった良かったとなった。 なんだか次に続きそうなかんじで終わったけど、やはり続くぽい。そちらも読んでみようかな。 2024.2.18 読了

    2
    投稿日: 2024.02.18
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    気になっていた本を読んでみた。ミステリーとタイムトラベルが、よい感じに合わさっていて、おもしろかった!竜泉家の呪いなど、いかにもミステリーっていう雰囲気と、タイムトラベルしてきた主人公が探偵役となって謎解きに挑む様子が、意外にすんなりと受け入れられて、おもしろい。トリックの仕掛けと、最後の犯人を追究していくところ、ラストも、よい感じでした!

    0
    投稿日: 2024.02.12
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    SF×ミステリがこんなにも面白いものだとは 綿密な世界観と鍵となる時間 会話により整理される状況や制約 謎の提示が巧みで 全ての文において目が離せない緊張感 彼は運命を変える事が出来るのか? 「モモ」を感じられるのも嬉しい これがデビュー作ってほんと凄すぎませんか方丈先生…

    1
    投稿日: 2024.01.31
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    妻の一族の呪いを探るために、マイスター・ホラの砂時計によってタイムトラベルさせられた加茂。竜泉家が集う屋敷で起こる不可能と思われる連続殺人事件の真相は… まず本を開いての登場人物+家系図、屋敷の間取りでテンション上がる系でした笑 そしてなにより「それバラしちゃうの!?」っていう驚きと、みんなの順応性…。 読後感も良くて面白かったです。続きさっそく読みます。

    0
    投稿日: 2024.01.31
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    図書館で単行本を読み、気に入ったので文庫本を購入。初回は展開が気になり先に先にと読み進めてしまったので今度はじっくりと読破。 屋敷の間取りもキチンと頭に入って読めました。 竜泉家は三部作らしいので次の話も読みたいと思います。

    19
    投稿日: 2024.01.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かったー ほんとにしっかりとしたミステリを読んだ 見取り図や登場人物を最初に見た時点で 最近のミステリ読者として怖気付いたけど しっかりと全て回収された。 またミステリ好きとしてトリックまでは説明出来ずとも 怪しいと思った人間が犯人だったのは 普通に嬉しかった!

    3
    投稿日: 2023.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    マメムさんにお勧めしていただき読みました。 タイムトラベルで、クローズドサークルミステリーで、屋敷の見取り図あったり、地図があったり、家系図あったりで、そして見立て殺人か!?という展開に、ワクワクしながら読みました。 じっくりと読んだつもりだったのですが、鮮やかなトリックに驚かされました。

    4
    投稿日: 2023.11.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    複雑な設定があるのに、期間が開きながら読んだことで少し手こずりました。 設定にタイムトラベルが用いられているので、SFですが、その設定が丁寧に説明され、何度も推理にパートで検証されるので、良いミステリー読書体験でした。 まず、妻の命を救うため過去の事件解決に乗り出すという舞台設定が面白い!随所に伏線が散りばめられ(伏線だな?と分かりやすい)、それらが緻密に回収されていきます。 そして、エピローグの余韻が素晴らしい。後日談をもう少しみたかった。

    5
    投稿日: 2023.11.13
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    SF×館もの本格ミステリ。とても面白かったです。 ミスリードに見事に引っかかりました。1つ1つ丁寧に、かつ鮮やかに解き明かされていくのが素晴らしかったです。

    1
    投稿日: 2023.11.05
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    特殊設定ミステリの傑作。タイムトラベルとミステリの融合で、トリックやアリバイにタイムトラベルが活用されるという発明がある。 竜泉家シリーズの第一作で、妻の死を回避するため、主人公は過去にタイムトラベルし、ある殺人事件の謎に挑むことになる。 積み重ねられたロジックと、特殊なタイムトラベルという要素が相まって予想できない解決にたどり着くわけだが、これがフェアに作品としておさまっているのがすごい。 ミステリの発展ってまだまだ余白があって、こんなにも楽しめるものなんだな。

    6
    投稿日: 2023.11.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイムトラベル×殺人事件なんて、何でもありかと思いきや、全くそんな事はなかった。 タイムトラベルの制約がしっかりしていて、読者にもフェアな本格ミステリだった。 キャンピングトレーラーを使ったトリックが見事だった。ちゃんと頭を使って考えれば、辿り着けそうなトリックになっているのも、秀逸。

    0
    投稿日: 2023.10.30
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    タイムマシンの存在を前提にした不可能犯罪もの。タイムマシンの制約など手の内は明かされているから、アンフェアとは思わないが、トリックそのものは良くできているのに、謎解きをされてもなんとなくすっきりしない。それとハウは良くできているのだけれど、ホワイはかなりいい加減なので、ミステリとしては辛めの評価になるかなあ。ただ読後感は爽やかで、読んでよかったと思いますね。

    1
    投稿日: 2023.10.29
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     タイムトラベルもののSFであり、ミステリー。1960年、陸の孤島にそびえる富豪の別荘で起きた連続殺人。おどろおどろしい絵に描かれた鵺の姿をなぞるように次々と殺されていく一族。1950年代から1960年代にかけて書かれた幾多の名作ミステリーの設定を彷彿とさせるこの事件の謎解きに挑むのが2018年からやってきた主人公、というのがストーリーを重層的にしている。幕引きが爽やかなのもいい。

    2
    投稿日: 2023.10.24
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    『竜泉家の一族』シリーズの最初の作品で時空旅行者ってタイトルから分かる通りタイムトラベルを扱ったSFミステリーです! SFですが気楽に楽しめますし、館の見取り図、一族の家系図等々しっかりミステリー要素も満載で非常に楽しめました! シリーズ全て読みたいと久しぶりに思える作品でした!!

    3
    投稿日: 2023.10.16
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    「竜泉家の呪い」 竜泉太賀を筆頭とした竜泉家では多くの子孫が不可解な死によって、この世を去っている。その始まりは「死野の惨劇」から連なっており…。 本作『時空旅行者の砂時計』の概要と感想になります。 本作はSFとミステリを掛け合わせた本格SFミステリという部類の作品ですが、鍵となるのが小さな砂時計。主人公の加茂は竜泉家の末裔にあたる妻の伶奈の容態が回復せずに悩む中、突如掛かってきた不審な電話に導かれて58年前の竜泉家の別荘へ時空移動する。そこで起きる「死野の惨劇」を食い止め、「竜泉家の呪い」を解くことが伶奈の未来を救えると加茂は意気込むのだが…。 乾くるみさんの『リピート』に少し似たSF要素でしたがイヤミスではなく、次回作の余韻ありで楽しめました。単行本で既刊の続編も来年1月と5月に文庫化とのことで、また竜泉家の謎を楽しもうと思います♪

    80
    投稿日: 2023.10.10