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罪悪
罪悪
フェルディナント・フォン・シーラッハ、酒寄進一/東京創元社
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総合評価

29件)
3.8
6
11
7
0
1
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    「犯罪」に引き続き、余計な感情を挟まない淡々とした語りであるがゆえに、読んでいると他人の人生をなすすべく傍観させられているような感覚にさせる。 シーラッハの既刊もっと読みたい。

    0
    投稿日: 2025.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編15本。詳細は語られないので、想像を膨らませてしまう。 「ふるさと祭り」些細なことから犯罪に巻き込まれてしまう。 「子どもたち」子どもは怖い。 「清算」完全犯罪? 「秘密」! 今度は長編でもいけるかな。

    8
    投稿日: 2025.08.24
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    刑事事件の専門弁護士である著者が描き出す、奇妙な事件の話が15話収録されている。ふるさと祭りの最中に、給仕していた少女への集団暴行事件を描く「ふるさと祭り」、寄宿学校で秘密結社にかぶれる男子生徒による事件を描く「イルミナティ」、麻薬売買の現場に自宅を提供していた老人と、自分の運命から逃げられなかった男を描いた「雪」など、弁護士の「私」はさまざまな罪の形を語る。 ふるさと祭り 「私たちは大人になったのだ。列車を降りたとき、この先、二度と物事を簡単には済ませられないだろうと自覚した」 ふるさと祭り、がお気に入りです。 法で捌けない罪というのはミステリーではよく登場しますが、怒っても、泣いても、解決することができない物事があることに気づくというのはやるせないものです。 描写が調書のように丁寧に、かつ端的で鮮烈に表現されています。読みやすいだけでなく、記憶に残ります。

    7
    投稿日: 2025.08.18
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    「珈琲と煙草」「犯罪」「テロ」「神」の順に読んでこの本を読んだ。 どれを読んでもシーラッハワールドに引き込まれる。世の中の不条理を作者の予断なく書かれているところが、深くて重い中で心地よさを感じる。 罪悪はあっさりとした短編集だけれども、それぞれの話が2-3時間の映画が作れるだろうなと思うくらい濃い。 この後もまだ読んでないシーラッハを読もう。

    0
    投稿日: 2025.03.23
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    Kindleで読むと手元にある実感がないから後回しになってしまう。途中まで読んでいて、ようやく読了。 人生における不条理、人間の原罪、ちょっぴりの希望、のようなものがテーマなのかな。 因果応報の話もあれば頑張ってきた人間が失意のもとに犬死にする話もある。それが全部一貫して(おおむね)フェアな法に基づいて、極めて冷静に語られている。ので、出てくる人間の四苦八苦が逆に引き立つ感じ。 テーマの重たさとは裏腹に訳文が明快、かつ一章が短いので読みやすい。最後オチをちゃんと説明する親切さもある。みなまで言わんでも…?みたいな章もあるにせよ、察しの悪い人間でも楽しめた。 時々ちらつくラブを栄養にしながら読んだ。総量は少なかったけど充分あった。

    1
    投稿日: 2025.01.10
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    ★3の上 シーラッハ先生の4冊目。 ドイツの作家さん。 やたら名前が長いので(フェルディナント・フォン・シーラッハ)シーラッハ先生呼びで今後もいこう。 「犯罪」 「罪悪」 「刑罰」 という短編集3部作のうちの1冊。 まちがって最後の「刑罰」から読み始めて「犯罪」「罪悪」と来たけど何も問題なし。連作でもないからね。 犯罪系短編集のノンフィクション風味。15の短編。一番短いのは3ページ。一番長いので33ページ。 凄いな〜。 唯一無二じゃないだろうかこの人。 短い話なんだけど重くて。 読んでる時間よりも読み終わってから目を閉じて考えてこんでしまう時間のほうが長い。 ズシンと来る。 正でも誤でもなくて。 正でも邪でもなくて。 善でも悪でもなくて。 神も魔もない。 痛みと哀しみだけ。 初めに、アリストテレスの言葉が引用されている。 ―物事をあるがままに― まさに。 前も書いたけど、この人、ネタの引き出しがめちゃめちゃ多い。 元刑事事件の弁護士だけあるわー。 今度はこの人の長編を読んでみようかな。「コリーニ事件」以外の。 ・ふるさと祭り ・遺伝子 ・イルミナティ ・子どもたち ・解剖学 ・間男 ・アタッシュケース ・欲求 ・雪 ・鍵 ・寂しさ ・司法当局 ・清算 ・家族 ・秘密

    40
    投稿日: 2024.12.29
  • 2話で断念

    語り口は"淡々"というより、体言止めを用いた新聞記事を読んでいるよう。 これなら実際の事件を新聞で読んだ方がいいやと思い手を止めた。

    0
    投稿日: 2024.06.14
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    『犯罪』と同じテイストで、濃淡ある表現で、とりたてて珍しくない普通の人たちが薄氷から落ちるまでと落ちたあととを描いた物語です。 のんびり読んだので、最初のほうは内容が抜けてしまいました……。最後の短編だけ、そのオチが他の短編とは異なり不気味さより面白さが先行していたことが印象的です。

    0
    投稿日: 2024.02.10
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    この短編集もバラエティ豊かで面白かったです。 淡々とした描写だけれど冷たくない。 罪を犯してるけど裁かれなかった事件や、これから罪を犯そうとしてた人が呆気なく…もあり。遣る瀬無くなります。 「アタッシェケース」「清算」に特に掴まれました。「清算」には、(そんな裁判官いるのか…)と思いました。 「秘密」はそうきたか!とちょっと笑ってしまいます。

    6
    投稿日: 2024.01.05
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    前作以上に短編のバラエティが豊かになり、シーラッハの才能を存分に味わえる1冊。 あまり感情を挟まない描写から、被害者や加害者の人生、言葉にできないような複雑な心の動きが、苦しいほど伝わってくる。 特に名作だと思うのは、冒頭の『ふるさと祭り』『遺伝子』『イルミナティ』。全て重量級の衝撃が胸に残る。 ショートショートの『解剖学』『アタッシェケース』も好き。世にも奇妙な物語みたい(もっと残酷だけど)。

    36
    投稿日: 2023.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「犯罪」とは確かに、また違った・・・ しかしながら、この、いや~な感覚は、「犯罪」以上か? なんていえばいいのだろう 罪を犯しているのに、罪に問われなかった からこその、いや~な感覚なのか? やっぱり、この世で一番恐ろしいのは「人間」なのか・・・

    0
    投稿日: 2023.04.26
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    ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の短篇集『罪悪(原題:Schuld)』を読みました。 「ハラルト・ギルバース」、「アンドレアス・フェーア」に続き、ドイツ作家の作品です… 「フェルディナント・フォン・シーラッハ」作品は、約2年前に読んだ『犯罪』以来ですね。 -----story------------- 罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。 ──ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。 秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。 何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。 弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。 「このミステリーがすごい!」第二位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作! 解説=「杉江松恋」 ----------------------- 2010年(平成22年)に刊行された短篇集で、以下の15篇が収録されています… たった3ページの短篇というより掌篇というべき作品もあり、前作よりも、一つひとつの作品が短くて読みやすかったですね。  ■ふるさと祭り(原題:Volksfest)  ■遺伝子(原題:DNA)  ■イルミナティ(原題:Die Illuminaten)  ■子どもたち(原題:Kinder)  ■解剖学(原題:Anatomie)  ■間男(原題:Der Andere)  ■アタッシュケース(原題:Der Koffer)  ■欲求(原題:Verlangen)  ■雪(原題:Schnee)  ■鍵(原題:Der Schlussel)  ■寂しさ(原題:Einsam)  ■司法当局(原題:Justiz)  ■清算(原題:Ausgleich)  ■家族(原題:Famllie)  ■秘密(原題:Geheimnisse)  ■解説 杉江松恋 後味の悪い嫌な印象を残す物語の展開は、この第二作でさらにパワーアップ… でも、それがリアリティを感じる要因でもあるんですよね、、、 嫌だなぁ… と思いつつも、ページを捲る手が止まらない作品群でした。 そんな後味の悪い作品の中でも特に印象に残ったのは『ふるさと祭り』かな、、、 小さな町の六百年祭、ともかく熱い8月1日に、きちんとした仕事をしている人たちのブラスバンドのサークルでひどい暴行事件が起こる… 17歳の娘が楽団員たちにレイプされ、被疑者は楽団員の8人全員で、そのうちの誰か1人が事件を通報していた。 刑事訴訟では、被疑者は黙秘が許され、証拠を提出しなければならないのは告発側… 弁護士とは因果な商売で、明らかに犯罪者と分かっていても、そして裁かれるべきだと分かっていても、そちら側の利益に尽くすしかないんですよね。 やりきれない気持ちで読み進む物語が続くのですが、『鍵』については、ロシアの女にカミソリで大腿動脈を切られるシーンで、気分が悪くなりそうになりました… 刃物には弱いんですよねぇ、、、 大切な鍵を犬が呑み込んでしまい、糞まみれになって鍵を探すシーン等、ちょっとコメディの入った作品かと思って油断して読んでいたのに… このシーンの影響で、ある意味、忘れられない作品になりました。 珍しく嫌な感じが抑えめでカタルシスを感じれられるた『清算』も印象に残りましたね、、、 「アレクサンドラ」の結婚した相手は酒を飲むと暴力をふるった… それでも、我慢を続けた「アレクサンドラ」だったが、夫から「娘が10歳になったので俺の女にする」と聞き、さすがに許せなくなり、夫が寝ているときに彼を撲殺。 そして裁判では… 明らかに情状酌量の余地がある罪とは言えない罪でも行為としては犯罪になってしまう、、、 というのを大岡裁きで逆転させる展開… 珍しく痛快な筋書きでしたね。 最後に収録された『秘密』は、狂人と私の立場が入れ替わってしまうラストが象徴的… 作品の最終話を飾るに相応しいオチでした。 本シリーズ… 読みたくないけど、でも、読んでみたい… 魅力と嫌な感じが同居した、不思議な作品群ですね。

    2
    投稿日: 2023.03.25
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    感情を抑えた文体で、とつとつと語られるように感じるが事件の内容自体は非常に凄惨なものも多くあった。翻訳小説が苦手な私でも読みやすく感じました。

    0
    投稿日: 2021.12.29
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    2020年9月11日読了。 ・ 前作『犯罪』に次ぐ15編からなる短編集。 ・ 『ふるさと祭り』 『遺伝子』 『イルミナティ』 『子どもたち』 『解剖学』 『間男』 『アタッシュケース』 『欲求』 『雪』 『鍵』 『寂しさ』 『司法当局』 『清算』 『家族』 『秘密』 ・ 前作『犯罪』と同様に、弁護士である『私』の周りで起きた、犯罪に手を染めてしまった者・巻き込まれた者・関わった者達についての様々な話が収められている。 ・ 読んで思った事は前作よりも重く、切ない内容の話が多い気がした。 『ふるさと祭り』『イルミナティ』『寂しさ』『清算』など、女性や子供が恥辱や暴力を受ける作品は心を傷めずにはいられない。 人権を尊重する為に被疑者の弁護をする弁護士という存在が必要なのは理解出来るが、明らかに加害者である者であっても検察側の証拠提示不十分・弁護次第によっては何の罪にも問われず、被害を受けた者やその家族の気持ちを想うと居た堪れず、制度の不条理さを感じてしまう。 ・ その反面、『解剖学』『鍵』『秘密』など、ユーモラスな作品もあり楽しませてくれる。 『解剖学』はまさにショートショート。たったの3ページで起承転結が見事に成立している。 『鍵』はエンタメ要素が強く他とは一線を画しているし、『秘密』のラストのオチは落語に通じるものを感じさえした。 ・ 前作の『エチオピアの男』のような心が温まるような救いのある話が今作では見受けられなかったのが少し残念。 強いて言えば『雪』がそれにあたりそうな気もするが、やはり切なさの方が勝るかな。 ・ 全体的に重く暗めの読後感だっけど、前作に負けず劣らずバラエティ豊かな作品だった。

    5
    投稿日: 2020.09.12
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    ふるさと祭りで突発した、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社にかぶれる男子寄宿学校生らによる、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こした悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠した真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。 第二短篇集。飛ばし読みには向いていません。じっくり味わった。

    2
    投稿日: 2020.07.04
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    2020.5.16読了 前作「犯罪」に劣らない完成度の高い作品群だった。 弁護士である作者が経験を元に創作したと思われる刑事事件が並んでいる点で前作と構成は変わらないが、異なる点として、作品数(前作が11作であったのに比べ本作は15作。「解剖学」(3頁)等掌編が含まれるから)の他、文庫版の解説にもあるようにテーマの違いが挙げられるように思う。 ただし、解説者の言う、前作は「憐憫」、本作は「嘲笑が基調」と言う見方は素直に受け入れ難い。 前作はあくまで「犯罪」そのものにスポットが当てられ、事件の加害者になってしまった人々の背景、経緯、動機といったところに関心がおかれたが、本作はもう少し広く、人間がそもそも抱えている「原罪」とその周辺を照らしているように思う。 感情を抑制し淡々と綴られる短い文章の連なりに、人生の悲哀とこの世界のやるせなさ、稀に顔を出す希望と言ったものが立ち現れ、深く印象を残す。 平凡な日常というのがこの上なく幸福なことなのだと思い知らされる気がした。

    5
    投稿日: 2020.05.17
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    短編集でどれももやっとしたり、おお、と思ったりとなんかしら後味を残されるものばかりで一気読み。 ただ、前作の犯罪を先に読みたかった…!失敗した! また犯罪も読もう、そしてこの作家さんの他の作品も読みたいと思った。 イルミナティ、子供たち、解剖学、司法当局がなんかよかった。鍵はエンタメチックでこれはこれで好き。

    3
    投稿日: 2019.07.15
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    “青い”の反対はなんだろう? この前に読んだ『空気の名前』が青いなら、こちらは。。。黒い? 高め安定。 ミステリーファンならこれは読まなくては。 いやミステリーじゃないか、現実に基づいた犯罪短篇集。 人って。。。

    1
    投稿日: 2018.11.14
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    「犯罪」に続く短編集第2弾。 正と悪、罪と罰という風には割り切れない話の数々。 特に冒頭の何編か、重い影のようなものを置いてゆく。やるせなく、切なく、心に残った。 簡潔な文章のよさを、今回も感じた。

    3
    投稿日: 2017.06.05
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    「犯罪」よりも表現がえぐいところがあり,ところどころ読むのがきつかったかも。「解剖学」は結末が面白かった。小説では運転手に情状酌量が認められたような終わり方でしたが,日本ではどうなんでしょう?

    1
    投稿日: 2016.10.04
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    第一作の「犯罪」に似た短編集です。どの短編も読了感は悪いのですが、読んでいる最中は先が全く予測できず、先を読みたくなる欲求を抜群に秘めた作品ばかりでした。

    3
    投稿日: 2016.06.24
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    あ、あれ…?前作の「犯罪」が好きだったから手に取った続編。のはずなんだけど、こんなだったっけ…? ざっとしか読み比べてないから違うかもしれないけど、随分「小説」に近づいた印象。前作は裁判記録や弁護士として聞いた証言から「最低限の物語」を抽出していた感じがする。表現は端的で正確、筆者の想像力は最低限に抑えられている、それでも溢れる人間味、ドラマ。そんなところに魅力を感じていたような。 今作はより作者の想像に彩られている。言ってしまえば事件中の会話が増大してる。「鍵」なんかはもうクライムノベルだよね。もちろん楽しんだけど、期待とのギャップが、、、うーん。 こんな批判はあんまりフェアではないとも思ってるんだけど。キャラクターが豊かになったとダメ出しする編集者は現代には多くない気がする。前作は極論誰でも書けてしまうわけで、作者の個性の表れは成長と進歩だ。 でも、うーん。やっぱり前作の方が好みだったな!

    1
    投稿日: 2016.06.15
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    心が痛む話が増えた気がする…でも、実際にこういった出来事は今、この瞬間にも世界のどこかで起きていることかもしれなかい。 小説というには、現実的すぎて怖くなる。 でも、また読みたくなってしまう不思議。 早く続きが読みたくて、駅のホームと、信号待ちで、歩きスマホならぬ、歩き読書をしてしまったわ(笑)

    1
    投稿日: 2016.05.22
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    「父は1944年、ナチによって死刑の判決を受けた。 (家族) : 理解できず 罪悪を感じるということが、訴訟とまったく別物である(ふるさと祭) 私は減刑を求め ヴァラーは火ばさみで赤く焼けた炭をつついた。

    1
    投稿日: 2016.04.26
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    20160423 今度はどう騙されるのか?意外性の有るストーリー展開が読んでしまう理由。短編だからできることというよりもこうしたいから短編なのだと思う。

    0
    投稿日: 2016.04.23
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    短編集、というよりかは、ショート・ショート集といった一冊。どの作品も「すっきり爽快!」とはなりませんが、強く印象に残る感じ。うまく言えませんが(汗) どれも甲乙つけがたいですが、個人的には『家族』が良かった。

    1
    投稿日: 2016.04.09
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     ミネット・ウォルターズの中編『養鶏場の殺人』が、とても強く印象に残っている。ウォルターズとしては珍しく、実際に起きた事件を小説化したものであり、やはり実際に起こったことのほうがむしろ小説よりも奇という場合もあるのだな、とじわじわと背筋に迫る人間の怖さを感じたりしたものだ。ついでに言えば、当該作品は、2006年イギリスのワールドブックデイにクイックリード計画の一環として刊行されたものであり、普段本を読まない人に平易な言葉で書かれた読みやすい本として提供されたそうである。  さて、本書『罪悪』は、日本国内でも上位にノミネートされて話題を呼んだ『犯罪』に次ぐ、現役刑事弁護士シーラッハの第二短編集である。『養鶏場の殺人』を想起させたのは、シーラッハの作品がミステリという枠を超えて、どんな読者にも、ともすれば普段本を読まない人をターゲットにして読んで頂いても、読みやすく、そして感銘を残すのではないだろうかと、ぼくの中で勝手に想像が働いたからだと思う。  おまけに『養鶏場の殺人』と同じく、シーラッハは現実に体験した事件から材を取っている。そのために、普通のミステリーでは描けないほどの人間の不思議さに迫る作品がむしろ多いように思われることだ。亡き叔父の遺した「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうものの一つだ」という言葉を刑事弁護士という仕事に取り組んでいるうちに、徐々に自らに身についてきた真摯な眼差しなのであろう。  主人公「わたし」の登場し扱ってきた事件の題材という形をどの作品もどうであれ採用していることで、それぞれの人間の起こす奇妙な罪の群像にリアリティという光を与えている点にも注目される。刑事告発された罪は、見たままのものではないことが多い。むしろ「込み入っていることが多い」のである。  偶然が罪を生じさせる有機現象のように見えるものもあれば、人間の弱さや懐疑心が唐突に、もしくは長い時間をかけて貯蔵され、唐突に喫水線を超えることもある。世の中のミステリ小説は、こうした人間の不条理を扱って模索されるものが多い。しかしシーラッハは極端に煮詰め込み濃縮し切った超短編という形でいくつもの例題を提示する。それはそれで恐ろしさをナイフの先のように読者の心理に突き立てる。文章のあざとさというより、文章の選ばれた短さ、断面性のようなものが、彼の作品ををよりスリリングなものに磨ぎあげているとしか言いようがない。  シーラッハという読書的新体験ゾーンへようこそ、と言ったところか。

    2
    投稿日: 2016.03.21
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    大傑作『犯罪』に続くシーラッハの短編集。語り手の弁護士である「私」が手掛けた事件を淡々と語っていくという趣向は前作と変わらない。今回は10ページ未満の掌編が多く、前作とほぼ同じページ数で収録作数が11編から15編に増えている。 前作を凌駕しているかといわれるとちょっと微妙だけど、収録作はどれも水準以上の面白さなので読んでみて損はないと思う。必要以上に描写せず、読者の想像に委ねるところは相変わらず美点だと思うので、ミステリ好きの読者だけではなく純文学好きの読者にもぜひ一読いただきたい。 次は長編だ。

    0
    投稿日: 2016.03.12
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    前作の『犯罪』と同じ系統の15編の短編を収録。 短編と言うよりも掌編小説と言った方が良いような小品もあり、前作に続き、不思議な魅力を感じた。全ての短編が創作なのだろうか。極めて淡々と冷めた視点で様々な市井の人びとの罪を描いた短編ばかりたのだが、救いのある短編もあれば、喪失感だけが残る短編、ミステリーの要素を感じる短編が混じる。 短編に描かれる数々の人びとのの罪は現実に起こりうるものばかりだ。もしかしたら、短編に描かれる登場人物の名前は単なる記号に過ぎず、主人公は人間ではなく、人間の犯す罪なのかも知れない。これは、最後の作品の『秘密』に著者の名前が出たのを見ると、あながち的はずれではないように思った。

    2
    投稿日: 2016.02.20