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アクアリウムの夜
アクアリウムの夜
稲生平太郎、緒方剛志/KADOKAWA
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総合評価

12件)
3.7
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5
4
1
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    序盤が青臭さの極みで中年にはしんどかったが、6割過ぎたころから流れが変わってきて、終盤の狂気描写は圧巻だった。これスニーカー文庫で出していいの? でも『アムネジア』のほうが好きなので星4です。 霊界ラジオや蛇神信仰など、都市伝説やオカルト知識がふんだんに仕込まれていてそういうところも楽しい。結局なにがどうなってたのか明示されない点に不満を覚える人もいるみたいだけど、想像できる程度には示されているし、すべてが分からなくても良い派なので個人的には問題ない。ただ、高橋の遺体はもうちょっと穏やかな返却の仕方があったんじゃないかな。 わたしの地元にも水族館があって、2001年にリニューアルしてからはキラキラ水族館になったけど、その前はけっこう薄暗くてよく言えば神秘的、悪く言えば陰鬱な雰囲気の場所だった。それでも楽しく通った記憶があるけれど、あの建物の一角に秘密の部屋があるのだと言われれば信じてしまいそうな異空間感がある。90年刊だし、そういう感じの場所を想定してるよな〜。 調べて知ったが、スニーカー文庫で復刊したのは2002年で、初版は書肆風の薔薇(現・水声社)から出たのか。なるほど…。 http://www.hyosho-media.com/xett/vol_2/cri_2.php

    0
    投稿日: 2025.09.02
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    見世物小屋のカメラ・オブスキュラ、こっくりさんが告げる死、金星人と繋がる霊界ラジオ、カルチ教団が求めたもの、水族館の地下に秘められた謎。 現実のすぐ先に、ひたりと滲み入ってくる恐怖と怪異。これは正に「10代の心を刺激する」小説だろう。

    0
    投稿日: 2024.11.01
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    水族館を舞台にした物語を探していて、入手困難な中、ようやく手に入れた。カメラオブスキュラ、こっくりさん、霊界ラジオなど、ゴシックロマンとホラーか混ざり合う。ぺダンティックに畳み掛けるかと思えば、少し流す緩急さ。もう少し背景の深さと水族館であることの必然性が欲しい気がした。作者名も、例の怪異ものからか。

    0
    投稿日: 2021.09.23
  • 投げっぱなしの怖さ

    男子高校生が主人公の青春ホラー。舞台設定(野外劇場とか小さな水族館とか)といい、キャラの語り口といい、全体的にやや古風な印象を受けます。おそらく作中の時代を古めに設定してあるのでしょうが(ケータイとか出てこないので)、それを差し引いても違和感の残る部分もありました。 とはいえ、ホラーとしてはけっこう怖かったです。サイコホラー系と民俗系を取り混ぜた怖さとでもいえばいいでしょうか。最後まで読んでも明かされない謎もあったりして(私の理解力が足りないだけかもしれませんが)、その「投げっぱなし」感がまた不安を誘います。個人的には中盤あたりが一番ぞわっときました……。 一応ラノべレーベルから出ていますが、この作品には「ジュブナイル」という言葉が似合う気がします。雰囲気的には、乱歩の少年探偵団シリーズに近いかも。

    3
    投稿日: 2015.04.30
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    途中の手記はちょっと疲れますが、全体通せば面白かった! ラノベは初めてで、今まで先入観あって手に取る気が起きませんでしたが、この本に出会ってラノベの印象変わりました。

    0
    投稿日: 2012.09.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    高2の主人公がその親友に誘われ 興味本位で入った野外劇場(という公園的広場)の見世物テント。 そこで見せられたテント外の風景は 幻想的ではあるが科学マジックとも言えるもので 実際に外にある風景と同じもののはずだった。 ただ1点、野外劇場内の水族館前に 地下に降りる階段があったこと以外は。 以来、親友の言動は次第に狂気を帯び始め、 主人公の人生自体を狂わせ始める… というティーンズ向け小説と思いきや 鬱必至の後味良くない(≠後味悪い)作品。 数ある伏線の多くが回収されないところも とっても後味良くないです。

    0
    投稿日: 2012.01.07
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    どこかノスタルジックな雰囲気を感じさせる導入部から一転、ありふれてはいるが愉しいはずの日常が徐々に徐々に不穏な何かに侵食されていく描写が見事。カメラ・オブスキュラ、こっくりさん、霊界ラジオ、市松人形……などの魅惑的な小道具も効果的に物語を盛り上げる。圧巻の夜の水族館探索シーンに続く、読むものを不安に陥れるラストも素晴らしい。面白かった♪

    0
    投稿日: 2011.09.06
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    昔のnhkラジオより。 これは最初、ラジオドラマとして聞いた。 時間帯は23時前の15分間で、その前の枠はクラシック。 静謐で湿った管弦楽により冷やかさを増した深夜のひとりぼっちの部屋で、ノイズの多かった古いステレオから流れるはホラードラマ。 一人部屋の、背中の後ろが、それを聴いている間妙に気になったのを思い出す。 内容としては、ミステリ・ロジック専のわたしとしては到底受け入れられない(もとよりこういう作品です。というのは承知の上で言いますが…) ただし、水と異形はえらく相性がいい。物語のすじそのものというより、文章からにじみ出るおどろおどろしさに引き込まれてしまった。

    0
    投稿日: 2011.01.16
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    出版社がマイナーで、相当長い間日の目を見なかった作品だったと聞いたけれど。それはあまりにもったいない話。角川スニーカーで復刊されたのは実に喜ぶべきこと。 水族館は、とても素敵。だけれども夜の水族館(もちろん営業時間外)となると、話は別。異形のものがうごめいているイメージがして、ひどく幻想的だけれどもそれ以上に恐ろしい。さらにカメラ・オブスキュラだのこっくりさんだの霊界ラジオだのとホラー要素がこれでもかと絡み、予想通りの惨劇が起こる。とはいえあまりに静かなその雰囲気に、恐怖におののくよりは陶酔するばかり。たしかに「伝説」になりうる作品かも。

    0
    投稿日: 2009.12.29
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    一見、ごく青臭い学園青春ジュブナイル・ホラー風の展開でスタートするこの作品だが、そこで軽い評価を下してはいけない。作品にちりばめられた黒魔術的オカルティズムの底知れない悪夢世界が結末には待ち受けている。アクアリウムの底に眠るモノ、それに飲み込まれる主人公。クトゥルー神話譚を彷彿とさせるような現実を一皮剥いたところに出現する異次元恐怖が光る一冊。 それゆえに謎の真相を明瞭にしていないのがこの作品の好悪を分ける事になりそうだが、地下暗黒の異界感覚の実体のない朦朧とした描写の連続には肌に迫るただならぬものを感じさせる。 再刊であるこのスニーカー文庫版は、平成ライトノベル的な作品イメージのフィルタリングこそ施されているものの、本作の出版が文庫版より10年前だということを顧慮すれば、この作品の小説的価値もまた違った評価があるのではなかろうか。

    0
    投稿日: 2006.12.19
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    (注意)このレビューはネタバレを含んでいるかもです。ごめんなさい。 ******************************************************************************** 本書はあちこちに知的なしかけがしてある。英語のアナグラムを説明しているあたりは、本職の英文学教授っぽいし、戦中に弾圧された「白神教」のカリスマ教祖「出門鬼三郎」=デーモン「鬼」三郎=大本教の出口王仁三郎というシャレや蛇神が地の(あるいは地に囚われた)神であるという設定もまた宗教学っぽい。それ以外にも、多佳子と英子の対決場面(というか多佳子の妄想かも知れない場面)での心理描写とかよいとおもた。 何といっても圧巻なのは、最後の数行である。読者は、ずっと主人公ギーの顔の後ろにいて、彼の心の独白までも全て知り尽くしていたはずなのに、最後の数行で、彼が狂気の闇へ落ちようとしているのに気づいて、はっと我に返るのである。いつのまにか感情移入していた対象が異形であることに気づいたときの恐怖、いや自らも異形の身に変化せんとしていたことに気づいたときの恐怖だろうか。ともかく読者自身が狂気に誘い込まれるところだったのだ。 探偵小説だと思い込んで読んでいたので、その意味ではかなり不満も残るのだが、それでもミステリアスな展開はうまい。あまりこういった小説は読まないので、評価基準が低すぎるのかもしれないが、ともかくおもしろかったかな。

    0
    投稿日: 2006.08.16
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     この本を買ったのはいつのことだったか。実はどこに行ったか分からなくなって、手元にはないんですけど。 「得体の知れない怖さ」というのを感じられる本だった。全然関係ないのに、クトゥルーっぽさを感じちゃうくらい。ラヴクラフトが書いてた頃のクトゥルーってのはこういう「怖さ」を表現する物だったんじゃないかなあ。 脱線。なにぶん古い本なんですが、不思議と古さを感じさせない本です。描かれている物は具体的なのに、なぜかそこから受ける感じは「学校の怪談」に見られるような一般化された、抽象的なイメージ。ラストがハッピーエンドじゃない上、わけわからない電波なので消化不良起こすかもしれませんが、ホラーとしては結構面白いんじゃないでしょうか。ホラーは読まない僕が言うのもなんですが。

    1
    投稿日: 2005.09.28