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デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士
丸山正樹/文藝春秋
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総合評価

297件)
4.3
117
106
40
3
1
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    まず手話に日本手話や日本語対応手話といった種類があることも、コーダやデフという言葉も初めて知りました。 そしてコーダは健常者であっても複雑な葛藤の中で生きているということにとても考えさせられました。 コーダである主人公荒井尚人。過去と現在の事件が複雑に絡み合う中で真相に近づいていくのだが、冒頭で少女に問われた「敵か?味方か?」その問いが引っ掛かりつつ真相に辿り着いたとき、なんとも切ない…。 ミステリー要素もありますが、どちらかというとヒューマンドラマ色が強く引き込まれていきました。 後日この小説がドラマ化されるようなのでそちらも楽しみです。

    18
    投稿日: 2023.12.12
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    手話、ろう者の世界をテーマ小説を初めて読んだ。ろう者家庭に生まれたコーダという存在も。手話や点字には学生時代短期間かかわったことがあるが、十分に気心まで知れる友人にはなりえず、離れて行ってしまった。 この世界に光をあてた小説の価値があると思う。

    7
    投稿日: 2023.12.12
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    学生時代に手話をやったが、日本手話という別言語があることも知らなかった。それを知ることができたのは良かった。それだけ。

    3
    投稿日: 2023.12.11
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    差別を深く考えさせられる作品だった。 手話といえばアーティストの楽曲や、保育園の発表会でも目にするようになって、てっきり身近になったと勝手に勘違いしていた。 手話が2種類あると知らなかったし、聾唖と聾の切り分けにも心を打たれた。当事者の方々の思いが結実し、音声言語と同じように手話も言語だと国際法で認められたのは2006年とのこと。自分の不勉強さに恥じいる。 手話を取りまく世界をグッと深掘りしてくれて、かつストーリーもしっかりとミステリー。文句なしに面白い。 今、世間は障害者エンタメという辟易するようなニュースワードで騒がしい。そんな逆風に押し戻されることなく、ありのままの事実を捉えなきゃなと再認識させてくれる。

    21
    投稿日: 2023.12.10
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    ブクログの「みんなの感想」でこの本を知った。 コーダと呼ばれる存在も、そのような人の苦悩も初めて知った。 手話にも種類があることさえ知らなかった。 二つの事件の繋がりが解明されるラストは衝撃的だった。 ドラマが近々放送されるのが楽しみだなぁ。

    14
    投稿日: 2023.12.09
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    ろう者についての見識が深まりつつ、物語としても充分面白かった。手話の種類や遺伝について等知らない事だらけ。ろう者、聴者、途中失聴・難聴者、そしてコーダ。その置かれた環境によって会話手法も考え方も違う。読唇術が全然不完全な会話法ってのには驚いた

    3
    投稿日: 2023.12.06
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    聴覚障害者の刑は軽減されるという第40条のことを初めて知りました。色々勉強になります。 「どちらでもない」という立場であり、その立場は自分で決めなければならないというコーダの思いがひしひしと伝わってきます。障害当事者だけではなく、その家族にも目を向けなければいけないなと思いました。 障害児を預かる施設での問題など、実際に起こりうるのでフィクションですが現実味がありました

    5
    投稿日: 2023.12.01
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    ブクログで高評価レビューを読み気になったので読みました。 最後のあとがきで作者さんが手話が全くできずにしかも全然知識がなかったと書いてありびっくりしました、 なぜなら、そんなことを全く感じさせないほど丁寧なつくりの小説になっていたからです。 コーダという言葉を初めて知ったのですが、ろう者の子供などを指す言葉なんですね。 本作の主人公荒井尚人はろう者家族で唯一耳の聞こえるものとして育ったため、「聴こえるもの」と「聴こえないもの」のどちらのコミュニティにもうまく属せず、疎外感を抱えたまま生きてきた人です。 私にはその経験がないのですが、感情が丁寧に書かれているため、追体験しているような感覚に陥りました。 これだけでも充分読みごたえがあったのですが、ミステリーとしての完成度がものすごく高かったです。 真実を語るラストの手話も、なるほどうまいなと声が出てしまいました。 面白かったです!ドラマ化もされるそうなのでぜひ。

    14
    投稿日: 2023.11.27
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    身近に手話を使える人がいないためか、手話が2種類あるということもコーダと呼ばれる人達がいることも手話通訳士という人達がいることも恥ずかしながら知らなかった。 この本はそんなことを知るきっかけになったし、でも重くなりすぎずミステリーとしても面白かった。 ニュージーランドには公用語が3つあってその一つが手話という理由も分かった気がする

    3
    投稿日: 2023.11.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【ネタバレ有り】 自分以外がろう者の家族の中で、1人孤独を感じていた中年男性・尚人。 前職を辞めてから他の選択がなく、しぶしぶ手話通訳士となる。 その仕事を通じて関わった事件から、過去に関わった事件へとつながっていく。 恋人とその娘との関係もからまって… ○ミステリーとしてよりも、ろう者のコミュニケーションと文化が興味深く読めた 手話の奥深さ、ろう者の声、シリーズの続きも読んでいきたい ○家族のたった1人、音が聞こえる ○安易な救いの物語でないところ

    12
    投稿日: 2023.11.22
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    ずっと読もうと思ってた本作 ろう者、コーダ、デフ...全てにおいて知識が無かったが 興味深く読めたし、それらへの知識の広まりを感じられた 主人公の後悔、苦悩、決断、賛否はあると思うが言い訳をしない姿に好感を得た 関連作もあるようなので読んでみたい あとがきの「これが理解の入口になれば」に対する返しに考えさせられた

    3
    投稿日: 2023.11.15
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    ろう者への御涙頂戴な内容ではない。純粋にミステリー小説として面白い。 裁判の時にろう者と聴者の間で完全に公平なやりとりがなされるというのは、なかなか難しそうだと感じた。法廷で手話通訳をする人は本当に大変だろうなと思った。 物語がコーダの視点で書かれているのは巧妙で、ろう者の苦労や聴者から見たろう者の印象も表現されていた。

    10
    投稿日: 2023.11.05
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    読もう読もうと思って買ってなかった本 買った勢いで読んでみた 手話通訳士のお話でミステリー 映像化が決まってたので 主役の顔が常に草彅剛で脳内再生されてた 手話、ちょびっとだけ習ったことがあるけど ありがとうと飛行機と 自分の名前しかできなくて 新たに言語を習得するのって やっぱ難しいなぁと思ってた でもほんとはもっと大変なのか 日本手話と日本語対応手話があるなんて 全然知らなかった ミステリーとしてもおもしろかったけど それ以上に知らないことを たくさん知れたと思う 星は4つ

    3
    投稿日: 2023.10.29
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    未知の世界が広がっていて、グイグイとのめり込んでいった。 マイノリティーの人の世界って、 不条理なこともたくさんあるのだなと感じた。 1つの事件から、 過去が明かされて 優しさとか哀しさとかが地層のように積み重なった1つの作品だった。

    3
    投稿日: 2023.10.22
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    小説のタイトルを見た時は地味なお話だろうなと思っていたが、読むと序盤から話に入り込めるし、回りくどい言い回しや余計な描写が無いので読みやすい。 無駄なエピソードもない。 こんなにも全体を通して退屈しないで読めたのは、私にとっては珍しくあります。 話自体も面白いよ。そしてちゃんとミステリー。

    2
    投稿日: 2023.10.03
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    法廷の手話通訳士として主人公が活躍するドラマかと思えば、ミステリーだった。 主人公はコーダ。コーダと言えば、映画「コーダ 愛のうた」。そして、その元になる「エール!」が思い浮かぶ。 「エール!」の公開は、2014年。本書は2015年刊行。 ちょうどその頃、本当に少しだけ手話をかじっていた。手話を学ぶ話者の多さに驚いたが、なるほど、当時は手話流行時代だったのだなぁ、と今更知る。 面白い切り口のミステリーだと思うが、犯人はわりとすぐ分かる。ドラマとしても今ひとつ足りない。 ただ、作者のあとがきと、本書への想いは良かったので、読むなら最後まで読んで欲しい一冊。

    2
    投稿日: 2023.09.05
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    登場人物が多くて混乱したけれど、手話やろう者社会について知るきっかけになったし、ミステリ要素もあっておもしろかった。 ろう者とのコミュニケーションは、筆談なら通じると思ってた。昔は特に、手話を禁じて読話や口話を強制されたりして高度な教育を受けられなかったなんて…悲しい現実。

    1
    投稿日: 2023.08.06
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    この本を読まなければきっと一生知り得なかったと思う。新しい世界を教えてくれてありがとうございます。本当に読んで良かった!

    3
    投稿日: 2023.08.05
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    この作品を読んで、手話にもいろいろな種類があること、手話通訳士という仕事、CODAという存在など今まで知らなかったことを知ることができました。 草薙剛さん主演でドラマ化するということで、とても楽しみです。

    1
    投稿日: 2023.07.14
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    「Coda」という映画を見たことがある。Codaの主人公は題名通り、耳が聞こえない両親を持つ耳が聞こえる子供。 映画Codaでは家族全員耳が聞こえない中、主人公だけが聞こえることに対し疎外感を感じていたし、反対に聞こえない家族も社会から疎外感を感じていた。デフヴォイスでは主人公の荒井自身がコーダであり、映画Codaの主人公と同じような疎外感を子供の頃から抱えながら生きてきた。 この疎外感、とくにコーダが感じる疎外感というのは当事者でないとなかなか想像ができないもののような気がした。何かしらのハンデを持つものが社会に対して疎外感を持つ、というのは想像しやすい。 あまり注目されることがないであろうコーダ側の生きづらさや葛藤に着目しており、読み手側に色々な気づきを与えてくれる。 わたしの身近にはろう者はいないので手話は身近なものではない。デフヴォイスを読むまで手話の中でも種類があることすら知らなかったし、手話は万国共通のツールだという認識だったので、人によって使う手話が違うことにも驚いた。 この作品はろう者やコーダ、手話などに対する理解を深めるきっかけになり得るとても良い作品だと思う。 2作品でも描かれていたように、ろう者にはろう者の、コーダにはコーダの、それぞれが生きづらさを抱えながら生きている。ハンデを持つものだけでなくその家族にも寄り添い、誰も孤独や疎外感を感じない、生きやすい社会になればいい。

    4
    投稿日: 2023.06.30
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    デフ・ヴォイス▶︎ろう者の声 私の見近にない世界(環境)に触れることができて 漠然と思っていたイメージを払拭してくれました

    3
    投稿日: 2023.06.23
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    ドラマ化の記事を読み、手話通訳士が主人公と知って注文。シリーズ3作の内、1作目の本作のみ手に入らず、webでは入荷待ちとなっていた書店にダメもとで行ってみると、あった。即購入。 再就職のために仕方なく唯一の技能を活かして手話通訳士となった荒井。 あるろう者の法廷手話通訳を引き受けることになるが、思いがけず、前職で関わった過去の事件に繋がっていく。 それはとても苦しく、哀しい事件だった。 ろう者の社会と健聴者の社会がコーダの視点で描かれるため、どちらも分かるからこその葛藤があることを知った。 ミステリとしても面白く、ろう者や手話についても知る足がかりになるような作品。 とても面白かった。

    1
    投稿日: 2023.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フォロー、フォロワーさんの本棚で高評価がつけられていた本書、帯に書かれた「絶対に読んでおくべき作品だと胸を張ってオススメしたい」言葉通りの作品でした。 ジャンルで言えば社会派ミステリーですが、超越してますね。 「コーダ」という言葉の響は知っていましたが、無知故にそれが「Children of Deaf Adults」(ろう者の親の子ども)という意味を持つことも、もっと言えば「デフ」という言葉、手話には「日本手話」と「日本語対応手話」の二つがある事、刑法四十条の事も知りませんでした。 本作の主人公はコーダであり手話通訳士の尚人。 17年前の事件で当時警察事務職員として勤務していた尚人はろう者である被疑者(門奈)の自白をもとに作成された供述調書の内容を読み聞かせる為に通訳人として関わった経験を持つ。 そこで「こんなずさんな取り調べが許されていいのか」という怒りの感情を覚える。 警察事務職員を辞め、手話通訳士として働き出した尚人に舞い込んだ依頼、それは法廷通訳士としての仕事。 裁判の席で尚人は被告人が「黙秘権」の意味すら理解出来ていないことを感じとり... ↑「寄り添う」ことの大切さを感じたシーンです。 単なるミステリー作品としても素直に面白いのですが、本当に色々と考えさせられる作品。 単身赴任で大都会で生活をしていますが、手話を使う人々を目にすることはほぼありません。 TVを見ていても手話で同時通訳をしているシーンはみんな目にした事があると思いますが、逆に言えば世の中にはそれだけ沢山の耳が聞こえない人々がいるということ。 白杖を手に、車イスで、そんな姿は目にしますが、もしかすると耳が聞こえない人々は本作で描かれているように社会から距離を置き、閉じこもっておられるのかも知れません。 無力な私には何かが出来る訳ではありませんが、「寄り添う」ことの大切さを学べたある意味で人生の教科書。 大切にしたい作品です。 NHKドラマ化、韓国映画化決定! 仕事と結婚に失敗した荒井尚人。いまの恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一の技能を活かして手話通訳士になる。 あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。現在と過去、二つの事件の謎が交錯をはじめ……。 マイノリティの静かな叫びが胸を打つ、感動の社会派ミステリー。シリーズ通して読み継がれるロングセラーです。 〈第6回 全国高校ビブリオバトル グランドチャンプ本〉 ※NHKドラマ化決定! 草彅剛さんが荒井尚人を演じます。2023年冬放送予定。(前・後編、総合・BS4K) ※韓国映画化決定! 映画『無垢なる証人』、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のム・ジウォン脚本カ、長篇映画監督デビュー作。2024年クランクイン予定 内容(「BOOK」データベースより) 今度は私があなたたちの“言葉"をおぼえる 荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。弱き人々の声なき声が聴こえてくる、感動の社会派ミステリー。 仕事と結婚に失敗した中年男・荒井尚人。今の恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一つの技能を活かして手話通訳士となる。彼は両親がろう者、兄もろう者という家庭で育ち、ただ一人の聴者(ろう者の両親を持つ聴者の子供を"コーダ"という)として家族の「通訳者」であり続けてきたのだ。ろう者の法廷通訳を務めていたら若いボランティア女性が接近してきた。現在と過去、二つの事件の謎が交錯を始め…。マイノリティーの静かな叫びが胸を打つ。衝撃のラスト! 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 丸山/正樹 1961年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。広告代理店でアルバイトの後、フリーランスのシナリオライターとして、企業・官公庁の広報ビデオから、映画、オリジナルビテオ、テレビドラマ、ドキュメンタリー、舞台などの脚本を手掛ける。2011年、『デフ・ヴォイス』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    65
    投稿日: 2023.06.17
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    久しぶりに「いいもの読んだ」感。 読み終わった満足度がめちゃくちゃ高い。 ただ単に「いい話」では片付けられないけど、そういう世界もあるよなぁ。 難聴とはまた違う、本当に聞こえない寂しさ。 やっぱり障害あるってだる〜。 脳みその障害も体の障害も、全部。

    1
    投稿日: 2023.06.12
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    草彅くんでドラマ化されると聞いて読んでみた。 思ったよりもよき!ぐいぐい引き込まれるように、続きが気になり、1日で読み終えた。 わたしはコーダではないけれど、コーダも色々だと思うけど、聾者やコーダについて違和感なく描かれていたように思う。 想像していたような法廷ものというよりは、元警察関係者コーダのサスペンス小説といった感じか。 ドラマ化も楽しみ!

    2
    投稿日: 2023.06.08
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    映画「コーダ」で家族の中でひとりだけ耳が聴こえる子供の辛さを知った。 過去、同僚に中途失聴者がいた。 手話、発話、口話をその時知ったが、彼女と深い話はできなかった。 法廷の手話通訳士はコーダだ。 彼は手話が家庭での意思疎通必須だった。 そんな彼でも被告人(聴こえない人)とのコミニュケーションは難しい。 障害でなく違う言語で話す人を提唱する団体がいる。そのくらい日頃使用する言葉は、違うらしい。 小説の殺人事件の謎も引き込まれるが、人間の話がしっかり書かれていて良い読書時間でした。

    11
    投稿日: 2023.05.26
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    ろう者について、手話について、知らないことがよく分かる本です 手話に興味を持っている人にはこの本はかなりおすすめします 日本で他国の人が裁判を受けるときに、通訳がいるように、ろう者の人にも通訳が必要だなんて少し考えればわかることなのに気づきもしなかった 生まれついてのろう者、中途失聴者 当たり前かもしれないけれどこんなにも違いがあるものなんですね これはシリーズ全制覇しそう

    4
    投稿日: 2023.05.19
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    読んでよかった。手話通訳士がメインでも、ろう者がメインでも、コーダ(初めて知った)がメインでもなかった。ただそこに生きている人がメインだった。手話に興味を持ち始めた人に特におすすめ。読む前の私がそうだった

    1
    投稿日: 2023.05.16
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    目をつぶれば見えない世界は簡単に経験できるけれど、完全に音が遮断された世界は作り出すことが出来ない。 そういう状況で生活していくのは想像以上のことだろう。 そんな中、一般人でも経験しない場に立たされる・・・。丸山さんに知らない世界を教えていただいた。本って、世界を広げてくれるね。

    3
    投稿日: 2023.04.29
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    少し前のあやごぜさんの「龍の耳を君に」のレビューを見て読んでみたいと思ったが、そのレビューに『前作を先に読んでから本書を読むことをお勧めします』とあったので、この巻から買ってきた。 私も会社では多くの障害のある人と一緒に働いているのだが、聴覚障害の人はおらず、なので、ここに書かれてあることは初めて知ることが多くあった。 「手話通訳士」という資格のこと、言語としての手話の種類のこと、「ろう者」と「聴者」という表現、「コーダ」という言葉、刑法第40条の経緯、そして、あとがきに書いてあった『ろう者の皆さんがご自身を「障害者」とはとらえていないこと』、等々。 たまに聴覚の支援学校の先生から実習や就労についてのご相談を受けることがあり、しかし、うちの仕事の性質上そうした特性のある人の受入れが難しいため、いつもお断りするばかりで申し訳ない気持ちだったのだが、この話を読むとさらにその気持ちが募った。 そうした障害の特性にまつわる話をベースに、主人公の荒井の個人的な事情、警察事務職員としての職歴、彼が手話通訳として関わった17年前の傷害致死事件の経緯、その被害者の息子が殺害された最近の事件の捜査状況などが絡まりあいながら少しづつ明かされていく構成で、物語にぐんぐん惹き込まれた。 過去にこだわり危ない橋を渡り続ける荒井に気を揉みながら、彼が最後に取った行動に焦点となっていた親子が応えたラストには深く胸を打たれた。 著者があとがきに書かれた『「何らかの障害を持っている」ことは確かに特別なことではあるにせよ、それをマイナスのものでも逆に賞賛すべきことでもなく、障害を持たない人でも共感できるような種類の葛藤として描けないか』という思いにとても共感した。

    45
    投稿日: 2023.04.25
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    CODAの通訳者が、様々な事件を解決していく推理小説。現状を全く知らない聴者が、ろう者や手話を取り巻く環境を知るにはとても勉強になる良い本だと思う。ただ、根底に「聴者通訳の使う日本語対応手話はダメ!ろう者とわかりあうためには、日本手話しかない!」みたいな思想が根底にあるのが、少し残念。「ネイティブにならなければ、分かり合えない」という思想だと、結局母語が違う人とは分かり合えない、という差別につながってしまうと思う。

    1
    投稿日: 2023.04.16
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    なんだか評判が良いので読んでみた。 聴覚障害者のミステリー。 私はミステリーが好きではないので、誰が犯人だったとかどうでも良いのですが、聴覚障碍者の立場について知らない事が多すぎる。 少しでも理解するために、読んでおいて良かった。 健常者が使う「日本語」を、50音や単語をそのまま形にする「日本語対応手話」と「日本手話」ってのの違いを知るだけでも大きい。 一般的に、健常者が使う手話を「日本語対応手話」と言う。 これは、音声言語の日本語有りき、すわなち聴覚に問題がない人が作った手話とも言える。 中途失聴者が使う場合も多い。 そして、「日本手話」 こちらは、日本語のような文法、50音とはまったく一切関係がない。 ろう者同士が表現するには、こちらの方が良いらしく、聴覚障害者であってもどちらも使いこなせる人は多くないらしい。 聴覚障害者が被告人になった場合、取り調べや法廷で通訳が必要になるが、そこにミステリーになるネタが転がってるんだな。 小説でなくても、実際はどう処理してるんだろうと考えさせられる小説でした。

    2
    投稿日: 2023.03.30
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    第6回全国高校ビブリオバトルで、「グランドチャンプ本」になった本。Youtubeで紹介者の動画を見たのは2020年だが、その時に受けた感動と衝撃を思い出し、ふと読みたくなった。「デフ」や「コーダ」などの語彙については、その紹介者のおかげで”予習”できてはいたものの、いざ読み進めると知らないことが多すぎた。特に「日本手話」1つの言語として誇りをもってろう者の方たちが使用されていることを初めて知った。フィクションであり、私の知らない世界であるのに、リアリティな人間社会に引き込まれていく。ミステリー小説としての展開も魅力的で一気に読了。 「人を通して本を知る」そのビブリオバトルで紹介されていなかったら決して出会うことがなかったであろう秀逸な本との出合いに感謝。

    1
    投稿日: 2023.03.07
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    わたしは大きな勘違いをしているのかもしれない 「普通」「一般」「健常」これがマジョリティ その考え方から覆されたようなそんな感じがする 障がいだと思えばそうなのかもしれない でも 日本語の音声をコミュニケーション手段とするわたしたちと 日本語の手話をコミュニケーション手段とする彼ら 手段が違う ただそれだけなのかもしれない 見方、捉え方、考え方、千差万別 立場が違えば 何をマジョリティ、マイノリティとするかは また変わってくる あやふやに何となく決めつけていることって多いよね 手話について知りながら スピード感でストーリーにも入り込めて 読み応えのある一冊だった

    2
    投稿日: 2023.02.23
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    〈法廷の手話通訳士〉という、サブタイトルに惹かれて本書を手に取りました。 耳の聴こえない両親の元に生まれ、自身は聴こえる“コーダ”の荒井尚人が主人公。 彼は、とある事情から警察を辞めて、再就職の為に手話通訳士の資格を取ります。 ある日、ろう児施設の理事長が殺害される事件が発生。17年前にも同施設の前理事長が殺害されており、荒井はその事件の被疑者である、ろう者の男性の通訳をした過去があり、今回の事件もその男性が重要参考人になっている事を知りますが・・・。 聴覚にハンディのある方々の世界がリアルに描かれているので、非常に興味深く読ませていただきました。 “ろう者”“聴者”そして“コーダ”という呼び方も初めて知りましたし、手話にも“日本語対応手話”と“日本手話”の2種類(一方は手段で、もう一方は言語のような感覚でしょうか)あるとの事で、いやぁ勉強になりますね。 ミステリとしても途中で予測がつくものの、それなりに楽しめますし、何より、ろう者の方々について“目から鱗”的な新たな気づきを得られる部分が良かったです。 最初は、色々拗らせすぎている主人公の荒井に好感が持てなかったのですが、“聴こえない”家族の中で自分だけ“聴こえる”存在だった彼の苦悩や疎外感を思うと、“確かに、すねちゃう部分あるかもね‥”と読み進めるうちにそのように思い直した次第です。 事件の真相や背景は、辛く切ないものがありましたが、収まるところに収まったかな、という印象です。 続編も出ているので、そちらも読んでみたいですね。

    4
    投稿日: 2023.01.26
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    聴覚障害を根底にしたサスペンス。アカデミー賞を受賞した「CODA(コーダ)」という映画の影響もあり、この言葉も一般に知られてきたようだ。私自身も映画でコーダという言葉を知った。 それよりも10年以上前にこの小説は書かれ、聴覚障害者とその家族、そして「聴こえる」家族を描いている。しかし、堅苦しい内容ではなく、サスペンスを描いているので、読者にもわかりやすい。 殺人事件であり、そこには痛ましい過去もあるのだが、爽やかな終り方をしており救われる。

    1
    投稿日: 2023.01.24
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    高校生ビブリオバトルの動画を見て、ずっと頭の片隅にあった本。 なんで早く読まなかったんだろう?と思うくらいには面白かった。いや、面白いというと語弊があるかな…読み出すと気になって一気に読めます。 ろう者の両親から生まれた聴者のことを「コーダ」と呼ぶ。ろう者と聴者の世界を描き出したミステリ。 続編も絶対読む。ミステリとしても面白いけど、これを読んでぜひろう者とコーダのことを知ってほしい。

    6
    投稿日: 2023.01.18
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    此の1冊で手話の奥深さを感じた。その昔に愛の劇場で『ラブレター』と言う昼ドラマをハマって観ていた事を懐かしく思い出した。

    1
    投稿日: 2023.01.13
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    ミステリとしては薄味だったと感じたが、ここが主題ではないということは早々に分かる。 コーダの方たちの感情、手話の種類など考えさせることが多かった。続編も読みたい。

    1
    投稿日: 2023.01.11
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    感想 少数者の孤独。五体満足だから良い訳ではない。少数者に属しているから孤独なのだ。それでも隣人とうまく付き合うには。考えねばならない。

    1
    投稿日: 2023.01.01
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    2022年最後の本がデフ・ヴォイスで本当に本当に良かった。 あなたは「きょうだい児」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 きょうだい児とは、重い病気や障害を抱える兄弟姉妹の居る子どものこと。 大人になった今だから隠さずに言えますが、私はきょうだい児です。 私が物心がついた頃に姉が難病になり、甘えたかったとき、母はいつも私のそばにはいなかった。 落ち込んで慰めてほしかったとき、抱きしめてほしかったとき、いつも母は姉のいる病院にいた。年に一度の誕生日さえも。 難病の姉がいるせいで、と思ったことが何度もある。恥ずかしさや悔しさをそれなりに感じてきた。人よりも我慢を覚えるのが少し早かったように思う。 幼少期を一緒に過ごさなかったからか、今でも姉とは馬が合わずギクシャクしたりもするが、昔より姉のことを敵対視することはなくなった。 コーダである荒井は家族全員がろう者で自分だけが聴こえる、どれほど孤独だっただろう。家族の中で自分だけが違うことがどんなに寂しかっただろう。 自分がいれば必ず世間との通訳をさせられる。それがどれだけ辛かっただろう。当事者にしか分からない苦悩がそこにはある。 それでも同じきょうだい児として自分に重ねてしまって何度も何度も辛くなった。 手話は私の母が少し学んでいたり、学生時代にろう者のクラスメイトがいたりと、私にとって遠い存在のものではなかったけれど今作を読んで知らない世界を知った。 恥ずかしながらコーダという言葉も初めて知った。 手話には日本手話と日本語対応手話があることも。 手話通訳士は資格をとって名乗ることが出来ることも。手話ができても心が通っていなければできない仕事という言葉には考えさせられた。 手話について、ろうについて、コーダについて考えるきっかけをつくってくれたことに感謝。 ラスト50ページから真実が次々と分かってくる。ページが止まらないとはこのことか、と。そしてラスト20ページ、今度は涙が止まらなくなる。 もう一度、何も知らない状態で読みたいと思えるほどに良かった。 これから読む人が羨ましいほど。 今年は読了数伸びずマイペースにもほどがありましたが、レビューひとつでも読んでくださった方、ありがとうございました。 来年も大好きな本とたくさん出会えますように。 宜しくお願い致します。

    9
    投稿日: 2022.12.31
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    ろう者が自分から遠い存在だったし、どう近くなれるかわからなかったけど、この本に出会えて聞こえない人達を想像するきっかけになった。 聴力障害を生まれながらか、中途か、聞こえても家族がみんなろう者か、また、その程度はどのくらいか。手話の種類、ろう者の文化など、知らない世界に出会えた。 地元が出てきたこともあり、ドキドキが増しました。

    1
    投稿日: 2022.12.31
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    ろう者であるが故の 家族関係だったり、犯人像であったり… 単に、切ないとか辛いという感情ではなく 考えさせられました。 荒井と何森の絆には 感動しました!

    7
    投稿日: 2022.12.18
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    ハンディキャップを負う人などの意思がより正確に反映される、より公平かつ正義に適う司法が実現されるために、法曹関係者の人に読んでもらいたい本。法学部かロースクールの隣接科目での参考文献の一冊に加えてもらいたい本でもある。 司法のIT化の議論に、ハンディキャップを負う人や外国の方の意思を最新の技術を使ってより正確に反映させるように努力しているのか不勉強で知らないが、もしそのような努力がなされていないなら努力してほしい。

    3
    投稿日: 2022.11.30
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    普段使っている″言葉″について、とても考えさせられた。2人のフランス人が自分の目の前で会話している時、何にもわからない。それが、手話で会話がおこなれている時も一緒だと、本当にそうだと納得した。 相手の立場になって考えなさい。ということがよく言われるが、この言葉は相手の立場に立って自分の考えと比較しなさい。ということなのではないかと思った。だから、自分の考えと同じこともあるわけで、違いをみつけろということではないのだと思う。 人間はやっぱり皆同じだと、私は思います。 ″敵か、味方か″というのは ″理解しないか、理解しようとするか″ または″自分を守るか、人を守るか″ こういう事なのかなと思った。 話が進むにつれて、全てのことに納得がいく話でした。

    2
    投稿日: 2022.11.27
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    最初、主人公のザラついた感情が伝わってきてとても苦手だったが、話が進むうちに納得した。主人公がどのように変わって行くのか、続編を読みたいと思う。

    3
    投稿日: 2022.11.19
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    2022.10.26 ろう者の方の苦労や生き辛さ、同じコミュニティの中での明るさ コーダである主人公の苦労と勇敢さと、清さ どちらも描かれています。 健常者である私からすると、ろう者の方達が違う民俗であるように主張している事が寂しく感じてしまいますが、自己中なんだろうなぁ。 大感動した映画 コーダ〜愛の歌〜 とは違ったベクトルだけど、主張してる事は似てて興味深かったです。 手話勉強したくなりました。

    2
    投稿日: 2022.10.26
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    私たちの味方? それとも敵? 人と初めて会う時に感じるには、辛い感情だ。 他人のことは分かりにくいし、軽々しく分かったなどとは言えない。 世間、社会は知らないことで出来ている。 周りにろう者は居ないが、さまざまな障害を持っている人たちに会ったときに自分は気が付かないふりをするだろう。考え直す契機にはなった。 いつ自分もそうなるかも知れない。

    1
    投稿日: 2022.10.25
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    2作目と共通感想にて 何気に書店で手に取ったご縁で。 ろう者の間に生まれた聞こえる子(コーダ:Children of Deaf Adult)が手話通訳士となり、日本手話と日本語対応手話の交錯を背景に、ろう者が関与した事件の解決を綴る物語。数年前読書メーター発ですごく話題になったシリーズらしいけど、全然知らなかった(汗)。読了効果として、シリーズをもう1冊購入。謎解きでないけど、社会性のある優しい「ミステリ」でよく出来てる。今さらかもしれないけどおすすめ。

    2
    投稿日: 2022.09.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『コーダ』が主役の映画が話題になったりと、 最近はデフやコーダという言葉が少し有名になってきた感があるが、 私がこの本を読んだときには全く知らなかった。 デフ(=Deaf)はろう者のこと。 コーダ(=Coda)はChildren of Deaf Adultsの頭文字をとったもの。 コーダはろう者の親を持つ聞こえる子どもだ。 (これらの言葉について説明がないまま映画のPRが行われていることに 少し違和感を持っている) 上記の他、「ろう者」という呼称は当人たちにとって何ら差別的なものではないこと、 日本手話と日本語対応手話の違いの話なども盛り込まれ、 耳が聞こえない人たちの世界がとても良く分かる本として、 本書は相当に秀逸だと思う。 著者とコーダである韓国の映画監督とが対談をした際、その監督も言っていたが、 著者はデフかコーダのどちらかなのではないかと思ったほどだ。 全て調べたことだというのだから驚きである。 さらには、ミステリーとしての面白さもきちんと備えていて、 ラストも素晴らしいのが大きなポイント。 私的に胸を張ってオススメできる一冊。 追記:2024.1月--- 先日、本作を元にしたドラマを観た。 主演の草彅くん他、各役者さんのキャスティングや演技にはまったく文句がない。 が、デフやコーダの文化についてほぼ描かれていなかったことがひとつ、不満。 またそれ以上に、原作で感動を覚えた最終盤について、良い点こそが端折られ、改変されていた(少なくとも私にはそう思えた)のがとても残念だった。

    4
    投稿日: 2022.08.04
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    シリーズ途中から読み始めてしまい、後悔していたので 一作目のこちらをようやく手に取り、一気読み。 最後の数行に涙。 それにしてもこの荒井尚人という主人公、 なぜこんなにモテるのか? 45歳のバツイチ、お世辞にも愛想が良さそうには見えず。だけど彼女いるし、その娘にも好印象持たれてるし。 通訳士を始めればろうの方からの信頼をガッチリ得るという。。 わたしの中では西島秀俊のようなルックスがもやもやと湧いてしまっている。 見た目の描写はほぼないにもかかわらず、 そんな印象が…。 殺人事件を軸に描かれてはいるものの、 中心に据えられているのは ろう者であり、 その周りを取り囲む聴者であったり、 コーダと呼ばれる「ろう者を親に持つ聴こえる子ども」といった存在との関わりがメインであるように思う。 わたしたちが普段あまり目にしない、知ろうとしない世界がそこにあり、そのことを押し付けがましくなく教えてくれる本作に出会えて良かった。 次作も楽しみ。

    19
    投稿日: 2022.07.29
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    手話通訳士になった男性のお話。警察勤めの過去がある彼が何故手話通訳士になったのか。だんだんと現在の事件と過去の事件がリンクし紐解かれていく感じがいいですね。 「コーダ」とか「ろう者」とか聞きなじみのない言葉がいろいろと・・・おもしろい、というよりは「興味深い」作品だな、と。手話にも種類があることすら知らなかったので勉強にもなりました。 ミステリそのものの評価としては普通ですが、他にはないその特徴は一読の価値があるかと。

    4
    投稿日: 2022.07.28
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    初めは聞こえる聞こえないどのような親元に生まれたかなど、出自や社会への葛藤がすごくて読むのをリタイヤしそうになりましたが。そこを超えた途端サスペンスに陥り…大体予想していた通りの筋書きで完結を迎えて読後感はスッキリ。

    1
    投稿日: 2022.07.23
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    手話という難しいものを小説、文字で描く時点で、発想が秀逸。あまり知られていない世界へ読者を誘っている。彼らが生活する上で出て来る葛藤は、簡単なものではないのだ。 物語を殺人事件と主人公の件と絡めて進めて行くので、後が気になりスピーディで読み易い。単なるミステリとして終わるのではなく、ラストの展開は、犯人にとっても主人公にとっても、小説全体の美しい幕引きだった。 個人的に主人公の不安定さに共感できないところがあり、サブキャラクター何森のほうが素敵だった。スピンオフ作品が出るのも頷けた。

    3
    投稿日: 2022.07.19
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    慧眼(物事の本質を見抜く、優れた眼力) さすがです さすがの慧眼の持ち主です 好みが似てるのにあまりジャンルや作家さんが被ってない本棚を持ってる人 こういう人を見つけられたらしめたもんですよね 新しい扉開けまくりですよ 今回はみんみんの本棚で高評価だった丸山正樹さんをチョイス やっぱり面白かった!さすがわしやな!目の付け所がさすがやな!(自分だけを誉めていくスタイル) さて本編です 耳の聞こえない人を親に持つ聞こえる人のことを“コーダ“と言うのだそうです そして本作はその“コーダ“の物語です 知ってました?“コーダ“? 恥ずかしながら自分は知りませんでした そして本作を読んだことで“コーダ“の人が抱える悩み、葛藤、ある種の疎外感みたいなものの一端に触れることができたような気がしました しかも自分の好きなミステリーというかたちで触れられたのも良かったです 「親が聞こえないのに聞こえるって、へえ~良かったじゃん」って簡単に考えてました なんか無知ってだけじゃ許されないことがこのカギ括弧の中にたくさん詰まってたんじゃないかって今は思えます なんか始めの一歩を踏み出せた気がした物語でした

    60
    投稿日: 2022.07.16
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    今年は映画コーダがヒットしたので、この本を手にする人も増えたかと… 読めて良かった。 映画と内容は違えど、コーダの人々の苦悩のようなものが描かれているのは、また新たな発見。 完全フィクションで、でもろう者へ寄り添った感じの話が健常者にも受け入れられやすい小説のように感じる。 手話と言っても、日本手話、日本語対応手話と違いがあり、通訳士もどの立場で仕事をするのか、色々と考えさせられた。 重要なのは「理解できた」よりも、「寄り添い」の感覚がうまく使えたとき。と、解説者が話しているのも印象的。 泣いて助けを求めても、その声は誰にも届かない。ただ我慢するしかないのだ。 p. 103 独自の言語と文化を持つ集団、としてとらえなおした 真っ先に異議を唱えたのは、同じ聴覚障害者仲間であったはずの中途失聴、難聴者たち… それらの言語を用いる彼らは、ろう者ではない、、と定義されることになってしまうのだ p. 124 これまでのろう教育は、聴者に近づくことが目標でした。でもこれからは、手話を身につけることで自分に自信を持ち、言いたいことが表現できる自我を育てたいんです  p. 145

    8
    投稿日: 2022.06.30
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     本作を読み始めて、米アカデミー作品賞受賞映画『コーダ あいのうた』を思い出しました。主人公がコーダ(CODA:Children Of Deaf Adults,きこえない親をもつ子ども)であることが共通していたためでしょうか…。  本作の感想は、とても一言では表せないくらい深い内容を孕んでいるようです。少なくとも、単なるミステリーではない、また、薄っぺらい障がい者の話でもない、という気がします。  聴者とろう者の間で苦悩する主人公を通して、私たちの認知がまだまだ足りてないと、著者が理解と共感を求めている気がしてなりません。実際、「日本手話」「日本語対応手話」等、初めて知ることが多く、簡単に多様性だとか共生社会などと言っていることすら恥ずかしく思えてきます。  それでも、物語の最後に救われます。ミステリーとしての面白さに加え、広い視野での社会的マイノリティへの温かさが感じられ、爽やかな読後感でした。もっともっと読み継がれていってほしい名作だと思います。  余談ですが、私の下手なレビューより、ぜひYouTubeで検索し、第6回全国高校ビブリオバトル決勝、春日部女子高の印南 舞さんの名バトラーぶりを観戦してほしいです。見事に本作『デフ・ヴォイス』がチャンプ本(最優秀賞)に選ばれ、表彰式では著者の丸山さんから賞状と記念品が渡されるというサプライズ付きです。  また、映画『コーダ あいのうた』をまだご覧になっていない方も是非! 主人公ルビーの歌声に癒されます。

    29
    投稿日: 2022.06.17
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    刑事何森を読んで面白かったので,シリーズ1作目から。 こちらも面白かったです 警察の裏金不正を暴いたため,すべての警察官を敵に回した荒井尚人 仕事を外され,1年後警察を去ることに。 その後、手話の腕を活かして手話通訳者の仕事に就く中、警察時代に関わった過去の事件と関わることに なぜ荒井は手話を自由に扱えるのか 過去の事件と,今の事件、容疑者として名前が上がったのは… ろう者、聴者、コーダ色々考えされられました。

    1
    投稿日: 2022.05.30
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    今まで知らなかった職業 今まで知ろうともしなかった現実 こんなふうな毎日を過ごしている人がいるんだ、という驚き それは、自分とは全く違う世界 ミステリの面白さと共に 知らない世界にふれることが出来る。 押しつけがましくもなく あざとくもなく  自然に。 この本と出会えて良かった。

    2
    投稿日: 2022.05.15
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    やはり。これは完全に読む順番を誤った。 「龍の耳を君に」を読んだ後なので、すでに瑠美がどんな人物か知っている・・・しまったー。 それでも今回もとても興味深く読んだ。 「コーダ」という言葉をこのシリーズを読んで初めて知った。 「両親ともにろう者である、聴こえる子」 自分だけが聴こえるせいで感じる疎外感。周りの目や声を自分だけが敏感に感じ取ってしまうつらさ。 いっそ自分も聴こえなければ、と思うのももっともだ。 しかしコーダだからこそ手話通訳士としてろう者に寄り添うことができる。常に思い悩み、影がある荒井だが、彼にとって天職だと思う。 このシリーズ、すでに4冊も出ているらしい。 ここからはしっかり順番に読んでいこう。

    55
    投稿日: 2022.04.17
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    ろう者が物語の中心にいるミステリ/ 日本手話と日本語対応手話というものを知る/ 子どもの頃は近所に聾学校があったが深く彼らについて思いを馳せたことはなかった/ アニメ聲の形を見て少しだけ彼らのことを知ったように思う/ そしてこの本で現実的なろう者たちの生活を見た/ ミステリとしての話も面白くグイグイ読み進めた/ しかし主人公がどうしてそこまで熱意を持って事件を追ったのかについてはあまり共感を感じなかった/ かなりの代償を払って真相を探る理由が、17年前のことだけではどうにもしっくりと来ない/ 

    1
    投稿日: 2022.03.30
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    英語と日本語で手話が違うのは知っていたが、日本語の手話の中にも大きく二つの手話があり、さらにローカルなものもあるということを、この本を読んで初めて知った。手話通訳士として仕事を始めた主人公は、両方の手話を使いこなすことができるので、多くの人に頼られることになる。役所や銀行での交渉や病院での付き添いなどだけでなく、法廷での通訳も行う中で、主人公の過去や、昔の事件が明らかになっていく。聾社会を知る意味でも、ミステリとしても楽しめる。

    2
    投稿日: 2022.03.09
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    手話を文字で読む事は、わかりにくい。手でその動作をしながら読んだ。そんな中断もあるけれど、夢中で完読。好みのミステリーでした。他のシリーズも読んでみたい。

    3
    投稿日: 2022.03.02
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    みんみんさんのレビューを読んでから、まことさんのレビューを再読し、Amazonでポチった(笑) 多分みんみんさんレビューの、ミステリーという言葉でピンと来たのだと思う(笑) 手話通訳士の話。 家族がろう者で、自分一人だけ耳が聞こえる。 ろう者の両親を持つ聴者の子供のことをコーダと呼ぶらしい。 主人公はそのコーダの男性。 手話には「日本手話」と「日本語対応手話」があるらしい。 先天性で耳が聞こえない人は、「日本手話」という、日本語とは独立した言語で話すイメージのようだ。 聴者で生まれたが、事故などで耳が聞こえなくなった人は「日本語対応手話」という、日本語にリンクした手話を使うらしい。 自分があまり関わったことのない世界の話だが、物語もかなり引き込まれ、これまで全く知らなかったことを、自然に知ることが出来た良書だった。

    42
    投稿日: 2022.02.11
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    耳の聴こえない人の犯罪を軸にした社会派ミステリー。 色々と秘密にされ、少しづつ事実が明らかになっていく構成。全体的に暗いため、読もうかどうしようか迷ったが、ストーリーというよりは、ノンフィクションを読む感覚でろう者の文化や警察内部の実態を描かれた所が面白く、読み進めてしまった。コーダはもとより、日本手話、日本語対応手話の違いなど全く知らなかったし、為になる内容でした。

    1
    投稿日: 2022.02.10
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    図書館で。 シリーズ2作・3作が出ているのに1作目が見当たらないなぁと思ったら出版社が違ってた。なるほど、だから本棚になかったのか… CODAという言葉はこの小説で初めて知りました。昔、なんとなくテレビで見た海外の映画で、そういう境遇の女性を題材にしたものをちらっと見たなと思い出しました。家族の中で彼女だけ聴力があるため、兄弟だか姉妹の棺の値段の交渉をやらされたり、通訳をさせられていて大変そうだなぁと思った記憶があります。彼女の母親が聴力の無い方ばかりの働くミシン工場に勤めていて、仕事中怪我をした女性がいても誰も気が付かなかったとか、そんなシーンは覚えているのですが。最後どうなったのかな、あの映画。 手話は反対に国際的に同じ動作にしたら、言葉の垣根が超えられるのかも、なんて思ったことがありますがそれを誰がどう整備するのかを考えたら大変ですね…。 時々手話ニュースを見ているのですが(手話がわかるからではなく、コンパクトにニュースをまとめてくれているので)、あれはきっと日本語対応手話なのかなぁなんて思いました。前にテレビでろう者に向けて、お葬式では聴力のある人にわからないと思って、あまり明るい話題を手話で話し合わないように、なんて注意をしているのを見てなるほどなぁと思ったことがあります。わからないと思っても伝わるものですよね。外国の言葉でも、手話でも。何を言ってるかはわからなくても雰囲気というか、何について話しているかとか、そういうものは結構伝わるものだなと。 そんなことをつらつら思いながら、なるほどなぁとかそうなのかぁと読みました。主人公のどちらの気持ちも分かるけれどもどちらでもない、というような罪悪感のような、それでいて疎外感を家族や社会に対して感じている、そんな感じが伝わってきて大変だなぁと他人事のように思いました。実際他人事なのですが、そういう人がいるんだな、という事を知れたのは良かったと思いました。

    1
    投稿日: 2022.02.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ありきたりな感想しか書けないが。 ・ろう者と言ってもひとくくりではなく、様々な背景や文化があるのだなと知った。 ・自分たちが普段目にしてる手話と、ろう者同士で話すときに使う日本手話は、全く違うものであることに驚いた。 ・今まで耳が聞こえない人や手話を使ってる人と関わったことがなかったから、道端で見かけたりしたら少し偏見の目で見てしまったかもしれないが、この本を読んでろう者に対する見方、考え方が変わった。

    2
    投稿日: 2022.02.03
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    警察を辞め、離婚した荒井尚人43歳。手話通訳士の資格を取ると、逮捕されたろうあ者の通訳をすることになった。そして蘇る17年前の殺人事件。有罪になった者が本当に犯行に及んだのか。 とても静かに物語は進む。全く知らなかった、ろうあの世界と手話。目からウロコが落ちる思いがした。 ミステリーとしてもよくできていた。意外過ぎる結末。

    2
    投稿日: 2022.01.31
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    どちらとか 分けることを 止めていく 我らは語り合う 言語がある ろう者の世界、知らないことだらけだった。 彼らの音なき声に耳を傾けるべきだと痛感。

    4
    投稿日: 2022.01.28
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    多くの方のレビューを見て出会った一冊。 あまり知られていない…特に自分自身が知らない世界を、好きなミステリーを介して、少し知る事が出来ました。上手く織り込まれた一冊だと思います。 キャラの濃い登場人物達も、良いアクセントになってます。

    1
    投稿日: 2022.01.24
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    コーダ=聾者の親を持つ人が主人公。聾者が被告となった事件に、手話通訳士として挑む。事件の真相の告白が手話で行われ、会場の中で驚く人と何も分からずいる人に分かれる所が良く出来ていると感心した。

    2
    投稿日: 2022.01.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公は耳が聞こえるが 手話ができる。 仕事を失って 新しい職を探していて 手話通訳士という仕事があるのを教えてもらって 認定試験を受けて合格する。 元警察の事務員だったが 退職理由などはわからないけど(後半にはわかる) 人が良いけど なにか 暗さがある。 過去の事件から 17年後。 似たような事件が起こる。 全くつながりのなかった 人物たちがつながっていく。 手話を知らなかったので こういう感じなのかと 学べて 良かったです。 ろう者の事を 障碍者としてみなすのではなく 手話という言語を話す人として見るというのは 良い視点だと思いました。 この本は シリーズにもなってるようですね。 いつか読んでみましょう。

    2
    投稿日: 2022.01.15
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    以前から気になっていたシリーズ とても勉強になりましたm(_ _)m 大好きな読書で新しい知識を得る…感謝です。 そしてミステリーとしても、読み応えのある作品。 シリーズ追って読んでいきたいと思います♪

    11
    投稿日: 2021.12.27
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    それぞれの立場からしか分からない思いがある。と、改めて思い出させてくれた一冊だった。 それぞれの立場の繊細な心の動きが上手く書かれていて、寂しさや、本当の優しさ、愛の形について考えさせられた。 少しずつ明らかになっていく事件の真実。自分の推理が間違っていて欲しいという思いと、推理が間違っていないと確信に変わった時の複雑な思い。 でも、最後に大きな愛が感じられ幸せな未来が見えたような気がして心が満たされました。 出会えてよかった。良い本です。

    2
    投稿日: 2021.12.26
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    あとがきによれば、この本は、最初、ろう文化をよく知る人たちの間で読まれていたらしい。けれど、私はむしろ、その文化を全く知らない人たちにとって意味を持つ一冊だと思う。せっかく本を読むのなら、自分の見ている世界をすっかり塗り替えてくれるくらいの本を読んだ方がいい。多くの人にとって、そういう体験をさせてくれる貴重な一冊になると思う。 高校生ビブリオバトル全国大会の動画を見て、ぜひ読みたいと思っていた。ようやく入手して、一気に読んでしまった。 ストーリーの仕掛けにはp.200あたりで気づいてしまったけれど、それを差し引いても面白かった。そして、もっとたくさんの人にろうの世界を知って欲しいと思った。 イギル・ボラさん『きらめく拍手』では、韓国のろう者が置かれている状況が詳しく語られている。『デフ・ヴォイス』はフィクションだけれど、その背景になっている日本の状況も、おそらく大きく変わらないんじゃないかと思った。たまたま、身近なところにコーダの人が何人かいるのだけれど、それが何を意味しているのか、ほとんど何も知らなかったことを知ったからだ。 「障がい者の子どもはいい子になってしまいがちだけれど、本人にとってはそれは実はしんどい」という、通り一遍の理解で済ませてしまっていた。そうじゃない。そんな単純なものではない。 ろう者が自分たちをどのように捉えているのかも全く知らなかったことも思い知らされた。ろう者に対する今までの教育は聴者というマジョリティへの「同化政策」であり、暴力としての側面が存在したという。教育=人権尊重、とはなっていなかったということだ。 小説にしろ、ドキュメントにしろ、本を書いて世に送り出してくれる方々には、本当に頭が下がる。目に映りながらも「見て」はいないものがこんなにもあることに気づかせてくれる。しかも、この本は極上のエンタテイメントでさえある。読書メーターで話題になってたくさんの人に読まれるようになった本だということだが、これからも埋もれることなく読み継がれてほしい。そして、「え?こんなことが昔、日本で起きてたの?」と言われる世の中に変えていかなければならないのだと思う。

    3
    投稿日: 2021.12.25
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    職を失った荒井は自分としては避けたかった特技、「手話ができる」という特技を使って手話通訳士の資格を取得し、手話通訳として収入を得るようになる。 荒井は生まれながらのろう者の人々が使う「日本手話」も使い慣れており、ろう者からも信頼を得て、とうとう事件の被疑者となったろう者の通訳を行う法廷通訳もやるようになってしまう。 事件に巻き込まれたろう者の通訳という仕事は荒井の過去の記憶を呼び覚ます。17年前、殺人事件の容疑者となったろう者の男性の通訳をやったことだ。 そして今、17年前の事件の関係者が再び殺人事件の被害者となり、荒井は独力で真相を探り始める・・・ 主人公の荒井はろう者ではなく、聴者である。しかし、家庭環境などからろう者と同じように日本手話や、言葉以外の細かなコミュニケーションも取れる人物として描かれている。周囲から見た時、荒井自身もろう者であると勘違いする人も出てくるほどだ。 しかし、彼は聴者であるため、ろう者の中にあっては、聴者として扱われ、一種の疎外感を抱いて育ってきた。 物語の中でもなぜ彼が手話ができるのか、なぜ彼が自分の過去にいい感情を抱いていないのか、という点が物語りの進行と共に徐々に明らかになってくる。 作者がこの作品を書いた時には、ろう者の知り合いもおらず、ろう者に関する知識は全て文献などから得たものだったという。しかし、障害を持つ人を描いた作品はどうしても障害はかわいそう、でも頑張っているという調子になるものが多い中で、そうではなく、障害を持たない人にも通じる葛藤があることを伝えたかったという。

    3
    投稿日: 2021.12.25
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    「ろう者」についてのミステリー小説。 身体に障害を抱える人たちを障害者というが 自分はその表現が嫌いで、聴覚に障害を持つ 人もこの本に出てくるように「ろう者」で統一 して欲しい。 それはともかく、途中から何となく犯人と 動機が分かってしまったのはご愛嬌。 ただ、「ろう者」の世界を知ることが 出来たのは何よりの収穫だった。 例えば「コーダ」 親がろう者、でも子どもは聞こえる。 主人公の荒井はそういう環境で育った。 小説の中でとても印象的な描写があって 街で「コーダ」の子どもが転けてしまう。 前を歩く母親に助けを求めて泣くのだが 「ろう者」の母親にはそれが聞こえない。 そういう、健常者にはないある意味残酷な 現実の中で育つ子どもの心境。 泣いて助けを求めても、その声は誰にも届かない。 ただ、我慢するしかないのだ。 そして、立ち上がり、自分で歩き出すしか ないのだ。 どんな病気でもそれになった人しか分からない 悩み。 でも、その痛みは分からなくても寄り添う事は 出来る。 家族愛も大きなテーマの1つでもありました。

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    投稿日: 2021.12.12
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    刑事何森を読んだので、再読。まだ主人公は再婚していない。最新作品では女の子は高校受験期なのでシリーズの時間経過を確認できた。私は「●●と✕✕の架け橋」という使い古された表現が嫌いだが、このシリーズのcoda(コーダ)の距離感は押し付けがましくなくていい。障害のある人々とない人々の分断については、幾分かの知識がなければ理解は難しいと思った。

    2
    投稿日: 2021.12.05
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    手話を話すろう者の世界や、通訳士の仕事について、また、コーダという存在についてなど知らないことを色々知るきっかけになった。 障害者の方をテーマにしているにもかかわらず、ただの感動小説ではなくきちんとミステリとして面白い。 ろう者は聴こえないもの、ではなく手話という言語を話す人、という考え方は面白いなと思った。

    1
    投稿日: 2021.11.14
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    10年ほど前に手話講習会に通っていた。適性がなく通訳士への道は頓挫してしまったのだが、ろう者の方々のおかれている状況について直接伺えたことはとてもいい経験であった。本作はその事を改めて思い出し考えるきっかけになった。

    4
    投稿日: 2021.11.13
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    ろう者と識者という概念すら知らなかったが、手話通訳士として生活から法廷からあらゆるところで手助けになる役割ということがとても興味深い話だった。ミステリーということでも面白く、単なる通訳でいいのかという主人公の葛藤が心を揺さぶる。

    2
    投稿日: 2021.10.21
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    とても読みやすい。罪を追求する側なのか弁護する側なのか、迷いながらも手話という言語を駆使して真実に迫っていくストーリー展開。ろう者、聴者、コーダが出てきて単に聞こえないことが障害なのではなく、マイノリティになれば孤独や生きづらさを感じて障がいになることに気づかされた。

    1
    投稿日: 2021.10.09
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    ブクログのレビューを見て、読んでみたくなった一冊。 法廷での手話通訳士の話と言うことで、とても興味深かったが、実際には警察を辞めた荒井が就職に困り、手話が出来ることから資格を取り、通訳士の派遣の仕事を経て、法廷での手話通訳を担う覚悟を決めるところまでが描かれている。 友人が手話のサークルに入っていたことや、聴覚障害のある方にパソコンを教える機会もあることから、本格的に手話の勉強をしたことはないものの、ある程度理解しているつもりでいたが、本作を読んで、自分の認識がものすごく甘かったことを知った。 また一般的に聴覚障害のある方を誤った呼び方をしていたことも、すごく情けないと思った。 荒井のように両親や兄が全く耳が聴こえないのに、自分だけが聴こえてしまう罪悪感も初めて知ることだった。 物語の軸は、児童養護施設で起きた親子2代に渡る所長の殺人事件の犯人が誰かと言うことなのだが、その動機も悲しいものである以上に、自分の認識の甘さを感じた衝撃的な作品だった。 東京2020のテーマでもあった「多様性」を今一度考えさせられる内容でもあった。 この後もシリーズは続くようなので、荒井の本格的な法廷での手話通訳士の活躍を楽しみにしたい。

    17
    投稿日: 2021.09.30
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    この本を読む前にたまたま『日本社会とろう文化』を読んでいたので、作中とある人物の設定や主張に「おや、これは…」と思う部分があった。 参考文献やあとがきでそのことに触れられていたので納得。 併せて読むと主人公の使用する言語やコミュニケーションの仕方への理解が相互補完的に深まるのでおすすめ。 前半は主人公の境遇や触れてきた文化、そこにまつわりこれまで抱えてきた孤独や葛藤がメイン、後半は今現在の主人公が関わるに至った事件がメインに描かれている。 前半部分について自分はたまたま学んでいる最中で、とても読みやすく感じられたので、この本は広く読まれてほしいと思う。多くの人に知ってほしいことが書かれている。 けれどそれだけを目的として読まれるのも違うのかな…とも感じる。 自分はこの作品の一部分に着目してしまうけれど、全体で見れば、この社会で生活する、同じところもあれば違うところもあるひとりひとりがそれぞれに心を通わせる様を描いた物語だったと思う。 伝えたくても伝えられないこともあるし、十分伝えたと思っても満足に伝わっていないことだってあるし、言葉がなくてもわかりあえることもある。それでも言葉で伝えたいこともある。言語は違っても、変わらないんだよね。 面白いので、読んでほしい。

    1
    投稿日: 2021.09.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分以外の家族はみなろう者。事あるたびに聴者との間に立って通訳をしなければならない。当然家族の知り合いはろう者が中心となるものの、自分は聴こえる側の人間だという幼少期は何とも身の置き場のつらい立場だっただろう。 コーダという言葉と、それが指す人々の存在について初めて考えた。 自分が今まで"手話"と思っていたものは日本語対応手話だったのか。 あと主人公、情報収集能力すごいな。

    1
    投稿日: 2021.08.19
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    自分が関わった事件の真相を知りたいんかもしれんけど、子ども使ったらあかん。一歩間違えたら連れ去り事件やん。主人公が好きになれんかった。

    3
    投稿日: 2021.08.17
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    読んで良かった。知らなかったことばかりでした。 聴者に近づけるためではなく、自我を育てる教育を。ろう者の言語や文化をもっと知りたくなりました。ラストの手話のスピーチシーンに痺れました。 三宮麻由子さんの解説〝翻訳がうまくいくときは“ も、素晴らしかったです。

    44
    投稿日: 2021.08.16
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    「言いたくないことは言わなくてもいい」し、「言いたいことは言ってもいい」けど、「言ったことは有利不利を問わずに証拠になり得る」。当然のことなんだけど、「黙っている権利」という概念が分からない人もいる。全ての当事者が同じ土俵に立たないと真のデュープロセスはなし得ない。沈黙の声をすくい上げ、同じ土俵まで引き上げる人の存在と努力。そのために何ができるか考えさせられました。続編があるようなので、そちらも楽しみ。 爽快なミステリー。大切なものを守ろうとすることは美しい反面、どの登場人物においてもその手段が正しいとはいえない形だからとても悲しい。デフヴォイスをすくい上げられる人がいれば、伝えてくれる人がいれば結果は違っていただろう。

    7
    投稿日: 2021.08.08
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    "コーダ"と呼ばれる人のことは初めて知った。必要だったから会得した"技能"で携わるようになった仕事、手話通訳士が遭遇する事件、それとリンクする過去の事件、と話は展開していく。スリリングで面白い。 耳が聞こえない、ということで起こるいくつものことは、特殊な出来事かもしれないが、見過ごされてはいけないことばかり。 「彼らの言葉を、彼らの思いを正確に通訳できる人間がいて、それでようやく法の下の平等が実現するのだ。」

    3
    投稿日: 2021.07.19
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    ミステリーとして純粋に面白く、一日で読み切ってしまった。 「ろう者」と「聴者」と「コーダ」の関係に、「帰国子女」の体験談が重なった。異なる言語と文化を持つ人同士の関わりなのだとの説明は、しっくりくる。「ろう者」の世界にひかれ、もっと知りたいと思った。

    1
    投稿日: 2021.07.13
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    ミステリーとしてよりも、聴覚障害者の事を色々知れて勉強になったな〜という作品だった。 なんとなく分かってるつもりでも、全然理解出来てない事っていっぱいあるな〜と感じた。 私、「ろう者」って差別用語かと勘違いしてました。 生まれつき耳が聞こえない人達が自分達の事を誇りを持って、そう呼ぶのだそうです。 この先誰かに寄り添う事があった時、聴覚障害者に限らずまずはしっかり知ることが大事だなと改めて思った。 読めてよかったです! ただ主人公にあまり共感できず、そこが残念でした。

    10
    投稿日: 2021.07.08
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    聴覚障害者と手話通訳士を題材にしたミステリー!!! 今まで馴染みのなかった、聴覚障害者に関する社会問題を考えるきっかけになった素晴らしい小説でした。 ぜひぜひ皆さんに読んで欲しい小説です! 特にミステリー好きの方は必見✨

    1
    投稿日: 2021.04.24
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    知らないことばっかりやった。恥ずかしながらコーダも知らず、日本手話などいろんな種類があるのも知らなかった。 もっと、学んでいかないといけないな…

    1
    投稿日: 2021.04.14
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    コーダ(Children of Deaf Adults)のことは、本書を読むまで恥ずかしながら知りませんでした。ろう者の世界、コーダとしての葛藤、優生保護法、施設における虐待などを巧みに織り込んだ社会派ミステリーの傑作! 通底するのは家族愛...、優しい気持ちになれました。

    21
    投稿日: 2021.04.13
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    丁寧すぎる伏線と展開で、ミステリーとしては先が読めやすく易しい内容でした。 ただ、主人公の生い立ちや境遇の描写がいちいち泣け、非常に良かった。

    2
    投稿日: 2021.03.21
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    前に話題になってて気になってたので読んでみた。 読み始めてまずビックリしたのが、日本の手話に「日本手話」と「日本語対応手話」という2種類があるという事。 初めて知った。 これは、大変だよね。 子供の頃、手話が全世界共通じゃない事を知ってすごく驚いた記憶がある。 今思えば、文法とかも違うから当たり前なんだけど。 日本だけでもこんな違いがあるなら、尚更大変だなって思った。 そして、内容はとても面白かったんだけど主人公の性格に所々苛々してしまって、困った。 特に中盤のシーンは私だったら絶対に許さないなって思ってしまった…(^-^; 続刊が出てるみたいなのでそちらも読んでみたいな。 余談なんだけど。 同じコーダ(ろう者の両親から生まれた聴者の子供)のお話だとフランス映画の『エール!』って言うのがすごくおすすめだよ!

    1
    投稿日: 2021.03.20
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    映画にしても 本にしても 1つ終わると (それがいい作品だったら) もう1つ!! って 手を出しちゃう しかも 丁度いい厚さの本が あるじゃない 今回は 一気に読んでしまった とても 読みやすい 犯人は早い段階で 分かって 衝撃のラスト! って訳ではないけど この作品は そこじゃないのだと… 犯人が分かってからの 主人公と 登場人物との 展開だよね そして 「ろう者」「手話通訳者」 「コーダ」 知っているようで 全然知らないんだと 教えられた

    1
    投稿日: 2021.02.13
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    謎解きメインというよりは最後の感動を呼ぶためのスパイス。ろう者の社会や世界観。日本手話と日本語対応手話の種類があるなんて知らなかった…。主人公に向けられた問いもラストで「あ、そっか!」とストンと解決で構成も良かったと思う。

    6
    投稿日: 2021.02.09
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    ずっと読みたいと思っていた作品 シリーズ3作をまとめて読みたい! なのに 近隣の図書館には 揃っておらず 悶々としていたけれど ようやく手に取ることができました これは とても心揺さぶられるお話 単純に 聴力の有無だけでは語れない はかることの出来ない世界を紹介してくれている じっくりと 味わって 大切に胸にしまいたくなる作品でした

    1
    投稿日: 2021.02.01
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    以前から気になっていた本でした。第6回全国高校ビブリオバトル、グランドチャンプ本ということを知って、これはもう我慢できない、読みたい!と思い結局購入してしまいました。 耳が聴こえない両親を持つ、耳が聞こえる主人公・荒井尚人。現在と過去、二つの事件が交錯する社会派ミステリーです。サブタイトルに「法廷の手話通訳士」とあったので、てっきり法廷での話がメインかと思っていたのですが…法廷での手話通訳はちょっとだけでしたね。 私の周りには耳の聞こえない方も手話を使っている方もいません。強いて言うなら『聲の形』は全巻持ってるくらいかな…。 作者がタイトル『デフ・ヴォイス』に込めた三つ目の意味、「ろう者に限らず、言いたいことがあっても圧倒的な多数の前にあってその声が社会に届きにくい社会的少数者の声」 私にできることは何もないかもしれないけれど、まずは知ることから始めたい。 もちろん小説としても面白かったので、続編もぜひ読みたいです。

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    投稿日: 2021.01.31