
総合評価
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powered by ブクログずっと気になっていた本。 障害があることはイコールマイナスではない。それは健常者の発想というところに、まずハッとした。障害者と聞くと、うっかり不自由な人、できない人というイメージを抱きがちで、だからこそ周囲がサポートしなければいけないものと思ってしまう。 でも彼らには彼らにとっての世界があり、身体があり、見え方がある。 五感についての記述がとても良かった。普段の自分の感覚の使い方、体の使い方を見直すと、気が付かなかったことにたくさん気がつけた気がする。
0投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログ自分と違う他者、特に目の見えない人の存在や感じ方、世界の見え方を、「実感」として感じたい この本書の目論見が興味深く感じた。 他書でも同様の視点があるとは思うが、身体性に根差した「実感」したいというところが、ストーリーやエピソード中心で内容が進む本書の特徴に感じて、楽しく読めた。 私はこれまで他書で、人権概念に根差す、社会モデル、インクルーシブといった理想/概念を触れてきたたが、本書でユーモアとして描かれる、健常者向けにデザインされた社会を障害を前提に、面白がるという視点は、所謂の理想とは違うアプローチで「痛快」に感じた。そして、それは「痛」くて「快」いというのは、言いえて妙。 また、いわゆる健常者でも、多かれ少なかれ、社会との軋轢あり、この視点は、あらゆる人の痛快に通じると思った。 例えば、多くの人(多くの健常者)に愛される伊坂幸太郎の小説は、大きな社会の仕組みに翻弄される物語を、時にユーモアを持って描かれるが、社会/世界を自分の視点で取るということと同じことなのかなとおもった。 その意味でも、自分の視野を広げてくれる良書に感じた。
0投稿日: 2025.10.13
powered by ブクログ伊藤亜紗さんの名前を知ったのは 「手の倫理」の評判をPodcastで聴いたのが最初だった。 この本については書店で見かけることがなくて、気にはなっていたものの未読だったのだけど、先日ぶらりとブックオフを探索していたら、タイトルより先に著者名に惹かれて手に取った。 あ、これ!ほんのれんラジオでも紹介してたやつだ! …と、いうことで 「目の見えない人は世界をどう見ているのか」 ずいぶん前に「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」という本をどこかの本屋さんで見かけたことがある。 その当時はちょっと面白そうとは思ったものの、それがどういう事なのかについて深い興味もなかったし、ただただぼんやりと「見えないのに美術鑑賞って大変そうだな」と思っていたただけだった。 翻ってここ数年は美術館に行くこと、 そして美術…特に絵画作品について自分が思ったことを当否関係なく話すことに楽しみを見出している。 だから第4章に、その記憶の端にあった本のタイトルの「白鳥さん」が登場してくれたのは思わぬ再会のようで嬉しかったし、その頃浮かんでいた「見えない人がアート鑑賞する」ということに対するぼんやりした印象が、具体的な興味として更新されたのが自分的にはとても良かった。 また、ユーモアについて書かれていた5章を読んで、最近知り合った身体に障害を持っている方が不意に言った自虐的なユーモアに笑っていいのか戸惑った経験を思い出し、なるほどそういう視点があるのか!と、新しい感覚を得られたのも醍醐味だった。 「見えていることが優れているという先入観を覆して、見えないことが優れているというような意味が固定してしまったら、それはまたひとつの独善的な価値観を生むことになりかねない。そうではなく、お互いが影響しあい、関係が揺れ動く、そういう状況を作りたかったんです」(185〜186頁) これは「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」を行なっている林さんの言葉。 実は途中で読みながら一瞬モヤモヤっとよぎるものがあったんだが、この言葉でわたしなりにこの本の真意がわかったような気がする。 そして視覚障害についてだけでなく、 林さんのこの考え方は、さまざまな「他者」と関わる社会の中で「自分」が自身で持っておきたいマインドセットの一つだな、と思った。 今回読み終えてすぐのタイミングで強く印象に残ったのは以上にあげた4章5章だったが、序章の掴みも、1章の空間、2章の感覚、3章の身体性の話も、具体的なシーンが盛り込まれており、どこを読んでも本当に面白くてとてもわかりやすかった。 この本全体を通して「情報」と「意味」の対比が語られており、これも障害に関係なく他者と関わる社会の中で把握しておくにこしたことのないリテラシーのひとつなんだろう。 これはもう、「手の倫理」もいつかんで読みたい。
0投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これも脳の多様性なんだろうなーと思いながら、 目の見えない人に焦点を当てるすることで、そのおもしろさをあらためて感じました。 本書はとても読みやすく、空間、感覚、運動、言葉、ユーモアの5テーマから、著者が5人の今は目の見えない方々とのやり取りなどを通して気づきを受けた言動などを組み合わせ、見えない人が世界をどのように見ているかを、考えていく作品になっています。 とくに現代社会のさまざまな事柄が、視覚に偏重気味であることにも気づかされ、だからこそ、目が見えない場合を想像したり、目の見えない人の脳や身体のつくりを学ぶことは、普段の当たり前の世界を相対化させるための触媒になるのですね。 言葉のところで、 見えない人の「見える」に関わる慣用表現を吟味すると、視覚だけが「見る」ための必須条件ではないのでは、と考え始める著者。 見る、とは、実物を目で見るだけではなく、頭の中で見る、ということも含んでいる、、とかとか。 一見すると、視点、視野、注目する、 それ以外にももっといろいろありそう、見識、見どころ、予見… 言葉に、視覚への偏重が反映されている、ともいえるのか、どうなんだろう。 目で見る、ということも、しくみとしては目からの情報を頭の中に投影している、のだから、 その頭の中に投影したものについて、見る、と言っているのであれば、それは目からではないことも含んでおり、見る、は想像する、ともいえるのかもしれないですね。
0投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログ点字識字率が一割程度しかないこと 触るということのセンシティブさ 足の感覚の重要性 回転寿司やレトルトパック、自動販売機は何かよくわからないから運試しのような感じ 見るということは取捨選択がある、例えば裏側が見えなかったりする 見えないことによって全体をよりリアルな形で理解することもある 思ってたのと違うっていうのがたくさん
0投稿日: 2025.07.16
powered by ブクログ筆者の伊藤さんの考え方がとても柔らかく、語り口も優しく、今までいかに凝り固まっていたかと刺激になった。 見えない人にしか見えていない世界、見えていない世界をどう見ることができるのか、とても気になった。
1投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログ見るために使われる脳の機能を、他の情報を得るために使われる。「何を使おうができれば良いじゃないか」という筆者の言葉が好き。 筆者自身は視覚障害者ではなく、彼らの堂々とした言動に毎回驚かされるという。 個人的に面白かったのは、電車が急ブレーキしたときに視覚障害者はしっかりと軸がぶれずに立っている話。細かな振動も足の裏や音で敏感に反応しているから、事前にある程度予測ができるそう。 これは動物にも似たところがあるのでは? よく留守番しているペットが、飼い主が家に近づくだけで(まだドア付近にではないのに)敏感に反応する。これも地面に近いからこそ、さらに「見える」世界があるんだろうなぁ。ロマンだ。
8投稿日: 2025.06.24
powered by ブクログ常に不安定さをまとうため、安定する姿勢確保のために手より足の方がまずセンサーとなる。 目をつぶるのとは違う感じ方,混色のイメージがつかないのは納得。 服装は確かにきっちりしてるイメージだな。 99冊目読了。
0投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログ白杖を持った方へ声をかけることに未だに躊躇してしまうわたし。声をかけたあと、満足してしまうわたし。 知らないことを知る大切さ。見えないからこそ豊かな感覚、感情。 目の前のことに不満を言ってる自分の狭さに鼻くそピンだわ 見えない方との美術館を楽しんでみたいな。
0投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログタイトルの通り、「見えない」人が世界をどう「見て」いるのか、空間・芸術・スポーツ・ユーモアなどの観点から書いている本 前書きにあったとおり福祉の本ではなかった 障害はアンタッチャブルなものではないのでは、距離を置いて大事に大事に接するのではなくもっと近所の人と話すみたいに接したらいいのでは、という筆者の考えが伝わってきた 引っ越した先がたまたまよく白杖を持った人を見かける土地で、でも白杖がなかったら気づかないくらい待ち合わせしたり集団で笑いながら歩いてるから、どんな風に世界を見ているのかなと思って読んだ本 普段から地形を立体的に捉えてるから富士山のイメージも3次元の円錐形、対して見える人は絵のイメージが強くて平面の三角形 っていう違いが面白いなと思った 正直どう接していいかわからなくて距離を置きがちだったけど、本を読んでちょっとだけ気楽に接することができそう
0投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ見えているがゆえに見えなくなっている部分。自分の視野の狭さをまざまざと感じさせてくれた。見えない人が特別な人ではないけれど、見える人とは違う世界を見ているという事実。わからない世界を少しでもわかることが出来たのは、大きな意味となった。
0投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログ空間認知と器官観の話が面白かった。普段いかに脳内想像を怠り視覚に頼っていることを実感した。 特別視せず面白がることで対等に接する、という考え方にも共感。「障がい者」表記問題についても、同感。個人モデルではなく社会モデルの方が私は馴染みが良い。
0投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログ見えていない方は立体的に捉えたり感覚が重視されたりなど、見えている自分はいかに目からの情報に頼りきっているのだろうか。 何かお手伝いできることはないか?と動くのはある意味見えてる立場の傲慢さかも知れない。 また、障害者雇用を取る会社は多くあるだろうが、自分の知る範囲では視覚障害の方を採用という話は聞かなかったりする。(あるなら、それで問題ないのだが) この本をきっかけに、視点視座を変えながら、あらたな学びや気付きが得られればと思う。
0投稿日: 2025.05.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「見える人」が見えるゆえに空間を平面的に認識し、見えない人が立体的に認識しているというのがおもしろかった。
0投稿日: 2025.04.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2025-新書18冊目読了 表紙を見ていると癒される。ジャケ買いした新書。 内容にも満足しました! 本書では、太陽の塔や富士山などのイラストが登場する。目の見えない人は、道を、富士山を立体的に捉える。対して見える人は文化的なものに引っぱられる。目が見えないことは劣っていることではない。例えば、作品鑑賞においては人の言葉から作品を自分の頭の中で組み立て直す事もできる。 「対話の森」に行き、視覚情報が遮断された状態を体験して、本書に書いてあったことを体験してみたい。そうすることで、視覚情報にどれだけ頼っていたのかを考え直したい。
0投稿日: 2025.04.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正にタイトルの問いの答えが知りたくて読んだ。 視覚障害者ならではの大岡「山」駅の捉え方など、そうやって捉えるのかのいう発見がいくつもあり、新たな視野が開けた気がする。 「見える人が目で見て済ませていることの多くを、見えない人は記憶で補っている。」というフレーズがとても印象的だった。
0投稿日: 2025.03.20
powered by ブクログ新しい発見の宝庫だった。 目の見えない人の世界の見方、所謂、環世界を味わうことができたと同時に、障害者との繋がりの選択肢が開けた気がする。 どうしても健常者は障害者のことを「自分とは違う存在」として福祉的に接したり、距離を取ってしまったりすることがある。 その凝り固まった先入観や距離感を、視覚障害のリアル知り、理解することでほぐすことに本書は成功している。 視覚障害者の身体の使い方や世界を「見る」方法、健常者と共に「作り直す」新しい美術鑑賞など、知らなかった事をたくさん知ることができた。 当たり前が覆される、それとして認識していたものに新しい見方が生まれてハッとさせられる。そんな感覚を覚えることができる本。 違いや差異を楽しむような感覚に達することができた時、「特別視」や「対等平等な関係」を超越できる。 そして、「共生社会」というお堅い言葉よりもさらに柔らかくハッピーな、「互いに揺さぶられる関係」、著者の言う「揺れ動く関係」と呼ばれるようなつながりを築くことができるのだろう。
8投稿日: 2025.03.17
powered by ブクログ369.275イトウ 人は目に見える情報で世界をとらえているが、目以外の手段でアプローチをすると、世界は全く別の顔を見せ、「不自由さ」の思い込みを変えるヒントがたくさんあります。人の体の使い方、言葉の力を使った伝達能力、関わり方でカバーできつと記しています。
0投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
薦められて読んだ本。 いちばん影響を受けた本であり、価値観をひっくり返してくれた本、と聞いて読んでみようと。 自分の考えがいかに浅かったか。そりゃそうだよね、と驚きの連続。想像力の欠如に情けなくもなったけど、それよりすごい!おもしろい!の方が強くてポジティブに読ませてもらった。 障害は欠損ではない、というようなニュアンスの言葉はよく聞くけど、その意味を本当には理解してなかったように思う。そう思うべき、そうであるべき、というか教科書的なというか。 4本足の椅子から1本抜いたら倒れるけど、もとから3本足で作られた椅子はバランスの取り方が違うので倒れない、という話がわかりやすかった。 見える人と見えない人の空間の把握について。 少し前にある映画を見て、生まれた時から目の見えない人の感覚世界について想像したとき、思慮が足りず自分の脳内には真っ暗闇が浮かんでいた。でももちろんそんなことはなく、何ていうか目から鱗ってこの感じかと。 脳の視覚を司る部分が変化していく話も興味深かった。 環世界とチョウの話も。 個人的な解釈だけど、結局どの生き物も自分の見方をしているのであって、自分と隣の人が同じように世界が見えてるかどうかなんて誰もわからない。つい「正解」の見え方があると思っちゃうけど、結局は対象をどう知覚するか。人間は視覚に頼りがちな生き物だけど、それが「正解」って訳ではない。 今の社会は見える人向けにカスタムされてるから、目が見えない人達にとっては不便を感じることも多いかもしれない。ただ、必要なサポート方法はきっと一律ではなく、その人に聞いてみないとわからない。善意を断るのは心苦しいかもしれないから、押し付けるのはやめようと思った。 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』という本も気になっていて、アートなんてそもそも解釈がそれぞれなのにどうやって伝えるんだろう?と心に残っていた。 これを読んで、そもそも自分の理解が間違っていたことがよくわかったし、この取り組みはすごくおもしろいと感じた。機会があったら参加させてもらいたいくらい。 ソーシャルビューについて。自分の漠然とした思い、というより感じたレベルのものを言葉にすること。他人の目で見ること。 自分も、あそびの多いアート展なら何度か行ったことある。でも芸術ってよくわからないしハードル高いなと敬遠してたけど、こういう受け取り方ならやってみたい、おもしろそうと思えた。 絵について。見える人、しかもプロである学芸員さんでさえ、必ずしも全部を理解できているわけではない。だから自分たち見えない人が引け目を感じることはない、という言葉は真理だと思った。 視覚障害のある方のユーモアについても同感。R-1にも出てた濱田祐太郎さん、ほんとおもしろいもんなー。 本筋からはズレるけど、個人的にはここも興味深かった。 「生物は、たとえば歩くために使っていた前脚を飛ぶために使えるように作り替えました。同じように、事故や病気で特定の器官を失った人は、残された器官をそれぞれの仕方で作り替えて新たな体で生きる方法を見つけます。前者は何千万年、何億年、後者は数ヶ月や数年とかかる時間はだいぶ違いますが、どちらも同じ、器官から予想もしなかったような能力を取り出しているのです。」 生き物の生存戦略の話が好きで、どうして?と聞きたくなるような進化を経て脈々と生き抜いてきた種に感動することも多い。もしかしてそのきっかけってこういうところから始まったのかも、と想像して興奮した。
2投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログ①初読 2025/2/19 おもしろかった。「視覚障害者」の方に対する認識が変わった。誰もが老いて「障害者」になるから、そういう意味では全員が当事者だし、だからこそこの本の伝えたい内容は大事だと思った。
1投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
# 不可逆な視界——「見える世界」に縛られている私たち ## 面白かったところ * 目の見えないヒトを何人もヒアリング・同行している生の体験が文章経由でリアルに感じ取れること。 * 「道から自由」という言葉が含蓄あるなあと感慨深かった。 ## 微妙だったところ 特になし ## 感想 きっかけはWebアクセシビリティ対応の仕事に取り組み始めたことにある。 Mac OS準拠のVoiceOverを使って雰囲気でテストしていたが、このしごとは本当に届くべきヒトに届いているのかわからなかった。 自分は目の見えないヒトの友人がいないから、まず文章にあたろうと思ってこの本を取った。 本書の中では様々な視点から目が見えるヒトの風刺があって、たいへん刺激に満ち溢れている。特に「目の見えないヒトは道から自由」という言葉と「目が見えているヒトも盲目」という表現がぶっ刺さった。 「道から自由」という言葉は、進撃の巨人のラストの解釈と似ていてハッとさせられた。縛られるのが嫌で自由になろうと藻掻き苦しんでいたエレンは、実は自由に縛られたという残酷な真実。「目が見えているヒトも盲目」という言葉日も通ずるが、道が見えている時点で、道を知らなかった世界線にはもう戻れない。不可逆。その点、目が見える我々は道から不自由である。だからどうということはないが、このレベルの視座の考え方を得られたのは大変面白かった。 生まれたばかりの子どもは目が見えているが、母親という存在以外はよくわからない。赤ん坊と母親の境界が曖昧で、母親のことを自分の体の延長とさえ解釈している。だからこそ、世界を目で見て「自分」と「自分以外」の境界を作っていく作業が大切。改めて言語化されるととても面白かった。 一つ上の視座を得られる一冊。
0投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログ目の見えない人の話であるが、国や性別年代の違いについての見方にも素敵なヒントをたくさんもらえた。著者の伊藤先生は生物学から美学に転向されたそうだが、そこが繋がっていくのがとても新鮮で、でも納得がいって面白かった。先生の考えがあたたかで明確だからなのだと思う。 情報と意味の違い、障害が痛快になることなど、あらゆる差異を大切に面白がる視点を、同世代のお母さんでもある先生から投げかけてもらえたのは、難しい世の中を生きていく上でとても元気の出る体験だった。他の著作も是非読んでみたいと思う。
0投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ伊藤亜沙さん著「目の見えない人は世界をどう見ているのか」 久し振りに実用書的な本に手を出した。 なおすさんのレビューを観て自分も読んでみる事に。かなり評価が高い本なので年末に購入し内容に期待していた。 自分の経営する居酒屋に今は亡くなってしまったが先天的に全盲の方が頻繁にいらしていた。その方はただ目が不自由というだけで普通に飲食していたし、ベロベロに酔っぱらって帰る事も多かった。 「右から皮、ネギマ、つくねですよ」とか言ってあげれば手探りで串を触りながら焼鳥を楽しみ、毎日替わる「本日のおすすめ品」や「本日の日替わりメニュー」等の黒板等に書き込んでいるメニューも口頭でお勧めすれば他の健常者の方々よりも楽しんで飲食している様に感じていた。 お会計もお札に印字されている点字を触りながらお札の種類を間違える事などなかった。 その方とよくいろんな話をしたのだが凄く記憶にあるのがその方のお母さんの教育方針。 子供が全盲として生まれ、視力抜きで一人前の大人にするために考えて全寮制の盲学校に幼い時から入寮させたという。親として過保護にしてしまいがちだがあえて子供の未来の為にそうしたというのだ。 そのため彼の一般教養は素晴らしく高く、普通の人が視覚から得る情報はすべて聞いたり触ったりして知識として記憶していると言っていた。 その彼の人生は母親の素晴らしい決断があったからであるだろうし、その決断がなければ彼はもっと不自由した人生だっただろうなと思ったのを思い出す。 そしてその彼は盲目のギターリストで1000曲以上の曲を記憶していると言っていた。楽譜を読む事は当然しないので曲を聞いて記憶してしまうらしい。この本にもあったが視覚を使わない分、確かに脳の他の部分が研ぎ澄まされているのだと思う。自分もギターをかじったが曲のコードなんてコード譜が無ければせいぜい10曲覚えているかどうか… その100倍以上を記憶している彼の脳の力に驚いたものだ。 今もパラリンピック競技のゴールボールの強化選手がよくきてくれている。彼らもまた視覚に障害を持つ方々である。 しかも彼らは前回のパリオリンピックの金メダルを持参してくれて、金メダルを惜しげもなく触らしてくれたりオリンピックのエピソード等々、他のお客さんも交えて凄く楽しい貴重な交流をしてくれる。 彼らだからでしかできない事を目の当たりにして、自分はいつも尊敬と感心と敬意を抱かされる。共通してなによりメンタルと気持ちが本当に素晴らしい。 この本がもっと世に溢れ、「障害」に対しての固定観念と先入観による偏見が良い意味でもっとフランクになればと思う。 ある意味で彼らにしかできない事に触れ、見えるという自分の愚かさを知る事もしばしば。 できるだけ多くの人に感じて貰いたい。
114投稿日: 2025.01.12
powered by ブクログ語り口が穏やかで敬意に溢れておりそれでいて簡潔。良い著者だった。助けてあげる、に穏やかにユーモアを交えて違う視点を提示する。かくありたいものです。
0投稿日: 2025.01.03
powered by ブクログタイトル通り、見えない人の世界について触れられる本。 見えない人には、表と裏、外と内、のようなある種の評価みたいなものが存在しないという話があり、言われてみればそりゃそうだとなるけど、こんな基礎的な語彙の違いにも自分では気付けないのが、嫌ですね。 見えない人って世界がどう見えてるんだろう??という興味本位で読むのにとてもおすすめの本です。 さらっと読めます。
46投稿日: 2024.12.21
powered by ブクログ突然ですが、パスタソースで運試しをしたことってありますか? いきなり何を・・・と思われるかもしれませんが、実はこれ、本文に出てくるんです。 見えないことはネガティブに思われがちですが、そもそも「見る」こととはなんでしょうか? 気になった方はぜひ、見えない世界を見てください。 映像学科4年
1投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログ目が見えないことが当たり前の日常ではどのように物事を捉えているのか、目の見えない人に対して目が見えている人が(無意識のうちに)陥りやすい誤解などにはどういったことがあるのかが知りたくて読みました。少し物足りなさを感じましたが、触れずに楽しむ美術鑑賞(本書では「ソーシャル・ビュー」と呼んでいる)については知らなかったので、知ることができて良かったです。「見えないことと目をつぶること」の違いについては、三脚と四脚の椅子が例に挙げられて上手く説明されており、なるほどと腑に落ちました。目が見えないこととは関係ありませんが、著者の専門である「美学」というのも初めて知りました。
0投稿日: 2024.11.24
powered by ブクログ課題図書だったけど非常に面白かった。 偏見はどこから生まれるか、我々健常者は果たして健全なのか。色々考えさせられた一冊。
0投稿日: 2024.11.24
powered by ブクログ目の見えない人、障害者を隣人として捉える。本当の意味で寄り添うとはどういうことなのかを考えさせられる。障害者だからこその自由さ不自由さ、また健常者だからこその自由さ不自由さをユーモアを持って表現されていておもしろい。 障害があるから「できないこと」ではなく、「できること」に注目する。 最近腰痛に悩む日々、そういうのも一つの障害かも。ユーモアをもってそれに向き合っていきたい。
8投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログ2017.獨協医科大学 医学部医学科 2018.富山大学 医学部 看護学科 2018.奈良県立医科大学 医学部 看護学科(地域枠) 2018.福井大学 教育学部 学校教育課程 初等教育(特別支援型) 2019.静岡大学 人文社会科学部 法学科 2020.群馬大学 医学部 保健学科 看護学専攻/検査技術科学専攻/理学療法学専攻/作業療法学専攻 2021.慶応義塾大学 看護医療学部 看護学科 2021.県立広島大学 保健福祉学部 生物資源科学部 人間福祉学/生物資源科学/地域資源開発 2021. 福岡大学 スポーツ科学部 健康運動科学科 スポーツ科学科 2021.大分大学 福祉健康科学部 福祉健康科学科 社会福祉実践/心理学/理学療法 2021.東京医科大学 医学部 医学科 2023.周南公立大学 経済学部 現代経済学科/ビジネス戦略学科 2024.山形大学 地域教育文化学部 地域教育文化学科 児童教育コース 2024.旭川医科大学 前期 医-看護
0投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ障害を特別視するというより、健常者と同じく生活できることが、社会の目指す姿であると感じました。 また、視覚障害者はものを見えない分、物事全体を把握してイメージするのに対して、健常者は自分が見える部分だけを信じて、見方の偏りが生じやすいです。この点と言いますと、もはや視覚障害者の方が健全であると思いました。
3投稿日: 2024.10.21
powered by ブクログ数年前にNHKスペシャルか何かで生命をテーマにした番組に出ていた著者がずっと気になっていて、何か一冊読んでみたいなと思って読んだ本です。 期待を裏切らず、面白く興味深く読みました。 著者は「視覚障害者」と言わず「見えない人」と言っている意味が、とても分かりやすく述べられています。 見えないことが全て悪いことではない、捉え方が違うだけで、むしろ晴眼者(見える人)よりも多角的に事物をとらえ理解していることは尊敬に値すると思います。 見える人向けに作られた社会なので不便なことがあるだけで、見える人より劣っているわけではない。私たちは見えているけれど、それは一部分でしかないということを感じ、世界が少し拡がりました。未知ではありますが。 本に出てきた、ダイアログ・インザダークという体験施設に行って未知の世界を体験してみたいと思いました。
20投稿日: 2024.10.15
powered by ブクログ自分が気付かぬうちに持っていた目の見えない人に対する偏見に気づかせてくれた。 目の見えない人には目の見えない人の感じ方や世界があって、晴眼者が一方的にサポートしなければと思い込むのは傲慢なのかも。 見えないからこそ、聴覚や触覚から様々なことを鋭く感じ取る。 見える人が視覚情報に依存し、知らぬ間に固定化して捉えていることを柔軟に分析している。 弱視や途中失明など、色んな種類があって色んな人がいるからこそ一概には言えないが、こういう人生を歩んでる人もいるのかと新鮮な視点を与えてくれた一冊。
15投稿日: 2024.10.13
powered by ブクログ障害者と聞くと重く感じてしまいがちだが、本書は視覚障害を1つの特性、生き方として軽やかな語り口で綴っている。 著者の見える人と見えない人の違いを面白がる、見えない人を特別視するのではなく、ご近所さんのように捉えるという視点がとても良かった。 見えない人がハンデを負っているのは事実だが、彼らは彼らの生きる術を持っている。制限がある分、主観を交えずに客観的に物事を捉えると同時に、柔軟に対応してある。 「自立とは依存先が多いこと」という文章にハッとさせられた。これは健常者も同じである。人は1人では生きて行けず、社会は支え合いによって成り立っている。 本書を通して、今まで知らなかった生き方、世界の捉え方を知ることができた。好奇心とユーモアは、健常者であっても、障害者であっても生きることを少し楽にしてくれる。
0投稿日: 2024.10.10
powered by ブクログ白杖を使ってる人をたまに電車で見かける。なにか目の見える私に手伝えることがあれば、と思うけど逆に突然私が入ると困ることもあるんだろうなぁと思った。 この本とは全く関係ないが、盲目の漫才師の濱田祐太郎さんのネタはまじで面白いから見てほしい。
0投稿日: 2024.10.05
powered by ブクログ目が見えない人の視点で世界をどのように感じているのか知ることができて面白かった。 視覚が使えないからこその感じ方があるのだなと知った。 また、障がいがあるとどうしても助けなきゃという福祉の精神が働いてしまうが、それが対等ではないというのもそうだと思った。
0投稿日: 2024.09.29
powered by ブクログ『視覚を使わない体に変身して生きてみる』 まえがきにあったこの目標を、見事に達成して本を閉じる。 見えない人のやり方、頭の中、体の使い方、コミュニケーションの取り方があり、それは少なくとも私の中にはなかったもので、新鮮さを感じるとともに新しい世界の見方を手に入れたような感じる。新しいサーチライトを手に入れたような。 一見視覚を使わない行為であっても、独特のやり方があり、見える人が無自覚に視覚を使って理解していることを逆に知らされた。 身体論についてよく知らない私は、まえがきの解説で一生懸命頭を捻っていたのだけど、そこの理解は置いておいても大丈夫、本編は明快で、納得感を持って読み進められた。 「あなたはそうなのね」「私はこうだよ」 こういうやり取りがもっと気軽に行えるようになればいいなと思う。
3投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログ目の見える人は、目でものを見るときに視点に縛られている。しかし、目の見えない人は視点から解放されていて自由。だから目の見えない人独自の俯瞰的な世界を感じている。
0投稿日: 2024.09.20
powered by ブクログダイアログインザダークに行った。そこで参加者からこの本について教えてもらった。我々のアテンドは本書に登場するきのっびーこと木下さんだった。 障害は能力の欠如ではない。四本足の椅子と三本足の椅子の話は新しい気づきだった。 ポジティブに生きたい。
0投稿日: 2024.09.11
powered by ブクログずいぶん前から気になっていた本書、久しぶりに訪れたある本屋の店頭にあったのを、ご縁だと思い手に入れました。いろいろと考えさせられる内容で、ロングセラーになるわけだ、と納得。いろいろな個性のある人たちが、もっと自由にいきいきと過ごせる世界になればいいな。
66投稿日: 2024.07.16
powered by ブクログ障害者に深く切り込み、目が使えないからこその意識の違いを取り扱っていた本だった。 きちんと障害者に好奇の目を向け合うことは、自分の盲目さを発見することにつながるため、美学を学んだ作者ならではの本であった。美学は分かっているけど言葉にできないものに対応する学問であり、そんな作者が障碍者を3本足の椅子、健常者を4本足の椅子で例えることで根本が違うことを主張していた。 目が見えることで客観的な情報は理解しやすいが、目が見えない人がどのように情報を受け取り、意味として解釈しているかの違いが存在していた。 例えば、目が見えない人は2次元の情報がわからないため、そのものの実際の形である3次元で理解している。そのため、壺の内側に細工をするという健常者では受け取ることのできない意味として目が見えない人は受け取っていた。 また、福祉の問題点として、点字の課題点があげられていた。点字の識字率は12.6%。読み書きのときに反転するため、難しく、触察が楽しいわけでもなく、一般人と同じで公共のものには手を触れたくないため点字が万能でないことを知った。脳の働きとして見えない人が点字を読むときは脳の視覚情報を処理している部分で処理している。そのため、現在では解決方法として、この脳の働くところに電気信号を送り、目の前の情報を電気として見えるようにする技術が開発されている。 目が見えないことは、感覚ヒエラルキーの最高位に位置する高度な情報処理である視覚がないため、健常者に理解できない感覚となっている。しかし最新の技術では、器官と能力が決して固定的でないためそこに解決の糸口があると考えた。 耳で見て、目で聞き、鼻で物食うて、口でかがねば神は分からず
2投稿日: 2024.06.07
powered by ブクログ新たな視点が得られた。 目を閉じてみても理解できないような感覚なんだろうなと思った。 この本に登場する方の意見が全てだとは思わないけれど、誤解していた点もあったのかなと思った。
1投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ小学生の頃位から目が悪いことを自覚するようになり、近視、遠視、乱視、斜視の全部アリ状態なので いつか見えなくなるのではという不安は予てより持ち合わせていた。 売れているらしいことと書名が気になり読んでみた。 発見も多かったがほとんどが中途失明者の話で先天的に視力のない人はどのように見ているのか気になった。 日本の視覚障害者の点字識字率は2006年厚生労働省調査で12.6%。 ★今時、苦労して点字を覚えなくても便利なものがいろいろあるらしい。 4本脚の椅子から脚を1本抜けば、その椅子は倒れるが、元々3本脚の椅子は立てるバランスで設計されているのだ。 ★視覚障害を能力欠損とは考えずに元々なかったものとして考える。 目の見えない人は晴眼者よりも物を空間的に捉えている。見える人は二次元、見えない人は三次元に見ている傾向がある。 富士山を晴眼者は銭湯の絵みたいな台形をイメージすることが多い。しかし、見えない人は立体の円錐をイメージするという。 ★どちらも事前情報があっての再現だと思うのだが、もう少し突っ込んだ説明が欲しかった。 「すごい!」という驚嘆の背後には、見えない人を劣った存在とみなす蔑みの目線がある、 自分はそんなとき「面白い!」と言うようにしている。 ★確かに「こんなこともできるなんてすごい」という見下した意味も含むだろうし、 障害者が「すごい!」と言われて不快感を持つのであれば、そのような発言は控えるべきだろう。 しかし単純に驚けば「すごい!」と言ってしまうし「面白い!」だって 「そんなこと当たり前だ」と不快に感じる障害者もいるすもしれない。 私は「興味深い!」と表現したい。
0投稿日: 2024.05.15
powered by ブクログ目が見えないということがどういうことか少し理解したように思う。 聞かされて「そうだったのか」と思うこともあれば「やっぱりそうなんだな」と思うこともあった。 例えば触覚に関して、点字を読むのは触覚ではないと言われていて、それは想像するとすぐに納得できた。 ただ、目が見えない方の点字の識字率が13%程度と少ないことは知らなかった。大人になってからでは覚えるのがなかなか大変だそう。もっとたくさんの方が読めるものと思ってたので気を付けたい。 他に聴覚に関しては以前読んだ「目の見えない白鳥さんとアートを見に行く」の白鳥さんも出てきて、思いだしながら読み進められて理解が深まった。 触覚や聴覚以外にも章ごとに人間の五感について書かれていてその各感覚の使い方の違いが面白くかった。 意識して視覚意外も使って生活すると新しい見方や発見がありそうに思えた。 障がいに限らず、自分と違う感覚を持った方の生活や仕事、話を聞いたりするのは面白い。 いい読書体験になりました。
18投稿日: 2024.05.11
powered by ブクログめっちゃ面白い ただ、「福祉」は「健常者が障害者をサポートする」ことを指すのか、ちょっと勉強不足でわからんけど、少なくても本書では「変身」を前提としたアプローチも分けて使用されている。 福祉の現場での実践的な取り組みについても知りたい
0投稿日: 2024.05.03
powered by ブクログこういう本は、インタビュー→その内容を消化→既存の研究内容とすり合わせて昇華、という構造だと思うのだが、昇華の部分が特に物足りなかった。 インタビューの内容はかなり良い題材だと思う。しかしそれで辿り着く考察が「はぁ普通やな」みたいな話で、イマイチ感動がなかった。 筆者の考察が面白くなくて、インタビューの方が面白いねということになっちゃえば、最早インタビューをそのまんま載せた方が役に立つことになってしまう。
0投稿日: 2024.04.28
powered by ブクログ美学のうちの身体論として視覚障害者がどんなふうに認識しているのかを言語化したもの。見えない体になってどんな感じかを想像できる。「障害」の表記にも著者の見解あり。個人の「できなさ」としての障害のイメージは産業社会の発展とともに生まれ、「障碍」「障がい」との表記には個人ができないことへの配慮があるとのこと(障害学では障害の個人モデル)。しかし障害とは個人が〇〇の状態にあることではなく、社会の側の壁によってそうした個人を不自由な状態に置いてしまっていることである(障害の社会モデル)。そのことに自覚的になるように「障害」と表記するべきであるという(2011年の改正障害者基本法もこの趣旨の下で障害者を定義)。
0投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログ「目の見えない白鳥さんと…」の白鳥健二さんも登場します。あっちは感性鋭いノンフィクション作家、こっちは美学(芸術や感性的な認識について哲学的に探究する学問)の専門家による本。きっと違った視点で語られているのだろうなと手に取りました。 不勉強で美学という学問分野そのものを全く知らなかったけれど、なかなか興味深い学問のようです。ただし本書は専門書ではないので表面的な面しか触れていません。それでも、点字を読む能力と文章を読む能力の比較とか、点字を読める人の触覚が特に優れている訳ではない事とか、なかなか面白い内容でした。 個人的には昨今のSDGsやバリアフリーでの支援疲れを感じていたので、最終章の「善意のバリア」や「つかえ」の話が腑に落ちました。
6投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログ私は目が見える人のはずだけど(まぁ、かなりの近視ですが)、今まで見えてなかったものが、見えてきそうな気がした。 「牛乳は噛んで飲め(それくらい感覚を研ぎ澄ませよ、ということ)」と教えてくれた大学の恩師を思い出したな。 ヨシタケシンスケの『みえるとかみえないとか』も、優しさがあっていろんなことに気づかせてくれる絵本だったけど、この本の優しさも好きだった。 この著者の経歴も、なんか面白そうで気になる。
0投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログ盲目の人と接することがあり、何か得られないかなと読んでみたが、易し過ぎて特に新しい発見はなかったかな。これが初見ならばいい入門書なるのかもしれない。 読むのならば、目の見えない白鳥さんと~でいいと思う。追加でコテンラジオの障害の歴史やヘラルボニーの活動を知ると、より理解が深まると思う。
1投稿日: 2024.03.09
powered by ブクログ間違いなく良書。視覚に障がいのある方のイメージがひっくり返ると思いますし、いかに薄っぺらいイメージで理解した気になっていたかと、読了後猛省しました。
1投稿日: 2024.01.31
powered by ブクログ社会モデル(「障害が問題なのではなく、障害があることで抱える不自由を解決できない社会が問題なのだ」という考え方)がとてもよく理解できる名著だった 僕たちの社会は多様性とか言いながら、マジョリティの視点を捨て切れていないんだ
7投稿日: 2024.01.25
powered by ブクログ本川達雄「ゾウの時間ネズミの時間」 時間感覚は生き物ののサイズによって違う。ゾウにとっての一秒はあ、にも満たないかもしれないが、アリにとっての一秒はあーっというふうに長い。時計のような絶対的な時間は本当はないものであって、個々の生きもののサイズに対応した主観的な時間があるのみである。 足りない部分を想像力で補って、さまざまな生き物の時間軸を頭に描きながら、他の生き物と付き合っていくのが、地球を支配し始めたヒトの責任ではないか。この想像力を啓発するのが動物学者の大切な仕事だろうと私は思っている。(138項) フランス語ジュヌセクワ(je ne sais quoi)いわく言い難いもの。例えばモテる人の魅力のように、感じ取る事はできるけど、言葉にしにくいもの。分からなぃのではなく、分かってはいるんだけど、言葉にできないもの。 美学は、要はこのジュヌセクワに言葉でもって立ち向かっていく学問。痒いところに手を届かせようとする学問。 同じ空間でも視点によって見え方が全く異なります。同じ部屋でも上座からと下座から。ノミの視点で床から見たり、ハエの視点で天井から見下ろしたら、全く違う視点が広がっているはず。私たちが体を持っている限り、一度に複数の視点を持つことはできません。 耳で見て目で生生端で物空手口で書かねば上をわからず。出口鬼三郎 ダイアログインザダーク 自立とは依存先を増やすことである。自立と言うと、依存を少なくしていき0にすることだと思いがちです。しかし、周りの人から切り離されることではなく、様々な依存可能性をうまく使いこなすことこそが障害者の自立であると。健常者=自立している人と思いがちですが、その実態は自立しているふりをしているだけなのです。そう考えると、周囲のスポーツサポートをうまく生かしながら生きている障害者とは、むしろ依存のスペシャリストであると言えます。 ソーシャル・ビュー 作品を見て、新しい発見があったりだとか、気づきがあったりだとか、感動した時が行って良かったと思う時だ。美術館に行って良いと思う時。 鑑賞するとは、自分で作品を作りなおすことなのです。見えない人がナビゲーターと呼ばれます。見える人から言葉を引き出し、その場を作り出しているのは見えない人の存在です。
0投稿日: 2024.01.22
powered by ブクログ「障害を面白がる」という様々に誤解を生みそうなスタンスの重要性を、具体的な事例を多数挙げつつ説いている。「見る」という認識作用は、必ずしも「眼」という器官で「見る」ことに限られない、ということを実例をもって示していて、目から鱗である。
1投稿日: 2024.01.19
powered by ブクログ目の見えない人に、何を聞いてみたいだろうか。 そこは暗闇の世界なのか。 聾唖の人をどのように区別し、愛するのか。 寡黙な優しさを感じられるのか。 盲目の世界において、美しさとは。 価値観はどのように変わるのか。 残念ながら、本著はそういう観点では、インタビューをしない。また、登場する「目の見えない人たち」は、生まれつきではないから、イメージの記憶を持つ。映像記憶の無い人に関心があったので、先の質問リストも合わせて、少し残念だった。 ジュヌセクワ。 フランス語で「いわく言いがたいもの」、言語化の対義語。暗黙知みたいな事だが、それだと、視覚障害者には伝わらない。視界から消える事で不自由に感じるもの(大多数)、逆に消える事で却って集中力を増す、または、囚われなくなるもの。 脳内で映像化し、その映像化のために言語があるとしたら、映像を持たぬ視覚障害者にとって言語とはどのような役割なのだろう。色々、消化不良な感じが拭えない。
50投稿日: 2024.01.10
powered by ブクログ図書館で借りた。 タイトル通り、目の見えない人はどのように世界を見ているのか、世界を感じているのかを記された本。著者は現代アートの専門家で、目の見えない人が4人ほど本の中で登場し、インタビューなどを交えつつ、どのような見え方をするのか、またどんな意識をしているのか、はたまた無意識のうちにどんな考え方やどんな捉え方をするようになるのかを知ることができる本だ。 死角がない、また違った視野が広がる、体の動かし方が変わる…といった話はこの本を読むことで知れる感覚だ。面白い。 こういうのは知る・理解するという一歩が大事かなと思った。
0投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログ視覚障害者との関わりへのきっかけを生物学的な興味とし、中学のときに読んでいた本川達雄先生の「ゾウの時間ネズミの時間」を紹介している。自分もこの本を手に取ったきっかけが最近読んだ「動物たちのナビゲーションの謎を解く」の中で視覚障害者が杖を叩いて反響音で周りに何があるのか把握するというエピソードに興味を持った同じく生物学的興味からだった。 視覚障害者が世界をどう見ているかが書かれており、美術品の鑑賞をプロセスで楽しむなど目新しい内容もあり面白い。
1投稿日: 2023.11.07
powered by ブクログ目が見えない人の世界の見方を知ることで、自分の世界の見方に気づける本だ。著者の伊藤亜紗氏は大学3年のときに専攻を生物学から美学に変更、いわゆる文転した異色の経歴の持ち主。その異色さがもたらす視点であるのか、本書を読んでいると、自分が当然だと思っていた世界がまったく当然ではなかったと思わされる経験をたくさんすることができる。見田宗介氏の『時間の比較社会学』で、古代、中世の日本、ヘレニズム、ヘブライズム、近代社会の時間の観念を理解することで、初めて近代以降の時間の観念を正確に、今までとは違った形で捉えられるようになったように、本書でも五体満足ではない人の視点から自分たちの視点が相対化、明確化される。私がとても好きなジャンルの本だ。
6投稿日: 2023.10.22
powered by ブクログ目の見えない人の世界が少しだけ想像できた本。 何か足りないことに嘆くのではなく、今の状況を受け入れて前へ進むことの大切さを改めて感じた。目が見えない状況でのスポーツに関して興味がもてた。
2投稿日: 2023.10.04
powered by ブクログまさに「目の開かれる」ような本。薄く、文体もやさしく、読みやすかった。 「情報」と「意味」の違いは、他の分野にも用いることができる視点だと思う。 近所であれば、ソーシャルビューに一度参加してみたい。
0投稿日: 2023.10.03
powered by ブクログ美学(哲学の一分野)学者が視覚障害者との交流から感じた「あちらの世界」と「こちらの世界」 その相違から生まれる身体論は新たなる発見です。医療・福祉とは違った視点で「見えない世界」を見てみませんか? 【理学療法学科講師 橋本淳一】 ●図書館で借りられます。貸出中の場合は予約できます。下記URLからどうぞ。 https://library.auhw.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?IS=9784334038540 ----------- 【この本は「企画『思考を深める』」でも紹介されました】 この人の文章を何かに例えるなら、“風邪を引いたときに口にするゼリー飲料”でしょうか。あらあらなんだかするするすると抵抗なく入ってきて、気づけば心に体に沁み渡っているのです。障害という難しいテーマを扱いながら、こんなに読後感が爽やかな本を、私はほかに知りません。晴眼者と視覚障害者の差異を面白がることから、共に生きていくための新しい可能性を探っていく、多様性を考えるヒントがたくさんつまった一冊。 【事務局図書課非常勤嘱託員 熊谷和香子】 ●図書館で借りられます。貸出中の場合は予約できます。下記URLからどうぞ。 https://library.auhw.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?IS=9784334038540
0投稿日: 2023.09.26
powered by ブクログ読み終えたあと、なぜか感想を上げるのを忘れていた本のメモから(2022年10月29日読了) ↓ 目の見えない人は、見えないのではなく、晴眼者と違う見え方がしているのだ。 この本を読んで、そのことに気づいた。 朝、洗濯物を干しながらオーディブルでこの本を聴いていたら、起きてきたばかりの娘から「聴いてるだけで、内容はちゃんと頭に入ってくるの?」と聞かれた。 字で読まないと本のスジが追えないのでは?と気になったのだろう。 まさしく、それ。 晴眼者が、目で見ることに頼りすぎていることをよく示した実例だなあ、と。 人に読ませたくなって、あとから紙の本買っちゃいましたけど。 結構読んで驚きがあります。
55投稿日: 2023.08.28
powered by ブクログ『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 2023年8月20日読了 本書は、筆者が見えない人々や彼らとともに活動をしている人々と交流し、そこでの気づきや何気ない会話などが出発点となっている。実際の経験をもとにしているからこそ、見えない方の日常がリアルに感じられて大変面白かった。 本書では、「見えないこと」と「目をつぶること」が異なることに言及したうえで、空間・感覚・運動・言葉・ユーモアの5つの視点から、見えない人がとらえている世界について紹介している。 「見えないこと」と「目をつぶること」の違いを4本脚の椅子と3本脚の椅子の違いに例えて説明しているが、この考え方がどの章においても起点となっている。つまり、「視覚抜きのバランスで世界を感じると、同じ世界でも見え方=意味が異なってくる」と。 本書から様々な気づきを得たが、それだけわたしが固定観念に縛られているということだろう。特に「障害の使い道」を考えるというのは、大変興味深い視点だった。とある障害を触媒として、よりよい社会にするためのアイデアが生まれる。そんな活動がこれからどんどん広まっていくと面白そうだ。
0投稿日: 2023.08.24
powered by ブクログ読みやすい文体と好意的な好奇心で「見えない世界」を覗き込む筆者の姿勢がすごく良かった。 見えない人の世界の柔軟性に学びが多かった。
0投稿日: 2023.08.11
powered by ブクログ目が見えない人の世界の見方が面白かった。 目が見える人は見えているようで、意外と見えていない。例えば、目が見える人は風景を見る時、立体的ではなく、平面的に見ている。目が見えない人は頭の中で想像して見るので、物を立体的に捉えている。 また、見えない人は想像力や推理力が優れているので、人の話を聞いた時に、見える人が理解できないような話も、話の断片を繋ぎ合わせていって、理解することができたりする。 目が見えないからかわいそうと捉えるのではなく、どういう世界なんだろうと興味を持ってみることも大切だなと学んだ。
4投稿日: 2023.08.08
powered by ブクログ2023年7月23日読了。「目が見えない人」がどのように世界をとらえ生活しているのかについて、生まれつき・後天的に盲目の人へのヒアリングや一緒に活動する中での気づきなどから解説する本。中学受験に頻出の論説文ということで読んでみたがなかなか面白い。「目が見えない人は聴覚などが過敏になる」とはよく言われることだがそれはどの程度視覚を代替できるものなのか?について、非常に具体的なわかりやすい説明がなされていて、自分にない・新しい世界の見え方が理解できる感覚もあり視野が広がった気がする。資格に頼って世界をとらえようとする我々の方がむしろ「虫の目」で世界を見ており、盲人の方が「鳥の目」で俯瞰的に世界をとらえて理解できているのではないだろうか?
0投稿日: 2023.07.28
powered by ブクログもともと生物学を目指した人がアートを専攻してこの本を書いたと…なかなか面白い経歴の持ち主。目の見えない人の感覚をうまく想像することができた。すっかり当たり前になってしまっていることが身の回りにも多くて、新たな視点に気づかされた
0投稿日: 2023.07.27
powered by ブクログ介護や看護、医療職の人に必ず読んでほしい。 4本足ではなく3本足のバランスで立っているだけという表現や、欠けているんではないということ 障害は不自由ではなく、むしろ自由な発想がある 大切なことを学びました
2投稿日: 2023.06.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルのとおり、目の見えない人から見た世界がどのようなものか、空間、感覚、運動、言葉、ユーモアの観点から紹介した本。 見えない人の不自由さばかりを想像し、気の毒だと思いがちだが、それは見える人からの感じ方に過ぎず、見えない人の方がむしろ自由な楽しみ方をしている面もあること、視覚がないから死角がないこと、つまり、見えている人より、むしろフラットに、自由にモノを見たり感じたりできることなど、いろいろ参考になった。全盲の人も美術鑑賞を楽しめる、ソーシャルビューという方法も面白そう。
31投稿日: 2023.05.19
powered by ブクログ見えないという障害を持っている人に手を差し伸べるという考え方を持っていることで壁が生じてしまっているのだなと思った。様々な場面で人はサポートを受けており、障害の有無にかかわらず、助けを得ることは生活していく上で必要なことである。障害を持ちながら生きていくということはうまく周囲のサポートを得られることが重要で、一人で自立するということはただ単に一人で何でも出来るということとは違うのだと感じた。目の見えない人の世界のとらえ方を少し理解することに役立つ一冊だと思う。
3投稿日: 2023.04.16
powered by ブクログ【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB18480519
0投稿日: 2023.04.03
powered by ブクログ【背景】 ①なぜ読むか いわゆる“障害”をもつ人が見る世界を知りたいと思ったから。 ②何を得たいか 視覚障害者がどのような世界を見ているか感覚的に得る ③読後の目標 二元論的な優/劣を克服するための一助とする 【著者】伊藤亜紗 【出版社】光文社新書 【感想】 特支での経験から、人の優劣などを疑うようになった。周囲からは、特支の生徒を通常級の生徒と同様に扱う姿勢を指摘されたが、私は正しかったと思う。 本書では、視覚障害者のエピソードを筆者が読みやすくまとめている。彼女の本に共通することだが、出演者が皆「かわいそう」でないところが痛快だ。 その点で、某お涙頂戴番組とは一線を画す。 真の意味での平等・対等に近いのは、著者の姿勢だと私は思う。 話は脱線するが、人は様々なモノサシを使って人を評価する。特に現行の日本の学校制度は、まさにそれそのものである。また、社会全体が学校化する昨今において、その傾向は強化されている。ミシェル・フーコーも指摘しているが、監視の主体が内在化されつつある。それが生み出す閉塞感を打破する契機のひとつを、障害者が担っていると思う。 社会包摂が加速的に進んでいるが、一方で支援学級への“隔離”など、排除も同様に加速している。だからこそ、社会を外側から見ることが出来るのではないのだろうか。我々が失った視点をもつ(意図的ではないかもしれないが)人々を、もう少し大切にしたい。
1投稿日: 2023.03.25
powered by ブクログこれは新しい視点。確かに障害と言う字の如く、健常者からすればハンデがあると言うイメージが植え付けられている。本書はそうではなく、捉え方によっては自由な事なんだよ、と。 確かに視覚情報はかなり比重があり、他の感覚がなくてもかなりの物事を理解出来る反面、他の感覚でないとわからない事が見えなくなる。これは視覚に限らず全ての事に言えると感じた。大人のイメージで子供の想像力を壊さないように気を付けないと…。 あとは障害者に変な距離感を感じる事も指摘されていたが、これは長く付き合っていく中で打ち解けないと難しいな。
1投稿日: 2023.03.07
powered by ブクログ目が見えない人がどのように世界を捉えているのか、目の見える人がいかに視覚の情報に頼っているのかという本 目が見えない人全員が点字が読めるわけではない
1投稿日: 2023.02.28
powered by ブクログ自分の凝り固まった考え方を丁寧にとこほぐしてくれる1冊。優劣があるわけではなく、椅子の支え方が違うだけ、という言葉にすごく納得感があった。 筆者がとても丁寧にインタビューや観察をしていることが伝わってくるのもとても良い。
1投稿日: 2023.02.28
powered by ブクログ「利他とは何か」を読んだ際、伊藤さんが書いたところが興味深かったので読んでみました。情報と意味を対立させて「見えない人」がどのように世界を認識しているか書かれた本。ただ、具体であって抽象や一般ではないことが記されている。非常に面白かった。障害というのは近代以降に生まれた概念で産業の発展に伴い、労働内容の均一化が起こった。それに伴って、かつてはみえなくてもできる仕事があったのに、みえないから均一化された労働ができないことに焦点があたるようになったというのが興味深かった。
0投稿日: 2023.01.20
powered by ブクログ読まないで聴くはじめてのオーディオブック。東工大リベラルアーツ伊藤亜紗教授著。目の見えない人との絵画鑑賞法とは?健常者の優しさ押し付けではなくその人になった想像力こそが大事なのかも、いろんなことが目に入りすぎて五感の衰えを日々感じる今日この頃。
1投稿日: 2022.11.01
powered by ブクログ感想 目の見えない人と見える人の境界を揺らす。価値観を流動的にすることで多くの人は不安に苛まれる。不安を手懐け、事実を直視すれば差別も緩和する。
1投稿日: 2022.10.22
powered by ブクログ視覚に制限があることから見える人から引き算的な世界を生きていると想像しがちだけど、実態は全然違う。 健常者は見えるが故に、物の見方が拘束させていることがある。 視覚障がい者は見えないが故に、物事の見方に自由度がある、身体・器官の使い方に自由度がある。 見ると観るは違う。 そういう人たちと接することで自分の中にあった絶対的な観念を相対化してくれる。障がいを持つ人と生きる社会を拒絶したらこのような体験・気づきは得られないんだろうなと思わせてくれた本。 ーーーーーーーー 象の時間、ネズミの時間 →時間感覚は生物の大きさによって違う 動物と人間世界認識 情報としての記号 意味としての記号 環世 (視力が弱い人ならではの能力を見て )違いを認めることと特別視することは違う。 →劣っているという前提があるのではないか。 →見えない人のイメージを固定化する 展示は読む時と打つときで左右反転するから大変 点字理解能力=触覚能力ではない。 →点字を読める人といって、敏感な触覚があらゆる場面で見受けられるとは限らない(モノの触り分け ) →目が見える人と同様、点字を"理解"している 視覚障害者は足が重要なセンサー →足は移動手段、と、この器官はこの役割と決め打ちすると世界の認識方法が紋切り型・狭くなる 自立とは依存先を増やすことである (美術 )鑑賞とは、自分で作品を再構築すること 言葉による美術鑑賞 →見えない人へ美術作品を説明する過程で見えている人も見えているが故の誤りに気づくきっかけに。 障害って何? →健常者・障がいの観点は大量生産時代に生まれた。 →産業社会は画一的な大量生産ができるかどうかで人間に区別をつける。 昔は障がい者と括られる人にも何かしら役割があった。 老化も障がいの一つ→障がいは他人事じゃない。
0投稿日: 2022.09.27
powered by ブクログ自分の頭をぐいっと働かせて視点の変更を促すのにとても役立つ内容ばかり。面白い。 環世界、情報と意味、大岡「山」駅、 点字は「読む」こと(使っている器官は違うけどやってる仕事は「読む」、つまり触って「読める」し聞いて「眺める」こともできる。器官と能力を切り離す)、 ソーシャル・ビュー(美術館鑑賞方法)、運試しとしてのパスタソース選び
0投稿日: 2022.09.25
powered by ブクログ私は見える人です。 見えない人、見えにくい人の世界を体験するとはできませんが、見えることが逆に不便で生きづらいのかもしれないと思ってしまうような本でした。 何の本だったか忘れたけれど、以前読んだ本に障がい者の人を見かけたら助けてあげるではなくて、声をかけるだけでいいというようなことを読んだような記憶があります。 社会は障がい者への支援を実施しているけれど、時々思うのは それは、本当にその人が望んでいる支援なのか ということ。 当事者の声は、ちゃんと聞いているのかな? 助けてあげなければならない存在ではなく、助け合える存在になれれば良い。
2投稿日: 2022.08.23
powered by ブクログ分からないから面白い!と思える本でした。 本を読み進めれば進めるほど、見えるからこその不自由さがあることに気が付きます。 見えない人。というだけで想像できる事は極わずかな情報だけで、もっと面白くて、知らない事がたくさんある。分かり合えない部分はあるかもしれない、でも、見える人見えない人との間に障害はないのだと思いました。
0投稿日: 2022.08.19
powered by ブクログまだ途中。今メモしたい...! 福祉的観点が邪魔して 変な距離感になってしまうと。 サポートしなきゃというような緊張感のせい。 見える人と見えない人が それぞれに好奇心を持って接する あ〜そっか〜そんな感じねー? おもしろいねぇー というようなニュアンスかな。 筆者のただし書きも大事で 両者の了解が大前提だということ。 例えば海外の人の文化を理解するように? ......つづきを早く読もう
0投稿日: 2022.08.18
powered by ブクログ視覚のない世界の見方が変わる本。 情報が必要最低限の中で生活することによって大変と言うよりも合理的な行動だなぁと思った。 もちろん生活の支障があるのは承知の上だが、普段の私の行動と比べてみると視覚障害者の方は簡潔的で心が豊かな生活を過ごしていると思えた。
1投稿日: 2022.08.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
足が運動器でも感覚器でもあること、美術とのかかわり、ユーモアなど、考えたこともない観点ばかりで新鮮だった。また、最近は見えない人の間でも点字がマストではないのが以外だった。 今後見えない人と交流の機会があったら参考にしたい。
0投稿日: 2022.07.26
powered by ブクログ盲目の方がどのような考えで生活しているかを様々な視点から分析された本。なかなか興味深い内容でした。一つの機能が削ぎ落とされることによって、他の機能が特殊な進化をする。
0投稿日: 2022.07.22
powered by ブクログ同じ街にくらしていても、「そっちの世界では…」なんて言葉が出てきたり、陶器だと言われた瞬間にコップの中身も見えなくなる。って言う事を知れたのはよかった。どっちが上って言う人間関係では無く、対等な関係でも無く「揺れ動く関係」って言う人間関係は自分もやってみたいなぁーと思う。
0投稿日: 2022.07.15
powered by ブクログ興味深い内容にくわえ、文体も読みやすく、とても面白かった。 世界認識の方法の違い、というと固いけど、そういうこと。
0投稿日: 2022.04.19
powered by ブクログちょいと哲学的というか、難しいところもあったけど… 目の見えない人の世界に興味を持つと何だか面白いかもしれない! 今までは私自身立体的に物が見えていると思っていた。 でも、違うかもしれない。 私が“富士山”と言われて思い描くのは台形の正面からの図だけれど、目の見えない人の想像する“富士山”は裾広がりの円錐形で、正面なんてない。 目の見えない人の方が、より立体的に、俯瞰的に物を捉えられている。 逆に私は自分の視覚に捕らわれているのかもしれない…。
0投稿日: 2022.04.17
powered by ブクログ障害がある人に対してなんとかしてあげたいという気持ちがいつも先行してしまっていたけれど、 私たちは対等であることを忘れたくないと思いました、 ソーシャルビューしてみたい!!!
0投稿日: 2022.04.16
powered by ブクログ面白いです。見えない人へのインタビューによって、見えない人のほうが見えている私より正しく対象を捉えているということがあることわかりました。見えていることにより視点に縛られて、かつ、それが正しく対象を捉えていると思っちゃう。これは反省せねば。
1投稿日: 2022.04.04
powered by ブクログ少し面白かった、と思う。 例えば、道の話。目が見える人々は、ただ決められた順路に従って歩く。それはベルトコンベアのようで二次元的。一方で、目の見えない人は、方向や空間の広がりを想像する。目が見えずに得られる情報が少ないからこそ、世界を3次元的に見ている。という話。 なるほど!と思う話が次々に登場する。 ただ、筆者の見方が好意的すぎるというか、彼らの実際の苦悩や、生活上の不便さというのは、そこまでシリアスに描かれることはない。 目が見えないからこそ、情報に振り回されないんですね〜!面白い!みたいな。学者である筆者の、とても学者らしい世界観。 このタイトルと表紙絵からは、目の見えない人側が主体の話かと思いきや、筆者による実録レポートというテイストが強い。あと、筆者の学問遍歴みたいな前置きが長かった。 まぁ、エッセイと思って読めば悪くないかも。 読者が事前に何を期待するかによって、評価が分かれそうな1冊。 (書評ブログもよろしくお願いします) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/04/02/%E7%9B%AE%E3%81%AE%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%81%AF%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%92%E3%81%A9%E3%81%86%E8%A6%8B%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B_-_
6投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログ序章に書かれている、異なる「環世界」を感じてみたいという思いにはとても共感するところがあり、興味深く読んだ。 色々な意味で、目からウロコ、というより「色眼鏡」を外される本。
3投稿日: 2022.03.27
powered by ブクログ大変勉強になった。 わかりやすい文章で、読みやすくて面白い。 「目の見えない人は世界をどう見ているのか」考察していくことで、見える自分にとっての当たり前を離れ、「変身」することができる。 そもそも目が見える人だって正確にものを見ているわけじゃないし、みんながみんな同じものが見えてるわけじゃない。その人が見たいものしか見てないし、意識してなかったりする。 見えない人に対して、印象派の絵について美術館員さんが説明するとき、最初湖のある絵で…と言いかけ、いやちがいました、野原の絵でした。といったやりとりが面白くて印象に残った。 本書の中で、なぜよく絵を見ているはずの美術館員さんが野原の絵を湖の絵だと勘違いしていたのか、筆者が考察していてこれも面白かったので読んでみてほしい。 いいだしたらあれもこれも、、見えない人は「道」に制限されていない・翻弄されない話や、点字は触るものではなく読むものだという話、見えない人と見える人が一緒に美術鑑賞をするソーシャル・ビューの話、どれもこれも面白い。 そして最後は見えない人の「ユーモア」について触れる。ユーモアについては、見えない人に限った話でなく、誰にでもためになる有効な話だと思った。そして自分は見えるくせに視野が狭い、そう思った。 とはいえ弱視や全盲とはまったく違う世界を生きているとはいえ、自分もド近眼。眼鏡がないと生活できないので、眼鏡が開発されていなかったら立派な障害者ですね。老若男女問わずかなりの人がそうだとは思いますが。そういえば眼鏡をかけないと見えない人と、眼鏡もコンタクトレンズも使わなくていいほど視力のいい人とも、少し世界が違うなあと振り返って思いました。目がいい人がよく眼鏡外した人に指を何本か出して見せて「これ何本に見える?」なんて定番のやりとりですよね。世界が違うからこそのやりとりかな。 あとは障害という言葉…特に表記について。障害者の意味をよくよく考えると、見えないことが障害なのではなく、見えないことで日常生活に支障がある・できないことがあるのが障害なんですよね。 その意味を考えればこそ、"「障害」と表記してそのネガティヴさを社会が自覚するほうが大切ではないか"と著者は言っていて、これはとても大事なことだ、と感じました。 著者も語っていましたが超高齢化社会である日本では、かなりの人が障害者に相当する。この本はコロナ前なので語られていませんが(コロナ禍でも語られたかはわかりませんが)、個人的に、若者でもコロナの後遺症で日常生活が送れなくなる人が増えてくることをも考えると、より社会がどう変化していくべきか考える必要があるなと。考えて、それで大きなことでなくても何ができるだろうと、つい考えてしまいました。 何はともあれ、本書を通して世界が広がったことに感謝。
13投稿日: 2022.03.12
powered by ブクログ見えるとか見えないとか 現代人は情報の飢餓だなあ、とたしかに思った 社会的弱者とは? メモを取れないことはたしかに不便…… こうやって見えない人の気持ちを少しでも理解したい そしてどの器官を使ってみるか、じゃなくてどのように使ってなにをみるかが1番大事 こないだチームラボに行った時、そこは視覚メインだけど足の感覚を使うブースがあったけどみんなあまりなにも感じずに素通りしてる印象が強かった 「自立とは依存先を増やすもの」
2投稿日: 2022.03.05
powered by ブクログすごくいい本に出会えたなぁと感じてます。 まず、とても読みやすかった。抽象的で概念的な内容を扱っているのに、都度理解しながら読んでいくことができた。 なるべく平易な言葉を選んでくれているのもあると思うけど、具体例が豊富だからイメージしやすいし、話の流れが理路整然としているので、頭を整理しながら読める。このまま中高生の国語の教科書に載せられるレベルだと思う。 そして、何より内容も面白くて、目から鱗の発見が多かった。 障害者に対する考え方も変わったし、サポートする側とされる側という「福祉的な視点」を離れて、「目が見えること」「目が見えないこと」を文化的な差異として「面白がって」お互いを比較することで、自分たちの身体に対しての新しい視点が得られた。 4章ででてきた美術館の「ソーシャル・ビュー」面白そう!機会があれば参加してみたいな〜
8投稿日: 2022.02.21
powered by ブクログ目の見えない人が世の中をどのようにして見ているのかについて科学的に書かれた良書。 非常に勉強になったのが 1、目が見える人は情報の8割から9割を視覚からの情報に依存している。よって視覚からの情報に依存しすぎ。全てを視覚からくる情報が正しいと思い込んでいる。 2.空間認識として目が見える人は2次元である視点からしか物を見ていないか、目が見えない人はいろいろな情報を組み合わせて3次元で物を見ている。 3. 美術作品の鑑賞において、見えない人がナビゲーターとなって絵画を観覧するというソーシャルビューと言う取り組みがある。
0投稿日: 2022.02.10
powered by ブクログかなり興味深く読み進めた。 「目が見えないからできない」ではなく 「目が見えないからできる」という視点で 物事を捉えていきたいと思った。 何事も同じな気がする。
4投稿日: 2022.02.09
powered by ブクログ川内さんの白鳥さんの本を読む前に、と思って借りた本を読了。 近頃ギャラリーや美術館に足を運ぶようになったが、ふむふむと考えながら読む。
0投稿日: 2022.01.30
powered by ブクログ『みえるとかみえないとか』から本書にたどり着く。健常者優位の一般論を打ち破ってくれた。著者の考えのみならず、視聴覚障害者の考え、見え方を紹介している。みなさんの紹介を読むと、自分とは壁のないおとなりさんなんだ、と思えてくる。
0投稿日: 2022.01.22
