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powered by ブクログ【読んだ目的・理由】武道館に行ったから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.3 【一番好きな表現】つまり、怒るということは、自分の中にある器の許容量や、形をさらけだすということだ。(本文から引用)
0投稿日: 2025.11.30
powered by ブクログ7年前は新鮮だったろうアイドルのあれこれ。 今読むと既視感が否めない。 逆にそれくらいアイドル文化が世に浸透したともとれる。 そんな中でも群像劇タッチで描かれるアイドルそれぞれの話はさすが朝井さんでおもしろかったです。
1投稿日: 2025.11.29
powered by ブクログアイドルが好きな私からしたら、ベタなあるあるが多くて感情移入できるストーリーだった。 アイドル史に残った事実が出てきたり、ありがちなエモい展開が出てきたり。 アイドルって「偶像」という意味があるように、世間が作り上げた「正しさ」で成り立っていて、私が見ているアイドルも本物じゃないのだろうけど、できる限り本物だといいなあと思った。 きっと私も、あるべき正しいと言われる姿の自分と、その時の本能で選択して動く自分って同じになる事はない。 でもその選択を自分で正解だって思えるようにしていくことの連続で、人生が続いていくんだと思った。
1投稿日: 2025.11.29
powered by ブクログ自分がアイドルオタクということもあって、読中色々考えさせられた。 あと朝井リョウは女性視点が本当に上手い。なんでこんなに解像度高く書けるんだろ。
0投稿日: 2025.11.21
powered by ブクログアイドルが人気を博しているのは数十年もの間変わらない事実であるが、その周りを取り巻く環境は大きく変わっているんだなと改めて実感させられました。 愛子がイメトレと称して夜な夜な他のアイドルのライブ映像を見るときに、当たり前のように夜中まで観てしまえるくらい、何が好きなのか分からなくなってしまうくらい溢れている無料のエンタメ、音楽を聴くのにもわざわざお金を出してCDを買わずとも、スマホさえあればお金を払わずに簡単に聴きたい音楽にアクセスできてしまう。 スキャンダルだって、昔は週刊誌記者が追える範囲でのみだったのが、仲間だと思っていた人や、見ず知らずの他人から向けられるカメラや発せられる情報でいとも簡単に暴かれてしまう。そして、SNSでは顔も名前もわからない人から攻撃を受ける。 アイドルにとって現代はとても生きにくいものだとしみじみ感じましたし、エンタメやアイドルの希少性が失われつつあることに悲しさを覚えました。 アイドルオタクとしてはアイドルの個性や心情が細やかに描かれているところに惹かれてストーリーに没頭でき、結末にも納得です。
0投稿日: 2025.11.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
巻末のつんくの感想は、やはりプロデューサー視点だなという感じで、実際に作ってきた人の書評だった。 読み始めは、幼馴染と最後武道館で剣道かアイドルのコンサートどちらが行われるか、みたいな話しの流れになるかと思いきや、異なる終わり方だった。 印刷の発注の下請け会社の人の話しとか、ちょっとなんでこれ話しに入れたのか、振り返ってもあんまりわかってない。 アイドル同士がグループ内でたこ焼きパーティするような仲って、実際にあり得るのかなという疑問は読み進めながらあった。 背負わされすぎる足枷の多さに対して、夢を売る仕事だから。というのは、やはり酷なことに感じられる。一挙手一投足見られて、そこまでストイックに何か求められるのことに対して、なぜそこまで応えないといけないんだ、みたいなのはアイドル以外の他の事象にも当てはまりそう。
1投稿日: 2025.11.04
powered by ブクログ『イン・ザ・メガチャーチ』とは異なった、アイドル側に注目した作品だったと思います。 個人的にファンは推しを「選ぶ」ことができ、推しはファンを「選べない」と考えていましたが、それは主観的な視点でしかないと気づかせてくれました。 現在、アイドルでも結婚している方は割といたり、活動を続けているので時代が少し変化したのかなとも思ったり...
0投稿日: 2025.11.02
powered by ブクログほんとのことを言うときは、口元を隠したくなる。 この表現がずっと頭に残っている。 そういった、無意識下の言動を不意に意識する瞬間は、日常の中で時たま顔を出してくる。例えば、誰かに何かを伝える最中に、繰り返し同じ言い回しをしてしまう。そのことを意識してしまって空回りする。小さな自己嫌悪に陥りすぐ復活する。私にはたまにそんなことが訪れる。 時代感やトレンドと言われるものによって、その時に正しいとされる価値観や倫理観が左右される。かつて正しかったものは、今はどれだけ疑わずに済むのだろう。かつて面白かったものは、今はどれだけ笑えるのだろう。そしてそれは今と未来に置き換えても同じことが言える。 時代が変わっても、自らが選んだ正しさに対して胸を張って正しいと言えるだろうか。選んだ理由がトレンドなのであれば、それはすぐに折れてしまうだろう。 そんな、折れない選択が重んじられる信念の時代が訪れてもいいような気がする。
0投稿日: 2025.10.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
解像度の高さが、さすが朝井リョウ。 “武道館”を合言葉に活動するアイドルグループ「NEXT YOU」。 主人公はそのメンバーのひとり、愛子。 幼い頃から歌って踊ることが大好きだった愛子と、共に夢を追うメンバーたちが、夢を叶えるために日々活動を続ける物語。 ただ、単純なサクセスストーリーでは決してないのが本作の面白さ。 ファンには見せない裏側が、時にファンにとっては残酷なほど緻密に的確に描かれており、その解像度にただただ感心させられる。 これが10年前に書かれたというのが衝撃。 崩れない前髪、落ちないヘッドドレス。 配信サービスが当たり前になった今だからこそ、その価値が問われるCDと特典商法、 握手会に毎回来る上から目線のファン、 ビジュアルへの固執、SNSの反響、失われる日常、 そして恋愛。 ファンという立場からすれば、大切な時期にその道を脅かす行為はしてほしくないと願ってしまう。でも、それは結局、こちら側の一方的な我儘に過ぎない。 彼女たちも認められない行為だと理解しつつ、それでも感情が先に動いてしまううのだろう。だって、アイドルの前に一人の少女なのだから。 「やりたいこと。夢、いま自分がいる環境、現実。全ては両立しない。 だからは人は選択をする。 ならば、その選択にどうにかしてマルをつけたかった。」 選んだ道が正しいかどうかは誰にも分からないけれど、その選択を自分で肯定しようとする愛子の生き方は、芯が通っていてかっこいいと感じた。 主人公であるはずの愛子のキャラが、ほかのメンバーに比べてやや薄く感じられたのは少し意外だった。 けれど、個性があまり強くない彼女だからこそグループ全体を客観的に捉えられていたのかもしれない。 愛子の、と言うよりはNEXT YOUの成長ストーリーとして読むのがおすすめ。 物語の結末は、賛否が分かれそうではあったが、私自身は割と好きだった。 皆それぞれが選んだ道で、きっと「正解」だと思える人生を歩むことができたのではないだろうか。 「アイドルをアイドルたらしめるものとは何なのか」 表舞台以外の顔を一切見せずにアイドルであり続けてくれる推したちに尊敬の念を新たにした。 そしてこれからも、精一杯応援し、その限られたアイドル人生を見届けようと思う。
0投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログアイドルは皆から愛され、可愛いと沢山の人に言われる憧れの存在だと思っている人も多いのではないだろうか。しかし、実際は普通の高校生のような生活を送ることができない。文化祭に出れない、恋愛はもちろん禁止、アイドルは自分の青春を削って表舞台に立っているのだと痛感する一冊だった。10年前も今もアイドルは変わることはない。むしろ今のほうが流出が出やすい世の中になっている。リアリティ溢れる作品だったので一瞬で読了した。愛子と大地のシーンに感動してしまうこともあった。
0投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ『武道館』というアイドルにとっての成功の証に焦点を当て、夢を追うことの美しさ、その過程で待ち受ける残酷さを描いた作品。自分の人生を自分で選び、自分で引き受けることの尊さを教えてくれる一冊でした。 「限りあるものをどう使うかに、その人らしさが出る」、アイドルとしての自分に費やす時間、体力、そして心。それらは無限ではなく、だからこそ、何に賭けるかが「その人らしさ」になる。愛子が武道館を目指す過程は、まさに「限りあるもの」をどう使うかの選択の連続であり、その選択が彼女自身を形作っていく。 これまでアイドルとは無縁の生活でしたが、作中で描かれる夢の実現とその裏にある孤独や葛藤が自分の人生と重なり、一気に読んでしまいます。 自分の人生をどう使うか——その問いに、真っ直ぐ向き合いたくなる作品でした。
11投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ2025.8/18 この作品が書かれたのが2015年。 つまり10年前。 もはや、アイドルが恋をしてはいけない、なんて時代錯誤も甚だしい時代になった現在 改めて、当時は本気でそれをやってたんだよなぁ、と、目を細めてしまう。 当時私は、特にAKBにハマっていたわけでもないけど やはりスキャンダルが出たりすると「バカだなぁ」なんて思っていたんだろうか。もはや覚えてもいない。それくらい、あの時はそういう「雰囲気」だった。 朝井さんは、最後に12年後の世界を描いていて 『「アイドルが恋をしてはいけない」なんて今とは真逆』な世界に仕上げていた。 真逆、とまではいかないけど 今や嵐でさえ結婚する世の中になってる。 まさに、「当たり前」が「当たり前じゃなくなった」のだ。 10年前にこの本を読んでいたらきっと、愛子を想ってすごくつらかったと思う。 けど、今この時代になって愛子の物語を知ったので、いくらか心が軽かった。 愛子や碧がもし、今の時代にアイドルになれたなら良かったのになぁ、なんて。
0投稿日: 2025.08.19
powered by ブクログ最初はアイドルの話かと、半ば冷めた目で読んでいたけど、主人公愛子の「アイドルの自分」と「本当の自分」の葛藤が面白くて熱くなっていく。 歌って踊ることが好きと、幼なじみと過ごすことが好きは、アイドル前からあったことで決して矛盾しない。 でも、アイドルとして生きていくためには、選択をしなくてはいけない。それが、その時代の流れで時代のルールなのだ。十年後、二十年後は変わっているかもしれないけど。 「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」 「何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ」 愛子の選択、杏佳の選択に幸あれ。そう祈った。 自分自身の内面をきちんと見つめ、 自分にとっての「本当」を見出していくことが SNSをはじめ周囲の風にのまれない生き方なんだろうな。 朝井リョウさんの文章を読んでいると、それだけで楽しくなる。
93投稿日: 2025.08.12
powered by ブクログアイドルの気持ちとファンの気持ち、どっちにも感情移入しちゃうからこそ苦しくなった。今ステージに立ち続けてくれる、理想のアイドル像を見せ続けてくれるアイドル達に感謝。アイドルってなんなんだろうって考えちゃうけど、私はやっぱりキラキラ歌って踊るアイドルが好きだな。
2投稿日: 2025.07.28
powered by ブクログ3.8くらい! 感動させられているのは分かるけどこういう怒涛の体言止め朝井リョウ節が好きで最後らへんはあやうく涙でるところだった 共感はそこまでないけど、こういうのがすき また生殖記系とは異なる良さがある 一人一人の持つ感情の器に何かが堆積していくこと、そして容量を超えると感情が外側に溢れ出すこと これが自然現象としてあるべき人間の姿だよねと若干押し付けがましい態度に過干渉すら感じはした コンポストみたいな容器の人もいるよ、とりあえず全部詰め込んで蓋をして分解されるのを待つのでも許してほしい、それを何かが壊れていると形容するのは乱暴な気がする。そういう人が何かを失ってしまっている温かみのない人間と言われるの納得いかない。 確かに中で蛆虫が湧く可能性もあるが、堆肥となる可能性だってあるしね 私はただ土っぽい何かになってくれればそれでいいんだけど。 整理を急ぎすぎたくない、何をそんなに急いでいるの 無料で取捨選択を自由にできることが、1番の消失につながるっていうのもあまりしっくりこない 無料で手に入れられることで一定の距離が自ずと生まれるかもしれないが、近づきたい人だけ近付けばいいじゃん、本当に人が好きなんだな朝井リョウは 効率性合理性糾弾のような。 少し遠回りしても何かが無駄になったり犠牲になったりしても、その身の削られ方すらも自分の個性を形成しているものとして大切にしよう、むしろそういう不足や犠牲こそが自分を自分たらしめてるものなんだ、みたいな。 古き良きを大切にしよう、の古き良きが刷新されて、どんどん無機質になっていると現在感じられるものすら未来には体温を得ているかもしれないし。 常に世界は過渡期で、そこでごちゃごちゃ何かに拘泥するのに違和感がある。私はこれが好きなんだ、これに怒りを感じるんだと自分の器の形状を明らかにする作業をしないと自分の存在に安心できないなんて、どこか依存的な感じがする ブーメランだけど、アイデンティティ追求の熱量に終始目眩が止まらない 自分なんてさまざまな外的影響の集合体という側面が大きいのに、変化を及ぼした影響が分かりやすく世間を揺るがせている何かだったり、その変化がひっそりと進行しているものではなく顕在化しているものだったりすると、どんどん自己が均一化し匿名化されていくような恐怖と寂しさが出てくるのってあほらしい。 ただその時々の流行に乗ってるだけで、みんなルーズソックスはいてるじゃん笑みたいな笑えることかもしれないのに、過度にセンチメンタル。AIの利用とか、生身の人付き合いの希薄化とかもただの流行というか変化でしかないというか。それを基盤にしてまた新たな流行ができて、今度はそちらにみんな頭を悩ませ自分のぶれぶれの価値観がさらに揺れるから過去のものが安定していたように錯覚させられるというだけ。 大地との恋の部分よかっったなー 初めてお互いに触れたシーンめっっちゃよかっった
4投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログ武道館を目指すアイドルグループ「NEXT YOU」。特典商法、握手会、メンバーの卒業、ビジュアルの変化、炎上、スキャンダル。人気と知名度を上げて目標に少しずつ近づく彼女たちは世間から様々な視線を向けられ、幸せと不幸せをどちらも願われる。アイドルという特殊な職業が実際の出来事も交えてとてもリアルに感じられた。「正しい選択なんてこの世になくて、正しかった選択にしていくしかない」時代とともに変わっていく価値観の中で自分で選び取ることはとても大事だよな〜と。それぞれの選択をしたメンバーが皆んな幸せであって欲しい!
2投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログこの作品が世に出て、もう10年が経過しているのが恐ろしい。私も若者ではなくなったということか。この時代から変わったことは、配信サービスとAI、ポリコレ周辺、コロナ、右傾化、戦争あたりだと思うが、そんなに変わっていない気もする。 さて、本作は中堅アイドルの奮闘を克明に描く一作。アイドルも一人の人間。だが、一人の人間としての幸せを、周りは許容してくれるわけではない。ファンもいる。運営もいる。ラストは怒涛の展開。 AKBにハマっていた時期、ふと、アイドルを戦国武将に似ていると思ったことがある。一瞬のきらめきのために、全てを懸けているんだ。
3投稿日: 2025.06.03
powered by ブクログおもろい! なんで朝井リョウってアイドルや思春期の女の子の気持ち書くのが上手いの 結末も良かったな、何処かでありそうな話。
2投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ2025年 22 【正しい選択】なんてこの世にない。 「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。独自のスタイルで行う握手会や売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付などさまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。 しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。 「人って人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのかどっちなんだろう」「アイドルを応援してくれてる人って、多分どっちもあるんだろうね」 恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業……この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、アイドルという存在から発生したものも多い。新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは今を生きる人々の様々な一面。現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る真摯な物語。 ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ ずっと気になってた作品をやっと読んでみた。 実際、まだ名前も広く知られてないような 女性アイドルグループはたくさんあって また訳の分からないコンセプトのアイドルが 出てきたなーとかよく思ってしまうけども、 その子たちも、見えぬところでレッスンを重ね SNSでアレコレ言われたり周りに敵を作ったり しながらも我慢して、スルーして頑張ってんだな とリアルに読めた。 自分が推す男性アイドルはもう若手でもないし 結婚もしてしまったけど、発表があってから 暫くはショックだったなぁ。。 若い女性アイドルも恋愛して当たり前とは思うけど 若いファンには裏切られたーって思うだろうな とか、ヲタク目線で読んでて楽しかった。 正しい選択なんてない、正しかった選択しかない 何かを選んで選び続けて、それを正しかった選択に していくしかない―――アイドルに限らずそうよな。 結末、選択してたどり着いたのはそこだったのねー
2投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アイドル好きには是非読んで欲しい。 この世に正しい選択なんてない。 正しかった選択として、選択した方を正解にするしかないという愛子の考えに深く共感した。 アイドルをアイドルたらしめてるものって結局なんなんだろう。ほんとに異物な存在だなと感じ、同情した。
2投稿日: 2025.05.21
powered by ブクログ武道館ライブを目指すアイドルグループNEXT YOU。前に読んだ同じくアイドルを題材にした綿矢りさの「夢を与える」のちょっと後味悪い終わり方になるのかと思いきや…朝井リョウらしい読後感にさわやかさ溢れる希望に満ちた終わり方だった。
2投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ言われてみれば、「アイドルをアイドルたらしめるものってなんなんだろう」って考えさせられる本だった。嵐が活動終了を発表しても、キムタクが結婚して子供を産んでも、アイドルとしていられるのならば、なぜ大人は彼らに恋愛を禁止する、もしくはタブーとして教育するのだろうか、という朝井さんの主張が伝わった。 中高に比べてアイドルのことはもう全然追ってないけど、確かに恋愛のスキャンダルってあんまりない。それだけみんな抑えて生きているのかなあ。と思ったら大変な世界だなあ、、 最後は愛子も碧も自分たちが正しいと思った選択をし、グループを脱退する。正しい選択はきっと誰かの「◯◯すべき」に従った先じゃなくて、「ちょっと考えればわかること」と揶揄されるような常識を自分の頭で疑うことでわかるのだと思う。
8投稿日: 2025.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アイドルグループ「NEXT YOU」のメンバー愛子には幼なじみの大地がいる。グループ内にいつもクールな碧がいる。 この2人が念願の武道館公演の直前、恋愛発覚で脱退する。 アイドル事情に疎く、そうなのか…と、思うような裏事情が満載。グループ内の関係性までは想像できても、ファンの望むアイドルであり続けることは厳しい事がわかる。つんくのあとがきにもなるほどと思うこと多し。 愛子のお母さんのエピソードと、愛子と碧が脱退したのに、記念ライブで現行メンバーと和気あいあいなのは少し消化不良。 でも文章が上手いのでさらさら楽しく読めた。
2投稿日: 2025.05.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
村山由佳さんの「星屑」に続いてのアイドルもの こちらはデビュー後のグループアイドルが成長し、形を変えていく姿を描いている 読みやすくてするする読めるが、ちゃんと大事な言葉が残る感じ 一昔前よりはアイドルの熱愛や結婚に多少は寛容になっているかもしれないが、SNSの普及で話がややこしくなってる現状に対し、彼女らはアイドルだけど一人一人ちゃんと人間であることを肯定するような、味方をするような視線が温かく優しい
3投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログアイドルが「女の子」や「幻想」を売る時代は終わり、確かな技術があるものが売れる時代に変わった。それらは、本人が自ら考えて選択したものでないと本物にはなれなくて、選ぶための信念がある者が残っていく時代でもある。 それがパーフォーマーとして正しい評価のされ方たし、るりかが作中で言っていたように、女の子が表舞台に立つには「女の子」を売るアイドルとしてのシステムが必要だった、という時代に比べると、はるかに正しい。10年前に書かれた未来に今なっているということがとても驚く。 だが、それゆえにまやかしが効かない、本当に技術のあるものが残る時代なんだとも思う。 その技術は歌や踊りでもあるし、もはや「可愛い」ということも技術の一つになっている気がする。 信念を持って道を選び、その道を極めたものだけが売れる時代。それはそれでとても厳しいなと思う。 信念があるから選択ができるし、怒ることができる。だから、信念、これから生きるためにはそれが必要なんだと言われた気がした。 でも今の自分はそれが決められなくて、だから怒ることも主張することもできない。流されて、女が受けられる綿飴のような評価を甘受している。その頬を叩かれた気がした。そんなんじゃダメだ、女ではなく私だからできることを身につけなくてはいけない。 女であることを頼りにしたくない、でもその旨みを捨てたくない、その矛盾の中で仕事をしている。それが辛いんだよな、と改めて思った。 朝井リョウ氏は、いつも正しい、真実をまっすぐ描く。それは誠実で、とても残酷だ。 私の弱いところをまっすぐ突いてくる。 でも、だから読まないといけないんだよな、と思う。多分うーーって言いながらこれからも読み続けると思います。
1投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログメンバーが入れ替わったアイドル、チーム、組織はそのままであり続けるのか。その中でも変わるもの変わらないものがある。
1投稿日: 2025.04.26
powered by ブクログ最終盤はグッと来るものがあった。 「私、アイドルになりたいの」 そんな夢を幼い頃から持ちながら、血の滲むような努力を積み重ねてきたのに、大人たちが勝手に決めたルールによって、その夢が打ち砕かれてしまう。 彼女たちがいつか、自分の意思で自分の人生を決めることができるような世になりますように。
1投稿日: 2025.04.14
powered by ブクログ思春期の微妙な気持ちの移り変わりや雰囲気を、当事者でもないのに、どうしてこんなに鮮明に描けるんだろうか。朝井リョウ先生すごい。 アイドルになるっていっても、色々な理由が目指すものがあって、ただ歌とダンスが好きなだけだったり、注目を集めたいたまけだったり、誰かを元気にしたいだけだったり。 最後の終わり方もすごくよくて、別世界だったアイドルとおっかけの世界も、ちょっとだけ身近に感じられる気がする。
1投稿日: 2025.04.11
powered by ブクログ当たり前だけど画面の中のアイドルアイドルである前に一人の普通の女の子なんだな、と思わされた。 正解の道なんてなく、選んだ方を正解にしていくしかない、というメッセージが1番響いた。
1投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログすごく良かったなー。 アイドルが武道館ライブを目指す話。エンタメ小説かと思いきや、これがなかなか深かった。 ネットの誹謗中傷に反応しないスキル、そんなのはじめから備わってるわけないよね。ちょっとしたことで大炎上してしまう世の中だから、人の注目を集める立場の人は本当に大変。 「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」 「何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ」 自分で選んだ人生、良いも悪いも自分次第だと私は常々思っているのだが、まさにそういうこと。 誰のせいにもせず、進んでいくしかない。 個人時に高校剣道全国大会の会場で地元の体育館が出てきたのが嬉しかった。 今年ももうじき同じ場所で開催される。 剣士たちよ、がんばれー。
70投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログインターネットで匿名の情報が溢れるこの時代に、「正しさの軸とは、選択するとはどういうことか」を、アイドルという分かりやすい対象を通して問う。「桐島〜」に続き2冊目の朝井本。「何者になれるのか、なりたいのか」で揺れる高校生の心情にここまで隣に立てるのはすごい。
2投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログアイドルの青春。あって当たり前のことを、画面の中の存在のみを当たり前って思って、深く考えたことがなかったです。僕はアイドルではないのに、批判にさらされて苦しむ気持ちに同情し、匿名の投稿に腹を立ててしまいました。アイドルというレンズで、現代の社会を浮き彫りにするストーリー展開に脱帽です。
1投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログAudibleで読了。 朝井リョウ作品はAudibleにも数が多いので、結構読んでいる。一番好きな現代作家と言っても過言ではないかもしれない。 最初の出会いは文庫の『何者』 本気の説教を受けたような衝撃があった。 続いて『正欲』 これが本当に衝撃だった。読書で世界の見方は大きく変わるのだと痛感した一冊。映画化もされている。どんな形でもいいから触れて欲しいオススメの作品だ。 そこから『どうしても生きてる』『もういちど生まれる』『そして誰もゆとらなくなった』とAudibleで味わってきた。 『そして誰もゆとらなくなった』はエッセイ集だが、作品の鋭い感じとは一味違い、クリスマスケーキを沢山食べたかったり、銀座でトイレを探し回ったりする「何か面白い人」としての著者の姿を楽しめる。 そして出会ったのがこの『武道館』 タイトルから分かるように、武道館を目指すアイドルの話だ。 私はあまりアイドルには詳しくないが、友人がももクロにどハマリしていた時期があり、その記憶からか、ももクロの事を幾度も思い出した。 恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、ネットアンチ、卒業など、アイドルにまつわる様々な要素が描かれる。 それも、アイドル側の視点から。私たちがこちらの視点から実際に物事を見ることはほぼないであろう視点。 朝井リョウ作品は、この「想像もしない視点」に私たちを連れていってくれる。 そして、その視点の当事者の息苦しさと、私たちの無理解さをありありと描き出す。 「観る前の自分には戻れない」 とは映画『正欲』のキャッチコピーだが、朝井作品に触れると高確率で自分の中で世界が書き換えられる。 その意味ではこの『武道館』も『正欲』と同じ種類の衝撃だった。生きづらい人間を描き出す朝井作品。 著者はこの作品についてこう語る。 「【アイドル】という職業が背負う十字架を、一度すべて言葉にしようと思いました。すると、不思議と、今の時代そのものを書き表すような作品になりました」 現代を映す鏡のような作品。 あなたはこの鏡に、どんな姿で映っているでしょうか…。
1投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログよかった元々女子アイドルが好きで自分も目指してやってた身からすると刺さりすぎて苦しかった 恋愛してるだけで不真面目プロ意識ないって叩かれるアイドルを見るたびにそんなことないだろって気持ちと真面目にやってたらそんな時間ないでしょって相反する二つの気持ちがあって、それをうまく書いてくれててなんだか嬉しかった 好きな人がいたからと言って、ステージに立つ自分も歌とダンスが好きな自分もファンの人に対する思いも何も嘘はないのになんで成立しないんだろう でも推すなら特定のパートナーがいないアイドルがいいな()
2投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
オーディブルにて。 私自身アイドルという存在にあまり興味はないけど、アイドルって無理な要求の上に成り立っている幻の存在なんだなあと。 当たり前のようなアイドルの恋愛禁止、ブランド物を身につけることでファンが冷める心理、有名税という便利な言葉による誹謗中傷の言い訳。 みんなにとって憧れの存在であるべきはずなのに、みんなが憧れる恋愛や贅沢はしてはいけないと言われる。 私自身がアイドルにハマらないようにする最大の理由・お金がかかるから。無料が充実してる世界だからこそ、アイドルの世界以外でも意図的にお金をかけなければいけないのかもしれない。 ーーー私、今、自分が好きなものわからなくなりかけている。イメトレという聞こえのいい名前をつけて、手を伸ばせば全てのものに触れられるインターネットという小さくて大きな部屋の中でアイドルの動画を見続けていた。こちらからは何も差し出さずに、合わないと思ったものは、ショックを受けるでもなくすぐに投げ捨てて、そうしているうちにすべてのものを同じくらい好きになり、きっと、すべてのものが同じくらい退屈になっていく。
1投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ限られた時間の中で生きるアイドルの存在感をくっきりと感じた 自分は男性アイドルをずっと追っているけれど 時間が有限であるのは女子アイドルのほうがずっとずっと厳しい その中での焦燥感がものすごい解像度で書かれていて読んでいて苦しかった 人に夢を与える職業を選んだすべてのアイドルの幸せを願いたい
1投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログ武道館を目指すアイドルのお話 スキャンダル、炎上、卒業、脱退、アイドルだって普通の女の子!恋愛もしたい、ラーメンも食べたい、遊びにも行きたい!そんな欲求をおさえ夢に向う日々。なんのため?誰のため?夢のため?アイドルの裏を見たようで面白かった 推しには、有名になってほしい、夢を叶えてほしい、ヒロインにしてあげたい、幸せになってほしいと願う反面、ちっとした出来事で、勝手に裏切られたと、SNS炎上、心ない攻撃、不幸になってほしい、悲劇のヒロイン、そんなファン心理が矛盾しているような、そんな世界なのかなって 昔NHKで「だから私は推しました」ってドラマあって地下アイドルとファンの話で、推しがいる生活は人生を豊かにするって言葉思い出した。確かに! 登場人物が=LOVEに思えちゃって、愛子は大谷映美里ちゃん、碧は野口衣織ちゃん、波奈は大場花菜ちゃんって、Netflixでやらんかななんて勝手な推し活
31投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
波奈が卒業発表のときにメンバーへ伝えたメッセージがとても印象的でした。 何かを誰かに咎められたときに、自分が間違っていると思いがちですが、たまには自分を貫いてみようと思いました。 以下、メモです。 色んなことが変わっていく。目の前にあるほとんどはこれからまた変わるかもしれない。だから、みんなが直面して悩まされているものの方が、変わっていくものかもしれない。みんなが変わってしまって、みんな同じになってしまうのは寂しい。自分がおかしいと思わずにいて欲しい。
1投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ武道館を目指すアイドルの話。売り出し中のアイドルがどんどん大きくなっていく様、メンバーのスキャンダル、炎上、恋愛、卒業、脱退。 アイドル業界にまつわる芸能事情を現実に起きた事件と風潮を交えながら、架空のアイドルの出来事がうまく作ってあり、とても想像しやすく理解しやすい小説だった。ただそれ以上でも以下でもなかったかなと。特に胸を打つような感情も抱かなかった。
1投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ『武道館』 朝井 リョウ (著) --- ### **あらすじ** 「【アイドル】という職業が背負う十字架を、一度すべて言葉にしようと思いました。すると、不思議と、今の時代そのものを書き表すような作品になりました」(著者) 結成当初から「武道館ライブ」を目標に掲げて活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。握手会の工夫や販売戦略、振付のバリエーションなど、さまざまな手法を駆使しながら着実に人気を集めていく。しかし、知名度が上がるにつれ、彼女たちは“アイドル”という立場が持つ光と影の両方を目の当たりにすることになる。 「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」 「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」 恋愛禁止、炎上、スルースキル、特典商法、卒業――現代アイドルを取り巻く言葉の数々を掘り下げながら、彼女たちの選択の先に何が待つのかを描く。 --- ### **感想** 朝井リョウさんの作品をいくつか読んできましたが、共通しているのは、若者たちの悩みや葛藤、未来への不安と希望をリアルに描いている点です。本作もその延長線上にあり、アイドルという華やかな世界の裏側にある苦悩や決断が丁寧に綴られています。 特に印象的だったのは、少女としての純粋な気持ちと、アイドルとしてのプロ意識との間で揺れる葛藤の描写です。「アイドルはファンに希望を与える存在」という理想の裏には、自己犠牲や外部からの厳しい視線がつきまとい、彼女たちは常に選択を迫られます。その選択が正しかったのかどうかは、後になってからしかわからない――そんな人生のリアルな側面も、本作ではしっかりと伝わってきます。 ティーンの女子には特に共感しやすい内容ですが、アイドルを消費する側としての視点を持つ大人にも、多くの気づきを与えてくれる作品です。華やかな舞台の裏にある現実を知ることで、「アイドル」という存在をより深く理解できる一冊でした。
17投稿日: 2025.01.26
powered by ブクログ買ってはあったけど、何年も読んでいなかった。 私は武道館に行った。ずっと大好きなアイドルが、初めて武道館ライブをすることになったからだ。 武道館ライブは楽しかったけれど、その翌日にメンバー2名のスキャンダルがXで流れて、結局武道館から1週間もしないうちに3名が脱退することになった。 そこでこの本を思い返して読んだ。 アイドルと夢。アイドルと観客。アイドルと恋愛。 観客の欲望とアイドルのしたいことは、矛盾ばかりだ。何がアイドルの幸せなんだろう。私が大好きなあの子にとって、何が幸せなんだろう。 脱退しても、幸せでいてくれたらいいなと思った。 それと、アイドルを辞めてしまっても、またアイドルになっても、ずっと心で応援していたいと思えた。一人の人間として、一人の人間であるはずのアイドルを応援したいと思える本だった。
1投稿日: 2024.12.01
powered by ブクログえぇ、朝井リョウさん、なんでこんな思春期の女の子の解像度高いの…? 当時悩んでたことを今励ましてもらえたように感じるフレーズもあった。 私はアイドルの世界なんて全く知らないただのアイドル好きだけど、本当にこんな葛藤をする人もいるのかも、と実際自分が好きなアイドルたちに当てはめて読んでしまった。 悩みながらも選んだ選択肢を正解にしていくしかない。それはその通りだなと思う。 ・・・ 「たぶん、真由はいま、何食べても、何食べなくても太るよ。それはもう、私のお父さんがハゲたのと同じことなんだよ。止められないんだもん、ハゲてくの」 ・・・ 「いま、高一でしょ。真由はね、太ってるんじゃなくて、変化してるんだよ。真由がいま太るのは、背が伸びたり足のサイズが変わることと一緒で、真由が何かをサボったり、 なまけてるからじゃない。誰かへの裏切りでもない。本当はそれで、傷つけられる必要もない」
103投稿日: 2024.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
NEXT YOUというアイドルグループの中の愛子とその周囲の人々のお話です。 武道館を目指すアイドルが好きな自分と、幼馴染の大地が好きな1人の女の子としての自分で葛藤する愛子。物語の中には彼女たちの「選択」というキーワードが各所に散りばめられており、「正しい選択なんてない」、だから「自分の頭で選び取ったものを、信じ続けてあげるしかない」。そうして選択したものが「自分はどんな人間なのかという気付きに、繋がる」とあります。 果たして私たちは、どんな人間なのだろうか。自分のこれまでの選択を振り返ってみたくなりました。
1投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログアイドルに疎い自分ですが、アイドルという仕事がどんなものなのか、アイドル目線になって感情移入出来ました。 またアイドルファンからの目線も、家族や学校の友人としての関係性など、気づかない部分に考えさせられるものもありました。 最後に選択するのは自分だけど、決して正解ばかりではないし、後悔も勿論するだろう。でも、その最後に選んだ選択を自分で責任を持って生きていける人になりたいと思いました。
5投稿日: 2024.10.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アイドルの裏側にある葛藤や苦悩、選択を覗き見できた気分。 ファンが持つ理想のアイドル像に 従順でいることの大変さが高い解像度で描写されている。 主人公である愛子は女性アイドルグループNEXT YOUのメンバーであり幼い頃から歌って踊るのが大好き。 しかし人気と知名度が上がるにつれ、望まない視線も向けられるようになり複雑な気持ちが膨れていく。 異性と並んで歩いたら熱愛だと騒がれる。 ブランド物を身に着けたらやっかみのような声が上がる。 CDに握手券を付けたら同じ物を何枚も買わせていてずるいと言われる。 ネット上に上がる声はいつも悪意に満ちていて手のつけようがない。 ただ、そんな人ばかりではない。 純粋に応援してくれるファンがたくさんいる。 きっとそういう人は「画面の中の推しを眺められればそれで十分」というような静かな人たちばかり。 だから批判が目立つ。 本書に出てくるアイドルたちにはこのサイレントマジョリティの存在を感じながら強くなっていってほしい…と切に願わずにはいられなかった。 NEXT YOUを脱退し、女優業の夢を追った杏佳も印象的。 初めは映画や写真集など目立った仕事があったが、だんだんスケジュールに空きが出てきた。 するとネットがここぞとばかりに『応援はしているけれど、アイドル以外の道で生きていけるほどの商品価値はないことはきちんと知らしめておきたい、そしてそんなことこちら側はずっとずっと前からわかっていた』という醜い心理が露呈した冷たい批判を喧伝する。 何をしてもあーだこーだ言われるアイドル。 時代が変わってもこの粘り濃い視線は形を変えてつきまとう。 アイドルに歪んだ理想像を押し付けるファンや性格が悪いネット民の処刑場のような1冊だった。 メディアの芸能人に対する雑な扱いにモヤモヤを感じたり、推しの炎上を経験したことがある方必見。 ハッとさせられる名言がそこら中に散りばめられている。
19投稿日: 2024.10.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アイドルが好きだから、という理由で何となく読むことにしたが、予想通り面白かった。 一瞬出てくるfruits fruitsの名前はJuice=Juiceからインスピレーション受けたのかなあと嬉しくなった(そこ?) 体型管理や、恋愛禁止など、世の中(ファン)の期待に応えることと、自分らしくあることの間で揺らいでいく姿にヒリヒリした。 最終的な愛子と碧の選択、そこからのエピローグが自分らしさを貫いていて心地よい読後感。 追記 全体的に碧のさっぱりしたキャラクターが好きだった。ラーメンに茎わかめを突っ込むところが一番のMVP
1投稿日: 2024.09.29
powered by ブクログアイドルに詳しくなくても、楽しめます。アイドルとか芸能界とか、興味ない人の方が楽しめるかもしれません。最後はとっても感動しました。
1投稿日: 2024.09.20
powered by ブクログ推しの子を彷彿とさせるアイドルの物語。 アイドルという掟の中で正解を見出せず苦悩する少女たちの仕事に対する恋愛に対する揺らぎが生々しく響いた。 怒れるくらい好きなこと、か。 そんなに感情を出せるのが羨ましい。 私は怒るという感情はストレスに繋がるだけですぐ消化しようとしてすぐに諦めたりしょうがないって思う癖がついてしまった。 だけど怒れるくらい何かに夢中になれることがあるって幸せなんだよな。 バカにされたら覆すほどのチカラ、私も持ちたい。 朝井リョウさん、こんなにも女の子の心境が分かるなんて、、面白いだけじゃないね、、
48投稿日: 2024.07.29
powered by ブクログその人が大切にしているものは許容量が少ない だから茶化されたりするとすぐに怒る その人が怒るからその人がどういう人間なのかが分かる 無料のものは誰でも手に入れられ、気に入らなければ取っては捨てを繰り返せる 本当に欲しいものなら何かと引き換えにしてでも手に入れるはず 正しい選択でなく正しかった選択しかこの世にはない 何かを選び続けて、それを正しかった選択にしていくしかない 主題はアイドルだったけれども沢山の大切なことが詰まった小説だった
2投稿日: 2024.07.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
限りあるものから何を選び取るかということは、自分がどういう人間なのかという気付きに、繋がる。 無料で手に入るものとはつまり、全員が同じように手に入れられるものだ。全員から同じ距離の位置にあるものだ。それに、何かを引き換えに手に入れているわけではないので、もしそれが気に入らなければ、自分の持ち物を減らすことなく、手に取っては捨て、手に取っては捨てを繰り返すこともできる。そんなことご、この一秒の間にも、数えきれないほど行われている。
1投稿日: 2024.07.26
powered by ブクログ武道館を目指すアイドルの話。 リアル世界で実際に起こった事も書いてあって、なんだか虚実ないまぜ。 アイドルと言うイメージは、多分アイドルやっている人でも違うんだと思う。 そして、その時代に寄っても。 何だかその変遷も感じられた。 恋愛事情なんかもあって、そりゃそうだろうなと思いつつ、絶対恋愛なんてありえない!裏切りだみたいに思う人もいて。 何だか難しいよな、アイドルって。 若い時に比べて、アイドルを見る目は変わった感じがする。 同じ顔って言われるのも分かる気もしつつ、その人たちにお金を掛けてしまう気持ちも分かったりする。 なんか結局凄いんだよなアイドルって。 歌に踊りにバラエティに演技。 超人だわ。
11投稿日: 2024.07.18
powered by ブクログ愛子ちゃんと一緒に展開を眺めてるつもりだったんだけど、いつのまにかぐるーっと愛子ちゃんだけ反対側に行ってしまった感じ。 改めてアイドルの世界って十代、その前後の子達にとんでもなく多くの選択が迫られてるんだなと思います。
1投稿日: 2024.06.09
powered by ブクログ1人の人間としての葛藤と アイドルとしての輝き 自分で選び取る強さを目の当たりにして 感情が忙しかった。 自分でした選択したことを 正しかった選択にする強さを私も身につけたい。 私はやはり朝井リョウの作品が好きだ。 作品に触れれば触れるほど、どんどん引き込まれる。
1投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログYOASOBIのアイドルを彷彿とさせる話だった。輝き続けて偶像崇拝される存在であり続けなければいけないこと、キラキラした存在の中に垣間見える人間らしい姿に好感度を持つファンの存在があること、でもスキャンダルは許せないこと、、などなど、 ドルヲタの自分としては、アイドル目線の葛藤、ファンの葛藤、どちらも感じられる作品で面白かった。
1投稿日: 2024.05.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この作品を読んで時代に迎合しすぎるのは自分がなくなることにつながりかねないという学びを得た。 時代の変化に合わせすぎるよりは世の中は変化するから自分を変えないという姿勢も大切になるかもと思いました。 自分がこれまで大切にしてきたことがある日、非常識になったとき自分はどういう行動をするのか気にもなった。
0投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログアイドルに求めるものは人それぞれだと思うが、時にファンがアイドルに求めるものが理不尽だと感じることがある。本作品は、こうした普段感じているモヤッとした部分に、アイドル目線で焦点が当てられており、面白かった。 大きな夢を叶えたいと行動することも、身近な幸せを大切にしたいと行動することも、どちらも素敵な選択肢だと思う。ファンとしては、応援するアイドルが自分の意思で決めた道を応援したいものだと思った。
1投稿日: 2024.04.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アイドルに憧れたのは、ある一人の「普通の女の子」だった。アイドルとして生きる彼女は何を選び、何を選ばないのか。 選択肢であふれた世界でいま、あなたは何を選んでいますか? ************ やっぱり朝井リョウさんの小説はおもしろいいい 「選択」というのがこの小説のひとつのテーマだと思うけど、それ以外にもアイドルという特殊な職業に対する世間からの視線とか、高校生の女の子が幼馴染に惹かれていく様子とか、様々な要素が盛り込まれていている。ひとつの小説でいくつも味わいがあるのがすごい。
0投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私の感想は星3.6。 クライマックスが意外だった。あんなに目指してたものをそんなすぐに捨ててしまえるのかと。 あと何十年後の世界。こういうのはあるあるだと思うし確執とかは全部乗り越えてきたと思うので私は満足かな。 女子高生のふらふらした感じが表されていて良かったと思う。
0投稿日: 2024.02.25
powered by ブクログアイドルのお話し。アイドルグループが武道館を目指す過程で、アイドルそれぞれのタイプがあって、主人公の愛子はアイドルである前に、1人の人間であると主張している感じ。AKBのまゆゆを、思わせるようなキャラもいたりして、アイドルそれぞれの価値観を表現していた。 アイドルは大変と思った。 最後のつんくの解説で作品を締めている。
8投稿日: 2024.01.30
powered by ブクログ主人公は歌と踊りが好きでアイドルを目指す女子高生。 5人グループでデビューした仲間がいて、幼馴染の同級生がいて。 説明は難しいが著者の小説づくりと文章がうまく、物語にひきこまれる。 「でも、正しい選択って、この世にあるのかな?」 「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」 「何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ正しかった選択にしていくしかないんだよ」 女子高生のこんな言葉に、わが身をかえりみたりした。
1投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログ朝井リョウがアイドルをどうやって描くのだろうという期待感を持ちながら、以前から読みたくて仕方なかった一冊をやっと読めた。 期待を裏切らない面白さだった。青春の甘さやアイドルのリアルを感じることが出来、主人公をはじめとするグループのメンバー達の成長や心情の変化一つひとつに胸が熱くなった。 アイドルのスキャンダルが報道されて炎上することは今でもかなりあるが、この作品を読むとそういった事象に対する見方も少し変わるんじゃないかなと思った。
0投稿日: 2023.12.08
powered by ブクログ愛子の成長を見守る視点を与えられたことで、アイドルの恋愛に懐疑的な意見を持つ人も感情移入しやすい作りになっていて良かったです。 私は女性アイドルを応援しているので、熱愛報道が出たときのファンの反応などを想像して複雑な気持ちになりました。 「選択」することの重要さを説かれているので敢えて言うならば疑似恋愛で売ってる部分はあるので絶対にバレないでほしいという気持ちと、バレないのは無理だろうなという気持ちが一緒に成り立ってしまいます。 脱退を選択した2人も他のメンバーも幸せに生きてほしいですね…。
0投稿日: 2023.11.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ブレイク前の5人組アイドル「NEXT YOU」の愛子とそれを取り巻く人たちのお話です。 一人一人個性的な性格の子達を見ていて、応援したくなる気持ちを思い出させてくれた本でした。また、「恋愛」「進学」「卒業」「炎上」など人生の分岐点に立つ子達が、悩みながらも一歩一歩前進しているところが面白かった。 □アイドルだから、恋愛はしてはいけない □アイドルだから、いつでも完璧で、アイドル一本のことだけに集中していてほしい。 □アイドルだから、進学はしないのだろう。 といったファンの中にある暗黙の了解的なものを考えるきっかけとなり面白かった。 気がつけば、読み進めていくうちに推しメンができてくるところも、この本のいいところだと思います。
1投稿日: 2023.10.31
powered by ブクログ歌って踊れるアイドルは、歌って踊る以外の要素も求められて、かつその枠からはみ出す子は叩かれたりもする。。というなかなか不条理な職業。 とはいえその傾向が極端なだけで、その他の職業も少なからず同じ現象はある気がする。出る杭は打たれる、ということかなぁと。 世の中は今の世の中の基準で人を判断して、出る杭になるのを許さない、のに、その世の中自体も少しずつ変化していく。だから、過去許されなかったことが許されるようになる(逆も然り)という現象が起こる。 他人の目を気にするよりも、自分の今の信念を突き通した方が結局自分自身が納得できるのだと思う。主人公はそういう選択が出来る人だった。 最後、その選択は幸せなものだったのだろうと思える描写がある、けど、歌って踊りたいという気持ちが強い主人公の願いが全て叶えられたかというと、それは違うんだろうな。。
0投稿日: 2023.10.30
powered by ブクログアイドルが当たり前の存在、かつ身近(感覚的な距離感)になったいま。 アイドルでなくても清廉潔白が求められる時代、自分の直感で行動することが憚られる時代。 他者の価値観(と自分で思っている価値観)の中で生きるのは辛いが、社会的な生き物である人間には抗えないように思う。 自分らしく、自分の好きなことを、とはよくいうが、本当の自分とは一体なんだろうと思う。 彼女たちが自分の幸せを見つけてほしいと、切に願う。
0投稿日: 2023.10.22
powered by ブクログ歌って踊ることが大好きな愛子を、読者は保育園のころから知っているので、アイドルグループのメンバーとなった愛子にも親しみや応援の気持ちしかない。 でもほとんどの場合、わたしたちが知るアイドルというのは「アイドル」としての姿しか知らないので、些細なことで炎上するし、恋愛御法度といわれるし、その年代にしては大きすぎる制約の中で生きているのだと思う。 それこそがアイドルだともいえるかもしれないけれど、この作品の中では、アイドルの「普通の少女感」が常に描かれているので、彼女たちの葛藤をまざまざとみせつけられることになる。 愛子は強かったなぁと思う。正しい選択をする、のではなくて、自分が選んだことが正しいのだと、その若さで気づいて実践できたこと。 結果、不遇な目にもあったかもしれないけれど、最終的には武道館の舞台にも立てたこと。 作品のところどころに、イベンターや印刷会社など、他者の目線が入るのもいいアクセントになって面白かった。
1投稿日: 2023.10.09
powered by ブクログアイドルになりたいというのは女性なら一度は憧れてしまう職業なのではないかなと思います。 でも実際はライバル同士で戦々恐々としながらもチームワークを発揮して共に目標を達成を目指したり する辺りも現実は厳しいものがあるなと感じます。 自分をどこに捧げるのが1番幸せなのか 幸せ探ししていく中で主人公が自分の気持ちに気づいたあたりから物語に惹き込まれました。
4投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログファンの期待に一生懸命に応え自分の理想とするアイドル像を再現するるりかちゃんと、今まで過ごしてきた 自分 と アイドルの自分 との違いに悩み自分を突き通す選択をした愛子ちゃん。2人ともファンを大切に思いアイドルという職業を楽しんでいたように感じたが2人はどこが違ったのか。るりかちゃんも歳を重ねて恋をしたら 自分 と アイドルの自分 どちらを選ぶのか(その頃にはアイドルと恋愛が両立できるようになっているかもしれない…!)。 みんな選択をしながら生きている。作中では選択に正解があるかないか話していたが、人生の中で二択があったとして、どちらか一方の選択の答えしか私たちは知ることができないのだから、選択先が正解か不正解かという問はは愚問だと思った。その選択が行き着く先は死ぬまでない。選択に正誤を求めるから苦しくなる。選択をした先で幸せになるか不幸になるかは全て自分次第だと思う。
1投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログ所々キモい! いかにも男性が描いた女性だなぁと思う箇所が何箇所かあって、すんなりと物語に入り込めない。
0投稿日: 2023.08.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私が男性アイドルオタクです。 女性アイドル特有の部分もありますが、アイドルオタクなので、ファン同士のSNSでの感想の言い合いや、自分がみたい推しの姿以外は拒絶する傾向などは、すごくこの本でファンってそんな一面もあるよねーと思います。 物語の結末みたいな、アイドルだって恋愛するし、自由な選択ができる世の中になってほしいです。。。 ガチ恋勢はしんどいかもしれないけど、そこはエンタメとして区別できるように社会が成熟するといいな。。。
1投稿日: 2023.07.18
powered by ブクログやっぱりこの人の本は読みやすい!けど、会話とか行動が妙にリアルで心がぞわっとする時がある。 アイドルはファンより幸せになってはいけない、アイドルを卒業したら不幸になってほしいと思われてるみたいなとこ、妙に納得したなぁ。あとは、最後まで愛子が世間からどんなアイドルと見られているのかを描写しないところに作者らしさを感じた。
0投稿日: 2023.07.14
powered by ブクログアイドルグループNEXT YOUを主人公にした 青春物語。アイドルとファン、恋愛、選択をうまく絡めて書かれてる。なかなか面白かった。
1投稿日: 2023.07.04
powered by ブクログ架空のアイドルグループが夢である武道館を目指す物語。単なる青春物語ではなく、"アイドル"を題材に、人が幸せに生きるとは、どういうことかを問いかける。物語を書く契機となったドリーム モーニング娘『シャイニング バタフライ』を聴いたら結末の解像度がより上がりました。
1投稿日: 2023.06.10
powered by ブクログ普通の女の子がアイドルとして徐々に売れていく中で湧き上がる気持ちが書かれていて、率直な彼女たちの気持ちが垣間見れたような気がした。 自分の叶えたかった夢と、身近な大切な人。。 売れていけばいくほど関わる大人たちが増えて、自分で決められることも減っていって、行動の責任も大きくなって、グループ内でも大事にしたいことの基準の差が出てくる。 画面では笑顔のアイドルたちの、決して表には出てこない気持ちが見れたようでした。
0投稿日: 2023.05.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直アイドル作品としての読み応えはそんなにないと思います。ありふれた脱退とありふれた炎上があって、順調に人気を上げていくアイドルの話。 ただ、アイドル像というか女の子像は男性の作者が書いたとは思えないほど、鮮明で濃く書かれていました。「売れて欲しいけど自分よりいい生活はしないで欲しい」とか「有名になって欲しいけど毎日ブログは更新して欲しい」とか。「CDに握手券をつけるのは音楽に対する冒涜だ」とか。確かにその価値観を決めるのは誰なんだろうと思いました。不思議でした。アイドルが女の子でいるための小説でした。
1投稿日: 2023.05.03
powered by ブクログ夢に満ち溢れていると思われがちな女性アイドルたちの残酷さが表現されていて、すごく現実味のある作品だった。
1投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログ何が正しい選択なのかは分からない。 それを正しかった選択にする。 だから私は自分のしたいことをやる。
1投稿日: 2023.04.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どちらの言い分も共感できた。自分がとった言動を正しかった選択にしていくしかないんだな。 ファンはファン以上の役割を自負し始める。ってその通りで気持ちが悪いなと思ってしまう。
0投稿日: 2023.04.09
powered by ブクログ鳥肌が立った。涙が滲んだ。読んでいて自然とそうなっていた凄絶なラストだった。 これは、私が女性アイドルのファンを長らくやっており、一ファンとして長年胸の内に溜まっていた靄がこの小説によってようやく取り払われたからだと思う。 この十年ほどで女性アイドルを取り巻く環境やその秩序は大きく変わったと肌で感じるが、その変化の解像度がとても高く、描写も素晴らしかった。アイドルオタクとしてこの小説を読むと何かもやもやとしてしまうのではないかと読む前に躊躇していた自分に、早く読むべきだと伝えたい。 もちろんアイドルに詳しくない人でも存分に楽しめる一冊。この一冊から私が個人的に自分の中で覚えておきたいと思った二節をここに記しておく。 「人の不幸を見たい人は、不幸を見たいと声を上げる。碧の演技を「棒」と呼び、その証拠を集めてそこら中にばらまこうとする。だけど、人の幸せを見たい人は、この試合を見守る自分たちのように、きっと、ぐっと口をつぐんで、ぎゅっと拳を握りしめて、その姿を見守ってくれている。だから、人の不幸を見たい人のほうが、まるで多くいるように感じてしまう。自分の選択が間違っていたのではないかと、すぐに不安になってしまう。」 「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」「何かを選んで選んで選び続けて、それを一個ずつ、正しかった選択にしていくしかないんだよ」
1投稿日: 2023.04.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「あなたらしさ」ってなんだよ 誰が決めるんだよ 今更読んだけど、アイドルという存在について改めて考えさせられた。 私は佳林ちゃんが大好きだけど、私が好きな佳林ちゃんとは、果たして人間としての佳林ちゃんなのか。アイドルとしての佳林ちゃんなのか。そもそもアイドルとしての佳林ちゃんとはいったい何なのか。 武道館でのライブを目指す、駆け出しアイドル「NEXT YOU」。メンバーのひとりの愛子を主人公に物語は進む。 愛子のアイドルとしての活動の物語であり 愛子と大地の恋愛小説であり 「NEXT YOU」というアイドルグループの物語でもある 愛子の撮られ方はつるりんからしたらプロ意識が足りないの一言に過ぎないけど、物語を追ってく上で彼女は必要最低限気を付けていたし、碧と比べたら不可抗力に近いものがあったと思う。 だけど愛子は、自分の歌って踊る姿を不特定多数の誰かに見て欲しかったんじゃなくて、ごく僅かな大切な人(家族と大地)に見てもらえれば十分だったんだね。それに気付いたから、アイドルじゃなくて大地を選んだんだろう。 大地を選んだ愛子は、アイドルファンの私からしたら不誠実に見えた。でも愛子はアイドルである前に人間なんだよね。 アイドルファンからしたら全員がつるりんのような意識を持っていてほしいと望んでしまうけど、それが絶対的に正しい姿とも言い切れない。アイドルはロボットじゃなくて人間だから。人間であるアイドルを推してるはずなのに、なんで恋愛をするな、あれをするなこれをするなってロボットのようにあれこれ制限をかけて人間らしからぬ人間像を求めてしまうんだろう。 何故アイドルは恋愛しちゃダメなのか。何故恋人がいると知ると裏切られたような気持ちになるのか。何故恋愛してることをファンに知られたらアイドルを辞めなきゃいけないのか。恋愛をすることは性的でタブーなことなのか。 私自身、紗友希が脱退してとても悲しかったし、なぜ我慢できなかったの、と当時は悔しかった。でもどうして世間は(事務所は)、恋愛もアイドルも捨てないという選択肢を紗友希に許してあげられなかったのだろう、とこれを読んで改めて考えさせられた。しっくりくる答えはまだ見つからない。
1投稿日: 2023.03.28
powered by ブクログSNSが生活に入り込んでいる今の時代を生きているアイドルと私たちを上手く描いた作品。解説でつんく♂︎さんは実際はもっと普通の世界と書かれていますが…。 この本が刊行された後に、ここに書かれていたような炎上があったり。今の時代の生きにくさみたいなところを描くのが上手い。 朝井リョウさんにしては珍しい題材かなと思って読み始めましたが、そこは朝井リョウの世界観でした。読んで良かったです。
2投稿日: 2023.03.15
powered by ブクログアイドルファンではないしアイドルの気持ちなんて考えたこともなかったけど女の子たちの選択の物語でひたすら胸が熱くなった。 正しい選択なんてない、あるのは正しかった選択だけ。という言葉に私も背中を押された。 アイドルを取り巻く色んな社会時事に触れてて、ただの女の子たちの物語になってないところが本当に感服… なんでこんな繊細な乙女心が朝井リョウには分かるの…?
1投稿日: 2023.02.11
powered by ブクログモーニングオタの私は絶対に読まねばと思っていた本書。さらに解説がつんく♂なら読まずにはいられない。j=jの推しはドラマを演じた5人の中にはいないが、それぞれ鮮明にイメージできて読みやすかった。 アイドルはファンに生涯を捧げる以外で幸せになることを許されず、心ない誹謗中傷を受けてもスルーしなければいけない。日本人の底意地の悪さと余裕の無さ、心の狭さがアイドルや芸能人を苦しめていると思う。つい最近のアイドルの炎上も異様で見ていられない。愛子のるりかへの言葉とダンスの先生の言葉に納得し、推しを1人の人間として正しく応援したいと思った。
2投稿日: 2022.12.16
powered by ブクログ今ってもっと広いアリーナやドームがすごい!ってイメージだけど、武道館ってやっぱり特別な場所であってほしい。
1投稿日: 2022.11.13
powered by ブクログ友人の紹介で本作を手に取りました。「女性アイドル」を題材とした本作。1人の少女がアイドル活動を行いながら、夢や恋愛などに想いを馳せていくというストーリー。 刊行された年を見ると2015年とあり、当時のことを少し調べてみると、傷害事件やスキャンダルといったことが起こり、アイドルが悪い意味で注目がされていた時代であり、すごくタイムリーだったのだなと思います。 その当時と比べると、アイドル卒業生が結婚したり、暴露系YouTuberの存在によりアイドルの偶像性が少し落ちただけでなく、YouTuberやインフルエンサーのようにいわゆる一般人でも人気者になれる時代になったので、アイドルというものの捉え方が少し変わったように思いました。 アイドルの恋愛全てが肯定されるべきとは思いませんが、貶すほどではないっていうところが本音ですかね…
14投稿日: 2022.11.06
powered by ブクログ私は以前韓国の女性アイドルが好きだったので身近な世界に感じた 推しが炎上する 一般人に戻る そんなことを何度も経験している つるりん報われないなぁ。 一生懸命に真面目にやってきたのに仲間は自分勝手に動くんだもんね。でも責めても何にもならないし、責めなくても辛くて抱え込むし まゆゆ的アイドル像を守り抜いてて私はそれが今良いことかは置いておいて、かっこいいと思った 最近は誹謗中傷に敏感になったりしてるけどまだまだ見るに耐えない投稿は星の数ほどある。 週刊誌って人の不幸を売る仕事だね。そろそろ辞めたらいいのに。
0投稿日: 2022.10.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
アイドルという特殊な職業ゆえに生まれる悩みを綴った作品。自分がやりたいこととアイドルとしてあるべき姿が必ずしも一致しない中でどちらを選択するのかであったり、不特定多数の相手から浴びせられる様々な言葉の受け止め方であったり、一般人には考えつかないがなぜか現実味を帯びていることが多く、考えさせられた。誰もがネットを通して有名になり得る時代なので、誰にでも起こり得る苦悩だと考えると恐ろしい。 ただ、そのときはすごく叩かれるような選択も、「正しかった選択」にするという姿勢は勇気もくれる。
0投稿日: 2022.10.19
powered by ブクログアイドルの話をベースにかかれた本。私も芸能人が好きだけども、確かにファンは自分の勝手な理想を望むのかも。でもアイドルも1人の個であり人生がある。ただしい選択は本当にどの時も変わるものだけどもそれが正解だったと信じて、失敗も経験も大事にしたいなぁと思いました。
0投稿日: 2022.10.18
powered by ブクログ自分もアイドルファンとして、アイドルのオモテのきれいな部分にしか目を向けないこともあるし、勝手に理想像押しつけてるのも否めない。 そのくせ、YouTubeとかメイキング映像をみるほどにアイドルの素を知った気になって、アイドルにはファンの期待を満たすより人として幸せでいてほしいなと願ったりもする。 勝手に好きになったり勝手に失望したり、味方でありアンチ。ファンって本当に勝手だなと思った。 結局何を信じて応援するかをファンは各々選択してるということを忘れてはいけないな。 書かれてることすごくリアルな感じがしてアイドルとファン心理の絶妙な暗黙のルールに切り込む朝井さんさすがだなと思った。読んでて苦しかった。 juice=juice出演で実写ドラマ化してたことは知ってたし、朝井さんに武道館って本があることも知ってたけど、不思議となぜか繋がってなかった。juice=juiceに投影して一気読みしてしまった。
7投稿日: 2022.10.16
powered by ブクログ人生には『正しかった選択』しかない、というキーワードにぐっときました。 その時々の選択によって得たものと得られなかったものがあるのは当たり前。それによって生じた結果をいかに自分の人生の中で正しかった選択にしていくか。考えさせられた。
0投稿日: 2022.09.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
p126 限りあるものから何を選び取るかということは、自分はどんな人間なのかという気付きに、繋がる p262 どうして成り立たないのだろう。若くて、女の子で、歌うことと踊ることが大好きで、大好きな人のことも大好きだという状況はどうして成り立たないのだろう ずーっと前に書店で見かけてから気になっていて時間ができ、やっと読了。 アイドル好きの1人として、アイドルが恋愛をしてはいけない事に対して疑問に思った事はなかった。他にもこの作品には矛盾が描かれているけど、でも推しと愛子や碧を重ねると、ファンとしてはやっぱり切ない。。アイドルはファンタジーであって欲しいという気持ちがあるからなのか。 数年前にJuice=Juiceでドラマ化されていて、キャストもピッタリだと思う。読み終わった後、ドラマも観たくなった。
1投稿日: 2022.08.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日高愛子(ひだかあいこ) NEXT YOUのメンバー。愛称は「あいこ」。両親が離婚し父と2人暮らし。川口のマンションに住んでいる。 水嶋大地(みずしまだいち) 愛子とマンションに住んでいる。高校も愛子と同じ学校に通っている。剣道部。 愛子の母親 美容師。離婚しマンションを出ていった。 日高恒彦(ひだかつねひこ) 愛子の父。印刷会社で経理の仕事をしている。 安達真由(あだちまゆ) NEXT YOUのメンバー。愛称は「だっちー」「だちまゆ」。愛子と同じくどこの事務所にも所属してない完全な素人としてオーディションに合格した。愛子の一つ下。東十条に住んでいる。 尾見谷杏佳 NEXT YOUを卒業した元メンバー。 堂垣内碧(どうがきうちあおい) NEXT YOUのメンバー。愛称は「あおい」。クールで大人っぽいルックスが人気で不動のセンターポジション。子役タレント出身。本名は菅野あおい。 坂本波奈(さかもとはな) NEXT YOUのリーダー。愛称は「はなさま」。グループで一番年上。真っ黒、真っ直ぐな髪の毛、しっかりとした性格。幼少期から赤ちゃんモデル、子役として活躍していた。一人暮らし。離婚した母や弟妹3人と暮らしているため家計が苦しい。 鶴井るりか(つるいるりか) NEXT YOUのメンバー。愛称は「つるりん」。甘えん坊で泣き虫だが頭は良い。所属事務所グリーンアッププロダクションの芸能三部に在籍いていた。都内の一軒家に住み芸能コースのある私立中学在学中。お金持ちの家の一人っ子。 上田梨夏子 2期生候補だったがいんすたのアカウントが特定され、学校名、最近まで付き合っていたらしい彼氏のアカウントまで特定された。2期生になることも候補生として事務所に所属することもできなかった。
0投稿日: 2022.08.25
powered by ブクログ武道館を読みながら自分自身の経験と重ね合わせて、自分は正しい選択をしてきたのだろうかと回顧してみましたが自信を持って頷くことはできません。碧の言う通り誤った選択も含めて自分の手で「正しい選択にする」しかないのかもしれません。なお、アイドル界の関係者かと思わせるほどに細部まで書き込まれていてとても感服しました。
1投稿日: 2022.08.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
寄せ集めアイドルグループNEXT YOUの崩壊と再生を描く青春ドラマ(再生の過程はほとんど描かれてないけど)。 主人公の愛子チャンは踊ることも歌うことも大好きだけど、それ以上にアレが好きで自ら夢(武道館のステージに立つ)を放棄してしまうという残念な結果に......しょせん異物(アイドル)にはなりきれない俗物(一般人)だった...... (T_T) 他にも創設メンバーの大半は好き勝手やって黒歴史だけ残して消えていったけど、それを乗り越えた真NEXT YOUの結束や覚悟のほどは強靭(たぶん)。応援してあげたい。 丸刈り、握手券商法、刃傷沙汰、SNS炎上等々、「あったあったそういうの」ネタ満載。 今となっては何もかもただただ懐かしい。 一歩間違えればキワモノの芸能ネタを、巧みに文学作品へと昇華してしまう筆力にはつくづく感心。 最後まで面白く読めた( ´ ▽ ` )ノ 2022/07/26 #3288
0投稿日: 2022.07.26
powered by ブクログ武道館を目指すアイドルを描いた小説。 アイドルに課せられている縛りと自分のやりたいことに悩む姿は良かった。
1投稿日: 2022.05.30
powered by ブクログ色々考えさせられました。 音楽、動画が無料で手に入る今の時代、好きなものもそうでない物も全て同じ距離の所にあるから、自分の好きな物が何なのか分からなくなる。 そんな時代に、周りの声に踊らされず自分だけの真実を見付けて選択し、その選択に責任を持って、それを正解にしていく。 世間が批判しても、顔を出さずに批判する世間って誰?と思うので、自分の選択を信じるのが大切だと思います。 あと共感したのは、どんな命令にも従えないあの瞬間 という感覚。 これに共感できるような経験をしてきて良かったなと思いました。
1投稿日: 2022.05.11
powered by ブクログ朝井リョウ氏の女性アイドルを描いた作品。 私自身が所謂アイドルオタクだからということもあるがアイドルの存在について考えることがある。 アイドルは何を求めてられているのか、歌やダンスなどのパフォーマンスなのか、はたまた各メンバーの持つキャラクターなのか、握手会などのイベントによるファンへ向けるサービスなのか。 私の結論としてはそのアイドルの存在全てが求められているのだと思う。だからダンスが下手でもそれがキャラクターであればむしろ可愛らしく映り、アイドルとしての存在を応援しているからアイドルらしからぬ行動、例えば男遊びなんかが知られたらファンは憤る。 そういったアイドルの存在の行方を描ききったのが本作であると思った。 主人公である愛子はただの人間であり、ただの女の子である。だがそれと同時にデビューした瞬間からアイドルという存在にもなる。愛子がただの女の子であるという事実は変わらないまま。 そういった存在定義のジレンマに挟まれた彼女達は「正しい選択」を目指して行動するが。 朝井リョウ氏はやはり巧い作家だなと思う。 比喩表現もさることながら、群像劇としての構成力も安定感を感じる。 ただ愛子で語るだけではなく角度を変えて彼女らの存在を魅せる。 満足感のある作品だと思えた。
0投稿日: 2022.04.20
powered by ブクログアイドルの青春を描いた物語ですね。 読み易くそれなり面白いです。 アイドルの葛藤を描いているけど苦悩までは行かない感じです。 だから読みやすいのかな。
2投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログサラリと読める。 特定な推し活してないので、浅井リョウさんらしい青春時代の葛藤ものだなぁという印象。切り出し方は毎度すごいなぁと思います。 途中お父さん入ってこないか心配した…。
2投稿日: 2022.03.22
powered by ブクログ「どんな命令にも従えないあの瞬間の中」 わかりすぎる。自分の評判とか他者の気持ちを踏みにじってまでも誰かといたい気持ち!! でもこれからわたしも社会人になったら甘えていられないんだな!今までは学生だからまだそれ以外を犠牲にできたけど、これからしんど。
2投稿日: 2022.03.20
