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ザップ・ガン
ザップ・ガン
フィリップ・K・ディック、大森望/早川書房
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総合評価

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    話しの設定は面白いのですが、構成に難ありといった感じ。そのあたりのことは、あとがきに著者の言葉が掲載されていますが、個人的には充分楽しめました。 あらすじ: 2004年、世界は東西両陣営に分かれた冷戦下にありました。その両陣営共に、武器開発は超次元空間に意識を浮遊させ、トランス状態になって独創的な殺戮兵器をスケッチすることにより、アイデアを得る方法が取られていた。その職種は、兵器ファッション・デザイナーと言われ、西側はラーズ・パウダードライ、東側はリロ・トプチェフが担っていた。しかし、これらのアイデアを反映した兵器は、新兵器のデモンストレーションと称して、実際のことのようにドラマ仕立ての映像を作り上げて大衆に公開した嘘の情報でした。そんなある日、エイリアンの衛生群が現れますが、撃退しようにも発射された兵器では虚空を相手にしているも同じ。なす術がない人類は、東西の兵器ファッション・デザイナーが協力して、本物の究極兵器”ザップ・ガン”のスケッチを入手するよう要求されますが……。 そもそも、東西は表面上は対立していても、その実馴れ合っているという設定がいい。しかも殺傷能力のない武器開発を、兵器ファッション・デザイナーなんて人が担って、偽物のプロトタイプ作成に寄与しているとかね(トランス状態にあるときのアイデアの入手元には驚きました)。そんな武器開発で、どうやってエイリアンと対峙するのかが読みどころですが、ある意味エイリアンには残酷な仕打ちでしょうね。よくこんなこと思いつくなと思いました。 あと、ラーズの前任者の死因や、会社のミス・ベドウィンの最新のファッションという格好など、ディック流のギャグも健在で面白かったし、未来のアレクサを予見しているような〈オーヴィルくん〉やその他ガジェットの名称なんかを楽しめました。そういえば、直前に読んだシミュラクラの名前やAG製薬の名前が出てきたり、本作にもドイツ語がでてきてニヤニヤしてしまいましたね。 ただ、あとがきを読むと著者は気に入らないようですね。特に前半。用語の説明不足は、他の作品も同様なので、伏線として書いていた人物のことを回収し忘れて、最終章を付け足していることや、前半で語っていた主人公ラーズの愛人の性格の描写が、後半は真逆の行動をとっていたりと、話しが矛盾していることを、著者が怒りに任せて誤魔化しているだけのような気がするのですが……?後半の怒涛の展開が良かっただけに、回収し忘れた伏線のために追加されたであろう最終章が、なんだか取ってつけた感じがして残念でした。 正誤(初版) P88の8行目: ミター・ラーズ ↓ ミスター・ラーズ

    26
    投稿日: 2025.05.04
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    名前と表紙に惹かれて読了。 The・B級SFって感じでいろいろと不思議だった点もあるが面白かった。確かに最後まで説明されなかった謎や王道とは少しズレた終わり方、ご都合主義や主人公の役立たず感といったところは「駄作だろ」と思わせる要因になり得るかもしれない。しかし、「これはB級SFだ」と割り切ってみればそれらの要素も某サメ映画みたく楽しめるのではないかなと思う。話が矛盾したり理屈が通っていないわけではないぶん面白いB級SFだと思う。

    1
    投稿日: 2025.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うおー!全然わからねー! 主人公のラーズが兵器製造に関わってるっぽいが、そのやり方がトランスして霊媒的ななにかで天界からアイデアを得て、そこから設計図を作っていくという流れらしい。 でも主人公自身はそれをまやかしだと思っている?結局最後まで、実際にトランス状態で情報を手に入れてるのかなんなのかよくわからなかったが、とにかく西と東で似たような兵器開発を行っている模様。 ラーズが西側の同じ兵器デザイナーであるリロの写真がほしいのは、ライバル心ではなく、純粋に下心らしい。マジで?なんなんだこの性欲魔神は。 時折挟まれるフェブスとかいう頭はいいかもしれないがだいぶうざいヤツの存在価値がなんだかわからない。ラーズのライバル役になるにしてはあまりにも小物ムーブ過ぎるし。 読み終わったけど、やっぱり最後までよくわからなあった。 突然エイリアンが襲ってきて、なんかよくわからないボードゲームにハマらせることで解決?したり、フェブスとかいうやつがストーリーに関わってくるのかと思いきや、勝手にテロを企てて勝手に鎮圧されて終わった。 ラーズ自身も結局何もしてないのでは…?単に新しい恋人を手に入れただけだったように思える。 途中で出てくるただの痴呆老人かと思った人物が実は今も生きている玩具会社が未来から戻ってきた姿で、ちょうど今起きているエイリアンの情報を持ってたからそれを聞いて問題解決が進んだ?マジでわからんかった。 そもそも、東西の兵器ファッションデザイナーががんばって情報を集めていたのは、実はコミックブックアーティストの脳内で、それもラーズが暇つぶしに偶然買った雑誌を読んでて気づいたとかいうご都合主義だし。 でも漫画家の脳内を読んでいたとしても、その兵器が実際に作れたのならそれはそれで何の問題もないのでは? まあとにかく、最後まで話がよくわからなったし、おもしろくなかった。これは翻訳のせいとかではないと思う。

    0
    投稿日: 2024.05.24
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    マンガ的な雰囲気のB級SF。 トランスで新型兵器のアイディアを手に入れる兵器ファッション・デザイナーが、究極兵器“ザップ・ガン”の開発を目指すというぶっとんだ設定。SFアイディアのてんこ盛り+ディックおなじみのドラッグや社会描写などがあるが、前半部分が読みにくく、全体的にまとまりがない印象。 とはいえ、後半以降はテンポよくストーリーが展開し、美少女ヒロイン&メカもの的な面白さがあってかなり楽しめた。映画化よりもアニメ化してほしい、そんなノリの作品。世界観的にゲーム化もいけそう。シリアスな本編に直接絡まない、明らかにお笑い担当でしかないキャラもいて新鮮。読後感が良い!

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    投稿日: 2021.02.09
  • わけがわからないです

     あとがきを先に読まないとストーリが分からないです。登場人物がどのように絡み合っているのかも不明だし、あの時の人物は何で出てこないのかもあり、さっぱり理解不能な作品でした。ディックの作品は大方こんなもんで、映画化されても原作と違うことが多いのです。

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    投稿日: 2017.12.25
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    久しぶりのSF小説(といっても1ヶ月ぶりだが…)、そして久しぶりのディック作品(といっても4ヶ月ぶりだが…)ということもあって、期待以上に楽しめた本書は、ディック曰く「クズ」みたいな作品とのこと。「後半はまあまあだけど」とフォローをいれるものの、「前半はまるで読めた代物じゃない」と述べるように、ディックは本書にあまりよい思いを抱いていないようですね。その辺りは、訳者あとがきでの大森氏による推察を参照されたし。ちなみに本書は大森氏が初めて翻訳したディック作品とのことで、なんだか訳者あとがきから、大森氏の本書への愛着が感じられますね。 さて、ディックの長編によく感じる「ちくはぐ感」は本書でも相変わらず。気になったのは、登場人物のひとりのフェブス。最初は自分本位の塊として際立ったキャラであったにもかかわらず、途中から扱いに困ってしまったのでは?と思うぐらい物語からフェードアウト(最後らへんでお情け程度で役目を与えられましたが…)。その他にも「青い頭虫人間」やらヴィンセント(彼は終盤で重要な役割に変貌しましたが)などなど、なんだか、あっちいったりこっちいったりな展開でした。ただ、この展開がダメなのかと問われると決してそうではなくて、このちぐはぐ感こそがディック長編の面白さだったりするんですよね。いつもながら不思議に思うところ。

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    投稿日: 2016.08.20