
総合評価
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powered by ブクログ表面的な受験世界史では知ることができない、外交と戦争の連続性を見ることができる。 そして覇権が大英帝国からアメリカに移っていく様も実に面白く、現代に繋がる歴史の流れを知るという意味では必読書と思われる。(明治維新から日露戦争、第二次大戦敗戦から冷戦時代まで、日本は英米との関連が実に深い。) 日本人は島国ゆえに外交オンチと言われ、外交と戦争を別物に切り離して反戦を叫ぶようになったわけだが、本書で国際政治の勉強の入り口になればと思う。 無味乾燥な歴史本ではなく、中西先生のドラマティックな筆致が冴え渡ります。
0投稿日: 2021.08.07
powered by ブクログイギリスがどのような変遷を経てきているかということを各時代に分けて解説されています。外交の失敗、戦争参加への失敗など帝国から帝国でなくなっていく様子が興味深かったです。
0投稿日: 2017.02.25
powered by ブクログもはや「古典的」と言われてもいいかもしれない本。 しかしイギリス中心史観に慣れてきた我々には、何か説得力があったことは確か。これと北川稔氏の本とを、読み合わせると・・・両署の違い、そしてそれぞれが優れている点、欠けている点が良く分かる。以下別途
0投稿日: 2016.10.02評論としてはなかなか良い
本書は歴史を題材にとった評論であり、歴史書ではありません。この点を踏まえて読むのであれば、なかなか良い評論と言えるのではないでしょうか。 学術的に見ると正確ではなかったり、厳密ではなかったり、著者の主張において都合の良い所をつまみ食いしているといった気もします。著者の言わんとする所は分かるものの、もし間違ってイギリス史専攻の方が本書を読めば腹を立てるかもしれません。ですので、歴史書、学術書を求める方は本書を回避するのが吉です。それ以外の、イギリス史に特段の興味がなく、現在の国際情勢などに感心のある方であれば本書から得る所が大きいかと思われます。
0投稿日: 2015.03.27複雑で特異な「イギリス精神」から学ぶあるべき国家政策の行方
数ある大国興亡論の中で、本書はエリートの価値観や精神構造が及ぼす影響を重視している点が特長である。 「とりわけ国際社会における大国の盛衰に関して、従来重要視されてきた、国力や体制のあり方といった構造要因以外に、その国の指導者や国民の発想や思考様式といった精神的条件こそ、長期にわたる興隆と衰退の歴史の決定要因として今日、一層深く検討されるべき時代が到来しているように思う。少なくとも、力や体制による支配が大幅に抑制された、大英帝国という特異な支配・覇権のあり方を考えると、こうした精神的諸条件の重視はともかくも避けられないアプローチであるのである」 大英帝国とは「威信」のシステムであり、限られた資源によって効率的に支配するとための「威信」という精神的要素には、国内社会における貴族のリーダーシップが密接に関わっている。 「パクス・ブリタニカ」を支えたのは、優越した海軍力や経済力といった「イギリス自身の力」と、常に国内での革命に脅え続けた「他の欧米諸国の内在的弱さ」、「外交上手」の3つの柱があった。 とりわけ最後の「外交政策」が特徴的で、「自制」と「勢力均衡」を基本とした「宥和」による支配は、その背後にある複雑な特異さをもつ「イギリス精神」を解明しないかぎり理解しえないだろう。 イギリス外交文化はエリザベス時代に完成され、「イングランドの外堀」である「低地=ネーデルランド」へのフランスとスペインによる脅威に対して見せた、「正義の操作」と「決然たる日和見」を旨とする「エリザベス外交の精神」は、いまなお「模範」と讃えられるものであった。 「差し迫った脅威と、他方に横たわる潜在的脅威の双方に対して、意識と判断をともにオープンにしておく。このような、じっと事態の中で『自らを持する』ことの心理的・精神的制御は、外交指導者に第一に求められる心性として学びとられることになった」 最近の関連書としては、英国衰退の原因をつくったチャーチル見直し論につながるブキャナンの『不必要だった二つの大戦: チャーチルとヒトラー』、小説だが古き良きイギリス的妥協が学べるル・カレの『繊細な真実』、アングロサクソン人の変化に対する態度を分析したミードの『神と黄金 イギリス、アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか』がある。
2投稿日: 2015.03.27
