所謂「なろう作品」には、HPやMP等のゲーム的要素、周囲の女性が簡単に惚れるハーレム要素等があり、それらが嫌厭される傾向にあるが、本作にはそういった要素がなく、苦手な人にも読みやすいものに仕上がっている。 「強すぎる主人公に対し周囲がすげぇぇえええ！と反応する」というなろう特有の描写はあるものの、本作はそれをハイセンスなギャグに上手く昇華させている。シリアス展開もそれなりにあるが、基本的にはシュールなギャグが淡々とした雰囲気の中で繰り広げられるコメディ漫画と思って頂ければよい。物語のテンポがよく、各キャラクターがコミカルで魅力的なのも好印象。 特に作画は極めて高クオリティ。飛び抜けて美しい画力というわけではないが、コメディシーンにおけるキャラクターのデフォルメが非常に上手く、本作の独特な緩いギャグを存分に引き立てている。余白や吹き出しの扱い方も非常に上手い他、台詞も導線も丁寧でとても読みやすい。 また、コメディ描写とシリアス描写のメリハリが上手で、これがストーリーに程よい緩急をもたらしている、 原作は未読なので、そちらと比較した評価はできないが、本作だけ読んでも十分に楽しめるかと。

熱くるしくも熱血でもなく、熱い思いを秘めた主人公による冒険譚。テンポが良くさくさく読めるのもポイントが高い♪