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とわの庭(新潮文庫)
とわの庭(新潮文庫)
小川糸/新潮社
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総合評価

208件)
3.8
48
85
55
12
2
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    盲目の少女のお話。 前半はもう辛くてどうしようかと。 救いはないのかと思いながら読み進めた。 とわが決心して、自分で踏み出した一歩で人生が変わる。 目が見えないっていうのはどれほどの恐怖なんだろう・・・ ジョイと出会ってからのとわが輝いていて、本当に良かったと思う。

    7
    投稿日: 2024.06.17
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    突然お母さんがいなくなるあたりから児童虐待のにおいがするのに、文体がずっとのんびりしていて逆に不気味だった。一瞬一瞬が奇跡だという言葉には共感する。主人公が日々の生活の中に幸せを見出せてよかったと思う。

    0
    投稿日: 2024.06.17
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    読み始めてしばらくは、おっとりと優しい物語かと思っていたので、進むうちにえっえっ?って感じになってた。 辛くて苦しい時間の先に、こんなに美しくて自由でやさしい時間が訪れることがあるのだということは、傍観者の視点でも救いに思えた。

    0
    投稿日: 2024.06.15
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    途中までの絶望に向かって突き進んでいく感じと、後半の光が降り注いで明るい未来しか見えない感じと、ギャップが激しかった。 主人公が素直で、自分の置かれた状況に対してそのまま受け入れているところがすごいなと思った。そして、世の中生きやすいのはそんな人だなと。作品としては、謎な部分もかなり残されているところが賛否分かれそうだけど、これはこれでよくできてるなと思った。

    4
    投稿日: 2024.06.08
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    最初は重く暗い物語だと思ったが、読み終わったら温かい気持ちになった。とわが空腹に耐えている場面を読むのは辛かった。リヒトとは結婚すると思っていたのでどうして別れたのかが気になる。

    0
    投稿日: 2024.06.04
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    最初は読んでいて、とても辛かったですが、 最後はほっこりした気持ちになりました。 とわちゃんが幸せそうでよかったです。 惰性で生きるのではなく、意志を持って生きていこうと思える作品でした。

    0
    投稿日: 2024.05.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    言葉で想像するのは十和子と同じだなあと同じ目線で少しはみれた気がする。そして壮絶な経験があった上であんなに強く逞しく生きる希望を持てる十和子に憧れの気持ちも抱いた。私は今何に希望を持って生きてるかなあと、漠然と生きてないかなあと考えさせられる。十和子を通して目で見えないものに目を向けることの大切さやありがたさを感じ、より人生を豊かに、生き生きと過ごしていきたいものですね、、、。

    1
    投稿日: 2024.05.28
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    複雑な気持ちになるストーリー ほのぼのした気持ちから可哀想な気持ち、応援したくなる気持ち 母側の話がなく視線が統一されてるのも好き

    0
    投稿日: 2024.05.26
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    #とわの庭 #小川糸 #新潮文庫 #読了 盲目の少女とわの物語。予想を大きく超える波瀾万丈の物語。そわそわした。庭っていいもんだな。最近自然を感じられるような庭のある家って減ってるよなあ。

    7
    投稿日: 2024.05.21
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    こりゃ衝撃作だ。 表紙のイラストのイメージで読み始めた私は衝撃を受けた。 まだ未読の方は、是非事前情報なしで読んでみてほしい。 ↓↓↓以下感想 出だし、母娘の温かで柔らかな日々が広がっている。 この物語、ずっと盲目のとわの視点だ。 とわの視点だからこそ、光景を他視点で想像するのではなく、とわの視点で主観的に、見えないけれど感じる変わっていく景色、破綻していく生活を想像する。 どれだけ私の知っている世界と乖離していても、これがとわの世界であると、とわの視点で感じる。想像のつかない事実であっても、当事者にとっては事実であると突きつけられるような。 引き込まれる間に読み終わってしまった。 ずっと、物語に寄り添うように存在するとわの庭。 自然はいつでも、どんな状況にあっても、平等な存在だと感じた。

    30
    投稿日: 2024.05.17
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    冒頭の幸せな話から、だんだんと雲行きが怪しくなり…危機的状況の中からの脱却、人生の再構成と紆余曲折ありつつ、強く生きるとわの人生の物語 前半は読んでいて辛いと思いましたが、実際にこういう子どもたちもいるんだろうなと心が痛みました。母からの脱却で自分の人生を自分の手で掴んだとわは何よりも強く素敵な女性です。 個人的には、ジョイとの物語が続く形で物語が終わっていたのが希望であり、幸せの延長を感じたので良かったです。

    3
    投稿日: 2024.05.13
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    皆さんの感想と同じく、前半が結構辛いですね。 最初のほうはまだ大丈夫かな?って感じでしたが、進んで行くうちに雲行きが怪しくなって行く。 家から出られた事で事態が好転して行き、主人公とわが前向きに生きて行くのはとてもたくましく感じました。

    15
    投稿日: 2024.05.12
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    ほっこり温まるエピソードかと本をとりましたが全く違うジャンルの話でした。 前半パートは辛かったです。 後半パートは救いがありましたが、全体的ににはやはり辛い話かと思います。 主人公のとわちゃんが強い。本当の愛を知っているから? 描写が鮮明で本の世界に没入できるので、あっという間に読めました。

    3
    投稿日: 2024.05.11
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    表紙とざっと目を通したあらすじに惹かれて購入しました。あらすじをちゃんと読んでいなかったため、途中までがつらくて悲しかったですが、そこから前向きに頑張っていく主人公の姿に好感が持てました。

    2
    投稿日: 2024.05.07
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    読んでいて苦しかった。 読み続けるのがしんどいなと感じるほど。 なのに読後、何かを得られた感じは何もなくて、とくに湧き上がってくる感情もなく、やっと読み終わったなーってくらいのもので、、 何だろう? 思ってたのとなんか違った。 合わなかったんだろうな。

    0
    投稿日: 2024.05.05
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    盲目の少女が主人公、あとタイトルや表紙からのイメージでふんわりした物語かと思っていたら、違った。 ライオンのおやつ で小川さんの作品は穏やかに、でも真正面に死と向かい合っていた。 特に後半で、この作品でも、生きるってなんだろうとか、生きている意味とか、毎日を過ごすことの大切さ、みたいなものをあらためて感じながら読み進めることになった。 自分が盲目じゃないことで幸せなこともあるんだな、とは感じなかった。主人公の視線を介して、私はちゃんと世界を見られているだろうか、感じれているだろうか、生きているこの瞬間を大切にできているかな、と考える時間になった。

    2
    投稿日: 2024.04.29
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    小川糸さんの本は、2作品目。 そのどちらも生きることの意味を投げかける内容で とても素敵な作品。 人は愛された経験と自分の居場所があると、 前を向けるのだなと思う。 主人公の母がやったことは許されることではないけれど、娘を愛したという事実がとわを救ったことに間違いはない。それは、当人同士にしかわからないことなんどろう。

    0
    投稿日: 2024.04.29
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    「生きているって、 すごいことなんだねぇ。」 “永遠のあい”と“育児放棄” この対比が光と闇そのもので読んでて辛かった。 表紙の可愛い感じとは全然違って 途中読むのやめたくなったくらい とても重たい話だった。 後半は、とわが盲導犬ジョイや周りの人と共に 光に向かって前向きに進んでいくのに感動した。 勇気を貰えた。 文章や言葉の使い方が美しかったな。

    0
    投稿日: 2024.04.24
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    みなさんの感想にある通り、この可愛らしい表紙からは想像もつかない、辛いシーンもたくさんある。本でこんなに胸が痛くなったのはいつぶりか。。でも早めのテンポでストーリーが展開されていくため、先が気になってどんどん読み進められた。 ストーリーの良さはもちろんだが、視覚障害者の方にとって、世の中のこんな部分が生きにくいんだ…と各シーンですごく勉強になった。 視覚障害者の方なら点字が読めたり白杖が使えたりするのは、なんとなく当たり前のことだと思っていた。でも実際、それらを習得して日常生活で当たり前のように使っていくのはかなりの練習や勉強が必要であるらしい、、視覚障害に限らず、障害を持ちながらも、工夫して日々を送る皆さんの努力量は計り知れない。

    1
    投稿日: 2024.04.10
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    前半と後半での光と闇のコントラストが凄いです。 正直言うと前半は私が1番苦手とする ストーリー展開で何度も閉じかけて、 「読まなけりゃよかった読まなけりゃよかった…」 だったのが後半、とわの人生第二章。 めちゃくちゃあたたかな光といったお話で 「最後まで読んでよかった…」となりました。 ただあまりにも辛い(気分が悪い)が続くので、 あまりお勧めはできません。

    1
    投稿日: 2024.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表紙からは想像のつかない、壮絶な環境に置かれたとわが、新たな人生を歩んでいくお話。 母さんがしたことは到底許されることではないが、とわへの愛は、確実にとわの心と記憶に刻まれていた。25年間外界から遮断されて生きてきたとわが家から踏み出すことができたのも、母さんが読んでくれていた物語の世界があったからなのかもしれない。そしてある意味、とわの世界が狭かったからこそ、他者と比べることもなく、自分の置かれている状況の中だけで生きれたことで、不幸を感じすぎることがなかったのかなとも思う。 前半は壮絶な重たいテーマだが、後半はやはり小川糸さんの作風である優しい世界が広がっていた。

    0
    投稿日: 2024.04.06
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    盲目の少女の話、程にしか知らずに可愛らしい表紙の本、との認識で読み始めたら衝撃的な作品だった。 盲目の少女とわは、「永遠の愛」なんて言われながら母親「愛」と二人暮らし。水曜日のオットさんと朝の黒歌鳥合唱団の二つの時計の針しか持たずに育つ。お母さんが仕事に出るようになると「ネムリヒメクズリ」を飲みオムツにされる。ここら辺から雲行き怪しい… そして10歳の誕生日に突如お祝いされ、ドレスを着て外の世界へ。音が怖くて泣き出すが、母娘の記念写真を撮りにいく。その写真があったから後々とわの年齢も日付もはっきり刻めたのだった。 どんどん凄まじい話になっていくが小川糸さんの世界はやはり暖かい。明るい未来に繋がっていく周囲の人々、恋バナ、盲導犬ジョイとの出会い。興味関心事から生きる喜びへとつながっていく。 前半のどろどろは半分までで、後半は嘘のように前向きなとわの話になるので読んでいられ、読後も悪くない。展開が早く短い作品に詰め込まれた印象だが、昨今の社会情勢に沿った内容なのだろうか。 ローズマリーはなんだったんだろうか? マリさんのお母さんが見かけた、夜中に公園で遊ぶ親子はなんだったのか? 色々疑問は残るが興味深かった。 物語に救われた。文字通り、命を救われた。どんなに現実の世界が辛くても、物語がわたしに逃げる場所を与えてくれた。 ツインレイ、魂レベルの片割れ、もともとは一つの魂だから、どうしても魅かれ合う運命なの。

    6
    投稿日: 2024.04.06
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    前半はあまりには辛くて、何度か本を閉じたけど、とわの自分と人を信じて前を向く強さに圧倒され、最後までとわと一緒に歩む気持ちで読むことができた。

    1
    投稿日: 2024.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まさかこんな展開だとは思わずに読んでしまって… 保護されてからは、ほっとしたけど、途中は本当に重かった…

    10
    投稿日: 2024.04.02
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    虐待を受けている子どもの心理を垣間見たような気がした。 生まれ持った生命力が強いのか、とわはあの環境から生き延び、生きることの素晴らしさを教えてくれた作品。 そう、一瞬一瞬が奇跡なんだよね。

    0
    投稿日: 2024.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    盲目の少女とわ。 母と2人で暮らす家には季節に応じて花が咲き鳥が朝を知らせてくれる。 とわにとって世界は、母が教え、与えてくれるものだった。 ある日母がいなくなり、とわの世界は一変する。 生存をかけた孤独な戦い。 数年をかけて踏み出した一歩で、とわはようやく社会からの保護を受け、世界がまた動き出す。 自分の過去と今を受け入れ前を向くとわの周りでまた美しい庭がとわを優しく彩る。 小川糸さんの作品に出てくる女性は苦難の中でも消えない強さがある。

    0
    投稿日: 2024.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川糸さんの本が好きという中学生の話を聞いて一冊読んでみることに。 前半はかなり重くて辛いシーンが多かったけど後半は救われる。主人公が盲導犬ジョイと出会って、友達もできて、少しずつ人生をやり直していく姿が描かれていて、ジーンとあたたかい気持ちになれる。 後半は一応ちゃんと明るいけど、前半の重さを消してくれるほどではなかった気がする。

    1
    投稿日: 2024.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    やっぱり小川糸先生の世界観、文章表現大好きだなぁ〜。前半はかなりしんどかったけど後半から世界が彩られていったような感覚があった。過去の自分も大切な一部で、母の存在を呪いのように感じるのではなく愛しい存在だと最終的に受け止められたのが良かった。もちろん簡単に割り切れる話ではないけれど、とわちゃんの人生の中でこれから整理をつけていくんだろうな。恋愛要素も少しばかりあり、まさかの結末で驚いたけれど、綺麗事ばかりじゃない。人生の酸いも甘いものこれからジョイやマリさん、たくさんの人たちとともに知っていくのだと思った。吹っ切れた時のマリさんが少女のようで好き。

    1
    投稿日: 2024.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    はじめは親子の幸せな2人だけの生活でしたが、徐々に一変、現代社会でありそうな子供虐待や育児放棄へと発展。親の育児放棄や虐待する気持ちは分かりたくはないけれど、とわちゃんにはしっかりと母に愛されていた記憶は刻まれていて、根拠のない自信=自己肯定感は培っていたことは救いだなと思った。人は大人になる上で、どんな環境だとしても親に愛されていたという記憶は必ず生きる力になるんだなと思った。

    1
    投稿日: 2024.03.18
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    本屋で手に取った際は表紙の印象と紹介文から、 もう少しファンシーな話かと思っていましたが、 実際はとても現実的な話でした。 主人公である盲目の少女とわ、 の視点で描かれる母親、庭、出会う人々、 人生の話で、目の見えない世界を、 ほぼ視覚要素しかない本という媒体から体験しているというのが、不思議な感覚でした。 著者の視覚情報を置き換えた表現が巧く、 直接的に情景を描いた本よりも、 むしろ鮮明に想像できたような気がします。 物語としては暗く苦しいところもありましたが、 主人公の生命力を感じる、 視覚以外の四感も刺激される魅力的な本でした。

    9
    投稿日: 2024.03.11
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    盲目の女の子とわの物語。 前半は母がいなくなり、孤独と空腹に耐えながら闇のなかで生活する場面が、読むことが苦しかった。 後半は良かった。親切な友人に会い、盲導犬ジョイと出会い、新たな道を切り拓いていく。 最後に母の愛情を感じられることができ、生きていることの素晴らしさを知る。 小川糸さんの美しい文章に感動です。

    37
    投稿日: 2024.03.10
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    盲目の少女とわは母親と2人で暮らしていました 物語を読んでもらい、その中から外の世界を想像します。朝鳴く鳥の声、庭の木々、草の香り それで季節を理解していました。平穏で幸せだと思っていた時は母親に捨てられてから、壮絶な孤独の闇の中に置かれます。ある日彼女は外へ出ます。そこには彼女を守ってくれる人達がたくさんいました。盲導犬との出会いも世界を広げてくれました。目の見えない人の感性で描かれている世界は、目の見える私にとって戸惑いでもありました。生きると言う事、感動と涙でした。感謝

    1
    投稿日: 2024.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前半は読むのをやめてしまおうかと思うくらい暗くしんどい話だったけど、後半はとてもよかった。木々の香りや太陽の温かみ、季節が感じられて、人との関わりも暖かくてよかった。

    2
    投稿日: 2024.03.06
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    小川糸さんの綴る文章が美しい。 盲目の少女 とわ。 見えないために嗅覚、聴覚、触覚を使いこなし、とわの庭の植物や鳥たちのさえずり、人形や盲導犬の触覚。 初めは親子の愛 とわのあい からはじまるが、その後の一人の時間が辛すぎる、、 その後、いろいろな人に支えられながら。。。 最後まで読み終えると、とっても良いお話に仕上がっている。 小川糸さんの筆致のなせる技か。 この本も大切にずっと手元に置いておきたい一冊になりました。

    124
    投稿日: 2024.03.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    母親と二人で暮らす目の不自由な少女、とわ。 母に愛されていると全身で感じていたのに少しずつ母は変わっていき、ついには家に帰ってこなくなる。 とわは何もできない。だって目が見えないのだから。 常々「誰かが来ても決して出てはいけない」と言い聞かされていたので、とわは外に出ずに飢えと戦って過ごした。 家から出るきっかけになったのは地震だった。 外に出て倒れているのを見つけてくれた女性が救急車を呼んでくれた。とわの人生の次のステージが始まる。 とわを支え、寄り添ってくれる人たちに助けられて、とわは自分の人生を生き始める。 恋をして失恋もしたが、とわは静かに受け入れる。 とわにはまだまだやりたいことがある。感じたいことがある。

    2
    投稿日: 2024.03.03
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    2024年最初の1冊になりました。 苦しいけど眩しくてあたたかい、読み終えて率直に感じた感想です。 草花から四季を感じたり、さまざまな香りが出てきたり小川糸さんらしい優しいストーリーです。 スイカズラの花の香りがすごく気になります。

    9
    投稿日: 2024.02.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生まれつき盲目のとわが10歳頃に母親に育児放棄され、一人で一軒家で5年ほど生存する。食料は祖父の知り合いに週一回供給されるが、全く足らず、そのうちその配給も途絶えてしまう。ゴミだらけとなった家の中で、食料とは言えないものまで食べて、一人でトイレにも行けずオムツを使いまわしている姿は読んでいて大変つらい。 やがて耐えきれず家の外に出て倒れていたところを救助される。母親の虐待も明らかとなり、誕生時に殺害された兄二人の遺体が家の地下で発見される。 とわはリハビリ、生活訓練の上、盲導犬と一緒に元の家で一人暮らしを始める。その姿は前半とは打って変わって穏やかに描かれる。やがて近所に互いに訪れ合う知り合いができ、充実している。 話を通じてとわの家の庭が象徴的に登場し、前半は外部との唯一のつながり、後半は庭の中の植物と鳥を感じ、盲導犬と穏やかに過ごす幸せの象徴となる。

    2
    投稿日: 2024.02.17
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    多くの方が書かれているように前半はツライ。早く読み進めてしまいたい、という気持ちが続く。 でも、読み進みながら、きっと、場面が変わる、楽しくなるという気持ちがどこかにある。 後半は、やや明るい雰囲気になる。 読み終えて感じたことは、 花や木の音、住んでいる町の音、匂いをどれくらい感じているだろうかということと、 なんとなく変な気持ち、違和感というか、結局なんだったんだという感情であること。

    3
    投稿日: 2024.02.13
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    初・小川糸さん。本屋で勧められていたから買ったけど、全く合わなかった。 『そして、バトンは渡された』は好きだったけど、とわの庭はダメだった。全体的に気色悪い。 生い立ちはこんなに悲惨だけど、私の心はきれいなんです〜(言うほどきれいではなく、単に無知なだけ)みたいな描画が受け入れられないのかな。それを読者が素敵だと褒めはやすのも何だかなぁ。 読む側(私)の問題でもあるのでしょう。とにかく合わなかった。

    1
    投稿日: 2024.02.10
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    とわちゃんは 穏やかで前向きで強くて 素敵な女性です 愛を忘れずに生きてる とても尊敬します ジョイに出逢えて 心から良かった

    2
    投稿日: 2024.02.10
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    途中読んでいて辛くなったけれど、十和子の純粋さが読んでいる私まで清らかな気持ちになった。最後の解説にあった「十和子」の中で少女の「とわ」は生き続ける、という言葉に完全に過去を切り離したわけじゃなくて、過去を受け入れて生きている姿にグッときた。

    5
    投稿日: 2024.02.09
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    とわの庭には沢山の花や木虫鳥がやってくる。 どんなにどん底で死の淵に居たとしても、愛された記憶があれば人はその後も何とか生きるのを諦めずにいられるのだろうか。とわの相棒盲導犬ジョイの仕草に癒される。

    6
    投稿日: 2024.02.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界をどう見るかなんて自分次第なんだな 写真館の人がとわの10歳の誕生日のとわと母親の様子を語る部分で目頭が熱くなった。よかった、とわはものすごく愛されていたんだと感じた。こんな無責任なこと許されることじゃないけど、それでもどこか安心した。 環境のせいにしている自分が情けなくなる。 私も五感を敏感に使っていこうと思った。

    3
    投稿日: 2024.01.30
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    読み始めは なんて酷い設定なんだ と思いながら読み進めたけど そのうち自分まで生まれ変わったみたいに 清々しい気持ちになってた。 私も丁寧に生きないと。 ベランダ、猫の額だけど 整頓しよう。

    4
    投稿日: 2024.01.13
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    目が見えなくても絶対後ろを振り返らず前だけを見て歩いていく主人公のとわに心惹かれました。こういう生き方ができたらいいな。自分が主人公の物語を作ってみたくなった!

    3
    投稿日: 2024.01.12
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    中盤まで読むに耐えない描写を含みつつ物語りに引き込まれ、終盤にかけて盲導犬ジョイとの出会いと信頼を軸に盲目である自分の人生を明るく照していく主人公に心動かされる。

    5
    投稿日: 2024.01.07
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    綴られる言葉が美しくて優しくて暖かかった。 あらすじから想像していたよりも何倍も、とわが一人になるまで、一人になってからの時間がとてもしんどかった。 でもとわが香りから音から世界を感じる描写は美しくて、私もそんな風に世界を感じたいと思った。

    20
    投稿日: 2024.01.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    盲目の少女が鳥籠から出て、一人の女性へと成長していく物語 前半は世間的に見れば暗く残酷な事実が並んでいるはずだが、小川さんの色鮮やかで淡々進む文章によってまるでおとぎ話のように思えてくる 永遠の人生は、塔の上のラプンツェルを彷彿とさせた 後半に描かれた十和子の人生は、困難もあったが比較的順風満帆であった ラストの魔女のマリちゃんが初めてとわの庭に訪れる場面は心揺れたが、基本的には事実が一定速度で進む小説だったと感じる

    2
    投稿日: 2024.01.02
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    宮下和さんの表紙イラストに惹かれて購入。 「ツバキ文具店」シリーズのような温かい物語なのかと思いきや、狂気と真っ直ぐではない愛の形が見え隠れしてきて、心がぎゅっとなってしまった。 後半は、友人や一夏の恋にも出会い、植物や鳥の合唱団のいる「とわの庭」と過ごして、徐々に光が差してきたけれど、、よかったよかった!!ハッピーエンド!というより、なんだか不安定な気持ちになって終わった。世界観に引き込まれて一気読み。

    3
    投稿日: 2023.12.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりに小説を読んだ。読後感は良かったけど何気なーく終わる感じのお話やった。ジョイが来てとわの生活が明るくなってみすずちゃんやマリさんあたたかい人に囲まれて幸せになってくれて良かった。自分なりの星座を作って繋いでいくことで生きていけるみたいなことが書いてるところが印象に残った。私の星座ってなんやろう?いろんな点を繋いで星座になったって気づかずに生きてしまってないかなって気になった。あとは視覚がないからこそいろんな感覚で世界を感じてるのはいいなって思った。私ももっと世界の移り変わりとかを嗅覚や聴覚でも感じてマインドフルに生きたいなって思った

    2
    投稿日: 2023.12.29
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    まだ小川糸さんの本を読むのは、これで3冊目。 普段、ミステリーばかり読んでいるけど、たまに自然や風景の表現が上手くて、暖かな気持ちになる本を読みたくなる。心の緩衝材になるのは、小川糸さんの物語かな?と思っている。 前半はまさかまさかの不穏な空気で、あれ?ミステリーにならないよね?お母さんとオットさんしか出てこないし、あと半分どうやってもハーピーエンドな気がしない…。と思っていたら、後半は安心。 とわちゃんは生まれてずっとお母さんと見えない臍の緒が繋がったまま生きて来たんだなぁ。でも、自分で断ち切って自立していく様がカッコよくさえ思える。

    1
    投稿日: 2023.12.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前半のふんわりした描写(不穏ではある)から一転、暗く寂しいひとりぼっちの時期の話が悲しくて可哀想で泣きそうだった

    2
    投稿日: 2023.12.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川糸さんは2冊目! 前半の話にびっくり!!心温まるストーリーかと思って手に取りましたが、まさかのストーリーでいっきに引き込まれました!笑 約2日で読了!後半の出会う人出会う人の心の温かさ、また十和子の前向きさに感動でした。 また四季折々の匂い!文章だけなのに香ってくる感じがして…とても感動でした〜。 あと本好きの私にとって、十和子の本好きエピソードが共感の嵐でした笑 子供にもたくさんの本を読んであげたいなと改めて思いました。

    4
    投稿日: 2023.11.30
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    お話は苦しくて重たいんだけど 糸さんの四季を感じる表現がたまらなく美しかった。 嗅覚と聴覚、使っていこう。

    25
    投稿日: 2023.11.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    盲目の少女は母と二人暮らし。 家から出たことはなく世間を知らずに成長する。 ある時母が帰ってこなくなり、食べ物もない中で、彼女は初めて自分から一歩外の世界に踏み出す。 社会に支えられて自立していく物語。 感じでは家を出る前と後で半分ぐらいの容量。 自立した彼女に母の言葉が耳に入るシーンがある。過去どんなことを使用が、人は生きているんだなと人の図太さに思い至った。 一時ゴミ屋敷と化した家だったが、変わらずの木々や鳥たちがいて安心した。また、ボランティアの方が、植物に点字のプレートを付けてくれたシーンで、人は優しいなと感じた。

    2
    投稿日: 2023.11.16
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     小川糸さんの小説ってこんな刺激強かったっけ?と思いながら読み進めると、不穏な空気が漂い始め、しだいに狂気へと誘われ…   …40%くらいまでは正直読むのがツラかったです。  けれど、大丈夫。 後半は花開くように柔らかく優しい文章がありました。花の香りが漂ってくるような空気感。庭の植物の生命力と主人公とわの生命が呼応しあっている姿が強く美しかったです。  読書の醍醐味についての言語化は見事でした。 「どれだけ言葉向こう側に広がる物語の世界と親密に交われるかが読書の醍醐味なのだ」そうだ。物語に宿る生命をじっくり観察する事なのだ、と膝を打つばかりです。  とはの世界は小さいので多くを望む事はなく、非常にシンプルに幸福を感じ取れる。つい考えてしまうのは幸福論。 他人と比較して感じる幸せとは別にあるところ。衣食住、健康、天災もなく日々が穏やかにある事、 それはほんとに、幸せなことなのだと訴えかけてきます。 これは物語。 人はもっと貪欲で醜いし、設定も オトさんのような存在や、社会福祉がなければなりたたない。 現実は、そんなに甘くはないはず。 福祉にたどり着くには、自分か家族関係者が申請がなければ普通は遂行されない。 周囲の訴えがなければ調査もあるはずない。 障害者でなくとも日本で餓死や孤独死で亡くなっている人は年に3万人を超えるという。 けれど、  自分自身が 強く生きなければと願い、助けを求めなければいけない。 希望を持たなければ でなければ助けようもない。 そこは間違いない事実だと思いました。  

    5
    投稿日: 2023.11.15
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    前半辛い…けど後半は主人公が生きる喜びを徐々に増やしていく描写が素敵だった。100点満点な幸せな日々ではなくても、ささいな喜びや幸せを大切にしようと改めて気づかせてくれるお話だった。

    2
    投稿日: 2023.11.09
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    何があっても前を向いて生きる。 こういう作品を読んでいると、 どうしても主人公じゃない人の生い立ちが気になる。 とわの母の気持ちや考えがひどく気になる。

    2
    投稿日: 2023.11.07
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    あなたは、『目が見えないことを不便だと』思うでしょうか? 目覚ましの音で目を覚ます私たちの一日は、目を開けるという行為から始まります。自分の部屋の天井を見ることから始まる日常。寝ぼけ眼の中に動き出す中には、いちいちそんな事を考えることもないと思いますが、冷静に行動を追っていけばそうなると思います。 しかし、目を開けるという行動を取ってもそこに何も見えないという方もこの世界には数多くいらっしゃいます。生まれながらにして、もしくは人生のいずれかの段階で視力を失ったという人たちの存在です。『見える』ことを当たり前に思う人たちには、『見えない』という状況は簡単には想像ができません。それは、他の感覚と連動する場合もあります。例えば何か音がして驚いたという状況があったとしても目が見えればその原因を瞬時に特定することができる場合もあります。一方で、『見えない』という場合には原因が特定できないからこその怖さが存在します。『目が見えていたら嫌なことや怖いことに遭遇する確率は減る』のだと思います。でもそれは、こんな風に考えることもできるかも知れません。 『見えるからこそ、嫌なことや怖いことが増えることだってありえるのだ』。 さてここに、『目が見えない』一人の女性が主人公となる物語があります。母親と「とわの庭」がある家で暮らす主人公が描かれるこの作品。そんな主人公の暮らしが大きく変容していく様を見るこの作品。そしてそれは、『確かにわたしは目が見えないけれど、世界が美しいと感じることはできる』とこの世界を生きていく主人公の生き様を見る物語です。  『あなたが、おしえてくれた。泉があると、おしえてくれた…いつだって、あなたのそばにいたい』という詩を『わたしが眠りにつく時、母さんはいつも』『聞かせてくれた』と『いずみ』という詩のことを思い出すのは主人公の とわ。『わたしは、目が見えない』という とわは、『目が見えないことはわたしにとって日常であり、逆に明日からすべての物が見えるようになったら』『あまりの彩りの多さに腰を抜かし、取り乱してしまうかもしれない』と思います。そんな とわに母親は『季節の巡りがわかるようにと、庭に香りのする木を植えてくれ』ます。『沈丁花や金木犀…』。『母さんはその庭を、「とわの庭」と呼』びました。『「どうして期」が訪れていた』とわが『とわは、どうしてとわなの?』と訊くと『とわは、お母さんにとってえいえんの愛だから』と言うと『左の手のひらを広げ』、『「永」「遠」』と書くも理解できない とわに、『「と」と「わ」』と平仮名で記してくれます。そんな とわは『二階建ての小さな家で』母親と二人で暮らしています。『わたしの暮らしには、母さんの愛があふれている』という日常を送る二人の元には、週に一度、オットさんが『生活必需品を届けてくれ』ます。『水曜日のオットさん』と『心の中でそう呼』ぶ とわ。そんなある日、『今日から、お勉強をしましょう』と母親は『言葉のお勉強』をはじめます。『これをゆっくりと、優しく握ってみて』と言われ、『少しずつ指先に力を入れて、そのかたまりを手のひらで包みこ』む とわに、『ふわふわ。ね?とわ、わかる?これが、ふわふわ』と言う母親を真似て『ふわ、ふわ』と話す とわ。そして、『ぬめぬめ』、『ぬるぬる』、そして『すべすべ』と言葉を覚えていく とわ。しかし、『赤と言われても、赤とオレンジがどう違うのかわからない』と、『色についての表現を理解する』難しさを感じる とわ。しばらくして、『そろそろお母さんも働かなきゃ』と話し出した母親は、『とわとふたりで生きていくために』は、働く必要があると告げます。『いや。絶対に、いや』という とわでしたが『ネムリヒメグスリ』を渡され、また『オムツ』をされてベッドに横になると眠りに誘われ、『目を覚ますと』母親はもう帰ってきていました。そして、『週に一回ほどだった「お留守番」が、二回、三回と少しずつ増え』ていきます。そんな暮らしの中で、『眠れない不安を口にするようになった』母親は『喜怒哀楽』が激しくなっていきます。やがて、『うっかり床に水をこぼして』しまうと、母親の手が飛んでくるようになりました。『嵐が、いつかはおさまること』を思い『透明人間になって』やり過ごす とわ。『十歳の誕生日』を過ぎ、部屋が『散らかり放題になって』きていることに気づく とわ。そして、母親は家に帰ってこなくなります。『いちにち。ふつか。みっか。よっか』と、母親の帰りを待つも、『母さんがこの家に戻ってくることは』ありませんでした。『この場所から動けない』、『ここから出ることができない』と思う とわは、『わたしにできるのは、ひたすら待つことだけ』と母親の帰りを待ちます。そんな とわが新たな人生を歩み出していく物語が描かれていきます。 “盲目の女の子 とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉や物語を、香り豊かな庭の植物たちが四季の移ろいを、黒歌鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり…”と内容紹介にうたわれるこの作品。2020年の本屋大賞第2位に輝いた「ライオンのおやつ」に続いて2020年10月に刊行された作品です。 そんなこの作品の特徴はなんと言っても物語の主人公が”盲目の女の子”であるという点だと思います。全体として平仮名が多い文体で書かれた作品は、『いずみ』と名付けられた詩の記述から始まります。『あなたが、おしえてくれた。泉があると、おしえてくれた』とはじまる詩は、『あなたのやすらぎは、わたしのやすらぎ。あなたのくうふくは、わたしのくうふく』とやわらかい表現が続きます。そして、『いつだって、あなたのそばにいたい』と結ばれます。これは、どう言った物語なんだろう、と思う読者の前に記されるのが、次の表現です。 『わたしに光を与えてくれたのは、母さんだ。わたしは、目が見えない。生まれた時は、かすかに見えていたのかもしれないけれど、この目でちゃんとした光を感じた記憶はない』。 そうです。この作品は『目が見えないことはわたしにとって日常』という とわが主人公となり、母親と二人で暮らす様子が描かれていきます。そんな中で、『目が見えない』とわに『お勉強をしましょう』と言う母親が言葉を教えていく様子が描かれます。『手のひらの真ん中に、綿のかたまりをのせ』る母親は、『とわ、これをゆっくりと、優しく握ってみて』と指示します。『言われた通りに、少しずつ指先に力を入れて、そのかたまりを手のひらで包みこ』む とわに、『ふわふわ。ね?とわ、わかる?これが、ふわふわ』と、その感覚が指す言葉を教える母親。『ふわ、ふわ』と反復する とわに『そう、ふわふわ。だって、ふわふわ、しているでしょう』と語る母親に、『それ以外の言葉は似合わない』と思う とわ。『「ぬめぬめ」も、簡単』、『「すべすべ」もすぐにわかった』と言葉を覚えていく とわが描かれるシーンは感動的です。一方で、母親の『腕に抱っこされる形で家を出た』際には、『得体の知れない音』に困惑する様子も描かれます。 『車のクラクション、バイクのエンジン音、犬の声、すべてがわたしを名指しで攻撃する。わたしは、怖くて怖くて、最大限の力を込めて母さんの胸にしがみついた』。 『外の世界』に出たことがほぼない とわの困惑に大きな衝撃を次の音が与えます。 『きわめつきは、ヘリコプターの音だった。そんな大きな音を、わたしはそれまでに聞いたことがなかったのだ』。 『ヘリコプター』の音を聞いて『もしかして、これが物語で読んだ戦争のことかもしれない、それだったら早く逃げなくてはと思』う とわ。『目が見えないことはわたしにとって日常』という とわの苦悩の日々が描かれていく物語前半は読む手を止められない読書が進んでいきます。『目が見えない』とわを一人残して家に帰ってこなくなった母親。とわ視点で描かれる物語は、当然に見えない者視点であるが故に全体像がはっきりしません。一体、これはどのような状況なのだろう?というなんとも言えない鬱屈とした物語は、”帰らぬ母を待ち、壮絶な孤独の闇に耐え”る とわの苦悩の日々を描いていきます。 そんな物語の転換点の詳細はネタバレになると思いますので伏せます。しかし、転換点のあと、物語は違う方向へと一気に動き出します。それこそが内容紹介に次のように説明される展開です。 “初めて家の扉を開けて新たな人生を歩き出す。清潔な生活、おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭の植物や鳥たち” そんな中にご紹介しておきたいのは、内容紹介に” 盲導犬ジョイと切り拓いた新たな世界”とうたわれる部分です。そうです。この作品には『盲導犬』と出会い『盲導犬』と生活していく とわの姿が描かれていくのです。『盲導犬』についてイメージとして知っていてもその実際のところをあなたはご存知でしょうか? 『わたしは当初、盲導犬のハーネスさえ握れば、盲導犬が率先してわたしを目的地までタクシーのように連れて行ってくれるものだと勘違いしていた』。 これはどうでしょうか?『目が見えない』という中に外出し、目的地へと連れて行ってくれる優秀な存在、それが『盲導犬』だと私も認識していました。しかし、 『盲導犬との歩行は、ユーザーであるわたしと盲導犬であるジョイとの共同作業だ。責任は、五十パーセントずつある』。 というのが実際のところのようです。そこには、 『指示を出すのはあくまでわたしであり、わたしが指示を間違えれば、ジョイもまた間違った行動に出てしまう』。 『盲導犬』と『共同作業』をするユーザーでもある とわは、少しずつ『盲導犬』への理解を深めていきます。 『シット、ダウン、ウェイト、アップ、ゴー。適切なタイミングでジョイに指示を出し、それが上手にできた時は、グッドという声で褒めてやる。ユーザーに褒められることが、盲導犬にとっては何よりも一番のご褒美なのだ』。 そして、『出会うべくして出会った』というジョイとの日常が描かれていく『盲導犬』との交流を描く物語は、この作品の五里霧中のような前半部分から大きな変化を見せていきます。物語は、そんな とわのそれからの物語が描かれていきます。 『わたしの新しい人生は、この時すでに始まっていた』。 そんな起点の先にジョイと出会い、人としての人生を歩み始めた とわは、自身の境遇を『多くの人は、目が見えないことを不便だと感じるのかもしれない』と思っています。しかし、『わたしにはこれが当たり前なのだ』という先に『見えない』ことをこんな風に捉えていきます。 『わたしの場合は見えないからこそ自由に、際限なく想像することが許される。象もキリンもライオンも、わたしは本当の姿を見たことはない。それらのイメージはすべて、わたしの中の想像上の生き物だ』。 そう、『見えない』という中には『象やキリンもライオンも』実際の姿かたちと同じイメージを思い浮かべることはできないはずです。これは、どんなに巧みな形容を用いても恐らくは無理な話なのだと思います。しかし、とわはそのことをこんな風に捉えます。 『わたしは聴覚や嗅覚、触覚など他の感覚を駆使して、視覚からの情報不足を補うことができる。粘土で何かの立体を生みだすように、透明な手で、わたしだけの象やキリンやライオンを形作ることが許されているのだ』。 『見えない』ということを、それによって本来の姿かたちがわからないことをハンデと考えるのではなく、『見えない』からこそ、その存在を自由に想像できると極めて前向きに捉えます。この作品では、とわの置かれている状況が全くわからない、まさしく『見えない』視点で描かれる前半の息苦しさを感じる物語が、後半になって一気に希望に満ち溢れた物語に変容していきます。しかし、とわが『見えない』状況に変化はありません。それは、『目が見えないけれど、世界が美しいと感じることはできる』という とわの生きることを喜ぶ物語、生への賛歌がそこに歌われていくからこそ、物語は極めて前向きに輝いたものに変容していったのだと思います。「とわの庭」というこの作品、そこには、『見えない』ということを超えて、とわがこの世に生きる喜びを見る物語が描かれていたのだと思いました。 『目が見えないことはわたしにとって日常であり、逆に明日からすべての物が見えるようになったら、それこそわたしはあまりの彩りの多さに腰を抜かし、取り乱してしまうかもしれない』。 『目が見えない』という主人公のとわ。そんな とわが母親と暮らした「とわの庭」のある家から『新しい人生』へと歩み出していく先が描かれたこの作品。そこには、『見えない』という日常をプラスに捉えていく とわの姿が描かれていました。『聴覚や嗅覚、触覚など他の感覚を駆使』していくリアルな感覚が描かれたこの作品。衝撃の前提設定がそんな とわの前向きな姿勢に衝撃でなくなっていくこの作品。 闇の中を彷徨うような前半の物語と、眩い光が指すあたたかい後半の物語の展開の落差を感じる物語の中に、『目が見えない』とわの日常を丁寧に描き出した小川さんの上手さを見る作品でした。

    216
    投稿日: 2023.11.06
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    壮絶な人生の主人公のいつもそばにあったのは、とわの庭でした。 とわの庭を通しての主人公のストーリーが穏やかに進んでいくような気がして、癒されました。

    3
    投稿日: 2023.11.05
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    盲目の少女、とわ。 母の愛情を受け、母と二人、家の中だけで生活する。 学校は?生活費は?色々と、疑問はあった。 10歳の誕生日を機に、とわの人生は一変する。 そこからしばらく、読むのがとても辛かった。 生きることを諦めず、孤独から抜け出し、自分の人生を歩む彼女は、強い。 ただ、後半上手くいきすぎる感があり、あまりにも「物語」になってしまったように思え、入り込めなかった。

    4
    投稿日: 2023.11.03
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    盲目の主人公になった気分と、客観的に主人公を見る二つの視点が頭の中に浮かびながら読みました。 母親との愛と、少しずつ前に進む主人公の生き様に感動しました。

    3
    投稿日: 2023.10.22
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    前半と後半のストーリーのギャップが凄かった。 前半は今村夏子かなって思うくらい奇妙で癖のある展開だった分、後半の未来が明るくなってくる感じに少しついていけないところもあった。

    3
    投稿日: 2023.10.14
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    「深い赦し」だなあと読み終わって思いました。やわらかな強さ、光を感じました。特設サイトに「簡単に言うけれど、愛ほど難しく恐ろしいものもない」という小川糸さんの言葉がありますが、主人公の視点を通して見ると、周りの人や世界から受け取ることのできる愛を感じ取る力が生きていく力なのだと思いました。 初めて小川糸さんの本を読みました。『とわの庭』はお気に入りの本になりました。特に、犬が紅茶みたいな匂いがするという表現と、最後の段落が美しくて好きです。

    3
    投稿日: 2023.10.11
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    Amazonの紹介より 盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉や物語を、香り豊かな庭の植物たちが四季の移ろいを、黒歌鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり……。それから何年、何十年経っただろう。帰らぬ母を待ち、壮絶な孤独の闇に耐えたとわは、初めて家の扉を開けて新たな人生を歩き出す。清潔な生活、おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭の植物や鳥たち。盲導犬ジョイと切り拓いた新たな世界は、眩い光とかけがえのない愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す、感動の長編小説。 初めは和やかな親子愛に溢れた雰囲気だったはずなのに、母がいなくなったのを機に転落の人生へ。壮絶すぎる状況に言葉では言い表せない辛さ・悲しさがあって、心苦しかったです。 母がいないながらも、必ず帰ってくると信じ、「普通」に過ごしている描写は、後になって、それらは壮絶な状況だと知るのですが、あまり危機に迫っている感覚はありませんでした。 そういった平常と異常の狭間での雰囲気に、なんとなく気味悪さを感じました。 そしてようやく、日の目をみることになるのですが、とわの新たな人生に「生きる」ことへの凄まじさや愛の大切さを感じました。親の身勝手さや衝撃の事実に怒りを感じた一方で、周囲の「とわ」に対する温かみや優しさを感じ、今までの憎悪だった印象とは違い、癒されました。段々と心の潤いが取り戻されたようで、救われた気持ちにもなりました。 それにしても「オット」さんは、壮絶な状況を気付けなかったのでしょうかと思うばかりでした。 やっと「とわ」が、新たな生活を送るのですが、盲導犬との出会いやボランティアとの恋愛など、色々な経験をしていく中での「とわ」の描写に「とわ」を応援せずにはいられませんでした。 今まで、壮絶な人生を送っていた分、良い人生を歩んでほしいなと思わずにはいられませんでした。 そして、最後に「写真」で繋がれる展開には、ジーンときてしまいました。 人と人との温かさに揺さぶられた作品でした。

    9
    投稿日: 2023.10.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初は親子の幸せな話かと思っていたが段々と雲行きが怪しくなり読むのが辛いところもあった。 家を出てからのとわちゃんの頑張りは素晴らしいし呼んでいて背中を押してくれるような包み込んでくれるような感覚がした。 読み終える頃には何故か幸せな暖かいような気持ちになっていた。 あの日のドレスの色や公園の親子など疑問も残るが全部が明かされないからこそ色々と考える事ができるのだと思う。

    2
    投稿日: 2023.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全くあらすじを知らずに図書館で借りて読んだ。かわいらしい装丁と帯からは想像もできないような物語!最初は優しい母親に共感しながら(自分も幼い娘がいるので)読んでいたけど、あれ?と小さな疑問を抱いてるうちにだんだんと雲行きが怪しく。それにしても冒頭の部分にしか母親は出てこないのに、ずっと強い存在感を残してる。目が見えないとわにとって、本当に自分の全てだった母親に捨てられる気持ち、その絶望ってどれほどのものだろう。前半は全く希望の光が見えなくてひたすら暗いし恐ろしかった。 後半は再生の物語。とわが強く、美しく再生していく成長が描かれていてとても爽やか。久々にいい小説が読めました。

    3
    投稿日: 2023.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんだかとてもリアル。 ノンフィクションなのかと思う様な。 光と闇と表すには簡単過ぎるけれど。 読み終わったら、1つの疑問が残る。 ドレスは何色だったんだろう…

    1
    投稿日: 2023.09.27
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    よくあるアレも、不器用な表現しかできない不幸なのかもしれない。渦中にあれば楽しいときもあり、愛する人とのかげなえのない時間であり。後からアレだったのか…と分かっても、それを他人から指摘されたり、善人ヅラで否定されたり哀れまれるのは嫌だという気持ちがわかる。

    1
    投稿日: 2023.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うーん、苦手な小川糸さん作品をお借りしてしまった。 そして今回、先にみなさんのレビューをちらちらと読んでしまった。これが良かったような、悪かったような・・・ というのも、先にレビューで知っておいてよかったと思った点は、かなり辛い描写が続くこと。これ、覚悟してなかったら、途中で放り出していたかも。先にレビューを見て悪かったのは、もちろん、ある程度内容や結論がわかってしまったこと。 先がわかっているからこそか、初めにたらたと続く、お母さんとのエピソードが辛かった。 もちろんこれはフィクションだけど、現実にこんなことがあってはいけないだろうと、途中から怒りさえおぼえたけれど、社会との接点を持ってからはどんどん話が好転し、あぁ、よかったと思った。 内容のせいなのか、なんとなく、たらたらと続くエピソードに読み辛さを感じた。こんなことがあった、あんなことがあった、そういえばこんなこともあった、と日記を読んでいるような・・・やはり好みの問題か。(よくよく考えると先日再読を終えた梨木香歩さんの「ぐるりのこと」も読み易いかといわれれば、決して読み易くない。万人受けしない気もするし。) とわの生きる力の強さがひしひしと伝わってくるところ、希望を持てる話であったことは、本当によかった。

    40
    投稿日: 2023.09.25
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    とても心がゆるむおはなしだった。ただの盲目の女性と盲導犬のおはなしではない。母と娘、出生届を出されていない子が現実に存在すること、彼らをなんとか救おうとする社会福祉のおはなし。ボランティアさんや児童養護施設、録音図書も登場する。最初、少し特異だがロマンチックな、お花畑のような、のんびりしたお話だと思っていた。でも、物語が進むにつれ、とわと母・あいの環境がとても変であることがわかってきた。だんだんと崩れていく母と娘の関係、そして娘を一歩も外に出さない選択、崩壊した生活に目を塞ぎたくなる瞬間もあった。しかし、母の言葉に縛られたあの家から出た時からとわの第二の人生が始まり、その第二章は希望の連続だった。人はどこからでもやり直せる。希望を見出せる。そんなことを感じた物語だった。 p.185 録音読書で読書を楽しむうちにだんだんわかってきたのだ。言葉にも蜃気楼というかオーラみたいなものがあって、ただ音として聞き流すのではなく、じっとりと手のひらに包むようにして温めていれば、そこからじわじわと蒸気のように言葉の内側に秘められていたエキスが、言葉の膜の外側ににじみ出てくるということが。 わたしはそんなふうにして、言葉がわたさの体温と同化して微熱を帯びるまで、じっと待つ。最初は、早く物語を聴き終えることだけにこだわっていた。けれど、読書には早い遅いは関係ない。それよりも、どれだけ言葉の向こう側に広がる物語の世界と親密に交われるかが、読書の醍醐味なのだ。 p.213 花だけでは無く、すべてのものにも、また、すべての人にも香りがある。指で触れたあらゆる物に指紋が残るように、匂いもまた、その場所に人や物の痕跡を残す。 …いつからか、わたしにとって、人の存在というのは花束のようなものになった。ひとには、それぞれの匂いがあるけれど、みんな違う。それは、いろんな花が集まってひとつにまとめられた花束のようなもので、強い華やかな香りを出す人もいれば、ちょっとしおれたような、けれど不快ではない複雑な香りを放つ人もいる。1人の人の匂いでも、そこにはいくつもの香りが紛れていて、それがひとつに合わさって、その人独自の花束になる。 p.290 時間の流れというものを感じるのは、たとえばパリパリだったお煎餅がしけったり、濡れていた洗濯物が乾いたり、とわの庭の植物の花が枯れたり実がなったり、また芽が出たりする時だ。わたしは、自分の手で触ったり、匂いを嗅いだり、味を確かめたり、音を聞いたりすることでしか、世界を把握できない。確実に理解できる存在は自らの体の感覚で確認できたものがすべてで、だからわたしの世界は、星座のように点と点で結ばれている。わたしの人生は、見えない夜空に、少しずつ慣れ親しんだ星座を増やすことだ。 全てが手探りだから、わたしが実際に生きている世界は、小学生が夏休みの自由研究で作ったジオラマみたいにとても小さい。だけど、そのジオラマの中にはジョイがいるし、とわの庭もある。黒歌鳥合唱団もいる。魔女のマリさんやスズちゃんはじめ、何人かの心を許せる友人もいる。図書館もある。物語もある。読みたい時に、好きなだけ本を読める自由もある。それに、とわたしは思う。これまでに読んだ物語に登場するすべての主人公だけでなく、ちょっとだけしか出番のない脇役も、動物も植物も、彼らはみんな、わたしの人生を共に歩む仲間なのだ。たとえわたしのちっぽけな脳には限界があってわたしが忘れてしまっていても、彼らはわたしという人生の船に乗り合わせた乗組員だ。

    3
    投稿日: 2023.09.17
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    盲目の少女が、帰らなくなった母親をひとりで待ち続ける。彼女と共あるものは、人形の友達、庭に咲く花の香、朝を告げる鳥達。 小川さんの作品はほとんど読んでないのですが、優しげな文章と物語という印象でした。 本作も盲目の少女を溺愛する母親との静かで孤立した愛に満ちた死活ーと思っていたら、全く違う方向へ。 十年余りを暗黙の中で暮らした少女は、ついに家を出る。そこからは、周囲の援助や自分のリハビリで日常生活を手に入れる。三十歳になった年には友人と呼べる繋がりや、恋も経験する。 過酷な生活の中でも母親への愛情は失わない。生き延びたのは母の愛の残り香。 たぶん、あまり考えないで、受け入れる感じの不思議な感覚の小説でした。

    78
    投稿日: 2023.09.10
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     小川糸さんの作品は時々苦手だ。色々と強すぎて、本当に心身が弱っている時には読めないかもしれない。  愛と狂気の入り乱れるホラーのような前半から、ようやく外の世界へ踏み出し、光と優しさに包まれる後半へ、その対比が強烈だった。

    7
    投稿日: 2023.09.06
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    小川糸さんが描くある少女に起こった悲劇とそこからの再生の物語。 生まれながらに目が見えないとわにとって、自分の世界はお母さんと家の中と庭の草木だけだった。 狭い世界ではあったけど、それ以上はなにもいらず、その狭い世界でも幸せを感じて暮らしていた。 しかしながらその幸せな生活も母の異変と共に壊れ始める。 ツバキ屋文具店の著者と同一人物とは思えないほど、凄惨な描写が多いので、苦手な人はいるかもしれない。 それでも最後は救いが訪れるので、読んでみる価値はあると思う。 普通に生活しているだけでも満点だと思える本だった。

    5
    投稿日: 2023.08.28
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    全盲のとわの一生は人から見ると不幸せなものだったかもしれません。しかし彼女には人との出会いも含め、生きるということが大切であり幸せだったのだと思われました。盲目の彼女の視点で描かれたため感覚、嗅覚、聴覚を中心に普段意識しないことにも触れており、僕自身も生活が豊かになる、そんな小説でした。どんなに辛い状況でも前を向く、それはなかなかできることではないかもしれないけど、とわを見ていると自分も頑張ろう、そう思わされる一冊でした。

    4
    投稿日: 2023.08.27
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    #読書記録 2023.8 #とわの庭 #小川糸 前半の孤独に支配された閉じた世界に対し、後半は木々や花々、パートナーとなる盲導犬との出会い、人との関わりや恋愛がとわの世界を広げて行く。とわの中に徐々に色と光が増す中で、匂いや料理が印象的な役割を果たすよ。 #読書好きな人と繋がりたい #読了

    8
    投稿日: 2023.08.27
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    盲目のとわ。母と二人暮らし。 いつしかいなくなってしまった母。 手探りで命をつなぐとわ。 助けはこないの?誰かだれか とわを救って!! 長い永い時間をかけて今のとわになる

    4
    投稿日: 2023.08.27
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    前半はとわの置かれた状況が辛くて、読むのがしんどかった。でも、この世界には実は美しいものや、愛しいものが沢山散りばめられていることに気づけたら、人は上を向けるのかも と思わせてくれる。

    8
    投稿日: 2023.08.25
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    とても暖かくて光に包まれるようなお話しだけど、途中から心がザワザワして仕方無かった。読み進めていくうちに私の心もとわちゃんと一緒に晴れ渡る世界に一歩ずつ足を踏みしめてながらとわちゃんの世界を一緒に視ることができた。 しかし、目が見えない人の感情はとても新鮮だったのでこんなにも問題があるのかと思った。現実世界のとわちゃんに出会えたなら私もその人の助けになりたい。

    2
    投稿日: 2023.08.24
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    美しいお話。 中盤から後半にかけて、苦しい場面がつづくけれど、最後は、ひとしずくの美しい輝きのような、美しく豊かなことがたくさん待っていて、心が清らかになりました。 わたしの感覚や価値観にとても合っているお話で、五感をつかって、もっとさまざまなことに感動したい。美しいものに触れていたい、とより強く感じました。 恵まれていることによって、豊かさがなんなのか、よく考えず、あらゆるものを欲したくなるけれど。 本当に大切にしたいものや大切にしたい価値観を、大事にあたためて、わたしの豊かでしあわせな世界をもっと感じたいな、と改めて思いました。

    1
    投稿日: 2023.08.23
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    光を放つような生き様が彼女の未来を照らし、導かれるべきところに導かれていく。直視できないような過去を抱えながらも、縋ることが出来る場所と、彼女にしか感じ得ない愛が、物語を煌びやかに彩り、本作のテーマでもある生きる力を、より引き立ててくれているように感じました。私自身の日常における何気ない一瞬を、少しだけ愛せるようになりました。

    2
    投稿日: 2023.08.18
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    小川糸さんで、『とわの庭』で、 なのにどんどん壮絶な状況になっていって驚く。全盲の孤児となった十和子がとわの庭に戻って世界を楽しむ術を知ってゆく 力強く希望に満ちた物語

    3
    投稿日: 2023.08.17
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    いっぽ。踏み出すまでの描写は読んでいて辛過ぎて、途中でやめようかと思いました。 その分、その後のとわちゃんの成長がキラキラと感じられて、やっぱり小川糸さんらしい美しい言葉に引き込まれていました。 歪んではいたけれど、愛情に包まれていた記憶が人を強くするのかな…

    5
    投稿日: 2023.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ファンタジー?メルヘン?な話かと思って読み始めたが、途中から中盤までは読むのがつらくて、何度もやめようと思った。その後の展開から、やめようと思う気はなくなったが。 感覚がとても研ぎ澄まされる本だった。

    4
    投稿日: 2023.08.15
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    とてもきれいな言葉で綴られていて、観念的な世界の話なんだろうなと思いながら、作者のエッセイとも重なりながら読みました。 自宅で、どうやってお金は成り立ってるのかなとか、日常の細々した雑事とかはやり切れてないんじゃないかとか、いや、そもそもこんなに壮絶なことが自分を形作る時期に起こったのに、心はもっと複雑に乱れるんじゃないかとか…。 だから、物語世界なんだなと思って、そう思えばそういう世界観に浸ってしまえばいい、そういう読後感でした。

    1
    投稿日: 2023.08.13
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    発想がすごい!まさかの角度からの描写に引きこまれた。前半は不思議な世界。後半は主人公が徐々に世界に馴染んでいく様子が面白い。

    6
    投稿日: 2023.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初は、母と娘のほのぼのストーリーと思いきや、だんだんと怪しい雰囲気に。重く、苦しい場面もありましたが、とわがどうやって生きていくんだろう、とそちらに興味が惹きつけられ最後まで一気に読んでしまいました。 

    1
    投稿日: 2023.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    だんだんと話が暗くなっていくけど、最後はハッピーエンドで物語だなぁという感じがした。物語だと思えば美しいけれど、現実に引きつけると、現実はこうはいかないんだろうなと…。物語は美しい。

    1
    投稿日: 2023.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ほのぼのした話だと思って購入。 幼少期、盲目でも母親から愛されて愛されて 見えなくても匂いや音で楽しく…と思いきや、徐々に変化していく関係 母親が働き始めるからと睡眠導入剤を飲ませて眠らせる、心配だからオムツを履かせる、オットさんが来ても声を出してはいけない… 母親が生きる世界の中心で大好き。だけど、だんだんと積み重ねられていく違和感。 存在を社会から隠され続けた四半世紀。 半分以上、苦しい話だった。 お母さんを忘れると決めて、ピアノの音に救われて、クロウタドリたちに誘われてローズマリーにお別れして いっぽ。にほ。さんぽ。よんほ。…家から出る描写が印象的だった。 保護されて優しい人たちに支えられて、盲導犬ジョイに出会って前向きに生きるとわ。 とわの庭がある家にも帰って来て新しい生活、一夏の恋もして… とわが救われて本当によかった。 母親側の描写がもう少し欲しかった 何年も何年もオットさんはどんな気持ちで?ゴミ屋敷になってて、荷物も消えてるのにそれ以上踏み込まないの? 気になることはたくさんあったけど、とわがとても強く生きている事に安心して本を閉じました。

    2
    投稿日: 2023.08.04
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    目が見えない。子どもから大人への成長。成長ドラマに加えて、目の見えない娘の感じ方。とはいえ、世間への感じ方は目の見える見えないというより、ではなく、その人の受取る愛情なんだろう。

    2
    投稿日: 2023.07.27
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    盲目の少女と母親という小さな家族の幸せの描写は、冒頭僅かなところで、すでに娘に睡眠導入剤を常用させる描写で破綻のはじまりが。 四半世紀を隠されて生活しその後半は健康な暮らしとは程遠いものであった。 東北大震災の大きな揺れで、暮らし方は大きく変わる。 夢の中の母親と決別し家の外へと逃れた彼女は近所の女性に助けられ、病院、児童相談所へ。 そこで初めて、体の洗い方など生きる上での最初の知恵を授けられ、歯を治療し、点字を学び、小学程度の知識を与えられる。 主人公のすごいところは、一度も「死にたい」と思ったことがないことだ。

    1
    投稿日: 2023.07.27
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    幼少期のお話は読んでいてとても辛く、 何度も心が痛みましたが 色んな人や動物に出会い光に包まれていくとわちゃんと、 それぞれの悲しみや愛情に胸がいっぱいになりました。

    2
    投稿日: 2023.07.26
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     盲目の少女・とわと母親の、愛情あふれる温かな雰囲気の描写から物語は始まり、最後までとわの視点で描かれます。  次第になぜか母親に怪しい言動が増え、とわも読み手も違和感を覚えますが、その真相は明かされません。そして、ほぼ隔離状態で母はとわの元から姿を消します。  ここから、とわの壮絶で孤独な一人暮らしが始まります。あまりの悲惨さに心が痛み、同時に母親のネグレクトに怒りを覚えてしまいます。(冒頭の幸せそうな描写は、何だったの? どんな事情?)  とわは、周囲の人たちや盲導犬に支えられながら、様々な経験を積み自立していきます。決別した母との再会は最後まで果たせずも、母が教えてくれた「とわの庭」の花の匂いや本の物語の中に母を見出すとき、確執や恨みを超越した生きることの素晴らしさを実感するのでした。  それでも思ってしまうんです。やっぱり母親は許せないと‥。  結局のところ、母親の放任がとわを逞しく成長させたと、寓話のようにも考えられますが、とわの庭が平和の象徴的な扱いになっている気がします。  『ライオンのおやつ』は「死」をテーマにしながら爽やかな読後感を与えてくれる感動作でしたが、本作はやや解釈が難しいと感じました。  生命力に満ち溢れ、希望を見出せる物語であることに間違いありません。

    60
    投稿日: 2023.07.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一気読み! とわちゃんと幼少期は辛すぎて読むのを躊躇する感じだった。 ジョイに出会ってからのとわちゃんの成長ぶり最高でした!

    6
    投稿日: 2023.07.16
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    生きているって、それだけですごいことなんだ。そう思える本です。 当たり前にご飯を食べて、清潔に暮らせるわけじゃない。 なんなら、自分はこの世に存在しないことになっていた。 辛いとか、そんな簡単な言葉じゃない。 でも、諦めないでよかった。生きていてよかった。大丈夫。周りには優しい人、信頼できる人がたくさんいる。 少し顔を上げれば、青空が、ピアノの音色が、鳥の鳴き声が、みんな味方になってくれる。 生きているって素晴らしい。

    2
    投稿日: 2023.07.14
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    久しぶりに小川糸さんの作品を読んだ。 盲目の主人公とわの精神的な力強さを感じた。 それだけでなく生命力の強さも。 とても健康的とはいえない環境の中、いろんなものを失っていったけど、自分がこの状況なら、どうするだろう、、、飛び出していけるのかな。 人の弱さ、強さ、ぬくもり、残酷さを感じた。

    3
    投稿日: 2023.07.13
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    母さんが私の闇を照らす太陽。盲目の少女十和にとって優しい母の存在があの頃の全てだった。 そんな母に少しずつ違和感が…

    2
    投稿日: 2023.07.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼少期の母との暖かな生活の中でだんだん「ん?」と思うことが増えていく。そんな違和感には知らん顔で話は進んでいき、気がついたら沼の底に沈んでいるようなしんどい話になっていた。主人公はそんな生活から救い出され、盲導犬との生活が始まった。 この本を読み終わったあと、私は活字を見ていただけなのに主人公と一緒に植物や料理の香りを堪能したような満足感を覚え、とても温かい気持ちになった。

    4
    投稿日: 2023.07.12
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    表紙から暖かく穏やかな物語を想像して読み始めるたけれど、なかなか心が苦しくなる展開が待っていました。 それでも、過酷な過去を乗り越えて、希望を持って光に満ちた人生を歩み始めた主人公の人生観はとても素敵で。 「言葉にも蜃気楼というかオーラみたいなものがあって、ただ音を聞き流すのではなく、じっくりと手のひらに包むように温めていれば、そこからじわじわと蒸気のように言葉の内側に秘められていたエキスが、言葉の膜の外側ににじみ出てくる」 「人には、それぞれの匂いがあるけれど、みんな違う。それは、いろんな花が集まってひとつにまとめられた花束のようなもので、強い華やかな香りを出す人もいれば、ちょっとしおれたようは、けれど不快ではない複雑な匂いを放つ人もいる。ひとりの人の匂いでも、そこにはいくつもの匂いが紛れていて、それがひとつに合わさって、その人独自の花束になる」 目が見えているからこそ受け流してしまいがちな、繊細な幸せを、大事にしたいと感じたお話しでした。

    4
    投稿日: 2023.07.11
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    とわのお母さんの愛が怖い 独りぼっちになってからが苦しい ようやく人として生きていけるようになって安心した どっちかって言うと、これからのとわさんを読みたい

    4
    投稿日: 2023.07.08