悪役令嬢が大勢の前で断罪されるが、それが覆されて王子側が逆に処罰される…というタイプの悪役令嬢物。 ちなみに本作の場合は悪役令嬢が主人公ではなく、乙女ゲームにおける登場人物の一人(男性)が主人公なのが、他作品とは異なる点であり個性となっている。 内容的には可もなく不可もなくといったところ。 主人公は少々個性に描けており、良く言えば癖が無く、悪く言えばパッとしない。ヒロイン(ゲームにおける悪役令嬢)を好きな理由が単に「前世で好きだったから」であり、もう少し説得力のある理由が欲しかったところ。 あと、まだ1巻とはいえ、ストーリーのメインプロット・終着点が見えてこないのが難点。ヒロインとの結婚かと思ったが、主人公とヒロインは1話の時点で既に両思いであり、王国や世界の危機といった設定もない。主人公らは何をすべきで何が物語のゴールなのかが不明なため、ストーリーがフワフワして味気ない印象を受ける。 勿論評価点も多く、画力はそこそこ高めで主人公の心理描写も上手く描けている。ヒロインは奥ゆかしくて可愛らしく、主人公とのやり取りがとても甘くて素晴らしい。 総合的には一長一短な作品だが、決して低い完成度ではない。2巻に期待が持てる出来ではある。