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忘れられた巨人
忘れられた巨人
カズオ イシグロ、土屋政雄/早川書房
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総合評価

139件)
3.5
24
39
49
8
6
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    このレビューはネタバレを含みます。

    かなり読み終わるまで辛かった。難解。 老夫婦が息子のの住む村に行く間のファンタジー? 記憶が消されたり、夫婦が離れ離れになったり、とてもついていけなかった。 老夫婦はその後どうなるのか? 私の読解力のなさで、なんかモヤモヤ霧に包まれたように終わった。

    0
    投稿日: 2025.10.12
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    難しかったけどなぜか読みきれた。 「霧」は認知症のことなのかな、最後のボートの行き先は死後の世界なのかな、息子を探す旅は長い夫婦生活で起きることかな、と解釈した。 あと「霧」は不幸なこととして捉えられてるけど、本当に不幸なだけなのかな。と思わされた。

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    3.5 なかなか読むのに苦戦しました。読んでも読んでも進まない感じ。大きな出来事も淡々と語られていく。世界観はファンタジーだが、モチーフは不変の愛はあるのか?がテーマかな。我が身を振り返ってしまう。最近、連れ合いには優しくしてないな。まあお互いにやけど。それでも読んで良かった。別の作品にも挑戦したい。

    0
    投稿日: 2025.08.09
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    うーん、やはり外国の物語は苦手。 特にカズオ・イシグロさんのは三作品めだと思うが、全部苦手。 これまで読んだ中では最も読みやすかったが、雌竜を退治するところまでは星三つペースでしたが、最後の最後に星二つに。 最後のあの終わり方はないわ〜。 良かった〜って思えず、ガッカリです。

    46
    投稿日: 2024.03.14
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    感想 記憶。無くしてしまえば楽。楽しいことも悲しいことも何もない。神から授けられた救済。前を向いて歩いて行くための準備。

    1
    投稿日: 2024.01.27
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    この作家さんの3冊目ですが、やはり独特の雰囲気がありました。外国の作品だからでしょうか?途中解りにくい所があるので、何回も読むぐらいな熱心さが必要かもしれません。

    3
    投稿日: 2024.01.26
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    記憶がなくなる、ということは、嬉しいことや悲しいこと、怒り、憎しみなどの全ての感情を忘れていくこなのだ、と感じた。 忘れるということは、ある意味幸せなことなんだろうな。

    2
    投稿日: 2023.07.14
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    ファンタジー設定を借りてはいるが、本質的には全くファンタジーではなかった。 主題が決して、冒険でも成長でも達成でもない。 人と人の繋がりの本質。愛情の物語。

    0
    投稿日: 2023.07.11
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    "まるでおじいちゃんおばあちゃん版のドラクエみたいだな"のレビューが気になって手にとりました♪ ドラクエと言えばFC版のドラクエⅢ あのこわ〜い音楽に合わせて、「おきのどくですがぼうけんのしょはきえてしまいました」のメッセージが出たときのショックは今でも覚えています…w けど、本書は大丈夫! 途中でしおりを挟んでおけば消えることはないでしょう! 安心して続きから始めれます! ドラゴンクエスト風に カズオ・イシグロエスト 〜忘れられた巨人〜 主人公はアクセルとベアトリスの老夫婦 遠い地で暮らす息子に会うために冒険に出かけます 冒険に出るこの大地は人の心や記憶に影響を及ぼす「奇妙な霧」に覆われている ルイーダの酒場はありませんが、戦士や少年、老騎士たちと出会い旅を共にします スライムは登場しないが悪鬼、悪魔犬、妖精、竜などが登場 これら魔物たちに立ち向かい次々と襲いかかる試練をクリアすることはできるのか… そして、息子と再会することできるのか… ほん3さん、ドラクエを紹介して頂いて… じゃないっ!w 『忘れられた巨人』を紹介して頂いてありがとうございました♪ 楽しい冒険でした(^^)

    47
    投稿日: 2023.05.08
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    老夫婦が息子に会いに旅に出るのですが、戦士や鬼に噛まれた少年や年老いた騎士と会い、寄り道?をしつつ旅を続ける話。 ファンタジーでした。 竜の吐く息により、記憶を失ってしまう世界が舞台。 老夫婦の仲がとてもよく、解説にも老夫婦によるファンタジーと書かれてありましたがその通りです。 ただ、とても読むのに時間がかかりました。(特に最初の方) 読み終わったあと、一瞬、?となりますが、事態を把握すると切ない話でした。

    1
    投稿日: 2023.02.02
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    忘れることだけが復讐と正義という大きな雄叫びを巻き起こさないことなのだろうか。 正義を声高に叫ぶものほど復讐心を燃えたぎらせているのかもしれない。 それは大きな巨人だ。 それを静かに眠らせて起きたいものもいれば起こしたいものもいる。 それを人種間そして二人の老夫婦の間で描ききった本作。静かながらもダイナミックな底流を感じさせてくれました。

    1
    投稿日: 2023.01.15
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    読んでいくうちにこれは童話ではないか、と思うようになった。守り人と同じようなプロットである。挿絵がないだけで、漢字にルビを振れば子どもが読める本である。竜退治という最終目的とアーサー王の騎士が出てくるのでイギリスであるが、日本の子どもでも読める。

    0
    投稿日: 2022.05.05
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    最初のページから、いきなり6〜7世紀のブリテン島にタイムスリップしたような感覚を覚え、物語の中に知らず知らず惹き込まれていく。カズオ・イシグロが一流のストーリー・テラーであることをあたらめて実感させられた。

    0
    投稿日: 2022.01.23
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    作中にでてくる「霧」のように 物語も文も霧に包まれたような 不思議…というかボンヤリと進んでいく感じ. グイグイ読み進めるというよりは ん?? んん??と思いながら毎日少しずつ読み進めました. 読む人によって大分印象が変わるだろうなぁ… 私は面白かったです. 過去の記憶をとりもどしたアクセルは今後どうするんだろう?? 少年と戦士はこの後どうするんだろう?? それは自分で考えてね.って事?? 読んでる途中もだけど 後からジワジワ色々考える内容でした.

    0
    投稿日: 2022.01.06
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    過去の歴史、愛憎、民族、伝説、記憶。一気に編み込まれている。呪いが解かれ、記憶が全て取り戻すことは幸せか。老いていく人は記憶をはっきり持っていることだけ望んでいるわけじゃないかな。イギリスの曇った自然が目に浮かびます。 『クララとおひさま』を読んだ後なので、まだ霧が晴れない重い感じか残ってしまいました。

    1
    投稿日: 2021.11.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    新刊も出たのに読み終えていなかったので、骨を折りながら読了。 カズオイシグロの作品は設定を選ばないだけでなく、文体を選ばないとでもいうか、自分が老騎士になったかのような、目の悪さ、耳の遠さ、記憶の不確かさを追体験させられ、老人の嫌さ加減を散々味わった気になったところで、心と体も強靭なことがわかり、自分の先入観をいい意味でひっくり返された。

    0
    投稿日: 2021.10.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    雌龍の息によってさまざまな記憶を失った老夫婦が息子がすむ村を目指して旅をする。例によっていつまでも辿り着けず、そこはもう慣れたものであります。鬼とか妖精などが日常的に登場して、アーサー王のころの神話が舞台になっています。きっといろいろな伏線や神話との合致点があるのでしょうが、そこを楽しめないのが残念です。だから☆4つ。

    0
    投稿日: 2021.01.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    忘却も世の営みには必要。 アーサー王の時代のファンタジー世界を舞台に民族間対立・夫婦関係を描く。持って回った描写が著者流。

    0
    投稿日: 2020.12.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    奇妙。読みにくいことはないのだが、なにやら奇妙な話だったなあっというのが正直なところ。 アーサー王伝説あたりの知識があればもっと面白かったのかも。 大事な記憶をいつのまにかなくしてゆく。 それは悲しいことだけれど同時に救いでもあるのかもしれない。 記憶をなくす原因が竜、というのはなにかの比喩的なものなのかとおもっていたけど、ほんとにいた。 確かにファンタジー。 でもそうしたのはマーリンだったという驚き。 憎しみを忘れさせることで、平和を保つ。 そもそも憎しみが生まれるようなことをするなよ、と思うのだけれど… メインの老夫婦は強く想いあっているようで、 決定的に分かり合えてないのでは、とも思ったり。 原文だとどういう呼びかけなのか、と思うのだが、「お姫様」が、最後までなんか慣れんかった。 普通に名前で読んだのじゃダメなのか。 船頭さん、どうあってもアクセルを渡しそうにないよなあ つーかあの島に息子のはかがあるとか言ってたけど、 もしかして死者の島ってことなの? うーんよう分からん。 村上春樹っぽいなー 謎めいたところを読み解くのが向こうの人は好きなのかなあ?

    2
    投稿日: 2019.05.19
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    都合の悪いことに目をつぶって幸せに暮らすことはできるけれど、それでは本当の心の充足は得られない…ということか。都合の悪いことを受け止めて、なおかつ心の平穏を保って生きていくことも困難なことだとは思うけれど。関係ないのだが、読み終わってから、SNS時代の情報収集のあり方に思いを巡らせてしまった。

    0
    投稿日: 2019.05.06
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    読みにくいよねぇ・・・ なんでかな・・・ 全体の構成というか、そんなものはわかった気がするが、なかなかストンとくるものがない、というか、 でも、「わたしを離さないで」だってそうだったかも。 後でじわじわ考えさせられるというか・・・ 息子のこととか雌龍のこととか、騎士と戦士、修道院の役割、エドウィンの母親についてとか。 忘れられた巨人ってなんなのか、一言だけその言葉が出てきて、そっか、とは思ったが、それかな、やっぱ大事なのは。

    0
    投稿日: 2019.04.17
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    カズオ・イシグロの本を読んだのはこれが初めて。 目に留まったから読んだのだけれども、 異世界のファンタジーだった。 夢の中にいるようで、夢だと合わなくなるつじつまも、最後まで合わせてくる。とはいっても現実世界、夢の話か実体験の記憶か、案外わからなくなる時がある。個人の記憶、集団の記憶、作られ書き変えられるもの。 この本を通して得た想像の記憶も、少しずつ薄れるし何かと混ぜ合わされるんだろうな。 そうやって想像力とか世界とか、広がればいいなって思うし、同時に唯一確実な今、今自分が感じること、今目の前にいる人、をしっかり向き合おうと思った。

    0
    投稿日: 2019.03.25
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    母の本棚に残されていた一冊。 「何を忘れ、何を記憶するのか」によって人や共同体の考え方は大きく影響される。読みながら、頭の中をモヤモヤとした霧がかかった中を少しずつ物語が進んでいく。少し読みにくい文章ではあるが、それもまたこの物語の雰囲気にあってたような気がする。 自分の記憶しているものの上で、自分の人生は進んでいく。同じ事実でも記憶により別の人生が生まれる事を認識させてくれた作品。

    0
    投稿日: 2019.03.25
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    友人に カズオ・イシグロの本を貸してとお願いしたら、最新の本が届きました。 面白そう。と思って読んだが、なんだかイマイチ。 ノーベル賞作家だからという前提で、とりあえず時代に遅れないようにと思って読んでいるが。 2017/10/13 友人に借りる。10/16 読み始める。10/19 最初はしっかり読んで、途中からは飛ばし読み、最後はきちんと読む。 その後読み返すかどうか? ノーベル賞という言葉に翻弄されたくない。ざっと読んでもう十分。 『わたしを離さないで』も、TV再放送を途中まで見たが イマイチ。 11/27 友人とランチをして本を返却しました。ありがとうございました。 忘れられた巨人 ・ URLはこちら https://wired.jp/2015/08/10/kazuo-ishiguro-interview/ 『「問い」から生まれるファンタジー:問題作『忘れられた巨人』をカズオ・イシグロが語る - Wired 』 :  ・ URLはこちら http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/062500009/ 『今の日本なら「忘れられた巨人」と向き合える:日経ビジネスオンライン 』 :   10年ぶりの新作に込めたカズオ・イシグロの思い 友人から レターパックライトで届きました。 → URLはこちら https://youtu.be/VMDQGDmbqF8 『レターパックライト 』 :  内容と著者は 内容 : 『忘れられた巨人』(英語: The Buried Giant)は、日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロが、『わたしを離さないで』(2005年)から10年ぶりに書いた長編小説。 2015年3月にイギリス・アメリカで同時出版された。 侵入するサクソン人(アングロ・サクソン人)に対抗したという伝説のアーサー王が亡くなってしばらく経った、現在イングランドと呼ぶ地域を時代背景に、ブリトン人の老夫婦が息子を訪ねて旅をする話。 著者 :  カズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro OBE, 漢字表記:石黒 一雄、1954年11月8日 - )は、長崎県出身の日系イギリス人小説家である。 1989年に長編小説『日の名残り』でイギリス最高の文学賞ブッカー賞を、 2017年にノーベル文学賞を受賞した。ロンドン在住。  

    0
    投稿日: 2019.01.12
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    カズオ・イシグロがファンタジーを!という点で話題になっているようだが、確かに竜や鬼や妖精などが出てくるものの、さほどファンタジー色は強くなく、やっぱり純文学の印象。 6世紀頃のイングランドが舞台で、ブリトン人とサクソン人の争い、とかあんまりピンとこないのだが、荒涼とした自然を舞台にした冒険旅行記である。 といいつつも、旅をする主人公は老夫婦であり、その他老騎士なども登場して、アクションシーンはあるものの全体としての流れはゆったりとしている。 夫が妻を「お姫様」と呼ぶ、老夫婦の純愛が全編に通底し、『日の名残り』にも通じるような気品が漂っているのだが、その一方、霧が晴れたときにあらゆることが覆されて惨禍へと陥る予感に満ち溢れる不穏さが常につきまとう。 その妙味に身を委ねるのがこの小説を読む醍醐味だろう。 けっして「面白い」小説ではないが。

    0
    投稿日: 2019.01.06
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    前作の「わたしを離さないで」があまりにもよかったので、迷わずに購入。通勤電車で切れ切れに読むのもどうかと思っていたので、このお盆休みに集中して読んだ。「わたしを離さないで」ほどストーリーそのものに引き込まれるわけではないけれど、いろんなことを考えさせられる。民族としての、あるいは個人としての記憶とはどういうものなのか。読んでいるときは、ちょうど広島長崎、戦後70年の時期だったわけで、「日本人は歴史を忘れやすい」ということも言われたりするんだけど、それは本当に悪いことなのか。忘れることと赦すことはどう違うのか。 でも、アクセルとベアトリスという老夫婦のように、僕らはちゃんと記憶と向き合って、そのうえで自らの意志で赦したり赦されたりしていくことが必要なんだろう。 ストーリーとしては、老夫婦のラブストーリーがいい。(たとえ物忘れが激しくなっても)こんなふうに二人で年を取りたいものだと思う。 それにしても、日本のメディアに出ているイシグロのインタビューの写真をみると、どうしても(元)切込隊長を思い起こしてしまうのだけど、ネットを検索するとそれは僕だけではないようだ(笑)。 ちなみに、久しぶりに読んだ紙の本だった(仕事関係を除く)。もう文庫は読めないけど、これくらいの字ならあまり苦労しないですむ。

    0
    投稿日: 2019.01.05
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    伝説のアーサー王の直後の時代、6世紀初めの英国。遠い地に住む息子を訪ねて老夫婦アクセルとベアトリスが旅に出る。アーサー王の甥の老騎士ガウェイン、また戦士ウィスタン、子供エドゥインたちと出会いながら麗しい思いやりに包まれて旅を続ける2人。竜、鬼、なぞの怪物などが登場するファンタジーの世界は子供心に戻ったような懐かしい思いを感じさせてくれる。このまま「指輪物語」「ナルニア国物語」になりそうなお話。そして終章で夫妻の隠された驚きの過去が明らかに…。舟渡しの船頭が必ず発する質問が二人の絆を試す!ファンタジーの世界ながら、言葉の奥底に潜む人間性を表す表現が深い!

    0
    投稿日: 2018.12.16
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    やはりカズオ イシグロの作品はとても面白いですね♪ 記憶が霧に消されている時代の老いた夫婦が息子を訪ねる旅に出るところから始まった物語は不思議な臨場感を伴いながら読者をブリテンの神話世界に誘うけど門外漢の私達にも違和感無くいにしえの世界を旅させて呉れる。「忘れられた巨人」との邦題になっているけど原題(埋められた とか葬られた)のほうがピッタリな気がする。それにしても面白かった!

    4
    投稿日: 2018.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんか、『わたしを離さないで』をイメージしていたから、読んでいると『???』と思ってしまう。翻訳者が私と合わないのかな? もう、読了しなくてもいいかな…。

    0
    投稿日: 2018.11.29
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    読んでる最中はハラハラしながらすごく引き込まれてあっという間に読み終えたのだけれど、終わってみれば霧の中、結局何が言いたかったんだ?と、呆然、立ち尽くす、そんな読後感。 鬼、霧、赤い髪の女、夢、蝋燭、黒後家、兎、船頭、島、雌竜、戦士、山査子、全てが記号?でも一体何の? もう、置いてかれ過ぎて、考えてもわからないから、ネット上の色々な方の書評や考察、また、作者ご本人のインタビュー内容で答え合わせ。 結果、全っ然違うこと考えて読んでたわ、自分。何故だろう、冒頭から一つの仮説に囚われ過ぎて、結局、物語終盤までその疑念が拭えなかった。 その仮説というのも、実はこの物語に登場する人物全員、本当は「霧」になんて全然影響されてなくて、皆んな忘れたフリをしてるだけ。都合の悪いことを作為的に忘れ、自分自身も騙してるんじゃないかとか、そんなこと。 だって、皆んな忘れているようで本質的なことは忘れてないように見えたし、「霧」の影響がすごく限定的に思えたから。アクセルも、ベアトリスも、お互い、ずっと何かを隠しているみたいな風に思えたから。息子について語る二人の会話が妙に白々しく思えたから。そして極め付けは、船頭とアクセルとの会話の中で明かされる息子の死が、突然でありながら、静かでさりげな過ぎたから。(でも読み返してみると…”爺さんはおれの足音を聞いて 、夢から覚めたような顔で振り向く 。夕方の光を浴びた顔には 、もう疑り深さはなく 、代わりに深い悲しみがある 。目には小さな涙もある 。”と、ここで思い出したのかなと読みとれますね。) ていうか、その仮説でいくと、雌竜クエリグのくだりから辻褄合わなくなってくるんだけどね。うむ。ウスウスは矛盾に気づいてはいたんだけどね、ホントは、ね…いやはや、解釈はむつかし。 ポストアーサー王の時代設定プラス、ファンタジー要素により、作者のメッセージが見えにくくて、他の方のレビュー見ても、評価が二分してる。物語にメッセージ性を強く求める人たちには不評みたいだけど、イシグロ氏はアクティビストではなく文学者。敢えてこの設定にする事で、物語に普遍性を持たせようとしたのかな。時代を経ても語り継がれるアーサー王の伝説みたいに。

    0
    投稿日: 2018.08.30
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    物を忘れてしまう。 つい最近の事なのに、、、と、アクセルとベアトリスの老夫婦。 そして、同族の集まる集落に居るのに、いつからなのか、村八分のように、蝋燭も取り上げられて、暗い夜を明かさねばならない日々。 時は、6世紀の物語なのであろうか? 伝説のアーサー王が、姿を消したブリテン島である。 騎士、魔法、妖精、が、登場する島。 物語が、わかるためには、この地に、サクソン人のサクソン系と、ブリトン人のケルト系が、登場して、勝手、どちらもが、敵同士で戦った者たちである。 そして、奇妙な霧のおかげで、昔の争った出来事など、忘却の隅に追いやらて、平和の世界で、安寧している。 主人公の老夫婦が、居なくなった息子を探しに、旅へと出発。 そして、竜の吐く息で、記憶がなくなることで、戦士や、胸に傷をつけられた少年と道ずれに、物語が、進んで行く。 少しづつ、記憶が戻って来るような主人公の夫婦が、語る物語。 人間は、忘れていた方が良い、憎しみ、妬みなどの部分と、覚えておきたい、幾つしみ、愛情、楽しさ、嬉しさなどが、全て霧の中に巨大なものとなって、封印されていたら、、、、 それが、全て、全土に散らばって、記憶が戻った時に、どう感じて、何をするのだろう。 作者 カズオ・イシグロは、この本はラブストーリと、言っていたのだが、最後の第17章で、妻をお姫様と、言っていたアクセルは、昔の事 妻の不貞と、息子の死も思い出してしまう。 最後まで、2人は、抱き合い別れを惜しんだのに、、、、一人づつの船に乗ることで、アクセルは、船頭が、戻った時に、その場にいるのだろうか? 記憶とは、、、思い出しても、憎しみを水に流せるようなものであれば、時の流れが風化してくれるかもしれないが、、、突然に、記憶が、鮮明に戻って来たら、どうだろうか?と、、、 年を重ねると、昔のことは、よく覚えているけど、最近の事を忘れてしまう事が多い。 沢山の思い出の山から、嫌な物だけを除外して、良い思い出の山だけを残して置きたいと、思った。

    0
    投稿日: 2018.08.03
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    記憶を忘れた不安に揺さぶられながら物語がどう進むのかを這いながら読み進んで行ったのに、煙に巻かれて終わったような...私にカズオイシグロ作品は難しいのかも。

    0
    投稿日: 2018.07.02
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    あのカズオイシグロ氏の長編。 やはりイギリスにベースを置く作家は、ファンタジーの世界にも造詣が深くなるのだろうか? アーサー王が去り、円卓の騎士は年老いてもまだ生きていた時代のイングランドの話。 イメージ的には、トールキン指輪物語の第一部旅の仲間に非常に近い世界だが、もちろんトールキンの焼き直しではなく、イシグロ氏の設定した世界での完全なオリジナル。 派手に盛り上がるシーンはないが、情景描写が非常に細やかで、主人公の息遣いまで感じられるようなリアルさ。 そして深まる謎とその解決、展開。 じわじわと面白く、最後まで一気に読んでしまった。 面白かった。

    1
    投稿日: 2018.06.22
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    静か。だ。霧が深いところも。霧が晴れてしまった後も。 忘れるべき記憶とか、思い出さない方が良い過去とか、そういうのがテーマらしい。ある意味政治的ともいえる主題と、それに付随する読者のあーだこーだな五月蠅い解釈を、越え、貫かれる一本のしんとした静謐に、ただただ心を打たれた。

    1
    投稿日: 2018.05.24
  • 忘れるということ…

    中世のノルマンコンクエストの時代におけるブリトン人とサクソン人の歴史を踏まえながら、アーサー王物語を下敷きにしながら、全く新しい形のファンタジーに挑んだ作品です。老婦人二人は序盤から様々な伏線が散りばめられ、ガヴェイン卿、サクソン人の戦士、少年、竜などが登場し、内容は大人に向けて書かれていながらも、子供向けの警句的ファンタジー性を持っています。 カズオイシグロの本を読むと、この作家が完璧な英国人にはなれない敗戦国出身の日系人なんだなあとつくづく思います。カズオイシグロはおそらく華族出身なのでしょうが、それでも、全く、敗残した国の男というものは無残なものです。それが氏のライフワークではあるのでしょう。今作では、最後に近づくにつれブリトン人の悲哀として、宗教に頼るしかない状況に陥りながら、その宗教には否認されるというテーマにたどり着きます。最後のページに近づくにつれつくづくと日本人の国際的立ち位置の低下に思いを馳せてしまいます。そういう眼で見る時、忘却する魔法とはアメリカ人が見せてくれた夢、とかそういう解釈になるのでしょうか? …うーむ、深い。星5つ。

    0
    投稿日: 2018.05.17
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    世界観がすごい、というか、とにかく壮大だった。 読んでいて思わず上橋菜穂子作品を読んでいる錯覚に陥りそうになる。壮大なファンタジー作品というべきか。 老夫婦が遠方に住む息子を訪ねて旅に出る。その道程で出会った様々な人々や生き物。様々な風景。様々な出来事。 人物の交わす会話の中に、文章の中に、いろんな意味や暗示が込められている。愛と復讐と裏切りと恨みと。。。それらを逃さず読まなきゃと一語一句必死で読み進めていたらやたらと時間がかかってしまい大変だった(笑) 結末は、何とも言えない複雑な気持ちが残った。

    0
    投稿日: 2018.04.09
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    日本語タイトルは「忘れられた巨人」ですが、原語の意味は少し違うようです それは、今の日本そのものなのかもしれません 訳本なので原作はどうか分かりませんが、とても読みやすい物語です 舞台はあの有名ファンタジーを彷彿とさせますが、内容は作者の今までの作品との共通性を感じさせます 物語の結末が明解にされないところもそうですね 様々な人物が登場し、そちらの方が大きく変化していくのですが、主人公たちはどこか坦々と自分たちの人生を歩んでいきます しかし、その人生にも紆余曲折があったことが明かされていきます 何かを得たようで、何を得たのか分からないそんな話でした

    0
    投稿日: 2018.03.08
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    とうとう読みましたよ! 今までのカズオ・イシグロさんの中では、一番読みやすかった。 みんなで竜退治をしよう!というファンタジー。 いや、もちろんディストピア小説ではあります。 希望を持って読み進めていくんだけど、まただんだんいやーーな気持ちに(苦笑) 「忘れられた巨人」とはなにか、わかったときにどーんとまたいやーーな気持ちに… 浅いレビューですみません。(あずきこ)

    1
    投稿日: 2018.02.03
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    今まで読んだカズオ・イシグロの作品の中では一番良かった。 相変わらず会話がくどいところは勘弁して欲しいけれど、今回は、そういうシチュエーションなんだから仕方ないか。 あと、最後は、もうちょっと変えて欲しかった。

    0
    投稿日: 2018.01.20
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    アーサー王物語の世界が舞台のファンタジー小説。 カズオイシグロさんの作品は初めてではないけど、今まで読んだことがないような感覚で読み終えた。イメージを単語で表すとしたら「灰色」かな。 主人公のおじいちゃんが奥さんと会話するたびに「お姫様」と呼んでるのがかわいらしかった。

    0
    投稿日: 2018.01.17
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    冒頭はよくわからなかったけど、最後まで読むと忘れられない名作です。淡々とすすむ物語だけれどら感動が押し寄せてきます。ラブストーリーって、その通りなんです。

    0
    投稿日: 2018.01.08
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    子供の頃に読んだファンタジーのような世界。懐かしい面白さ。 これは翻訳の問題だと思うけど、言い回しが時々気になってしまって、途中で原著で読みたくなったほど。

    0
    投稿日: 2017.12.27
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    妻が職場の図書室から借りてきたので読みました。霧、竜、鬼、騎士、戦士、老夫婦、全て何かのメタファーなんだろうなあ。。。さすがノーベル文学賞、難しい。私を離さないで、もそうだったけど、読後感がスッキリしない。

    0
    投稿日: 2017.12.18
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    純文学とファンタジーのハイブリッドという感じ。アーサー王の世界の少し後の世界。文学的な印象が強めだけど、ファンタジーならではのモコモコした感じもあり不思議な読書体験になる。アーサー王を知らないでも伝わるものがあるけれど欧州の歴史を踏まえればそれはまた面白いものになるような気がする。とてもいい作品だった。

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    投稿日: 2017.12.18
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    ▶︎日本名だが、魂はイギリス人。翻訳物は意訳が難しいためか、人物の関係や話の展開が分かりにくい。いや、全く分からない。 ▶︎イギリスの気候風土と同じく、話の展開が霧の中 ▶︎4ヶ月かかって、やっと最終ページ。

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    投稿日: 2017.12.11
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    老父婦のファンタジー。サクソン?文化を理解できないと分からない部分があると思いました。もう一回読まないと理解できませんが、読むとヴィジュアルは浮かびます。

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    投稿日: 2017.11.20
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    老夫婦の冒険ラブストーリー、RPGをプレイしている感覚で読み進め、たのに、残っていく感覚はあれやこれや考えさせられる深いものだった。 しばらくしたら読み返すだろう作品。 友人と感想を言い合ったら結構解釈が違っていて面白かった。 曖昧でわかりづらい、むしろわからない、耐えられるギリギリのラインで、そんな部分も好きだった。 私自身忘れた過去、意図せずいつの間にか塗り替えた記憶、、あるけれど、なぁ。とかも思いながら読んでました。

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    投稿日: 2017.11.01
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    春樹を差し置いてノーベル賞受賞した、イシグロさんの本初めて読みました。 やぱねーノーベル賞とるんだもんさぁーそりゃ、なんだか小難しいなんかがあるんだろうなぁ。と、思わされたよね。 わたしみたいななーんも考えてない主婦が面白いーこの人一等賞ーではないんだよね。きっと。笑笑 だもんで、わたし的には教科書を読んでるような肩肘張った文体に、やたらめったらわかりやすいようなわかりにくいような、近いような遠いような表現方法が多数用いられ、国語の教科書に出てくるよな本。という感じから離れられず、内容は面白い?のかもしれないけど、どーも眠くなる感じ。わかりそうでわかりづらいけど、多分なんだかわからんその道ならではの表現なんだろうね。きっと。 わからん。どーにもこーにもわからん。 ただ、まぁ独特のファンタジーなのかな。

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    投稿日: 2017.10.29
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    うーん… 読むのにとても時間がかかった上に、読み終わってからもどうにも消化不良です。 人は総ての記憶を抱えたままでは辛すぎて行きていけないという事なのか… 憎しみを忘れても平和は訪れないのか… 長年連れ添った夫婦であっても所詮人は分かり合えないのか… …なんか救いがない…

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    投稿日: 2017.10.27
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    「わたしを離さないで」や「日の名残り」などの超名作の印象が強すぎ、どう読んでいいのか、非常に戸惑い、戸惑いのまま、物語が終わってしまった。もう一度読まないと、全く理解も消化もできていない。

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    投稿日: 2017.09.11
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    正直、「カズオ・イシグロがファンタジー小説かよ」と見下して読まずにいたが、おそらくかの作家における最高傑作。カズオ・イシグロの体質に最も合っているのではないか。 最初は、霧のせいにしているだけで、単なる高齢者の物忘れだろうとおもっていたのがドラゴンの吐く息にアーサー王臣下の魔法使いが魔法をかけて、ブリトン人とサクソン人の統治をするために長年利用してきたわけだ。 今後両民族の間の諍いは増えるだろうとか、夫婦は無事に二人で島へ渡れたかとか(これは、黄泉の国へ行くことで、ベアトリスは先立ったということなのかもしれない)、そういう物語の後のことは終わらせ方として納得できる。 しかし、最も疑問に残った、回収されなかった伏線がある。「なぜ老夫婦だけ村で燭台?を夜に使えなかったのか」ということだ。いや、まだある。「ベアトリスは、村に訪れた旅人の老婆?に何を言われたのか」、この老婆は休んでいる船頭のところにウサギを殺して嫌がらせをしていた老婆と同一人物なのか? 後者はそれで納得できても、燭台の件はどこにも落とせないので、なんとかしてほしいと思う。

    0
    投稿日: 2017.08.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    カズオ イシグロを読むのはこれが初めて。わたしを離さないでのほうが有名だけど。 アーサー王全く知らないけれど、Wikipedia によると彼の功績(伝説)の一つは、サクソン人の侵略からブリテン島を守ったことらしい。 少年漫画みたいだなー、というはじまりから、それぞれの謎の解決がわりかし早かった。 主語述語がきちんとある文章で、読みやすいというかよみにくいというか。くせがある文章のほうがもっと読み続けやすいかも。 わたしの理解が足りてないのかもだけど、Beatriceは文句ばっかりでどこがいい奴なのかわからなかったし、Axlは徒労の多い人生だな、というかんじで。ドラゴン倒したあとも、これで悲劇が、、、とみんなで言ってたけどそれSir Gawainが散々言ってたやん!何を今更!と。 知らぬが仏。

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    投稿日: 2017.08.02
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    巨人が誰なのかよりも、最終章の主人公夫妻を案内した人が気になる。 息子なのか、途中で出てきた船頭なのか、少年なのか…

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    投稿日: 2017.06.19
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    なかなか解釈が難しい作品でした。 人間、忘れていた方が幸せなのかそれとも全てを記憶していた方が幸せなのか・・・ もし、嫌なことも苦しいことも、全てを覚えていなくてはいけないとしたら、それはとても辛いのではないかと思います。 例えば、人間関係を通して嫌な目にあったとして、その記憶を薄めることができないとしたら相手をいつまでも許すことが出来ない気がするので・・・ 誰かを恨み続ける人生ほど辛い人生はないと私は思います。 物語のクライマックス、この老夫婦は最後これで良かったのだろうかと考えました。 読後、言い様のない切なさと寂しさが押し寄せて来る感覚が何とも言えない。

    0
    投稿日: 2017.02.21
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    カズオイシグロ初挑戦。静謐な文章とイングランドの淋しい風景が脳裏に浮かんで良かった。結局人はわかりあえないということか。本のタイトルが英語では「The Buried Giant」なので、実際には『埋葬された巨人』になるのだが、埋葬の方がテーマにはあってるよね。「忘れられた巨人が浮かび上がる」ところには震えた。

    0
    投稿日: 2017.02.15
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    著者の作品は「私をはなさないで」を読んだだけなので、あのイメージが強烈であった。 今回はどんな話なのか、期待しながら読み進めるとなんとファンタジー。 「指輪物語」的な世界観というか、本作の舞台がどうもイングランド的な感じからすると、「Q」(ルーサー・ブリセット著)に近いか。 アーサー王のことなどほとんど知らずに読んでいたが、サクソン人とかブリトン人などこの辺りの知識を持っていれば、さらに面白さが増したかも。 巻末『解説』によるそ、スコット・ルーディンというプロデューサーが本作の映画化権を獲得したとのこと。映画化されたらみてみようか。

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    投稿日: 2017.02.01
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    カズオ・イシグロの話題作…と言っても話題になったのはもうずいぶん前だけれど。忘却の霧に覆われたファンタジー的な世界における老夫婦の冒険と愛情を描いた作品だが、『充たされざる者』ほどの非現実感は無い。『わたしたちが孤児だったころ』の探偵小説的世界、『わたしを離さないで』の SF 的世界と並べてみると、いろいろなスタイルを模索している中での習作とも言えるが、それにしても前二作よりはやや劣る印象。

    1
    投稿日: 2017.01.22
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    記憶を消してしまう霧とか、強い力を持った竜とか、アーサー王に関わる騎士とか要素はすごく良いんだけれど、中身は中途半端というか浅いというか。文体、翻訳、キャラクター、どこに問題があるのかわからないけど、全体的に勿体無い作品だと思う。

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    投稿日: 2017.01.08
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    カズオ・イシグロと分かって読んでなかったら最後まで読み通してなかっただろう、というくらい取っつきにくい。なかなかハードルの高い本でした。

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    投稿日: 2016.12.10
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    アーサー王がアヴァロンに去ってから数十年後のブリテン島。そこでは、ブリトン人とサクソン人が平和に共存している。 人々から記憶を奪う不思議な霧に覆われたこの世界で、年老いたブリトン人農夫アクセルとベアトリスの夫婦が息子の住む村を探して旅に出る。 途中、悪鬼に噛まれて村人から忌み嫌われるサクソン人の少年エドウィン、彼を庇護し騎士として育てようとするサクソン人の騎士ウィスタン、そして円卓の騎士の生き残りガウェインらと出会いながら、旅はいつのまにか悪竜クエリグ退治につながって行く。 どうやら人々を忘却に導く霧はクエリグの息であるらしい。 アーサー王その人からクエリグ退治を命じられたというガウェインは、ついにその使命を果たせるのか? なぜ、彼は同じ使命をもつウィスタンを排除しようとするのか? はたしてクエリグの死は人々に幸福をもたらすのか? ただの農夫であるはずのアクセルをなぜウィスタンやガウェインが見知っているのか? 忘れられた巨人とは? 多くの謎と寓意と象徴をはらみながら物語は進行し、最後は記憶が蘇った後の年老いた夫婦の真の愛情が試される。 中世騎士物語の世界を舞台装置としながらも、極めて現代的な夫婦愛の物語である。 そのまま映画や舞台の脚本にできそうな構成は、作者の他の作品にも共通する。 是非、映画化してほしい作品である。

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    投稿日: 2016.09.04
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    カズオ・イシグロの10年振りの長編は、記憶と忘却をテーマにしている。例えば「東京物語」の老夫婦が家族の思い出を語り合うように、そもそも誰かが何かを憶えていなければ物語は始まらないのだが、アクセルとベアトリスは大事なことを忘れてしまっている。自分たちの息子がどこにいるのかも覚束ない。 大事なことを忘れているところからスタートする。この設定をクリアするために、筆者は「私を離さないで」に続いてファンタジーの採用に踏み切ったのだろう。「人の心には竜が棲んでいる」といえば隠喩にすぎないが、竜を物語の中に登場させればそれも隠喩なのだけどファンタジーになる。そのファンタジーが違和感なく受け止められるための仕掛け、それがアーサー王伝説だろうか。 ゲルマン系サクソン人がケルト系ブリトン人の土地に侵攻していた時代、侵略者に颯爽と立ち向かったのがアーサー王である。しかしローマ人がブリタニアを放棄した後のことでもあり、残念ながら史書にその記録は残されていない。アーサーはそもそも敗者の側であり忘れられていたのに、後世思い出されて英雄になった。それはキリスト教化していたブリトン人と未改宗のサクソン人という構図、つまり宗教戦争の英雄と位置づけられたからだ。歴史は時に勝者に都合の良いことのみを語り平然としているが、神話であればなおさら恥じる必要はない。アーサーだけでなく当時の西欧各地のローマ側の将軍たちは数に勝るゲルマン人を何度となく包囲殲滅しているが、やがて防御網を分断され敗れていった。ブリトン人もそうだったのだとすると、そこにどのような感情があったのか、神話に書かれていないけれども想像することはできる。 こうして、「記憶と忘却」「神話の中の宗教戦争」「民族間の憎悪」という道具立てが整った。ボスニア・ヘルツェゴビナの惨事を記憶に留めようとするのであれば、現地を取材してドキュメンタリーとして書き上げることもできたはず。しかしそれでは彼の壮大な想像力は現実の凄惨さの前に色あせてしまうかもしれない。彼が想像力を駆使する舞台に選んだのは、イギリスの古い血塗られた記憶、アーサー王の時代だった。 そもそも、人間は都合の悪いことを忘れたり、政治的な必要性から記憶を留めようとしたりする動物である。日本人は被爆の記憶を留めようと原爆記念公園を作り、そこに70年の間に記憶の薄れた敵方の大統領が訪問したと喜ぶが、一方で慰安婦像をソウルに建てて忘れまいとする人々には眉を顰める。竜の息は過去を正当化する悪なのか、人々が平和に暮らすための正義なのか。正義と悪だけでなく記憶と忘却も相対化してしまったところに、私は筆者の思考力の凄さを感じた。

    1
    投稿日: 2016.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うーん、これはどう読んだらいいのだろう。 アーサー王がほんの少し前までまだ生きていた時代のイギリス。マーリンの魔法がまだ残っている頃。 アクセルとベアトリス夫妻は、村はずれの家で夜にろうそくを使うことも許されず、村の人に一線を引かれたような暮らしを送っている。 文字はなく、全てのことは口伝えで残されるというのに、ここの人たちの記憶はいつもすぐに消えてなくなってしまう。 何か大事なことを忘れているような気がする…。そんな思いも、いつしか忘れ…。 人々の物忘れの原因は、辺りに立ち込めている霧のせいではないか。 身のまわりも頭の中も、もやもやとしてつかみどころのない登場人物の視点で語られる物語は、やっぱりつかみどころがなくて、手さぐりで読み進めるしかない。 ただし、読み手のほうには記憶力が多少なりともあるので、余計に悩ましいともいえる。 忘れたり思い出したりを繰り返しながら、夫婦は遠く離れて暮らしている息子の元を訪ねていくことにする。 今と違って公共の乗り物どころか道すらも満足にないなかを、老夫婦は息子の元へと歩き続ける。 旅の途中で若い戦士や鬼に襲われた少年、そしてアーサー王の甥である老騎士と、出会ったり別れたりを繰り返しながら、彼らは伝説の雌竜の元へと集結する。 雌竜こそが、この霧の大元なのだから。 ストーリーにするとこんな感じ。 けれど文字になっているよりも多くのものごとがこの小説には含まれているようで、考えれば考えるほどに物語に捕らわれていくよう。 最初にアクセルとベアトリスが住んでいた村の様子を読んでいた頃は、アイヌの人達を思い浮かべてしまった。 荒涼とした土地。連なる丘。文字を持たず、共同生活のようにかたまって住む人たち。(でも、農業を営んでいましたね) 何よりも、先住民でありながら追いやられたようにひっそりと暮らす人々の姿が。 けれどもそれは、世界中のどこでも行われている光景なんだなあと、読み進めていくうちに気が付く。 アクセルとベアトリスと老騎士はブリトン人。若き戦士と少年はサクソン人。 本当は侵略する側とされる側で対立しているはずなのに、混じりあい、互いを尊重しながら暮らす人々。 それは善きことのはずだけれど。 “あなた方キリスト教徒の神は、自傷行為や祈りの一言二言で簡単に買収される神なのですか。放置されたままの不正義のことなど、どうでもいい神なのですか” 個人の記憶と、民族の情念。 今、日本に暮らしている日本人にはあまりピンとこない民族の情念が、現実社会ではいつも大きな諍いの種になる。 雌竜の放つ霧のように、詳細を見えないようにしたまま持ち続ける情念は恐ろしい。 だがしかし、全てをクリアにすることで問題は解決できるのか。却って重荷を背負うことになってしまうのではないか。 “これまでも習慣と不信がわたしたちを隔ててきた。昔ながらの不平不満と、土地や征服への新しい欲望―これを口達者な男たちが取り混ぜて語るようになったら、何が起こるかわからない” 常に寄り添って生きてきたアクセルとベアトリスが最後に選んだ道は、一体どう意味なのか? 考えた時に気づいてしまった。 アクセルの、戦士の、少年の、騎士の視点で語られたこの物語は、一度もベアトリスの視点に立っていなかったことを。 彼女は何を思い、何を考えて生きてきたのか。 時に子どものように頑固に、今という時間しか持たなかった彼女は、最後に記憶を取り戻すことができたのか。 それともどこかで記憶を取り戻していたのか。 アクセルとベアトリスの違いの大きさに、何か読み落としているようで不安なのである。

    3
    投稿日: 2016.07.25
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    本の概要をどこかで読んでから読み始めた方が良いかも。第1章がすごくわかり辛く、世界に入れませんでした。

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    投稿日: 2016.07.08
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    人間の本質の探求と対話という体験をこのような形で経験することになるとは。 読み終わって時間が経過するにしたがって、ジワジワと思考が活性化してくる。 そして、圧倒的な筆力に圧倒される。

    1
    投稿日: 2016.05.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『わたしを離さないで』はSFで、この『忘れられた巨人』はファンタジー、とカテゴライズされている。 でも、読んでいる間に、心の奥に不穏なさざ波がずっとたち続けているような感覚は一緒。 何かが起きている。 所詮は本の中の出来事だと、タカをくくることができないようなことが書かれている。 なんだろう、この警告を受けているような切迫感は。 過去の記憶なしに人は今を生きて行けるのか。 忘れたい過去もあり、忘れたくない過去もある。 老夫婦の旅路の果てに何が待っているのか――怖いけど読まずにはいられない。 胸に残るもやもやした読後感にも、妙に納得してしまう一冊。 うーん、説明が難しい。

    0
    投稿日: 2016.05.20
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    ★ファンタジーの必然が?★地域全体で人の記憶に霧がかかる。良いことも悪いことも曖昧になって平和に暮らすなか、霧が晴れてしまうと・・・。嫌なことを思い出しても乗り越えて、長年連れ添った夫婦の愛情を保ち深めるラブストーリーなのだろう。ただ、もしかしたら自分はファンタジーという分野が不得意なのかもしれない。邦題も「忘れられた」とやってはあまりにも直截すぎる。 島に渡るくだりの解釈が分からなかったが、三途の川ではと指摘されて納得した。もしそうだとしたら、息子を巡る厳しい内容を最後に思い出すのは、それが記憶の本源ということなのか。

    0
    投稿日: 2016.05.19
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    たまたまチャンスがあったので読んだものの、ちょっと長かった…。記憶を消す霧、鬼、騎士、竜、妖精、修道士などファンタジーは嫌いじゃないけど、終盤はなんだかわからなくなり眠いままページを進める始末…。

    0
    投稿日: 2016.05.15
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    カズオ・イシグロの長編。アーサー王の時代の少し後、鬼や竜、騎士や魔法が登場するので、読んだ印象はファンタジー。ただ、序盤から全てが霧に包まれているようなモヤモヤした話。主役は誰?タイトルの巨人はいつ出てくるの?それでもぐいぐい引き込んでくる。終盤やっと霧が晴れたと思いきやまた霧の中・・・モヤっとしたラスト。すっきりしない。でも悪くない。

    0
    投稿日: 2016.05.11
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    素直にさみしい、と思った。 もし私が誰かと生涯を、人生を分かち合えたとして、
老いて私が人生を終えたときに。
そのことで必要以上に悲しまずに、
また素晴らしいなにかを見つけて、誰かと出会って、
新しい幸せを見つけてほしい。 とは思うものの。
それが理想的だとは分かるものの。 でもさみしい。
それはさみしい。
さみしいけど、いつまでも縛り続けるのは愛でも優しさでもないから。 だからせめて、 いつか、別れの日が来ても、
それまで幸せだった、
あたたかい時間を分け合えた、
楽しみを喜びをあなたの中にある輝きを十分引き出せた、
と思えるような関係を作りたい。 思い出すだけで幸せな気分を思い出せるような、あたたかい存在になりたい。 と、忘れられた巨人を読んで思いました。 ====================== と、読んだ当初(半年前?)は思っていたけど、しばらく経って印象は変わる。読み返していないのに、不思議。 夫婦って素敵と思う。マイプリンセス、だなんて。そんなふうに、思いやって、思いあって生きるのって、素敵。

    0
    投稿日: 2016.04.10
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    イシグロの10年ぶりの新作はファンタジーということで期待。アーサー王、円卓の騎士ガウェイン、魔術師マーリン、竜とくれば、嫌でもわくわく。息子が住むという、あるいは老夫婦が渡ろうとする島はアヴァロンか?しかしそれらは外側だけであり、ファンタジーというのも形だけ。人間は怒りや悲しみや恨みを忘れたほうが世の中が平和になる。特に夫婦は忘却と許しが必要。そういう事が書かれていたのだろうか?どういう結末なのか、最後の部分の意味が分からない。本質的にはラブストーリーであるとされながら、私には最後の部分でどうしてもラブストーリーには思えない。また翻訳の土屋さんは好きだが、これに関しては今いち。老夫婦の会話がしっくり来ない。ファンタジー関連の事柄は知識や慣れも必要だから、得意分野ではなかったかも?高い評価を得ている本作だが、ファンタジーとして期待した私には退屈だった。

    0
    投稿日: 2016.03.16
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    アーサー王伝説をうまく使い、どこか遠くの物語を描く。時代は初期中世あたり。謎だらけの始まり。霧が晴れていくかのように、非常にゆっくりと老人の歩みのペースで、少しずつベールが上っていく。最後にまた霧の中に消えていく結末も美しい。 愛と記憶と自立。老年期の主人公に焦点を当てつつも、人生のすべてがエッセンスとして入っている。

    0
    投稿日: 2016.03.07
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    老夫婦の旅の行く末は初めから想像がついていた。 途中からこれは冒険譚なのかと思い始め、最終的には一貫して愛の物語であったということがわかる。恋愛ジャンルに入れようか、と思うくらいに。 特に、アクセルのベアトリスを想う気持ちは明らかに「恋」である。何もかも忘れ去るからこそ、恋し続けていられたのだろうか。記憶が甦ったからこそ、今は「愛で結ばれている」と言えるのだろう。 すべてを受け入れるということの凄み。

    0
    投稿日: 2016.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    異世界な雰囲気の小説で、個人的に大好物なジャンルです。なんといってもその世界観。少ない登場人物と背景情報で、ここまで静謐な世界観を構築する著者にただただ脱帽です。 テーマは「忘却」と「平和」について(だと思います)。イングランドとスコットランドとアイルランド、イギリスとフランス、征服と反乱の歴史にあるイギリス・ヨーロッパにおける永久のテーマなのでしょう。日本人にとっては、その辺りは馴染み深くないというか。だからこそ中国や韓国との関係に今も苦しんでいるという一面もあるのかも。ヨーロッパとは経験してきた時間が違いますから。この辺りはヨーロッパの人と比べると、読後感が全然違うのだろうなと感じます。 そんなハンデがありつつも、クライマックスに出てくる「忘れられた巨人」には鳥肌がたちました。その文脈で読むからこそ立ち現れる「巨人」。まさにその言葉でしか表せない言葉をこれ以上ないタイミングで出す。これが文学の醍醐味だ、と思わせてくれます。 てなわけで、異界な世界観が好きな人ならお薦めです。

    0
    投稿日: 2016.02.12
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    憶えていることは幸せなのか、忘れることは悲しいことなのか、記憶は共有できるのか。アーサー王統治後のブリテン島で、息子に会うための旅へ出た老夫婦の物語なのだけれど、全てが曖昧模糊としていて、物語の設定通り、霧の中を進むようだ。 多くの人が渡っているのに、隣人がいることに気付かない島のエピソードが、心に引っかかって離れていかない。

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    投稿日: 2016.02.07
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    初のカズオイシグロ作品。 巨人の話かと思ったけれど、巨人は出て来なかったです。忘れられたのかな?(笑) 人の記憶の形は色々ある。 忘れてしまいたい出来事がある。 忘れたくない記憶がある。 しんみりできるお話でしたが、展開が読めてしまってちょっとがっかりでした。

    0
    投稿日: 2016.01.31
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    いつものカズオイシグロに比べると、せかいかんやストーリーテリングが多く、文章や情景描写の美しさに没頭するようなところは少なかった気がする。 だが、この寓話によって気づかされる我々の世界の残酷さ、どうにもならなさには愕然とする。そして、最後のシーンの圧倒的な美しさはカズオイシグロ随一と思った。それからは、そのシーンの切なさがずっと心に引っかかってしまっている。

    0
    投稿日: 2016.01.30
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    カズオイシグロの最新作です。 たしか春頃に来日もしてて10年ぶりくらいに新作が出たことは知っていたんですけど、なんとなくもったいなくて・・・自分の中で焦らしてました(笑) それくらい期待していたのですが。。。正直今回は期待外れでした。 メッセージ性はありますし、しんみりとした余韻もあってそのあたりは著者ならではな感じでよかったのだけど、老夫婦の歩調に自分がついていけないというか、霧が濃すぎて呑まれてしまったというか。 「記憶」が人に与える影響っていいことも悪いこともあるよねって話。 忘却の中で静かに暮らすことと、辛い過去とわかっていながらそれを取り戻して真実を探すこと。どっちが幸せなのかな。

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    投稿日: 2016.01.28
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    齢50のわたしをして、生まれる20年も前の事をあたかも昨日のことの様に糾弾する隣国。その怒りが収まらないなら、同様に中東に平和が訪れる筈もない。何しろそこでは今も血は流れているのだから。歴史から学ぶことも多くあるのは事実であるとともに、忘れずとも過去の悲劇を感情を抑え巨視的に見る姿勢を考えてみたいと思います。作品はファンタジーというより寓話といったところ。

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    投稿日: 2016.01.25
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    カズオ・イシグロ、『わたしを離さないで』以来、実に10年ぶりの長編小説である。 舞台は伝説のアーサー王時代のブリテン島。6~7世紀で、ローマ人やサクソン人との争いも遠い日のことではなく、竜や悪鬼、小妖精も出没する。 世界は霧に覆われている。不穏な霧は視界を遮るばかりではなく、どうやら人々の記憶を奪う力も持つらしい。 年老いた夫婦、アクセルとベアトリスは、沼のほとりの小さな村に住む。愛し合い、支え合う夫婦だが、ほかの村人たちとは必ずしもしっくりとはいっていないようだ。なぜそんなことになったのか、「霧」のせいで誰もよく覚えてはいない。あるとき、2人は長年の懸案であった旅に出ることにする。夫婦にはどうやら息子がいたようなのだ。確か、少し離れた村にいたはずだ。息子を訪ね、出来るならばともに住もう。 かくして、靄に霞む世界の中、覚束ない足取りの2人の旅が始まる。 旅の途中で、体に不安を抱えるベアトリスのため、2人は薬師や修道士の元を訪ねる。 道中、2人はさまざまな人に会う。小島に渡る人々を運ぶ義務を持つ船頭。竜を退治する使命を帯びた老騎士。サクソン人の逞しい戦士。悪鬼に掠われ、何とか救い出された少年。怪しげな儀式を執り行う僧たち。 旅を続けるうち、「霧」の正体や、息子の居場所、2人の過去、多くのことが徐々に明らかになっていく。 老夫婦が最後にたどり着く場所はどこか。 茫漠とした印象を与えつつ、非常に注意深く構築された物語の骨格を感じる。 忘れられた巨人(The Buried Giant)とは何者か。 巨人が掘り起こされ、目を覚ますとき、世界は、人々は、何に直面することになるのか。 人は何を絆とし、何のために闘うのか。 過去の出来事が薄れていくとしたら、最後に残るものは何か。 憎しみや怒りを乗り越えて、なお残る愛はあるのか。 争い。宗教。民族。誇り。絆。 白い霧の中に、多くの難問が黒くごつごつと横たわる。 霧が晴れたとき、どのような世界が見えるか。 その答えは読者に委ねられる。

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    投稿日: 2016.01.22
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    うーん 難しくてよくわからなかった けど、アーサー王というヨーロッパで伝説の英雄になっている人が出てきた。この人が、英国(ブリテン人→ブリテン→ブリティッシュ→英国)の基礎なのか? ケルト人? うーむ。基礎知識を教えてもらいたいですが、 同じような民族にわけのわからない敵がいると信じている。教育が行きとどいてないということは、こういうことが起きるのかなあという現代の闇も書いてあるような気がした。

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    投稿日: 2016.01.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アーサー王伝説の舞台を借りたファンタジー。人々が物忘れをするようになり、おぼろげに息子のことを覚えている老夫婦が息子の住む村に向けて旅立ちます。旅の過程で、物忘れの原因を突き止め、断ち切ることに成功します。その結果記憶は戻ってきましたが当然幸せなことばかりではなく。そして「巨人」の意味も分かります。 Buried giantが「忘れられた」に訳されているけど、これは読んでみて初めてわかるネタばれ。 相変わらずイシグロらしい独特のじれったい語り口です。

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    投稿日: 2015.12.31
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    初カズオイシグロ。 物語の中に立ち込める霧。 その中に迷い込んでしまうような空気感。 アーサー王伝説の少しだけ後の世界。 対立していた二つの民族は共存しているが、この世界には霧に覆われた過去が存在する。 ラストシーンは心臓をギュっと掴まれるような切なさ。

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    投稿日: 2015.12.08
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    「健忘の霧」が世界を覆ったら、不幸な対立は収まるのかもしれません。忘れるべきこともあるんじゃないの? と問われている読後感。

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    投稿日: 2015.11.17
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    カズオ・イシグロ新作、言葉の使い方・考え方において同時代の中でも最もリスペクトする作家。 古いおとぎ話か前世代の物語のように思えて、実は現代・近未来を描いていることに気づかされる手法は前回同様。

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    投稿日: 2015.11.14
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    勇者がドラゴンを退治します。老騎士が出てきます。その他の登場人物やストーリーの展開も、どこぞのRPGにありそうで、これをカズオ・イシグロが書いたのかと、評判そのままの感想がつい出てしまうような感じです。まあしかし、過去の過ちや挫折の記憶とどう向き合いながら生きていくか、というテーマは、彼が繰り返し書いてきたもので、それが随分、わかりやすくというか、直接的な形で描かれています。全体に何だか生硬な感じがするのですが、この物語の世界のその後、あるいはそれぞれの登場人物のその後を想像すると(一見中途半端にみえる終わり方は読者にそう仕向けているのだと思います)、かなりいろいろなことを考えさせられます。特に集団と集団、集団と個人、個人と個人の間の共存、それらに過去の記憶が果たす役割とか。

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    投稿日: 2015.11.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    忘却の霧が晴れたとき、良い思い出とともに悪い思い出もよみがえる。 長年愛し合ってた夫婦の絆が壊れるかもしれない。 昨日までの隣人が、敵に変わるかもしれない。 人の記憶が年月とともに薄れていくのは、幸せな思い出だけを胸に旅立てるように、という神さまの配慮なのでしょうか。忘れることは、許すこと。けれども、それは誰かに強制されてできるものではないのだと思います。たとえその記憶が人を縛り、不幸にするものだとしても、人はやはり向かい合っていかなければならないのでしょうね。 島へと旅立つとき、船頭の「一番大切に思っている記憶は何か」という問いに、自分だったら何と答えるかな…いろいろなことを考えさせられる良い本でした。

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    投稿日: 2015.11.07
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    こういうレビューって、基本的な情報を提供するのがいいのか、個人的な思い入れを書き込めばいいのか、難しいところがある。 まあ、イシグロほどの作家であれば、作品の評価そのものにはあまり意味がない。傑作以外ありえない。 そうした場合、その作品世界への読み手の内省の仕方こそが問われなければならないはずで、そういう作品をわれわれは「古典」と呼ぶのだろう。 今作も、新作にしてすでにクラシック。 「buried giants」 自分の心の奥底に眠る決着のつかない記憶が呼び覚まされる時… 現実とファンタジーの区別など無意味だ。 何が起きてもおかしくない。

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    投稿日: 2015.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後に舟のくだりをまた持ってくるところが秀悦だと思う。わたしを離さないでもそうだったけれど、心にもやもやを残す点でカズオイシグロはすごい作家なのだろう。

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    投稿日: 2015.10.31
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    大作…なんとか読みきりました。苦手なロード系?(映画だとロードムービーというが、小説の場合はなんというんだろう?)でしたが、ファンタジー要素もあり、この方の作品はあまり読んではいませんが、ちょっと意外でした。でも引き込まれた。表現とか会話のやりとりとか。原文だったらもっと良さが伝わるんだろうな。

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    投稿日: 2015.10.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ケルト人の島だったローマ時代後、侵入したサクソン人の勢力が増していき、ブリトン人=ケルト人の地を守るために立ち上がったアーサー王伝説の数年後がこの物語の設定時期になっている。 国は深い霧に覆わて、人々の記憶は霧とともに失われている。老夫婦は自分たちに子供がいて、2、3日の旅で息子に逢え、息子も自分たちが逢いに来てくれることを望んでいると旅に出る。 旅の途中、夫婦は自分たちが霧に包まれ記憶があやふやになる原因が分かり、アーサー王の遺志を継ぎ竜を守るガウエイン、竜を倒そうとするサクソン人ウイスタンのつばぜり合いは、人種、宗教の壁を表現しつつ、ファンタジー調に進みながら、人間の本質を描き出している。 老子の混沌の話を思い出した。 霧をはらすことが、いいことなのか、悪いことなのか、誰もが霧のように覆った真実を持っていて、霧がなくなると悲しいばかりの現実しか残らない。

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    投稿日: 2015.10.24
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    前情報のないまま読む。 「わたしを離さないで」のときのように、さぁこれからどうなるんだ!とソワソワしながら読み進める。 そして、中盤、思い出す… そうだった、イシグロさんの作品に明確な救いを求めちゃだめなんだったことを。 あとは、ひたすら、これ以上悪いことが起こりませんように、と思いながら読んでいました。 どすーんときます。読み応えがあります。 物語の舞台は、アーサー王が亡くなった後のブリテン島。(巻末の解説によると六、七世紀らしい) 人の記憶を奪う霧が立ち込め、鬼や妖精も出てくるファンタジーだけれど、冒険をするのは老夫婦。 老夫婦でも手加減なしで、魔物が襲ったり険しい山を登ったりします。 個人的には、エドウィン少年の存在がつらい。 せめて老夫婦に出会えたことは救いなのかな… この小説をどういう風に受け止めればいいのか、迷う。 過去や幻影が入り混じり、忘れられていた記憶を手繰り寄せながら真実が立ち上がってくる。 自分がイギリス(と書いていいのかわかりませんが)の文化に疎すぎて、重要なことを見逃している気がする。 侵略の歴史を扱って、いるんですよね?(誰に聞いているんだか) でもこれは物語や過去の話ではなくて、今の、話だと感じた。 恨みは残っているのか? 登場人物の誰もが迷い続けている。 誰もが旅の途中で、心許ない。 ラストがそれでよかったのかわからない。 それと、神様(キリストさん)に祈る場面が割とあるのだけど、揶揄してるのかなーと思った。

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    投稿日: 2015.10.18
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    登場人物の誰かが、というならよくある話だが、最初から全員の記憶が曖昧という設定はすごい。なぜ蝋燭を取り上げられるような制裁を受けるのか、息子はどこにいるのか、わからないまま旅が始まる。そして、物語後半まで記憶喪失の理由はわからないし、わかっても記憶が全てすっきりと戻ってくる訳ではない。 この物語の中の霧に、自分も包まれた気分でモヤモヤ、イライラしながら読み、カズオ・イシグロの小説だから、いつかは報われる(読書のイライラが)と信じて進む。 そして、最後まで読んで、見事報われた。 さすがイシグロ。夫婦間の愛とはなんだろうか。人間が殺し合ってきた歴史は何によって続いてきたのか。 ファンタジーの設定を使ってはいるが、それは道具に過ぎず、描いているのは人間の業。 読み終わった後、自分に問が生まれ続ける小説。読んだ人が全て、こんな気持ちになるなら、イシグロの小説の力はやはり並大抵ではないと思う。

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    投稿日: 2015.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    失われた記憶と離れて暮らす息子を求めて旅に出る老夫婦。 記憶が失われるのはドラゴンのせいということを知り、ドラゴン退治に巻き込まれる。 記憶が消えるということは、良い記憶もあれば悪い記憶もないということになる。記憶を取り戻すことによって、二人の仲についてよからぬ記憶が思い出されることになる。 実際そういったこともあったみたいだが。

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    投稿日: 2015.10.04
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    初カズオ・イシグロ なんだか小難しそうな雰囲気で読み始めたが どんどんのめり込みページをめくる手が 止まらなくなった。 なんともファンタジックな世界のような リアルな戦争の話のような 不思議な読書体験でした。 他のイシグロ作品も読みたい。

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    投稿日: 2015.10.03
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    巨人はどこに出て来るのだろうか…と思って読んでいましたが、直接は登場しませんでした。ブリトン人とサクソン人が隣人として暮らすのは、竜という共通の恐怖から身を守るためだった。その竜を退治してしまった今、恐怖の霧が晴れ、かつての隣人を歴史を振り返れば敵であったことを思い出すのか、その大きなうねりが巨人。巨人が立ち上がることのないよう、息子のいる村まで助け合って旅する老夫婦の絆が、立ち寄った村々に良い影響を及ぼしてきたことを願うばかりです。

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    投稿日: 2015.09.23
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    ファンタジー的な設定が苦手で少し入りにくかったけど、様々な事実が解ってくる後半はスムーズに読めた。 著者の作品は語り口がソフトなのだけれど、後からいろいろ考えさせられることが多い。 果たして民族や男女の違いを超えて人間はお互いを理解し、共存することが出来るのだろうか? 忘却の霧はむしろ神の恩寵ではなかったか。 それと著者は愛妻家なんだろうなと思った。

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    投稿日: 2015.09.23
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    冒頭から漂う陰鬱な雰囲気に、霧が覆い隠しているのは記憶だけではなく何か恐ろしいものに違いない…と緊張しながら読み進めました。 旅が進むうちに立ち上ってくるのは、地面の下に埋まった無数の死体、支配の歴史。アクセルの旅を見守りながら、なにもなかったふりをして嘘の平和に加担しているのは、自分なんじゃないかと思わずにはいられませんでした。 この小説を読み終わって、じゃあ、どう生きていけば『日の名残り』の執事のように絶望しなくて済むのか。自信がなくても、「知らなかった」なんてもう言い訳はできないことに気づきました。

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    投稿日: 2015.09.22
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    読むのにすごく時間がかかった。最後の100ページくらいで主題のようなものが見えてきたがそこにいくまでの300ページはなんだったんだろう、、という感じ。

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    投稿日: 2015.09.13
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    忘れられた巨人は、目覚めてしまうのだろうか。年月を積み重ねることでしか癒せない傷や、消せない炎はあると思う。ただ、その長い年月の間、霧の中で忘れて生きていくのが良いことなのかはわからない。良い、悪い、と言えることではないのだろう。ただ、それは許されても良いとは思う。難しい、ことだけれど。 アクセルとベアトリスがエドウィンに言った「わたしたちを忘れないで」という言葉が、現代を生きる私たちにも託された希望なのだと思う。エドウィンにとっては、もしかしたら新しい傷になってしまうかもしれないのが辛いけれど。

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    投稿日: 2015.09.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    謎の霧のおかげで人々の記憶力が失われている世界.行方不明の子どものことで大騒ぎしていたのに,すぐにそのことは忘れ,別の話題で喧嘩が始まる.主人公の老夫婦も,息子のことを思い出せない.だが,ある日,息子に会いに行くことを決心し,出発する.その冒険譚と書けば簡単だが,記憶力が失われる状態に世界がおかれている理由が次第に明らかにされ,理解されていた現状が裏返る,というカズオ・イシグロお得意のパターンになる.平和とは何か,という話でもある.

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    投稿日: 2015.09.06