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邂逅
邂逅
キャンディス・フォックス、冨田ひろみ/東京創元社
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総合評価

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    オーストラリアの作家「キャンディス・フォックス」の長篇ミステリ作品『邂逅 (シドニー州都警察殺人捜査課)(原題:Hades)』を読みました。 「リアーン・モリアーティ」作品に続き、オーストラリアの作家の作品です。 -----story------------- シドニーのマリーナで、海底に沈められたスチール製の収納ボックスが発見された。 1メートル四方の箱には全身傷だらけの少女の遺体が収められ、周囲から同様の遺体の入ったボックスが20も見つかった。 シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきた刑事「フランク」は、女性刑事「エデン」と未曾有の死体遺棄事件を追う。 オーストラリア推理作家協会賞2年連続受賞の警察小説シリーズ開幕! 訳者あとがき=「冨田ひろみ」 ----------------------- 2014年(平成26年)に発表された「キャンディス・フォックス」のデビュー作品… オーストラリア南東部にあるニュー・サウス・ウェールズ州(NSW州)の州都・シドニーで発生した連続殺人事件を、「フランク・ベネット」と「エデン・アーチャー」の異色刑事コンビが解決する物語、、、 ミステリアスの雰囲気を持つ「エデン」とその兄「エリック」の暗い過去… 二人の抱える秘密が、連続殺人事件の捜査と並行して描かれ、それぞれの陰惨な事実が暴かれていくという展開、なかなか強烈な個性を持った作品でしたね。 シドニー州郡警察殺人捜査課に配属された「フランク」が組む相手は、管内きっての敏腕刑事「エデン」… 「フランク」は、前任地で相棒に自殺され、「エデン」は、相棒だった「ドイル」を殉職で失ったばかりだった、、、 「フランク」は、ひとめで「エデン」の魅力に惹きつけられるが、彼女の方は迷惑顔… しかも、同じ職場にいる彼女の兄「エリック」からは、妹に必要以上に近付くなと意味深な警告を受ける。 それでも「フランク」は懲りずに、「エデン」と公私ともに親しくなろうとする… 二人がコンビを組んで早々、とあるマリーナで海に沈められた二十もの死体が発見される、、、 海底から最初に引き上げられたのは十代の少女だったが、あとの遺体は年齢も性別もバラバラ… ただし、臓器を取り除かれているという、おぞましい共通点がひとつだけあった。 果たしてこれは猟奇的な連続殺人なのか、それとも別な動機があるのか? 「フランク」と「エデン」は、捜査の過程で被害者家族や関係者から話を聞くうちに、事件の背後にある現実を想い知らされ暗澹たる気持ちに襲われる、、、 そして並行して描かれるのが謎めいた「エデン」と「エリック」の兄妹、そして、二人の養父である「ハインリッヒ(ハデス)・アーチャー」との家族史… 「ハデス(=冥界の王)」の呼称で通る男は、シドニー郊外で廃棄物処理場を運営するかたわら、闇夜に紛れて持ち込まれる死体を完璧に処理することで、裏社会から絶大な信頼を得ていた。 ある晩、瀕死の子ども二人を始末してくれと見知らぬ男が「ハデス」を訪ねてくるが、「ハデス」は、この依頼を却下… 両親を惨殺された兄妹を自ら育てる決意をする、、、 奇妙な運命の下、新たな家族となった三人はどのような道を歩んで行くのか… いやいや、なかなかダークな物語でしたね。 臓器売買に絡む殺人というセンセーショナルなテーマを扱っており、興味をひかれる内容もあるのですが… 二度の結婚と離婚を経験し、自己中心的な人生を送ってきた「フランク」のダメ男ぶりと、過酷な運命を背負い、個人的な復讐を果たすために警官となった「エデン」と「エリック」の兄妹の現実離れした生い立ち、、、 ドラマティックな展開を狙ったのでしょうけど… 主要な登場人物に感情移入できなくて、物語に入り込めず、モヤモヤする展開でしたね。 でも、「フランク」と「エデン」の関係が、今後、どうなって行くのかは、ちょっと気になります… それに「ハデス」が、どう関わってくるかも気になりますね、、、 シリーズ化されているようなので、もしかしたら、次作以降は愉しめる展開が待っているかも。 以下、主な登場人物です。 「フランク・ベネット」  シドニー州郡警察殺人捜査課刑事 「エデン・アーチャー」  シドニー州郡警察殺人捜査課刑事。フランクの相棒   「エリック・アーチャー」  シドニー州郡警察殺人捜査課刑事。エデンの兄 「ハインリッヒ(ハデス)・アーチャー」  エデンとエリックの養父 「ドイル」  エデンの元相棒。故人 「コートニー・ターナー」  行方不明の少女   「デレク・ターナー」  コートニーの父親 「イライザ・ターナー」  コートニーの母親   「ウロード・ラッシ」  医師 「マルティナ・デュコート」  バーテンダー 「ジェイソン・ベック」  外科医

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    投稿日: 2023.03.13
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    ダン・ブラウン以外で海外物を読むのは、何年ぶりなんだろう?と言うぐらい久しぶりの海外作品。しかも、舞台はオーストラリア。サイトでの評価も良かったので、期待していた分、残念感が大きい。シドニー州都警察署に異動してきたばかりのフランクは海底に沈められた遺体の入った20もの収納ボックスの事件を、相棒の女性刑事・エデンと追っていく…それだけで大事件だし、物語も全然面白いと思うのだけど、始めから最後まで、両親を殺された幼い兄妹の過去の話と交互に綴られ、しかもその兄妹は両親を殺した犯人の復讐まで犯している…二つの物語を無理やり一つにしているせいか、どちらの描き方も雑に思えて、最後まで楽しめなかった。過去に傷を持つ主人公二人も最後まで好きになれず…残念…

    4
    投稿日: 2017.02.02
  • それぞれの信念

    オーストラリアを舞台にした警察小説。のっけからエリック&エデン兄妹が強烈すぎて、語り手のフランクがすっかり食われているように感じました。特にエデンの危険な格好よさには、惚れ惚れせずにいられません。 バラバラに思えたエピソードが収束するにつれて、物語はスピード感を増し、後半は引きずられるようにして一気に読みました。追跡シーンもスリリングで、引き込まれます。思い思いの信念を抱いて進む登場人物たちの姿に、本当の正義ってなんだろう、と考えさせられました。 危うい絆で結ばれたフランクとエデンは、これからどんな道を歩いていくのか……。すでに続きが気になっています。

    7
    投稿日: 2016.08.02
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    珍しいオーストラリア・ミステリーのシリーズ第1作。しかも、著者のデビュー作。 シドニーのマリーナで発見されたボックスに入った20もの遺体。殺人捜査課のフランク刑事は女性刑事のエデンとともに大量の死体遺棄事件を捜査する。メインの死体遺棄事件の捜査のストーリーに挟み込まれるハデスと少年少女の奇妙な挿話。やがて、二つのストーリーは交わるのだが、意表をつく展開と想定外の結末を迎える。 本格派の警察小説として読んでいると、そっちの方向に行ったのかと思う少し残念な作品。 ジャック・カーリーのカーソン・ライダー・シリーズのような…

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    投稿日: 2016.06.17