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沈黙の町で
沈黙の町で
奥田英朗/朝日新聞出版
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総合評価

103件)
4.0
26
54
15
3
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これだけのページ数を、加害者(は、いないといえばいないのだが)と被害者とその家族、学校、警察、検察それぞれの視点で細やかにリアルに描いて、最後の最後に死因が明かされる。 自殺でも他殺でもなく結局は事故。名倉祐一みたいな子供、たくさんいるだろうな、いじめられる側にも理由があると言われてしまうような子供。 奥田英朗はうまい。いるいるこういうビビリの校長、いるいるこういう逃げる父親という感じでリアルに描く。 それにしても、市川健太がちょっとわかんない。藤田は追い詰められておかしくなったようだけど、死体を見たのに藤田を庇って(ずっと嘘をつき続けていられる?)、テニスの練習しておやつのケーキ平らげるかね?

    0
    投稿日: 2025.11.11
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    中学2年生という本当に不安定で脆くて危うい時に大きな事件が起こるとこんなことになってしまうんだというのが恐ろしかった。 中学生の善悪の基準は集団の中でどう見られるかということで、大人のそれとは違う。 でもいくら思春期で大人には素直さを見せないのだとしても、大人たちはいじめていることもいじめられていることも本当に全く気づいてなかったのかと思ってしまう。どこかで止めるタイミングはあったのではないかな…。せめてそういう遊びがあると知っていたなら、屋根には登れないようにはしていてほしかった。 リアルで本当に面白かった。

    15
    投稿日: 2025.08.20
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    いじめがテーマだと、悲惨な描写とか多くて辛いかなあと思ったけど、そうでもなく、それぞれの立場がどう感じるかがよくわかったし、止まらない面白さだった。

    0
    投稿日: 2024.11.03
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    いじめという重いテーマ。 こういう小説は特定の人物の目線で書かれるためその人物に肩入れしがちだか、これは加害者、被害者などのそれぞれの立場で心理描写のため、何が正義か分からなくなってくる。

    5
    投稿日: 2024.07.17
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    気持ちの揺れる中学生の気持ちをうまく表現していると思う。忘れかけてる自身の危なっかしい中学時代を思い出す。

    0
    投稿日: 2024.06.08
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    小さな町で起こったひとつの事件。被害者は?加害者は? 沈黙の町で、というタイトルがあまりにも絶妙。 小さな町の高校が舞台。不安定な年頃の高校生とそれを取り巻く人々の物語。 曖昧なままに終わるラストがこれまた絶妙。

    0
    投稿日: 2024.05.31
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    奥田英朗さんはやはり面白い。 本作は奥田さんのシビアバージョンで、かなり重いストーリーなのだが、小気味良い奥田節によりどんどん読み進められる。 奥田英朗さん作品は、オチだとかつじつまだとかは関係なく、とにかく作風が好きだ。

    0
    投稿日: 2024.01.16
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    色んな問題提起の物語やと思う。どこにでもある小さな田舎町の多感な中学生の友情ごっこ、ほのかな恋、親のマウントの取り合い、学校のことなかれ主義、未成年相手の犯罪捜査の難しさ。何よりもいじめる・られる双方にある歪んだ、それでいてわかるよーな気持ち。面白かった!

    1
    投稿日: 2023.08.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正直、中学生のような子供が名倉を虐めたくなる気持ちはわかる。話が通じないし、訳も分からないから。けれど、これが高校生になったら名倉は遠巻きに周りから見られているだけだと思う。たまたま、運が悪かった、それだけ。

    0
    投稿日: 2023.08.06
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    北関東のねぎが産地のある町。そこの公立中学の2年生男子が部活の部屋の前で倒れていた。頭には挫傷があり、部活の屋根からそばの大銀杏に飛び移りそこねて落下し下の側溝の角に頭がぶつかったと思われた。自殺なのか事件なのか。華奢なその少年はいじめられていた、という証言もあるが・・  息子が帰ってこないという電話を受け校内を見に行った教師が死体を見つける。冒頭から心がざわざわする。体調不良の時は読めない感じ。中学2年、あるいは残酷な年代。死んだ少年、一緒にいたテニス部の同級生、同級生の女子、校長、教頭、学年主任、担任、そして警察、検事、弁護士、新聞記者、被害者の親、加害者?とされた少年たちの親。そうだ、自分にもあった中学2年の時。そして少年の親の時。 警察の聞き取りの間に挟まれる、過去の学校生活の描写。そして最後に明かされるその瞬間。・・なにげない言葉、行動がとりかえしのつかない結果になってしまう・・  なにか死んだ者、生き残った者、もちろん読者にもどよーんと苦い思いが残る。 朝日新聞2011.5.7-2012.7.12連載 2013.2.28第1刷(単行本) 図書館 朝日新聞書評2013.3.3 評者逢坂剛 https://book.asahi.com/article/11645332

    8
    投稿日: 2023.01.12
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    中学生のいじめの話。いじめはいけないと思うけど、いじめられる子にもいじめる方向に導く何かがあると思ってる。奥田さんはその書き方がとてもうまいなと思った。でも親、特に坂井の母親がうざくて仕方なかった。こう思うように奥田さんは書いているのなら、ほんとうまい。うざ過ぎて途中とばして読んだ。弁護士が親たちからはうざがられているけど、私は真っ当なこと言ってると思った。

    0
    投稿日: 2022.12.30
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    一つのことを明らかにするのって簡単ではない、、 それにしても自分の精神年齢が中学生から変化してないのではと心配になる。 心情を描くのがうますぎる。

    1
    投稿日: 2022.11.29
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    中学生ってこんなに幼かったっけ? 中学生ってこんなに残酷だったっけ? と思いながらも、昔からイジメはあったけど、ここまで深刻化してなかったのは何故だろうとも思う。 世界の狭い地方都市ならではの悩みや、居心地の悪いコミュニティが手に取るようにわかる。 最後の最後までわくわくしながら読み進めたが、エンディングの物足りなさは消化不良すぎる。

    0
    投稿日: 2022.10.29
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    読むのが辛い。辛いくらい凄い。視点変化のスピードにしばらく酔ったが、慣れてくると其々の書き分けが逆に思考を深めてくれる。どうするのが正解なんだろう。相手にしたくないけど、それもダメなんだよね。

    0
    投稿日: 2022.10.20
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    中学生のいじめを扱った作品。 ただ、誰の目線というのでもなく、それぞれの視線で書かれている。 同級生の名倉が学校の木から落ちて亡くなっているのが見つかった。 自殺か事件か…当日、一緒にいた同級生4人が名倉をいじめていたという理由で逮捕・補導される。 2人は13歳で補導、2人は14歳で逮捕という大きな壁がここで示される。 いじめた側の親は本人たちを信じる一方で自分勝手な考えを展開させていく。 誰もが自分のことにしか頭が回らない。 人が亡くなっているという意識が誰からも感じられない危うさ。 真実を語らない4人と同級生も、何かを履き違えている。 真実を隠すのは幼さなのか? 言い様のない不快感が終始まとわりついてくるようだった。 2022.5.8

    0
    投稿日: 2022.05.08
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    古本市で購入。 関東の地方都市(実際には熊谷、越谷あたりか?)の中学校で起きた転落事故。 親から「まだ帰宅していない」という電話を受け、校内を点検していた教師が見つけたのは校庭に生えている大きな木のわきで転落したと思われる形で動かなくなっている生徒の姿。 転落した少年は地元の名士の一人息子でテニス部に所属、テニス部の同級生に状況を確認するが歯切れが悪い。 事故か殺人か、いじめがあったのか? 多少のネタバレになるが(数行改行します) 湊かなえ張りの「嫌ミス」小説。

    0
    投稿日: 2022.05.01
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    死体発見から始まるり読めた。 遺族と警察と学校の大人たちがそれぞれの考えでじたばたしてるのも滑稽だった。 お金持ちだったら下手だろうが部活で良いウェアやラケット持つと思うので、そんなことで悪目立ちする地方の中学生社会だるいな。 瑛介が良いやつだったけど、人の罪まで被るタイプの中学生、将来損な事が起きそう。

    2
    投稿日: 2022.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    名倉君が1人三役やっているところ、安藤さんが「今日はこっちの名倉君か」と思ったところは戦慄した。今で言う発達障害ぽいところがあったのかな。これから藤田君どうなるんだろう。いじめ加害者の親が遺族に謝ってないけど、まあ、そんなものか

    0
    投稿日: 2021.12.07
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    中学生の瑞々しい残酷さと愚かさ、そして教員たちのしょーもない校内政治には苦い気持ちにさせられた。それにしても、加害生徒の親…そりゃ我が子が可愛いだろうけど、ここまで攻撃的になるもんだろうか? そういうところも含めて、立場が変われば見える世界がこんなに違うんだということが鮮やかに描かれていて、パワーのある作品だと思いました。

    1
    投稿日: 2021.09.05
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    群像劇系、登場人物の視点を通じて謎が少しづつ解きほぐれていく小説。死んでしまった子の性格というか人格が、なんかいじめられても仕方ないと思わせさせられるような描かれ方で、とても不憫でやるせない。ひどくね? いじめるほうが100%悪いのに、そうではないと言いたいのかしら?そうではないこともあると言いたいのかしら? しかし一方では子供失くしてるのに、もう一方で生きてる子供の濡れ衣を晴らすことだけしか考えてない、死んだ子への哀悼の念もない大人の存在も、こういう人いそうなだけにこれまたやるせない。 現実の耐えられない重さをこれでもかと突きつける小説。なんか読み切ってどっと疲れたよ…カタルシスみたいなものがまったくない。後味悪いと言い切れないモヤモヤが残る。真相はわかるけど、物語の中で登場人物、とりわけ被害者の母は真実を知ることができたのか、それが心配だよ…!

    1
    投稿日: 2021.08.28
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    夢中になって最後まで読んだ。名倉祐一が何故亡くなったのかは分かったが、登場人物がこれからどうなっていくのかは書かれていない。それが良い。一つの事象に対し、登場人物それぞれが違う感情を抱き絶対に分かり合えない描写も秀逸。中学時代の残酷さや青臭さを思い出しながら読めた本。とても面白かった。

    1
    投稿日: 2021.08.11
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    最後まで重い話だった。 いじめられていた生徒が死んだ時 どのような状況になるのか。 子供とその親の視点がメインで 丁寧に書かれていてそれが逆にリアルな感じで…。 「子供っていうのは残虐性が誰しもあって、長じるにつれ、徐々に消えていくものじゃないか」 すごい印象に残った言葉だった。 中学生はまだ発展途上。 だからいじめによる善悪の重さを しっかりと把握することは難しい。 大人になるにつれて分かってくる。 だからいじめという問題を無くすとなれば、 いかに「残虐性」を無くしていくか という本質的なところも視野に入れる 必要もあるのかなと感じた。 終わり方はスッキリとした感じではなかったが、 個人的にはこういう終わり方でも悪くないな。

    0
    投稿日: 2021.07.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    分厚いけど続きが気になるからさら〜っと読めた 中学校のいじめの話 1人の生徒が学校内で死体で発見されたことからストーリーがはじまり 加害者の生徒達、その親、被害者の親、先生、警察、検事、記者の目線で進んでく 最後の最後に真相がわかるけどすっきりとした終わりではなくどんよりとしたやるせない気持ちになった 藤田はいい仲間達のおかげでどういう経由で名倉が亡くなったかバレることはないと思うけど、自分から証言して欲しいって思った いじめの首謀者だと思われてた坂井と市川は正義感が良くていい子達で、過去にいじめられてたから絶対いじめに関わってないって頑なに訴える親を持つ藤田は卑怯で死んだことに一番関わってて、金子はまじで全然何もしてなかった(ストーリーにも特に出てこないけど) やっぱりいじめられる人って何かしら原因あることが多いのかなって思わされるほどいじめられっ子の名倉がうざかった

    0
    投稿日: 2021.06.28
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    この作品は、何度か手にとり、また今度にしよう…としていて、やっと読みました。なぜ躊躇っていたのかというと、“いじめ”のワードが辛そうだったから。 なんといっても痛ましいのは、亡くなった少年であり、子を失った親である。 しかし、加害者とされる子供たちの親の心情も、子を持つ身としては分かる。『親は誰しも自分の子供が一番可愛いのだ』 この「沈黙の町で」という題名から、地方都市の体質とか、そういう問題が絡んでいくのかな?と思いきや…大人達は、多少の利害関係や対処について食い違いがあれど、しごく真っ当です。 それよりも《中学生》という、とても半端な時期、子供と大人の間であり、異性を意識し始めたり、集団での自分の立ち位置を強く意識したり、空気を読むことを考えたり、、、。そして、大人には、親であっても、ましてや警察に正直に話すわけもなく、嘘をつく。 『ひどいいじめは、中学生が一番だ。高校生になると手加減するし、同情心もわく』『中学生の三年間は、人生で一番のサバイバル期だな』 そういう面もあるかも…と思う。集団って…残酷で怖い。 いずれにせよ…亡くなった子の母親の言葉が胸を打つ。 『人間って命があれば、いくらでも取り返しがつくものなのね。でも、死んじゃうと本当に取り返しがつかないの。』 先が気になり、グイグイ読んでしまい、ラストは読み手には真相がわかるけれど…なんとも、やるせない気持ちで読み終えました。

    0
    投稿日: 2021.05.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分に悪意が向けられた時の女子中学生のショックの描写が秀逸だった。男子中学生はひとりよがりの正義感で警察を混乱させ、遺族に寄り添ったかのように見えた生徒は最後まで本当のことを言わない。多くの生徒が名倉をけしかけたがその場にはいず、藤田は頭を打ったのを目撃したが逃げ、市川はそのすぐ後に市川から聞いたのに駆けつけなかった。親たちは本当のことを知ろうとせず、中学生は真実を話すことの大切さに向き合わなかった。すごく嫌な話。

    0
    投稿日: 2021.02.27
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    北関東のある町で、中学二年生の名倉祐一が転落死した。事故か、自殺か、それとも…?やがて祐一が同級生からいじめを受けていたことが明らかになり、家族、学校、警察を巻き込んださざ波が町を包む…。地方都市の精神風土に迫る衝撃の問題作。

    0
    投稿日: 2021.01.30
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    読み応えありの一冊です。 イジメがテーマなだけに読んでいる間中、不快な気分になりますが内容はノンフィクションかと思えるくらいリアリティに溢れています。 とにかく登場人物の描写が丁寧で素晴らしいです。 グループ内の子供達はもちろん、それを囲む親達、先生、検事、弁護士 それぞれの顔が浮かんで来るくらいの人物描写でした。 イジメの被害者、加害者とは簡単に言えないくらいの背景で色々な事を考えさせられます。 読後感は決して良くはないけれど一気に読めた作品でした。

    1
    投稿日: 2021.01.27
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    いじめを受けていた中学生が転落死という、センシティブなテーマを学校、親、同級生など関係する様々な人の気持ちから描いた。いじめられる子にはそうなる理由もあると思ったりもした。身近にはこのような状況にはないが、色々と考えさせるストーリー展開だったのは作者の素晴らしい構成力によるものだろう。

    1
    投稿日: 2021.01.21
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    とある中学校で生徒が転落し死亡した。事故なのか事件なのか、子供達を聴取していく中でいじめがあった事がわかる。友達を庇ったり、友達を裏切ったり、経験が浅いことからくる浅はかな考え。中学生とは一番不安定な時期なんだということが描かれている。名倉君のひとりごとは何だったのか、最後にもやもやした気持ちが残った。

    1
    投稿日: 2020.11.30
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    ★★★★ 今月10冊目 奥田英朗、この人はどんだけ作品の引き出しあるんだろ。 イジメから死んだ少年の実際を暴いていく。 おもろい

    0
    投稿日: 2020.11.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    P55 中学生は残酷だ。恐らく人生で一番の残酷期にあるだろう。それは自立への過程で噴き出る膿のようなものだ。みながもう大人には泣きつかないことを知り、自分たちの生き残りゲームを始める。

    0
    投稿日: 2020.08.11
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    登場人物、各々の視点から事故?(と私は思ったのだけど)が浮き彫りにされて、その都度都度でいろんな想いになった。…それでもこの街で生きていかなければならないのかぁ。やっぱり奥田英朗さんはいいなぁ〜

    8
    投稿日: 2020.07.16
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    中学2年生は、精神的にも肉体的にも見た目にも大人として扱われることはないが、中学生活には慣れ、親に反抗したり、根拠のない自信を持ったりと、本人はすでに大人気分を持つことがある。受験勉強を意識するのも時期尚早なので、緊張感も責任感も薄い。そんな気分のまま大人になった人のことを「中二病」と呼ぶ。 と、そんな言葉を思い出した。今では死語だろうけど。 地方都市の小さな町の学校内で中学2年生の死体が発見される。自殺か、事故か、他殺か。被害者の体にはイジメを受けていた跡が残っていた。そして、被害者の同級生たちに容疑がかけられる。 教師や親、刑事、新聞記者、検察官、弁護士など周囲の大人たちは意見を言い合いながら行動するが、中学生たちは彼らに振り回され、自ら発言することすらできない。そのため、本作品は回想シーンが、物言わぬ中学生を代弁する。そして、中学生たちは大人の知らない世界と友人とのつながりをとても大切にしていたことが明らかになる。 事件を解決する特定の「探偵役」はいないが、しだいに事件の真相が明らかになっていく展開はスリリングで、これぞエンターテイメントミステリー。 結局、小さな町を沈黙させた事件は解決するが、学校や住民たちにはずっと疑心暗鬼が消えないだろう。

    7
    投稿日: 2020.07.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    保護者、教師、子供の狡さ、1人の人間がよくもここまでいろんな立場の人描けるねと思った。なんか読んでる前半は子供たちしゃべらないしほんとにいじめて名倉くんかわいそうにって感じだったけど、読み進めるにつれてキャンプの時健太が渡辺ゆかりにサインをもらって喜んでるところとか、坂井が気絶した名倉助けてあげるとことか、いい子じゃんってなった。金持ちで鼻もちならん態度とってたの名倉じゃないが~みたいな。教師に対する子供の気持ちもわかるし、この人らいじめてないのに何で加害者の親にこんな人生めちゃくちゃにされないかんがよあほか。名倉も井上のことは言わずに二人のせいにして、ぶっつぶすぞってかんじだ私なら。背中のあざとか、このキャンプちくったせいじゃんこれは当たり前だ。しかも幕切れがすごい、そこ!?ってなった。すべてが明かされてシャッて終わった。

    0
    投稿日: 2020.05.23
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    中学2年の男子生徒が学校内で転落死した。自殺か事故か事件か。検視をしたところ背中に多数の内出血があったことから事件性を疑い、捜査の結果4人の生徒が被疑者として浮上、うち2名は14歳だったため逮捕、あとの2名は13歳だったため補導というのが扱いに。警察としては殺人罪も視野に入れて取り調べを進めるが被疑者4名とも黙秘を続ける。全校生徒に対する事情聴取を警察がする一方、担当となった若手検察官は被疑者との信頼関係を築き新たな事実を掘り起こしていく。 中学生という子どもでも大人でもない世代との向き合い方の難しさ、教師たちの生徒に対する姿勢、遺族の立場、被疑者たちの保護者のエゴなど、一つの事件を通して様々な側面を深掘りしている。 最初はいじめによる未必の殺人を証明していくような話かと思っていたが、想定以上に深かった。 読んでいる側は大人なので、真実を全て話せばいいのにと思うが、誰かをかばうとか自己保身が裏目に出るとか、大人でないからこその部分がある一方で子どもではないからこその部分がある中学生をうまく描いているがゆえに、事件は混迷を極めていくのが読み終わった後で理解できた。 また、自分の子を守る信じるという被疑者の保護者たちも一見すると客観性の持てない親バカに見えるが、これがリアルなのだと思う。 事件の決着は読者におまかせというのが唯一残念なところ。

    4
    投稿日: 2020.02.10
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    ある中学生の遺体が校内で発見された。事故なのか事件なのか…。 彼がいじめの被害者だったことが分かり、少しづつ真実が明らかになっていく過程が、中学生の心理を上手く描いていて読みごたえがあった。 被害者遺族、加害者、加害者家族、教師、警察、検事、弁護士、クラスメイト、それぞれの立場の視点で描かれるが、被害者の視点が見られず、彼が何を思って行動していたのかが最後まで不明だった。そこはそれぞれで考えろ、ということか。 いじめられる方にも原因がある、というケースだと思うが、彼の視点が描かれていたら、また違った解釈もあるのかも。

    0
    投稿日: 2019.12.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これは面白かった!側から見ているのと事実はこんなにも違う。最初はいじめの容疑者だただただ悪いやつだと思ってた。ただ、加害者側がこんなに人格者であることなんて本当はほとんどないんだろうな。

    0
    投稿日: 2019.09.30
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    イジメられっ子の学校内での不審な死を巡る、人間ドラマ。群像劇形式で、イジメっ子、その親達、被害者の親、警察、教師、マスコミのそれぞれの視点から事件前後の様子が描かれる。 奥田英朗は色んな作品があるけど、 この作品は間違いなく真面目な力のはいった力作 死の原因の真相究明という本筋は有るものの、 イジメを取り巻く問題、イジメられる側、イジメる側の、微妙な空気感がリアル。 あとは加害者や被害者の親視点がとても人間くさくて、 記憶に残った。みんな自分の子供だけが助かれば良いと思っているんだなと。 大人になると解るけど、 ホントに学校は特殊な空間、 自分がそこに戻ることは無いけど、 いつか子どもが出来たときに向き合い方が問われる日がくるのかもしれない。 年頃の子供がいる親御さん達に是非手にとってもらいたい一冊。

    2
    投稿日: 2019.09.09
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    中学校の校内で、中学2年の男子生徒の死体が発見された。2階建ての部室棟の屋上から転落したものとみられた。 その男子の背中一面に、つねった跡のような内出血がみられたため、その男子はいじめられていたようだった。 死んだ男子とよく行動を共にしていた4人の男子生徒が、いじめの加害者として傷害容疑で逮捕される。 自殺か? 事故か? 殺人か? 警察も教師も被害者家族も、真実をつきとめようと加害者生徒たちに事情を聞くが、自己表現が未熟な中学生は沈黙を続ける。 それと並行して、死んだ男子生徒と、加害者生徒や、他の生徒たちとの学校生活が語られていく。死んだ生徒のKY(空気が読めない)ぶり、加害者生徒が時には他のいじめからかばっていたり…。 いったい誰が鍵をにぎっているのだろう? 生徒たちの沈黙から真実を聞き出すことはできるのだろうか? いじめる側、いじめられる側、それぞれの親の心情、教師たちの右往左往ぶりがよく描かれている。 わくわくしてどんどん読み進むけれど、最後の最後は…。 あれ? どんでん返しや、一件落着を期待したのに、あまりにあっけなく終わってしまった。 がっかり。

    0
    投稿日: 2019.02.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中学生のいじめから生じた転落死から始まる物語である。中学生は狭いコミュニティの中にいるので、仲間との調和が基本だ。そこからはみ出るものは、中学生独自のルールで省かれる。それがいじめと呼ばれるものであろう。いじめは彼ら独自ルールの中で正当化され、遊びの一環とも取れるため、彼らにいじめの実感はない。書籍にもあるが、やはり彼らは高校生になるまでは限度が分かるほど分別がつかない。 いじめられる学生にも原因があるように思われる記述があるが、狭い世界の中であるがゆえに生じる中学生ならではの世界観なのであろう。 特に加害者、被害者の親は子供のことを思い、身勝手になる。それは仕方ないことなのだが、自分の子供から日頃よりどういう人間になるべきかを語り、行くべき道を示すことが大事であることを気付かされた。 最後まで犯人がわからないスリリングさもあり、登場人物さまざまな点から見る展開はおもしろい。ただし、画期的な展開はないため星は3つ。

    0
    投稿日: 2019.01.06
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    ある郊外の中学校で、生徒の遺体が発見される。事故か、自殺か、それとも....というストーリーは『ソロモンの偽証!?』とはじめ思った(解説にも書いてあったけど...)。事件発生後から様々な人物視点で物語は進行していくが、正直中学生の章が出てくるまで、退屈感があった。いつもの奥田作品のテンポの良さがまるでなくて....。中学生たちを描く章に入ってからは、随分読み進めやすくなり、結構リアルな中学生像が怖かった...!そして自分も中学生の頃には戻りたくないわ~と改めて思った。とりあえず、暗くて後味の悪い話....

    0
    投稿日: 2018.10.01
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    虐められるにも訳があるという感じだな。キャラが強い人が多いから、どんな過去からその性格か形作られたのかとか、もう少し人物を掘った方が好み。

    0
    投稿日: 2018.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3.5 北関東の地方都市で中学2年生名倉祐一の転落死。同級生からのいじめ、事故か自殺か。加害者、被害者家族、加害者家族、学校、警察、新聞記者、弁護士を取り巻く各々の思惑や拝啓が表現されており、各々の立場と思惑・言動に一理ある点が多く、考えさせられる内容。後半になるにつれて、加害者生徒や名倉の状況がわかっていき、中学生にありがちなかばいだったり、いじめられるような名倉の言動や裏切りなどがわかってくる。実際は事故に近いような状況であり、加害者達にも情状酌量の余地がある一方で、遺族の悲しみもある。一方的にどちらが悪い話でもなく面白い。 中学生は鳥の群れのようなもので皆が飛ぶ方に自然と体が反応し考えもなくついていく、被害者家族は本当のことを知りたいと言っておいて本当のことを教えると怒り出す、死んだ家族に不名誉なことは少しも認めたくない、加害者家族は自分の子供をどこまでも庇って反省しない、親は誰しも自分の子供が一番可愛く、皆が皆理屈と感情のせめぎ合いを続け容易に真相が見えてこない。 学年主任中村の危機管理能力がなかなか。緊急時には自分で考え具体的かつ的確な指示を出す必要がある。「名倉家の訪問時、学校はなぜいじめを放置したのかなじられた。いじめの有無・つながりを含めた真相がつかめていない段階で、迂闊な謝罪をすべきでない、哀悼の意を示すに留めるべき。通夜の席でもなじられるかもしれないが耐える必要がある。マスコミ対応も同様である。」いじめっ子の母親達の盲目的な過保護なまでに自身の子供を守ろうとする思いは、重要なようで行き過ぎなようでバランスが大事なのだろう。名倉家からの全校生徒への作文要求に対しての学校側の対応は自分の置き換えると対応が非常に難しい。中村の対応案は、いじめについて学校側で改めて調査し市教委や名倉家に提出し捜査は警察に任せ学校は見守る立場。遺族の要求はエスカレートするため作文は断る。遺族の怒りを鎮めるために何かするのは終わりがなく根本的な解決にならない。一方で、校長や教頭は警察や市教委に水面下で伺いを立てたい。責任逃れが見え隠れ。結局作文は書かせることに。その他の保護者からのクレームと名倉家に見せることへの反発など。月命日に名倉家への訪問に対する加害者両親達と弁護士での会合。弁護士は3か月くらいはやらせるように。作文は見せてもよいのでは。とのこと。4家族一緒の対応が原則。 中学生のいじめを扱った作品としては、陪審裁判スタイルの宮部みゆきのソロモンの偽証と並んで、周到に計算されたプロットと巧みな構成の洗練を極めた群像劇として社会性と現代性を掘り下げた本作品も傑作の1つ。

    0
    投稿日: 2018.09.09
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    ティーンエージャーの親として、ためになりました。そう、こどもと、おとなの間の「ややこしい」時期ってこうなんだよね、確か自分もそんな感じだった。とかいちいち頷けた。そう、黙っちゃうのよ。。。

    1
    投稿日: 2018.06.08
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    中学二年名倉祐一の転落死から始まる。 事故か事件か、自殺か。 浮かび上がるいじめの事実。 現場の先生たち、刑事たち、被害者の家族、被疑者の家族、学校の生徒、担当の検事。それぞれがそれぞれの立場で考える作品です。 奥田氏の群像劇は面白い。

    0
    投稿日: 2018.04.09
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    北関東の地方都市で起こった男子中学生の転落死。自殺なのか事故なのか、それとも殺人事件なのか。あらゆる視点から真相をあぶり出す手法が鮮やかな衝撃の問題作。 年齢や性別に関係なく人間は未熟だ。だから、自分が守ると決めたもの以外は平気で裏切ったり排除する。地方都市が舞台なので、人間関係のしがらみがより複雑化するが、何処で起きようと根っこの部分は同じであろう。唯一、本音を語らない坂井少年の真意がとても気になる。

    0
    投稿日: 2017.12.12
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    さまざまな人間の視点で物語が語られ、自分の視点が揺さぶられる。自分のものの考え方を見直す感覚が、反省だったり恥ずかしい気持ちだったりさまざまに立ち上がるところが好ましい。

    0
    投稿日: 2017.11.26
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    猛スピードで読了。 すごい作品だった。。 奧田英朗さんの作品は、伊良部シリーズ、真夜中のマーチ、家日和を読んでいて、好きな作家さんなので ハズレはないだろうくらいの感じで読み始めたのですが 読み始めたら、読める時間は全部読む勢いでした。 ここ数日テレビ見てない。 作品は田舎町の中学校で起きた生徒の死から始まります。 いじめられっ子だった名倉佑一と、彼をいじめていたとされ逮捕された少年4人、 その親たちや教師、警察、検事、新聞記者などの周囲の大人たちについて描かれています。 最初の方、というより7割は大人の心情が描かれていて なかなか子供の世界が出てこないので 真相は最後までわかりません。 ただ、読んでいるとどんどん 名倉に対して「あぁ、こういうやついたな」という気持ちが芽生えました。 途中なんてイライラしてた。 「いじめは、する方が一方的に悪い。される方は悪いところなんて何もない」とよく言われるけど 本当はそうじゃないことも多い、される方も悪いんじゃないの?って思える状態があることは たぶん子ども時代を振り返れば誰しもわかることだと思う。 この言葉はいじめられっ子を立ち直らせるために言う励ましの言葉であって、 本当にいじめられっ子が鵜呑みにして変わらなければ たぶんどこにいっても同じだと思う。 うちの小学校にも名倉を思わせる双子の男子がいて、 その二人は「お前はいじめられたくてそうしてんのか」と言いたくなるようなことを結構していた。 わたしは小さい頃は特にやたら正義感が強かったので いじめられている女子を見ると声をかけたり、一緒にいたりするタイプだったけど、 その二人については助けてやる気も起きなかった。 いじめていたのは男子だったけど、女子も遠巻きに見てたし、普通にバイ菌扱いはしてた。もちろんわたしも。 男子のいじめは女子と違って暴力や危険を伴う。 主犯格が狂ったやつだったのもあって、そこまでやるかっていう嫌がらせは結構してたなぁ。 でもその双子にしても、いじめっ子に対して、敢えて歯向かったり強がったりして 「そんなこと言わなきゃいいのに」ってことをよく言っていた。 親も勉強も運動もできない我が子を、私立の小学校になんて入れなきゃいいのにと思ってた。 公立だったらせめて勉強だけでも普通でいられたのにと思ってた。 もちろん知ってはいたけど、男女のいじめ方の違いも実感した。 女子のいじめは簡単に言うとイケ好かない女子が対象となる。 だいたいはモテる子、かわいい子が、男好きとか性格悪いとか言われていじめられる。 だから話せば普通の子。(たまに「そういう発言はやめた方がいいよ」とかは言ってたけど) でも、男子のいじめは、弱いものいじめ。弱肉強食感が強い。 力社会で底辺に来る子どもがいじめられる。 前述の双子も白くてひょろくて気弱だった。 さらに問題なのは、加えて親がうるさいということだと思う。 「うちの子は何もしていないのに怪我をさせられた」とか 「うちの子はいい子なのに何故いじめられないといけないのか」とか学校に訴えに来て 翌日さらにいじめられるなんてのはザラで、 なんでエスカレートするのがわからないんだろうと不思議だった。 いじめられっ子の親には、我が子がいかにもいじめられそうな特徴を持ってるということがわからないのだろうか。 運動を習わせるとか、みっちり勉強させるとか、一発逆転を狙いに行けばいいのに そんな努力はせずに学校に文句を言いに来る。 そんなもん学校はへぇへぇって聞くかもしれないけど、 子どもには知ったこっちゃなくて、単にもっといじめられるだけなのに… でも、かわいい我が子を前にすると思いつかないのかもしれない。 本作でも、親達はみんな子どもには盲目だった。 この作品は上みたいなきれいごとを現実でねじ伏せてる作品だと思う。 現実ってこうでしょ?と。 名倉の心情を一切書かずに終わったのもあって、本当に現実だけで終わった。 あと、少年犯罪を勉強していた者としてはっとさせられたのが 同じ中学二年生でも、13歳と14歳では違うということ。 片方は児童相談所で、片方は逮捕。これは大きい。 大学生の時気づいてたかなぁ。。気づいてなかったかも。。 これに関しては、学年で区切るのが公平なのか、生きた日数(つまり年齢)で区切るのが公平なのか… 年齢で区切るのは不公平にも思えるけど 3月生まれとしては学年の方が不公平にも思えます。 4月生まれと3月生まれではほとんど1歳くらい差があるから、その分何かしらの経験値が多いはずだと言えなくもない。 それにしても、これを新聞で連載してたのがすごい。 いじめられている子どもや、その親、ましてやいじめを苦に自殺した子どもがいる親が見ているかもしれない新聞で こんな作品を書いて連載した奥田英朗さんも編集者もなかなか肝が座ってるなぁ。。

    0
    投稿日: 2017.10.26
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    あまりにも残酷なお話。 都会だけではない、田舎のほうが却って酷な事態に。 最初に結末が分かり、それぞれの想いを回想していく流れ。んーどちらの言い分も分からなくないが… ラストシーンのあまりにも薄情な描写に言葉を失いました。

    1
    投稿日: 2017.09.14
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    男子中学生のいじめからの転落死。事故か、自殺か。いじめ加害者本人の子供たちとその親、いじめ被害者の子の生前の思いと、その親。そして周りの親や同級生、他の生徒の関心。切なさがあったな。やるせなさというか。そして、同じ中学2年生でも、13歳と14際では同じいじめの暴行罪でも、保護観察処分と刑事罰での逮捕と違いがでる。年齢で14際からは逮捕できると日本の法律ではやっているが、誕生日で年齢が変わる中学2年生の子らは、その時点での年齢で決まる。同じ罪を犯していても。これはどうなのだろう。だったら数え年とかにしないと不公平なのでは?と感じた。法律も完璧ではないのである。

    1
    投稿日: 2017.05.24
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    中学2年生の呉服屋の一人息子が部室の屋上から転落して死亡。もっぱら男子生徒の肝だめしに使われていたその屋上には5つの足跡。やがて彼が日常的にいじめを受けていたことがわかり、ケータイの着信履歴などから同じクラブの生徒2人が逮捕、14歳未満の別の生徒2人が補導される。事故なのか事件なのか。 噂がすぐに広まってしまう地方都市。580頁のボリュームの中、被害者および加害者とされる男子生徒とその母親たち、男子生徒を心配する女子生徒、クラブ顧問の教師、教師と同じ高校の出身である刑事、新任の検事など、立場の異なる人々それぞれの視点からつぶさに描かれています。どちらかに肩入れしているわけでもなく、ただ起こったことを淡々と、大人に関しては心情も交えて。 いじめの問題には関係者の誰もがすっきりする解決策なんてないと痛感させられます。読後は絶望感が漂い、少年と一緒にとぼとぼと道を歩く自分の姿すら想像しました。偽善に終始しないから余計につらいけれど、一読に値する作品だと思います。

    0
    投稿日: 2017.04.26
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    いじめの真相はともかく、いじめがあったという事実に対しての周囲の捉え方はどれも現実感があった。 いじめは子供たち同士の問題で、法の裁きや大人の介入ではどうすることもできない現実があることを思い知らされた。

    0
    投稿日: 2017.04.09
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    被害者は圧倒的に被害者で、加害者は絶対的に加害者だ。 法的には何があってもそれは変わることはないだろう。 けれど、表にあらわれたものがすべてではないとしたら・・・。 いじめられていたと思われる一人の男子中学生が死亡した。 事故とも、事件とも、どちらとも取れるような状況が推測された。 目撃者はいない。 どんなに偉そうなことを言ったとしても、中学生は中学生でしかない。 大人ぶっても、経験も足りず、精神的な強さもない。 周りに流されることだって、感情に押さえがきかないことだって、日常にはあふれている。 当事者の親だったら腹が立つんだろうな・・・とか、歯がゆい思いをしているんだろうな・・・とか、事実はどうなんだと問い詰めたいんだろうな・・・とか、いろいろ考えてしまった。 親に何もかも話す中学生なんているとしても絶滅危惧種と同じようにほんのわずかだろう。 話せばラクになる。話してくれさえすれば助けてあげられる。 それは親の、大人の考えだ。 話したってどうにもならない、話したくても話せない事情だってある。 子供には子供の考えがあるのだから。 親たち、とくに母親の子供に対する感情の激しさには圧倒された。 時間が過ぎ自分自身が大人になれば感謝することもあるかもしれない。 でもリアルタイムで目の当たりにしたら、ただ単純にうざったいだけだろう。 ひとりの中学生が墜落死した。 被害者の親。加害者の親。教師。刑事。マスコミ。 それぞれの大切なものを守るために彼らは行動する。 その行動によってあらたに傷つく人間がいることを無視するように。 ある意味完結しているようなラストでもあり、始まりのようなラストでもあると感じた。 ひとりの中学生の転落死。 映画化で話題になっている「ソロモンの偽証」ときっかけは同じであるけれど、まったく違う印象を残す物語だった。

    5
    投稿日: 2017.03.23
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    名倉、4人の男子生徒、その保護者、主要人物のほとんどが読み始めた時の第一印象とラストでは正反対だった。 リアルすぎて、4月から中学生になる娘のことが心配になった。(>人<;) 自分の時もそうだったけど、中学時代って、一番残酷なんだよな。。

    0
    投稿日: 2017.03.16
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    全体の構成や、物語の進み方とか、読み手を飽きさせないいい小説 ただ、後から思うと別に出てこなくていい無駄な登場人物が多かった 何かのカギを握るまたは、中心的になるのかと思っていた人たちは、最終的になんでもなかったことに気がつく

    0
    投稿日: 2017.02.22
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    お、面白かった…! って書くと語弊があるけど。面白おかしいの面白かったじゃなくて、夢中になって読まずにはいられなかったという意味で。びっくりするくらい面白かった!まいった! 田舎の中学校で、生徒が死んだ。部室棟の屋根から落ちたと思われるそれは、果たして事件か事故か。死んだ生徒と関係が深かったと思われる生徒が話す内容は真実なのか。 シチュエーションだけ見るとソロモンの偽証が一瞬頭を過ぎるけど、切り口が全然違う面白さ。思惑の矛先と、感情を寄せる先。ラストにどんでん返しがあるわけじゃない。順を追って真相に迫っていく。そこに意外性はないのにこの面白さ。 伊良部先生しか読んでこなかったのがもどかしい~!他の著作も買います…。

    4
    投稿日: 2017.01.28
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    奥田英朗は物語の終わらせ方がとても独特だと思う。なんでそこ?もっと読みたい。そう読者に思わせることが、多分次の奥田英朗の作品を読みたいモチベーションに繋がってるのかな?乱暴に言えば、スッキリしない。伏線を回収仕切っていない中途半端な終わらせ方ではないのだけど、ミステリーで言えば、犯人はあなたです!と宣告され、犯人が分かったところで終わり。でも、そこで終わってもいいように、一応の収束は後半で描かれている。いじめに加担したと思われる坂井と市川が、100%無罪ではないというところもリアルだ。灰色を描くのがとても上手い。そして、名倉のしょうもなく人をイラつかせる空気の読めなさとか、よく描写できるなと、人間観察力に刮目だわ。

    0
    投稿日: 2017.01.09
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    奥田作品は、読ませる、引き込ませる、けど最近の作品はなぜか唐突で終わってしまうものがありますが、これも!

    0
    投稿日: 2017.01.04
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    重たい話。つい、いじめられる夢をみてしまった。本当に悪い人間はいない。突き放したような最後が衝撃的。

    0
    投稿日: 2016.11.19
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    現代社会で、クレーマーが最強。次はマスコミ、報道。警察はどちらに対しても弱い。 教育機関は、子供を正面から見ようとしていない。父兄を恐れて、自信を持って教育が出来ない。

    0
    投稿日: 2016.11.04
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    重かった・・・。なかなか読み進められなかった。いじめに進んでいく過程や心情がすごくリアル。被害者本人からの視点が一切ないのは意図的?バランスが悪い気がしました。真相は明らかになったけれど、だからって誰も救われないよなあ。

    0
    投稿日: 2016.10.20
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    中学校の校内で生徒が死んでいるのが発見された。 自殺か事故か、はたまた殺人か。 重たいテーマが重たい雰囲気で進んでいく重たい作品です。 ある意味リアルな中学校の世界が描かれていると感じました。

    0
    投稿日: 2016.10.04
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    いじめられていた中学二年生の男子生徒が木から落ちて死んだ。それはいじめが原因なのか? いじめの加害者、その親、死んだ生徒の親、教師たち、警察、検察、マスコミそらぞれの視点から物語が展開する。群像劇。 最初は、どうせいじめの加害者たちが結託して、周囲の大人を欺くストーリーだろうと思っていたが… 読み進めるうちに流れが変わってきて、どうもそう単純ではない事が分かった。 中学生のリアルな精神状態があからさまに書かれているので、否応なく自分の中学時代を思い出しながら読んでしまう。 物語は唐突に終わるが、私はもう少しよみたかった。真相は解明されるものの、被害者の親や加害者の親の関わりとか、最後まで見たかった。

    0
    投稿日: 2016.08.28
  • 白黒は簡単に判断すべきでない事を痛感した。

    社会問題にもなっているいじめ、あるいは自殺事件を、多面からとらえて立場による考え方の違いがそれぞれ納得出来るように展開していき非常に面白かった。物事は現象だけで真理を知ることは出来ない。 教えられた気がします。

    0
    投稿日: 2016.08.09
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    とあるちいさな町の中学校の校内で転落死した生徒をめぐって色々な立場からの視点で描かれる。 それにしても、もしこういうことが起こったらと考えて、親にしても子どもにしてもどの立場にたっても俯瞰でみても想像できる感情がリアル。 中学生という年令は未完成で純粋で残酷。 思いもよらない勢いになる集団心理の恐ろしさ、思ってもいないほどというのは何かの拍子にどんな状況でも起こりうる。 一気読みできる。

    0
    投稿日: 2016.08.04
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    朝日新聞に連載されて、当時打ち切り説が囁かれた本。文庫になっていたのですね。 中学生の転落死、という設定はソロモンを思い起こさせますが、全然違った奥田さんらしい恐ろしいストーリーです。 ソロモンに出てくる中学生は何処か出来すぎのようなところがあったけれど、こちらは中学生の未完成さをリアルに描いていて、ゾワゾワとした恐ろしさを感じます。 最初読み終わった時は「えっ?これで終わり??やっぱり打ち切り説って本当なんだ…」と思ったけど、仮に本当に打ち切りだったとしても、これ以上の終わり方はない気すらしてきました。 「ただ、何が起こったのか真実を知りたいだけ」と多くの登場人物が口にしたけれど、真実が全て明かされたラストの、何も解決していない重さがリアルすぎて、暫く放心してしまいました。 さすが奥田英朗。

    0
    投稿日: 2016.07.06
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    30年以上前に田舎の中学校で部活ばっかりやってた私の中学時代でも、周りを見ながら、気を使い、見栄を張りながら、自分を守るために色々やってたもんなぁ〜と、しみじみ思い出しながら読みました。 今は親の気持ちにもなれるし、大人の目線でも読めて、面白い作品でした。 中学校って、ある種の社会で、友人との関わり方が変わる時期。それぞれの家庭の事情や、先輩後輩の関係性、伝統やしきたり…まるで大人の社会を映し出しているよう。

    0
    投稿日: 2016.06.25
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    題材はいじめ いじめられる側にも問題があり、虐める側にも言い分があったということか? 難しく、あいまいな結末。 この後、この町はどうなっていったのだろう? ちゃま夫の母親は? 加害者達の今後は?家族は? 一番の疑問、男気のかたまりである坂井君はなぜポカリをおごらせ続けたのか?

    0
    投稿日: 2016.06.14
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    中学校で起きた生徒の転落死のお話し その生徒はイジメられていたのか、事件か事故か 生徒、教師、警察、検察、新聞記者、遺族、生徒の家族、様々な立場の視点で過去と現在を行き来しつつ描かれる こんな小説って宮部みゆきが書きそうなイメージがあるけどね でも、市川さんの心情とか、堀田弁護士の描写はいつもの奥田英朗だわ 自分の地元はかの有名なマット死事件のところなもので、なんというか途中まではとても重かった ただ、最後まで読むと、「いじめられる方にも原因があるんだよなぁ」とは思った 現代はともかく、昔はいじめられっ子にもいじめられる理由があったんだよね これは自分が加害者でも被害者でも同じなわけで 更にいうと、大人になってもいじめが存在するんだから、子供のいじめだってそりゃぁあるよなと思う 地方都市を舞台にしたあたりが奥田英朗の着眼点 「無理」とか「噂の女」でも描かれていたけど、地方の世間の狭さはよくわかる

    0
    投稿日: 2016.06.02
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    中学校で生徒が転落死 中学生を逮捕 この事件を 警察、検事、先生、生徒、親など 色々な人達の立場で書かれてます。 実際はこんな風にいろんな人達の話を聞かないとわかんない物なんだろうなぁ、と…。 厚い本だったけど、いつの間にか読み終わりました。

    0
    投稿日: 2016.05.17
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    人物描写や設定が丁寧で、最後までぐいぐいと一気読みしてしまった。 ちゃま男がもしかして発達障害?って考えながら読むと不憫過ぎて泣けた

    0
    投稿日: 2016.05.14
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    田舎の中学校の校内での不審死。 被害者側、加害者と疑われる子、親、メディア、警察、検事という 色々な視点、さらには過去にもさかのぼって語られていく うまいな、流石、奥田さん。 ただ、最後、読者として真相はわかったけれども、 この後、この沈黙の町で、どう真実が解明され、そして 子ども・親達がどうなっていくのか、そこまで知りたいよ、 600ページ近く読んだんだし。

    0
    投稿日: 2016.05.01
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    一気読み。人にどんな小説か説明する言葉を考えあぐねていたところに、池上冬樹さんの解説があった。 「暗く激しい万華鏡のような小説」

    0
    投稿日: 2016.04.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分の中学生の頃を考える。 確かに、自分達はもう子供じゃないって思ってた。 だけど、大人かって言われたら大人じゃない。 でも自分達は正しいと信じていた。 確かに中学生は難しい。 大人の価値観には当てはまらない。 大人ではないから、自制がきかない。時に行きすぎた行動を平気で取ってしまう。 良くここまで中学生の生態、その周りの親や教師を描くことが出来たなと感心してしまった。 中学生はある意味恐ろしい。

    0
    投稿日: 2016.04.24
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    中学生の頃持っていた正義とか人間関係とか、少ない経験の中で培ってきた処世術とか、そういうの、すごく思い出した。

    0
    投稿日: 2016.04.24
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    中学生の校内での不審死を発端とした物語は、宮部みゆき著『ソロモンの偽証』が白眉であるが、本作も発端は同様であるが、その後の展開は全く異なる。 『ソロモン…』は、女子生徒が主役になって、不審死をめぐる中学生による異例な校内裁判へと進む、読者にとっても衝撃的なミステリーだった。 対して、本作はいじめの被害者、それに関わった加害者、それぞれの家族、担任教師をはじめとする学校関係者、それに所轄警察の捜査官に、担当の検事までが登場し、それぞれの思惑が絡み合う群像劇となっている。 前半は、一方的に不審死の裏にあるいじめの加害者を追及する場面が続くが、後半は一転する。 事件前の時間と、事件後の時間とが、交互に語られ、真相に迫って行く。やがて、被害者側にも問題があり、加害者とみられた生徒たちにも意外な事実が判明する。 このような作品を読むと、ストレートに正義をふりかざすメディアが報じる「いじめ事件」にも、様々な側面があるのではないかと、ふと考えた。 「未完成な中学生」を、鮮やかに描き出した傑作と言っていい。

    9
    投稿日: 2016.04.14
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    同級生が死んでしまう話。 死んでしまった子はどうしたかったんだろう。 いじめられてると思ってなかったのか 別に辛くはかなったのか。 親達よりも中学生の気持ちがわからなかったのは 年をとったということなんだろうか。

    0
    投稿日: 2016.03.30
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    奥田英朗氏は「最悪」、「邪魔」、「無理」などの作品で緊迫感あふれる群像劇を得意としている作家であるが、この作品はまず、中学校の敷地内で生徒の死体が発見される場面からスタートする。現実の世界でも中学生等のいじめ問題による自殺なども無くならないが、本書は自殺ではなく事故か他殺かの捜査が展開する。未完成な中学生と被害者家族、加害者家族、教師、刑事、新聞記者等の本音と建前が交錯する。

    0
    投稿日: 2016.03.27
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    ある中学校の校内で中学生の死体が発見された。 事故なのか事件なのか。 調べていくうちに4人の同級生が逮捕・補導され、いじめがあった事が判明したが中学生の死と直結するのか…。 私は始め被害者遺族の身になって読んでいた。 加害者側の保護者はやはり我が子が一番。もちろん被害者遺族のことは気にかけていたが、我が子を守ろうと必死だった。だから、どうしても加害者側の保護者に腹が立ってしまった。 でも、4人の同級生をはじめ、生徒たちから彼とのエピソードを知っていくうちに、私が中学生だったら彼とはあまり関わりたくないと思うだろうなと思った。ムズカシイ。 本当に未熟な中学生の生活、考えをいじめを通して見事に書かれた本だと思う。 きっと、彼とは関わりたくないと思ってしまった私もまだまだ未熟なんだろうなぁ。

    0
    投稿日: 2016.03.22
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    さすが奥田先生。読みやすい。 中学生の幼稚なヒューマニズム、真実を語らず人の罪をかぶることが正義と間違えている。 正直で素直である事が良い事だと考える思い込みと一緒だ。 中学の時代を通り過ぎ大人になるにつれ、倫理とか哲学とか真理という大原則から離れていき、自分がやりたい事、表面的な事にとらわれるようになるが、その中でも正直で素直でありたいと思うのは、本当に正しいのだろうか。自由に、やりたいことをして生きていく、そして幸せになること、性であるが間違ってはいないはずだ。

    0
    投稿日: 2016.03.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ある中学校で生徒が転落死した。第一発見者である教師をはじめ、様々な人間たちのリアルな感情を描く群像劇。 中学生の未熟さゆえのもどかしさや、大人の自己中心的な振る舞いにイライラさせられるがそれが逆にこの小説の魅力を引き出している。 誰だって自分は無関係でいたいし、それが不謹慎であると分かっていても早く逃れたいと思っている。

    0
    投稿日: 2016.03.06
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    中学、そして部活特有の〝あの〟空気を思い出す作品。死んだ少年。多分、私もいじめやシカトをしただろう。…にしても、体のデカイ坂井くん。中2にしてあの男気…そのバックボーンを知りたかった。宮部みゆきなら、彼のこうした人格形成まで書ききったんじゃないかと、なぜか妄想。

    0
    投稿日: 2016.03.06
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    中学生の世界をなんと細かく表現してるんだろう。 現実でも中学生のイジメや暴力、自殺がニュースになるのは珍しくない。殺人事件さえ起こる。こんな世界に子どもを放つなんて不安でしょうがない。 その上、無神経で卑怯で他人の神経を逆なでするような行動をとる、そんな人間も存在する。 自分にまともな常識があれば、余計に腹が立って堪えられないかもしれない。 親のしつけ次第で、色んな子どもが育つ。 ただ、大人の世界だってもっと大変だ。 中学校はその入り口。 この話では、 大人の方が自己中心的だと感じた。 我が子を庇いたい想いが強く、その為なら他の人はどうなっても良いような… 人の悪い面が多い話。 これを読んで、こんな世界をどうやって生きぬくか、自分ならどの子の立場になるだろうか、それを考えさせると思う。

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    投稿日: 2016.02.29
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     校内で中学生の転落死体が見つかる。そして、死亡した生徒がいじめられていたことが分かり、事件は波紋を広げていく。  奥田さんの作風の幅広さはやっぱりすごい! 伊良部シリーズのコメディから、『オリンピックの身代金』などのサスペンス。そして、今回のような社会派群像劇。  作風も幅広いなら、登場人物たちも多彩。中学校の生徒たち、生徒の家族、学校関係者、新聞記者、警察、検事……、それぞれの立場、世界、そして心情をしっかりと描き切ります。  生徒の遺族対応に苦慮する学校関係者。喪に服させるためいじめに関わっていた生徒たちを、部活の公式戦に参加させないよう要請したり、全校生徒にいじめについての作文を書かせ、それを自分たちに見せるよう要請したり。  そうした遺族の要請にどこまで譲歩するのか、苦慮し意見が割れる学校内部。  いじめのやり玉にありげられた生徒の親たちは、だれもが「自分の子どもが主犯じゃない、だれかにそそのかされ従属的にやった」と、心の中では思いながら、遺族対応を話し合います。  そして、遺族が絶対正義と描かれるわけでもありません。事件の真相を知りたいと言いながらも、亡くなった子どもを絶対視し、自分が信じたいこと以外は認めたくない、という心理も描きます。  こうした大人の醜い争いや、心理描写がどれもリアル。立場の違い、微妙な心情の相違、そうしたものをしっかりと描き切ります。  そして、合間合間に挟まれるカットバック。ここでは、事件が起こるまでの中学生たちの世界が描かれます。  そこにあるのは、いじめの被害者と加害者という関係だけでは割り切れない、複雑な中学生たちの世界。  クラス内や部活内でのスクールカーストもそうですが、いじめの被害者像がまたリアル。つっかかるような生意気な態度。金持ちであることをひけらかし、女子生徒に対して尊大。  そして、こういう態度を取るのがカッコいい、なめられる前に、なめた態度を取るのが正解だ、という印象を漂わせてるのがまたイタい。  でも、学校の厄介なところは、こういう態度を取るのが許される、こういうキャラが合っている、という人がいるところ。正解が分からないまま、こうした自分のキャラという武器を読み違えると地獄を見るのが、学校という世界です。  そして、中学生たちの行動原理もまたしっかりと描き切っています。社会とはどこか断絶した世界で、独自のルールや自意識で凝り固まった正義感や価値観が、事件をややこしくします。  一つの事件を皮切りに大人社会の醜さだけでなく、歪な子ども社会も描き切った読み応えのある作品でした。

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    投稿日: 2016.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中学生のいじめによる男子生徒の死。 加害者の生徒、その親、被害者の親、先生、警察、マスコミ。。真相が暴かれていくも、結局何も解決してない。 中学生ってこんなに難しい年頃なんだ。サバイバルなんだ。サバイバルを行く抜くには、まだまだボキャブラリーが足りない。友達、親、先生、先輩、いろんな狭間で生きていて、自分の意見もまっとうに言えない。自由に行動できない。そのはけ口がいじめ? 自分が中学生だった頃と、親の年齢に近くなった今を重ねて読んでた。

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    投稿日: 2016.02.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

     最近読む学園小説のテーマがいじめばかりだ。  世界が赫に染まる日に、スターティング・オーヴァー、女王は帰らない、と連続して主題がいじめについてなのだ。特に意識して読んでいるわけではないのだが。  さて、本作のテーマもいじめである。そのテーマを調理するのは群像劇において鉄板定評の奥田英朗だ。    中学校で学生の死体が発見された。部室棟の銀杏の木の根元の側溝に体を横たわらせて死んでいたのは、この町の呉服屋の一人息子、名倉祐一だった。  部室棟の屋根からは五人の靴跡が見つかった。事故か事件か。警察は同級生二人の逮捕と、二人の補導に踏み切った。  中学生を相手に口を割らせようとするも、その証言内容の乏しさに声を荒げる警察官、  学校側に真相究明を何度も申し入れる被害者の母親と、自分の息子が事件に加担したことを認めない加害者側の母親、そして板挟みになる学校側、  事件の取材を続けるマスコミの新人記者、  大人側の視点が一通り揃ったところで、中学生側の視点が始まる。    いじめられていた名倉を庇いながらも、本人の態度に次第に態度を硬化させていく同級生たち。  名倉のチクリがきっかけで他の運動部からも、先輩からも顔に泥を塗られ、名倉を庇う気も失せた。名倉の態度に周りは怒りを募らせていく。    死体発見から物語は始まり、名倉の死で物語が終わる。  これだけの多視点から物語を紡ぎあげる筆力はさすがと思う。  他人の考え、特に中学生、さらに名倉少年の考えていたことは最後まで分からない。  いじめ問題がなくならないのは、その本質が本人たちにすらよく分かっていないからなのだ。  

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    投稿日: 2016.02.22
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    ある中学生の転落死、それをとりまく、警察、学校、マスコミ、被害者、加害者、部外者… それぞれの視点で描かれている。 少し結末が物足りなく感じたのは、気持ちがはいっていたからだろうか、それほど物語に気持ちが入ってたのかも知れない。文中に「中学生は人生で一番のサバイバルの時期だ」とあったが、まさにその通りだ。大人でもない、かと言ってそこまで子供でもない、両者が複雑に混在している、残酷な冷淡な世代だ。ボリュームがあったが、一気に読める作品。

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    投稿日: 2016.02.21
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    一気読み。読後感はよくはない。人間の陰の部分を見せつけられた感じ。。それでもぐいぐい読ませる奥田さんはさすがです。

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    投稿日: 2016.02.21
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    中学生時、誰もが悩む人間関係。 友情、いじめ、部活、先生、家族。 同級生の死:そこに隠された、沢山の感情。いつでも起こり得るこのストーリーに、最後まで次は❔と思わせられた。

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    投稿日: 2016.02.21
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    中2男子生徒が、放課後の校内で遺体で発見される。 人間、立場が変われば考え方も変わる。加えて、平常ではいられない部分も。 という面で、被害者家族、被疑者家族、当事者生徒、教師、刑事、検事、マスコミその他モロモロの人々の書き分けが秀逸。 とくに中学生たちの心理描写がすんばらしい。(元)中学生だった(はるか昔)身としても、全然違和感なし。 大切にしなければならないものの優先順位が、独特の価値観でズレまくっているという。 最後の方で、教師が元同級生と飲みながら打ち明けた話、なんだか的を得ているような気がする。

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    投稿日: 2016.02.15
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    地方都市のとある中学校で起きた、男子生徒の転落死事件。 亡くなった子の親、イジメを認めた4人の子供たちの親は、自分の子供の事だけ考えていて腹立しかったのですが、もし、自分だったらと置き換えると、どちらの身勝手さもよく理解できる気がして、寒々しい気持ちになりました。 真実はたった1つしかないのに、良い事悪い事の区別が、未完成な子供たちの集団の日々の暮らしの中では、見えなくなってしまうものなのでしょうか。 物語の核心へは、外側から多角的にじわりじわりと迫っていきます。 だから余計に恐怖を感じるし、とてもリアルです。 被害者、加害者、それぞれの親、学校、警察、マスコミ。。。 暗くて恐ろしい出口の見えない渦に巻き込まれ、醜さだけが露呈する。 事件の真相が分かっても、それが解決へとは繋がらず、人々の闇は一生続くのだと沈鬱な気持ちになりました。 最後のページ、思わず頭を抱えてしまいましたが、この難しい問題に真っ直ぐに向き合った作品だからこそ、投げかけられたものは大きく、しっかり受け止めなくてはいけないと思いました。

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    投稿日: 2016.02.11
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    中学生は人生で一番のサバイバル期という言葉がぴったりな話。子供、親、警察、検事、先生、新聞記者いろいろな人の思いが語られていて、みんなに賛成できるが矛盾する複雑な思いをする物語でした。

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    投稿日: 2016.02.11
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    中学校でおきた生徒の転落死を軸に、様々な関係者の視点から描かれる群像劇。 奥田英朗の得意技だが、1つの事件を軸にした群像劇は珍しい。 立場が変わると考え方も変わる。彼らの言動には彼らなりの背景がある。当たり前のことだが、その違いが巧みに描かれている。読み応えは十分。

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    投稿日: 2016.02.08
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    中学生だった頃の自分を思い出しながら、また、中学生の母目線で、すごくわかるというか、あーー、ここを黙ってたらこうなるのか、とか、 積極的ないじめではなく、加担した結果とか、 首謀者はいなくてもいじめは広がるんだ、とか、 考えながら読んだ。 事件後と、事件前を織り交ぜて語られていて、読み応えのある本だった。 ちと長かったけど。

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    投稿日: 2016.02.07
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    時間を忘れて読みふける本は久しぶり。 稀に見る集中力で600ページ近い本を一気読み。 様々な人物が登場するこの作品。教師であったり、母親であったり、中学生であったり、誰かしらに共感を覚え、ついつい肩入れして読み込んでしまう。 そうそうその通り、そうだったなあそういえば、なんて思わず唸らされる。こんなに上手に文章に表してくれるのね、、、作家さんって、、さすがです。

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    投稿日: 2016.02.05
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    小さな町の中学校で、男子生徒が転落死した。その生徒はいじめを受けていたことが判明。この転落は事故か事件かー。 いじめ首謀者とされた4人の生徒たち、その親、被害者側の家族、学校、警察、検察、弁護士、そして聞き取り調査をされるその他大勢の生徒たち。多くの視点から描かれる群像劇であり、さらに事件後と事件前の様子が自然に時間軸を行き来しながら描かれるので、読み手がどのように事件をとらえるのか、誰に感情移入するのかが都度変わっていく。 中学生は鳥の群れのようなもので、みんなが飛ぶ方向に考えもなくついていく、という文言が出てくるが、中学生のみならず、読み手もページが進むにつれて同じように大勢に流れていきそうになる。あえて言うなら「この子だったらいじめられてもしょうがないな」とすら思わせる描き方、そしてそのように感じることへの嫌悪や反省も含めてこの作品ができあがっていると思うし、大きな悪がない(小さな悪はたくさんある)中で大きな事件が起きてしまう不幸について、人はどこまで責任を負えるのか、負うべきなのかということも考えさせられる。 奥田英朗さんの軽やかな筆致なのでとても読みやすく、それが事件に対する関係者の温度差も見事に描き出しいていた。読み進むのを止められない作品。

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    投稿日: 2016.02.03
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    テニス部に所属し地元では有名な呉服店を経営する家の一粒種である名倉祐一が学校内で死んでいた。事故か殺人か、警察が調べていくにつれ名倉はいじめにあっていたことが判明する。加害生徒の祖父は県会議員だったり母子家庭であったりするがどの親も自分の子供がまだだ巻き込まれたに過ぎないと信じている。学校側は被害者親族からの全員に作文を書かせて欲しいなどの要求を飲むか飲まないかで管理職と学年主任が対立する。いじめを受けても状況が理解できず、場の空気を読まないような発言をしてしまう名倉はもしかして自閉症スペクトラム障害ではなかったのだろうか、そんな気がしてならない。

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    投稿日: 2016.02.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とある郊外の小さな街の中学校で。生徒が部室棟の屋根から落下して志望する事件が起きる。いじめの疑いをかけられる4人の中学2年生。2人は14歳の誕生日を迎えたため逮捕される。口をつむぐ4人。生徒の無実を願う教師たち。真実を追う検事、警察。そして、被害者と加害者の親たち。奥田英朗得意の群像劇で読む人を飽きさせない。最後まで救いはない。しかし、描きたかったのはその救いのなさなのかもしれない、と思った。完全な悪人はどこにもいないが、誰もが少しづつ傷つく。いじめ、という問題のやるせなさを閉じ込めたような小説でした。

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    投稿日: 2016.02.02
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    いじめはもちろんいけないんだけど、いじめられる子にも原因があるなんて言っちゃいけないんだけど、勧善懲悪で割り切れない複雑な話。中学3年間は人生で一番のサバイバル期というセリフに、ものすごく共感。

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    投稿日: 2016.01.30
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    何よりも奥田英朗の書き方が秀逸。 「いじめ」は(誤解を恐れず言えば)おそらく扱いやすいテーマで、多くの小説になっている。 人間の心理を描きやすい。残酷さがついてまわるテーマだから、読み手の心に訴えかけることが容易。 それに加え、この「沈黙の町で」は、視点が親、子供、学校、警察、検察...と複数。多少、尻切れトンボ感はあるもののそれぞれ十分な描写がある。読み手の心を宙に浮かせて、悩ませる。 悪いのは誰?とか犯人は誰?という結末をラストにもって来てはいるものの、焦点はそこではない。読み手も想像できることであったし、分かったところでそれは重要では無かったと悟る。普通のミステリーではない、魅力的な小説だ。

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    投稿日: 2016.01.22