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【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛(新潮選書)
池内恵/新潮社
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総合評価

30件)
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    サイクス・ピコ協定 1916/5/16 英仏間の中東分割 フサイン・マクマホン書簡 アラブ国家を約束 バルフォア宣言 イスラエルに建国を保証 こんな嘘が許されるのか!!"!

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    投稿日: 2025.05.21
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    サイクス・ピコ協定の本。 中東がどうして平和にならないのか知りたくて最近これ系の本を読み漁ってる。 宗教も民族もごちゃっと住んでる所を西欧列強が適当に国を取り合って国境を引いたからだとか、各宗派や部族を自国の有利になるようにけしかけて代理戦争をさせているというのがよく分かってきて暗澹とした気分になってます。 サイクス・ピコ協定以外にもクルド人についてもちょっと書いてました。 日本に入って来て欲しくないなぁ。 自分の国を作ってください中東に。 世界に平和なんて来ないのかな。 この人たちはずっと紛争をやり続けるのかな。

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    投稿日: 2024.09.24
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     中東問題の根源は、1916年5月16日、第一次世界大戦下にイギリスとフランスがサイクス=ピコ協定によって中東を人為的に分割したからだ――と言う説明が「専門家」からも為されることがあるのだが、本書を読むとそう単純ではないことが分かる。サイクス=ピコ協定で策定された単純な分割案は実施されておらず、その後のセーヴル条約ではより実態に近いかたちでモザイク状に分割されたが、問題は全く解決しなかった。それどころかムスタファ・ケマルらの民族主義に基づく蜂起を促し、ローザンヌ条約でトルコ共和国の成立へと繋がってゆく。  現代の情勢は、むしろ大元のサイクス=ピコ協定が結ばれた情勢に近いのではないか、という指摘が興味深い。ロシアの南下に対抗できない「弱すぎるオスマン帝国」を欧米はどこまで信じ、どこまで支えるのか?

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    投稿日: 2024.08.29
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    パレスチナ紛争の再燃を受け、こちらを読了。 露土戦争の歴史(クリミア、アルメニア、クルド人自治区、シリア…)が今の国際情勢へと続いていることが良くわかりました。 地図で見ると、トルコって本当にすごい立地ですね。。

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    投稿日: 2023.12.31
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    ある意味、強権国家の支配者にとって統治に邪魔な民族を追い払い、均質な住民構成とする方が支配は安定する  →難民を流失させることは政権維持のための合理的判断 難民問題は欧米の有力メディアに報じられ、世論喚起により初めて国際政治上の問題として注目されるようになる 西欧諸国の中東諸国への批判(中東の政治的自由の不在、人権侵害、民主化の遅れ) 独裁政権の民族主義(反欧米、反イスラエルの排外的スローガン)喚起  →多様な国民(言語・宗教宗派の多様なコミュニティ)を一方向 に向け、統制する有効な手段 アラブ諸国やトルコがその背後の地域からの難民を人権や自由の理念から疑わしい手法で受け入れてきた    ↓ 西欧諸国はそれを非難するが、第二次世界大戦後、かっての植民地から大量の難民の波に襲われることなく、紛争の影響を受けることなく、経済発展に必要な移民のみをある程度選択して受け入れることが可能であったのはこれらの諸国が難民の防壁となっていたこともまた事実。

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    投稿日: 2023.10.28
  • 国民国家は自明のことではない

    ガザのハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けた今、事態を理解するために急ぎ読んでみた。なんとなくわかった気にさせるところはなかなかの本である。しかし感銘を受けたのは、本前半の大国間の手前勝手な密約の話ではなく、後半の民族とは とか難民や民族浄化の話である。日本は人手不足対策として、どんどん外国人を入国させようとしている。混迷しているヨーロッパ諸国のマネをしようとしているような危うさを感じてしまう。 中東の混迷や争いをずっと見ていると、宗教というものは人類に対して益よりも害をより多くもたらしてきたのではないかと思ってしまう。

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    投稿日: 2023.10.16
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    サイクス・ピコ協定をマジックワードのように扱うべきでない、という主張はよく理解できるけど、それと相反するようなタイトル(笑) 今読んで思うのはこれが書かれた以降の急速な中国のプレゼンスの上昇。米露の合意が鍵だろうと書かれていたけど、全く異なる方向から中東問題の鍵を握るのは中国かもしれないなと、震えながら…

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    投稿日: 2023.09.12
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    サイクスピコ協定は歴史の流れの中で理解する必要がある。オスマントルコの衰退、アラブの混乱、ロシアの台頭…と言った流れ。 当時、英仏はその状況に対処する適切な案として締結。しかし当のトルコ、アラブを飛び越えて、上から目線で制御を試みた。西洋人がアジア人(中東人、トルコ人も含む)を人種として差別的に見ているためか。 他に、セーブル条約、ローザンヌ条約をセットで考える必要あり。 ページは薄めだが、内容が濃い。 読了60分

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    投稿日: 2023.02.16
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    ビックリするくらい中東情勢について分かったような気にさせてくれる。 トルコとシリアのやっかいさから学ぶ近現代の国際政治の枠組って感じかしら。

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    投稿日: 2021.12.05
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    イスラム国等、中東情勢の混迷は続いている今日ですが、これは何も今始まった出来事ではなく、過去から続く問題が同じような形のまま現れているに過ぎないということを理解すること。それによらなければ、今日の状況を理解することが出来ません。その状況に「サイクス=ピコ協定」がどんな役割をはたしているのか。それを理解するためには、負の側面だけではなく、これが上手く利用され、この地域の混迷を一時凍結したことも知る必要があります。本書では、中東地域に渡る複雑な情勢について、ポイントとなる点を章ごとに詳しくまとめられています。一つ一つを丁寧に整理することにより、何が起こっているのかの見取り図が、かなり明るく見渡せるようになると思います。そして、複雑さは問題になりやすいのですが、安易に簡単な解決を行うことは悪であり、慎重さと対話がいかに重要であるかを考えさせられます。

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    投稿日: 2021.06.27
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    ★難しさばかりを痛感★整然とした国境線にみえるように、中東は外部勢力による人為的なルールで縛られている。「少数民族」とは自然に生まれる民族ではない。多数派が自らと異なるものと決めて特定の政策を作るから誕生する。そして少数民族が独立すると新たな少数民族を生み出す。民族はどこまでも分裂していくだけに解決は簡単ではない。悲しいことに中東に解決できる勢力はないが、解決策に対する拒否権を持つものは多い。

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    投稿日: 2019.06.30
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    この協定を聞くと 学生時代の己の阿呆さを思い出します。 中東のあたりの歴史、よくわかんねえーと悩んでおりました。 インド史?南アジア史に至ってはお手上げでした。 K大文学部の受験時、一つの大きな設問が出たのを思い出します。 解けなかったのに何故か合格いたしました。なんでだろう 我が家はど田舎の貧乏人だったのに。合格させても意味ないぞと。 お父様の御不幸。どうぞ御愁傷さまです。

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    投稿日: 2019.03.16
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    第一次大戦中の1916年にイギリスとフランスとの間で結ばれた、 戦後のオスマン帝国南東部の分割協定を手がかりとして、 現代までの中東の情勢を概説した著作。 平易な文章で書かれていて、中東地域にあまり知識の無い人でも 読みやすいと思います。 モザイク状に小集団が存在している地域では、 どう線引きしても域内での少数派ができてしまうこと、 線引きによっては少数派と多数派が逆転してしまうこと、 少数派が難民として流出すれば域内はある意味"安定"すること、 などといったことが歴史を基に説明されています。 ところで、「サイクス=ピコ協定」は「墾田永年私財法」と同じような 語感の良さで、言葉だけはなんとなく頭の片隅に残っていました(笑)

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    投稿日: 2019.01.20
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    高校世界史で「帝国主義列強の理不尽の象徴」として学ぶサイクス・ピコ協定。旧オスマン帝国の領土を、そこに住む民族に全く配慮せず英仏(露)で線引きして植民地化。しかし著者はその捉え方は(間違っていないとしても)一面的と考える。 まず以って、サイクス・ピコ協定はそのままの状態ではほとんど発効していない。著者は、むしろそのあとのローザンヌ条約、セーヴル条約への短期間の変遷の意味に着目する。詳細は略するが、要は列強も(自らのエゴは当然ありつつも)何はともあれ「つかの間の平穏」をのぞんだのであり、その時々に優勢だった勢力の主張を追認する形で次から次へと条約を改定していったのだ(次々と支配権を確立した少数民族に配慮したローザンヌ、それを平定して統一国家となったトルコに配慮したセーヴル)。 「・・・この三つの協定・条約には、それぞれに別個の根拠があり、それぞれに異なる難点を抱えている。これらの協定・条約は中東の問題の原因というよりも、むしろ、オスマン帝国の崩壊後に中東の社会が抱えた困難な条件に対して提示された、三つの異なる対処の方法なのである。三つの協定・条約は、中東問題の困難さを、それぞれに示している。これら三つの協定・条約と、それが結ばれた経緯の中に、近代の中東に国家と国際秩序を形成するという、今もなお結論の出ていない問題への、これまでの試みの成功と失敗がいずれも含まれている」(P.46) 今現にシリアで起きている大規模な難民問題を少しでも立体的に理解したいと思う人々にとって、必読の書と思う。

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    投稿日: 2019.01.01
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    【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛。池内恵先生の著書。現代の中東問題の根源は遥か昔にイギリスとフランスとロシアによって結ばれた秘密協定にある。中東問題、イスラム問題、イスラム国問題は多くの人にとって理解するのが難しい問題だけれど、本書を通じてこのような問題が発生している歴史的な背景を学べます。

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    投稿日: 2018.12.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    単純に諸悪の根源とも言い切れない、地域の入れ子状の複雑さ、多様さがよく伝わってきた 当時の中東に国家と社会を形成できる主体があったか疑わしいあたり、近代国家のあり方を中東に押し付けるのが欧州の傲慢さに感じられる その上セーブル自体も自立が困難なものであった 難民の流出が、問題の解決に近づくというのは、なるほど言い得て妙だなと思う 国の利益のために、他国の紛争を続けさせるというのも、紛争のリアルさが読み取れる

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    投稿日: 2018.11.28
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    1916年サイクス=ピコ協定(第一次世界大戦後、オスマン帝国の支配地域をどのように分割し統治するかの、イギリスとフランスによる取り決め)→1920年セーヴル条約(アナトリア各地で現地の勢力が進めた実効支配を、列強や周辺諸国が認め、恒久化しようとした)→1923年ローザンヌ条約(ムスタファ・ケマルらが設立したトルコのアンカラ政府が、セーヴル条約受け入れを拒否。トルコ独立戦争を戦い、フランスやソ連軍に対して有利に戦闘を進めて、個別に条約締結に持ち込んだ)

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    投稿日: 2018.11.04
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    サイクス=ピコ協定を銘打って、池内先生が書かれているので、面白そうと思い手に取りました。 冒頭で池内先生が指摘されているように、サイクス=ピコ協定は大国による密約で悪でしかないもの、と私も思っていました。悪ではないわけではないですが、オスマン帝国崩壊に際して、1つの「解決策」として考えられたものだという視点を本書によって得られました。 皮肉なことにアラブの春によって、再び中東が混迷する中、欧米が手をこまねいている間にロシアが進出してくるという、100年前と同じような構図ができている、というのもなるほど、というお話でした。 国民国家を前提とした国境の線引き、というのはかなり破綻した考え方だと最近とても感じていますが、では中東の国々はどのような形になると中東の人々にとって”最善”といえるのか、本書を読むことでますます難しい問題に思えてきました。

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    投稿日: 2018.11.03
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    「オスマン帝国なんてぶっ潰して、あいつらの領土を山分けしよう ぜ」とイギリスが持ち掛けて、「そりゃいい考えですな、旦那」と フランスが合意したのが1916年のサイクス=ピコ協定である。 その協定の詳細な解説かと思いきや違った。私も現在の中東の 混迷を考える時、この協定を頭に置いているのだが、著者はこの 協定だけが本当に中央混迷の根源なのだろうかと疑問を提示し、 中東の歴史や地政学、複雑に交錯した民族模様や国家間の関係 を解説した書だった。 サイクス=ピコ協定単独ではなく、セーブル条約・ローザンヌ条約 の3つをセットとして考えなければならぬと著者は説く。もうここで 躓きましたよ。私はセブール条約とローザンヌ条約を調べるところ から始めなければならなかったもの。 確かにサイクス=ピコ協定がすべての根源だとするには、この協定 内容がすべて守らていなければならない。でも、それ自体が無理。 だって、子供が考えても「それは無理だろう」っていう約束ばかり しているのだも、イギリスは。 サイクス=ピコ協定の前年、「アラブ人の国を作るのを認めてやる からこっちの味方になってトルコと戦え」とメッカの太守であった フサイン家との約束である、フサイン=マクマホン協定があるで しょう。 そうしてサイクス=ピコ協定の翌年には「ちっ、戦争にお金がかかっ て財政がピーンチ。あ、ちょっとお金貸してよ。貸してくれたらパレス チナに住んていいよ」と、ユダヤ人コミュニティのリーダー的存在で あったロスチャイルド家と約束したバルフォア宣言があるでしょう。 「うわ、どれも守れないわ。しゃあない。新しい条約作って線引きしな おそう」で、セーブル条約とローザンヌ条約が出来たのね。って、こん な理解でいいのか、私は。 イギリスにしてみたら自分たちは痛くも痒くもないから、どんな無理な 約束でもしたんだろうけれどね。でも、やっぱりこの三枚舌外交は 問題が多いと思うんだよね。 百年の呪縛は解けるどころか益々混迷を深くしているように思える。 ただ、本書で著者が書いているように難民が流出していることで 少数民族の問題がある程度解決に向かっているという面もある。 本当はあってはいけないことだけれど。 結局は力でしか状況は変えられないのかな。アメリカとロシアの仲介 でシリア内戦の、2度目の停戦合意が取り付けられたのはつい先日。 それなのに、反政府勢力の地域にロシア軍が空爆だよ。 大国の思惑に翻弄されるのは、いつも一般の市民なんだよね。どれ だけ血が流れて、涙が流れたら和平が訪れるのかな。 読んでいて余計に出口が見えなくなってしまったので、私はやっぱり イギリスの三枚舌のせいにしたくなったよ。

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    投稿日: 2017.08.23
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    ちょうど知りたいと思っていた部分を、思っていたよりずっと深く教えてもらえた。 今の混迷の原因がサイクスピコ協定という単純な話ではなくて、もっと昔からの経緯の中の過程のひとつという話。

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    投稿日: 2017.07.18
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    混迷する中東の歴史について、大国が切り分けたサイクス・ピコ協定だけが悪者なのか? 現代の国家では、あまりに細分化されすぎるとて、政治的・経済的・軍事的に自立困難となる。(沖縄を独立させたらどうなるか考えて見るとよくわかる。) では結局、民族とは何なのか? 言語・遺伝子的特徴、文化 の統合されたユニットと考えるべきなのだろうが、ユニットを構成する人員が少なすぎると経済的・軍事的に自立できず、どこかで別のユニットと共同して国を作る必要がある。 現在の中東の混乱は100年前の無理なユニット同士の結託の綻びとも言える。

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    投稿日: 2017.05.04
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     現在もシリアを中心とした中東エリアは戦火と混乱の中にあり、悲惨な状況が終わる気配を見せていない。  この地域の争いの大元の原因は、オスマン帝国の衰退と解体に見いだせるが、そのときのサイクスピコ協定が諸悪の根源であるとの世の評判は的確ではない、と作者は述べている。  その理由をその後の歴史をたどりながら紹介説明していて、本書の題名だとそこが主眼に思えるが、実はその後の地域の状況や現在の考察が主体になっている。そして、現在の様相はオスマン帝国が崩壊した頃に状況が似てきたのではないかと心配し、大国の影響力など大きな違いもあるが、今後の激変を予想というか懸念している。  本書は、なんで中東はいつも戦争しているのか?と感心ある人向けのいい入門書になっていると思う。

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    投稿日: 2017.04.01
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    新しい職場であるNGOの先輩に薦められた本。現在のシリア難民の経緯を紐解く一助になる、サイクス=ピコ協定の経緯と詳細、そしてこの協定がいかに現在の中東情勢に影を落としているかを簡単に説明した本。セーブル条約による細かい民族や宗派へのトルコ領の割譲とローザンヌ条約によるトルコ国民主義を反映した国境線の策定を経て現在の中東があるが、情勢不安を抑制する手は果たしてあるのか。協定の話以外にも気になる三文字団体、PKK・PYD・YPG・KNCなどが簡単に説明されており助かった。領土を広げたいロシア、クルド独立を抑制するためシリア情勢を混沌のままにしておきたいトルコ、ISを抑えるために「テロ集団」を支援するアメリカなど、各国の思惑が錯綜する中での難民問題解決は気が遠くなる程難しい事を痛感した。結局害を被るのは一般市民なのに。

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    投稿日: 2016.12.16
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     1916年に結ばれたサイクス=ピコ協定から,その後の100年間の中東世界や地中海東岸世界の動向や構造をまとめた,著者が「中東ブックレット」と呼ぶ作品の一作目です。  この地域のこの100年の動向を把握できる良い作品だと思います。より深い考察はできると思いますが,背景と概略,現在の動向を把握するにはいい位置づけと分量の内容だと思って読んでいました。  現在でも激動のさなかにある地域であり,常に状況が変わるとともに,世界の各地のいろんな分野に影響を与えている地域ですが,その背景の概略を把握するためには良い本だと考えます。

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    投稿日: 2016.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    混迷する中東の歴史について、中東を大国で切り分けたサイクス・ピコ協定だけが悪者扱いされているが、現地の諸勢力の意向を反映して細かく切り分けたセーブル条約や、それに反発したトルコ人による支配地域の拡大を諸大国に認めさせ、現在のトルコの国境をほぼ確定したローザンヌ条約も、あらゆる方法が試され、その度に済む土地を追われて、命を落とす人々を多く生み出した。 セーブル条約では細分化されすぎており、政治的にも経済的にも自立が困難だった。 結局は西欧や周辺大国による様々な思惑と介入、植民地化、侵略が昔から中東をゆるがしている。

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    投稿日: 2016.09.19
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    [解決策にして病巣]合意の形成から百年を迎え、日本の一部メディアでも改めて取りあげられることがあったサイクス=ピコ協定。外部から中東地図を描いたとして批判されることが多々あるこの協定の形成経緯やその他の条約に触れながら、現在の中東政治を高所から俯瞰した作品です。著者は、中東研究の第一人者と評しても過言ではなくなってきた池内恵。 「複雑だ」と評される中東政治を、その複雑さをそのままにゴロンと読者に突きつけてきた作品。決して読みやすい読み物ではないですが、中東政治や幅広く国際政治に興味のある方にはぜひオススメ。明快かつ安易な解決策など、現在の中東には存在しないということが痛感できる一冊です。 〜当時の超大国である列強という「医師」に、中東の国家と社会の「病」への処方箋を書く、その資格と能力があったかというと、それは疑わしい。しかしその当時の中東に、より適切に国家と社会を形成できる主体があったかというと、なかったと言わざるを得ない。それは現在でもなお残る問題でもある。〜 一気に通読できる分量も☆5つ

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    投稿日: 2016.09.06
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    トルコ・シリアを中心に、第一次大戦から現在までの中東情勢を「サイクス・ピコ協定」「露土戦争」「東方問題」「難民」等を切り口に読み解いていく。時系列に事情を追うよりもかえって個々の事象の連関をクリアに浮かび上がらせることに成功しており、地図の豊富さとも相まって理解しやすい。イスラエル史を思い切って切り捨てたのも奏功していると思う。何より140頁程度と短いのが良。 著者はサイクス・ピコ協定以前と現代の情勢の異同について、西欧のアラブ諸国に対する相対的優位性の低下を指摘しているが、現代では西欧側が様々な不都合を押し込めておいた中東という「壁」が決壊したとの表現は言い得て妙。人権保護が不十分と批判しつつも、自らに影響がないうちは抜本的解決を望まないというご都合主義も限界に来たということだろう。同じく壁のこちら側で安穏としていられた日本にとっても、最早対岸の火事ではない。 サイクス・ピコ協定が中東の一時期を切り取った断面図に過ぎないことがよく理解できる本書だが、ではなぜこの題名が採用されたのか。恐らくは本文にあるように「わかった気になるマジック・ワード」なるがゆえに、専門家にとっても「題名にしたくなるアイキャッチング・ワード」でもあるのだろう。

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    投稿日: 2016.08.22
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    サイクスピコ協定が今の中東の混乱を招いたというのが、最近富に聞こえる話だが、どうやらそれだけではないというのが本書の内容。

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    投稿日: 2016.08.07
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    アラビアのロレンスから、「イスラム国」そして英国のEU離脱までが、頭の中でスーッとつながる。快読の一冊。

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    投稿日: 2016.07.01
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    イスラーム世界の…以来の著者の本だったけど、かなりわかりやすい。とはいえ地理がまだ完全に把握しきれていないので、右から左な部分が多い自覚はある。とりあえずアラビアのロレンスみよう

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    投稿日: 2016.06.28