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水を縫う
水を縫う
寺地はるな/集英社
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総合評価

270件)
4.2
92
121
40
6
0
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    好きなことを好きと言える世界が当たり前じゃないの?「らしさ」はそれぞれで、誰とも比べちゃいけないと思うの。そういう ふわっとしたものに 理由付けもなにもないんじゃないかなぁと思う。キヨが仕上げた ドレスの刺繍、見てみたいなぁ。全さんのつくるドレスも。どの人もとても魅力的で それぞれの 引っ掛かりが スルスル そう!流れるように解けていく感じが よかった。初めて読んだ作家さんだったけど、他も読んでみようと思ったです。個人的に 黒田さん推しです(笑)

    16
    投稿日: 2025.11.20
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    自分だって年齢や性別で括られるのが嫌だけど、キヨみたいな人がいたら純粋に「すてき」と言えるだろうか?考えさせられました。偏見は日常に転がっていて、転がっているからこそ気付いてないことが多くて、私も日々踏んづけてしまったりしているんだろうな。

    16
    投稿日: 2025.11.19
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    偏見や固定概念が日常に散らばっている。相手のことを知ろうとしてないのに、この人はこうゆう人と決めつけていることが多い。それって自分の可能性を狭くすることでもあるんだなって。 最後の締めくくりが最高な一冊だった!

    1
    投稿日: 2025.11.19
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    〜2025.11.11 らしさ、って今は嫌われているらしいけど、私は必要だと思っている。男らしいとか、女らしいとか、褒め言葉だとも思っている。ただ、それを敢えて発したりはしないだけ。 好きを仕事にできなくても、「好き」は強い自分にしてくれるし、自信にも繋がる。そう思えるお話だった。 全がドレスを作っているシーン、なんか知ってるぞ。そっか、以前、国語の文章問題で読んでいたんだ。前後関係がわかって、良かった。

    12
    投稿日: 2025.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    水青は、過去の経験から「かわいい」を生活から削ぎ落とす。 そんなことで、って言われるのが怖い。 あなたが悪い、って言われる恐怖から、かわいいを遠ざける。 でも、その中でも紺野さんとの結婚で気づいたこと。 「かわいい」は、「好き」ってこと。 全の世界観はとっても素敵。 でも共同生活には向かないってこと、そうそう!って思いながら読んだ。 さつ子の「精一杯」と、もっとやれたんじゃないかという後悔。 普通、から外れるのを嫌う。それは、傷ついてほしくないから。 「わかるよ」の共鳴以外が怖い、そんなさつ子。 男と女、比べちゃならぬと心に決めている段階で、 その思想は消えてはくれない。 男と女で分けられた、苦い思い出。 旧友との再会をきっかけに、踏み出すことを思い出した、文枝。 家族というほど近くはないけど、 でもずっと一定の距離に居る、黒田。 全をずっと見守っている、そんな黒田。 女になりたい、そんなわけじゃない。ドレスを着たいわけじゃない。 でも、ドレスが好き。裁縫が好き。裁縫に魅了されている、清澄。 清澄、水青、さつ子、文枝、黒田、そして全。 松岡家の周辺を、ふんわりくるむ物語。 寺地さんの紡ぐお話は、不思議と、 経験したことないのに気持ちがありありと浮かぶ。

    0
    投稿日: 2025.11.10
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    「男らしい」「女だから」「母親なのに」…周囲から何気なく発せられる抑圧とドレスを通して紡がれる家族の物語 読後の余韻がすごい どの章も自分のことのように共感した 特に最後の刺繍が完成していくさまは感動 家族それぞれの視点から描かれててそれぞれの想いがとても伝わってきた

    0
    投稿日: 2025.11.10
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    どの世代にも起こり得る、家族の評価と好きなことの板挟み 特におばあちゃんの話が心に来た。お母さんは私自身。

    0
    投稿日: 2025.11.07
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    ただ好きという純粋な気持ちだけで、自分の好きなことを貫くことができる人は素敵だなと、私もそんな風になりたいと思える話でした。

    1
    投稿日: 2025.10.31
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    姉のウェディングドレスに刺繍をする弟。結構重要な性別に関する決めつけや差別のことを考えるテーマがあり。

    5
    投稿日: 2025.10.28
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    これができるから「男っぽい」 これができるから「女っぽい」 そういう決めつけは良くないけど、無意識に心のどこかで決めつけをしているところがあるかもしれない。気をつけようと思った。 苦手とか得意とか関係なくて、好きだからする。個人の趣味は人それぞれ。それを否定するような人にはなりたくないし、自分の趣味を否定されたくないな。 と思った1冊でした。

    6
    投稿日: 2025.10.28
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    「傘のしたで」が、個人的にはすごく好きです。 性別や立場でらしさを求めない、そのままの自分をひとりのひととして受け入れてもらえている感覚がして、心が緩んだような解けるような、安心できる作品でした。

    4
    投稿日: 2025.10.27
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    寺地さんにハマったきっかけの本。 まず設定地域で身近に感じ、今の仕事にも通ずるものがあるので、引き込まれるようにして読みました。 優しくなれる本です。

    1
    投稿日: 2025.10.12
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    『「明日、降水確率が五十パーセントとするで。あんたはキヨが心配やから、傘を持っていきなさいって言う。そこから先は、あの子の問題。無視して雨に濡れて、風邪ひいてもそれは、あの子の人生。今後風邪をひかないためにどうしたらいいか考えるかもしれんし、もしかしたら雨に濡れるのも、けっこう気持ちええかもよ。あんたの言うとおり傘を持っていっても晴れる可能性もあるし。あの子には失敗する権利がある。雨に濡れる自由がある。⋯⋯ところで」 ところで。下を向いていたから、その言葉を母がどんな顔で言ったのかは知らない。 「あんた自身の人生は、失敗やったのかしら?」』

    1
    投稿日: 2025.10.06
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    未だに世の中は、女性なのにすごいね、っていう風潮が消えないなといつも引っかかってます。 男女関係なく、自分の思うようにやれるようになるのはまだまだ先なのかな。

    0
    投稿日: 2025.10.04
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    各章に、日常のちょっとしたところでそっと背中を押してくれるようなメッセージの多い作品でした。 偏った見方を受け続けることで諦めて、最初から相手はこう思っているだろうという態度で人と接するよりも、決めつけなく相手と話す方が、自分に向けられる見方も広がる。 自分の好きなことと仕事が結びつくことがだけ必ずしも大事なのではなく、仕事とは別に好きなことというのも持っていたい。

    14
    投稿日: 2025.09.22
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    さくさく読めた軽い感じだけど、話は心に響いて、めちゃくちゃよかった!! ジェンダーや母親らしさ、親らしさについての葛藤とか。

    2
    投稿日: 2025.09.01
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    手芸好きの男子高生・清澄をはじめとする家族小説。男だから、女だから、親だから、もう若くないから…それぞれの葛藤に苦しくなる。清澄視点に戻る最終章の展開が美しかった。父の雇い主である黒田さんも素敵。

    6
    投稿日: 2025.08.31
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    こうならばこうでなければという固定概念にとらわれない生き方が、その人の個性がキラキラ輝く生き方が、とてつもなく感動的に描かれてました。好きで没頭できるものがあるって強い!

    1
    投稿日: 2025.08.31
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    面白かった タイトルの水を縫うにも意味が込められており 水というのは本作にすごく関わっていた。 ドレスを縫うだけではなく 周りの環境や想いが水のように交差していき 最後にドレスができた時は感動した

    1
    投稿日: 2025.08.26
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    やわらかな水を縫うように、その人が着たい、その人を美しく見せる、その人が着ていて心地良いドレスを作れたら。 誰かのために何かをしたいと思っていても、その誰かの気持ちを汲むことは難しい。 人のことを思いやるのって難しい。 水青のために作られたドレスとそれを着た水青はどんなにか綺麗だろうと想像すると、目で見るよりも美しいものを想像できているような気がした。 でも、そんなドレスが作れたのも水青が自分の気持ちをちゃんと大事にして、それを周りに伝え続けたからだろうなと思った。 思いやりたくても、伝えてもらわないと限界がある。 諦めずに伝えようとする気持ちと、理解しようとする気持ちの両方が大切だと思った。

    4
    投稿日: 2025.08.24
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    寺地さんの文体が好きだ。 柔らかいのに、すっと心に馴染む。 「水を縫う」という表現もとても心地良い。 皆さんの感想は、ジェンダー的なものが多いけど、それ以上に今わたし達が普通に抱えている悩みを持っている不器用な家族が色々な経験をしながら少しずつ相手に思いを伝えていき、成長する物語だと感じた。 「進み続けるものを、停滞しないものを、清らかと呼ぶ」 わたしも常にそうでありたい。

    0
    投稿日: 2025.08.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    思ったより面白くて、共感できる部分も考えさせられ る部分も多々あった。 今流行りのジェンダー云々の話ではなく、常にそこら 辺に転がってる「○○なのに△△っておかしい」という 他人の目と価値観。 それをものともしない清澄が強い。 思い切って友達に正直に話してみると、友達の方も何と も思ってないという意外な反応。 そういうものだと思う。 いらない干渉をしたり「おかしい」と決めつけてくる 人はいるかもしれないけど、大体はその場限りで、多く の人は他人の好きにそんなに興味はないと思う。 水青の場合は少し特殊で、仕方ない。 誰だってああいう経験をしたらトラウマになる。 二人の父親だって悪い人じゃない。誰にでも向き不向き があって、彼は「一般的な父親」という役に不向きだっ ただけ。(さつ子が「○○すれば」と期待し続けた気持ち はよくわかる。でも人って変わらないのよね…) 全には全なりの父親の形があるのかもしれない。 全が名前の由来を説明したときには涙が出そうだった。 彼の子供たちへの想いが伝わってきてとても良かった。 清澄が黒田に何気なく贈った言葉も良かった。 優しいなぁ。黒田の人柄だね。 気持ちが温かくなる家族の話でした。 皆が自分らしくいられますように。

    1
    投稿日: 2025.08.19
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    祖母、母、息子、娘、それを取り巻く人たち全てに共感する優しい物語でした。 この作家さんにハマりそう。

    3
    投稿日: 2025.08.19
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    ドレスを仕立て始めた場面からワクワクが止まらなくなり、ラストでは最近にないくらい感動した物語だった。

    8
    投稿日: 2025.08.12
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    タイトル回収そうきたか〜って感じで、驚きはしないけど心にじんわり温かさが残る作品。 ある家族を取り巻くステレオタイプについての話だったけど、感情移入して泣ける部分がいくつもあった。ひらがなが多めの文体で優しさを感じるからか、なんなのか。 場面転換や時間経過が少しわかりづらかったけど、読みやすいし面白かった。

    0
    投稿日: 2025.08.11
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    読んでいて何度も心がスっと浄化されて救われるような作品だった。「普通」って何だろう。性別にとらわれることなく自分の好きなことを追求する姿って眩しいんだな。自分の気持ちに素直になって、嫌なものは嫌だ、やりたいことはやっていいんだよって伝えてくれた1冊。

    32
    投稿日: 2025.08.11
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    "十人十色"という四字熟語がぴったりな作品だった 終盤につれてタイトルの意味を理解できる話の進め方に「そういうことだったのか」とも思えたし、名前の由来が素敵な印象を受けた 「男の子だから」「女の子だから」という価値観が早く薄れればいいのになぁ。 何気ない一言でその人の古傷に触れてしまう場合だってある、ちゃんと言葉は選んで話したいな

    0
    投稿日: 2025.08.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    手芸が好きな高校一年生の清澄が姉の結婚式のドレスを作る話。清澄の話、姉の水青の話、母の話、祖母の話、父(離縁)を拾っている雇い主の黒田の話を経て清澄の話に戻る。 清澄の話は無難に友達できてよかったね、という感じ。相手を知るために興味を持つことが大事という話だった。姉の「かわいい」が嫌いになってしまった話は性被害の二次加害の話。自分にとっての「かわいい」がなんなのかを見つめ直す話だった。婚約者の紺野さんがいい人。母のさつ子の話は典型的な母親の話。こどもに「普通」に生きてほしいからあれこれ言ってしまうという人。こういう人いるなあ……と思いながら読んだ。愛してるんだろうけどね。「普通の母親」だった。 祖母の話はより男女”らしさ”に縛られていた祖母が好きに生きようと決心する話。水泳始められてよかった。 黒田の話は実の父の全がデザイナーらしさを発揮していたのがよかった。 最後の清澄の話はこれまでのもろもろがすべて上手い事落ち着いてよかった。特に母親との関係性が。 全体的に雰囲気が落ち着いていた。男らしさ、女らしさ、親はこういうもの、というようなものについてがふんわりと触れられていた。

    0
    投稿日: 2025.08.07
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    ナツイチのしおり欲しさに読んでみました。 (今回も動機が不純…) タイトルに「水」という単語が入っていると、それだけでなんとなく夏っぽく感じます。 あらすじを読んだ時は、手芸好きの男子高校生の話なのかな、と思っていたのですが――そうではありませんでした。 本作のテーマは、世代によって変化している「男女間の価値観」です。 物語には、祖母、市役所勤めの母、事務員の姉、そして高校男子の主人公と、世代の異なる人々が一つ屋根の下で暮らしています。(父は、ある理由で一緒に暮らしていません) それぞれの視点から、男女の在り方や「ふつう」についての価値観が語られていきます。 世代ごとにこんなにも違うのか…と感じたのですが、それが「ジェネレーションギャップ」というものなのかもしれません。 一見、女性の社会的立場の変化が主題のようにも見えますが、実は父親と高校男子の間にも、世代間の価値観のズレが描かれており、「生きづらさ」を感じているのは女性だけではないことに気づかされます。 たとえば、母が若かった頃、「手芸が趣味」と男子が口にすることはできたでしょうか? 祖母の時代には、きっと絶対に無理だったはずです。 実際、主人公・清澄も手芸が趣味であることに後ろめたさを感じています。 けれど彼は、自分の感情にまっすぐ向き合い、自分に正直になることを決意するのです。 “でもさびしさをごまかすために、自分の好きなことを好きではないふりをするのは、好きではないことを好きなふりするのは、もっとさびしい” この言葉に出会ったとき、学生時代の自分が蘇ってきました。 読書が好きだったのに、自分で「地味」と決めつけて誰にも言えず、派手に見えるものを好きなふりをして、適当なグループに入って苦笑いしていたあの頃。 あのとき、自分の「好き」をちゃんと口にしていたら、苦笑いしなくてもいい生活を送っていたかもしれません。 もちろん後悔したところで、時間は戻りません。 でも、もしあの頃、この本に出会っていたら。 「好きなものを好き」と言える、ほんの少しの勇気が持てていたかもしれない。そんな気がしています。 寺地はるなさんの作品には、無意識のうちに心の奥にしまっていた感情や、遠い昔に忘れていた記憶をそっと掘り起こしてくるような力があります。 それはときに痛みを伴い、悲しみや辛さ、後悔や情けなさなど、目を背けたくなる感情があふれてくることもあります。 それでも、不思議と「嫌な読後感」は残らないのです。 むしろ、彼女の紡ぐ物語が、そんな自分自身をやさしく受け止めてくれて、読後には「もうちょっと頑張ってみようかな」と前向きな気持ちにさせてくれます。 タイトルの「水を縫う」は、一体どこにかかっているのか。 ラストでその意味がわかったとき、静かな感動がありました。 「水」にはさまざまな思いが込められ、「縫う」には登場人物たちの想いが、丁寧に丁寧に重ねられています。 読み終えたあとにもう一度タイトルを見ると、最初とはまったく違う感情が湧いてくる。そんな素敵なタイトルの一冊です。

    37
    投稿日: 2025.08.06
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    流れる水は腐らない。 2人の姉弟の名前に籠められた愛情に家族の絆を感じた。 作中で劇的に家族の関係性が変わるわけでも無く、各々の考えによってぶつかる事もままあれど、流れ続けて行き着く先が良いものだったと納得できるように生きていって欲しいし、私自身もその様にありたい。

    10
    投稿日: 2025.08.05
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    私は今、運がよいことに、かなり自由な気持ちで日々を過ごせている。 若い頃はそうではなかった。闘ったり縮こまったりしていた。 私たちの世代では、ジェンダーの問題は解決しなかった。 次の世代に生きる人たちには、苦しい思いをしてほしくないと思うものの、用意はしてあげられていないとも思う。 頑張ったんだけどな。ごめん。

    0
    投稿日: 2025.07.25
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    各章ごとに、視点が変わり、それぞれの過去や思いを捉えながら読み進めることができた。 「男らしさ」「女らしさ」「父親らしさ」「母親らしさ」ーーそんな性別の「普通」をウェディングドレスの制作をベースに向き合っていく。 「かわいい」は「自分を元気にするもの。元気にしてくれるもの」おばあちゃんの言葉をきっかけに水青の心が動き出していくところから世界に入り込めた。 自分らしさを知ること、尊重することはしあわせになることに近いのかもしれない。清澄が最後まで粘って仕上げた刺繍の意味、父や母が大切にしてきた二人の子どもへの想い。これまでたくさんの葛藤がありながらも、川を流れる水のようにすべてが繋がっていて、最後の朝の光はとても美しく、読んでいて気持ちが良かった。ドアの向こうにいるのが、登場した3人でみんな笑顔になっていてほしい。 これを読んでいたとき、ある女性アイドルグループがスタッフに年齢をネタにされ始めていると友人から動画が送られてきた。笑って誤魔化したり、笑いに昇華しようとしていたが、私は笑えなかった。歳を重ねることは当たり前のことなのに、「アイドル」の象徴といえるようなふりふりのかわいい衣装を着ている彼女たちに贈られた年齢を背番号にしたユニフォーム。スタッフとの関係性もわからないし、本当はどう思っているのかわからないが、関係のない第三者の私は笑えず、不快感を抱いてしまった。 結婚をし、30代になっても最前線でがんばる姿をただ単純に尊敬する。その姿に水をさすようなことをしたり、それが受け入れられてしまう環境は悲しい。誰かが一声「これはないんじゃない?」と言ってくれたら。これが笑いになるというのはなんとも居心地が悪い。スタッフさんたちにぜひ「この本を読んでもらいたいと思った。

    7
    投稿日: 2025.07.17
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    心が洗われた気持ちになります。 お互いのことを思ってやったことも、それぞれ感じ方も考え方も違うから、素直に受け取れなかったり傷ついたりしてしまう。毎日一緒に過ごす家族でもここまで違う人間なんだから、本当に人間は難しい。 めっちゃくちゃ難しいけど、上手く自分の思いやりが伝わらなかった時は、こんな想いでした行動なんだよってやんわり伝えたり言葉にすることで、お互い優しい気持ちになれそうだなと思った。

    11
    投稿日: 2025.07.17
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    泣く準備もないまま、次の一節でいきなり涙が溢れる。それがなん度も。 実体験であったり、誰かについて思い浮かべていたり、自分の持っている言葉ではどうにも処理できなかった感情が寺地はるなさんの言葉ですうっと心に染み入った感覚。 清澄くんたちがウェディングドレスを形作っていく過程も、縫い物好きの自分としてはワクワクしました。全さんかっこよかった〜。 こんなに美しい小説に出会えて幸せです。

    21
    投稿日: 2025.07.16
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    性別や年齢、立場による「らしさ」に、正解なんてないとは理解している。今の時代は、昔に比べたら理解も広がっている。それでも、育った環境、教育の中で根強くこびりついてしまっている偏った価値観を、まだ取り除くことができていないことを自覚する。 清澄のまっすぐさは眩しく、とても羨ましく、清澄は気づいていないかもしれないが、そのまっすぐさは周りの人を何度も勇気づけたり背中を押したり、心を救ってきたのだろう。自由に、自分らしく生きていきたい。自分を好きでいられる自分でいたいと強く思う。

    2
    投稿日: 2025.07.11
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    第五章から自分の中で物語が生きてきた それまではハマらず、、なんとなーく読んでたけど 頑張って読み続けて正解だった 物語の終わりかた、、好きだなぁ

    1
    投稿日: 2025.07.09
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    こうあるべきだ、これが普通だ、と勝手に決めつけてしまっていることって沢山あるなと改めて思いました。 年齢を重ねるとそれまでの経験も加わってよりその傾向は強くなるかもしれない。どうしても周りの目が気になってしまうし。 自分らしく自由に進み続けて停滞しない、好きなこと、やりたいことを大切にしている人は素敵だなと思います。自分らしくというのは意外と難しい。

    47
    投稿日: 2025.07.05
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    第一章がとても良かったのでわくわく読み進めたのに、第二章と第三章はだいぶどんよりした気分になってしまった これは外したかも…と思ったものの、その後盛り返し、終盤は大変良かった! どんよりした第二章と第三章も、それがあってこそのストーリーだった 最近刺繍はあまりしてないけど、またなにか作りたくなった ナツイチ2025

    2
    投稿日: 2025.07.03
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    わたしは、家族だからといって 全てを分かり合えてるとは思わない。 分け合えてるとも思えない。 でも心配したり、応援したり、尊重したり、そっと見守ったり。 常に頭のどこか、心のどこかに居る。  たとえ離れてしまっても。 読み進めるうちに、思わず涙がでてしまった。 いい家族だなって思った。 自分の個性、子や孫の個性を当たり前に受け止めてくれる人が家族にいたら、 どんなに安心して幸せな気持ちになるか。 読んでよかった。この家族を知れてよかった。

    2
    投稿日: 2025.06.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「水を縫う」その意味がわかった時、すごく暖かいものが心に広がった 家族でも、言葉にしなければ気持ちは伝わらない。でも、言葉が全てではなくて、きっと積み上げてきた記憶や感情が心を守ってくれることもある。 辛いことがない人生はないけど、辛いことがあっても流れる水のように形を変えて次に進んでいける人生であって欲しいって最大の愛情だとおもう。 お母さんのキャラクターが良いと思った。刺があるし、人間臭いけど、不器用な愛情がちゃんと子供に伝わってて嬉しかった。 もっと清澄の学校生活の事や、これからのことを詳しく知りたいと思った

    2
    投稿日: 2025.06.18
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    水を縫う 2024.01.22 自分が本当に好きなことに目を向け、素直になる勇気が必要だとわかる本。 多様性が尊重される現在、過去よりは明らかに自分を表現できるような環境に変化した。だからこそ今の時代にもう一度読み、本当の自分を探求するきっかけとなるだろう。

    1
    投稿日: 2025.06.17
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    誰も嫌な人が出てこない。 全員が主人公でほっこりする。 松岡清澄→高校生、まっすぐで下向き、素直、でもやっぱり思春期 高杉くるみ→清澄と中学から一緒。清澄に似てまっすぐ。武士みたいなイメージ 宮多雄大→清澄、くるみのクラスメイト。人懐っこい 松岡水青→清澄の姉。塾で事務をしている。小学生の頃からかわいいが苦手 紺野→水青の婚約者。優しい 全→ 清澄、水青の父 黒田→清澄、水青の父の雇い主    強面だが根が優しい 松岡さつ子→清澄、水青の母。離婚後シングルマザー、市役所勤務、頑張っちゃう、保守的 松岡文枝→さつ子の母、

    5
    投稿日: 2025.06.17
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    観覧参加したビブリオバトルで紹介されていた本。 気になって読んでみたら、期待通りの素敵なお話でした。

    0
    投稿日: 2025.06.10
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    男だから、女だから、年寄りだから等々、様々なしがらみがあり、みんなそれらに縛られてしまいがちだと思います。誰からも文句を言われないように普通であろうとしたり、好きなものを好きと言えなかったり、やっぱりそれは悲しいことですよね。読後に穏やかな気持ちになり、尚且つ自分の好きなことに向き合ってみようと思わせてくれる素敵な小説でした。

    3
    投稿日: 2025.06.07
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     初読みの作家さん。  主人公の清澄を中心に、姉の水青、母親のさつ子、祖母の文枝、そして父親の働く縫製会社の社長黒田のそれぞれの目線で話が展開していく。  男だから、女だから、親だから、家族だから、他人だから。  様々な価値感を超えた感情が揺れ動きながら、人と人とのつながりの温かさを感じた。  清澄の刺繍が施されたガーゼ素材のウェディングドレス見てみたい。

    1
    投稿日: 2025.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こだわりのある清澄、水青の姉弟、母、祖母、離婚した父とその友人。人間関係が不得意そうな人が多いのに、自分の道をしっかり生きている。それぞれの視点から描かれている連作短編。 姉のウエディングドレスを作ることにきめた清澄だが、高校生には難しく、また姉の要求を満たすこともアイディアも技術面でも困難なことだった。ただ、父の助けを借りに行ったところ、姉の希望通りのドレスのデザインができる。清澄はドレスそのものは作れなかったが、刺繍を入れるというアイディアをもらって、姉のドレスに最後の仕上げをすることになる。こだわりがあり、不器用ではあるけど、見るところは見ている清澄が、自分で納得の行く結果を出していく点で、ほっとできる話になっていてよかった。

    0
    投稿日: 2025.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    犬みたいでかわいいなんてバカにしている。即座にそう伝えられたら、どんなによかっただろう。おさない頃、父に対しても言えなかった。父は「女はきれいでかしこい」と言った。夫は「かわいい」と。ほめる態で、抑圧してきた。それは抑圧であると糾弾するための言葉を、わたしは獲得していなかった。 獲得しようとしたことすら、なかったかもしれない。飲みこむ必要のないものを飲みこみ続けて、そうやって、今日まで、わたしは。 (151ページより引用)  自分が人に傷つけられたその瞬間、きちんと立ち向かっていける人はどのくらいいるのだろう。その場の空気、相手からどう思われるか、「こうあるべき」という社会通念。さまざまなものと自分の痛みを天秤にかけた結果、文枝のように、飲みこむ必要のないものを飲みこみ続けている人は、多いのではないかと思う。後になって冷静に、客観的に思い返せば自分が不当な扱いを受けたとわかるのに。自分の尊厳を守るということは正当な行いであるはずなのに、実際こんなにも難しい。そのことに歯がゆさを覚える。  文枝は長い時間を経て、プールサイドから腰を上げ、水に入ることができた。そこにもう犬の姿はない。抑圧から解き放たれようとするひとりの女性が、水と戯れる姿に、目の奥が熱くなった。

    0
    投稿日: 2025.04.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    章ごとに主人公も変わって、それぞれ色々悩みや揉め事があって軽々しく読める内容ではなかった為、休憩しながら読んだ。 “水を縫う”ってそういう事か…

    0
    投稿日: 2025.04.21
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    寺地はるなさんの作品は2冊目で、 前回の作品とは大分違った印象を受けた 「らしさ」とは、と考えさせられるだけでなく主人公が姉のウェディングドレスを作るところから、徐々に主人公家族が突きつけられている「らしさ」が、わかっていき、どう解釈しどう向き合い変わっていくのか、読んでいて泣きそうになったり、応援したくなった 4章の結末 6章に出てくる主人公と姉の名前の由来は 泣きそうになった その他にもはっとさせられる言葉が沢山ありました。 個人的には黒田さん好きだった

    12
    投稿日: 2025.04.09
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    何かを一生懸命取り組む姿勢はかっこいいし、その間に出るセリフがささる。寺地はるなさんらしい勇気と元気が出る物語。 性別、年齢、内容問わず、誰かの趣味を咎めてはいけないと思った。 何かを突き詰めて一生懸命やれば、それはその人の人生の武器になり、核となる。 就職活動している時に、自分の軸(やりたい事)を持っていない、または、気が付いていない人が多くいた気がした。これは現代の風潮が個性を潰しているのが原因だと思った。多様性は、「ジェンダーレス」「障害の有無」「ルッキズム」ではなく、凝り固まった概念(偏見)にあるなと思った。

    6
    投稿日: 2025.04.07
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    「○○らしさ」とか「○○だから○○であるべき」みたいな固定観念に囚われることなく、自分の考えに素直でいたいと思った。そして自分と違う考えの人を否定することなく受け入れたいとも思った。でも実際はそれがなかなか難しい。 淀まずに流れ続けたい。

    13
    投稿日: 2025.04.01
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    幼少期から針と糸を持つことが好きだが、周囲からどこか浮いていると感じる清澄。 変質者からスカートを切り付けられたことをきっかけに“かわいい”を排除するようになった水青。 手間と時間をかけることが愛情だと言われ、反発しながらもその小さい棘を抱えて生きる2人の母。 などなど、、。 周囲のジェンダーや固まった価値観に囚われながら、その真髄と対峙し乗り越えていく物語。 価値観に囚われているのは実は周囲ではなく、自分自身だったりもする。それに気づき自分で自分を解放できた時、周囲がどうであれ、もっと自由に自分らしく生きていくことができる。 そんなふうに感じさせてくれる物語でした。

    5
    投稿日: 2025.03.31
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    少しだけ変わっていく家族それぞれのお話。 今までもこれからも、家族の時間と関係は絶えず川のように流れます。綺麗に見えることも、淀んで見えることもある。綺麗なはずなのに汚く見えることも、汚くてもそれが良いと思えることもある。それでも、きらきらの水面を大切に思いながら、家族という時間を過ごしていくのだと思いました。 清澄の刺繍した水面をこの目で見てみたいです。

    0
    投稿日: 2025.03.28
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    美しい本でした。 清澄の何気ない一言一言に救われた。 "女なんだから"と言われたり、態度で示されることにはすごく敏感な方だけど、無意識のうちに自分で性別や年齢、才能を気にして行動を制限することはよくあることに気付いた。 私たちには失敗する権利がある!

    7
    投稿日: 2025.03.26
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    心のなかにある、こうあるべきとか普通という考え方はやっかいだな。疑いも持たず従順になるか、反面教師のような対応になるのか、人によって様々。そもそも何かの抑圧に抗う気持ちがあってもそれを認識できていない人だっている。多少相談業務に関わる人として、間口を広く受け入れる体制を持っていないといけないなと感じた一冊でした。  刺繍が好きで姉のウェディングドレスをつくる清澄が、諦めずに好きなことを好きと貫きつつ周りの気持ちを思い図って成長していく過程が心に残った。

    1
    投稿日: 2025.03.22
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    最初の章を読んで、水を縫うという書名がそういうことなのかと感心し、すごく素敵な書名だと思った。○○らしさについて考えること、それに悩む人の気持ちを知ること、大人になった今でも大切だと思うことを感じられる。最後のドレスを仕上げていく過程は読んでいてドキドキした。 高校の課題図書の印があり、最適だと思った。もう一度読みたい。

    1
    投稿日: 2025.03.10
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    裁縫が好きな清澄が姉のウエディングドレスをつくる。好きなことが仕事にならなくても好きでいればいいし、苦手なことはやらなくてもいい。 最後にタイトル回収されて気持ちよく読了。

    1
    投稿日: 2025.03.02
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    裁縫が好きな高校生男子、清澄が姉の水青が結婚するにあたりウエディングドレスを縫っていく話だが、母の昭和的な価値観に惑わされたり母親の母性に安堵したり、離婚した父の父性に助けられながら最後は清澄がドレスの刺繍を縫う意味と家族の絆や思いを体感出来た小説。

    4
    投稿日: 2025.02.24
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    清澄、水青、お母さん、おばあちゃん、黒田さんと視点が変わって物語が進む。 それぞれに色んな思いを抱えていて、それぞれの態度に納得してしまう。お母さんがちょっと難しい人だなと思っていたけど、それも読んでいてなるほどねと思う。 清澄と水青の名前の由来を知って、うるうるしてしまった。 どんな形でも、清澄と水青を思っているお父さんの透き通った愛情に、親ってどんな形でも親なんだなと思った。

    3
    投稿日: 2025.02.09
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    「女の子らしく」「男の子らしく」とかの固定概念に囚われず、自分自身で生きる。肩の力を抜いて生きる。 タイトルの「縫う」の意味はすぐ理解出来たのですが、序盤の方で「水を」縫うはどういうことだ?と考えていたのですが、最後の展開でそういうことかと理解しました。お姉ちゃんが抱えていたもの、それらを受け入れた人たち、それらによって出来たドレス。 よかったです。ただ少し最後が若干物足りなかったかもです。

    15
    投稿日: 2025.02.06
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    題名の素敵さに心惹かれて手に取った一冊。 章によって語り手が異なり、それぞれが囚われているものと抵抗が描かれている。 透き通った綺麗な物語。あっという間に読み終えた。

    2
    投稿日: 2025.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「流れる水は、けっして淀まない。常に動き続けている。だから清らかで澄んでいる。一度も汚れたことがないのは『清らか』とは違う。進み続けるものを、停滞しないものを、清らかと呼ぶんやと思う。」 私も好きなことを大切にし続ける、流れる水でありたい。

    7
    投稿日: 2025.01.30
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    第9回河合隼雄物語賞 いい話だけど、感動しかけていたのに終わり方が唐突に感じて物足りなかった。 個人的にはその先を楽しみに読んでいたから、、、。 刺繍が好きな清澄と、可愛いものが苦手な水青という設定は多様性をテーマにした小説が多い中、そんなに特殊なことではないけどな?と思った。 母のさつ子は「やめとき」が口癖で、つい先回り育児をしてしまうのが、他人事とは思えず痛々しかった。 幼稚園の入園グッズの手作りや、冷凍食品のないお弁当を良しとする考えは私も反対。 手作りかどうかで愛情を量るのはおかしい。 できる人はやればいいし、苦手な人が苦痛な思いをしながらやる必要はないとあっさり清澄が言ってくれたことには拍手を送りたい。 一番よかったのは祖母の文枝がやりたいことをやろうと決めてプールに入った話。 やりたいことがあるなら、誰にどう思われてもやればいいよね、と思える小説だった。

    30
    投稿日: 2025.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    寺地さんの小説を読むのは多分初めて。表情の表現が可愛くて素敵だなと思いました。(「唇をむにむに」「頬が紅潮してぴかぴか」等) 色々な人が抱えるもやもやを優しく肯定してくれた感覚がありました。こういう優しいお話が好きだ〜ほかの作品も読みたいです。

    1
    投稿日: 2025.01.23
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    美しいー! 私はどちらかというと、登場人物のお母さんと同じく「手作りだからこそ愛情がある」ような考えは嫌いだ。 単純に苦手だし好きじゃないからやりたくないだけで愛情とは無関係なのにーって思ったことは子供達が幼稚園の時に2回だけある。 そしてこのお母さんのように自分の母に作ってもらった。 でもそれについて卑下したり出来ない自分を責めたことなんてない。 なんなら、「上手に作ってもらえて良かったね」と思ってたし子供たちにもそう言ってた。 このお母さんとは気が合いそうにないけど、ちょっとだけ気持ちはわかった。 刺繍のできる息子なんていたら私は嬉しいし何でも作って欲しくなっちゃう!! 完成したドレスはどんなに素敵だったんだろうー見たい!!

    0
    投稿日: 2025.01.19
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    他人からの枠にはめられることに、はて?と抵抗することは大事なことだと感じた。また、視点を変えることで見えてくる他者の想いを物語を読んで知ると、日常生活でもこういう事が起きてそうだなとも思った。物語の展開としては物足りなかった。もっとワクワクしたかった。

    0
    投稿日: 2025.01.08
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    本を読んで泣いたのはひさしぶり。 登場人物全員が不器用ながらも少しづつ変容していく様が好きでした。 関西弁なのも読みやすかった。

    4
    投稿日: 2025.01.06
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    それはそれは美しい本でした。 家族への愛、表現、伝え方 同じ母として考えさせられる部分もありながら、どこを切り取っても美しさがある物語でした。 刺繍の施されたドレス、見てみたいです。

    1
    投稿日: 2025.01.06
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    こうあるべき、という形の中で生きることを社会は求める でも、その形にハマろうとしているのは、自分自身 もっと肩の力を抜いて、しなやかに生きたい

    6
    投稿日: 2024.12.29
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    2024年最初の1冊がこの本でよかった!読み進めるにつれて「水を縫う」の意味、そして各々の表現にこめた祈りがじんと胸に響いてくる。はじめはなんとなく嫌に澱んだ雰囲気だったのが、どんどん澄んでいく気がして、読み終えたあとすっきりとした気持ちになった。

    0
    投稿日: 2024.12.28
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    手芸男子の話かと思ったら、お姉ちゃんの方が闇深かった苦笑 家族だからといって、お互い思っていること、感じること、似てるとか同じとかじゃない。 家族であってもそれぞれ『個人』→『他人』なんだ。 だから、話したり、話さなくても、何か些細なきっかけで意外な面がわかったりするのかもしれない。 『家族』とは最小単位のコミュニティ。『社会』なのだ。改めてそのことに気づけた。 そもそも『家族』って『他人』同士の結びつきから始まるものだしね。 今年最後に良い本に出会えた。

    15
    投稿日: 2024.12.27
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    「男だから」、「女のくせに」というのは今まで散々言われてきたことだろう。 現代は見方が緩くなったとは言え、親や周囲からそういう古い見方の中で生きていくのは勇気がいるかもしれないが、自信を持って好きな刺繍を続けて欲しい。

    7
    投稿日: 2024.12.21
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    どの言葉も心にスッと澄み渡ってくるような文体で、まるでがんじがらめになっている心をほどいてくれるような小説でした。 好きなものがある、それがあの子の芯になるという言葉が胸に沁みますね。

    1
    投稿日: 2024.12.15
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    登場人物それぞれの視点で書かれていて、読みやすいです。私も裁縫が好きなので、ドレスを作るという大テーマに自然と惹き込まれていました。 読了後は満たされた気持ちになりました。

    1
    投稿日: 2024.12.10
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    やすらぎを与える小説を書かれる作家さん、たくさんいらっしゃる。中でも寺地はるなさんの作品は好きだな。 プロットを伝えたいがためにかとても気忙しくさせる本があるけれど、寺地さんのは「ゆっくりしていってね」と誘ってくれているみたい。つい甘えてしまい、いい塩梅にほぐされた。

    7
    投稿日: 2024.12.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み終わってから見るタイトルが、読む前よりいっそう綺麗に見えてしょうがなかった。違う作品の時も思ったがタイトルが上手い。そして言葉が綺麗。 寺地さんの作品を読むと、人について、人と人との関係性についてよく考えされる。でも、無理にこうだろう!と押し付けられる感じではなくて、そうそういるよね、こうゆう人。遠くで見てる時はもちろんそうゆう人も理解しないと!とは思うんだろうけど、近くにいたら色んなことを諦めてしまう。どうせ聞いてくれない、分かってくれない、すぐ反対する、怒る、そうゆうことを繰り返すと対話することが嫌になって黙っていた方が楽だからと思ってしまう。そんな時に寺地さんの作品は自然にその関係性のこんがらがった部分を無理なく解いて、心にすんなり入ってきてくれる気がする。 ウェディングドレス綺麗だったろうなー。最後のシーンで扉開けて、声掛けた人みんな居てくれたらめちゃくちゃ泣くなぁ。 まだまだ寺地さんの作品もたくさんあるので読んでいきたい。

    7
    投稿日: 2024.11.23
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    ・テーマ/世界観 ★★★★★ ・背景描写    ★★★★★ ・キャラクター  ★★★★★ ・インパクト   ★★★★ ・オリジナリティ ★★★★★ ・テンポ/構成  ★★★★★ ・文章/語彙   ★★★★ ・芸術性     ★★★★ ・感動/共感   ★★★★★ ・余韻      ★★★★★

    0
    投稿日: 2024.11.14
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    母親の気持ちで読んだ 息子にはこうあってほしい… 願いはあるなぁ 愛情をもっているんだけれどなかなか息子の真の姿をうけいれられない 祖母もまた自分の経験から娘(主人公の母親)に好きなように生きさせようとする 何が正解なのか とにもかくにも家族の愛情を感じられる一冊だった

    0
    投稿日: 2024.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「水を縫う」って言うタイトル、何故水なんだろう?って気になりながら読んだ。 けっして淀まない、流れる水であってくれという父の想いを知り、そうか、湖の底で眠ってなんかいなかった全は、流れる水の人だったんだなぁと思った。 文枝がプールに入るシーンでは、涙が出そうだった。 今までどれだけの大きなかたまりを飲み込んで生きてきたのだろう。 水青が性被害にあったのは「かわいい」のせいじゃないし、雑巾ひとつ縫ったことがないさつ子は愛のない母親じゃないし、流れる水の刺繍をした清澄は、男らしくなくても、最高にかっこいい。 時代は変わり続ける。 自分が大切だと思うことを、考え方を、生き方を、きちんと守れる世の中に向かっている。 この本読んで、素晴らしい本だと今の時代に生きているわたしが感じるように。 未来がどんな世の中になっていようと、自分らしく生きられる人が増えていると良いな、と思った。

    1
    投稿日: 2024.11.10
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    ものすごく良かった。 家族それぞれの気持ちが丁寧に書かれていて 全ての章で涙がポロッと。 作者のように静かに強い思いを持てる人に私は憧れる。

    4
    投稿日: 2024.11.03
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    刺繍に没頭する高校生男子•清澄。 結婚を控える姉•水青。 離婚し家を出て行ったデザイナーの父•全。 章ごとに主人公が代わり、物語の目線が違ってくるのだけど全のパートはなく不器用な彼目線が無いのがまた良いように感じた。 家族とは、それぞれの抱えるジェンダーも考えさせられるものがあって、しみじみといい作品。 出来上がったウェディングドレスを見てみたいな。

    1
    投稿日: 2024.10.29
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    登場人物それぞれに何かに抗いたいと思いながら生きている。 ◯◯らしさというものに苦しめられ自由に生きられない人は多いと思う。 家族それぞれの視点で描かれる連作になっていて、最後の章で見事にまとめられている。 よくできていて心が温かくなるとても優しい話だった。 そして最後の弁護士さんの解説がとてもよかった。

    1
    投稿日: 2024.10.27
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    最近気になってよく読む、寺地はるかさんの作品。 主人公清澄の姉、水青の結婚式までの時間が、それぞれの家族の視点で描かれており、それがとても自然に繋がっている。この手の作品にありがちな、時間の行き来や回想が少なく、前に前に進んでいく。まさに水が淀みなく流れるような作品で、あっという間に読み終えてしまった。 登場人物に目を向けると、家族の中で、さく子の言動や行動が気になって仕方がない。それは、母親としてのわたし自身によく似てるから。寺地さんの作品には、よくそういう母親像が出てきて、自分を省みてしまう。というより、省みることを期待して読んでいるのかもしれない。 他の登場人物含めて、皆それぞれに魅力的で、ぜひまた読み返したい。

    2
    投稿日: 2024.10.24
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    「男らしく」「女らしく」と育てられ、バイアスをかけられた世代としては新鮮でした。こういう作品にたくさん触れて、バイアスを外していきたい。

    10
    投稿日: 2024.10.12
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    家族1人1人それぞれに個性があって親子でも姉弟でも理解できないような苦しみや葛藤がある、それを個個の目線で描かれていました。 全員の話が心に染みましたが美青の話が1番辛かったな… それでも家族の繋がりを感じられたので良かった。

    1
    投稿日: 2024.10.12
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    2024.10/3 ジェンダーの物語。 寺地さんの物語は、知らぬ間にあったかい涙が流れる。 生きづらい世の中で、必死に光を探す登場人物たち。私はそんな彼らを、応援できるヒトでありたい。

    0
    投稿日: 2024.10.03
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    手芸が大好きな清澄、「かわいい」が嫌いな水青。親だから、歳だからにとらわれている母と祖母。性別や年齢に対する、こうあるべきに、振り回されもみくちゃにされ、濁ってしまう。「流れる水は淀まない」清澄という名前に込められたその言葉通りに生きるのって、たぶんとても難しい。自分の気持ちに真っ直ぐに、清らかに生きたいなぁ。そして、相手の気持ちも、澄んだ心で受け止められる人でありたいなぁ。

    7
    投稿日: 2024.10.02
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    失敗をして欲しくないという愛情が可能性を奪ってしまう__思春期の息子を通して描く家族の話。"流れる水は淀まない"という言葉が印象深くて好きです。この言葉の通り、登場人物それぞれが抱える濁りがだんだんと澄んでいくようでした。

    6
    投稿日: 2024.10.01
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    全員が全員、本当はお互いのことを大事に思っているはずなのに、どこか噛み合わない、もどかしさ。 もどかしいけど、でもこの家族を見ているとそれでもいいと思えた。 こうあるべき、こう見られるべき。 人から言われた言葉によって自分を無自覚に制限してしまう。こうありたい、とこうあるべきは違うけど、この線引きは難しい。 でも、それが自分を縛りつけてしまってる邪魔な思い込みだと気づくきっかけも、人からもらった言葉だったりする。 人の言葉に傷つき、制限し、苦しみ、意固地になり、でもたまたま出会った言葉や出来事で気づき、解放され、強くなる。この過程がすごく共感できてじんときた。 それぞれが自分の信じる道を歩んでいく力強さが美しい。

    0
    投稿日: 2024.10.01
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    私には合わない作品だった。 登場人物が、みんな好きになれないキャラで、内容もなんてことないストーリーで、3ヶ月もしたらどんな話しだったのか忘れてしまいそう。

    9
    投稿日: 2024.09.30
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    寺地はるなさん、課題図書や入試問題に多く取り上げられたということもあって、初めて読みました。いきなり主人公の男子高校生が「手芸部に入るかもしれません」って、「普通」じゃない自己紹介から始まります。なるほど、微妙な感情の変化や個々の信念みたいなものが上手く描かれてました。 また、別の作品も読んでみようと思います。

    41
    投稿日: 2024.09.25
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    とても素晴らしい本でした。 手芸好き男子、清澄くん。過去のトラウマで「可愛い」を受け入れられないもうすぐ結婚する姉、水青。いい人だけど家庭人ではない、離婚した父。離婚後、働いて家庭を支え続ける母。いつも家族を見守ってくれる祖母。 みんな悪くない。でも読んでいて息が苦しくなるのは登場人物がそれぞれ『~らしさ』『~はこうあるべき』に縛られているから。 可愛いウェディングドレスは着たくないという姉のために祖母に手伝ってもらいながらドレスを作ると宣言した弟。離婚した父にも手伝ってもらいながら、ドレスを作る中、みんながしがらみから解き放たれていく姿がとても心地よかった。

    19
    投稿日: 2024.09.23
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    ・なんて優しい家族の話。優しさがガーゼのドレスへ繋がっていくよう。 ・全の繊細さ、清澄の揺るぎなさ、水青の真面目なところ、さつ子の不器用な愛情。文枝の周りを包み込む佇まい。 黒田さんも2人目の?父親として、全の親友、家族としてとても大事な存在。

    0
    投稿日: 2024.09.22
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    多様性×針と糸…がテーマの物語。全体的に優しい雰囲気ですが、優しいが故かあまりにもふわっとしていて、印象に残る言葉や場面は少なかったので⭐︎2つです。多様性や手芸に触れた文章は著者の他の作品からも読み取れますし、一貫して伝えたいテーマなのかもしれません。

    0
    投稿日: 2024.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「自分と違うやりかたを選ぶ人を否定するような生きかたを、僕はしない。したくない。」 『夜明けのはざま』を思い出す。家族それぞれが世間一般の「らしさ」に縛られ息苦しく生活している中で、ふとしたきっかけで、すこし前向きに明日へと向かう。 「らしさ」の押しつけは愛情ゆえの場合もある。逆に押し付けられないことに愛情の欠落を感じたりもする。家族であっても、家族だからこそ、言葉にしないと伝わらないことがたくさんある。きっかけになるのは、やはり対話。 「自分に合った服は、着ている人間の背筋を伸ばす。服はただ、体を覆うための布ではない。世界と互角に立ち向かうための力だ」 「自分にあった服」は「自分らしさ」でもある。これは水青のウエディングドレス姿であり、そのドレスを作り上げた全の姿でもあったと思う。

    4
    投稿日: 2024.09.17
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    章ごとに主人公が変わる作品。家族愛を感じられた。自分とは考え方が違う登場人物にも妙に共感してしまうところがある。

    0
    投稿日: 2024.09.17
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    家庭の中の、様々な交錯する想いがリアルに息づいていた。穏やかに読み進める中で「失敗する権利」というフレーズに、その権利を人から奪わないためには、自分の不安と向き合わなければいけないと思い改めるものだった。

    0
    投稿日: 2024.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    刺繍をすることが好きな男子高校生、清澄(きよか)は迷った末始業式の自己紹介でもそれを話した。中学ではそれが仇となったが、高校ではちゃんと友達ができた。 別に女々しいわけでもない、ただ「刺繍」が好きなだけなのに、母は自分に男の子らしいスポーツをやらせたかったらしい。 姉の水青(みお)は高卒で塾の事務をしている。紺野さんという優しい婚約者がいて、結婚式はしないつもりだったのに、姑に「結婚式は絶対。ウエディングドレスでお披露目を」と言われているが、「かわいい」に嫌悪感を持っている。 かわいいもふわふわもキラキラもいらない。どのドレスも気に入らない。 実は、昔いつも親が迎えに来ていた夜道を一人で帰った時変質者にスカートを切られた「かわいいね」と言って。触られたりはしていないことから警察もうごいてくれず「かわいい恰好してるから」と言われた。 そこから彼女のなかの「かわいい」は嫌悪の対象でしかない。 ドレス選びに困っていると、清澄が 「ドレス、俺が作っていい?」と言い出した。 もちろん、なんの知識も技術もない清澄がドレスを作るなんて大変すぎる。 祖母は裁縫に長けていたがそこまでではない。 母は公務員で一人で一家を養っていている。手芸なんてやったことはない。 父とは離婚。養育費を父の雇い主の黒田さんが月に1回もってきてくれるのを清澄が受け取っている。 物語は、 1章が清澄、2章が水青、3章が母、4章が祖母、5章が父・・と思いきや黒田さん。そして最後の6章が清澄の目線で進む。 ここに、黒田さんが入るのがポイントだと思っている。 父、全(ぜん)はふわっとしていて、おそらく一般的な思考回路にはなさそうな人。実は全も服作りがものすごく好きすぎる人生だった。だが、彼はデザイナーになれず、アパレルの営業となり、そのころ結婚する。 なのに、頭の中は服のデザインしかない。子供をあずけていてもそれしかなくてあわや清澄が死にかけたときに、離婚を決断した。 そして黒田さんが新しい会社を作る時、そこにデザイナーとして就職した。 が実際、全の作る服で黒田さんの会社が潤うことはない。その部門をやめた方がいいともいわれている。が、黒田さんはやめない。 黒田さんは結婚していない。子どももいない。 月に1回会う清澄の成長がうれしい。本当の子どもではないし、そういった交流はないけど、全に見せるために撮る写真は黒田さんのスマホのカメラロールにたまっていて見ていると泣けてくるほど。 祖母も好きなものはあった。でも時代が好きなことをさせてもらえなかった。夫は厳格だった。 家族でプールに行って、さぁ自分も!と思ったら夫に「みっともないからお前は水着にならずプールサイドにいろ」と言われた。本当は入りたかった。 今、 お友達とプールにいくようになった。もう、好きなもの、やりたいこと全部やれるようになった。 ブックカバーの後に「家族小説」と書いてあったけど、そうじゃないと思う。 これは、 好きなものを、好きだと言おうぜ! って話だと思った。

    1
    投稿日: 2024.09.03
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    「らしさ」に生きづらさを感じる家族小説。母目線の話は特に子供の行動に対して先回りした言葉をかけたり「ああしなさいこうしなさい」って感じでストレスがこっちにまで伝わってくるようだった。 祖母の話でもそうだけど嫌だったのにそのらしさの言葉を他人にふとかけてしまうのは他人事に感じず気をつけなきゃいけないなと思った。

    1
    投稿日: 2024.09.01
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    寺地さんの作品は、読んでいてなんだかなぐさめられている、そのままでいいんだという気持ちになる…。なぜ?

    1
    投稿日: 2024.08.21