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ビッグデータベースボール
ビッグデータベースボール
トラヴィス・ソーチック、桑田健/KADOKAWA
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総合評価

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    マネーボールの次の機軸。 この本から8年経過。いまはどうなってるのだろうか。そして、日本の野球では? 本書最後には、データ活用のソフト面に触れられている。新旧としてはいけないのかもだけど、お互いのリスペクトがデータを実際に活用するに繋がったことがよくわかる。 でも、とにかく長かったなあ、この本。

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    投稿日: 2024.07.28
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    貧乏弱小球団がチームに足りない戦力をどのように上積みするか。 マネーボールのアスレチックスが出塁率に注目したように、2013年(正確にはその1,2年前から)のパイレーツは守備に注目しました。 打撃でわかりやすく勝利に貢献できるスター選手には高値が付くため、守備で失点を防げる選手に価値を見出した、というのが画期的で面白かったです。 また、強みを生かせない投手を再生するだけでなく大事に運用したことは、課題に対するアプローチとして本質的でした。 今では強力すぎて規制される(予定の)守備シフトの採用、その戦略を最大限に生かすツーシームの多投、そしてフレーミング。野球ファンとしてワクワクするのはもちろん、数年間で一組織のトップとそのブレーンたちがその組織と業界のパラダイムを変えてしまったところに普遍的な面白みがありました。 セイバーメトリクス、MLBはもちろん、野球にそれほど詳しくなくてもまあまあ楽しめるのではないかと思います。 何より凄いのは、パイレーツの努力が結実した後あっという間に他チームが模倣し、パイレーツの特異性と優位性がみるみる縮小したことだと思います。すぐに裁定が働いてしまったことは、MLBが数学やテクノロジーとそれを扱う人材を受容していることと、選手の流動性が高いことの証左でしょう。それらの土壌として、やはり、アメリカンスポーツが一大産業として成立していることが大きい気がします。 読後感は非常に良かったのですが、原文を直訳したような、とてつもなく読みにくい部分があって疲弊しました。

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    投稿日: 2022.11.07
  • リサイン、ラス!

    メジャーリーグを変えたマネーボールが出版された2003年以降野球は加速度的に増加する大量のデータとともに、まったく新しい時代に突入していた、チームがデータ分析での競争で遅れを取れば、追いつくことも加速度的に難しくなる。 ポストシーズンを20年以上逃し続けアメリカのスポーツ史上最悪の記録を作ったピッツバーグ・パイレーツの監督を引き受けることはクリント・ハードルにとってはメジャーの監督を続けるには最後のチャンスだった。クリント率いるパイレーツは過去2シーズン続けて後半失速しピッツバーグ市民から見放されていた。「ピッツバーグ:この街にはチャンピオンたちがいる・・・あと、パイレーツも」NFLのスティーラーズ、NHLのペンギンズという強豪チームと違い観客も入らず、予算も充分ではない。GMのハンティントンとハードルは残された僅かな時間で若くもないチームにあまり金をかけずに15勝分の上積みをはからねばならなかった。ハンティントンのデータ処理軍団が提唱したのはこれまで誰も注目してこなかった守備の領域だ。マネーボール以降出塁率の重要性は認識されていたが、これまで記録も分析もされてこなかった新たな領域には2007年以降大量の新しいデータが積み上げられていた。しかし、フロント主導の新しい守備戦術を取り入れるにはピッチングスタイルを変え、守備位置を変えなければならない。野球は素人の分析官のいうことを聞いて打たれたり、これまでであれば平凡な内野ゴロがヒットになったら誰が責任を取るのか。何より極端なシフトはピッチャーにとっては落ち着かないものだ。 2012年シーズンのパイレーツにはメジャーで通用するキャッチャーがいなかった。FAの予算は1500万$しかなくこれで先発投手と野手を取るとFA選手の平均年棒は出せない。パイレーツが選んだのはワールドシリーズを逃したヤンキースのラッセル・マーティンだ。自己最低の打率に終わったマーティンにヤンキースは金を出し渋った。ハードルはマーティンにチーム内にはベテランが必要だと伝えた。肩の強さも魅力だと。しかしパイレーツはマーティンに本人にも隠された価値を話していなかった。それがピッチフレーミング、簡単に言うと捕球のうまさで際どいボールをストライクと思わせる技術だ。審判は無意識にミットの位置に判断を影響される。マーティンはストライクのミットの位置で外れたボールを捕ることができた。カウントが2ー1か1ー2かで打率は2割も変わる。2007年からの5年間でマーティンが防いだ失点はランキング2位の70点、パイレーツのドゥーミットはワーストのー65点で10点を1勝分の価値とカウントするとキャッチングだけで120試合あたり4勝の上積みが期待できる。結果は正しかったが当初ファンはなぜ打てないキャッチャーを取るのかと失望した。 パイレーツも守備シフトを取り入れた。もしバッターがシフトの穴を狙って流し打ちに来れば?やらせておけば良い、ホームランバッターがその特徴を消してくれるのならば。2013年パイレーツは極端な守備シフトを5倍に増やし着実に成果を上げていった。2014年シーズンにはほとんどのチームが追随しメジャーリーグ全体の打率は下がって行く。この先に現れたのがフライボール革命だ。 ピッチフレーミングの技術はマーティンがプロ入り後に身につけたものだ。「ブルペンで捕手を務めている時は、ただボールを捕っているだけではない。常にボールを捕る技術を磨こうとしている」「今ではそのことをいちいち考える必要もない。自然とそうやっている。全員がそうあるべきだと思う」マーティンは主審とも良好な関係を築こうとイニングの合間に話しかける。野球でホームチームが有利なのは微妙なコースの判定だということが統計に現れている。観客の声援に審判が無意識に影響を受けるのだ。 2014年再びポストシーズンに進出する時にはマーティンはパイレーツ史上最高のFA選手となっていた。守備シフトに対応した流し打ちをチームの先頭に立って実行したマーティンの打撃成績はキャリアハイで、出塁率はメジャー4位、ピッツバーグ市民はマーティンが投手に声をかけたり、クラブハウスの規律を保ったりと言う目に見えない価値を学んだ。ファンは野球にかけるマーティンの情熱や競争心の高さを愛するようになった。ワイルドカードの9回裏、バムガーナーの前に沈黙するパイレーツ打線とファンだったがマーティンのパイレーツでの最後の打席でスタンドの雰囲気は一変した。「リサイン、ラス」再契約しろと言う歓声が球場全体を包み込んだ。ビッグデータはパイレーツとそのファン、そしてこの後ブルージェイズと5年総額8200万$の契約を結びマーティンに大きな価値をみつけだしたのだ。

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    投稿日: 2019.07.18