不幸のどん底に叩き落とされて死を目前に控えた主人公の元に、異世界への転生を提案する水先案内人が現れる。散々な目に遭わされた主人公は、来世では搾取し踏みにじる人生を望む。だがこの水先案内人には、主人公に更なる不幸を突き付け、それを見て嘲笑うという真の目的があった。しかし主人公は何故か周囲から信頼と尊敬の眼差しを向けられるようになり…というあらすじ。 主人公は粗暴で苛烈な人間性に至るまでの経緯が丁寧に描写されている他、水先案内人の狂いっぷりも良く描けている。こう書くとダークな内容に思えるが、実はコメディ描写の方も多く、ストーリーの上手いメリハリ付けになっている。 本作の特徴的な要素は世界観。一般的な中世～近世のヨーロッパのような世界が舞台ではなく、惑星やロボット等が登場する、SFに片足突っ込んだ世界なのが個性的で面白い。心理描写や表現力、画力等も良好で、なかなかの完成度に仕上がっている。 他に類を見ない個性的な内容なので、興味があるなら是非。