
総合評価
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powered by ブクログ昨年、世界第2の高峰K2の未踏ルートに挑戦中に帰らぬ人となった著者の自叙伝です。 現代の冒険家です。 ひたすら自分と向き合い、パートナーを信じて挑戦する姿に胸を打たれました。 登山の様子は、各ページにあるQRから動画が見られるようになっています。
0投稿日: 2025.08.08
powered by ブクログこの本を読みながら、登山家とはなんという因果な仕事だと思った。著者、平出和也は、青空の曇りのないすっきりとした人だと思った。長野県に生まれ、父親は警察官で、体力を鍛えることは、子供の頃から見ていた。走るのが、好きで、身体は強健で、走る才能がないと感じたから、競歩の選手になった。そして、競歩は郊外の山道で鍛えるうちに、山登りが好きになった。 平出和也はいう「私には人生をかけて登りたい山がある。私だからこそできる挑戦がある」 高い山に登りたいとか、8000m以上の山を登りたいということではなく、未登頂は登るが、未登頂の山は少なくなっている。平出和也は、未踏のルートがあれば、そこを歩きたいのだ。今まで、誰も歩いたことがないルートがあれば、今までの人にできていないから、そこに取り組む意味があるのだ。だから、「未踏の挑戦」なのだ。 本書の中で、「山は命をかけるところではない」と言っている。しかし、山で死ぬ人は多い。 そして、平出和也は、何度も死の危険を味わっている。遭難事故は小さなミスが重なって起こる。その小さな兆候を危険として察知できるかどうかが大事だという。危険察知能力が高い、だからあと少しで山頂に到着すると思っても、危険を感じたら撤退し下山する。撤退したことが敗北ではない。いつでも、また挑戦はできる。判断力が優れている。しかし、 2005年10月のシブリン北壁(6,543m/インド)パートナーである谷口けいと未踏ルートを挑戦し、平出和也は凍傷で右足の指の先っちょを失う。 2011年のアマダブラム北西壁(6856m/ネパール) ドイツ登山家ダーフィットと登り、山頂まで350mのところで撤退を決断した。そして、救助しにきたヘリが墜落し、パイロットと助手2名が死亡した。その後に来た、ヘリで救われた。 そして、数々の登山のパートナーだった山口けいも、43歳で雪山で遭難して死んでいる。 植村直己は、「冒険とは生きて帰ることである」と言って、43歳の時にマッキンリー山で遭難し死んだ。登山家で、アルプス三大北壁の冬期単独登攀の成功は世界初の長谷川恒男も、43歳でカラコルムの山で雪崩に巻き込まれて死んでいる。冒険家には、43歳の壁があるらしい。平出和也は、45歳だった。 平出和也は、「死は決して全ての終わりではない。肉体は失われても魂は私の心の奥底で生き続けている」という。確かに、人間は100%死ぬ存在であり、死ぬから生きてもいる。 この本から、平出和也の文章の行間に、死の恐れが深く存在している。挑戦とは、人との競争から出てくるものではなく、常に自分の心の中で行うものだ。だから基準はいつも自分の中にあるという。 まさに、孤高の精神が、自分の中に宿っている。
5投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログ平出和也さんの名前は、残念ながら亡くなって知り、テレビのドキュメントで更に偉大さを知った。 それでこの本を手に取った 未踏ルート、未踏峰に挑戦、準備、判断、決断、振り返り、再挑戦、歓喜、命 全てが良かった。未踏峰、未踏ルートを自ら発見し挑戦。以前、挑戦し敗退した隊にもリスペクトを忘れない姿勢に心を撃たれた 人生も同じだろう、未踏ルートの開拓だろう P302以降の文は、平出和也さんが思っていた事が詰まっていて、クライマーの真髄なんだろうと ありがとう、平出和也、会ってみたかった、話を聴いてみたかった
0投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログ言わずと知れた登山家。登山家としてとても凄い人だけど一方で谷口けいさんとの間で考え方の違いですれ違ったりした部分なども記載されてて人間味を感じた。
0投稿日: 2025.01.16
powered by ブクログ平出さんも谷口けいさんも中島健郎さんもみんな死んじゃったなぁ 常に高みを求めて挑戦し続けていると避けられないのかなぁ でもそうせずには生きられなかった人たちなんだろうなぁ 2024.11.30
3投稿日: 2024.11.30
powered by ブクログ平出さん、中島さんが亡くなってから、この本を読もうと思った。本屋に行くとどこにも置いていない。Amazonで調べると、注文してからしばらく待たないといけないとのこと。それでも読みたかったので、すぐに注文。届くのを待った。 ようやく届いたこの本には、山への想い、パートナーへの想いが詰まっていた。泣きたくなるくらいに。 読んでいる間中、ずっと平出さんが語りかけてきた。穏やかで淡々とした語り口。それが心地よい。 変な話だが、私は最初のページを開いた瞬間から、読み終わらないでいたいと思っていた。永遠に平出さんの話を聞いていたいと思ったのだ。 でも、ついに今日読み終えてしまった。 なぜ命をかけてまで山に登るのか。 分からない、でも分かるような気もする。 私は登山をしない(低山に登ることはあるが)。 なのに、不思議と山に惹かれ、登山をする人の姿にも惹かれている。 平出さん、中島さん、谷口けいさんも、みんないなくなってしまった。 悲しい。 でも、心には、彼らの挑戦した姿が残っている。 平出さん、中島さん、谷口さん、ありがとうございました。
0投稿日: 2024.09.11
powered by ブクログあれから1ヶ月ちょっと。 読んでいて辛くなることもあって、ゆっくりだけど読了。 平出さんの凄さを少しでも吸収して生きていきたい。
1投稿日: 2024.09.10
powered by ブクログ2024年7月に遭難して亡くなった(と判断された)平出和也さんの挑戦の軌跡だ。2023年3月に初版一刷・2024年4月に三刷なので、遭難事故が無くても広く読まれている。 本書に記録されている登攀について、コメントできるほど詳しくないが、これらの登攀の先に遭難や事故が発生することは予見できる。遭難や事故を高いスキルと強靭さで回避してきた様も良くわかるが、次は回避しきれないのではないかという予感は残る。実際、そうなってしまったことが残念だ。 角幡唯介さんの著書『狩りと漂泊』に、“43歳の落とし穴”という一章があり、簡単に言うと、スキルが向上していく経験線と加齢に伴う体力の下降を示す生命力線がクロスし、さらに乖離していくのが40歳を過ぎる頃、43歳がいわば鬼門である説だ。植村直己さんがデナリで遭難したのも、平出さんのクライミングパートナーであった谷口けいさんも43歳であったと。平出さんは45歳で今回の遭難だ。残念だけれど、運を持ってこられなかったということだろうか。
1投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログアルパインクライマーであり、山岳写真家の平出和也さんの生立ちから、数々の困難を極める高峰アタックの振り返りを書いた自叙伝。 登山界で最も名誉とされるピオレドール賞を、日本人で最多の3度も受賞していることからも、超人に相応しい方だろう。 この1冊で、何峰もの経験談が織り込まれているが、時には死を覚悟したことが、さらりと書かれていることには驚いてしまう。 普通の人とは違う生死感を持っているのだろう。 本の中には、QRコードが付いており、登攀シーンが動画で見ることが出来るので、臨場感を味わえる。 麓から撮った未踏の山の写真から、どこにベースキャンプをし、どんなルートで何日かけて征服するかを考えられると言うのにも驚かされる。 しかし、そんな彼もパートナーの中島健郎さんと、世界で2番目に高いK2登攀時、標高7000m地点から約1000m滑落し、動かない2人が発見されるも、二重遭難の恐れから救助活動は打ち切られたという。2024年7月27日のことだった。 本の終わりには、「ティリチミール、さらにはK2の未踏ルートに向けて、もう少し悪あがきをしてみよう」と書かれてあった。 いくつか心に残る言葉があった。 植村直己は「冒険とは、生きて帰ることである」と言った。長谷川恒男は「生き抜くことは冒険だよ」と言った。そして谷口けい(彼の登攀パートナー)は「人生は冒険旅行だ」と。彼らはみな偶然にも43歳で命を落としている。その43歳で私はカールン・コーと向き合い、頂上に立ち、いまこうして生きていることにしみじみ感謝する。 私は長いあいだ「自分にしかできない挑戦をしたい」と意気込んでいたが、それは間違いだったと思うようになった。私が求めていたのは「自分らしい挑戦」だったのだ。「他人にできないこと」が山を選ぶ判断基準になると、自分が主体ではなくなってしまう。挑戦というのは、人との競争から出てくるものではなく、常に自分の心の中で行なうものなのだ。だから基準はいつも自分にある。その姿勢を堅持すれば、そこから生まれ出てきたものは常に自分らしいものになる。 その登山が失敗したときは、なにも反省会などしなくても何が原因かをそれぞれが考える。しかし、成功したときほどその登山を振り返ることを忘れてしまうものだ。何がよかったから成功したのか? 成功したけれどさらにもっと改良すべきことはなかったのか?。成功の陰にひそむ小さなミスに気づけるか? 成功したときほど学ぶことはたくさんある。 周到に準備したうえでの失敗は成長を促してくれる。 ぎりぎり命を落とさずに登頂し下山してきてこそ成功なのだ。それ以外は失敗となる。失敗には、途中での敗退、もしくは死がある。生と死の紙一重のあいだを行ったり来たりするような登山だけが、私の血を騒がせるのだと思っている。 享年45歳。ご冥福を祈りたい。
7投稿日: 2024.08.19「夢のファイル」コンプリートまで、あと僅かだったのに…
中島健郎さんとともにK2西壁で滑落し救出断念となった山岳登攀・撮影の第一人者の、最初で最後の単著。私も登山好きだったことから(冬山や岩山で事故を起こしかけたこともある)、計り知れない高みを感じるばかりでなく彼に同調するところが多くあったし、数多くの動画リンクと併せて読める仕掛けも良かった。 先に逝った谷口けいさん達ともども、どうか安らかに
0投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログ平出さんの伝記。youtubeリンクのQRコードがあり、どのような体験をされたのかがより一層分かりやすくなっている。自分も登山をするので、what's nextの感覚はわかるのだが、あそこまで難易度/リスクの高い山を継続できることは尊敬できるが、同時に理解はできなかった。
1投稿日: 2024.03.27
powered by ブクログ2024/7/30 とてもショックなニュースだ。平出さんは、中島さんと共に未踏のK2西壁での登頂を目指していたけど、27日に滑落、助けられない位置、状態で、三日目、2人に動きがないことから救助活動を終了することになってしまった。困難な道だからこそ、誰もが簡単には助けられない場所となってしまった。 もっと活躍を見たかった。 ——————————————— 平出さんは、アルパインクライマーであり、山岳カメラマン。 アルパイン・クライミングとは、極めて傾斜のあるような山岳を移動する登山やロッククライミングなどのこと。 かなりハードな環境の中で、体力、忍耐力、精神力が必要。 上村直樹冒険賞と、ピオレドール賞を3回受賞。 たまたまNHKで平出さんの特集があり、「これはすごい」と興味が出て、書籍があったので読むことに。 巻頭にはカラー写真、本文にも写真がある。 また、QRコードが所々にあるので、それを読み込むと映像も見れる。この仕組みはいいな。 平出さんのこだわりは、未踏峰、未踏ルートで、初めてそのルートを登攀(とうはん。よじ登ること。攀はよじ登る、すがりつきながら登るという漢字)するということだ。 酸素のすごく少ないところを登る。 できるだけ荷物を軽量化するため、食べ物を少なくする。 ものすごく体力がいることなのに、食べ物を少量で済ませるなんて。 NHKの特集でもたくさんのことが伝わってきたが、この書籍でもそれが伝わってくる。 悲しい体験も辛い体験も幸せな体験も。 自分も冒険した気分になった。
1投稿日: 2023.07.08
powered by ブクログ登山業界では有名な平出氏、映像は何度も見ていたが字を追うとまたこの方の強さが見てとれる。 挑戦し、考え、敗退もあり、そして出会いも別れも。 きっと人生を悲観したこともあるだろう厳し世界。 その中でひとつづつ強くなっていくカッコいい人を感じる。
1投稿日: 2023.03.24
powered by ブクログなかなかおもしろかった 日本が誇るトップクライマーの平出和也氏が書いた本ということで購入。著者の登山にかけた半生が綴られている。ピオレドール賞を受賞し、テレビ出演などもしている著者だが、何がすごいのかなんとなくしか分からなかったが、本書を読んで少しは理解した気になれた。6000mを越えるような高山の未踏峰、未踏ルート踏破の能力が他者の追随を許さないのだろう。エベレストには撮影で3回登って楽しかった、というようなことがコラムに少しだけ書かれており、そういう山がフィールドではない。 本書は著者のこれまでの登山を、写真や映像(QRコードでプライベート設定のYou Tube動画が観られる)、登山ルートの挿絵などをはさみながら書かれており、多角的にエンターテイメントとして楽しめた。 タイトルの通り、著者はまだ現役で野心を持ったクライマーではあるが、43歳という鬼門(本書にも記載あるように植村直己はじめ多くの冒険家が命を落としている年齢)でもあり、また最終章で綴られている多くの再起をかけた登山で区切りとなったこともあり書かれたのだろう。 ただ各登山は、スラスラと書かれており、記憶に残らない描写も多かった。著者はプロとして真面目で冷静な方だというのがよく分かるものの、本の中身としては、負の感情も含めた内面のことを小さなエピソード等でもいいのでもっとたくさん書いてほしかった。なぜ未踏にこだわるのか、何に影響されたか、誰に嫉妬したか、許せないことはなかったか、死に対する考え方、など。ぜひK2でのチャレンジを終えたらどんな題材でもいいのでまた本を書いてほしい。
1投稿日: 2023.03.02
