
総合評価
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powered by ブクログ早期退職し、故郷に帰ってきた元広告マンが、市長の秘書をつとめる同級生に頼まれ、財政破綻目前の市のために、『あるかわからない埋蔵金を発掘する』というとんでもない依頼を受け、奔走する話。ところどこれでオチがあって、文体もユニーク。 しかしながら最初はユーモアたっぷりのドタバタ小説かと思いきや、だんだんと意外な方向へ進み、ネタバレであるが戦時中の海軍兵器開発の秘密を探り当ててしまうのにはびっくり。最後には感動する内容でした。 小説の中ではテレ東『お宝鑑定団』のような番組が何度か登場する。 こういう番組も一喜一憂だよなあ。『これは価値があるはずだ!』と勇んで鑑定品を持ち込んだものの、二足三文の鑑定を受けシュンとしている人を何人も見たことを思い出した。
5投稿日: 2025.03.25
powered by ブクログ父親の介護のために東京の仕事をやめ、山口県の日照市の実家に戻った筒井であったが、父親があっけなく亡くなってしまったため単調な毎日を過ごしていた。そんな折、同級生が秘書課をやっているという縁で、市長に声をかけられ、埋蔵金発掘課に抜擢される。市職員で役立たずの伊藤と、地元の社会人野球のピッチャーでリストラの憂き目にあった石川の3人で、歴史研究家の指摘した場所を掘り始めるが…。 基本的にタイトルのとおりと思って読み始めても、全く問題ない作品である。当然のようにほっても何も出てこないし、役立たずのキャラがいらないことをやらかす。歴史研究家と作家は、意味ありげなことを言い、市長は仕事だけ振って、成果を求める。キャラクター設定は完全にコメディーである。 しかし、後半に差し掛かったあたりから、それまでのストーリーとガラリと方針が変わるのが、本作の醍醐味であろう。詳しくは実際にお読みいただきたいが、第二次世界大戦中の山口県の軍事産業における開発秘話を中心とした話に移っていくのだ。 全体に、多彩なキャラクターによる王道コメディードラマ仕様になっており、目をつけたテレビ局に取材されるなど、井上ひさしなどを彷彿とさせる、最近ではかなりレアなガチガチの作りだ。 一方で、後半部分はかなり調べたのであろう厚みとなっており、なかなかに引き込まれるものはあった。 しかしながら、キャラクターの設定が独りよがりな部分があるため、名前だけが独り歩きし、読者の理解が追いつくのが難しい部分があったり、コメディー部分はストーリーが進まないもんだから、全てオカルトに頼ってしまったりという部分は今ひとつ。 また、何も見つからないなら見つからないままで終わればいいものの、終わりの幕切れがダラダラと長引いた挙げ句、余計なエピソードを入れたのは必要だったのか? ついでに、最近の作家に見られがちな、過去の階層に入るのか入らないのか曖昧なまま、過去の話が語られがちなのは、結構困るんだよね。
0投稿日: 2023.09.13
powered by ブクログ室積作品の中では、比較的落ち着いたお話でした。 が、やはりアイデアは突拍子のないものでした。 埋蔵金発掘という派手に見える面の背後に 郷土愛や人を育てる重要性のメッセージが見えました。 海を観たくなりました。
0投稿日: 2022.12.17
powered by ブクログストーリーの途中からリアルになった気がします。 もっとハチャメチャだと思ってました。 中途半端に自分は感じましたね。 最後までハチャメチャでいて欲しかった。
1投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログ東京の会社を早期退職して故郷の山口県に戻った主人公。実家に一人で住み幼なじみたちとのんびりと暮らしていたある日、市役所勤めの幼なじみから、地域活性のために埋蔵金を発掘してくれと頼まれる。市の財政が悪化して一山当てたいという市長の意向ということで、市役所の若手職員と地元の野球クラブの青年と発掘を始める。市役所の一部署として正式に発足し、ひょんなことから1年間のテレビの密着取材がつくことに。 地元に詳しい諸先輩方から埋蔵金がありそうな場所を教えられその調査を進めるうちに、あるひとりの天才科学者に行き当たり、彼が埋蔵金のキーマンであることがわかる。 彼が残したものはなんだったのか、そして彼が伝えたいことはなんなのか。 他の本と同様にけっこうふざけているのかと思ったが、これはわりと真面目でよかった。 埋蔵金から戦争の話につながると思わなかったが、そのつなぎは無理がなかったと思う。 まぁ、いろんな場面で特殊能力を持つ巫女さんの力に頼っているのがマイナスポイントといえばそうだけど、エンターテイメントということでゆるされる範囲か。 天才科学者や回天の開発者の思いがたくさんの人に伝わればいいなと思った。
1投稿日: 2020.05.19
powered by ブクログ広告会社を早期退職し、帰郷した主人公の元に、市長の秘書をつとめる同級生がやってきた。市長からの密命で、市の財政破綻を救うために、埋蔵金を発掘してほしいという。 エンタテインメントものではあるが、そこは室積氏らしい作品に仕上がっている。 戦時中の10代の子の写真を見ると、幼くして既に達観したような精悍な顔つきをよく目にする。 物語中盤から海軍の話になる。 現在でいう中学生くらいの男の子が、校庭で遊ぶ更に歳下の子供らを見て、この子らの明日のために、自分の明日を賭す、と。 国の為、死地に赴く、その覚悟。あんな顔つきになるのだろうな。 人間魚雷「回天」を開発し、自ら初の搭乗をする。 城山三郎氏の『指揮官たちの特攻』を思い出す。 笑えるエンタテインメント作品ながらも、目頭を熱くさせる室積氏らしい、良い一冊でした。
1投稿日: 2018.12.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
財政難に悩むふるさとのため、主人公の筒井は市役所に努める同級生からの依頼により、「埋蔵金発掘課」の課長として仕事を始めることになります。 設定のハチャメチャ具合いはこれまでの作品同様、作者の「よさ」が出ているように思います。 ストーリー展開もスムーズで読みやすかったです。 特に、「カネ」を発掘することに終始するのではなく、歴史的な遺産や「記憶」を発掘して現在の社会に一石を投じるようなエピソードが挟まれているところなどは、単純なエンタメ作品とは一線を画す部分かもしれません。 この作品を通して、先の大戦で被害を受けた人々だけでなく戦争を経験したすべての人々に対して(被災者だけでなく、徴兵された学徒兵や、彼らの使用した武器や兵器を開発した若い技術者たちも含めて)想像力を働かせるきっかけにもなると思います。 といっても、主なテーマが戦争ではないので、そこまで「暗く」なることはなく、「読みやすさ」という面では大きな影響はないと思います。 しいて言えば、ラストの「後日談」的な部分が蛇足だったのかな(この作品の「オチ」ではあるので、まったく無駄というわけではないのでしょうが)という印象で、個人的には別の終わり方をしてほしかったな、とも思いました。
0投稿日: 2018.05.28
powered by ブクログ普通に面白かった。 埋蔵金発掘というのは基本的にワクワクする話だし、ちょっとしんみりするところもあっていい感じ。 万人向けの読後感のいい話。
0投稿日: 2018.03.01
powered by ブクログまちの財政難を救うために、埋蔵金発掘をめざします。 それぞれキャラクターが立っています。 主人公の私生活、別れた妻なども絡み、ストーリーが展開していきます。 最後がなんともはや。 面白かったです。
0投稿日: 2017.11.26表紙が良いです(笑)
表紙がシュールだったのと、作者が「史上最強の内閣」の人だったので買ってみた。 「史上最強の内閣」と同じように読みやすくかつキャラ立ちもよく、なかなか面白い作品。この作者はこういった雰囲気の作品が多いのかな?
0投稿日: 2017.10.29
powered by ブクログエンタメの形でわかりやすく、 伝え続けたいことをいつも通り織り込む室積節。 佐久のエピソードは現実に基づいてるんだね。 不覚にも長野出身ながら知らなかったことを 恥じた。 霊媒女子が都合よすぎるけど、 するする読めてでも残るものもあった。 主役役所広司っぽい!
0投稿日: 2017.10.11
powered by ブクログ地方再生に戦争を絡めているが、やや盛り込みすぎた感が。地方再生に悪戦苦闘するというところがもう少し描かれてもよかったかも。
0投稿日: 2017.09.03思いも寄らない展開
過疎化が進んだ集落が思いついた策が『埋蔵金発掘』 徳川埋蔵金が一時はやりましたが、普通は思い道理には行かないものですが 行っちゃうんです。それが 細かく書くとネタバレになるので割愛しますが、 ただの埋蔵金発掘物語では終わりません。流石です。 人情と戦中戦後の歴史、が上手くミックスされ出来すぎない感動話に仕上がってます。
5投稿日: 2017.03.20
powered by ブクログ財政難対策として、市長の突拍子もない埋蔵金発掘の指示により、展開する作品です。ただ、それだけでなく、戦争の深い問題や、ちょっとしたオチもあり、とても楽しく読めます。
0投稿日: 2017.01.29
powered by ブクログ『史上最強の~』シリーズの室積さんの近作です。 室積さんの作品と言えば、 突飛な設定からのユーモア小説といぅ印象ですが、 その実は、皮肉の効いた社会派の小説でもあって、 本作品も、地方都市の財政問題に端を発しながら、 最後は、埋蔵文化財と地域おこしにまとめていく、 ありがちながらも、うまい構成、展開でした。 『史上最強の~』は、ちっと飛び過ぎていたので、 むしろ、本作品ぐらいの方が、ちょうどいいかも。 全編で楽しく、でも、それだけではない作品。 面白かったです。
0投稿日: 2017.01.13
powered by ブクログ地方都市が財政難から埋蔵金発掘に夢見るお話 最初はいつもの感じの妄想設定を膨らませた話かと思ってたら、中盤あたりから化ける 埋蔵金なんてそもそも郷土史に詳しくないと無理だよね~ とか思って読んでたら 将に郷土の名士の話になってた 一番心に残ったのが、最後の方で藤山新作がインタビューで語ったところ 戦争はだからいけないよなぁと考えさせられる 仁科関夫は実在するけど、藤山新作は実在しない?よね? なのに妙にリアリティを感じる設定でした
0投稿日: 2016.11.12
powered by ブクログ面白かった~。 突拍子もない設定で、一体どこに落ち着くのかと思っていたら、ものすごい高尚なテーマにたどり着いた。人間にとっての永遠のテーマかもしれないけど。 もう一回読みたい。
0投稿日: 2016.10.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前半のドタバタから、中盤から終盤にかけてそっちの方向に行くのですねという感じでした。それなりに考えさせられます。
0投稿日: 2016.09.10
powered by ブクログ28年8月13日読了。 知った場所が、名前を変えてちらほら。回天については大津島に行った事を思い出した。埋蔵金は形を変えて、日照市を救えるか。これから先は、人の知恵で未来を切り開いて行くしかないな。地方都市の財政危機と過疎化の問題は、身につまされるものがある。 そういえば、婆ちゃんが戦時中にちょっと価値のある皿なんかを、敷地内に埋めたらしいけど、幾ら捜しても見つからないままって言ってたな。あれを捜してみようか、って事をふと考えてしまった。
0投稿日: 2016.08.14
powered by ブクログフィクションなんだよね。凄い面白かった。 室積さんは山口県出身の作家さんで、今回の舞台が室積さんの地元。 私も知ってる場所があちこち出ていてわかりやすい。 埋蔵金を探し求めるうちに、戦争の頃の歴史も紐解かれ、ハラハラドキドキしながらも、感慨深い気持ちになったり。 最後にオチもあり、映画になったら凄く面白いと思うな~
3投稿日: 2016.08.06
