陸軍と宇宙海軍の地味な活躍を存分に楽しめる一品。右翼作品ととられての、ヒューゴー賞候補辞退はもったいない。また、当初はKDPで始まったというのも信じがたい。読めば面白いとわかるはずなのに、なぜなんでしょうか？

「宇宙兵志願」　マルコ・クロウス　★★★★★ 興奮した！ ミリタリーＳＦで、訓練学校、地上戦、宇宙戦の３部に分かれております。「訓練学校」では未新しさもなく凡庸なのですが、地上戦、宇宙戦と話が進むにしたがって興奮してきます。 とくに、宇宙戦が最高です。やっぱ敵は、圧倒的スケールで破壊的圧力が必要だと痛感します。 「Kindleダイレクト・パブリッシング（KDP）」で出された作品。つまり自費出版作品です。 評判がよく、正式に出版されたのも納得の逸品。 一部翻訳が変なのか読みにくい部分があるのがちょっと残念。 早川書房様 続編の日本語化よろしくお願いします。 #引用 完璧な場所なんてこの世に存在しないんだ。いつだって、結局、ある種のクソと別の種類のクソを交換するはめになる。私は、知ってるクソで我慢するつもりなのさ。

面白くない 　宇宙ってタイトルだが、半分以上地上戦。別に地上が悪くないけどね。半分くらいから飽きた。

海兵とか機動歩兵とかに入る奴は、だいたい厳しいどん底の境遇から抜けだそうと入隊して、訓練で鬼軍曹の下で才能を開花させて、戦場でヒーローに駆け上がるのが定番。この物語も似たような出だしで、この手の話が好きな方だが先が読めるように思った。訓練を終えて部隊に配属されてからもまあ定番のストーリーだったが、中盤で意外な展開に。まあしかし、タイトルからするとそうくるか、というところではあるが、さらに後半で急転しページの残量が気になる盛り上がり。そうか、こっちに持っていくのかと邪推するが、いやまだ分からない。次の展開が気になる終わり方をした。機動歩兵もの、という分野があるかどうか知らないが、この分野の中ではメカは並で革新的な物はないが、読みやすくかつ話のテンポも良く、1冊で楽しめる作品。 続きを期待して訳者の後書きを読むと、次巻の話は････。ハヤカワが続刊を出さなかったらまた原書をあさらねば。

一人称視点、民間人からスタート、青春恋愛モノ、宇宙軍とここ最近のミリタリーＳＦとの共通点は多い。敵も異星人では無く同じ人間同士とリアル。 第三次世界大戦を経て二大勢力に分かれた人類は、恒星間ジャンプを開発してテラフォーミングで植民星を増やしている時代。主人公は地球の公共住宅団地で政府からの配給でその日暮らしをしている青年で、未来の無い今の生活から抜け出す為に軍に志願する。そこで数々の経験を経た主人公は初めて自分の居場所を見出す。ただそこは自分が行きたかった宇宙ではなかった・・・。 前半の基礎訓練から卒業後の国防陸軍までのパートは結構リアルで非常に楽しい。ただある出来事によって海軍へ転属する後半からは宇宙が舞台となるのでかなりＳＦ寄りの内容に。そしてそこからは怒涛の展開になり、あっと言う間に終章を迎えて次巻へ続くとなります。後半の展開にはえっ！となりますが、三部作の第一巻と考えれば納得。主人公の恋の行方と人類の行く末が気になりますので二巻目の翻訳は早めにお願いします。 主人公は何処にでもいる普通の青年で内容も文章も重くないのでサクサク読めます。スコルジーの「老人と宇宙」やウィアーの「火星の人」が好きな人なら同じテイストなので結構気に入るのではないかと。