Reader Store
苦役列車(新潮文庫)
苦役列車(新潮文庫)
西村賢太/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

331件)
3.6
51
108
106
27
6
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    父親の犯罪から歪んでしまった主人公・貫多が中学卒業後、肉体労働を経て日々を過ごしていく。 この小説は私小説、つまり西村さんの人生なわけだが、鬱屈とした性格?やグレていた頃、肉体労働の経験、自己責任とはいえ人生がどうにも崩壊していってしまう模様、そのどれもが私のことではないかと思い、読んでいるのが辛くなってしまった。 とはいえ、西村さんもとい貫多は実家がもともと裕福で金を無心しがちなクズである一面もあり、そこは腹が立った。私も中退して肉体労働をしていたので、この人生が『苦役列車』なんて言うなら、私はさらに悲惨であろう。 このことについては石原慎太郎も解説で触れていたが "どんな人生だって生きている限り『苦役列車』である。"

    0
    投稿日: 2025.12.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人間は知っていることだけで物事を捉える。 今の私はこう感じたが、西村賢太作品をよく知っていれば、もっと違う感じ方をしたのだろうな。 そう思わせる作品だった。

    0
    投稿日: 2025.12.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    そんなこと言うなよ、と思いながらも主人公の罵詈雑言を聞いていると、じぶんの”やっちまった”失言や行動を思い出す。

    0
    投稿日: 2025.12.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    文体とかめっちゃ好き。 でもモノローグとか話そのものにあんまりハマんなかった。自認はうんこのつもりだけど、ここまで落伍者だと思い切れてないのかも。

    0
    投稿日: 2025.12.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自身の存在意義を確立できていない人間にとっての、この社会での生きづらさや不安要素、感情の動きが事細かに表現されていて、いい意味で不快感がすごかった。だけども実際そんな人間が考える妬み嫉み他責は、全部自信の無さから派生している感情だろうから目に見える実績を求めるのだろうな〜という思考回路がよく分かるお話だった。 私自身にも重なる部分が多々あって耳が痛いような気分になりました。ここまで赤裸々に人間臭さを表現してくれるなんて、仲間を見つけたようでなんだか嬉しい。それでも何もしなくても居心地のいいところなんて大体成長がないんだから長居するのは良くないね。

    0
    投稿日: 2025.11.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    はるか昔に単行本で読んだはずだが記憶に薄い 文庫本で再読 いや面白い そして無限に読めてしまいそうな文章力 これほどハイスピードでページをめくれる体験は最近の読書では無かった こんな作品を忘れるわけがないので単行本は記憶違いなのかもしれないと思った 長らく滞納している家賃支払いのため1日500円貯金、風俗のため1000円貯金は笑った 急に連投される「プリミティブ」にニヤリとし、日下部カップルの会話にうんざり 著者にしてやられた満足感 これはもう全作品読まないといけない作家だわ

    1
    投稿日: 2025.11.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    YouTubeを見ていて、売れない若手芸人がこの本を好きでずっと読んでいたというのを聞いたので。 自分とは真逆の人間です、この主人公は!だから感想としては、不器用だな〜この人、もっとこうすればいいのに。である。だけど、これも人間だし、ゼロイチじゃないから自分にも少なからずこういう部分はあったりして、それが誰しも多かれ少なかれ当てはまるんだろうな。だから読まれ続けるんだろうな。

    0
    投稿日: 2025.11.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    これは私のことか!?と思いました。無性に私小説を書きたくなりました。激おすすめ。孤独感や劣等感、友達づくりに悩んだり、周りに壁を作りがちな人に読んでほしいです。悩むなら、とにかく読め、読めーー!!

    3
    投稿日: 2025.11.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    19歳で友達も居らず女の子にもモテない、仕事も低賃金で過酷。一見大変そうだし大変なんだろうけどそういう環境でしか得られない価値観はそういう環境でしか得られないんだろうな。キラキラしてる側は自分がキラキラしてることに気づけないんだろうな。

    1
    投稿日: 2025.11.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ただただ貫太が最低で気持ちがいい。私小説と言っても、今まで読んできた太宰治屋三島由紀夫やドストエフスキーは、どれも文学少年のどこか上品な絶望を書き綴ったものだった。 それに対して西村賢太は上品の欠片もなく、ただただ下品。下品なのと裏腹に難しく古風な言葉使いが対照的でおもしろい。これも貫太の見栄っ張りで衒学的なところと合ってる気がする。開けっぴろげにしてくれてありがとうまたよもう

    2
    投稿日: 2025.09.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なるほど。名が知られる人にはそれ相応の理由がある。 これほど味の濃い作品は本当に読んだ事がない。においがきつく、味が濃い。

    1
    投稿日: 2025.09.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    正直自分は、これに共感することは無かったんだけれども、人間の鬱屈とした感情を包み隠さず、そして何故か活き活きと描かれていて、ページを捲る手が止まらなかった。

    0
    投稿日: 2025.09.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    10年ぶり3回目。 石原慎太郎の解説がサイコーだぜ 収録されている『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』こそ白眉 この作品は著者自身の思い入れが強く、これ以降を自身の創作の第二期ととらえ、作風も変わっているとのこと。表題作にしたかったが、苦役列車が芥川賞をとったため急遽で同時収録にあいなったとされている(やまいだれの歌、あとがきより)

    0
    投稿日: 2025.09.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    どこまでいっても卑屈で逆に清々しい。 やはり人間どこか歪んだ部分、歪んだ思考はあるけどそれを隠して出来るだけ綺麗に見せようとするものだけど、こんなに卑屈さを隠さずにいると寧ろ卑屈さを貫くことに価値があるのではと思ってしまうほど。 貫多がどんなに卑しい人間だろうとやはり、文字が読める、書籍が買える、著者の感情を拾う感性、文章で表現できるという強みがあって良かったなと思った。 また本能的に気持ち悪く感じる描写がすごくリアルで読んでる途中で悪心がするほど。 異臭立ち込める私小説という印象でした。

    0
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    小説らしい非現実性よりもクズの私小説が好きだと改めて認識した。人間失格を初めて読んだ時のような感覚。面白いものでも読んで気分のいいものでもなく、自分の中の汚い部分が照射されたような気持ちになる小説。

    2
    投稿日: 2025.08.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    西村賢太の代表作にして、芥川賞受賞作。 北町貫多は、中学を卒業後、高校もいかずに実家を飛び出し、当面の生活費をまかなうために港湾での日雇い人足として働いていた。 日当5,500円で過酷な労働に勤しんでは、その金を安酒と安風俗に使い込んでしまう。 貫多は、そんな何も積み上がらない日常に危機感を持ちながら、自分の不運を嘆き、社会の不公平さを呪い、自らの自堕落さを嫌うのだが、相も変わらず同じ日常を繰り返すのだった。 そんなある日の港湾での勤務で、大学生の日下部に出会う。 日下部は貫多と同じ歳ながら、スポーツで鍛えた身体と端麗な容姿を持つ青年だった。 貫多は日下部に好意を寄せ、親交を深める。日下部は他に友達もいない貫太にとって、唯一の親しい親友になった。 日下部に感化され、貫多は真面目に働くようになり生活は好転し始める。 しかし、些細なことから日下部と口論になり、暴言を吐いてしまったために疎遠になる。また、港湾でも社員と揉め、出禁を言い渡される。 このような悲惨な状況になったところで第一部が終わる。 第二部『落ちぶれて袖に涙のふりかかる』では、中年になった貫多が売れない私小説作家として生計を立てている姿が描かれる。 以上があらすじ。 本作は私小説に分類される通り、作者西村賢太自身の経験を基に創作されている。 貫多は小学生の時に父親が性犯罪者となり、厭世的な性格と自暴自棄な考え方になってしまった。 短気で無愛想、無思慮で無遠慮、怠惰でありながら、周りの人を馬鹿にして生きている。 それ故に彼女もおらず、友人すらいない。 著者が同じ状況を体験していただけに、この描写にリアリティがあり、読み手に重いショックを与える。 本作の最大の魅力は、貫多が苦しみ、しかし強かに人生を生き抜いてゆく様を味わうことができる点にあるだろう。 貧困と孤独にあえぎながらも自尊心を持ち続け、最底辺で前向きに足掻いている。 この没落は決して我々と無関係ではない。可能性の程度はあれど、等しく起こり得ることであり、だから同情と興味を誘われるのだ。 巻末の石原慎太郎による解説が秀逸。

    15
    投稿日: 2025.04.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    卑屈を絵に描いたような男の話であるが、憎めないところもあり、どこかシンパシーも感じる。 この男が底辺から抜け出せない境遇は、自ら招いた所が大きいと思う。

    0
    投稿日: 2025.03.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私小説への印象を変えてくれた1冊です。 読む以前は、「私小説=不幸自慢」という印象がやはり少しばかりありました。 ですが本作品は、恥辱や怨望のような人間誰しもが抱いてしまう上に、他者には中々吐露しにくい心情を正直に・誠実に描くことで、このような感情をある種の美しさにまで昇華することを実現していると感じます。 これを可能にしたのは、作者自身が身をもって苦難を体験していたことに由来しているのではないでしょうか。それによって、石原慎太郎さんが仰っていたような、「現代の作品にはあまりみられない作家の心身性やリアリティ」を孕むことに成功しているのだと思います。 また、少々くどい文体も、それ自体が主人公の精神性(暴力的だが繊細・短絡的だが回りくどい)を表しているように思えます。難読な漢字等についても同様で、もちろん時代によるものもあるとは思いますが、主人公自身が自身の豊富な語彙を持つことを他者に対する優越感として抱いていることを表現しているようにも感じました。 総じて、私小説という形式だからこそ描くことが出来た醜くも美しい物語という感想を抱き、このジャンルに対する理解が少し深まったと感じました。

    0
    投稿日: 2025.03.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    女々しく且つだらしない貫多の行動と洞察、思考に共感する所がある。具体的には貫多の他責思考で嫉妬深く自分本位な性格なところや、坊主憎けりゃ袈裟まで憎しで嫌いになった友人とその彼女までもを卑劣な目に合わせたくなるその攻撃的な衝動と言動。 それらは読者である自分にも見出せる共通点でもありつつも長らく蓋してきた醜悪な部分でもあり、ページをめくるごとに眼前に取り出して見せられ眺められているようだった。辱めを受けたかのような錯覚を受け、同時にその反応すら見られているような。そんな私小説の醍醐味を久しぶりに味わえた。 視点を変えると、私はここまで自分を曝け出すことはできるだろうかと考える。恐らくできない。

    1
    投稿日: 2025.02.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    仕事が続かず、短気で、すぐ人と衝突する主人公のキャラが好きになれなかった。 が、自分とかけ離れた人柄だからこそ、ほの生き様を楽しむこともできた。 人生の一瞬間だけのはずの苦役が、辞め時を見誤るとズルズルと永遠のように続いていしまう。 まるで一旦乗車したらどこにも止まらず走り続ける列車の如く。

    1
    投稿日: 2025.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    劣等感に溺れた男の物語。 自己や他人を顧みず嫉妬や承認欲求を暴走させて周りに悪態をつき勝手に一人になっていく。 人間が誰もがもってる本性を包み隠さず曝け出して生きていく過程を生々しく書いた小説だった。

    1
    投稿日: 2025.01.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    汚いし、腹立つし、みっともないし…なんだけど、私の中にもある同じようなものが刺激される。 例えば日下部と美奈子に悪態をつく場面。私はそんな素直に言わないけど、結局頭の中ではいろんな人に悪態ついてる。口に出すか出さないかは大きな違いかも知れないけど、結局同じ。本を読んでそれに気づいちゃって苦い気分を味わった。

    1
    投稿日: 2025.01.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人生で初めて読みました"私小説"。 意外と面白いジャンルですね! その人の生きてきた道程や経験などが知れます。 作者の西村先生がどんな人間だったのか? "素直さ"と"正直さ"どちらも似た意味かもしれないが 嘘を付いてない所と捻くれてない所と表そうか(笑) 文章で殴り書きされているので、なんか新鮮だった。 フィクションを交えてるのかなぁ~? 俺には全て事実にしか見えなかったです(笑) 僕的には、すっごい捻くれてるなぁ~って 感じがしました(笑) 読んでいて笑えましたし、なんか憎めないというか 近くにいたら「まぁまぁ」と宥める自分が想像できたり だらしない男を見て、「おもろいなぁコイツ」って 思ってしまったかもしれないです。 解説で石原慎太郎が書いていたが 「どんな人間でも密かに悪行を夢見る」 これは誰しも考えた事はあるかもと思った。 遠回しに芥川賞に必要な要素も伝えてる様に見えた。 フィクションだけじゃつまらんみたいな(笑) あまり女性にはお勧めできないな。 だらしない男の典型的な要素が詰まりつまっている。 でも、その人の人生を知るのは面白いから勧めたい。 あと漢字が難しかったなぁ。 畢竟とか煩瑣とか購めるとか(笑) 何回もSafariで調べて読んだ、勉強になりました。

    16
    投稿日: 2024.12.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    テレビのコメンテーターとしての西村賢太さんを知っていたので読んでみた。時代背景も古く、字や言葉も古いので少し読みにくかった。私には少し難しかった。

    0
    投稿日: 2024.12.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    表紙、題字フォント、カバーからして陰鬱な印象を受けた。独特な文章だが、読み辛いとは思わないし、寧ろ引き込まれてしまう。 妬み嫉みに塗れたその日暮らしの主人公がいて、それを俯瞰的(一般人に近い客観的)な視点で捉える作者がいて。子どもは親を選べない。11歳の時点で人生が決まったという単純かつ短い文の放つ哀しみが強烈で、貫多が合理的かつ器用に生きていくことの難しさを要所要所で突きつけられ、暗澹たる気持ちにさせられた。 西村氏を一目見た時からなんだか纏っているものが尋常ではないと感じてはいたが… 「落ちぶれて…」では何頁にもわたって、ギックリ腰で苦しむ様、それを1人で抱えながら孤独に生きていかなければならない虚しさが描かれていてなんとも言えない。それでも、「小説家として名を馳せたい」という強烈な想いを胸に、筆者が生きてくれて、書き続けてくれて良かったと、一読者として思う。芥川賞おめでとうございます、西村先生!

    0
    投稿日: 2024.12.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    過去課題本。2年ほど前に追悼企画として読書会があった。芥川賞受賞の表題作と実質その続編となる短編をおさめたもの。最初の数行で嫌な予感があり、参加を見送っていた。改めて全体を読んでも印象は変わらず。全く楽しめなかった。終始下品な内容の文章に辟易した。

    0
    投稿日: 2024.12.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    育った環境の不条理さや劣等感、恵まれた環境で育った周りの人間への怒り。この私小説では主人公の感情が痛いほど刺さる。 西村先生の書く独特な文章も含め素晴らしい作品。

    1
    投稿日: 2024.12.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    貧困の中でそれに抗いもしない若者の私小説。文体が古く一文が長いので読みにくいようで引き込まれる文章。心情や情景の表現力がそれまで読んだ本と違った。

    0
    投稿日: 2024.11.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2011年第144回芥川龍之介賞 2012年 映画化 公開時のキャッチは      「友ナシ、金ナシ、女ナシ      この愛すべき、ろくでナシ」 そして西村賢太さんは、2022年2月心停止、54歳で亡くなりました 主人公の名前は、北町貫多 西村賢太のもじりだとも 私小説部分が多いらしい 父親の性犯罪により 両親は離婚 引越しを繰り返しながら 中学卒業と同時に 家を飛び出し 東京の片隅で苦役のその日暮らし 酒と女が大好きで 仕事は金が底をついたら仕方なく 卑屈であさましく、自分の現状に怒りを持ちながら 自堕落 プライドは 山のごとく 劣等感は 海のごとく 読みながらダメっぷりに辟易しながら 自虐的滑稽譚とも思える 文章は明確で クラシックの感じもする 自堕落の太宰治が 死を目指していそうなら こちらは 底辺で死ぬまでは生きそうなのだ ただ この小説が西村氏の私小説でなければ 興味を持てるかというと不確か 「落ちぶれて袖の涙のふりかかる」 ギックリ腰の文学化 あるいは 純文的ギックリ腰 “落ちぶれて”を引用しているけど 川端康成賞にノミネートされ文学の仕事も そろそろ充実し始めている頃 あー西村さんも 文学賞欲しいんだなってところに哀愁さえありました この作品の中で 孤独死からの腐敗を心配しているくだりがありました 現実ではタクシーの中で意識を失ったそうです なんとも

    91
    投稿日: 2024.10.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今年の新潮文庫の100冊に入っていたので、読んでみました。 あまりの凄さに西村賢太さんについてイロイロと調べてしまいました。 この作品は2011年の芥川賞受賞作なんですね。 受賞して10年以上経っているとは、時代の流れは速いものです。 文庫本で170ページ弱。 この薄い本の中には人間の本能がこれでもか!っていうほど詰まっています。 主人公・貫多はホント歪んでいて、人間のネガティブな面(本能)がむき出しなのです。 ここでいう人間のネガティブな面とは、人間誰しも持っている、エゴ・見栄・どうでもいいプライドを言ってます。 普段私たちは本能を薄ーーーーい皮(それを理性と言うのだと思う)でどうにか抑えているのだと思うのですよ。 人様に見せるもんじゃないし、万一人様に見られたら恥ずかしいじゃないですか。 しかし、彼は抑えない。 いや、抑え方を知らないから抑えられないのかもしれません。 読んでいくとわかるのですが、それは彼なりの自己防衛なのかもしれません。(本人は自覚ないけど) 彼には「父親が犯した犯罪」という壁があるのです。 その壁が彼と社会(他者)を断絶させるものとして大きく立ちはだかっているのです。 仲良くなっても父親の犯罪を知ったら、皆自分の元を離れていく。 それが怖いから最初から人と仲良くならない。 人一倍誰かとつながりたいのに、自分を守るために敢えて嫌われようとする。 短い文章にこれだけの心情を表現しているんですよね。 いや~、凄い!恐れ入ります。 まあ、読んでいて明るくなる本ではないことは間違いないです。 わたしも読んでいる間、自分のどろっどろで黒くて臭いものをダダ洩れにしながら読んでましたので(笑)、イヤーーな気分になりながら読みました。心臓えぐられる感じです。 それだけ人の心を動かすものがこの作品にはあるんです。 石原慎太郎氏の解説がホントに素晴らしくて! 文学としても高評価をつけたい作品です。

    25
    投稿日: 2024.09.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    個人的には読み終えてとても安心するような感じだった。 やはりかのような不慮の事態に陥るより先に、不覚の死に恥晒かすより先に、いっそ先手を打って自らの意思で自分に始末をつけてしまうのが結局は為だと、 と上記の文章にはとても共感できる気持ちになるのでした。

    0
    投稿日: 2024.08.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    きっと誰にでもある相対的に暗い部分、そこを指で少し擽られる感じ。赤裸々でいて、穿っている心情描写は痛快だった。

    0
    投稿日: 2024.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    汚くてひねくれてるけど、どこか自分も持ってる感情な気がして読んでて他人事とは思えない。こういうの好き

    0
    投稿日: 2024.08.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    西村賢太作の私小説。芥川賞受賞作。 屈折した作家がその内面を自らの筆致で曝け出す私小説がとても好き。その人が本当に思っていることが体面を抜きに伝わる形式の娯楽は、人の言葉から不要な意味を受け取ってしまうことが多い自分にとってはとても安心して享受することができる。 自分がラジオやエッセイが好きなのもこの理由によると思う。 『苦役列車』の貫多はとにかく情けなく、コンプレックスに押し潰されて性欲を持て余す19歳の青年。p.98で日下部の彼女がブスだという描写に半ページくらい費やしているところが好き。執拗すぎる。居酒屋での会話から日下部はすでに彼女を顔ではなく内面で選ぶことができているのがわかるが、貫多はその感覚が全くピンと来ていなそうだった。日下部は高校の時普通に可愛い彼女と普通に恋愛していて、次のフェーズに進んでいるんだろうが、貫多はそれを伺い知ることすらできない。 p.108の、『差し当たり今の自分の日下部に対するスタンスを定める為に』日下部を野球観戦に誘うシーンも凄い。この説明リアルすぎる。まだ日下部に対する情はわずかに残っていたのに、丁寧に関係を修復していく気概もなければやりかたもわからずただ自傷的に関係を壊していくようすを、こんなに端的に表せるのがすごい。人に対するスタンスを定める、っていう感覚はもうヤンキーなんだけど、生来臆病な性格だからこういう書き方になるんだろうなと思う。 ことあるごとに「根は〇〇であるから、」という表現が挟まるのが面白かった。貫多が生まれついて頭が悪く、倫理観が低く、他者を理解し敬う心が欠けていることを強調する表現だとは思うが、著者も著者でちょっと性格を環境ではなく生来のものだと考えすぎだと思う。

    3
    投稿日: 2024.08.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ⚫︎感想 私小説らしきものはあまり読んだことが無かったため、身に迫るものがあった。貫多の父は連続強姦犯として、彼が小学生のときに捕まった。可能性として誰もが被害者、加害者、またそれぞれの家族になり得る。そんな危うさをしみじみと考えるきっかけとなった一冊。 ⚫︎あらすじ 劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。解説・石原慎太郎。

    28
    投稿日: 2024.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    芥川賞受賞作のとおり、答えのないもやもやした怒りがにじみでる 私小説の「私」は「わたくし」と呼ぶらしい 破天荒な人生。親ガチャ失敗や自他楽を反省(?)し、他人を羨み妬む主人公がヒトの愚かさを生々しく文書に表れている そんな周りを蔑んでも、認められたいという承認欲求はやはり人間なんだなと自己完結 ギックリ腰をここまでこき下ろしてかけるのが面白い 作者は亡くなったらしい。残念 最後の石原慎太郎の解説は、重みがある youtubeで山田ルイ53世がお勧めしていた 私は、ルネサンス文書のほうがより現代私小説だと感じた

    48
    投稿日: 2024.08.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    昔、映画版を観た時は主人公の言動に不快感を覚えてしまって楽しめなかったのだけど、小説は主人公の劣等感から来る不器用さ・卑屈さの描写がが分かりやすくて、主人公のダメな部分も楽しめることができた。なんなら共感すらした。 裕福さは違えど昔より主人公に近付いてる気がする。

    1
    投稿日: 2024.08.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    539 176P 西村ケンティーの文章読んでから、他の作家が文章自体がそんなに上手くないなみたいなのが気になるようになっちゃった。こういう視点特になかったのに。 ワイルド、憎み切れない所が落語感ある、ウシジマくん、一発逆転の無いカイジ 西村賢太って映画から来た人じゃないし、完全に文学から入ってて、文学にしか出来ないことを敢えてやってる。映画化はどうしても出来ない部分が生じて皮肉にもそこが西村賢太の魅力なんだよね。 ここまで自分をメタ認知できるなら、クズな部分直せるだろって不思議な感覚になるのも面白い。 西村賢太って客観視能力が常人のレベルではないのに、なんでそのクズな部分を直さないんだっていう不思議な感覚にふわっとなる時が好き。 西村賢太の小説の感想で、自分は関わりたくは無いんだけどっていうのがよくあるんだけど、男はつらいよが好きでも、寅さんとは関わりたくないと思うのと同じだと思う。 アメリカンホラーストーリーとか西村賢太小説は核の方にコメディー感が隠されてる感じがする。 落語に登場する人物皆バカだけど、西村賢太小説が落語的なのはずっとバカな人の話だからだろうなと。 西村 賢太(にしむら けんた) 一九六七年七月一二日、東京都江戸川区生まれ。中卒。二〇〇七年、『暗渠の宿』で第二九回野間文芸新人賞を、二〇一一年、「苦役列車」で第一四四回芥川龍之介賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度は行けぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾かかえて』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『一私小説書きの日乗 憤怒の章』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集 一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『一私小説書きの日乗 野性の章』『無銭横町』『痴者の食卓』などがある。 苦役列車(新潮文庫) by 西村賢太  加えて、すでに戸籍上では他人になっているとは云い条、実の父親がとんでもない性犯罪者であったことからの引け目と云うか、所詮、自分は何を努力し、どう歯を食いしばって人並みな人生コースを目指そうと、性犯罪者の伜だと知られれば途端にどの道だって閉ざされようとの諦めから、何もこの先四年もバカ面さげて、コツコツ夜学に通う必要もあるまいなぞ、すっかりヤケな心境にもなり、進路については本来持たれるべき担任教諭とのその手の話し合いも一切行なわず、また教諭の方でも平生よほど彼のことが憎かったとみえ、さわらぬ神に祟りなしと云った態度で全く接触を試みぬまま、見事に卒業式までやり過ごしてくれていたから、畢竟、彼に卒業後のその就職先の当てなぞ云うのはまるでない状況だった。  どうにも初手からして計算違いだったわけだが、更にはそれまでは家で母親の金をちょくちょく盗み、中学生の分際で深夜にしばしば伊勢佐木町界隈なぞを徘徊して、いっぱし若きローンウルフ気取りでいたような彼も、いざひとりで生活してみると便所の紙一枚使うにも金がかかると云う道理を身をもって感ずるに至り、そのアパートを借りたあとに残った六万円程の金も、当初は一回飯を食えば確実に目減りしてゆくと云うことにすら、全く思いが及ばないような次第であった。  貫多はこの日以降、毎日のことではないが、一、二日おきにかの労務に出かけるようになり、その都度、昭和島や平和島、芝浦、豊海、或いは船橋や鶴見なぞの現場に派遣され、似たかよったかの積み替え作業で五千五百円也を得ることになった。その日に稼いだ金は、次にその会社にゆく為の電車賃だけ残してアッと云う間に使い果たし、また同じ額を得るべく、どうでもそこへ行かざるを得ない状況に自らを追い込むかたちとなった。  土台貫多のように、根が意志薄弱にできてて目先の慾にくらみやすい上、そのときどきの環境にも滅法流され易い性質の男には、かような日雇い仕事は関わってはいけない職種だったのだ。それが証拠に、彼はそれから三年を経てた今になっても、やはりかの悪循環から逃れられず、 結句 相も変わらぬ人足の身なのである。時折、その職種にインターバルをおきたくなったときには製本工場や書籍取次会社の仕分けに出かけることはあっても、いずれも給料は最悪の場合でも週払いの形態でなくては到底生活が成り立たない 態 たらくで、それとても最後は必ずお馴染みの埠頭に戻ってこざるを得なくなる、ちょっともう、簡単には軌道修正もきかなくなった、誠に愚昧な暮しぶりであったのである。当然、家賃の類の払いは滞る一方であり、それが為に追い立てを喰らうケースはすでに慣例と化し、一度は半年分溜めたものを踏み倒して逃亡をきめ込む次第にすらなってしまっていた。  作業が終わった以上、日雇い連中はその場で各自解散してもかまわなかった。すぐ至近のところに、モノレールの駅があった。だが、その浜松町まで出るにバカ高い運賃を支払うのを惜しむ者は、来たときと同様、帰りのマイクロバスに乗ってもよく、この場合終点たる会社まで行くもよし、また朝と同じく倉庫番が途中で降りる際に一緒に下車してしまってもよい。 但、そのバスが発車するのは、人足が積み替えたタコをフォークリフト等で冷凍庫に収納している倉庫番全員の作業が終わるのを待っていなければならなかった。 テレビを持たぬ彼には、ラジオのみが虚室に一点、賑やかさを与う貴重なツールである。  やがて眠気が近付いてきた気配に、いったん起き上がって頭上の裸電球のスイッチをひねるが、ラジオの方は、そのままかけ続けておく。  いったいに貫多は、子供の頃から極端に友人が少ない方ではあった。  彼は江戸川区のはずれ、ほぼ浦安寄りの町の生まれで、家は二代続きの零細運送店を営んでいたが、両親は共にひどく短気な激情型の性格であり、どちらも酒類は一滴も受けつけぬ体質ながら、シラフでもひとたび怒りだしたら最後、貫多に加えられる折檻は、殆ど暴行レベルのそれに近いものがあった。 「出たぜ。田舎者は本当に、ムヤミと世田谷に住みたがるよな。まったく、てめえらカッペは東京に出りゃ杉並か世田谷に住もうとする習性があるようだが、それは一体なぜだい? おめえらは、あの辺が都会暮しの基本ステイタスぐれえに思ってるのか? それもおめえらが好む、芋臭せえニューアカ、サブカル志向の一つの特徴なのか? そんな考えが、てめえらが田舎者の証だってことに気がつかねえのかい? それで何か新しいことでもやってるつもりなのか? 何が、下北、だよ。だからぼくら生粋の江戸っ子は、あの辺を白眼視して絶対に住もうとは思わないんだけどね」  すると妙なことには、これが栄誉を手中に収めた作家の自信と云うものなのか、一寸冷めた目で自らを俯瞰してみる余裕も生まれ、最前までのひたすら功名心にあせっていた己れの姿を省りみれば、それがひどく情けなく、ひどくみっともないものと認識されてくる。  考えてみれば文学賞を欲しがる心根なぞ、サラリーマンの出世願望のそれと概ね同質のものであろう。そして川端賞を欲してやまぬ自分もまた、名声慾にかつえた乞食根性丸出しの下賤の者には違いない。こんなのを否定し、心底白眼視するのが本来の〝 澤 流〟のはずである。  それは中には文芸誌の新人賞から出発し、その上の新人向け文学賞、そしてまたその上の段階の文学賞と、着々と受賞を重ねて斯界のエリートコースを駆け登ってゆく、貫多にしてみれば暴力で叩きのめしてやりたい程憎く、妬ましい、生まれついての文運を持った者もいる。だが、結句そんなピラミッド型の優劣の図式なぞ、辞令一枚でいくらでも替わりのきく、単なる会社員にすぎぬ現今の文芸誌編輯者が、内々の狭小な空間で持ち寄り描いた砂上の楼閣に他ならないし、一寸の虫にも五分の魂との例えの通り、傍目にどんなに見すぼらしくとも、実作をもって一国一城を築こうとする者にはどの城が高いかとか低いかとか云った野暮な評価は全く無意味なことである。たとえ早晩落城の憂目を見たとしても、真にそれで終わったのかどうかは、所詮現在の馬鹿な編輯者や読者になぞ、到底察知し得ようはずがない。短期的な状況判断のみで、わかるような事柄ではないのである。  悪いことに、彼はそうは云っても、やはり根は小説を書くことが何よりも好きであった。その性分をかかえている以上、近い将来には実際かような流れの果てとなっている可能性は極めて高い。  二度川端賞の候補に挙がったことをひそかな矜持の拠りどころとし、それを唯一の心の支えに、誰とも交流のない佗しい老残の日々を経てている姿は、今のこの時点にしてすでにもう、想像に難くないのである。そしてまたそのおぞましき予想図は、異様に鮮明な実感を持って彼の恐怖心をやけに煽ってくるのである。すると痛み止めの効果はどこへやら、腰の様子も俄かにおかしくなり始め、軽い吐き気すら催す怪しい疼きが、またじわじわとぶり返してもくるのだ。  いかなる善人も実は密かに悪行を夢見るし、いかなる富豪も自らの富の喪失を恐れぬことはあるまいし、 完璧 に近い充足の内に過ごしている人間でもその喪失や 挫折 を密かに 危惧しているに違いない。  いや、それはあくまで極端な対比であって、おおかた通常の人生を過ごしている人間たちとて、没落は実は紙一重のものでしかないという人生の公理は密かに心得ているに違いない。  西村賢太氏の作品の魅力はその人生の公理といおうか虚構といおうか、人々が実は密かに心得、 怯え、予期もしている人生の底辺を開けっぴろげに開いて 晒 けだし、そこで 呻吟 しながらも実はしたたかに生きている人間を自分になぞらえて描いている。それこそが彼の作品のえもいえぬ力であり魅力なのだ。 私小説は日本独特の領域ともいわれるが、私はそうは思わない。優れた作家は誰しもどの作品の中でも己の一部を吐露している。要は居直り正面きってそれをするかしないか、あられもなさの度合いであって、それを欠いた作品は心身性を感じさせずに芸術の資格を得ない。  私が過去に最も愛好した日本的私小説作家は田中英光だった。破滅を前提してかかる彼の作品には他にない 潔 さがあったが、西村氏の場合、彼の作品の根底を支えている貧困という主題が、氏が売れっ子になっていく過程で、つまり裕福になることで 阻害 され、作品の魅力を 殺いでかかる危うさが待ち受けているかも知れない。 Amazonレビュー 著者の経験に基づき、人間の汚さ、弱さ、不条理さを生々しく、包み隠さず、そのまま描いている作品で、気付くと夢中で一気に読んでしまいました。 訃報を知って読み、圧倒された。私小説として、自らの狡さや汚さや嫌らしさをこれ程冷徹に描写できるというのは凄いと思う。他の作品も読みたい。

    4
    投稿日: 2024.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    友達の彼女を見定めて、点数を付け、自分の思った通りの、自分のプライドを慰めるようなレベルであることに安堵する。業界人ぶった態度や、自分には手の届かない世界には容赦無く嫌悪感を示す。文学賞など、肩書きのある人生に憧れ、評価されず、一人で侘しいプライドに拘泥しながら死んでいくことに恐怖を感じる。中卒、日雇い労働者、性犯罪者の息子、に囚われながら自らのプライドを慰めようと、言葉で救いを求めてもがいている。

    4
    投稿日: 2024.07.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私小説。主人公貫多は日雇い仕事を続け、先の見えない生活を送る。父親の犯した罪によって、人生が決定づけられたとの思い込み。押さえつけられた圧力に爆発すれど、冷静になっても、反省は諦念に繋がるばかり。2024.7.11

    1
    投稿日: 2024.07.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まぎれもない底辺の生活をしている若者の物語だが、自分自身と共感する箇所も多かった。特に、青春と言われるような彼氏彼女ができない人からすれば、自分を僻んだり、特に相手が何かをしたわけでもないけど相手に嫉妬や妬みを持ってしまうのは普通のことだと思う。 そういった日頃抱えている思いも何の躊躇もなく、自分自身の代わりに吐き出してくれているように感じさせてくれた。 昨今、インスタなどできらきらした人々を毎日見るようになっているが、主人公に共感する人も思いの外多いのではなかろうか。

    2
    投稿日: 2024.07.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この人は、 私小説家として生きる道しかなかったのだろう。 根っからの臆病者が恐れていたように、 たった一人で死んで、 腐乱した体で発見されるということが、 避けられた現時点から読むと、 良かったねとすら思う。 私小説家というものは、 限りない自己批判性と客観性を持ち合わせて、 幾ばくかの真実と、幾ばくかの誇張と、 大いなる主観を言語化する能力を研ぎ澄ませているのだろう。 この貧困の中を生き抜いた貫多。 心身がむさ苦しく、臭い、貫多。 おそらく憐れみなど全力で拒むだろう。 でも思うのだ。 芥川賞を取れて、よかったね。 生きていて、よかったね。 ただ一方で西村賢太に物足りなさを感じたのは、 強烈に病的なねっとりジメジメした自己愛にまみれた私小説であれば、 私は圧倒的に車谷長吉が好きだからだ。

    2
    投稿日: 2024.06.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白く読ませていただきました。 映画もみたくなりました。 ぎっくり腰の描写がなかなか秀逸だと思います。

    1
    投稿日: 2024.05.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んだ後すぐに、妻にも「面白かったよ」と勧めたら、通勤電車の行き帰りで読了してました。めちゃくちゃ良かったとのことでした。(ちなみに妻は超速読なので僕の4倍ぐらいの速さで本が読めます。ただ、内容は少し経つと1つも覚えてないのがデメリットです) 「コンビニ人間」の時にも感じた文章がドライブする感じっていいましょうか。小説家としてしか生きられなかった不器用な人生の、怨み辛み嫉みのハードなパンチ。 「IPPON グランプリ」を見てて、バカリズムの解答があまりにも正解過ぎて、面白いんだけど、面白くないって現象ありませんか? 知識の蓄積や、自分が導きだした方程式で戦っていて、器用さが垣間見れてしまうというか。 それでいくと、西村賢太はチャンス大城なんですよ。人生が小説で、小説が人生、同じ意味になる。東野圭吾が2回輪廻しても書けない文章なんです。一昨年、亡くなったのが悔やまれますね。あと巻末の石原慎太郎の解説文も愛があって良かった。

    3
    投稿日: 2024.05.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    <印象に残った言葉たち> あくまでも、食う為の日当五千五百円のみが眼目なのである。 p.44 無論、貫多は最前の二人の会話等から、日下部と美奈子は自分とはまるで違く人種であることをハッキリと覚っていた。この二人はまともな両親のいる家庭環境で普通に学生生活を送って知識と教養を身につけ、そして普通の青春を今まさに過ごし、これからも普通に生きて普通の出会いを繰り返してゆくのであろう。そうした人並の生活を送るだけの資格と器量を、本人たちの努力もあってすでにして得ている者たちなのだ。そんな人たちに、ゴキブリのような自分が所期のかような頼み事をしたところで、どうで詮ない次第になるのは、とうに分かりきった話であった。 p.105-106 そして更には、かかえているだけで厄介極まりない、自身の並外れた劣等感より生じ来たるところの、浅ましい妬みやそねみに絶えず自我を侵食されながら、この先道行きを終点まで走ってゆくことを思えば、貫多はこの世がひどく味気なくって息苦しい、一個の苦役の従事にも等しく感じられてならなかった。 p.116 確たる将来の目標もない、相も変わらず人足であった。 p.122 加害者家族であったが故の罪なき罰として、すでに三十余年前に、十一歳にして人生終わっているのである。 p.155 しかし彼は、そんな状況にあるからこそ小説を書いているのである。自身をあらゆる点で負け犬だと自覚すればこそ、尚と私小説を書かずにはいられないのである。 p.155 もって実力派の書き手として、訳知らず編輯者から、訳知らずにでよいからチヤホヤされたかった。数多の女読者から、たとえ一過性の無意味なものでもいい、ともかく一晩は騙せるだけの人気を得たかった。 p.165 無論、金はいらぬが、それよりも名を得た方がいいに決まっている。 作家として広くに認められ、最早惨めな持ち込みするまでもなく、当然のように原稿依頼が舞い込んでくる身になりたかった。 p.166 西村賢太氏の作品の魅力はその人生の公理といおうか虚構といおうか、人々が実はひそかに心得、怯え、予期もしている人生の底辺を開けっぴろげで開いて曝けだし、そこで呻吟しながらも実はしたたかに生きている人間を自分になぞらえて描いている。それこそが彼の作品のえもいえぬ力であり魅力なのだ。 解説 p.168-169 <感想>  めちゃめちゃ私に刺さる小説だった。なぜ刺さったのか言葉で現すことができなかったが、見事に解説で石原慎太郎が言葉にしてくれた。  北町貫多の抱える、劣等感、妬み、そねみを私は見事に全部持っている。日下部に対する嫉妬、美奈子に抱える軽蔑感が痛いほど分かってしまった。北町貫多と同じ感情を持っている自分を認識させられた。  私は、勉学、感情に対する並外れた劣等感を持っている。私より頭が悪い奴は勉強不足だと軽蔑し、私より明るく場に溶け込むことができる性格の持ち主に酷い嫉妬をする。電車でカップルがいちゃ付いている姿を見ると羨ましいと思う反面、私にはこれは無理だという感情が沸く。  私は社会不適合者である自覚がある。この世は酷く生きづらい。

    2
    投稿日: 2024.05.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    NHKで西村賢太さんの特集を観て読んでみたくなり 手に取った。 いろいろな感情が出てきた。育った環境の辛さ、やる気の無さから何なの?どうしようもない人だな、実際身近にいたら一緒に仕事したくないな、などなど。 それでも友達がいない貫太が日下部に出会い、だんだん親しくっていく過程での気持ちや行動の変化のところは、人間臭さを感じ特に印象に残った。 また次の作品を読んでみたくなった。

    8
    投稿日: 2024.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    中学を出て以来、これといった目標もなく冷凍倉庫の日雇い仕事で食いつないでいる北町貫多。あるとき現場で、同い年で専門学生の日下部正二と知り合い交流を深めていく。 (おそらく著者自身をモデルにした) 粗暴で鬱屈し、プライドが高く、寂しがりでもある貫多にはよくも悪くも人間味があり、共感も覚える部分も少なくない。時代がかった言葉づかいが多いが読みやすく、展開もはやいのでテンポよく読める。 「最後の無頼派」とよばれた著者の芥川賞受賞作。 後年、私小説家になった貫多を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」も併録。

    3
    投稿日: 2024.02.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    言いたい事、訴えたい事じゃない、吐き出したいから書き続けたんだろうな、この人。 11歳で人生詰んだ人。 たとえ非正規雇用のままでも、派遣会社にゴッソリと中抜きされまくる日々でも、15歳から日雇い人足のこの人より遥かにマシ。 子供に奨学金を背負わせる親でも、強姦で逮捕されるこの人の親よりずっとずっと親ガチャに当たっている。 2年前にひっそりとタクシーの中で心停止してしまったけど、それもこの人らしい。

    3
    投稿日: 2024.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分と重ね合わせることが出来ない。 自分とは思考回路が全く違う貫多を読み終わる頃には好きになっている。 今迄出会った人たちの全く理解が出来なかった行動の動機に少し触れられた気がした。 『落ちぶれて袖に涙の〜』は、「根は〜」の言い回しの後に続くカタカナにふふっとなった。

    3
    投稿日: 2024.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    石川の地震により西村賢太と師匠である藤澤清造の墓石が倒れたという情報がXで流れてきた。彼の命日が近いこともあり、そういえば読んだことないなと思い、芥川賞であるこの苦役列車を読み始めた。 面白かった。もちろん人によっては嫌悪感を示す内容だし、やっていることは褒められたことではないかもしれない。それでも個人的には面白かった。 ・隣でサラダ食うおじさんを怒鳴りつけてやりたい。 ・主人公はこういう行動したけど「僕の根は◯◯なので」という使い回しだったり。 (一番面白かったのは、「根はスタイリストなので~」) ・友人とその彼女の3人で飲んでいる最中にコンプレックスが爆発して悪態を晒したり。 ・何度も原稿を反故にし続けのは自分なのに、担当編集者にびびってたり。 中卒というコンプレックスから、他の普通の人生を歩んでいるであろう人たちのどこかをけなしてやろうとする考えの一方で、文学賞候補に入ったときは欲しくてたまらないなどとミーハーな部分を出してみたりと、とにかくはちゃめちゃな主人公だった。

    14
    投稿日: 2024.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白かった。 貧困、最底辺の生活をものすごいリアリティで描いている。そしてなぜかイキイキとして感じる。 自分が大学生のころのアルバイト先の交友関係をおもいだして(自分は日下部側ではあるが、、)すこし胸が苦しくなった。

    2
    投稿日: 2024.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私小説ということで描写が生々しい。 温度や湿気や匂いが伝わってくる。 劣等感に苛まれながら何とか生きている男。 やっていることは無茶苦茶だが今後どうなるのか興味を掻き立てられる。 悲観から楽観に至る心の動きが印象的。

    2
    投稿日: 2024.01.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「私(わたくし)小説」という範疇の小説として、作者の西村健太は自分の生い立ち・出自の劣性を主調にして大胆な内面の吐露で独特の世界を作り上げている。彼は父親の性犯罪や自身の不登校・中学卒の学歴を晒しているが、豊富な読書経験により文体は確固とした純文学調で、古風で独特の用語や表現で安定感のある作品にしている。物語は、主人公貫多は建築や物流現場の肉体労働の日雇い人夫で、人間関係には疎く孤独なその日暮らしを続けるなか、友達ができてその遣り取りに纏わる話である。 芥川賞の選考で石原慎太郎が高く評価し、この本の解説も書いている。池澤夏樹は最後まで反対であったがその意図もわかる気がする。どぎつい心理描写に創作の芸術性よりも作為性を感じるのだろうか。文学賞選考の舞台裏の政治が垣間見える。 石原の仰々しい文章には性格とはいえ優越感と見下しを感じる。又、作者の生きてきた世界や脂ぎった才能とは対極の「功なり名を遂げた」安全な立場で、自己の文学者としての限界を隠そうとする気負いの言葉にも映る。彼の言う、劣等感と怨嗟の創作エネルギーが芥川賞の受賞によって潰えてしまう懸念は杞憂であろう。それほど柔(やわ)ではないと思うが、今となっては証明のしようはない。2011年に芥川賞受賞後22年に54歳で亡くなっている。 人間は人が思い考えることと自分の心を比べる誘惑に駆られる、そのことで自分を確認できるから。作中人物が破滅的・厭世的に荒む程、描く人を冷静に見据える視線があり、それによって読者は自分を確認する。 この作品は心に響くものがある。

    2
    投稿日: 2023.12.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んでいて痛快な文体。はっきりとした起承転結が示されているわけではなく、最後までひとりの人間の生活を覗いている印象が続いた。小説においては、いかに共感できる部分を生むか、が重要なのだろうと感じた。もう一度読みたい。

    2
    投稿日: 2023.12.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    主人公は北町貫太という名で西村賢太をもじっていることからも分かる通り、著者の分身とも取れる人物であり、底辺労働者として働きつつ小説業も後に生業としている。この小説の魅力は巻末で石原慎太郎も書いていたことであるが、明け透けに底辺労働者の生態を晒していることであり、それが他の小説にはない読後感を読者にもたらしている。どちらかと言えば、人生のレールから外れた人間にこそ共感される作品と言えるだろう。

    3
    投稿日: 2023.11.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    芥川賞、そして解説が石原慎太郎氏ということで作品を手に取る。 主人公のことを思うと何とも言えない気持ちになった。

    2
    投稿日: 2023.10.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    故・西村賢太の代表作。 西村は、54歳という若さで亡くなったが、そのような若さで亡くなった他の人たちと違い、西村の死には悲壮感がない。生前から、西村の著作は、もはや当代の小説家の著作のようには感じられなかったせいだろう。 だいたい、この小説の書き出しにある「曩時」などという言葉に象徴されている。西村賢太という小説家の特徴は、この作品の書き出しの二文字に集約されているように思う。

    2
    投稿日: 2023.10.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    自らの生活に諦め、日雇いの重労働で毎日を生きる主人公が他の労働者や社会に斜に構えた態度で過ごすデカダンス作品です。自分の生活には目を向けず、他人の生活を足りない頭で批評している場面がままあり、これを面白いと思えるかが肝だと思います。私は面白いとは思えませんでした。ただ、最後のページでこの主人公が作者本人のことをいっていることが分かったのが驚き入りました。

    1
    投稿日: 2023.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    作者の作品はいくつも読んでいるが、一番を選ぶとしたらこれかもしれない。 どの作品にも出てくるカンタは中途半端じゃなく、清々しいクズだからこそ好感が持てる。この作品では、そんなカンタらしさが特に出ている気がする。客観的に見てる分にはいいが、実際に関わりたくはないだろう。

    2
    投稿日: 2023.09.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私小説としてのジャンル開拓という目的で読むには価値があるかと思いますが、 芥川賞受賞作にしては文章が稚拙な感じで、 淡々と脈絡のない不平不満がつらつらと書き綴っているだけの印象でした。 性描写もあけすけで、女性蔑視の感覚が見え隠れするようであまり好ましく読了出来なかった。

    2
    投稿日: 2023.08.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    いつもの同棲相手DVネタでもないし、プロレタリア的な内容もあるかなと期待したが、やっぱりこの人の書く小説は全部一緒。もう十分ですね。

    2
    投稿日: 2023.08.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    現代の作家の私小説は初めて読んだが、北町貫多の行動や言動に驚かされたり、共感できるところがあって面白かった。正直な気持ちをそのまま文章にしていて、まわりくどい表現もなく醜い姿もそのまま投影されていて、読んでて気持ちよかった。 文体が特徴的で、単語も少し難しく調べながら読んだのでスムーズには読めなかったが、その表現だからこそ作品が際立つと感じる。 西村賢太さんが生きている間に読みたかった作品だった。他の作品も読みたい。

    5
    投稿日: 2023.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    "かかえているだけで厄介極まりない、自身の並外れた劣等感より生じ来たるところの、浅ましい妬みやそねみに絶えず自我を侵蝕されながら、この先の道行きを終点まで走ってゆくことを思えば、貫多はこの世がひどく味気なくって息苦しい、一個の苦役の従事にも等しく感じられてならなかった。"

    2
    投稿日: 2023.08.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人生で初めて小説を読みながら爆笑した 自分の心の中をこんなにもあけすけに書ける胆力と、絶妙な心模様を表す言葉を選択する語彙力が同時に備わった人間がこんなにも波瀾万丈の人生を送って、それを文庫化して出版してくれたことに感謝しかない

    2
    投稿日: 2023.07.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    北町貫太は怒っている。 日雇い仕事をしながら。唯一心を許せた友人の振る舞いに。その友人の恋人と3人で居酒屋に行った時も。 ここまで明け透けに語ることができるのは、徹底して自分を観察している「作家の目」があるからだと思う。その源は11歳で突如断ち切られた世間、劣等感にあるのか。 駅ですれ違った同級生の女の子に無視されるシーン。つらい。

    2
    投稿日: 2023.07.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日雇い労働の自堕落な生活の中で 家賃を踏み倒したり、人の善意を裏切ったり、妬んだり、悪態ついたり、、、などなどさまざまな悪行を重ねていく主人公の話し。 自分の理不尽さを虚しく感じながらも、 社会に上手く調和した他人をイヤラしく感じる部分は非常に共感できる。 すべての著書がほぼ同じ内容だけどとにかく好き!

    2
    投稿日: 2023.07.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    わざとらしくクドい文章だけど、ついつい読まされるという感じ。ところどころ笑える悪態も有って良かった。ヤケクソで卑屈な自分をつい重ね合わせてしまう部分も有り、初めての西村賢太だけど、フィーリングが合うかも。

    2
    投稿日: 2023.06.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分にも重なるような、人間の醜い部分を覆い隠すことなく描いていました。どうしようもない主人公だと思うのですが、それにしても言葉遣いや表現が高尚というかなんというか、スラスラと一気に読めてしまいました。 読むと若干卑屈になった気がします。笑 しかしそれでも読んでよかったと思える作品でした。

    2
    投稿日: 2023.06.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最初の頁から夢中で読んでしまいました。言葉の使い方にも味わいがあり、主人公の姿が見えるようです。友達を欲する彼の言動にもなんとも言えない切なさを感じました。

    2
    投稿日: 2023.06.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とても良かった。すごく読みたかった本だけれど、読んで良かった。解説の石原慎太郎がとても不自然に思った。他の人でもいいのじゃないかと思った。

    1
    投稿日: 2023.05.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    読売新聞で『蝙蝠か燕か』の書評を読み、まずは『苦役列車』を読む。夫の犯罪、息子の金の無心、真面目に生きている母が一番苦役列車だった。列車は終着駅に着かぬまま。だがポケットの中には拠り所がある。相も変わらなくはないところに希望を感じた。 先週行った赤羽の古本屋やイトーヨーカドー。馴染みの場所の登場に作者を調べてみると明理会病院で亡くなっていた。地元を知る身としてこれを機に作品に触れて行こうと思う。

    2
    投稿日: 2023.04.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なんか肥大する自意識? 報われない努力、才なき者の人生。 私小説って何ですか? 面白かった〜! 特に性交渉に関するリアルな描写とか、読んでいて価値観がどんどん更新されていきます。 なんか主人公のプライド高い感じ? 読んでいて本当に、部屋は狭いしお金ないし、イヤなことしか起こらない! みたいな。 なんか閉塞的で…暗くて…でも全然主人公を好きになれません。 なんか卑屈なやつ、みたいな。 でもなんか、本当に何もできなくて、報われなくて、幸せになれない感じ、もう少しプライドが低ければ幸せになれたかも? 単語が難しくて全然わからん。 でもよかったーよ。

    2
    投稿日: 2023.04.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分の現状に不満があると多少ひねくれてしまう部分は誰しもあると思う。 貫多は自分でわかっていながらも、感情のままに発言したり行動したりするのには読んでいて「おいおい」とツッコミをいれたくもなったが、読んでいて引き込まれた。

    4
    投稿日: 2023.04.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    リアルな世界、今もどこかで繰り広げられている現実をみている感じ。自分とは違った世界と思いつつも、主人公をはじめ登場人物の感情に自分もそういうときあるかもと感じてしまうなんだか自分自身を見つめ直すきっかけともなったと思う。

    3
    投稿日: 2023.03.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めての西村賢太。 1ページに一つは読めない漢字と知らない単語がある。辞書を引きながら自分の学の無さと、小難しく書く作者にイライラしながら読んでいるといつのまにか引き込まれていった。 社会の底辺で、クズ人間の自分を大っぴらに公開しながら重たい文章で書いているのがとても魅力的に感じてきて面白い。文章のリズムが良い、というのはよくわからなかったが、たしかにこれはいいかもしれない。 これは私小説なら、この後売れていった彼の作品はどのようなものなのか気になった。

    2
    投稿日: 2023.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初西村賢太。時折古めかしい熟語や言い回しは飛び出すものの、文章そのものは平易で小学生でも理解できるだろう。しっかりリズムがあって一度ハマるとぐいぐい読み進めてしまう。「糞腸淫売」とか「コシケの量が多い」といったミソジニー丸出しの罵詈雑言に混じって独特のキュートな言い回しが出てくるのがなんとも。「おそばのおつゆ」に「根がスタイリスト」って。西村賢太という無頼漢が愛された秘訣はこのいじらしさだったんじゃないだろうか。

    3
    投稿日: 2023.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なぜ今の今まで読まなかったのか、激しく後悔した。令和の今、作者のような無頼派の私小説作家は貴重な存在で、その突然の死は大きな損失だ。

    2
    投稿日: 2023.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ダメな男だがどこか他人とおもえないのは、きっと自分にも思い当たるふしがあるからだろう 19歳という年齢からしてもとくにそういう強がりや、自分をよく見せようとする気持ちはわかる 歳を重ねた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」での承認欲求にも共感でき、この人は乱暴だけど、きっと人見知りの裏返しなのだろうとおもうと、どこか魅力的でもある

    18
    投稿日: 2023.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    気になってたけど、なかなか手が出ていなかった本作。 ようやく読みました!! いやぁ、令和の世までこんな人が、現役作家だったとは。。。 生きてたら太宰が嫉妬するかどうか。 良くも悪くも明治大正のブンガクシャの様なクズっぷりは読み手としては非常に心地良いですね。 決定的に彼らと違うのは女が寄って来ないことくらいでしょうか。 バイオレンス味が強いのは戦後っぽさあるかも。 もうこんな生き方をする人はありえないだろうなと思う一方で、衰退していくこの国においては取り残される子どもたちも出て来かねない。複雑な思いです。 日下部ともっと早く出会えてたら、もう少し違ったのかなと思いつつ、そうであったらこの小説には出会えなかっただろうとも思います。 「苦役列車」と「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の間を描いた作品もあるのでしょうか。 気になります。

    3
    投稿日: 2023.01.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一見するとただのクズと思える主人公。その日暮らし、友人無し、恋人無し、学無し、金無し、プライドだけ有り、いわゆる底辺と言われそうな人物。 だけど、なぜか主人にそこまで嫌悪感は感じない。 生まれ、育ち、突然の不幸などで、明日は我が身の可能性も感じるし、人間はこういう側面を持ちうるものとも思うし、向上心を持って走り続けなければならない疲れからの解放感みたいなものも感じる。 ストレートなクズっぷりにある種の潔さを感じる。自分を飾らずに描けば、少なからずこういう要素があるだろうとも思う。 その日暮らしを飾らずに綴った様から、生身の人間らしさみたいなものを感じて、他にはなかなかない読書体験になった。 この本そのものはダラダラしないコンパクトなボリューム感で、そこもまたよかった。

    3
    投稿日: 2022.12.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今年亡くなられたニュースを見て、読んでおくべきかなと思い手に取りました。 自伝的な小説ということで、これが著者自身の経験が色濃く反映された作品だというのだからとてつもない人生を歩まれていると思う。 少し前に親ガチャという言葉が流行ったが、私を含めて友人には毒親のせいで苦しんで大人になり、自身が子を持った今もまだ苦しめられていると思っているが、この作品を読むと、自分たちはまだまだ恵まれていたほうなんだなと思わされます。 親が犯罪を犯した場合は、その家族にも大きな苦しみがもたらされるといのは、なんとなくわかっていたつもりだったけど、本当に人生を狂わされてしまう様子が痛々しい。 読後感は決して良い作品ではないけれど、今もきっと同じような境遇の人が生まれてしまっているような気がします。

    2
    投稿日: 2022.11.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    やっと読み終えた。 西村賢太さんの作品は「一私小説書きの日乗」から読み始め、今更ながらこんな作家いるのだ!と衝撃を受けた。 日記形式ではなく、彼の作品をちゃんと読んでみたいと思って読み始めた作品。 とても面白かった。 解説が石原慎太郎さんであったため、解説を含めて読んで、改めて偉大な作家が亡くなってしまったのだと実感した。 まだまだ西村賢太さんの作品は色々あるので、また読んでみたい。

    2
    投稿日: 2022.11.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    初っ端からバシンと頰を張られ目を覚まさせられるような小説だった。どうやら私小説のようだ。 言葉のチョイスや言い回しが面白かった。 主人公の生い立ちを聞くと、子どもの頃から普通に恵まれて育った人間とは相容れないところがあると思った。だから知り合った人間に対して卑屈になるのも仕方がないだろうなと思いながら読んでいた。登場するのが鼻につく連中でもあったし。 意外にウジウジして煮え切らない19歳貫多だが、この人は戻れない道を行っている。読んでいるうちにそれならこっちも腰据えて聞いてやるか!みたいな気持ちになってくる。人懐こさが文章にある気がした。 40歳になってからの話ももうちょっと読みたかったなと思った。決して耳触りのいい内容ではないのに不思議。

    0
    投稿日: 2022.11.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私小説か、ほぼほぼノンフィクションか。 なんとまぁ、こんな人生を選択したくても実践したくても、できやんな。したくないしな! いま何してんのかな、と思ったら、今年亡くなったんか。 自分の気質を理解していない人は、是非とも私小説を書いてみると良い。気づきたくもない認めたくもない自分の内面と葛藤できて、その辺に売ってるどんな自己啓発本よりも自己啓発されるはずね。 映像化された苦役列車、どんなんか観てみよう。

    4
    投稿日: 2022.10.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読むのが嫌だった。何回か投げ出したくなった。こんな環境に陥りたくない、こんな人になりたくない、こんな人物と友達になりたくない。作者自身の一番醜悪な部分をこれでもかこれでもかとさらけ出している。しかし唯一友人になりかけた日下部と文学を語り合う場面がある。アルファベットも書けない主人公がいったいいつ読書していたのだ?そう、彼は結局は作家になったではないか。この小説が成り立っているのは「私小説」だったからではないのか?約束された未来が見えるからこそ、文学作品として付き合えたのではないか?

    3
    投稿日: 2022.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    さらけ出すことも文学。私小説とは日本独自の手法らしい。 人間とはなにか?人生とはなにか?文学の本質とはそういうところなのだろう。

    1
    投稿日: 2022.08.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    上司に借りた、初めての私小説。エッセイと私小説は同意義だと思っていたけれどエッセイはノンフィクション、私小説は事実を元にしたフィクションらしい。どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか分からない。発行2012年とは思えないぐらい文体が古くて正直読み辛い。主人公は女性軽視しまくり、自分より優れた奴が嫌いでプライドが高くて下劣で生理的に無理。最底辺で生と性にしがみついてる感じ。朝勃ちの話から入るし風俗の話も結構出てくるしインパクトがすごい、こんな小説が世の中にはあるんだってなった。今まで読んた中で頭一つ飛び抜けて生々しくて下品で汚い小説だった。(けどこれがこの小説の最高の褒め言葉なんだと思う。)

    0
    投稿日: 2022.07.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    著者の訃報を知っていつか読みたいと思っていました。 芥川賞受賞作。 私小説ということで生前の著者の飾らない人柄を垣間見ることが出来ました。 ご冥福をお祈りいたします。

    0
    投稿日: 2022.06.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ふと昔ニュースで見た著者のことを思い出し、気になって読んでみた。タイトルからかなり暗い小説を予想していたが、主人公の性格や考え方がそれをこちらに感じさせない良いクズさがあるので、暗い感じにならずに読み終えることができた。文体は特殊だがそれも良い雰囲気を出している。石原慎太郎氏の解説含めて良い作品だった。

    0
    投稿日: 2022.06.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なかなか手に入らず、やっと読めた私にとって彼の第1作目。私小説という普段はあまり選ばないジャンルでしたが、かなりのインパクトがあり途中心が苦しくなるような気持ちに。普段の小説では感じない、悲しいとか虚しいとか寂しいとかそのような感情ではなく、何とも言えない重い物が胸に入って来た、そのような感じでした。 彼の作品を続けて読む自信は今は無いので、また少ししたら別の作品を読んでみようと思っています。

    0
    投稿日: 2022.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    アオハルの人達が読めば、共感できるかも。ところどころは、分かるところもあるけど、自分探しをし続けて、歳をとった僕には、あまり響かなかった。生きることは、苦しいけど、楽しい。人生は同じようなことの繰り返しかもしれないけど、気持ち次第で、みえる景色は、変わる。 同じ本の中のもう一つの短編の方が良かったです!

    0
    投稿日: 2022.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    悪文で知られた石原慎太郎氏が認めただけのことはあるのか? 決して技術的に巧みで手練れた文章ではないが、ごつごつとして無骨ながらも、どこか繊細な弱さのようなものが滲み出ている心裡描写、情景描写には、冒頭から凄まじい臨場感が満ちており、読んでいると自分もその場に居合わせているかの如く、光景や感触、匂いまでもが脳内に浮かび上がってくる。 ということは、やはり上手いのだろう。 私小説であるから、もちろん著者自身の性向が北町貫多のそれに投影されているのだろうが、彼に備わる、人間が持つ"負"の要素の質量が余りに大き過ぎ、こういう不器用な人もいるよね…と理解はするものの、個人的には共感を遥か通り越して呆れてしまうシーンが少なくなかった。 その意味では、表題作よりも、後半に収められた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」の方が、素直に腑に落ちる部分のウェイトが高かった。 きっと適切な喩えではないが、町田康氏の作品から飾り気をどんどん落としていって残った芯が、西村賢太氏の私小説に近いのかも…等と突飛なことを少し感じてしまった。 どこかで読んだ著者のインタヴューか何かで、"どうしても主人公=自分を美化してしまうところがある"という主旨のことを仰っていたのを目にし、ここまで曝け出しながら…! と若干驚愕した記憶がある。 折しも、ちょうど届いたばかりの「本の雑誌」最新号で、氏の追悼特集が組まれており、その中で長年親交のあった古書店の店主が「芥川賞とらなかったら共倒れしてたんじゃないかな」と話しておられたが、本当にそうかもなあ、と深く首肯した次第。

    2
    投稿日: 2022.05.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    芥川賞受賞作。 西村賢太の作品を読むのは、これが二冊目。読み始めてしばらくして、なにか間違えたかと訝しんだ。以前に読んだ本と同じ主人公の同じ境遇が語られている。しばらく読み進めて別の本であると判明した。私小説を読むのは初めてなのだが、こうゆうしきたりなのだろうか。 中卒で冷凍庫で日雇い仕事に従事する主人公の姿が描かれる。職場で知り合った専門学校生と彼とつきあっている女子大生と三人での飲み会でのいざこざの現場での会話にハッとさせられた。彼らを「ニューアカ、サブカル志向」と罵倒していた。作者の年齢を考えればわかりそうなものなのだが、日本が豊かであったあの時代が舞台となっているのだ。文体や書かれた内容から、昭和の三十年代くらいをイメージして読んでいた。

    0
    投稿日: 2022.05.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    中卒、貧困、日雇い仕事で食い扶持を稼ぎ、それが無くなったら母親から金をむしり取る、友も恋人も無し。 そんな底辺のどうしようもないクズのどうしようもない生き様を描いた作品。 努力が嫌いなくせにプライドだけは一丁前で、劣等感とやり場のない怒りを抱えたまま悶々とくすぶる様がリアルで身につまされた。 文庫版の解説は石原慎太郎で、芥川賞選考委員だった彼は、西村賢太の同賞受賞を推したという。 そんな石原慎太郎が「西村氏の作品の根底を支えている貧困という主題が、氏が売れっ子になって裕福になることで阻害され、作品の魅力を殺いでかかる危うさが待ち受けているかも知れない」と解説していて興味深かった。

    2
    投稿日: 2022.04.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    西村賢太さんが亡くなったとの報道を受け、この人が芥川賞を取った時の報道を思い出す。下品な人だと思い今まで読まずにきましたが、石原慎太郎さんも絶賛していたと言う事も思い出し、読んでみました。 私小説との事だが、主人公の心の中が誰もが持っている黒い一面なので、何故か惹きつけられ、ほぼ一気読みしました。 ご冥福をお祈りします。

    0
    投稿日: 2022.04.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んでる時は微妙だなって思ったけど、全部読んで後からじわじわくる。石原慎太郎の解説読んで私小説だったと知った。私小説だと意識して読むと面白いと思う。 埠頭で荷役をしてたのも感情移入する

    1
    投稿日: 2022.04.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    先日の読書会を引きずる第3弾。 次回は参加できるかどうか不明だけど、 次回の課題図書だということで。 タイトルはもちろん知っていた。 だけど今まで読むつもりはなかった。 そのおかげで、 著者が最近亡くなったこと、 芥川賞受賞作品であること以外の情報は全く入れずに読んでみた。 まずは表題作。 難読漢字をやたら多用するし、 時代は昭和の終わり頃なのにとんでもなく古めかしい言い回しが多いな。 これ、私小説風? ダメだ、 とりあえず主人公を全然好きになれない。 …との感想を一旦持ち、 次の 「落ちぶれて袖に涙の降りかかる」に入ったところで、 主人公が同じ名前で、時系列が進んでるな…、 小説家ってことはやっぱり私小説か! と、半ば確信しつつ念のため一旦著者を調べるというカンニングをしてみた。 今までほとんど私小説を読んだことがなかったので、寡聞にして知らなかっただけで、 西村賢太氏は私小説家として有名な方なんだね。 「苦役列車」よりも「落ちぶれて…」は、 まあそれでも厄介な御仁に違いないけど、 想像するだに痛そうでなんともお気の毒なギックリ腰の描写から、将来に対する覚悟や、楽観的になったかと思えば次の瞬間には落ち込んで、達観したかと思えば、己の些細なジンクスにすがる小心っぷりの七変化に共感と好感が持てた。 と、いうことで私小説だとわかった上で通しで読んでみたら、苦行列車だけ読んだ時よりも読後感が良く、面白いなーと素直に思えた。 それにしても、まあほとんど読んでないから実はよく知らないけど、私小説ってこんなに自身を赤裸々に書くもの? 自分が主人公なんだからちょっとはカッコよく書きたい、みたいな自意識が出てきても良さそうなものなのに。 特に「苦役列車」の方の若き日の寛太は 粗暴で自堕落で捻くれ者で怠け者で、 もし本当にそうだったとしてもよくこんなにもさらけ出せるもんだなぁと読み終えた感心してしまった。 いや、 このやたら難読漢字が出てきたり、 表現が古めかしかったりな独特の文体…。 もしかしたらこれこそが著者の自意識なのかもしれないな、 …知らんけど。 さてさて、 年を重ねることによくわかる、 世の中は本当に不平等だ。 最初、若い寛太は自身の、自分では回避できなかった境遇を拗ねて無駄に時間を過ごしているただの怠け者に、わたしには映っていた。 だけど、ラストシーンで尻ポケットに忍ばせたソレを足がかりに、その分野で彼なりに努力をして、 とりあえずは何者かにはなれたわけだ。 それがわかって、 これが私小説だということが知れて、 著者に興味が持てて、 いやぁ、本当に良い読書ができた。 読めて良かったな。 蔵書するにはためらうんだけどさ。

    6
    投稿日: 2022.04.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日下部と初めて出会った場面は思わず顔がほころんでしまった、すぐカッとなって悪態つきすぎて逆にちょっと笑えた…現実に主人公がいたら距離をとってしまうだろうけど、小説で読むとなんか憎めないというか、しょうがない奴で若干の愛おしさみたいなものを感じてしまう。正直、全然良いところないしめんどくさいやつだしひねくれてるのに何故なんでしょうか。 …自分が日下部側だから? もっともっと暗〜い雰囲気の小説かと想像していたんだけど、そういうのではなかった。生活感がすごい臭ってくるところが魅力だと思う。

    4
    投稿日: 2022.04.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    西村賢太の訃報を知り、この作品が話題となっていたから読んでみた。堕落。こんな人も居てるんやなぁ、と思いながら読み進めたが、ひたすら堕落。こんな人でも生きていけるのかと言う勇気1割、絶対こんな人にはならない、充実したいが9割。でも、途中から作者と似てる部分があるのかな?と現実に近付けてみると、共感する部分もあったり… という感じだった。

    0
    投稿日: 2022.03.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    全部、馬鹿馬鹿しく見えて、全員がカスに見えるけど、自分では自分が1番カスだということを知っている。そういった過剰な自意識が自分にもあると思った。

    1
    投稿日: 2022.03.17