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アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!
アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!
NHKスペシャル取材班/文藝春秋
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総合評価

8件)
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    2016年刊行だが、今でも参考になる内容。2015/04にNHKスペシャル『新アレルギー治療』の取材内容が基礎となっている。

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    投稿日: 2022.12.01
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    この春、私は花粉症になった。もう一生ならないものだと思っていたから、かなりショックだった。周りの反応はふた通り、「ようこそ花粉症の世界へ」と「まぁ大変ね」である。2016年刊行のこの本では、日本国民の4人に1人は発症しているらしい(友人情報だと2人に1人だとも言う)。4人に1人以上は仲間意識で一言を言っていたので、実態に合っている。みんなが信じていたのは、「体内に取り込まれた花粉があるレベルを超えると発症する」と言う説だ。しかし、NHKは、それは「間違いだった」と断定する。しかも、治らないと言われた花粉症の治療薬が来年あたりから出回るとの情報も。驚きである。 免疫細胞の役割は、戦争の攻撃そのものだ。偵察隊のマクロファージが情報をもたらし、司令官のT細胞が敵(栄養等の有益なものではない)と判断を下し、現場に出向き命令のサイトカインを出す。実働部隊が武器の活性酸素を放出し、B細胞の抗体で防衛する。しかし、司令官の判断は時々間違いを犯す。だから膵臓のβ細胞を攻撃して1型糖尿病になったりする。でも、簡単に間違うようでは人間は直ぐに病気で亡くなるだろう。そこで間違いを正す司令官が存在するはずだと研究して、見つけたのがTレグ細胞だ。これを応用すればガン特効薬にもなる。この本ではノーベル賞を受賞した本庶佑さんは登場しないが、あゝこの流れだったのだ、と腹落ちた。 さて問題は、いかに花粉症を防ぐTレグ細胞を増やすかだ。そこで再び注目されたのが「衛生仮説=都市化して衛生的になったからアレルギー発症が増えた」説だ。私の幼少期は、家でニワトリを飼うような片田舎で育った。衛生的でなかったから今まで発症しなかった、といえば確かにそうかもしれないとも思う。実際、都会から養豚業に鞍替えした重症の花粉症患者は、多くの場合根治したらしい。しかし、大人の根治には大きな環境変化と時間が必要だ。 では希望はないのか?有る。舌下治療法と花粉症を治療するお米。2015年現在、農水省が2020年の早期実用化を目指していると言う。他にも3回の注射投与だけで劇的に治るとか、日々治療は進歩している。遅れてきた私は、その恩恵を易々と受けれそうだ。これも幼少時の非衛生的な環境のおかげである。

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    投稿日: 2019.05.20
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    20世紀後半から先進国では爆発的にアレルギー患者数が増大した。世界ではアレルギーの完治を目指す根治療法の研究が進められており、世界の最新研究を綿密に取材し、アレルギーの予防と完治の実践的な情報が読みやすくわかりやすくまとめている一冊となっている。

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    投稿日: 2019.01.17
  • 皮膚からか腸からか、それが問題だ

    現代の都会の生活がアレルギーを増やしたというのは誰しも感覚的には納得できるだろう。花粉症へ悪影響を与える因子としてはの原因は食生活だけでなくストレス、タバコ、睡眠不足、大気汚染などがあげられている。またアレルゲンの許容量を超えると発症するというのもある。しかし、最新の医学では少し違う角度でアレルギー治療が行われ始めている。 電気を使わず、昔ながらの生活を続けるアーミッシュにアレルギーの発症はほとんどない。追跡調査の結果、遺伝ではなく環境因、加熱していない牛乳を飲むことと、牛や馬との日常的な接触がアレルギーになりにくい理由だとわかったI g Eという抗体が明らかに少ないのだ。そしてある免疫細が35%も増えていることがわかった。制御性T細胞、通称Tレグ。本書の主人公の登場である。家畜の細菌を体内に取り込むことでTレグが増える。そしてこのTレグがI g Eの過剰な生産にストップをかけるのだ。 Tレグ細胞発見のきっかけは自己免疫疾患はなぜ起きるかという疑問からだった。発見したのは大阪大学免疫学フロンティアセンターの坂口志文教授。同センターには自然免疫の研究でノーベル賞の有力候補だった審良静男教授(新しい免疫入門はかなり専門的でした)もいる。免疫の司令塔T細胞は体内に異物が入ってくると攻撃命令を出すのだが、たまに相手を間違えることもある。本来攻撃すべきでない自分自信を攻撃してしまうのが自己免疫性疾患だ。間違った攻撃を止める仕組みがあるはずだというアイデアがTレグ細胞の発見につながった。 「あまりに清潔すぎない方が抵抗力がついて良い」と言うのが俗説とは言い切れない。少なくともアレルギーに対して衛生仮説はTレグ細胞の発見により有力な仮説となっている。細菌が多い環境だと認識した免疫システムは将来の感染症に備え、攻撃を担うT細胞をより多く作る。と同時にその攻撃を止めるTレグもより多く作る。これは例えば花粉など特定の物質に反応するTレグの元になる。 子供をアレルギー体質にしないために母親は食事にどう気を使うべきなのか。少なくとも以前指導されていたアレルギー原因物質を食べないという方法に効果がないことは明らかになっている。むしろ色々なものをバランスよく食べた方が良さそうである。因みに妊娠中の母親がダイエットしすぎると胎児は省エネ型の体質になり、生活習慣病になりやすくなる。飢餓の世界であればそれも間違いではないのだろうが。 日本の花粉症同様にアメリカではピーナッツアレルギーが非常に多い。最新の研究では妊娠中の母親がピーナッツをよく食べていた方がアレルギーの発症率が低い。さらには子供達が非常に早くからピーナッツを食べるとアレルギーを予防すると言う。体内の最大の免疫器官は腸だと言われている。単純に表面積が広いこともあるかもしれないが食事を通して異物と接触する最大の器官でもある。 毎日大量に異物を取り入れても腸はアレルギーを起こさない。腸でTレグ細胞が大量に作られているからだ。 ピーナッツアレルギーの原因の一つに生後半年以内にピーナッツオイル入りのスキンクリームの使用があったことがわかった。免疫システムを作り上げる子供の頃に同じ異物が皮膚から入った場合は攻撃対象と認識され、腸から入った場合は専用のTレグ細胞が作られてアレルギーを起こさないようにする。アレルギー予防としては離乳食をできるだけ早くから色々なものを与えた方が良い。すでにアレルギーを発症しているとアナフィラキシーショックを起こすと命に関わるため最初は耳かきひとさじ程度から異常がなければ徐々に増やしていく。先に腸から吸収するのが鍵となる。皮膚から入る異物は攻撃対象となる、花粉症も経皮感作と考えてられている。 すでに花粉症を発症した大人にも救いはある。田舎暮らしもいいが即効性には欠ける。舌下免疫療法は腸からではないが同じ仕組みでTレグ細胞を増やしアレルギーを抑える。他にもアレルギーを起こすのとTレグを作るのが花粉のタンパク質の違う部分にかかることからTレグ用タンパク質を含んだコメが開発されている。さらには専用化されていないTレグ細胞が多く存在するリンパ節に花粉成分を直接注射する治療法も開発されている。 前出の新しい免疫入門によると自己免疫疾患とがんの免疫治療は表裏一体のものである。自分の体を攻撃しないようにするか、体の一部のがんを攻撃するか。ここでもTレグ細胞が鍵となるのだろうか。

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    投稿日: 2018.05.27
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    備忘録としてネタバレ記録です。 1/乳児期なるべく早期にアレルゲン食品を食べることで、食物アレルギー予防になる。 2/アレルゲン食品を食べるより前に、肌荒れ部分など皮膚からアレルゲン物質やそれが含まれるクリームなどを塗っていると、食物アレルギーの原因になる。 食べるのと、皮膚とどちらが先かで結果が大きく変わる。 3/妊娠中にアレルゲン物質を避けていると、子どもはアレルギーになりやすい。 避けずに何でも食べたほうがいい。 4/妊娠中に低栄養だと、胎児が記憶してしまい、産後、エネルギーを消費しない子どもになる。将来、肥満や生活習慣病 などになりやすい。妊娠中のダイエットはよくない。

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    投稿日: 2016.10.11
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    アレルギーになる原因になる可能性のあるものはお腹にいる間からなど、早くから食べさせることがよいのでは! アレルゲンを食べることや、注射することでアレルギーを治療できる可能性があるということなど、大きく進歩したアレルギーに関する情報が載っています。

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    投稿日: 2016.04.27
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    最新情報は得ておかないと。まだなってない子(生まれる前)の予防策と、実際にアレルギー発症している子の治療については、区別しておかないと大変なことになるが。(中でも強調しているんだけど、急いで読むと混同する恐れあり)

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    投稿日: 2016.04.18
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    【根拠のない指導が患者を激増させていた!】花粉症や食物アレルギーに関する従来の「指針」は誤りだと声をあげ始めた研究者たち。予防と治療の常識が根底から覆り始めている。

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    投稿日: 2016.03.29