「自分には恋人がいるので偽装結婚してください」と打診され、実家の借金の肩替わりを条件に受け入れる。そんなこんなで公爵家に嫁いだら、貧乏貴族の自分とは全く違っててびっくり。しかし屋敷内は…というあらすじ。 そんな感じなので女性向けコミックながら恋愛描写は控えめで、温和で明るい主人公が緩～く過ごす描写が物語のメイン。一応後になって恋愛描写がそこそこ入るようになるが、それでも他女性向けコミックよりは遥かに少ない。 個人的に主人公がとても魅力的。美人というよりは可愛らしく、ですます口調だが大人しくはなく、奥行かしさもあるが活発でもある。朗らかでのほほんとしているが竹を割ったような一面もある。こういった様々な面を上手くまとめ上げ、一人の魅力的なキャラクターとして仕上げている。 他キャラクター達も優しい人物ばかりで、本作の穏やかな雰囲気をより強調しており、読んでいてとにかく和む。各人物の魅力・個性も申し分ない。 あとこの作者は、萌えとは違う意味で、女性を「可愛らしく描く」事が非常に上手い。主人公は当然として、多数の侍女や仕立て屋のマダムまでもがみ～んな可愛らしい。そんな可愛らしいキャラクター同士のやり取りが本当に平和。ギスギスした描写等は殆どない。 とまぁそんな感じで、これは面白い！と太鼓判押せるような物語ではないが、穏やかで平和でのほほんとしていて癒される、という類いの作品。くどい恋愛描写が苦手な私として大当たり、十分な良作だった。恋愛描写がかなり少ないので、男性でも読めるんじゃなかろうか。

これはまさに「亭主元気で留守がいい」ですね。 中世ヨーロッパのような世界観なのに主人公の考えや言動は現代的なので、もしかして主人公は転生者なのかと勘ぐってしまう。