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新装版 播磨灘物語(1)
新装版 播磨灘物語(1)
司馬遼太郎/講談社
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総合評価

70件)
3.8
15
22
25
1
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    豊臣秀吉に警戒された異能の軍師黒田官兵衛を主役にした大河小説。司馬遼太郎はやたら余談が多いが本作は冒頭からが余談。官兵衛の先祖から始まっている。多分調べているうちに楽しくなっちゃったんだろうなぁ…と思う。それでも官兵衛の親父が登場してくる辺りから面白くなってくる。官兵衛自身が優秀だったのは歴史が示す通りだが親父の影響も大きいし何よりキャラクターが良かった。

    3
    投稿日: 2025.06.07
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    黒田官兵衛の物語 初めましてな人、このときは珍しく大河ドラマも観てないから断片的にしかその人生も知らない。 これから続く物語を楽しもうと想います。 黒田家の起こり〜荒木村重との会談まで

    3
    投稿日: 2025.04.22
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    祖母に貰ってこの本を読みました。最初は退屈していましたが、その後は面白く読めました。やはり官兵衛は魅力的な偉人ですね。終盤の荒木村重と官兵衛の出会いは、米澤穂信氏の「黒牢城」を思い出させました。

    1
    投稿日: 2023.04.29
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    久しぶりの司馬遼太郎だった。 最近戦国時代に今更ながら凝っており、手を出してみた訳だがかなり面白かった。 個人的な感想だが、何となくでもある程度の知識があると、著者の考え方や歴史の見方が見えて一層面白いのだなと感じた。

    3
    投稿日: 2023.01.22
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    ●上巻ラスト 竹中半兵衛のエピ 武道の講義中に厠へ行こうとした息子を咎めて「そこでせよ、武道の話をしているときに中座するということがあるか」 ●中巻 “官兵衛の思想は、大将たる者は金銀銅を一枚でも多く貯めるべく日用を節しなければならない。それを敵に勝つための用につかうという心くばりがなければ、とてもこういう時代に、一城一郡を保ってはゆけないのである。43

    1
    投稿日: 2022.10.30
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    官兵衛の考えでは、武士には中間がなく、源平いずれかに属して旗幟を鮮明にしなければならない。中間的存在というものはもしあり得ても双方から叩かれて結局はほろぼざるをえない。(273ページ) 台頭する織田信長の評価においては、既存の小大名たちは信長を過小評価し、決断できず様子見に徹する。 変化の時代においては、現状を正当化し変化を嫌う傾向に陥るものだと思うが、決断すべき時に決断することの難しさを改めて感じた。

    0
    投稿日: 2022.07.15
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    良い。 流石、司馬遼太郎。綿密な調査。 身近な地域が出て来て、かつてあった出来事を想像するみた。 戦国時代に私欲乏しかった黒田官兵衛、カッコいい。播磨の人らしい。

    0
    投稿日: 2020.07.27
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    黒田官兵衛の祖父も父も貧困生活を耐え忍びながら、黒田家を支えてきた経緯が描かれている。二十二歳にして播州・小寺藩の一番家老となった官兵衛の出世の影には、土着の民百姓をねぎらいながら藩主を盛り立ててきた苦労が窺える。官兵衛の若き日々の情熱は、信長が上洛する前の京都でキリシタンの布教の触れ、洗礼を受けるまでになった(洗礼名シメオン)青春時代にあったようだが、軍師としての才略が芽生えたのも、揺れ動く天下の動静を眺めていたこの時期にあったようだ。【司馬遼太郎】による歴史大河小説の第一巻。

    1
    投稿日: 2020.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

     官兵衛には、およそそういうところがない。  かれはただ自分の中でうずいている才能をもてあましているだけであった。その才能をなんとかこの世で表現してみたいだけが欲望といえば欲望であり、そのいわば表現欲が、奇妙なことに自己の利を拡大してみようという我欲とは無縁のままで存在しているのである。そういう意味からいえば、彼は一種の奇人であった。

    0
    投稿日: 2018.12.24
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    ・彼は自分に勇気があるとは思っておらず、勇気のなさを補うには着実に事をやる以外ないと思っていた。 ・竹中半兵衛のような男がでてきたということ自体、戦国乱世ということが、ただ単に欲望がむらがり衝突する世界というのではなく、欲望が蒸留されて一個の文化現象のようなものが出はじめていることを証拠立てているのかもしれない。 ・ものを考えるのはすべて頭脳であるとされるのは極端な迷信かもしれない。むしろ人間の感受性であることのほうが、割合としては大きいであろう。

    0
    投稿日: 2018.12.09
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    NHKBSでやってる軍師官兵衛から興味を持って読書開始。岡田君の官兵衛とはだいぶ雰囲気が違いますね。キリシタンだった点、武勇は得意でなかった点等々。岡田君は強そうだし。早くテレビに追いつかなきゃ、と思い、第1巻読了。

    0
    投稿日: 2018.07.30
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    司馬遼太郎が描く軍師・黒田官兵衛は、全4巻。 著者後期の作品(1973~1975年執筆)だからか、同じ戦国時代が舞台の「国盗り物語」や2年前に読んだ「峠」と比べ、登場人物の滾るような闘志だったり、白熱した展開、興奮冷めやらぬ読後感…といったものはなく、ただ淡々と物語が進んでいくような印象を受けました。だからといってつまらないわけではなく、黒田官兵衛、すなわち如水のあらましであったり、これまで知らなかった荒木村重など、戦国時代の見え方がまたひとつ明らかとなり、面白い作品でした。 ところで、如水という人物。あの秀吉が嫉妬したとされる天才軍師ですが、作中でも多く語られていたように、とにかく欲望の影がみえません。そればかりでなく、(特に荒木村重に囚われてからは)達観的で、野望というものを持たない人物として描かれています。一方で、秀吉の補佐をひとつの仕事として捉え、そこに美学を感じているように思えるところは、時代背景こそ異なりますが、一介の村医者から戊辰戦争を率い、日本陸軍の創設者となった大村益次郎と重なるなぁと思ったり。 そう考えると、欲の少なく、冷静沈着である如水を描く作品だからこそ、すらすらと流れるような物語の運び方にひとり納得の思いを感じるところです。

    0
    投稿日: 2018.07.08
  • 黒田家の生い立ちが綴られる第一巻

    官兵衛の目覚ましい活躍はまだない。 黒田家の生い立ちが司馬遼太郎氏の史観を交えて語られている点は興味深い。 九州の福岡の地名の由来が、備前福岡を出身とする黒田家にちなみ、長政が付けたものだとするウンチクはためになった。 信長に対する評価も従来の一般的評価に比べて辛口だが、納得感はある。 ただ、第1巻は小説というより、歴史評論の色が強く、物語の世界になかなか入り込めなかった。 第2巻に期待。

    0
    投稿日: 2017.08.12
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    数年前の大河ドラマが頭にあり、いずれ読み返そうと思っていた本作を、三十数年ぶりに再読(初読は単行本)。 黒田官兵衛の祖先の成り立ちから、随想風に書き起こす司馬節を久しぶりに味わう。 膨大な史料蒐集と想像力で、稀代の謀略家官兵衛の生涯を綴る著者及び彼の博識に改めて畏敬の念を抱く。 この巻は、本来は歌詠みにでもなって世を過ごしたかったという官兵衛が、その才能を持て余している前半生が描かれている。

    2
    投稿日: 2017.07.05
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    小藩の家老職から乱世を生き抜き、ついには大名となった黒田官兵衛の生涯の物語。 播州を舞台に官兵衛が生まれるまでの経緯。 時代の波に流されるように、徐々に騒がしくなっていく世情。 織田家と関わるきっかけ。 荒木村重や高山右近との出会いを描いている。 物語では聡明な少年らしいエピソードが語られる。 同時に、繊細で傷つきやすい面を抱えているエピソードもある。 若者らしい傲慢さもあり、藩主を軽んじているような所業も見られる。 周囲の人間が自分より劣っている馬鹿にしか見えなかったのだろう。 だが、それを隠し通すほどの思慮はまだこの頃の官兵衛にはない。 今のように遠く離れた場所でも情報が手に入る時代ではない。 武将の名を耳にしても、田舎にいては実際はどんな人物なのか正確には掴めない。 官兵衛は小藩の家老職であり、国許にいればそれなりの扱いを期待できるのかもしれない。 けれど一歩藩を離れてしまえば、官兵衛など取るに足らない存在だ。 一方、官兵衛自身は自分の力を信じている。 試してみたいと思っている。 自分の思うように生きてみたいと思っている。 もっと世の中を知りたいと思っている。 武将としての官兵衛の人生はまだこれからだ。 第二巻ではどんな活躍が待っているのだろう。 本領を発揮する官兵衛を早く見てみたい。

    2
    投稿日: 2017.04.18
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    少し時代遅れだが、司馬遼太郎が描く黒田官兵衛の話。黒田官兵衛というと豊臣秀吉の参謀のイメージがあるが、この本を読むと少し異なった印象を持つ。それはこの本が豊臣秀吉に使える前の官兵衛の話に多くを割いているからである。小寺家→豊臣家→徳川家と仕える家を変えていくのは、時代の先を読みながら主君を細かく観察してその瞬間で誰につくのがベストかを考えることを示している。主君への忠誠心より自分の能力に自信がある武将であったのだろうか。組織か個人か...現代の我々の生き方にも通じる読み物。

    0
    投稿日: 2017.01.29
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    黒田官兵衛 こういう人になりたいなと思う。 織田信長、豊臣秀吉もいいけど、こういう脇役が戦国時代を支えてたんだなと思う!

    0
    投稿日: 2015.08.14
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    NHK大河ドラマになっているので読んでみた。全4巻。官兵衛のおじいさんくらいから始まる。序章なので有名どころはちらほら程度。官兵衛もなかなか出てきません。内容は歴史を知らなくても「歴史チックな物語」として読めると感じるくらいライト。敷居は高くないと思う。

    0
    投稿日: 2015.01.04
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    黒田官兵衛 まだ、官兵衛が活躍していないけれど、読ませる文章は安定の司馬遼太郎。 今後の官兵衛の活躍が楽しみ。

    0
    投稿日: 2014.11.23
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    NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の原作。竹中半兵衛と黒田官兵衛の区別もつかなかったが読み始めるととても面白い。久しぶりの司馬遼作品。

    0
    投稿日: 2014.08.22
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    大河ドラマが急に面白くなってきたので、見始めたところ、書店でたまたま見つけた作品。 室町という中世的な旧体制が少しずつ壊されていく過程。それは、キリスト教と茶の湯に代弁されている身分の相対化が物語っている。そして、その象徴ともいえるのが信長だったのだろう。門閥に囚われない、人物徴用。これに魅了された官兵衛。 戦国時代の外交、処世術もなかなか面白い。 司馬遼太郎が好きそうな主人公である。

    0
    投稿日: 2014.08.17
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    官兵衛がまだ世に知られる前のはなし。くすぶっている様子がよく伝わってくる。世の中の変化をみている点は参考になる。

    0
    投稿日: 2014.08.12
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    2年前に読んだものをもう一度・・家もなく薬売りだった家からなぜ小寺家に仕えるようにまでなったのか祖父の時代から詳しく書いてあります。 そして官兵衛が荒木村重に出会うまでを描いたもの。 物語がかなり回り道をすることもありサクサク読み進められず前回も1巻で断念。今回大河が面白いのでもういちど1から読んで続きも頑張って読んでみようと思う。。

    0
    投稿日: 2014.08.06
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    著者の感想を散りばめながらの小説は今更ながら新しく面白かった。 官兵衛の妻の名前が違っていたがこれはあえてなのかな?

    0
    投稿日: 2014.07.13
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    官兵衛の事を知りたくて読んでいるのだが、周辺の話が多くて分かりにくい。官兵衛の事を理解するには必要な話かもしれないが、読んでいてテンポが悪い。でも、どういう育ち方をしたのか、環境だったのかと言ったことを知ることが出来た。官兵衛の活躍は中巻、下巻に期待します。

    0
    投稿日: 2014.07.09
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    本のタイトルからはわかりにくいが、現在、大河ドラマで取り上げられている「黒田勘兵衛」を取り上げた小説。今回で読むのは三回目だが、ドラマを見た後で読むと、色々な発見があって更に面白い。

    0
    投稿日: 2014.06.28
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    黒田官兵衛。戦国時代末期の鬼才。牢人の子に生まれながらも、二十二歳にして播州・小寺氏の一番家老になる。 だが、「この程度の小天地であくせくして自分は生涯をおわるのか」という倦怠があった。 欲のうすい官兵衛だが、「広い世界へ出て、才略ひとつで天下いじりがしてみたい」という気持ちが強かった。 (当書裏表紙あらすじより) 2014年大河ドラマに合わせた訳ではないんですが、偶然、本屋で見かけて買ってしまいました(^^ゞ 著者は安定の司馬遼太郎先生なので内容については不安はありませんでしたが、なかなか読むスピードが速くなりませんでした。 前半は黒田氏が興った経緯や播州にきた経緯が語られ、後半は織田信長の動向が中心にあったからだろ思います。 次巻からは秀吉が出てくるからもうちょっと盛り上がってくるんじゃないかな。 次も楽しみです♪

    0
    投稿日: 2014.06.21
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    大河ドラマにはまって読み始めました。脇道にそれるけど歴史がわかって面白い。主人公のイメージがドラマと違ってアクティブなイメージではない。

    0
    投稿日: 2014.05.04
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    黒田勘兵衛の物語。司馬遼太郎らしい、綿密な取材と文書に裏打ちされた、リアリティ感のハンパない歴史小説。事実を見ているような感覚になる。勘兵衛のキャラはあっさり目。透明度の高いキャラとして描かれている。

    0
    投稿日: 2014.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初、司馬遼太郎本。 大河ドラマの影響で読み始めたけど面白い。 播磨で退屈していた官兵衛がこれからどんな天下いじりをしていくのかが楽しみ。 それと意外と信長の評価の低くて驚いた。 でも天下への野心は毛利や他大名よりも強くて、だからこそ天下統一の一歩手前まで昇りつめることができたんだろうなと思った。

    0
    投稿日: 2014.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    黒田官兵衛の話。 官兵衛の祖父、黒田重隆は流浪し、備前福岡千軒に腰を落ち着けた。重隆の貴族厳としたその風格に竹森新右衛門という大百姓は惚れ、自分の財産をつぎ込むようになった。重隆は、秘伝の目薬を神社のお札に合わせて売りさばき、富を得たが、それを近在の百姓に低利で貸した。この時代は貸し倒れが多いために利息が大きく、次の収穫までに5割というのが普通だった。それを重隆は2割にし、担保も不要とした。ふつうは田地を担保とし、金を貸す。返済できなければ田地をまきあげる。このため、金貸し資本と言うのは、いくらでも身代をふやすというのがこの時代であった。が、重隆はそれをしなかったため、近郷にも噂が広がり、連日、人が押しかけたと言う。ただ、ひとつ条件を付けた。それは、担保が要らないかわりに、借りている期間中の月に1日か2日は重隆の屋敷に来いと言うのだ。そのようにして、家に人数を寄せておく。彼らに対しては、被官になれといってある。家来になれと言うのだ。土百姓が家臣になるのだ。家臣になるものには低利で金を貸すというのだ。また、男の子を持っている家は特に優遇した。そういう少年を手なずけ、戦士にすべく養成しようとしたのだ。 そうやって、家臣を増やし、重隆の息子の兵庫助(官兵衛の父)の代になると、御着の小寺藤兵衛の家老にまでのし上がった。兵庫助もその子官兵衛も腕力がなく、決して戦場で派手に相手を倒していく豪将という種類の人間ではなかった。勇気のなさを補うのは、着実に事をやる以外にないと考え、常に、冷静に物事に対処しようとした。 官兵衛、のちに黒田孝高と名乗り、官名を勘解由次官(かげゆのさかん)と私称し、洗礼名をシメオンと称した黒田官兵衛は、天文十五年(1546年)11月二29日に生まれている。幼名は萬吉と言った。重隆も兵庫助も、”我が家は百姓どもが盛り立てたによって、流浪の境涯から脱することができた。百姓の恩を忘れれば、我が家は必ず滅びる”と言っていた。 官兵衛は信長を慕った。それは、信長が単に武を好むだけの粗放な男ではなく、旧天下を壊し、新天下を創造するだけの基本的な施策を持っていたということにある。信長は一国を攻略すると、ただちに中世経済の約束事を壊した。座という専売制を廃し、商業の自由という意味の楽市楽座の制を布いた。さらには、関所を廃し、通行の自由を与えた。これにより商業を起こし、国を富ませるという富国強兵を計ったのだ。これが武田信玄や上杉謙信、毛利元就とは根本的に違ったことである。官兵衛は、だからこそ信長を選んだ。また、官兵衛は、信長の元にいる竹中半兵衛を知り、これにも私淑する。半兵衛は利のために武を行うのではない。自分の利を中心に思考をめぐらせば、必ず眼識が曇る。武道の面白みは、己の利や立場を抜いて物事を考えるところにある。官兵衛のやり方もそれに相応していた。 しかし、信長は、支配地を拡大していくにつれて、別な面を見せ始めた。人材を好んで求め、手柄を立てたものには必ずその場で賞した。四方に対する判断に誤りが少なく、戦うときには必要があれば自ら弾雨の中に立って指揮をした。その命令は峻厳であり、諸将は信長の命令に誤りがないことを信じていたために、敵を恐れず、信長の命令を恐れた。だが、信長が持つ酷烈さが比叡山攻めや本願寺攻め、反逆した村重の妻子への処刑などで出てきた。信長は情勢が自分に対して不利な場合、懸命にそれを抑制しているに違いないが、荒木村重のように、ひとたび勢いが衰えてしまった場合、信長の自制が緩み、地獄の獄吏でも為しがたいような残虐なことをやってのけてしまう。支配地を拡大するにつれ、徳を持ってあたらなければならないところを、信長はその逆を進んでいる。そこに官兵衛は不安に思うのだった。 官兵衛は、敵に対しても、いや人に対して寛容だった。合戦と言うものは、元来が異常なことであり、この異常なことを、自分達とともにやっているのは、敵だけであり、それを思えば、戦う者達にとって敵ほどかわいい者は無いのである。敵を憎むなとは官兵衛はいわないが、7つの憎しみがあれば、3つは可愛さを入れるように努めるのだと、部下には言っていた。 それを端的に表したエピソードがある。ある時、材木が盗まれて、調べてみると遠くから来ている大工の仕業と分かった。奉行はこの3人を捕まえて、官兵衛に告げた。官兵衛は、”その罪、打ち首にあたる”と顔を真っ赤にして怒った。衆人もその処置を当然とした。この時代、盗賊に対する罪は大抵が斬首であった。が、官兵衛は、いっこうに執行を命じない。奉行はたまりかねて官兵衛の元に行き、もう斬ってもよろしいでしょうか、と告げた。すると官兵衛はどなり、”人間の命の尊いのを知らぬか”と言った。この一見矛盾した官兵衛の言動は黒田家に長く言い伝わり、逸話になり、さらには黒田家の政治哲学になった。官兵衛は盗人に言い渡したのは罪の量刑だけであり、執行するとは言っていない。また奉行に対して怒ったのは、奉行たるものは赦してやって欲しいと頼みに来るぐらいが本筋であるのに、逆に刑の執行を迫るとは何事かということであった。戦国期の高名な大名は、一般的に人を殺すことが少なかったが、”人命は尊い”と積極的に思想としていったのは、官兵衛ぐらいであっただろう。 全4冊

    0
    投稿日: 2014.03.08
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    言うまでもなく、今年の大河ドラマ「軍師官兵衛」の司馬遼太郎版。「世に棲む日々」に続く今年2作品目の長編。黒田官兵衛に関しては、大河ドラマを順調に観ているほか、「大河ドラマ・ストーリー」「黒田如水(吉川英治著)」、「新書太閤記(吉川英治著)」などを読んでいるため、流れはほぼ掴んでいる。あとは、司馬遼太郎氏なりの色付けを楽しむだけである。 本作品では、冒頭のかなりの部分を官兵衛の代よりも前の黒田家について説明がしてあり、家の成り立ちをしっかり理解出来た。その過程で、官兵衛の曽祖父高政が連歌の点者ではないかという想定で進めようとしていたところがユニークだった。根拠はまったくないにもかかわらず、近江から備前福岡までの移動について、旦那の館に泊まり、連歌の会を催し、行路も安全に次の土地へ進んだのに違いないという仮定をは半ば強引に打ち立てていく。 そして面白かったのが、足利義昭を奉じた細川藤孝に対して、たまたまそこに随行していた官兵衛が「織田どのがよろしかろう」と足利義昭の庇護先を提案するシーン。官兵衛はまだ信長に会ってもいないのである。これにより、後にそれが実現し、信長の天下取りの大きなきっかけになっていくのだ。官兵衛の先見の明を表すのにぴったりなアングルである。 以下はその他興味深かった点。 「人を罠にかけて殺す者は必ず似たような目にあう」ということを重隆はしきりに言い、人を憎むよりも憐れみをかける方がよほど身の安全になる、ということも絶えず言っていた。その重隆の性格や家訓がその後の黒田氏に重要な影響を与えることになる。 →因果応報ということである。この家訓が官兵衛を歴史に名を残しめたのだろう。 「頑健だからいいというものではない。おのれが脾弱であれば人の病弱をいたわることができ、また頑健な家来を大切にするという気持ちも出てくる。ゆらい、黒田氏の家系から頑健な者が出たことがない」 →幼少時代の官兵衛が父から言われた言葉。なるほど、物事はとらえようである。秋冬になるとかなり頻繁に風邪をひく私も脾弱なのかもしれず、ここ数年の悩みであったが、こう捉えれば良いのか。 信長は富士山に登ったようなものだという見方だろう。誰でも足腰さえ達者なら登れる。が、富士はその裾野を3カ国にまたがらせている。3カ国を平定してから登らねば、降りるにも降りられず、結局は下から槍で突き殺されるのが落ちだという。 →信長が足利義昭を奉じて京へ登った後を説明したものだが、実に巧いたとえである。

    0
    投稿日: 2014.02.22
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    『竜馬がゆく』を読んだときも思いましたが、司馬さんは人物を平易な文でかつ魅力的に描くのが本当にうまいです。 まだまだ官兵衛の物語は回転し始めたばかりですが、これからさらに魅力的になっていくんだろうなぁ

    0
    投稿日: 2014.02.22
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    秀吉の天下取りを支えた武将 、黒田官兵衛が主人公のお話。他の作品と同様に著者の綿密な下調べに裏打ちされた小説、それだけにとどまらずこの作品は官兵衛論を書いた歴史書としても十分な価値がある。特に司馬史観に基づき官兵衛のフィルターを通して観た信長に仕える秀吉像はとても新鮮。14年んの大河ドラマ主人公でもあり、ドラマを楽しむ上でも必読。

    0
    投稿日: 2014.02.16
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    謎に包まれていた黒田官兵衛の詳細が少しずつ分かりかけてきた。 当時、信長が置かれていた政治状況や他国との関係などが第三者が見た視点で冷静に描かれている点が良い。 まるで、一種のジャーナリズムを読んでいるかのよう。 第一巻では官兵衛が歴史の表舞台に出てこないので、次巻に期待。

    0
    投稿日: 2014.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2014大河ドラマに向けての予習。 先に読んだ吉川英治著『黒田如水』とは、大筋が共通している他は異なる場面が目立ちます。 『播磨灘物語』で特に目立つのは「黒田官兵衛」がキリシタンとして描かれている部分。黒田官兵衛自身が様々な人間関係の中で歴史を作り上げていくのですが、その節々にキリシタンである事が重要なポイントとなります。 黒田官兵衛が生涯一夫一妻を貫いたのも、荒木村重が最後まで自刃せず生き逃れようとしたのも、キリスト教の教えに従ったからだという解釈に基づきます。 この辺りは大河ドラマでは描きにくいのではないかな?八重の桜でも極力宗教色を排除しようとしたようですし。黒田官兵衛のキャストを見ても、官兵衛との色恋沙汰を匂わせる女性キャストが数人用意されているようですし。とはいえ、八重の桜しかり、黒田官兵衛しかり、キリスト教である事をぼかしてしまっては根幹が描けないと思うのですが。 それにしても『播磨灘物語』を読めば読む程、黒田官兵衛は豊臣秀吉抜きでは語れないという事がわかります。黒田官兵衛を知るには、豊臣秀吉を知らねばならないのでしょう。豊臣秀吉を知るという事は、織田信長や徳川家康を知る事にも繋がります。 色々と読書欲を誘発される作品です。

    1
    投稿日: 2014.01.03
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    今年の年末年始用に購入。NHKの官兵衛の前に読み切る予定。官兵衛の祖先、近江の佐々木源氏までさかのぼり、話が始まる。長い助走から、始めるところが、司馬遼太郎らしい。面白いところはこれからか。

    1
    投稿日: 2013.12.23
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    来年の大河ドラマの先読みです。 流浪した家から、播州の小さな小寺藩に拾われた黒田官兵衛の父、重隆は、揖保川北方、宍粟郡山崎郷の香川氏を攻め、その手柄で姫路村、姫路城の城主となった。 ・・・・ 宍粟郡山崎と姫路。親しみが沸きます。

    0
    投稿日: 2013.11.16
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    来年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公黒田官兵衛を描いた司馬遼太郎の長編。全4巻です。 昨今、軍師という言葉が経済界等の世界でも話題になっているようですが、黒田官兵衛こそ軍師中の軍師でしょう。豊臣秀吉の側近として、竹中半兵衛と双璧をなす男。 この第1巻は官兵衛が織田信長と出会うまでを描く。

    0
    投稿日: 2013.10.31
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    会田雄次さんの「敗者の条件」で「ある勝者」として紹介されています。 来年の大河ドラマの主人公ということで、定番の司馬遼太郎さんの本書を読んでいます。 淡白な智謀の人というとても面白い個性を持った武将です。

    0
    投稿日: 2013.10.31
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    黒田官兵衛さんの物語。 この巻は、近江伊香郡黒田村(今の木之本町)から出てきた御先祖さんの話からスタート。 司馬さんのお話らしく、小説と解説書の中間みたいな感じで書かれています。 官兵衛さんが30歳になったくらいまで。 ま、お勉強になるよ(笑)

    0
    投稿日: 2013.10.28
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    全四巻読了。 名参謀に憧れるので、黒田如水に興味があった。 豊臣が天下人になってから、かなり駆け足になってるが、ここもじっくり書いたら、少々冗長になるか。 如水のように冷静な目で行動したい。 地縁のない兵庫、岡山がちょっぴり近くなった。

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    投稿日: 2013.09.14
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    『わらしべ長者』?『長靴を履いた猫』?的な黒田家の成り上がりぶりがファンタジー。全4巻の1巻目やから面白いかどうか判断は出来ない。 ダラダラ読んでたからやけど、途中に放り込んでくる取材記的な部分があるので、物語当時なのか取材当時なのか掴みにくいと感じる部分があった。 織田と本願寺の戦い辺りは歴史の流れを読んでるだけやったから物足りなく感じた。 「官兵衛」を当時は「くゎんひょうえ」と発音してたらしい。ホンマかなぁ?

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    投稿日: 2013.09.06
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    来年の大河ドラマ『軍師官兵衛』は『黒田官兵衛』が主人公。その黒田官兵衛を主人公にした歴史小説で、今回二回目の読書。司馬遼太郎さんだけにやはり面白い。司馬さんの小説はどんどん読み進めることができる。 戦国時代の名軍師と言われた『黒田官兵衛』の生き方をまた知りたくなって読んでみた。 無名の時代から様々な場所に出かけて、色々な人に会って時代の流れを掴み、先を見通す胆識はやはり凄い。 その原動力は使命感だろうか?

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    投稿日: 2013.08.10
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    元々如水のことが好きであり、先祖が黒田藩と聞いており起源を知るうえで大変参考になった。如水の人間性に惹かれた

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    投稿日: 2013.06.23
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    兵庫県が舞台ということもあり、知ってる地名があちこちに出てきます。 ある時は主君の手紙を携えた使者が、またある時は戦場へ向かう侍達が、この地を駆け巡ったと思うと、見慣れた山や川への思いも変わってくるから不思議です。 歴史小説はちょっと苦手でしたが、主人公が組織の中で悩む姿や、同志に救われ、気持ちを奮い立たせる姿には、共感させられるところが多かったです。 全巻を通した感想になりますが、何よりも、最後まで「気高さ」を失わなかった官兵衛が、僕は好きです。

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    投稿日: 2013.06.23
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    地元姫路出身では一番の有名人の黒田如水の話、来年の大河ドラマの予習もかねて。さすがに司馬遼太郎はいいです、一気に読めました。

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    投稿日: 2013.05.03
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    北条早雲のはあまりだったが、このあと3巻、大阪冬の陣まで書ききるんだろうな。 まだ時代は足利。 後半織田信長登場、まだ先は長い。 この絶対少年漫画の主人公になりそうもない、性格の (爽やかではないという意味で) を持ってくるあたりが司馬遼太郎のセンスか。

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    投稿日: 2013.04.03
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    黒田官兵衛の生涯を描いた歴史小説。 来年の大河ドラマの主人公でもある。 織田信長が中世の時代を否定し、如何に新しい世の中を築こうとしてきたかも記載があり興味深い。 以下引用~ ・城下町は最初にたれが形成したのかは微妙だが、織田信長が尾張清州時代か、美濃岐阜時代にそれをやったとみるのが、妥当かもしれない。 ・後年、官兵衛の子の長政が筑前に封ぜられてここに城を築いたとき、城下の名前を福岡とした。この家系の者がいかに備前福岡を懐かしんでいたかということのあらわれといえるかもしれない。 ・官兵衛のような田舎の微小な勢力の中にいる者にとってキリシタンの組織ほどありがたいものはない。この南蛮寺(堺)にさえゆけば、日本中の情勢がわかるのである。 ・これまで、自分の領国の首邑の地名を改称した例というのはきわめてすくない。まして、天下統一の志を露骨に示す地名(岐阜)をつけた例は信長以前になかった。 ・信長は、近畿で領地さえとらなかった。・・・信長が新たな自領としておさえたのは、商業都市だけである。海外の物資のあつまる堺、北陸米のあつまる近江大津、それに近江草津だけである。そこにかれは代官を置き、流通経済を支配しようとした。

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    投稿日: 2013.03.16
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    久しぶりに司馬遼太郎さんの作品を手にとりました 2014年の大河ドラマ黒田如水に向けて 予習の意味を込めて(気が早いですが) 黒田家の祖先から始まるのはさすが司馬さんだなと思いました おかげで黒田家はどんな立場で家老をしていたのかよくわかりましたし 天下をどういう視点で見ていたことがよくわかりました ゼウスさまのご加護にて足利将軍にであい そして、仲間たちに出会い 新興勢力・織田信長に魅せられ 荒木村重に出会います さて!黒田如水はどのようにして天下の軍師になれるのか楽しみです

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    投稿日: 2013.02.23
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    豊臣秀吉の軍師として名高い、黒田官兵衛の生涯を描いた、司馬遼太郎氏の歴史小説、第一巻。 黒田官兵衛が生まれる前の、祖父・黒田重隆と父・黒田職隆の時代から、室町幕府が没落し、いよいよ織田信長を筆頭とする戦国大名の群雄割拠の始まりまでが描かれている。 第一巻までは、まだはっきりと黒田官兵衛が織田信長に仕えているまでには至っていない。勿論、彼の軍師としての功績を描いているには至っていない。その後、官兵衛が戦国の乱世を生き抜く上で、自らの特長を如何に発揮していくか、その過程と環境、そしてそれを育む上での、官兵衛の人となり、性格の成り立ち等が描かれている。 黒田官兵衛がキリシタン大名であることは、既に戦国の大名や武将を知っている者であれば周知の事実であろう。だが、思ったより若い時に、キリシタンとしてその洗礼を受けたのについて、本書でそれを実感し、それに至るまでの彼の思考過程、目的、時流が垣間見える。 結果として彼はキリシタンの洗礼を受けるも、その目的は極めて合理的かつ俯瞰的に捉えている。キリシタン、特にキリシタン大名は、狭い日本国内で些末な鍔迫り合いをする、矮小な土豪や小大名に仕えるのではない。ただ一つ、神(デウス)という、抗うことが出来ない絶対的な存在に仕えること。官兵衛にすれば、あまりにも小さな規模の利己的な考え。しかし、本書を読み進めてみると、官兵衛のキリスト教に対する考えは、ブレない軸づくりに思える。そして、当時の仏教は、一つの勢力として、領地の宗徒を支配する上で非常に都合がよく、戦国武将には利用価値が高かった。それが故に、理解の範疇外であるキリスト教は計り知れない。異端であるという周囲からの反響が高かったのは当然だろう。人間と言うもの、既知以外のものを受け入れるのは難しい。しかし、何者の支配にも縛られない。上下関係も、これまでの如何なる仏教に比べても遥かに緩い。垣根なく全国的に広がる宗教だから、ネットワークを形成しやすく、情報収集にこれほど利用しやすい宗教は無いという。 そんな、合理的かつ現実的、俯瞰的に物事を捉え、その上で冷静沈着に時流に乗るためには、どのような策謀を立てる必要があるか。それを考えるのが、官兵衛の天武の才なのかもしれない。一方で、いわゆる三英傑に見られるような気性の荒さは、若い時分の時から垣間見える。既にこの時から、周囲の情報を収集し冷徹なまでに分析し、それを発揮するための対応法を考える、参謀としての才能を開花させていたのかもしれない。

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    投稿日: 2013.02.09
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    これを読むと大概の人は官兵衛が好きになってしまうんじゃないだろうか。 優しい人柄、物事を見通す才智。 無欲で自分がのしあがろうという気がさらさらなく、 ただ自らの智略を思う存分発揮してみたいということだけを考える男。 僕は歴史小説を読むときは高揚感とか一種の痛快さを求めてしまうのだが、 この小説にはそうした要素は少ない。 しかし、官兵衛の生き方になにか美しいものを見せてもらったような静かな感動があった。

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    投稿日: 2012.12.14
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    久々の司馬さん節はやっぱりいい。個人的には足利義昭の描写がツボだった。物語はまだ序盤だが、これから官兵衛がどんな活躍をしていくのか楽しみ。信長の天才ぶりを見抜くところはさすが。器量がある人は素晴らしい。

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    投稿日: 2012.12.03
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    智謀と才覚で戦国を闊歩した黒田官兵衛の物語。小説としてはなんの盛り上がりもなく淡々としたものだが、この著者の文章は実に読みやすい。脳ミソにすんなり染み込んでくる感じ。歴史の教科書としては最上。

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    投稿日: 2012.09.05
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    これを読んで黒田官兵衛が好きになりました! 偉大であるも癖のある上司につかえる苦労をしながら、その中でも自分の実力を余すことろなく発揮したい!というのは現代の会社員にも通じるところがあるのではないでしょうか。官兵衛は信長、秀吉という強烈な個性を持つ上司のもとで働き、戦国最大の軍師と言われた智将。頭よくてかっこいいです。 苛烈な織田家の経営は、心なしか私が勤めているアメリカ企業の合理性に似ていて、きついなぁ・・・と変なところにも共感してしまいました。 その信長の命にそむき官兵衛のたった一人の息子を助けた親友の竹中半兵衛。普通の会社員ができないことをやってくれたので、胸のすく思いです。 信長や秀吉本人ではなく、その部下の視点、というところがいいです。戦国末期の立身出世ストーリーに厚い友情も交えて、とても面白い本です。

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    投稿日: 2012.06.11
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    全巻読み終わった。 黒田孝高の本を読み漁り、最終的に司馬先生に戻ってくる。 面白いというよりは、原典なのだと思う。 特に祖父の代から話を追う物語は少ない。

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    投稿日: 2012.01.04
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    久しぶりの司馬遼太郎の長編です。そういえば今年は1つ読んでなかったので年の瀬迫る今日この頃手に取りました。といってもめぼしい長編は殆ど読んでしまったので、あんまりないんだが。 これは講談社文庫の新装版です。文春文庫と新潮文庫の作品は小説系だとかなり網羅したので、講談社がねらい目だと勝手に思っています。 1973年5月から1975年2月にかけ「読売新聞」に連載されたもの。読売にも連載をしていたとは知りませんでした。 大作『翔ぶが如く』の少し前、大村益次郎が主人公の幕末もの『花神』の後くらいでしょうか。 全4巻で黒田如水が主人公の本作。司馬作品の中ではまあマイナーなほうかな。秀吉の参謀として知られるがキリシタン大名でもあった。 1巻、150ページくらいまでは結構退屈。信長が出てくるあたりから面白くなる。よくも悪くも戦国時代は信長の時代だったんだと思いました。

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    投稿日: 2011.11.19
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    『人志松本の好きな話』で まっちゃんが黒田官兵衛について あまりに熱く語るものだから どんな人物か確かめてやろうと思って読んだ本。 司馬さんは賢いな こんなにたくさんの日本人を私は覚えられない。。 日本一頭が冴えて日本一ツイていない男 それが黒田官兵衛です 日本史が苦手な人はすこーし読みにくいかもしれないけど 官兵衛の人となりはよくよくわかると思います

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    投稿日: 2011.03.05
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    黒田官兵衛が三十歳頃(室町時代末期~戦国時代前期)まで書かれてあります。 この時代も現代と同じ情報に敏感でなくては生きていけない。情報に疎ければ、置いて行かれ、時代に飲み込まれてしまう。でも、それすら力のない小大名達は気がつかない。田舎の小大名に仕えている官兵衛の苦労に同情してしまう。 織田信長、武田信玄、上杉謙信…普段は主役の武将を側面から見る事ができ、面白い。

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    投稿日: 2011.02.08
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    司馬遼太郎の中で一番好きな本。小さい時読んでわくわくしました。今読み返してもとても魅力的で、年齢を超えた魅力がある小説なのだと再認識しました。大河ドラマではやらないでね・・・・

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    投稿日: 2011.01.01
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    秀吉の軍師、黒田官兵衛の話。4分冊になっている1巻目。まだ話の序といった感じで、世に出る前の官兵衛について描かれています。前半は播州(今の兵庫県南西部らしい)の政情や黒田家の流浪ぶりがつらつら描かれるばかりで、司馬遼太郎の作品にしては退屈。信長が京に出て時勢が変化するあたりから物語がようやく動き出します。すでに歴史の結果を知ってる我々からすれば信長が大事を成すのは分かっていることだけど、同時代人にとってそれを予測するのは不可能に等しい。門地門閥にこだわらず優秀な人材を登用し、旧来の慣習を破壊する信長の出現をみて、時代の変化を感じ取り、当初から「頼るなら織田」と信長に目をつけていた官兵衛を見るにつけ、先々を見通し来るべき未来に備えて準備しておくことの大切さを痛感します。

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    投稿日: 2010.09.03
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    黒田官兵衛が主人公。 きらきらした播磨灘と官兵衛の物語。 この本で描かれる官兵衛や半兵衛、二人の関係が、私の中のプロトタイプです。 一巻の前半、黒田の歴史みたいなものは面白くないものの、官兵衛という人間がどういう風に出来上がったのか知るには面白いエピソードが多かったです。 歴史的には違っている部分もあるものの、物語として見たときに魅力的です。官兵衛の描かれ方も魅力的で、司馬さんは官兵衛のこと好きなんだなあと感じられる内容。 最後は突然終わってしまいますが、あの終わり方が逆に司馬さんらしくて好き。

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    投稿日: 2010.03.31
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    1巻は荒木村重と出会うまで。 官兵衛の話に至るまでの家系の話が長かったけど、久々に読む司馬遼節!が懐かしかったです。

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    投稿日: 2010.01.07
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    黒田如水(官兵衛)の前半生を描いた作品。第1巻の前半は、官兵衛の祖父が近江から備前に流れ着き、官兵衛の父が播磨に移り、小寺家に仕えるまでを描いていて、歴史文献的な記述のために読むのを止めてしまう人がいるかもしれない。しかし官兵衛の世代の話に移れば期待は裏切らない。ただし本書では官兵衛は主役ということもあり、あくがない誠実な性格の官兵衛は、他の人物を描いた小説に出てくる官兵衛と大きく異なり違和感を感じる人もいるかもしれない。しかし、だれしも人は自分で正しいことをしていると思って行動しているわけで、主体が変われば見方が大きく変わるのは当然かもしれない。 ちょっと残念だったのは賤ヶ岳の合戦以降は軽く流して書いてあるところである。賤ヶ岳以降は秀吉からあまり重く用いられなかったこともあるのだろうが、関ヶ原の時の行動をもっと詳細に描いてほしかった。

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    投稿日: 2009.12.05
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    播州の小藩の家老の息子が自分の才覚だけでのし上がる物語 秀吉が一気に自分のステータスを上げた中国攻めの時の参謀 クライマックスの高松城の水攻めまでで、そこからはトーンダウン この時代(戦国期)では才覚だけでは容易に成り上がれなかった時代なのかと逆に考えてしまい、スッキリしない後味の小説ではある

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    投稿日: 2009.11.16
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    黒田官兵衛の物語。この御仁は奥が深い。彼の眼から通してみた秀吉、という男の像も、なかなかに興味深いです。

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    投稿日: 2009.06.23
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    司馬遼太郎の作品なので、フィクション。 だが、筆者の体験談等もあるので、資料としての価値もありかと。

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    投稿日: 2008.08.08
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     久しぶりに司馬遼太郎を読んだ。司馬作品にしてはいまひとつ物足りなかった。戦国時代、黒田如水の話。坂口安吾に「二流の人」という、やっぱり如水を書いた中篇があるけれど、ずいぶんスタンスが違う。もっとも、書こうとしている時代が違う、ということもあるのだろうけど。  なぜいまひとつか、ということについて好き勝手に考えると、やっぱりこれは英雄譚ではないからだ、ということになる。世間的な評価はともかくとして、あたしが司馬作品を好むのはそこに爽やかな英雄譚的なかっこよさがあるからなのです。これにはそれが薄い。黒田如水というひとを書いた作品ではなく、その存在を通して戦国の播州を眺めた、という感触に近い。前に『翔ぶが如く』の感想で「一人称的な記述が少ないから退屈」と書いたけれども、そういう感覚に似ている。  ただの歴史小説であるはずの司馬作品が、司馬風の言い回しでいえば「これほどまでに魔術的な」面白さを獲得する理由は多々あるんだけど、そのひとつにこの英雄譚的な性格がある。遼太郎は題材とする人物に徹底的な好意を寄せて、大げさにその天才ぶりを書き立てる。「あざやかに」「さわやかに」彼らの一生を美しく飾り立てる。だから主人公はめっちゃ英雄的だし、かっこいい。かっこいい小説はつまりおもしろいの。  そういう小説には主人公の絶妙なバランスが必要になる。主人公は描かれる対象であると同時に、時代や状況を見せるフィルターでないとあかん。この天秤をつりあわせるのは「奇跡的な」才能を必要とするんやけど、それが司馬にはできる。だからすごい。ただ『播磨灘物語』では如水はフィルター側でありすぎた。だから対象としての如水が出てきて颯爽と活躍し、いかにも司馬が好みそうな男として颯爽と去っていく最後の話だけは、異様に光って面白い。そういうことなんやと思う。(こういうバランスから離れて書かれた新しいかたちでの傑作が『韃靼疾風録』だったと思うのだけど、それが続くまでに彼は小説の筆を擱いてしまった。残念…)  司馬遼太郎は歴史上の人物に好悪をもってあたることがあるけれど、そのポイントのひとつに「いさぎよさ」がある。これは彼が昭和の人であったことと無関係ではないだろうけれど、とにかく去り際が潔くない人はあまり好きじゃない。そういう点でこの如水とか、あるいは『箱根の坂』の北条早雲とかの「爽やかさ」は好きだったんやと思う。なにしろあとがきで、  「友人にもつなら、こういう男を持ちたい。」  とまで言っているから。なかなか珍しい。

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    投稿日: 2007.09.09
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    戦国時代を生きた稀代の軍師、黒田官兵衛の人生を追った物語。小説としても面白いが、黒田官兵衛の一生にかこつけた教訓書といった感じ。自分の思うように物事を持っていくには…のような実現のエッセンスが散りばめられているだろう。

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    投稿日: 2007.03.24
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    秀吉に仕えることになる黒田官兵衛のその地所での生活を描いたのがこの1巻目になります。こういう本質を見切る人間が今の世の中にもどこにいるのだろうかとつい気になります。私もぜひ本質を追及する意識を強く持ちたいものだと思います。

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    投稿日: 2004.10.17