
総合評価
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powered by ブクログ情景の薄暗さのようにあまり白黒付けない展開でゆっくり読め、コニャックの代わりを余ってる梅酒にした。ロシア文学、もう1冊読んでみたい。
0投稿日: 2026.01.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「暗い雰囲気の本」ということだけ聞いて買った。確かに暗い。寒くて曇っていて昼でも暗い日を頭に浮かべた。 今後、水族館でペンギンを見たらミーシャのことを考えると思う。ミーシャは元気だろうか。 〈ペンギンじゃないミーシャ〉という表現も好きだった。 ニーナとソーニャと乾いた家族ごっこをしていたのは全く共感できなかった。いつか共感できる日が来るかもしれない。 セルゲイが好きだった。良いヤツ感がある。
1投稿日: 2025.12.11
powered by ブクログ数ヶ月付き合って別れた人が、別れて数ヶ月後の私の誕生日に送ってくれた2冊のうちの1冊でした。 この主人公の燻ってる感じが私と重なったってことなのかな。 売れない作家が主人公の不条理ものってことで、 どうしてもポール・オースターも想起したし、 ニーナやソーニャとの淡白な関係もおもしろかったな。
1投稿日: 2025.10.23
powered by ブクログ不条理なのですが、日常の描写にそのエピソードがうまく溶け込んでいて、心地よく読み進められました。 訳者あとがきにもありますが、初期の村上春樹の著作と同じ雰囲気のある作品です。
2投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログアンドレイ・クルコフという作家とは、「名前を見たことがあるかどうか」という観点でも多分、初めて出会った。訳者あとがきによれば、ヨーロッパの方では有名らしい。(ちなみに今回、ウォッカをグラム単位で計量する文化にも初めて触れた。興味深い。) ウクライナ人のロシア語作家。今が平和な時代だったら、ウクライナとロシアは近いからなぁ、くらいの感想で、特に気にもしなかっただろうと思う。今ではキーウと表記されるキエフも、ハリコフも、ニュースでよく耳にする地名になってしまった。 物語の舞台になっている時代のウクライナやロシア周辺のことはよく知らないけれど、主人公の身の回りでは、街なかの銃声や、知らぬ間に自宅に人が入り込むような物騒な出来事が、日常的に起きる。マフィアの存在が大きい社会。 マフィアも、比喩でなくペンギン(しかも憂鬱症の)と同居することも、自分にとっては完全な非日常のはずなのに、自然に入り込めて楽しめる小説だった。こんなこともあるんだろうな、と信じさせられてしまうような感じ。 ほかの作品も気になる。
1投稿日: 2025.09.02
powered by ブクログソ連の名残がまだ残る1990年代中盤のウクライナで、ペンギンと住む売れない作家が不穏な事件に巻き込まれていく物語。 主人公にぶっ飛んだところがあるせいで、感情移入が全くできなかった一方で、主人公が預かった少女のソーニャとペンギンのミーシャには情が移り、無事を確かめたい一心で最後まで読み進めた。色彩の少ない陰鬱な雰囲気や、主人公のシニカルな語り口とは対比的に、ペンギンの可愛さが際立っており、独特の世界観に仕上がっていた。個人的には、ストーリーそのものよりも、あまり味わったことのない空気感を楽しめたと思う。 本筋とは離れるが、ソ連崩壊直後に書かれている為、本レビューを書いている2025年8月の観点からすると、ウクライナとロシアの距離感がこれ程近かったのかと考えさせられた。
1投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログ1996年に発表。20ヶ国語に翻訳され、日本語訳版は2004年。ソ連崩壊後の新生ウクライナの首都キエフで、ペンギンと暮らす売れない小説家のヴィクトルは、新聞の死亡記事を書く仕事を持ちかけられる。それは存命の人物の追悼記事を目録にするという不穏な仕事だったが、生活のために二つ返事で引き受けてしまう。初めはうまくいっているように思えたが、思いもよらぬ事態が次々と巻き起こり思わぬ結末を迎える。 寺田順三さんの可愛い装画と、ウクライナ出身の小説家とのことで気になり購入。内省的で淡々とした独特の文体は、可愛い表紙とのギャップに戸惑ったがすぐに慣れた。ページをめくるごとに物語の魅力に引き込まれ、不条理な展開にもかかわらず読んだ後まで心地よい余韻が残る。ペンギンとの奇妙な生活はペーソスとユーモアの間で揺れ動き、掴みどころのない魅力のある物語になっていた。 時代の不穏な空気のなかで、奇妙な生活が淡々と進んでいく。どこか寂しそうなペンギンを心配するヴィクトルだが、彼もまた常に満たされない孤独を感じている。孤独がテーマとなっていることは確かで、Wikipediaによるとクルコフは7歳の時に飼っていたハムスターの孤独をテーマに詩を書いていたらしい。まだ読んでいないが動物が登場する作品も多く、街で飼われる動物に孤独な自分を重ね合わせていたのではないか。 登場人物も孤独な人が多い。動物園から売られたペンギンのミーシャ。〈ペンギンじゃないミーシャ〉の娘のソーニャ、ミーシャの元飼育員のピドパールィ、子守りのニーナも街を好きになれずに自分の居場所を探しているようだ。ヴィクトルの日常には孤独と死が常に溶け込んでいて、それを紛らわすように人が集まってくる。彼らの何気ない普通の暮らしがとても愛おしく思えてくるのは、誰しもが持っている「孤独感」を引き出されるからだろう。 突然の結末に驚いたが、これ以上はないのではないだろうか。作者はどこか孤独を愉しんでいるようだった。
8投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログ憂鬱症のペンギンと暮らす売れない作家。死亡記事を書く仕事を受けたことで、じわじわと恐ろしいことに巻き込まれているようだ。それでも収入は増え、不穏な状況に目をつぶれば淡々と日常が過ごせているように思えなくもない。 正義なのか犯罪なのかよくわからないまま、「何か」に巻き込まれる感じが訳者後書きにもあったけど、村上春樹の羊をめぐる冒険に通ずる空気感。 ペンギンのミーシャの存在感が大きくて、愛おしい。 後半は特にザワザワしながら夢中になってすごーく面白かった。
16投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログ洋書は苦手意識があったが、これはめちゃくちゃ面白い。けど、難しい。憂鬱症のペンギンと男の人のささやかな日常
0投稿日: 2025.02.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
売れない短編小説家のヴィクトルは、動物園が餌代を払えないためにお払い箱となった皇帝ペンギンのミーシャを引き取ってキエフで暮らしている。新聞の追悼記事「十字架」の執筆記者となり、まだ生きている人物たちのもしもの時に備えて詩的な追悼記事を書き溜めていくが、彼が追悼記事を書いた人物たちは計画的に「処理」されていくようだ。彼自身もよく分からないままに命を狙われ、無自覚のうちに危機をやり過ごし、しかしある日別の男がヴィクトルの「十字架」を執筆していることを知る。そこに記されていたのは、政治的陰謀に加担し、多くの人物の死に関与しながら、最終的に自殺したヴィクトルの一生だった。 心臓病があり憂鬱症のペンギンミーシャについて、ペンギン学者は、本来南極で生きる体の構造になっているペンギンが、全く環境の違うキエフで生きるなら病気になって当然だと言う。解説にもあったが、1996年のキエフは、ソ連から離れたばかりのウクライナが混乱していた時期で、マフィアや犯罪グループが横行していたから、そんな社会不安もあるんだろう。が、ほのぼのしてるように見えて展開がホラー。鍵変えても誰かが夜中に家に侵入してきているようだとか、突然友人が4歳の娘ソーニャを預けにきてサンタさんとしてピストルと多額の現金を置いていくとか、知らない男が自分の愛人に近づいて自分のことを根掘り葉掘り聞いているとか、全体的にじわじわ怖い。あと謎にペンギンを葬儀に連れて行きたがる謎の男リョーシャも怖い。その葬儀は、ヴィクトルが十字架に書いた人たちのものだったと最後にわかるのも怖い。ペンギンがインフルエンザになって、心臓移植が必要で、4歳の子供の心臓でなければいけない、って言われたあたりで、ソーニャの心臓が移植される線かと思ったら違ってよかった。南極にミーシャを送り返す手筈を整えていたヴィクトルが、最後に一人で南極大陸委員会の人に会って「私がペンギンです」って言う結末が思いも寄らなくて、喜劇的で好きだ。ヴィクトルを殺すためにミーシャの病院で待ち構えていた人たちは拍子抜けしただろう。 ミーシャがかわいくて、私もペンギン飼いたい。うちの皇帝ペンギンの等身大のぬいぐるみにミーシャって名前つけようか。
2投稿日: 2024.12.30
powered by ブクログロシア語で書かれたウクライナ文学。 見せかけの平穏な日常の裏側に隠れる不穏な空気。そこにペンギンのミーシャという存在が、なんともいえないコミカルさを加えています。
0投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログ職もなく恋人も失った売れない作家である主人公ヴィクトルは,動物園から引き取ったペンギンと暮らしている.そんな彼に新聞社から「生きている人たちのXデイに備えて,事前に追悼記事を書いておく」仕事を依頼される.その仕事は軌道に乗るが,不思議なことに書いた追悼記事が次々に使われ,なぜか女児を引き取ることになり,また,ヴィクトルの周りでも不穏な事件が起こり始める.一体,この追悼記事は何なのか? 不思議なテイストなのだが,一応,ミステリーなのだろう.作者はウクライナ人.
0投稿日: 2024.10.26
powered by ブクログウクライナ戦争が始まったころにクルコフのウクライナ日記を読みこの本を買っておいた。今読んでみてものすごくエンターテイメント性あふれるサスペンス小説だった。独身の小説家の男が鬱のペンギンを動物園から引き取りペットとして対等な関係で生活をしていくシチュエーションも面白い。 新聞に追悼記事を生前から書いていき事件に巻き込まれていく話は不気味だ。 4歳の少女を引き取りその面倒を見る若い20代の女性と3人とペンギンとの愛のない生活を綴っていくところも男のやさしいキャラクターを表している。 ソ連崩壊後のウクライナの混乱した政情での設定だけど政治性もあると思うがエンターテイメントとして難しく読む必要もない小説だった。 最後40ページ余りの物語の展開は一気読みさせられた。
1投稿日: 2024.10.03
powered by ブクログロシア語で書かれた小説にしては読みやすかった。名前の呼び方が変わらなかったからだと思う。そこはロシアとウクライナの違いだな。 不思議ミステリーという感じだったが、印象に残っていることは、物語全体を覆っている寂しさや孤独感です。ストーリーが進むにつれて色んな人と交流して楽しんでいる主人公は、ふとした瞬間に孤独感?一人の感覚?を感じている。これは私も分かる気がするもので、人といる時は楽しかったりするんだけど、家に帰るとその楽しさが、家に帰った瞬間と連続していない感じがした。それは家の中に誰がいようと1人でいようと同じ。 また主人公にとってはペンギンだけが癒しの存在で、気にかける存在であり、そのおかげで、主人公がなんだか完成された世界にいる人という感じがした。そういう世界を作れた主人公が、ちょっと羨ましい感じがするかも。
0投稿日: 2024.08.08
powered by ブクログウクライナのキエフ(キーウ)でペンギンのミーシャと暮らす売れない小説家のヴィクトルは、ある日、出版社から「十字架」を書く仕事を依頼される。 不穏な空気+ペンギンの物語→ 1990年代、ソ連崩壊後のウクライナが舞台。戦後の日本にしか住んだことのない私には最初、とても不思議な気持ちになった。 家の外の世界はとても殺伐としているのに、ヴィクトルのキャラとペンギンのミーシャがその世界から少し浮いていて、それがとても絶妙。一気に読みやすくなる。→ でも、ペンギンのミーシャは動物園が閉園するタイミングでヴィクトルが貰い受けているわけだし、この時点で今の日本にはない感覚なんだよね。 終始この「感覚はわからないけど、何となくわかる」みたいな感じが魅力的なお話(語彙力なさすぎなんだけど伝わってー!) 読んでよかった(語彙力喪失)
6投稿日: 2024.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
閉館した動物園から引き取ってきたペンギンのミーシャと二人で暮らすモノ書きのヴィクトル。著名人が亡くなった際に新聞に掲載する通称「十字架」を書く仕事を引き受けるが、出先の宿では銃声で目を覚ましたり、引き受けた子供の親からピストルを受け取ったり、常に陰鬱な緊張感が続くロシア文学らしいウクライナ文学。 ソ連崩壊後のウクライナの世相をよく表していると解説にもあったが、まさにそのとおりだと思う。ミーシャは動物園という囲いの中から出ても、自分の属していない土地に居るより他なかった。ウクライナもまた、ソ連崩壊後、世界の中で自分たちの居場所を見失っていた。 ヨーロッパ(特に冬の寒さが厳しい地域)の文学では孤独な人間が不条理を押し付けられ、苦悶のうちに死ぬ。みたいな物語がちらほらあるように思うけど、これは厳しい冬がそういった無力感みたいなものを人間に与える面があるのでは、とも思う。
1投稿日: 2024.01.06
powered by ブクログ短編作家の主人公が謎の仕事を引き受けるが、 徐々に明らかになってゆく。 共に暮らすペンギンがなんとも魅力的。途中から一緒に暮らす彼女や子どもとの日常もほっこりするが、主人公は彼女らに愛はないと思っている。 最後のオチがあっと言わせる。 旧ソ連ぽいなーと思わせる管理統制社会、闇社会の面影。
0投稿日: 2023.11.26
powered by ブクログ初めから終わりまで薄暗く、不穏であり、春の陽射しのように温かくありながらも、常に冷気が優しく吹いているような小説でした。 このあと、彼らはどうなったのか? そんなふうに思わせる小説、僕は好きです。
0投稿日: 2023.11.10
powered by ブクログ面白い。 村上春樹風のカフカ、あるいはカフカ風の村上春樹でもいいけど。 (ブラック)ユーモアあふれる名品。
0投稿日: 2023.10.18
powered by ブクログ孤独について深く考えさせられる本 人は皆それぞれが違う形で孤独を抱えていると思わされる。 全体を陰鬱な雰囲気が包んでいるがそれを感じるのもまた良い読書体験 ペンギンがそれを緩和してくれる
0投稿日: 2023.09.09
powered by ブクログ憂鬱症のペンギンと売れない小説家。もう、これだけで面白い。 不可思議でどこか、現実と空想のあわいに惹き込まれるような物語。 どことなく村上春樹を想わせる文章ですが、訳者のあとがきを読んで納得。 続編が出ているらしいけれど、どうやら15年以上経った現在でも日本語翻訳は出されていないそうで、残念。 さて、本作はソ連解体後のキエフを背景にした物語。 「人生の本質が変わったからといっていちいち考えこんだりしてはいられない。」 と作中にあるように、当時の人たちの、激しく変わる社会に、いちいち反応してたらやってられない、みたいな感情が窺えます。 これは、たぶん私たちも同じで、自分の人生に起こっていることの意味や、日々労働していることのその先なんて、いちいち考えながら生きていくことなんてできないし、問題や困難を避けて生きていくほうが良いとも思える。 そんな暗い背景がベースにありながらも、ペンギンとソーニャ(預かることになった子供)ニーナ(ベビーシッター)が間に入ることでどこかコミカル、そしてこの関係を通してヴィクトルの感情の変遷も伝わってきます。
1投稿日: 2023.09.03
powered by ブクログ憂鬱症のペンギン・ミーシャと暮らす売れない小説家のヴィクトルは、生活のために新聞の死亡記事を書き始める。 ペンギンの話と思いきや、少し幻想小説のような不思議な雰囲気もあってとても好み。部屋をぺたぺたと歩くペンギンも可愛い。
0投稿日: 2023.06.23
powered by ブクログ俳優さんが読んでいたということで図書館で読んでみました。 ウクライナの作家が書いた文学だとは知らず偶然でした。 常に曇り空のような話でした。 「南極探検隊」はどういう団体なんだ・・。
0投稿日: 2023.06.14
powered by ブクログ孤独なひとりの売れない小説家と一羽の憂鬱症のペンギンが巻き込まれていく、日常に混じりゆく不穏な気配とその真実を繊細かつユーモラスに描いた物語。ミステリ要素も含み、ペンギンはとてもかわいく、楽しく読めました。 豊かに風景を描き上げる繊細な文体でつづられるのは、危うい社会情勢。地雷が埋められて爆発した死体がそばにあろうと、マフィアのもめ事に巻き込まれて人が次々といなくなっても、日常はバランスを危うく揺るがせながらもつづいていく。別荘を持つ夢を見て、ペンギンと寄り添う暖かさに心を和ませる。ずいぶん前に描かれた物語ですが、小説全体に漂っている漠然とした仄暗さは2023年現在の社会情勢を考えると安定した平和などないままだったのだろうか、などと暗鬱な思いを引き出されます。 ペンギンの描かれ方はファンタジーに近く、空想の生き物、いってみればマスコット=象徴的な存在として描かれているんでしょう。そんなペンギンを明るく無邪気とした存在としてでなく、憂鬱症という個性を持たせたことで、小説家とより深く寄り添えるようないとしさを持つ存在として成り立たせているように思えました。 ……この終わり方ではミーシャはどうなったのかとやきもきしたのですが(結末の付け方としてはとても巧いとはいえ)、邦訳はない続編のあらすじを聞いて少し安心しました。
2投稿日: 2023.06.08
powered by ブクログ異国情緒ある静かで不穏でダークなミステリー。映画を観てるみたいだった。 政治としてのロシアは到底許されないけれど、文学芸術に罪はないと思って、ロシア語文学を読んでみたくなった。作者はウクライナ人で、ロシア語で執筆されている。
1投稿日: 2023.04.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「鬱のペンギンと暮らす売れない小説家」っていう設定だけで読みたくなった! そうか、ヴィクトル=ミーシャだったのか…。 ヴィクトルの周りで、その一つ一つが人生の転換点になるような出来事がたくさん起こっているのに、何の起伏もないまま淡々と物語が進んでゆく。 ラスト付近でついにヴィクトルが能動的に動き出したところで、やっと話が盛り上がる。 たまに、「自分の人生何も起こらない、つまらないものだな」と思うことがあるけど、もしかして自分が無関心だっただけなのでは、と反省した。
0投稿日: 2023.03.24
powered by ブクログペンギンとヴィクトルが互いに依存関係であり「憂鬱症」を通して重なりあう様子がとてもうまいなと思った 追悼記事を書く仕事を訝しく思いながらも、深くは知ろうとしないとことか、とにかく生活ができればいいと思ってたところとか、ヴィクトルがなぜこんなにも物事に無関心でいられるのかが不思議だった 作品に終始漂うヴィクトルの諦念とその受容は、ウクライナが新生国家で情勢が不安定だったことが大きく関係してるんだろう でも途中に出てきたペンギン学者のおじいさんが亡くなったことはヴィクトルのかすかにあった生への執着をかなり吸い取った気がするな 最後はヴィクトル=ミーシャだったということか……… そしてどんなことがあっても生活は続くのだと思わされた
0投稿日: 2023.02.22
powered by ブクログ憂鬱症のペンギンを飼う作家の男。これといった希望もなく、なんだか曇天のイメージ。国家を揺るがす陰謀?に巻き込まれるのに気が付かない。気づこうとしない。偶然が重なってできた疑似家族を守るため?でも心許すのはペンギンだけ。ペンギンはどうかわからないけど。少しだけミステリ。最後まで曇天。でもなんか惹きつけられる面白さ。
0投稿日: 2023.02.03
powered by ブクログ主人公が不穏な世界に引きずり込まれるミステリアスな過程が語られるが、そんな中で友人、子ども、ベビーシッターと疑似家族が増え、結構のほほんとした毎日が続く。寒さのせいかお茶やアルコールを飲む描写がやたらと多く、それで不安を振り払うのが習慣のように見えるのはお国柄? タイトルのペンギンは、ひと言も発しないのに素晴らしい存在感だ。ペンギンの動きひとつがこの不安定な世界に不思議な安らぎを与える。作者がペンギンを飼ったことがあると誤解されるのも納得。 ただこの不条理の世界には、残念ながら馴染めなかった。(村上春樹も苦手) ラストの急転直下オチには(-.-)y-゜゜゜ 主人公よりもペンギンの安否がひたすら気になった。 またロシア語原文の特徴なのか、一人称と三人称の視点が曖昧。
2投稿日: 2023.01.17
powered by ブクログ[残す本] 春先に書店でカバーに惹かれて買った本。 会社を辞めてしまう同僚に最後に会った時におすすめの本として紹介したら、ウクライナの作家さんだよね、と言われて、書店に並んでいた理由を知った。 これから亡くなりそうな著名人、通称「十字架」を見つけては、追悼記事を書くという仕事を任された売れない小説家ヴィクトルと、一緒に暮らす憂鬱症のペンギン。 全編、寒い国で薄青い空気の中、静かに大きな物事が淡々と進行していく。皮肉の効いたラストは、救いにも、絶望にもとれる。 渋谷の地下のマックで読んだ時、あんなにも人がいる街なのにそこだけは全然人がいなくて、緑っぽいネオンの中1人だけになった感覚がとてもぴったりだった本。 たくさん人がいる街で、自分しかいない場所を見つけたら、ぜひ読んでみて欲しいです。 [ 300ページ以上で残った本 ] __________________ 家が狭いこともあり 捨てる本/残す本 を感想を添えて紹介してます☺︎
1投稿日: 2022.11.30
powered by ブクログウクライナの状況が描かれた小説である。といっても戦争ではない。主人公がペンギンを動物園から譲り受け、さらに新聞社から生きている人が死んだ場合の追悼文を書く仕事をしている。子どもを知り合いからあずかり、さらに編集長が行方不明になり、ペンギンの飼い主も死亡する。話が最後まで見えない小説である。
0投稿日: 2022.10.30
powered by ブクログソ連崩壊直後のウクライナ、売れない小説家のセルゲイは恋人に去られ、動物園からペンギンを1匹引き取る。 ペンギンのミーシャと共同生活を始めた頃、新聞に追悼文を書く仕事を得る。追悼文と言っても、亡くなった人ではなく存命の著名人について亡くなる前に準備しておく…という奇妙なものだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 現在のウクライナとは違うけど、この当時のウクライナの社会が先行の見えない不安に混沌としていた様子が伺える。登場人物達はみな淡々と日常生活を送っているが、足元に不安が燻っている。 数ページ読んで感じたのは 「村上春樹みたい」 だった。初期のハルキ作品に何となく似ている。と同時に安部公房の不可思議さやポール・オースターの形の見えない不安要素もある。 不安の原因が何なのかわからない恐怖、並行してゆったりと繰り広げられる日常。話の展開が読めないので、ハラハラと楽しんで読めた。
3投稿日: 2022.10.26
powered by ブクログ売れない短編作家と、憂鬱症のペンギンの話。 最近急に寒くなってきたけど、ひんやりした空気の中で読むに相応しい小説だった。 ウクライナ人の作家の作品だけど、ロシア語で書いているのが原因か祖国ではあまり読まれず、むしろ翻訳されたものがヨーロッパでよく読まれているっていうのが小説にも何となく微妙に曇りっぽい印象を与えている気がする。 売れない短編作家にたまたま舞い込んできのは、新聞に掲載する追悼文をその人が生きている間に書く仕事だった。 生前の悪に、多少なり哲学的意味を与える文章は短編作家の才能を引き出してくれたけど、奇妙なことが次々に起こる。 クライマックスは憂鬱症のペンギンのために手配したある計画が、本人の決められた運命を変える手段になる。(と言っても救済とかハッピーエンド印象は全くない) とにかく憂鬱症のペンギンがの描写がめちゃくちゃ良い。 後半で、葬式にペンギンを出席させるのが流行るんだけど、ちょうど喪服みたいな見た目しているペンギンは葬式の場に相応しいって納得してるのが面白かった。 実際はどうなのかは別として、物思いに耽っているペンギンの様子は想像するだけで雰囲気があ流。元気なやつじゃなくて、群れから逸れ気味の切ないペンギンを見に行きたくなった。 #アンドレイクルコフ #憂鬱症のペンギン
0投稿日: 2022.10.07
powered by ブクログ鬱々とした雰囲気なんだけど、読めてしまう。ただ思ったよりページ数は多くて淡々としているけれど、文章自体は読みやすい。 単純にペンギンが出てくる本なら読んでみようかな!なんて思っただけなんだけれど、思いもよらない陰謀だとか。読んでいくに連れてそういうことかーと思いました。 続きがあるみたいだけれど、翻訳はされていないらしいので、もどかしい。
0投稿日: 2022.10.05
powered by ブクログソ連崩壊後のウクライナが舞台 翻訳本ですが、読みやすい文体です 薄暗い雰囲気の世の中に、売れない小説家と鬱病のペンギン、知り合いから預かった子供。 疑似的な家族と追悼記事の仕事 なんとも不思議な設定ですが、読後はウクライナの複雑な歴史について知りたくなります。 鬱病のペンギン、その後どうなったんだろう…
1投稿日: 2022.09.22
powered by ブクログ奇妙な物語だった。ストーリーに抑揚は感じさせず、憂鬱症のペンギンのほか、追悼文、複数の知り合いの死去、葬式参列のバイトといった死に関わるものが扱われているせいか全体的に陰鬱な雰囲気となっている。そこに挟まる幼児や食事とコーヒー、性の描写などの生的なものの描写が対比となっている印象だった。最後は自暴自棄となったようにも見えた主人公が旅立つところで終わるが、それが生と死どちらに向けてのものだったのかは分からない。 あとがきでも指摘されているが、村上春樹の作品に似ている感じがした。
0投稿日: 2022.09.09
powered by ブクログソ連崩壊後に独立して5年が経ったウクライナを舞台にした物語。行き場のない男と女と女の子とペンギンがパッチワークのように寄せ集まって家族の様相を呈している不思議な関係。もしかしたらヴィクトルとミーシャ(ペンギンの方)は互いが分身なのではないかと穿って見る。そうでないとしてもヴィクトルにとって一番気の置けない相手であることには相違ないだろう。主人公ヴィクトルが暮らす街に漂う不穏な空気やその中でじわじわと抜き差しならない状況に追い込まれていく様は当時のウクライナが置かれた社会情勢の影響が色濃く出ていて、読んでいる方もどこか息苦しさのようなものを感じつつページをめくることになるが、この後、登場人物たちはどうなっていくのかとハラハラしながら読み進めていくことになるのもまた事実。本作が書かれた頃の作者や国、世情と現在の作者や国、世情などを考えると、えも言われぬ感慨に襲われる。
1投稿日: 2022.07.01
powered by ブクログ2004年初版。ロシア語の翻訳作品。翻訳本の難解さは、あまり感じません。読みやすかった。でも、内容の鬱々とした感じを、もっと出してくれたら良いのになあという感じも持ちました。ソビエト連邦が崩壊して独立したウクライナが舞台です。異文化を強く意識しました。コーヒーとお酒を合わせて飲むなど。ミステリー小説だと思うのですが、私的には納得の行かない部分も多々あります。当時のウクライナ自体にも憂鬱なムードが蔓延していたんだろうなあと思わせます。今現在、ロシアとの戦闘が続いているウクライナの憂鬱さは救いのないものなのでしょうね。
13投稿日: 2022.06.25
powered by ブクログウクライナ人の作家 1961年生まれで同い年で親近感あり 彼女がいなくなったがペンギン、知り合い野瀬娘、 ベビーシッターと家族が増えて行くが最後はまた一人に? ペンギン学者の遺言で家に放火、これはいけない 月末は自分の死亡記事が書かれる
0投稿日: 2022.06.05
powered by ブクログこれは決してハリー・ポッター的な話ではないし、ペンギンというのはヘドウィグではない。 なぜそんなことを言うかというと、はっきり言って、翻訳が、ハリー・ポッターというか、児童書っぽいからだ。 もともとの小説のテーマというか、雰囲気にあっておらず、小説そのものの方向性が変わってしまっている。 例えば、以下のシーンーー 「行こう……」セルゲイが少し毅然として言った。 「でも、どっちに?」ヴィクトルはあちこち見回して聞いた。「どこだろう」 「どっか近くだよ……」ーー ハリーとロンが女子トレイで嘆きのマートルに出会うシーンといわれても違和感がなさそうな雰囲気だが、これは、40代の男性二人(うち一人は警官である)が、真夜中の森で地雷で吹き飛ばされた変死体を発見するシーンである。 ともかく、雰囲気がだいぶ変わってしまっている可能性があるが、この小説は決してハートウォーミングなファンタジーでなはく、どちらかというとハードボイルドである。 テーマは、「孤独」「疎外感」といってよい。 (そもそも、原題の「Смерть постороннего」は、直訳すると「異邦人の死(Death of an outsider」だ) ストーリー上の大きな特徴であるペンギンのミーシャは、本来いるべき場所以外で一人(1羽)生きざるをえない者の象徴である。 極寒の南極で生活するように体の構造ができているのに、(比較的)温かいウクライナで主人公に引き取られ、憂鬱症に陥ってフラフラと生きている。 で、それは実は主人公である小説家(というほどでもなく、ライターがちょうどいい)ヴィクトルも、彼に預けられた活動家の娘も、彼らに雇われたベビーシッターのニーナも、みんな同じなのである。 本来的に孤独なものが、身を寄せあって生きている。 その意味を、割とハードなストーリー展開(というふうに見えないのは、ひょっとして共産圏たるウクライナでは当たり前の日常なのだろうか)の中で考えていくのが本作である。 だから、可愛らしいタイトルと、表紙と、児童書ぽい翻訳に惑わされてはいけない。 特にラストの展開は、猟奇的というか、もはやサイコパスである。 心して読むべき一冊である。
0投稿日: 2022.06.02
powered by ブクログ1990年台、ソ連崩壊後のウクライナが舞台のサスペンス小説。治安が良くなく理不尽な死と隣り合わせの暮しの中で、売れない小説家が企みに巻き込まれて行く。小説家がペンギンと暮らしているという設定が奇妙ではなく、不安定な社会状況の暗示のように感じさせられた。作品全体を覆う静かな不穏な雰囲気と、暮しの中にペンギンがいるユーモラスな雰囲気のバランスが絶妙な物語。 #ペンギンの憂鬱 #アンドレイクルコフ #クルコフ #沼野恭子 #新潮社 #新潮クレスト #読書 #読書記録2022 #読書記録
2投稿日: 2022.05.31
powered by ブクログひゃー面白かった⭐️不穏な空気がずーっと続くところどころでホッとしたり笑えたりオシャレだったり、、、ペンギンのミーシャ、そう、ペンギン。コレが犬や馬やネコだったらこの世界は表せなかっただろう。不条理な恐怖、ソ連崩壊直後のウクライナ、、この本、私の中では上位。ミーシャはどうなったんだろ、そしてヴィクトルは?
0投稿日: 2022.05.30
powered by ブクログ現代ロシア文学に触れたのはこれが初めてで、おもしろいテーマに沿って読んでいくといつの間にか、あ、そういう話?とわりとすんなり受け入れられた。
3投稿日: 2022.05.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本屋さんで待ち合わせ中に寺田順三さん?の表紙に惹かれて読み始め、試し読みで終わるはずが続きが気になって買って帰ってしまった。 最初は寝る前も読み進めたくて読んでいたけど、途中から今のウクライナの現状と小説のストーリーが心をもやもやとさせ続きが気になるけれど眠る前は読めない心境の展開に。 最後は落語のようなオチに、やっぱり小説だったんだと小説の中に引き戻されて、一点放火の火の赤がさす以外、終始雪と薄曇りのモノクロの重いイメージの中読み進めてきて読後感が悪くなるはずだったのにスッキリしている。 続編はもちろん他の作品も読みたくなった。
0投稿日: 2022.05.03
powered by ブクログ始終空気が重かった、少し希望が見えたと思ったら絶望に通ずる道だった。でも救いはあった。 外国文学なので登場人物の考え方が予想外だった。 カバーストーリーに重要なことは真実味より事件が起きたことを仕方がないと誘導することだと思った。
1投稿日: 2022.04.29
powered by ブクログ読書会に参加するために読みました。 作者のことと、小説の舞台の1996年前後のウクライナの状況を検索してみました。 作者アンドレイ・クルコフ: ソビエト連邦のレニングラード(現在はサンクトペテルブルク)に生まれ、3歳のときにウクライナのキーフに移住した。作家としての執筆はロシア語で行っている(ウクライナの公用語はウクライナ語。キーウではロシア語もウクライナ語も通じる)。 しかしロシアではクルコフの小説は数年前から発禁扱いらしい。 そして今回の戦争に際して「ロシア語の使用制限を支持」(https://www.jiji.com/jc/article?k=20220216042633a&g=afp 2022年02月16日付の記事)という立場を表明している。 ウクライナ: 1921年:ポーランド・ソビエト戦争終結し、西ウクライナはポーランド領、その他はソビエト領となる。ポーランド側では、ポーランド政府によるウクライナ人への弾圧が行われた。 1922年:ソビエト連邦が結成される。ウクライナ社会主義ソビエト共和国はその一員となる。当初ロシアはウクライナの自治を認めたが次第に統制を強めた。 1934年:ソビエトのウクライナの首都がキエフになる。(2022年現在日本では”キーウ”表記になった) 1954年:クリミア半島がロシアからウクライナへ移管される。(⇒2014年にロシアがクリミアに派兵してクリミアを併合する) 1986年4月26日:チェルノブイリ原発事故発生。 1991年8月24日:ソビエト連邦崩壊に伴い、ウクライナは独立宣言して、新たな国家ウクライナとなる。 ※この小説の舞台は1996年 2004年:大統領選挙不正を巡る「オレンジ革命」始まる。 2022年2月24日:ロシアが「特別軍事作戦」と称するウクライナへの侵攻開始。(ロシアはウクライナに宣戦布告していないので公式には「戦争」ではなく「特別軍事作戦」。工エエェェ(´д`)ェェエエ工ー) ではレビューに入ります。 なお、小説では首都を「キエフ」表記していますが、2022年現在呼び名が「キーウ」に変更になったため、こちらのレビューでもキーウと書きます。 === キエフに住むヴィクトルは、小説家志望だが書き上げたことはない。 もうすぐ40歳、彼女はその時時でいたが、どうも長続きしない。最近の彼女も一年前に出ていった。その頃家にペンギンが来た。 そう、現在のヴィクトルの同居人は、動物園で餌代が無くなったので動物たちを放出したときにもらいうけた、ペンギンのミーシャなのだ! 小説としてはペンギンのミーシャがアパートの一室で生活していることが当たり前に書かれているので読んでいる方もそのまま受け入れる。ミーシャは感情は見えない。後に元動物園の飼育員の老人ピドパールィに聞いたところでは、ミーシャは南極からウクライナに連れてこられて憂鬱性を患っているらしい。 ヴィクトルはとくにペットというわけでもお友だちというわけでもなく当たり前に一室で生活を共にし、外出のときは外に連れ出す。ミーシャも呼べば来るくらいには慣れているが、二人(一人と一匹)の関係はじつにクールな感じ。 そんな日々を過ごすヴィクトルは、新しい新聞を刊行した新聞社に小説を持ち込んだ。 数日後、新聞社編集長イーゴリから連絡がきた。もらった仕事は「まだ死んでいない人の追悼記事を書くこと」。よくわからないが「追悼記事」という新たなジャンルのショートストーリーを書けば良いんだね。記事の名前は<十字架>と呼ぶことにした。ヴィクトルは編集長イーゴリから渡された人物ファイルを元に追悼記事を書く。 この<十字架>の文章も、人物ファイルを元にしたり取材に行ったり、他の人間や秘密の事件との関係を仄めかし、美辞と皮肉を混ぜた文体でなかなかの力作揃いだが、書かれた人が死なないと表には出ない。ヴィクトルは少しの不満を感じる。 ヴィクトルは仕事を介して知り合いが増えていった。 新聞社から紹介されたというミーシャ(<ペンギンじゃないほうのミーシャ>と書かれる)と、その4歳の娘のソーニャ。そしてヴィクトルが地方都市ハリコフに取材出張したときにミーシャの餌やりを依頼した地区担当警官のセルゲイ。 セルゲイは、純粋スラブ系人種なのになんとなくユダヤ人風の名前にしているというちょっと変わったところもある好青年。少尉の地位を持っているので、このころの警官は軍人なのですね。ヴィクトルとセルゲイはプライベートでもお友達になり、ミーシャを含めてお出かけするようになる。 ある日イーゴリから電話がかかってくる。「デビューおめでとう!」 ヴィクトルが書いた追悼記事の政治家が事故死したのだ。 この後も、ヴィクトルの<十字架>の人物の死が続くようになる。 中には、自分が先に書いた記事の後追いのような状況が起こることも。 そして<ペンギンじゃない方のミーシャ>は、「しばらく身を隠さなければいけなくなったから、娘を預かって欲しい」と言って姿をくらます。 それでもヴィクトルは、ペンギンのミーシャ、ソーニャと暮らしながら<十字架>を書き続ける。 ウクライナでは、通りで銃声が響くことは日常的だし、田舎の別荘地では泥棒避けに地雷を埋めているし、道に死体が転がっていることもあるし、アパートの一室で火事を起こしても大騒ぎにもならない。テレビが白黒だったり、サンタがくるのが12/31だったりという、地域習慣の違いも見られる。新聞の社説では「戦争は終わっていない」という記事が載り、どうやら怪しげな組織は人物の気配もする。しかし人々はフレンドリーで、初対面でもすぐに親しくなったり、欲しいものやしてほしいことを遠慮なく相手に告げたりする。 自分が関わった人が危なくなることは嫌な気持ちにもなるが、それでも生活しなければならない。 だが危険はヴィクトル、そして編集長イーゴリにも及ぶ。 新聞社を訪れたヴィクトルは、自分が書いた<十字架>に未来の日付で決済されていることを知る。 自分の追悼記事により死ぬ人が選ばれているのか? ヴィクトルに聞かれた編集長イーゴリの答えは、自分たちは新聞社といっても実態は”国をほんのちょっと良くしようとしている数人”なんだ、ということ。そしてヴィクトルに「仕事の意味を知ったら最後、お陀仏だ 知りすぎてお陀仏になるんじゃない逆だよ。君の仕事も、ついでに君の命ももう必要ないって段になったら、そのときすべてわかる」と告げる。 警官の友人セルゲイはモスクワへの出向に旅立った(ロシアから独立した今でもモスクワ勤務は出世街道らしい)。 代わりにやってきたのは、セルゲイの姪で20歳のニーナ。ヴィクトルがソーニャへのベビーシッターのために雇った。やがてヴィクトルとニーナは関係を持つ。ヴィクトル、ニーナ、ソーニャ、ペンギンのミーシャは、疑似家族のようになる。本当に家族になるのか?と想像しないこともないが、あくまでも”疑似”の関係だ。 ヴィクトルはついに、仕事の意味と「自分の命が必要なくなった」と知ることになる。新聞社で自分の<十字架>を見つけたのだった。 どうやら、ヴィクトルは、自分が組織の殺し屋で、考えに反する相手を始末して回っていると思われていることを知るのだった。 === ウクライナでごく普通の日常を送る人々の背後になんとも不穏な社会情勢が伺い知れる。 まだ死んでいない人間の追悼記事を書くということも、新しいジャンルの小説を書いたら好評を得たという感覚もそのまま受け止めてしまう。 不穏な社会であっても、人々は初対面の相手でもすぐに親しくなったり、お互い要求しあったりという案外近い距離感がある。そしていよいよここにいられないとなったら、あっさりとそこから去る身軽さもある社会情勢を感じる。 ペンギンのミーシャも、慣れるわけでもなく冷たいわけでもなく、ただただそこにいる。 小説の展開で心配だったのが、このペンギンミーシャが終盤諸事情によりヴィクトルの住居から離れてそれっきりということ。ヴィクトルが確認すると「元気だよ」という返事なのだが、ペンギンミーシャは殺し屋ヴィクトルの象徴と思われて消されちゃったんじゃないでしょうね。 私が読んだ感覚では、ペンギンミーシャがいなくなったからこそ、ラストでヴィクトルがミーシャに成り代わるというような流れなんだろうかと思ったんですが…。 ※サンタが12/31に来るの?の件を読書会で教えていただきました。 ロシア正教(ウクライナ聖教)の場合1/7がクリスマスで、12/31におじいさんと雪娘がプレゼントを渡しに来るのだそうです。
22投稿日: 2022.04.28
powered by ブクログ小説家 アンドレイ・クルコフは、このところウクライナの現況を発信しており着目されている。代表作『ペンギンの憂鬱』は欧州でも人気だったらしく、しっとりしたサスペンス作品で読み応えがあった。 平凡な光景が淡々と綴られているようでありながら、ペンギンと同居し、いつの間にか女性と同居し始め、日常が実はじんわりと妙な変化をしてきている描写が見事だ。物書きである主人公が、美味しい話と思って受注した死亡記事を書く仕事も、ゾワゾワする展開に静々とかわっていく。ふと立ち位置を確認してみて気がつくと、かなり奇妙な生活に陥っていることを、読み進めると我が身のことのように体感している。 この境遇が、読み手も気がつかずに忍び寄ってくる様が凄いし、ダレずに物語は自然と進行するのも著者の力量である。そしてラストもストンとした幕切れでお見事であった。物語の舞台はキエフ(キーウ)やハリコフ(ハルキウ)、どことなくウクライナの土地の雰囲気も味わえるし、キエフの不穏な空気感は物語故なのか、現地の実際の空気感なのかは確かめたいところである。 <ウクライナ関係書籍紹介> https://jtaniguchi.com/books-recommended-ukraine/ <その他の書籍紹介> https://jtaniguchi.com/tag/%e6%9b%b8%e7%b1%8d%e7%b4%b9%e4%bb%8b/
14投稿日: 2022.04.27
powered by ブクログウクライナ作家のクルコフ…初めて知って、読んだ。 ソ連が崩壊してウクライナが独立した直後の、犯罪が横行しマフィアの暗躍する「過渡期」の都市キーフ(本中はキエフとあるけど、なんか嫌でキーフと言いたい)が背景としてストーリーが成り立っている。 主人公ヴィクトルとペンギンのミーシャ。そこに少女ソーニャ、ベビーシッターのニーナが加わっての擬似家族的な共同生活。 生活はとても質素で全体的に寒々しい上に、お互いを想い合っているとは言い難いような人間関係も寒々しい。 今、様々報道で頻繁に聞く地名がたくさん出てきて、なんとも切なかった。本中のウクライナは寒くてもしっとり綺麗な街並みが思い浮かべられような所だ。 ヴィクトル、ミーシャ、ソーニャ、ニーナ、みんな無事でいますように。
9投稿日: 2022.04.14
powered by ブクログソ連崩壊直後のウクライナ。動物園から譲り受けたペンギンと暮らす無名作家ヴィクトル。彼は存命中の著名人の死亡記事を書く事になる。書かれた人は次々不審死をとげ、彼自身も危険な状況に追い込まれていく。最後のオチが良い。 非人道的状況が早く終わりますように。
14投稿日: 2022.04.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
訳者の沼野さんもあとがきで書いているようにどことなく村上春樹を思わせる雰囲気のある作品。ロシアによるウクライナ侵攻を受けてウクライナ関連のものを読む中で手に取った一冊。ニュースに登場する都市が次々と登場する。どことなく不安定でこの幸せと言っていいのか分からない、ペンギンのミーシャと女の子のソーニャ、そしてシッターで恋人のニーナの関係、この関係の危うさは文章から伝わってきて続いてほしいなと思うのだけれど、それが崩れてしまうことも予感させられている。ミーシャの病気ぐらいからその兆候は表現されていて、そして自分の追悼記事が書かれてしまう。そして最後はその運命から逃れようと南極への航海に旅立つ。 訳者も言っているようにこの小説からウクライナの情勢を象徴的に読み解くのは非常に安易なのだが、この不安定さどことなく希望はなく、かと言ってうっすらと希望もありそうで、そして暴力は隣にある感じ、これがウクライナという国であり土地なんだろうな、という気もした。
1投稿日: 2022.04.09
powered by ブクログキエフのアパートにミーシャと名付けた皇帝ペンギンと住むヴィクトル。短編を新聞社に持ち込むが、短編の腕を見込まれ「追悼文」を書く仕事にありつく。その仕事をやり始めてから、新しい人脈が手をつなぐように現われる。「ペンギンじゃないミーシャ」、その4歳になる娘ソーニャ、ハリコフに出張の時エサやりを頼んだ警官のセルゲイ。「追悼文」は出版社では「十字架」と呼ばれ、リストを渡され、生者の「十字架」を書くようになる。 やがて、ペンギンとソーニャとヴィクトルの生活が始まる。部屋の雰囲気はなんともいえない不思議感。何かを考えているかのようなペンギン、気が向けばペタペタと寄ってきて白い胸毛をヴィクトルの膝にすりよせる。ソーニャはペンギンと意思疎通ができるようだ。このなにかおかしな登場人物たちの動きにたまらなく惹かれた。 が、生前「十字架」は不穏だ。はたしてその人物が死に、ビクトルの文が新聞に載るようになる。その裏に隠された真実は何?と編集長に聞くと、「知らない方がいい」 なにかこのへん、現実の政治の裏側をもじっているのか?という気さえする。 果たして、現実は、物語の上を行く悲惨さになってしまっている。 この本の出版は1996年、時代設定も同時代のように思える。キエフに住み、ハリコフに出張! 以前ならどこだ?となったハリコフも連日戦火地図を見ているので、場所はすぐわかる。96年にはささやかな日常があった。・・しかし停電があり、ロウソクを灯したり、ペンギンはエサ代の無くなった動物園が希望者に放出したペンギンなのだ。独立して数年、なにかきな臭い雰囲気はある。 友人の警官セルゲイの車の名は「ザポロージェツ」 検索すると、ウクライナのメーカー、ザポリージャ自動車工場で1960-1996まで生産され、名前はザポリージャ州または男性の名が由来とある。・・ここも連日報道されてる都市名で原発がある都市だ。 訳者あとがきで、どこか村上春樹の雰囲気に似ている気がしてならなかった、と書いていたが確かにその雰囲気を感じる。訳文の文体もちょっと似ているのかも。何かちょっとヘンな登場人物たち。だけど気持ちはまっとう。登場人物の回りは正直な空気が漂う。しかしその回りはゆがんだ渦がある。作者のクルコフ自身も「羊をめぐる冒険」が好きだとのことだ。 1996発表 2004.9.30発行 この本はウクライナ侵攻があってからブクログメンバーの書棚で知ったのだが、レビュー数が今時点で216もある。時期はずいぶん前からだ。今回の事件に関係なく読まれていたんだなあ。
9投稿日: 2022.04.08
powered by ブクログ毎日クルコフ氏のSNSを見て無事を確認している。この本とは発売当時に出会い、私を新潮クレスト・ブックスへ導いていくれたうちの1冊(もう1冊は『朗読者』)。今手元にないので応援の気持ちを込めて購入。当時はペンギンと暮らすという設定に魅かれて読んだ。新聞の追悼記事を匿名で書く作家のヴィクトルとうつ病のペンギンのミーシャと妙な縁で預かることになった少女ソーニャとその子守として雇った娘ニーナの疑似家族的4人暮らし。私もペンギンに胸を膝に当てて甘えて欲しい。ヴィクトルに常に付きまとう死の影が作品全体にも不穏な影を落とす。当時はソ連崩壊直後の混乱と暗さを表現していると思って読んだが、今またウクライナはロシアの暴力下に。頁を繰り始めてすぐにキエフ、ハリコフ、オデッサと最近馴染みになってしまった地名が並ぶ。こんなに連日ニュースで見るようなことになるとは。そしてキエフ市内の大通りも。今どうなっているのだろう。クルコフ氏はペットの猫とハムスターと国内避難。キエフでは動物園に食料を持参したり、動物を引き取る市民が(それにしても豹って!)。クルコフ氏のツイッターに爆弾が降り注ぐ下にペンギンがいる絵が。一日も早く戦争が終わるよう祈る。
6投稿日: 2022.03.09
powered by ブクログこの、薄暗くて冬寒い雰囲気がロシア文学って感じがして、とても好みだった。 場面の節々でよぎる不穏な気配が、楽しく朗らかなシーンであっても常に緊張感をもたせに来る。だから、可愛らしいペンギンのミーシャがいても、彼の憂鬱そうな面持ちは、この作品全体を表していたのだなぁと、読了後に感じられる。 いつもどおりの風景も、中身を覆っているものが剥がれ落ちれば、噛み合わないような気持ちの悪さにまみれている、というシーンがあったが、読んでいてサルトルの『嘔吐』らしい感覚だなと思った。 実存的な憂鬱は、当時の社会の雰囲気を描写しようとしていたのかもしれない。 結末は、ヴィクトルの運が最後の最後まで尽きることのないように祈りたい気持ちになった。 翻訳が良いのかサラリと読めた。 現代のロシア語小説を初めて読んだので、良い印象が残ったのは嬉しかった。
2投稿日: 2022.03.01
powered by ブクログソ連崩壊に伴うウクライナ独立直後の社会不安、汚職要人暗殺等の政治的混乱を背景にした、追悼記事作家ヴィクトルと憂鬱症のペンギンのミーシャ、四歳の少女ソーニャ、ベビーシッターのニーナの奇妙な共同生活。集団で行動するペンギンが集団から離された時の戸惑いを、ソ連から離れたウクライナの生活環境の変化への不適応の日常に擬して描かれる。 「この人生、なんだかしっくりこない」自分の足元を見て歩きながら思った。「それとも人生そのものが変わっちまって、前と同じくシンプルでわかりやすく見えるのは外側だけなのか。中身はまるでメカニズムが壊れたみたいだ。見慣れたものだって、中身はどうなってるんだかわかったものじゃない。ウクライナのパンだろうと、公衆電話だろうと。何だろうと見慣れたものの表面を剥がすと、目に見えないよそよそしいものが隠れている。どの木をとっても、どの人をとっても、中に異質なるのが潜んでいる。ただ子供のときから知っているような気がするだけだ」 掲載されない生存している要人の追悼記事を書くことに悩み、「俺の仕事はいったいどんな意味があるんだ」と尋ねると、編集長はこちらを見つめて目を細めた。聞かないほうが身のためだ」編集長は低い声で言った。「どうとでも都合のいいように考えておけばいいじゃないか。ただ、よく覚えておくんだな。仕事の意味を知ったら最後、お陀仏だ。映画じゃない。知りすぎてお陀仏になるんじゃない。逆だよ。君の仕事も、ついでに君の命もう必要ないって段になったら、そのときすべてわかる……」そして、追悼記事の謎が明かされていく。
8投稿日: 2022.01.25
powered by ブクログ閉鎖された動物園から引き取った憂鬱症のペンギンと、友人の娘である少女、そのシッターである女性と暮らす売れない小説家。偶然の出会いから、生きている人の死亡記事をあらかじめ書くと言う仕事を引き受ける。細部に渡るまで書き方を指示されるが、ここで才能が開花する。次第に、記事に書かれた大物たちがその通りの死に方をするして、周囲が不穏な状況となる。同僚や友人が不可解な死に方をするが、本人はもはや逃れられない。ソ連崩壊後のウクライナを舞台に、さまざまな不条理の上に繰り広げられる物語。アジアを舞台にした裏社会小説の欧州版として楽しめる一冊。
3投稿日: 2022.01.06
powered by ブクログ面白かった!社会性のある動物(人)であるにも関らず「普通の幸せ」を掴めない主人公が、どんなに後ろ暗い現実が存在すると知りながらも、それを掴もうとすることをやめずに、段々感覚が麻痺していく過程が上手く描かれている。それって、いろんな世情を知りながらも何食わぬ顔で社会生活を送らなきゃいけない我々が大人になる中で通過しなきゃいけなかった過程でもあるので、その意味でかなり没頭して読めた。孤独な現状で、それでも人と人(時にペンギン)とのささやかな心の繋がりを持てていた頃の良さが、後からしか解らないのが切ない。
2投稿日: 2021.12.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ヴィクトルとペンギンのミーシャ、女の子ソーニャとベビーシッターのニーナ。ニーナの叔父のセルゲイ。 4人で幸せな家庭を・・・とはいかず、物語は進んでいく。 家庭にペンギンが居るなんて、なかなかない。ペンギンのミーシャと、ソーニャのお父さんのミーシャ。 新聞の訃報欄を書くヴィクトルと、その書き振りで動いていく世界。 最終的な結末がまたほどよく壊れていて、好みだった。
2投稿日: 2021.11.20
powered by ブクログ秋の夜長に読むにはうってつけな本 「停電の夜に」を読んだあと、ロシア文学(正確にはウクライナ)に触れたくなりペンギン好きなのもあってAmazonにおススメされるがままに読んだけど、思いの外楽しめた。
2投稿日: 2021.10.27
powered by ブクログ最初は淡々と物語が進んでいくが、中盤以降主人公が大きな渦に巻き込まれていき、スリルが増していく。ラストはストンと、でも納得いく幕引き。
2投稿日: 2021.08.13
powered by ブクログ訳者の後書きに書いてたように、村上春樹ぽい雰囲気を感じる。 主人公を中心に外側は動いてるけど主人公は何もできない感じ。
2投稿日: 2021.06.19
powered by ブクログ不穏な空気が漂いながらも、ペンギンのミーシャに癒される。終わり方も秀逸、そうくるか…!ってなる面白さ!
2投稿日: 2021.03.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公が考えながら飲み物を飲む描写が多いです。 序盤は紅茶がほとんどで、終盤にかけてコーヒーの比率が高くなります。その変化と物語の暗転のタイミングが同期しているように感じました。
2投稿日: 2021.01.03
powered by ブクログ作者はウクライナの作家、アンドレイ・クルコフ。 憂鬱症のペンギンと暮らす、売れない短編小説家が色々な事に巻き込まれるお話。 村上春樹の作品に登場人物や設定がすごく似ていて、10倍ぐらい水で薄めたような作品。 翻訳が悪いのか・・・。 これがフランスやドイツで10万部売れて、日本でも評価が高いのに驚いた。 それなりに長い小説なので、読了後の喪失感がすごかった。
2投稿日: 2020.12.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
恋人に逃げられた売れない小説家ヴィクトルが主人公。動物園からもらった憂鬱症のペンギンと暮らしている。仕事がない時期に、とある新聞社からまだ生きている人物の死亡記事を書く仕事をもらう。生活は安定したが自分の書いた死亡記事の人物が次々に死んでいくことに気づく。ヴィクトルがどんどんと孤独で自分の人生のコントロールが効かなくなっていく様子を感じる。ラストはとても好き。「お前かーい」と突っ込みたくなる。
2投稿日: 2020.12.17
powered by ブクログソ連崩壊後の不穏な空気の残るウクライナを舞台にしていて、主人公はペンギンを飼っている売れない作家です。この時点で惹かれました。ウクライナの作家の本を読んだのは初めてです。 業界にいるので、死亡記事を事前に用意するというのは身近な事柄でしたが、それが物語の軸になっているのは新鮮でした。いつも何気なく接していることが、物語になりうるというのは日常での想像力をかき立てられます。 ペンギンがとってもキュートです。ちなみに著者は別にペンギンを飼ったことはないそうです。そりゃそうだろうなとは思いましたが、どこか意外にも感じるほど描写はリアルです。ペンギン好きとして推せます。 中盤以降はなんとなく話の進む方向が分かるのですが、最後の場面は予想外でした。ただのストーリー的なゴールではなくて、示唆的な終わり方でした。陰鬱で暗い雰囲気が全体を覆っている本書ですが、私はラストのワンシーンのおかげでかなり前向きに感じました。 暗い事柄をを淡々と捉えているような主人公の描き方は印象的でした。どこか色彩のないのが当たり前というか、周りの色に呑まれながら生きている、そうせざるを得ないという感じでしょうか。リアリティを感じました。
5投稿日: 2020.11.15
powered by ブクログうー。謎が残るんですけど。それとも分かる人には分かるのか?そう言われるとそうなのかもしれない。あんまり知らない世界だから。 ペンギン。 人間のミーシャ。 何なんだー、と消化不良。
2投稿日: 2020.07.24
powered by ブクログ大変な事件の渦中にいるはずなのに、主人公の視点から事件の全貌は見えず奇妙に静か。台風の目の中みたい。 不思議な雰囲気のある作品でした。
2投稿日: 2020.06.17
powered by ブクログ憂鬱症のペンギン・ミーシャを飼う売れない孤独な小説家の話。世界とつながることから逃げ続け、ずっと逃げ続けたとしても、結局つながらないことなどできない、ということを暗示しているように思える。この物語の魅力は、そんな隠された暗示がいくつもあるように思えるところかなと思う。また、じゃがいもを5kg買ったり、ミーシャのために冷凍タラを買ったり、ドニエプル川を挟んだ公園を散策したりといった、ウクライナのキエフでの生活がありありと浮かんでくるところも、小説を読む楽しさである「どこか遠くに行ける」ことを味わせてくれる。キエフに行きたくなったし、読んだあとにピロシキを食べたくなった。
2投稿日: 2020.04.19
powered by ブクログ売れない小説家とペットのペンギン・ミーシャの組み合わせがシュールで可愛くて最高 その他の登場人物も少しおかしくて哀愁漂います ソ連崩壊後のウクライナが舞台で終始不穏な雰囲気が漂うのに、主人公がどこかあっけらかんとしていて軽やか。その対比が心地よかった 続編があるようですが、日本語に翻訳されてないようで…残念 ミーシャと主人公のその後が気になる〜
3投稿日: 2020.03.05
powered by ブクログペンギンと売れない小説家の同居。 じつにしっくりとくる設定。しかも鬱状態のペンギン。 見事に一体となって、お互いの心理状況を補いあっている。 最後の男の決定は、まさにペンギンを自分に投影して同一化を図った末のものだろう。彼の孤独感が身に詰まされる。
2投稿日: 2020.01.16
powered by ブクログ旧ソ連崩壊後の、なんだか不気味な時代のお話。 小説家のヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らしているが‥‥ ラストはとても良かった。 銃や殺し屋が登場したりと、当時のウクライナの治安の悪さというか不安定さの様なものが窺えた。
5投稿日: 2020.01.03
powered by ブクログ面白すぎる! 近所の図書館のおすすめ文庫に置かれていた本。売れない作家がペンギンと暮らしながら、まだ生きている人の死亡記事を書く。周りの人達が次々に失踪したり死んでしまったり怖い話だが、どこかしらユーモラスで心が温まるようなところも。薦めてくれた図書館の方に感謝。
2投稿日: 2019.10.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かったです。 ロシア文学は初めて読んだと思いますが、名前も難しくなかったですし、何でも読んでみようと思います。 哀愁の漂う物語でした。楽しい時間がキラキラとしているので、その後の辛さが余計に迫ってきます。 売れない小説家の主人公ヴィクトルが、追悼文を書く仕事を始めてから巻き込まれていく世界が、じわじわと怖かったです。 ヴィクトルが飼っているペンギンのミーシャだけが癒しでした。可愛い。憂鬱症のペンギンなのですが、佇んでいるのを想像するとほっとします。周りの大人の登場人物たちも、「ペンギン!」「ペンギン見せて!」「ミーシャや…」となるのが可愛いです。 ヴィクトルがどんどん追い詰められていくのが本当に怖かったです。自分について書かれた〈十字架〉を読んで「俺だったらもっとうまく書いたのに」って、自分の終わりに際して悲しすぎました。 大事なのは生きのびること、と言っていたヴィクトル。自分の死ぬ日と死に方を知る、って、、
3投稿日: 2019.06.25
powered by ブクログ憂鬱症のペンギンを飼う売れない短編作家の主人公。 不思議な日常が淡々と続くのかと思いきや何となくほの暗いうす暗い不穏な雰囲気もあり。 なんとも受け取り手が考え込んでしまう終わり方の作品。 ウクライナ情勢を考えて深読みするべきなのか。 ペンギンのミーシャの描写が愛らしくてなんとなく癒されてしまうけど全然癒されない。
2投稿日: 2019.05.06
powered by ブクログヴィクトルの周囲で起きていることに対して目を背けようとする姿勢や甘えみたいなものが自分にもあるので読んでいて複雑な気持ちになった。重苦しい雰囲気が続く内容ですがペンギンのミーシャやソーニャのおかげで読みやすかったです。
2投稿日: 2019.03.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ファンシーな感じの表紙に、どんなアンニュイなペンギンが出てくるのかと思いきや、とんでもなくダークな小説だった。 売れない作家と憂鬱症のペンギン、作家の友人の娘。 ペンギンと娘のシーンがなければ、本当にダークな小説で終わっていたと思う。 当時の情勢は、私にはよく分からないが、不穏な空気が醸し出されていて、どんよりとした気分でページを捲っていた。 ペンギンの元気がないから(自分の周りもおかしいことばかりだし、暗殺的な意味で)、どうにかして南極に返してやろうと、作家は色々手を尽くすけど、最後の最後で…結局作家はどうなったんだろう、ペンギンと娘は?? どんよりとした気分で、と書いたが、それでも作家はどうなるんだろうと、ハラハラした気持ちで読み進めていた。 ダークグレーのような、鈍色のような雰囲気の小説だった。 こんなこと書いたら、村上春樹の愛読者には怒られるだろうが、どことなく村上作品に通ずるような読後感だった。 でも私も村上春樹作品は好きである。 続編はあるが、原典と英訳しかないので、英語がよく分からない私は読めない。くやしい。
6投稿日: 2018.12.30
powered by ブクログロシアというと本の世界も灰色で色がないというのが私の偏見とも呼べる見方ではあるのだけれど、この本は灰色の中にもところどころ色味があるように感じられた。 舞台はソ連崩壊後のウクライナ。 当然社会情勢から考えて物騒な世の中であることは容易く想像できる。 動物園から貰い受けたペンギンと二人暮らしの売れない短編作家のヴィクトル。彼が新聞社から「まだ生きている人間の追悼文」を書く仕事を引き受けたことで、次第に身の回りで不可解な出来事が起こり始める。 だが、知りすぎると命を落とすーそれがロシアという国の怖さ。ヴィクトルも気がつかないふりをするしかない。 ハッキリとは語らないがその不穏な空気感が伝わってくる。 最後まで不気味さや不安さを残したまま話は進み、ハッピーエンドなのかどうかは分からない、でも衝撃的な終わり方ではあるが読後感は全然悪くない。 著者がはっきり語らない分、読み手にとっていろんな考え方ができる作品。他の見方を探すのも面白い。 ヴィクトルがペンギンのミーシャに冷凍の魚をあげる、なんてことのないシーンがとても好きだった。
3投稿日: 2018.11.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後の最後まで、ペンギンが実在している話でした…… いや、ほんと私……絶対誰かが 「そのペンギンは、君の頭の中にだけ住んでいるのではないのかね?」 って聞くと思っていたのに……そこら中にフンしまくる件を書いてないんですもの……どんなにリアリティがなくとも、ペンギンは実在している前提で読まないといかん話でした……。 お話としては、流され主人公の流れ流され人生漂流記。飼っているペンギンにも、転がり込んできた女の子にも、お世話にきたうら若き女性にも、実は彼ら全員に『思い入れというものを持たない』で、『それなりの体裁』を繕いながら生きて居る。 ここから現代人の薄っぺらい生活への風刺を感じ取る向きもあろう。 この物語、「殺されてなるものか」と発奮したラストを持つが、さてその先どのような人生を拓くのかについてはまったく重きを置いていない。話の流れ的に、事件の顛末はこうなりましたという情報を提示してあるだけと感じた。 とにかく「ペンギンは実在していて、主人公の妄想に周囲が合わせてやっている話ではない」ことがショッキングで、他の部分は評価できない。
2投稿日: 2018.10.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
サスペンス? 構成やモチーフはよかった。内容が最悪だ。 これがロシア文学なのか?まったく面白くないしテンポもひどい。オチまですべて中途半端でよく読み切ったものだと自分を褒めたい
2投稿日: 2018.10.26
powered by ブクログソ連政権崩壊後のウクライナ、キエフ。情勢は未だ不安定。マフィアも暗躍するそんな街で、作家を目指すヴィクトルは恋人に去られ、憂鬱症のペンギンと二人(?)きりで暮らしていた。そんな彼が短編を持ち込んだ新聞社から、要人の死亡記事を書かないかとの打診が来る。まだ存命の有名人の追悼記事も書き溜めるようにまでなった頃には、彼が記事を書いた要人が、ことごとく不審な死を遂げている事に気付く。そして、彼に近しい人達も一人、また一人、と姿を消していきー。 舞台となっているキエフについ最近行ってきたばかりだったのでとてもタイムリーな作品だった。ソ連崩壊後の不穏な空気が充満するキエフと、先日行ったロシアとの緊張感漂うキエフ、程度の差こそあれど得もいえぬ不安感が付き纏うのは同じか。ペンギンのミーシャが緩衝材として一役買っているものの、ヴィクトルの一見平和な生活にも終始暗い影が落ち、緊張感が拭えない。最後のヴィクトルの運命には「えーっ」と声を出してしまった程。マジでミーシャがいなければとんだダークな作品になってた所だ…。日常の中の非日常を味わいたい方は、是非。
9投稿日: 2018.08.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
P94 この小さな世界はあまりにも脆くて、何かあっても、とてもじゃないが守り切れないように思う。しかも、それは武器を持っていないからでも、カラテの技を知らないからでもない。ぜんぜんそうじゃない。ただ俺たちの世界自体があまりに壊れやすいせいなんだ。<ヴィクトル> 村上春樹を薄めた感じと批評されることがあるらしいが、昔「ノルェーの森」を1ページ目でそっと閉じて以来、村上春樹には近づいていない自分は、もしかした食わず嫌いだったのかも…と思ってしまった 「大統領の最後の恋」も読んでみたい ☆4.6
2投稿日: 2018.01.04
powered by ブクログ表紙が可愛い!と買ったときには、ほのぼの系もしくはゴーリー「うろんな客」みたいなのを想像していたのですが、どちらでもありませんでした。 ロシア・東欧の作品を読むときって、「世情の不安定感」がわかってないと、なかなか作品に入っていけないですね。ハハハと笑ってよい場所なのか、リアルな描写として描かれているのか判断に迷うというか。それを今回も感じました。日本の戦争ものを読んでてそのあたりでひっかかることってあまりないのに、不思議。 ヴィクトルが、物書きの割に全然好奇心がなくて、こりゃ大成しないのも当然だわ、でもどうして「十字架」はうまく書けてるんだろうとふと疑問に思ったのですが、そっか、「十字架」は情報が停止した状態だから、ヴィクトルは書けるんですね。 一方、いま目の前で変わっていく情報に対して、ヴィクトルは為すすべがないし、為そうという気もない。そこまで考えて、ペンギンのミーシャ(描写が可愛い!)だけに彼がシンパシーを感じるのもわかりました。でも、ミーシャには南極がふさわしいのかもしれないけど、ヴィクトルにふさわしい場所、彼が言うところの「しっくりくる」場所ってこの世にあるんですかね。 最後の彼の選択が、いよいよ未知の領域に飛び込むことを選んだとするのか、逃げた果てに完全に静止した世界へ旅立ってしまったのか、どう解釈すればいいのか「???」で、今もよくわかっていないのですが、未翻訳だという続編を読めばその答えがわかるのでしょうか。翻訳されてくれないかなー。
2投稿日: 2018.01.01
powered by ブクログ売れない小説家のヴィクトルとペンギンは、共に孤独を抱えて同居していた。新聞社で「まだ生きている人物の追悼文」を書く仕事を得たが、間も無くその人物が不可解な死を遂げるのに気付く。4歳の少女を預かり、ベビーシッターとも親しい間柄となり、政治的なキナ臭さを感じる中で不安定な関係を築いていくが、彼の周りは徐々に死の影が濃くなっていく。衝撃でありながら飄々としたラストが面白い!部屋を愛らしく歩き回り、時にはヴィクトルに身を預けて甘えるペンギンがホッとさせてくれる。ストーリーも雰囲気も楽しませてくれる小説でした。
3投稿日: 2017.11.12
powered by ブクログ不条理サスペンスだとは思わなかったから驚いてしまった。途中ドナーの話になり、これは疑似家族殺人事件で終わるのかとはらはらした。思い入れのある本だけど、正直いまいちよく分からなかった。とても憂鬱な気持ち
3投稿日: 2017.07.06
powered by ブクログペンギンと金髪の女の子のかわいらしい表紙と憂鬱症のペンギンと暮らす作家という設定に惹かれ読んでみたいと思っていた。文庫化されるのを待っていたけれど、本屋さんで見かけて表紙だけで購入決定。まさにジャケ買い。 動物園から引き取ったペンギンと暮らす作家。 売れない作家である主人公は新聞の死亡記事を書く仕事を引き受ける。 それをきっかけに事件に巻き込まれていく。 こう書くとミステリーという感じがするが、本書はそういう面白味よりもペンギンと暮らす主人公が預かった少女と共に暮らしていく様を読ませる作品といったほうが正しいように感じる。 ペンギンの描写がかわいらしく、少女の描写も愛らしい。 やはり動物と子供という組み合わせは最強。間違いなし。 物語と直接関係はないが、作中でコーヒーを淹れて飲むシーンがある。 わたしはコーヒーが余り好きではないが、たまに飲むときはカップにインスタントコーヒーを入れ温めたミルクをドバドバ入れて作る。一般では湯を入れて作るのだと思う。 作中で主人公は、コーヒー沸かしにコーヒー粉と水を入れて火にかけ沸騰して泡立ったら火を止めてカップに移すとある。 本書の原作者はウクライナのひとらしいので、ウクライナではこうやってコーヒーを淹れるのだろうかと面白く感じた。 ひとり暮らしの主人公が引き取ったペンギンと暮らす。 ペンギンは群れで生きる動物であるのにたった一匹で人間と暮らすものだが、そういう動物と孤独な男が暮らすところで、群れからはぐれたペンギンと社会からはぐれた男という設定が生きてくると感じた。 そこへ更に親と離れた孤独な少女が加わるため、どこにも属さない孤立したものたちという状況が際立つ。 この作家は他にも動物の出てくる作品を書いているらしいが、他の作品も読んでみたいと思わせる一冊だった。
8投稿日: 2016.04.27
powered by ブクログ図書館で。 ウクライナの情勢を思うと何気なく書かれているようで何か政治的意図とかがあるのではないか?とか勘ぐってしまうお話。色々な民族が居て、争いの歴史がある統一国家って大変なんだろうなぁ…。 ペンギンの手術に子供の心臓が必要かどうかはよくわかりませんがそういう話ではないんだろうな。それほど面白い、と思う訳でもないのですがなんとなく引き込まれて読んでしまいました。 この主人公みたいなタイプはキライなタイプだけれどもああいう場所だと流されてしまうのかなぁと思ったり。でも主人公みたいな優柔不断で自己中心的な人物は苦手だ。自分の面倒も見きれない人間がその時だけの感情で子供やらペットやらを引き取るのはどうなんだろうか?とは言えじゃあ引き取らなかったペットや子供はどうなるんだ?と思うと引き取られて良かったのか、とも思う訳ですが。どうなんだろう。
3投稿日: 2016.02.23
powered by ブクログラスト3行で「あ、これは手の込んだサスペンスだったんだ。」と気づき、全てがストンと収まるところに収まった。 ソ連崩壊直後のウクライナ。 こんな情勢だからこそ、生活の中に自然に出てくる「現代日本では考えもしない」文章が、チラリとのぞいて、はっとする。 ゆったりとしたトーン、起伏の少ない低湿度な文章、諦めと優柔不断の中で淡々と積み重なっていく小さな謎と死。 ペンギンはあくまで虚構だとしても、混乱期のウクライナ・キエフ市民の一部分を切り取った小説なのだろうし、主人公の孤独を際立たせたり、鮮やかなラストの演出ために必要な存在が、こんなにキュートなんだからまた素敵! とても良かった!
3投稿日: 2016.02.22
powered by ブクログ不条理すぎる。 ほんとに村上春樹っぽいなー。 ラストはえっ終わり?という感じもするど、なるほどと思えるような不思議な感じ。でも、結局どーゆーこと?
2投稿日: 2016.02.10
powered by ブクログまず憂鬱症のペンギンというだけでとっても魅力的。ペンギンはしゃべらないしただぺたぺたと移動し冷凍のカレイを食べたりするだけだけれど不思議な存在感があってかわいい。そのペンギンと暮らすのが売れない小説家の主人公。まだ亡くなっていない人の未来の追悼文を書く仕事を受けるのだがやがて大きな陰謀の渦に巻き込まれていく。ロシア文学(正確にはウクライナだけれど)ってとにかく長くて行間が狭くてとっつきにくい印象があるのだけれど、これはそんなことなくて読みやすい。あとがきで訳者が村上春樹に似てると書いているように春樹ファンならはまるかも。かくいう私はハルキスト。
2投稿日: 2015.12.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
売れない作家ヴィクトルとペットのペンギン、ミーシャ 新聞社から割のいい仕事(生きている人物の追悼記事を書くこと)を 受けるようになってから不可解な事件に巻き込まれていく 主人公が状況に流されて流されて行きつく先はどこなのかと 思っていたら、最後は自分で決めて…南極に、着いたんだろうか?? 寺田順三さんの表紙が可愛い! ふわふわなコメディミステリーにとても合ってます
2投稿日: 2015.07.12
powered by ブクログとにかく愛おしくてたまらない。キュートな表紙と鬱病気質で狭心症なコウテイペンギン、ミーシャの存在だけでもうノックアウト。飼い主である売れない小説家・ヴィクトルは疑似家族の中でなんとか愛情や幸福を見い出そうとするが、それは薄い膜がかかっているように不透明で掴み取れない。「この人生、なんだかしっくりこない」と言う通り、生きるのが上手じゃないし、愛することにも向いてないんだと思う。わかる。ソ連解体後の不安定な政情に揺れるウクライナは暗い影を次第に広げていくけど、煙に包まれたようなこんな終わらせ方も悪くない。
2投稿日: 2015.04.08
powered by ブクログ売れない作家ヴィクトルとペンギンのミーシャとの不可思議ながらも身近に感じられる物語。ヴィクトルは孤独で、ペンギンのミーシャも自分の本当の居場所には居ない。ある日、ヴィクトルに出版社から「追悼記事」の仕事が入り、そこから彼の人生が大きく変わっていくことになる…… ロシア文学はあまり読みませんが、この作品は大好きです!続編も出ているらしく、欧米諸国では翻訳出版されたようですが残念ながら日本では和訳出版されていません。私はロシア語が出来ないので、続編の邦訳出版を期待しています!
2投稿日: 2015.01.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
某北海道じゃない方の蔦屋書店で見かけて購入した本。 ソビエト連邦崩壊後のウクライナで、えんえんなぞめいた死亡記事を新聞に書く仕事をする短編作家と、彼が飼っている憂鬱症のペンギンを主軸においた小説。 キエフでの冬の生活感とかがかなり好き。カラマーゾフの兄弟(あっちはロシアでしかもずっと前だけど)でも思ったけど、こいつら気軽に昼間からコニャック飲み過ぎだろ。あとシャンパン好き過ぎだろ。こういう生活、全然憧れないけどなんか良い。コニャック。。。 続編もあるらしいけど、訳者の先生があまり気に入らなかったのか邦訳が出ていない。英語版で読むしかないのか・・・?
2投稿日: 2014.12.31
powered by ブクログ読みながら村上春樹だなーと思ってたけど、解説でそれ書かれちゃった。どうしよ。 売れない小説家が憂鬱症のペンギンと過ごす話。 ある日新聞社の編集長から有名人の死亡記事を書かないかともちかけられて……っと、物語はミステリーな展開に。 ロシア作家のような淡々とした日常の描写や、憂鬱なペンギンとの同居という静謐でどこか物哀しい光景というのがはじめは気持ちいい。警官セルゲイとの交感も、ギブアンドテイクな関係ではなく(主人公はテイクばかりの糞だが)、ハードボイルドな友情でとても心温まる。 しかしながら中盤から一気にダレる。 それは一重にミステリー風をかもしながら中盤以降も肝心の問題を提出しないからだ。村上春樹も引用してたけどカポーティだっけ?カミュだっけ? 作中にピストルを出したら必ず発射されなければならないってな格言があるけど、いつまで経ってもピストルを使う気配を見せない。半分まで来ると「あ、冒険する気ないなこの小説」って分かってしまう。 ミステリーがないからアドベンチャーもない。だからこれ劣化版村上春樹だ。 あるいは終盤のところがミステリーとしての見せ場だったのかもしれない。そんなことはないと信じたい。コードネーム「ペンギン」でギャグかと思ったよ。 ソ連解体時のウクライナの気分を反映している社会派小説なのか~とはいえ、そこんところはわからぬ。
2投稿日: 2014.12.13
powered by ブクログこれも知人のおすすめ x 新潮クレストの組み合わせ。ウクライナのロシア語作家アンドレイ・クルコフの処世作とのこと。 「ペンギンをペットにしている」というと、まっさきにミサトさんを思い浮かべてしまうため、正直なところあまり違和感なく読んでいた。ストーリーは上質のミステリー仕立てで、構成(特にラスト間際)もなかなか凝っている。しかし、このペンギンのせいか、どこか間合を計りかね、サスペンスもサスペンスらしくなくなって、全体を覆う不条理の雲の中を漂うことになった。
2投稿日: 2014.11.12
powered by ブクログ【Entertainment】ペンギンの憂鬱/アンドレイ・クルコフ/20140916(72/246) ◆きっかけ J子さん紹介。 ◆感想 ・ソ連崩壊後の先行き不透明な雰囲気の立ち込めるキエフで、売れない小説家とペンギンという取り合わせ自体がありえない。部屋を歩き回っているペンギンの足音、涼しい隙間風を見つけてたたずんでいる仕草、氷水をはってあるバスタブで喜ぶ様子、凍った川の氷穴に飛び込み、遊んでいる姿、主人のひざにお腹を摺り寄せてくる仕草等々、とても印象的。 ・物騒、かつユーモア。このバランス感が絶妙で、読んでてハラハラさせられ、妙な魅力に取りつかれた。 ・物語そのもののは、結構不気味な驚きの混じった終わり方なのだが、このペンギンのものを言わぬ友人はたまた冷たい第三者なのか、中和させるかけがいのない役割を担っている。 ・人は余計な心配をしなくていいよう,以前恐ろしいと思ったことも正常だと考えて生活するようになる。なるほど。。。。 *続編:カタツムリの法則 ◆引用 ・過去というのは日付を信じるものだ。それにどの人の人生もいろいろな日付から成り立っていて、それが人生にリズムや節目を与えている。日付という高みに立ってうしろを振り返ると、眼下に過去そのものが広がっている気がする。それは、さまざまな出来事のあった断面や部分に分けられた、分かりやすい過去だ。 ・未来なんて前向きに突き進んでこそ手に入れられるもの。立ち止まって謎を解こうとしたり、人生の本質が変わったからといって、いちいち考え込んだりしてはいられない。人生は道のようなもの。問題や困難を避けて、わき道を進むなら、道は長くなる。道が長くなれば、人生も長くなる。まさに結果よりもプロセスが大事。なぜなら、人生の最終的な結果というのはいつだって決まっている。死なのだから。 ・長寿の秘密がわかった気がする。長く生きるためには安らかな気分でいることだ。安らかな気分でいられれば、それが自信の源になるし、自信が持てれば、人生を長くする決断ができる。自信が未来に通じているのだ。
2投稿日: 2014.09.16
powered by ブクログウクライナ・キエフ。寒い国の不条理。旅立った南米のマルケスを想う。憂鬱ペンギンのミーシャが気になる。続編「カタツムリの法則」も読みたい。
2投稿日: 2014.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
不条理な物語。どんどん引きつけられる。ペンギンの存在は違和感を中和してくれている。なくてはならない存在。装丁もお気に入りの1冊。 原書はウクライナでウクライナ語ではなく、ロシア語で書かれたそう。
2投稿日: 2014.03.01
powered by ブクログ主人公も薄々感じている、何やら得体のしれない恐怖と重大なことに加担しているという事実。それを少しずつ知らせてくれる(ように私には感じた)ペンギンの存在と対極的なかわいらしい描写。 物語としてとても謎めいていて、本当に楽しみながらページを繰ることができた。結末にもほぅ~とうなってしまった。 この本を読むことができて良かったと思えるほど素晴らしい物語でした。
2投稿日: 2013.12.29
powered by ブクログ「ノンストップでペンギン萌え。」 ソ連崩壊後のウクライナ。売れない小説家・ヴィクトルは動物園から譲りうけたペンギンのミーシャと孤独な二人(?)暮らし。そんな彼のもとに新聞に故人の追悼記事を書くという仕事が転がり込む。しかし、これ以降彼の身辺には不可解な出来事が次々と起きて… 真面目であまり人を疑うことも無いらしい、そんな人間性がわざわいして知らぬ間に「天誅」に加担させられていくヴィクトル。その謎の深刻さをよそに、彼の日常にうるおいと癒しをもたらしている憂鬱症のペンギン・ミーシャの存在が、本小説にコミカルミステリーとも言える味わいを醸す。そうかと思えば本書に登場する人物たちがそれぞれに抱える孤独が全編にある種の寂しさを充満させていてそれが物語にスモーキーな印象を与える。 たが本書の最たる魅力はペンギン・ミーシャの存在。 ペンギン萌えにはもうたまりません。 憂鬱症の上不眠で廊下をペタペタ歩く。 ときには冷水浴のためバスタブに水をためてやると、喜んでとびこんでいく。 氷の山からペンギンが次々に飛び込むテレビ映像をミーシャに見せようと ヴィクトルはミーシャを抱き上げテレビの前におろした。 ミーシャは一声あげると仲間たちの姿を見て立ちすくみ、じっと画面を見つめるのだ。 ペンギン萌えの針はここで振り切る。 ところが、その後のペンギンの反応は更なる興奮を呼び起こす。 〈そのまま、飛びこんだり潜ったりするペンギンたちを五分ほど見ていると、番組は終わってしまった。ミーシャが急にテレビに近づき、胸でテレビを押そうとしたが、ミーシャが押せたのはテレビが載っている台のほうだった。もっとも、押しが強いので、テレビまで揺れだしたのだが。 「何やってんだ!」声を抑えてそう言いながら、テレビを支えて、ペンギンのほうを振り返った。「そんなことしちゃいけない!」〉 うう…脱力。 物語の後半では身体が白黒ゆえ葬式向きとしてひっぱりだこになり レンタルもされている。 ミーシャのレンタル料一回1000ドル、ヴィクトルの給料300ドル。 雨の葬式に参列してインフルエンザにかかるミーシャ。 ミーシャを襲うインフルエンザウィルスに激しい嫉妬を覚える。 〈寝室に行き、横になったペンギンというものを初めて目にした。お気に入りのラクダの毛布に横向きに寝ていた。横たわって震えている。〉 ミーシャはその後どうなったのか?! 読むべきことは他にあろうとは思うが。 ノンストップでペンギン萌えの300ページ。
2投稿日: 2013.06.22
