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佇むひと リリカル短篇集
佇むひと リリカル短篇集
筒井康隆/KADOKAWA
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総合評価

22件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本好きの子からオススメされた。 以下、好みの作品 ●時の女神 白いスーツ、長い髪、美しい女性に出会い忘れられない女性。子供のころ、思春期を経て3回目の再会を果たし結婚。幸福な生活を送る。「時を自由自在に、行ったり来たりできるの。(未来へも)あなたの将来を見るために(行ったことがある)」という妻は、娘を残して死去する。時が経ち妻そっくりに成長した娘は「結婚する人は、もう決まっているわ。会ってきた」と。 ●走る男 誰もオリンピックに関心を寄せない近未来。出場者は3名。その内の1人である主人公。途中で下水道で出会った女性と結婚しそのまま普通の生活を送る。晩年、衣類整理をしていると自分の鉢巻を見つけ、オリンピックに出場していたことを思い出し、ゴールまで歩く。そこにはまだ事務所が設営されており、なんやかんや一位に。弱々しいBGMと共に表彰される。 ●碧い底 世界は海の底に沈み人間は鰓呼吸をして以前とそれほど変わらない世界で生きている。都心部は水が汚れていて、息苦しい。海面にあがり空気が吸いたくなる。息苦しくなった主人公はバーのママと共に東京の海面に上がろうとするが、地上は屍が腐敗しており深呼吸も出来ない。 ●母子像 猿の玩具に母子が吸い込まれる。身体がこちらの世界に救い出せるも首から上は向こうの世界。首のない母子は飲食を必要とせず歳も取らない。一日中薄暗い茶の間でひっそりと座っている。 ●佇む人 ささやかな社会批判(世間話で物価が高いと政府を批判しただけ)をした妻が密告により逮捕され土に植えられる。妻は徐々に感情を無くして人柱となり、わたしは自虐的にブラックコーヒーを味わう。 ●睡魔のいる夏 仕事終わり。いつものように同僚とビールを嗜む夏の夕方。新型爆弾が落とされる。静かに意識が薄れていく中、妻や死んだ母のことを考える。歯磨き粉の匂いやコーヒーのある朝は来ない。単なる朝が来るだけ。

    1
    投稿日: 2025.07.05
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    四角い顔した昭和おじさんの夢物語(ほめてる)。 きもかわいく愛おしい短編集。 「きつね」「睡魔のいる夏」が良かった。 それにしても、皆さん、奥様大好きで微笑ましい。

    0
    投稿日: 2024.03.25
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    荒唐無稽な設定ばかりなのに、どの物語も人間が生き生きと描かれていて、荒唐無稽だと思わせない。感傷的でありながら、じめっとしすぎない。それでいて共感できて入り込める。特に表題作「佇む人」は今まさに読むべき。

    0
    投稿日: 2023.02.25
  • ブラックテイスト

    リリカルというか,シニカルというか,ブラックなテイストの短編集。だから何,というスタンスではなく,世界観を楽しむ種類の作品なんですよね,きっと。

    0
    投稿日: 2021.06.06
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    (Mixiより, 2010年) 静かな筒井ブーム到来してます。筒井作品はこれで2冊目という初心者ながら、作者の文章の上手さに驚かされました。まったく小難しくなく、あくまでエンターテイメント作品なんだけど、安っぽい所のない絶妙な質感。今作は尺も短く、ラストにオチがつくショートショートの色合いが強い作品が多いと感じたのですが、星新一作品にはない叙情性が一つ加味され、なんとも大人な味わいになっているなーという印象。好きなのは「底流」「ヒッピー」のような猛烈なおしゃべり小説。 圧倒的な字面に混乱させられる感覚がたまりません。

    1
    投稿日: 2020.04.20
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    はじめて筒井康隆を読んだ。星新一みたいなショートショート。とくに説明のない日常風味に(当然でしょ?という雰囲気で)異世界という世界観を理解させるのがうまい。それは星新一といっしょだが、星新一は現代からみた落語的なオチがつくのに対して、筒井康隆は異世界が異世界に閉じているままおわるのが新鮮だった。 ショートショートはお話によって違う世界観を理解するので疲れる・・・ 印象に残った話 ・わが良き狼 物語になるような宇宙海賊が年をとって故郷に帰ってくる話。雰囲気的に宮崎駿のシャーロック・ホームズ思い出した。狼。。。 ・母子像 買ってきたさるのおもちゃが異次元空間に母子をひきずりこんでしまう話。夫は懸命に取り戻そうとするが・・・。めっちゃくちゃ怖くなった。総毛立った。

    1
    投稿日: 2018.12.01
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    リリカル…今さっきその意味を調べてみたんですけれども、なんでも「叙情的」だとかそんな意味らしいのですけれども、果たしてその意味するところが本書の個々の短編に当てはまっているかと言えば…どうでしょう!? ヽ(・ω・)/ズコー まあ、切ない…みたいな読後感に浸る短編もありましたけれども、基本的には筒井氏の想像力と言いますか、よくこんなお話思いつくな…とまあ、解説の小池真理子さん?と似たような感想になりましたねぇ…社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー 僕も小池さん同様、ラストの「母子像」とかいう短編に恐怖と凄い…といった感嘆の思いを抱きましたね! 設定もさることながら主人公の男の感じている恐怖感のようなものが…活字を通して伝わってくるのでした。おしまい…。 ヽ(・ω・)/ズコー

    0
    投稿日: 2017.01.07
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    筒井康隆氏らしいシニカルさを備えつつも哀愁漂う短編集である。技法はいわゆる擬人化や象徴化といった凡庸なものだが、小説の表現手段を知り尽くしており、例えば表題作『佇むひと』のように退廃したやや悲観的な未来像と相まって、読者に不思議な感情を起こさせる(この感情がリリカルというものか)。 個人的に好きな作品は『わが良き狼』『白き異邦人」で、『旅のラゴス』を思い起こさせる作品であった。

    0
    投稿日: 2016.11.01
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    【本の内容】 ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。 次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは…。 宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。 かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。 郷愁にみちた束の間の再会は…。 奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。 [ 目次 ] [ POP ] 筒井康隆さんの短篇集『佇むひと』は、その独特の世界観にただただ圧倒された一冊です。 なかでも表題作の、生きたまま道路に植えられ、人々の目に晒されながら段々と植物化していく妻とその夫の小説の話は、どんなホラー小説よりも恐怖です。 ただしそこにも、筒井流のユーモアがきちんと盛り込まれ、たんに奇怪なだけの小説では終わらないのですが。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

    0
    投稿日: 2014.09.04
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    短編集。とにかく、表題作が最高です。社会批判をした妻が密告され、逮捕。土に植えられてしまいます。次第に植物化し、感情を失っていく妻の描き方が素晴らしかったです。

    0
    投稿日: 2013.09.19
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    テレパシーを操るエリート青年がいじめを受ける「底流」が面白かった。「姉弟」「わかれ」などアイディア一本釣りの奇想ショートショートも印象深い。

    0
    投稿日: 2011.08.18
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    それぞれの世界観に入ってしまえる。 木になる人の話が後ろのすじがきに書いてあったのを読んでしまわなければな・・・

    0
    投稿日: 2011.07.06
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    20話のショートストーリーからなる短編集。 ・ぐれ健が戻った ・碧い底 ・きつね ・佇むひと ・姉弟 ・ベルト・ウェーの女 ・怪段 ・下の世界 ・睡魔のいる夏 ・我が良き狼 ・ミスター・サンドマン ・白き異邦人 ・ヒッピー ・走る男 ・わかれ ・底流 ・時の女神 ・横車の大八 ・みすていく・ざ・あどれす ・母子像 どの話も話を読み進めて、気がつくと自分が不思議な世界に迷い込んでいる事に気がつく。 「世にも奇妙な物語」みたいな世界観。 文章の言い回しがなんとなく古い感じなのが抵抗あったけれど、 短編なので読みやすい。 好きだった話は「姉弟」「佇むひと」「母子像」。

    0
    投稿日: 2011.03.19
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    好き。一つ一つが綺麗なストーリーのショートムービーのようで、胸が痛くなる。特に表題の『佇む人』と、『睡魔のいる夏』が印象に残った。

    0
    投稿日: 2010.03.22
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    「ぐれ健が戻った」「碧い底」「きつね」「佇むひと」「姉弟」「ベルト・ウェーの女」「怪段」「下の世界」「睡魔のいる夏」「わが良き狼」「ミスター・サンドマン」「白き異邦人」「ヒッピー」「走る男」「わかれ」「底流」「時の女神」「横車の大八」「みすていく・ざ・あどれす 」「母子像」

    0
    投稿日: 2008.10.11
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    すごい、なんか、すごい! こんなに色々な世界がつまってるとは思ってなかったです。 08'9'5

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    投稿日: 2008.09.06
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    リリカル[lyrical] (形動)抒情的・抒情詩的であるさま。「―な詩」/三省堂提供「大辞林 第二版」より

    0
    投稿日: 2007.06.10
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    97年までの作品はそれこそ全部読み尽くした筒井好きだったが、その後はぷっつりだった(満足してしまったのだ)。最近、筒井の名前を(時評含め、パプリカ、時かけetc)聞く事が多く、また読みたくなって、買った。 それぞれ何時ごろの作品か明示していないが、ほとんどは読んだ記憶があった。そういうものは冒頭の3行で思い出せた。筒井は、どれもが筒井の文体なのに、作品だけの文体がある。すごさだな、と思う。 『下の世界』の最後の一行に、ガツンといかれた記憶を思い出した――いまでは、トオルをまるで自分みたく感じる。『走る男』の、オリンピックの事務員に以前感じた索莫としたやるせなさを、「こうならないように時代をどうにかしよう」と前向きに捉えられるのは、以前に読んだ10代の頃限定の特権だな、と思った――このやるせなさに、いまは暖かみすら感じる。 あの頃の自分の一番、はふたつあった。『わが良き狼』と『佇む人』だった。 涙が出た。感想は書けない。10年後に、もう一度読もうと思った。 6年ほど前か、高校生の頃読んだ時、分かったつもりになっていた事が、今度は「しっかりと」、「まだ」分からないと感じられた。掴めないなりに泣かせる(6年前と同じく)ものがあった。 小説には、ワインと同じで、読むべき時があると思う。 この2つの作品を、本当に味わうには、どこか若いな、自分、と思えた。 僕は、筒井でよく笑ったのとたぶん同じくらい、よく考えて、よく泣いた。『懲戒の部屋』で怯えて泣いたし、『霊長類、南へ』で茫然として泣いた。『俗物図鑑』でも感動で泣いた。これは変だと思うが、ともかくビル屋上に孤立し、最期の時まで、全くもってよくわからない世間に立ち向かいながら、屹立して死んでいく俗物の姿に泣かされた。 『七瀬ふたたび』や『旅のラゴス』でも、やっぱり泣いた。リリカル筒井と言えば、長編ではこのふたつだと思う。 自分が筒井に、そのリリカルを銘打った短編集で何を求めたかというと、20も半ばになって、でももう一度泣かせて欲しかったのだ――そしてこの短編集は、この上なく、期待通りだった。

    1
    投稿日: 2007.05.28
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    カバーに惹かれて買ったけど、当たりだった。想像力のたまもののような物語設定と、収録されている話の幅広さが文句なく楽しい。特に、「底流」はすばらしい。

    0
    投稿日: 2006.11.26
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    シュールなんだけれど、あたたかい。一作目からギョッっとする作品。ギョっとする不気味なんだけれど、すいこまれてしまう。

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    投稿日: 2006.11.22
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    ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは・・・・・・。 宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。郷愁にみちた束の間の再開は・・・・・・。 奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。          2009/09/09   彼から

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    投稿日: 2006.10.01
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    ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは・・・・・・。 宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。郷愁にみちた束の間の再開は・・・・・・。 奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。

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    投稿日: 2006.10.01