賢者が記憶と強さを引き継いで転生、というよくあるパターン。内容も奴隷の少女を救ったり、力を奮って周囲にsugeeeeeeeeされたり、分かりやすい悪役がいたり、主人公が強大な魔法を使ってイキったりと、これまたよくあるパターン。他作品でも見られるような要素ばかりで、個性や斬新さはない。 画力・構成・戦闘描写等は悪くなく、物語も目に余るような酷い点は少なめ。しかし、良く言えば「小綺麗にまとまりすぎている」、悪く言えば「没個性的」であり、先述したようにとにかく斬新さに欠けている。 設定も、物語も、キャラクターの性格も、その台詞回しも、ラノベやなろう作品のコミカライズで散々使い古されたものが殆どであり、本作はそれを無難に上手くまとめただけという印象を禁じ得ない。それ自体が悪いというわけではないものの、個性や面白みに些か欠けている。 主人公は転生前は初老の男性なのに、何故か転生後は口調も人格も少年のそれになってしまっているのも目につく。これは他の多くの転生物作品が抱える問題点でもある。一応転生前の人格に切り替わりるかのような描写が見られるが、切り替わった後の口調が転生前のそれと全く異なっており、どういった意図でこういう描写にしたのか理解しかねる。 勿論決してつまらなくはないし、目に付くほどの悪い点もそこまで多くはない。ただし、面白いだろうと期待して読むと肩透かしを食らう内容。