役立たずと言われて勇者パーティを追放された主人公、しかし実は役立たずどころか超有能で…という典型的にしてありきたりな追放物。 粗製乱造の追放物にありがちな事だが、勇者がとにかくバカ。他の勇者パーティも含めて、何でそこらの冒険者が知っているような事を知らないのってくらいの無知。主人公に特別性を与えるためとは言え、もうちょい上手い構成にできなかったのか。 主人公も主人公で、自身を追放した勇者パーティよりも、何故か役立たず(と思い込んでいる)職業を与えた女神を逆恨みするというよく分からない思考をしており、イマイチ感情移入しづらい。追放物は「追放される理由」「実は役立たずではなく有能だった理由」を上手く用意できない作品が非常に多いが、残念ながら本作もその内の一つになってしまっている。1巻なので仕方がないとは言え、ダイジェストの如くトントン拍子で話が進む矢継ぎ早展開なのも気になる。 ただし全体的に見るとそこまで悪い作品ではない。構図・画力・テンポ・動線・演出・表現等、漫画としての完成度自体はかなり高い。物語の前提・設定が微妙なだけに惜しい。 とは言え決して読めない作品ではなく、2巻以降で化ける可能性もある。気になったなら読んでみるといいかと。