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オリガ・モリソヴナの反語法
オリガ・モリソヴナの反語法
米原万里/集英社
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総合評価

178件)
4.5
93
60
8
3
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    作者の米原万里さんが急に気になってた読み始めた。 強制収容所の話が出てきくるとは思わなかったので内容がズシンときた。反語法の意味も分からず読み始めて途中で検索した(笑)謎解きみたいになっていき読むのが止められなかった。(名前とか忘れてしまうので早く読み終えたかったという気持もあった

    0
    投稿日: 2026.01.04
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    初めはロシアの名前に慣れず、抵抗があったが 次第にページをめくれるようになった。 魅力的な教師の過去、 ソ連の当時の様子を知らなかった私は 学びも多かった。 当たり前の毎日に感謝したり、人間の極限と残酷さをしったり。 暗すぎないのも個人的には好きだった

    0
    投稿日: 2025.12.30
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    本編約500ページの結構なボリュームですが、読み始めたらあっという間に引き込まれました。幼い頃の謎解きがやがてスターリン独裁政治下の東欧の歴史に繋がっていき、関係者の証言から教師の人生が浮かび上がってくる様子は、主人公と一緒に謎解きをしているような気持ちになれて、ページを捲る手が止まらず、ラストはじんわりと沁み入りました。だからこのタイトルだったのだと。この1冊で重厚なドキュメンタリー映画を見たような気持ちになり、読み終えた後はしばし茫然としていました。 巻末の池澤夏樹さんとの対談も興味深かったです。 この本は文芸評論家の三宅香帆さんがPage Turners (Youtubeチャンネル 「TBS CROSS DIG」の書籍紹介コーナー) で紹介されていたことで知りました。以下にURLを掲載します。 "【「報われたい」Z世代に 報われない読書のススメ】三宅香帆 15歳で読んだ「原点」の3冊/京都のカレー屋と丸山眞男/高校の図書室と『文章読本』/10代のあなたに 「本の読み方」はこう学ぼう" https://youtu.be/zSIlImo5VSY?si=nTxIv6Hk_34lukm5

    9
    投稿日: 2025.10.31
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    登場人物の名前が長く、まずそこで少し頭がこんがらがるが、慣れます 全体通して感じたことは、基本的には青春をともに過ごした親友や新たに出会った仲間たちによる謎解きの旅をともに楽しめる構成となっているということ。 社会主義の負の面(と一括りにするには強烈すぎるが)スターリン体制による大粛清の波をいかにオリガは乗り切ってきたか、、そりゃフィクションだろうな(対談に記載)と思いましたが相当な下調べがあってこそのリアリティでした! ===本の情報(Amazon)==== ロシア語通訳の第一人者としても、またエッセイストとしても活躍している米原万里がはじめて書いた長編小説である。第13回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した。 1960年代のチェコ、プラハ。主人公で日本人留学生の小学生・弘世志摩が通うソビエト学校の舞踊教師オリガ・モリソヴナは、その卓越した舞踊技術だけでなく、なによりも歯に衣着せない鋭い舌鋒で名物教師として知られていた。大袈裟に誉めるのは罵倒の裏返しであり、けなすのは誉め言葉の代わりだった。その「反語法」と呼ばれる独特の言葉遣いで彼女は学校内で人気者だった。そんなオリガを志摩はいつも慕っていたが、やがて彼女の過去には深い謎が秘められているらしいと気づく。そして彼女と親しいフランス語教師、彼女たちを「お母さん」と呼ぶ転校生ジーナの存在もいわくありげだった。 物語では、大人になった志摩が1992年ソ連崩壊直後のモスクワで、少女時代からずっと抱いていたそれらの疑問を解くべく、かつての同級生や関係者に会いながら、ついに真相にたどり着くまでがミステリータッチで描かれている。話が進むにつれて明らかにされていくのは、ひとりの天才ダンサーの数奇な運命だけではない。ソ連という国家の為政者たちの奇妙で残酷な人間性、そして彼らによって形作られたこれまた奇妙で残酷なソ連現代史、そしてその歴史の影で犠牲となった民衆の悲劇などが次々に明らかにされていく。 物語の内容や手法からすれば、この作品は大宅壮一ノンフィクション賞作品『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の姉妹版であるといえる。しかし読み終わったあと、ときにフィクションのほうがノンフィクションよりも多くの真実を語ることができる、ということに気付くに違いない。(文月 達)

    18
    投稿日: 2025.06.15
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    あまり触れてこなかった時代(WW2前後のロシア)が舞台の話。学生時代の印象的すぎる先生の謎を(解けるようになったので)解こうとする主人公視点で徐々に謎が解明していく。最終的に二人の養女だった同級生から話を聞けてほぼ全ての謎がとけることとなる。外務省での公式資料から劇場の衣装係、強制収容所の手記の著者に古い友人と様々な立場が関わってくる。 戦後シベリア抑留があったことは知っていたが、ロシア人ですら逮捕され劣悪な環境で強制労働などがあったことはこれで初めて知った。普通の文庫本か少し厚いくらいのボリュームなのに、書かれている人々の記録や人生や悲しみが濃厚すぎる。ロシアでは友達同士は愛称で呼ぶが、そうでない場合は名前と父称で呼ぶという文化も知った。戦時中の独裁者下で暮らす息苦しさは凄まじい。

    1
    投稿日: 2025.06.06
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    チェコ・プラハのソビエト学校で出会ったダンス教師、オリガ・モリソヴナ。老齢だが魅力にあふれ、ほれぼれするような舞踏。教え方は厳しく、口が悪い。その特徴的な言い回しは「反語法」。いったい彼女はだれだったのか。30年後、その謎を解く旅に出るが、謎はさらなる謎を呼ぶ。モスクワのロシア外務省資料館に始まって、トゥーラのダンス教室で終わる怒涛の7日間、めくるめくような展開。 旅は7日間だが、そこにロシア革命からスターリンの大粛清、雪解けとペレストロイカまで、80年間の事件や出来事の回想が詰まっている。ロシア史(あるいはソビエト史)に詳しくない場合は、座右に『世界史年表』が必要かもしれない(少なくとも私はそうだった)。 後半はかなり駆け足。ミステリ作家よろしく、米原万里は自分の仕掛けた謎を完璧に解くことに夢中になっているように見える。曖昧さを残すのを嫌う、いかにも彼女らしい。 本作品の魅力のひとつは、事実とフィクションが混然一体となっているところ。どこからがフィクションなのか。巻末の池澤夏樹との対談では、そのことにも触れている。 (しかし、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』に登場した「反語法」がこのような形で活かされるとは!)

    2
    投稿日: 2025.05.05
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    昨年末に手にした集英社文庫の“ふゆイチ”で紹介されていて、ずっと気になっていた本書。 ロシア語の翻訳をしている志摩(シーマチカ)は、少女時代に通っていたプラハのソビエト学校で出会った、踊りの才能が抜群で強烈毒舌キャラの舞踊教師、オリガ・モリソヴナの謎めいた来歴を探る為、ソ連崩壊後のモスクワを訪れます。 ソビエト学校時代の親友・カーチャ達と共に真相を追う中で浮かび上がってきた壮絶な背景とは・・。 オリガと伝説の踊り子・“ディアナ”は同一人物なのか? オリガと共に「オールドファッション・コンビ」と呼ばれていたフランス語教師・エレオノーラが東洋人に異常な“食いつき”を見せていたのは何故だったのか・・? 等々・・といった数々の謎を解明するというミステリ要素もあり、スターリン独裁下での過酷な“やりすぎ粛清”時代を生き抜いた人々の力強さを描いた、人間ドラマとしても読み応えバッチリな内容だと思いました。 かつて強制収容所で過ごした女性の手記&語りで綴られる、“控えめに言って地獄”な生活は、その理不尽さ&悲惨さに胸が痛みましたが、シーマチカとカーチャが仲良しで楽しそうな場面とのコントラストがいい塩梅だったので良かったです。 ということで、良くも悪くもロシア(ソ連時代も含めて)という国の“底知れなさ”に圧倒されましたね~。 登場人物達の逞しさにパワーを貰ったような気持ちでございます。 巻末に収録されていた、著者の米原万里さんと池澤夏樹さんとの対談も興味深く読ませて頂きました~。

    29
    投稿日: 2025.05.03
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    書評で薦めがあり。 通訳者ならではの視点。痛快な人物。 だからこそ、暗く過酷な時代をより鮮明に映し出す。

    0
    投稿日: 2025.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった、泣いてしまった、どうして今まで読まなかったんだろうと思った。いろんなことが思い出された。 何人からかおすすめされて、何年か越しに手に取った。最近読んだ系統で言うと、ハンガン『少年が来る』『別れを告げない』と同じく、歴史があってその中にうまくフィクションとして成立している小説。 1960年プラハのソビエト学校に入った主人公の志摩(シーマチカ)は、オリガ・モリソヴナという舞踊教師に魅了される。それから30年、日本に帰国後翻訳者となった彼女は、ダンサーになるという夢に破れ子供を持ち離婚を経験し、、といった後に、モスクワに渡りオリガ・モリソヴナの半生を辿り出す。ソビエト学校時代の親友に再会し、謎解きをするように過酷なスターリン時代の歴史を紐解いて行く、その謎解き自体がハラハラドキドキで面白いのもさることながら、きっとこういうことがあったんだろうというリアリティ、悲しと喜びのジェットコースターで、なんと表現したらわからない気持ちになる。良かったとも言えない(もちろん良かったんだけれど)、ただぐんと来るものがあった。 …こうして自分で刃物を手にした瞬間、途轍もない解放感を味わったんだ。自由を獲得したと思った。あたしの生死はあたし自身で決めるって。もうそのときは、自殺する気なんて完全に雲散霧消していた。絶対に自殺するものか、生き抜いてやる、と心に固く決めていた。そういう勇気と力をこの手製のカミソリは与えてくれた(p.445) 「シーマチカ、そんなことないよ。巨大な悪や力に翻弄されるのもしんどいけれど、そういう矮小な理不尽に立ち向かったり耐えたりしていくことも、それに劣らず大変なのかも知れないよ。いや、きっとそうだよ。引くか、踏み止まるか、選択肢が残されているってことは、常に自分自身の意志と責任で決めて行かなくてはならないんだもの…そういうあたしも、偉そうなことは言えないんだけどさ」(p.476) リラの花が美しく咲き誇る五月だった。先生方や生徒たち、それに生徒の父兄が心から悲しんでくれた。棺にリラの花をいっぱい詰めたの。(p.487) ルビャンカ、サボイ・ホテル、ルビャンスカや広場、マヤコフスキイ広場、フルンゼンスカヤ駅…どれもこれもが、どれもこれもが、リラの花を思い出させる。

    2
    投稿日: 2025.03.16
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    プラハのソビエト学校で舞踊教師のオリガ・モリソヴナに魅了してしまう志摩。 大人になりモスクワで同級生だったカーチャとオリガの人生の謎解きに挑む。 スターリン時代の過酷な時代をオリガたちはどうやって生き延びたのか? 暗い過去の話も出てきますが志摩とカーチャ、そして彼女たちを助ける仲間たちが本当に生き生きとしていて面白かったです。

    0
    投稿日: 2025.02.07
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    ブクログユーザーの感想から見つけて、タイトルの謎さに惹かれて手に取ったこの本。ミステリー要素も、ストーリー展開もよく、映像も浮かび上がるような文章。最高の読後感。良い出会いだった! ソ連のスターリン政権下に生きる人々の壮大で悲しい物語。オリガモリゾウナをめぐる謎解きにはシーマチカと一緒に引き込まれた。生き残った人たちの記憶や手記などの記録から、当時を辿り謎を解いていく展開にはワクワクしながらも苦しくて悲しい気持ちにもさせられた。 スターリンの時代、粛清対象となった夫から突然引き離され、夫と同じく粛清対象で収容所送りになる妻たち、さらに親から引き離されルー幼子たち(名前まで奪われる)。突然、家族がバラバラに引き裂かれてしまう。ソ連崩壊後も、あてがなく、記録も無いので、簡単には元の生活に戻ることができない。こんな悲しく酷い歴史があったのかと心が痛んだ。 それでも、自分たちの人生を取り戻していく人々の強さに、こちらも勇気づけられた。 またオリガモリゾウナの姉妹のシーンは、悲しみもありながら、強く生きる決意も感じた。意志の強い姉妹は良いね。。

    1
    投稿日: 2025.01.19
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    500ページ近い長編だったが、推理小説のようにワクワクしながら一気に読み終えた。先に『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んでいたから背景もよくわかった。 私自身もモスクワに留学した経験があるので、アルバート通り、トヴェルスカヤ通り、フルンゼンスカヤ駅、マヤコフスキイ広場など、懐かしい地名ばかりで、久しぶりに当時使っていたモスクワの地図を開いた。また、冷戦時代、チェコスロヴァキアにペンフレンドがいて、楽しく手紙のやり取りをしていたことをふと思い出した。いつの間にかどちらともなく連絡が途絶えてしまったが、彼女は今どうしているだろう?ビロード革命を乗り切って幸せに暮らしていて欲しいと思う。 巻末の池澤夏樹氏との対談、亀山郁夫先生の解説も含めて大いに楽しめた1冊だった。いつものことながら米原さんの博識、読書量、言葉のセンス(下ネタのセンス?)には感心する。対談の最後に述べておられる、アルジェリアの少年をモデルにした作品を是非実現してほしかった。筆者の早逝が悔やまれる。

    1
    投稿日: 2024.11.25
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    米原万里さんの本は2冊目。嘘つきアーニャ…と同じように一気に読ませる。強引なところや粗いところはもちろんあるけれど、それを上回る引き付ける力があって読み始めたら止まらない。スターリン政権末期のチェコが舞台。時代の大きな流れに圧倒される感もあった。 日本のバレエ界の内実を批判するような部分もあった。蛇足のようでもあり、下世話な好奇心を刺激されて妙に面白くもあった。 嘘つきアーニャをもう一度読み返したい。

    0
    投稿日: 2024.09.03
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    米原万里のエッセイをたくさん読んでいたことがあって文体に馴染みがある。その経験と背景が思う存分生かされて書かれてる。オリガモリソヴナのぶっ飛んだキャラクター性も、理不尽で過酷なラーゲリで女性達が逞しく生きていくのも当時のロシアならありそう。一人の人生に焦点を追って見えてくるミステリ感も面白いし、何より女性達の会話や生活が生き生きとしていて読み応えがある。

    0
    投稿日: 2024.07.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あの人は誰だったのか——。 志摩は、プラハのソビエト学校にいた舞踊教師オリガ・モリソヴナのことを考える。エネルギーに満ちた恩師は、謎も多かった。あの頃から30年経ち、ソビエトが崩壊したモスクワで、志摩がたどる歴史。 一気に読んでしまった。志摩のソビエト学校時代の友人たちの魅力に、細い糸を辿っていく謎解きに、明かされるラーゲリの生活に、ページをめくる手を止めることができなかった。限られた滞在期間をめいいっぱい使う志摩も、再会したカーチャも、謎解きに参加するナターシャやマリヤ・イワノヴナも、大きな情報をくれるガリーナも、ついに現れたジーナも、そしてもちろんオリガ・モリソヴナも皆エネルギーに満ちていて、その言葉がイキイキと聞こえてくる。そのほとんどがセリフやモノローグ、手記で進むこの作品は、実に多くの声が聞こえてくる。誰もが自分の人生に誠実にあろうと、飲み込めないような苦いものを飲み込んで生きている。 作者の自伝的要素もありながら、資料に基づいて書かれたフィクションである。だからこそ、とてもリアルだった。迫ってくるものがあった。

    0
    投稿日: 2024.07.20
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    著者の幼少期の体験をヒントにした小説。粛清、密告、恐怖政治、… 参考文献の厚さ。能登ボランティアのバス中でも読んでしまう展開。読み急ぎたくなる、参考文献も読みたくなる面白さ。あとでじっくり読み返そうと思いながら飛ばし読みしたが、読了して種明かし後は次の本を読みたくなっている。

    1
    投稿日: 2024.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「良かったら話してみない。なぜダンサーにならなかったのか」 「ならなかったじゃなくて、なれなかったのよ。才能が足りなかった……ううん、いいよ、慰めてくれなくて。自分が一番分かってるんだから」 「シーマチカの言い方には悔しさと未練がタップリ残ってるなあ。才能って素質の実現能力のことよ。どういう経緯でその方向で努力をするのをやめたの?」 . 「わたしはね、ダンサーになりたいんだ」 志摩がそう言っても、誰も身を入れて話に乗ってこない。受験一色に塗り固められた同級生たちの海に浮かぶ、今にも溺れそうな帆掛け船のような心境だった。◯╳や選択式テストには、人格を切り刻まれるような恐怖をおぼえた。 . 教室の片隅で、ひとり想像の中のオリガ・モリソヴナとやり取りしながら、フフフフと忍び笑をする。日本の授業は、ほとんど教師の一方的なモノローグに終始するから、ひとり想像にふけるにはもってこいだったともいえる。 . 「ああ、神様!これぞ神様が与えて下さった天文でなくてなんだろう、そこの眉目秀麗な神童!あたしゃ感動のあまり震えが止まらなくなるよ」 (中略)威勢がよくて、どことなく滑稽なオリガ・モリゾヴナの罵詈雑言を投げつけられると、何だかウキウキしてくる。 . 「えっ、もう一度言ってごらん。そこの天才少年!ぼくの考えでは……だって‼︎ フン、七面鳥もね、考えはあったらしいんだ。でもね、結局スープの出汁になっちまったんだ。分かった⁉︎」 また聞こえてきた。思わず吹きだしてしまう。その瞬間に思った。オリガ。モリソヴナの反語方は、悲劇を訴えていたのではなくて、悲劇を乗り越えるための手段だったのだ、と。 .

    0
    投稿日: 2024.04.05
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    小さい頃、世界をあるがまま受け入れていた。物事の機能も社会の仕組みも人間関係も、その複雑さを理解する経験も知識もなかったから。それでも、何故か理解出来ずに引っかかる記憶がある。あの時、母親はなぜ悲しんでいたのか、なぜ、先生は休暇から戻って来なかったのか。この小説は、人生のそんな謎解きを求めた内容。部隊はソ連、共産主義下。当たり前に粛清や拘束が行われた時代。あるダンサーでオールドファッションの先生を巡り。 悲しくも明るく。運命を受け入れながら、強く生き延びた人々。米原万里の半生と重なるが、フィクションである。この作家の小説は、生き様も性格も全てが物語に反映されていて、迫力が違う。 暫く積読していたが、読んで良かった。ロシアの話だからだろうか、冬によく合う小説だった。

    36
    投稿日: 2023.11.29
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    色んな意味で日本離れしてる作品。 どちらの立場でも考えられんということでしょうが、それでもソ連時代の国内統治はまぁ独裁ということですな。日本もそうだったように。 その中でも、庶民であっても懸命に生きないといけないんですなぁ、でないと何年も経ってこの作品の中の生き残った人たちのように「共有」できないのかと。 熱い作品です。

    1
    投稿日: 2023.11.20
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    世間での評価は高いが,私はそこまで評価しなかった。 ・本作はミステリー要素含めたフィクション仕立てとなっているが,話を進めるための都合の良さが見えてしまう。 ・短編『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』と比較して,冗長でキレに欠ける。 ・ラーゲリについてはよく調べられていると思うが,登場人物の反応が俯瞰的にとどまっている印象。 ・反語法のもつ魅力が生かされていたのは冒頭くらいだと思う。 ・本作が感動作であるは私も保証できるところだが,私は感動は陳腐に成り下がる要因だと考えている。

    0
    投稿日: 2023.07.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人との繋がり。 旦那氏が買ってきた本。 米原万里さんのエッセイを読んだことがあったので気になって読んだ。 旦那氏は読みにくかったらしいけど、わたしはとても読みやすかった。(笑) 人物がたくさん出てくるけど、なんとなく覚えていれば大丈夫。 赤毛のアン好きな人は好きだと思う。 主人公がソビエト学校に通っていた時の強烈なダンスの先生(オリガ・モリソヴナ)の過去の謎を解いていく物語。 どんどん新しい事実が判明していって、先が気になる。 ダンサーをしていたけど、外国人と結婚をしたことから政府に捕まり、多くの人たちと収容所で過ごし、また日常生活を取り戻す、大変な人生を送ってきた人(たぶんこんな感じ。。)、ということが、当時の記録などでわかってくる。 いまの平和な世界じゃ考えられない非人道的なことが行われている。これが本当にあったことなんて。 そんな中でも、どうにか強く生き延びようとしたオリガ・モリソヴナの行動、それが周りの人々に与えた影響はとても大きかった。 主人公が日本に帰ってきて、日本の‘みんなが平等’の義務教育に馴染めなかった描写にハッとさせられた。 子どもの頃は当たり前だと思っていたから不思議に思わずに受け入れていたけど、いま思うとたしかに個性は潰されてたな〜と。 自分の意見を自分の言葉で発するの苦手だし、将来どうなりたいのか明確な目標がなかった(いまも特段ないけど…)もんな。 だからといって、日本の教育でしか得られないものを得られたとは思っていたりもする。。 正解はないからいろいろ試してみるしかないのよね。(誰)

    0
    投稿日: 2023.06.09
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    3つの時代、複数の国を行き来する壮大なストーリー。ページ数の分厚さに見合った、重厚な読了感。 スターリン時代の歴史に詳しければより楽しめるかも。

    0
    投稿日: 2023.03.19
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    (2005年に別のところに書いたレビューの転載) 文庫になってからやっと手を出したなんておそすぎた!  と後悔の嵐です。あっというまに物語の世界に引きずり込まれ、寸暇を惜しんで読み終えてしまいました。米原万里女史のはじめての長編小説ですが、まるで本場ロシア小説さながらの個性あふれる登場人物に、それぞれの人生をつないで二重三重、縦横に緻密に張り巡らされた物語は、舞踊教師オリガ・モリソヴナの半生を追うミステリーであると同時に近現代ロシアの現実のノン・フィクションもたっぷり読ませてくれます。最後まで気を緩めることなくクライマックスもじゅうぶんですし、タイトルを見て手に取ったときには想像もつかなかった深く重い内容でありながら、なぜかさわやかな読後感です。 久々に小説らしい小説をじっくり楽しめて大満足です。

    2
    投稿日: 2023.03.06
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    劇的謎解き大河。 登場人物を覚えるのが苦手な人間でも、最後まで混乱せず読めました。迷っている人には是非手にとって読み始めてほしいです。 読了後に単行本版の装丁を見て驚きました。 私には、文庫版で削られている部分にこそ、表紙絵である意味があるように思えました。

    1
    投稿日: 2023.01.06
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    それなりにページ数がある本ですが、一気に読み終えてしまいました。 それにしても、プーチン大統領がKBG出身だったことを知らず、びっくりしました…

    0
    投稿日: 2022.09.11
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    1960年代、当時のチェコスロバキアのソビエト学校で学んでいた日本人、シーマ力が主人公である。通っていたプラハ・ソビエト学校にいた、オリガ・モリソヴナを中心とした各登場人物の謎を、ソ連崩壊直後のロシアにて次々に究明していく物語。なによりも時代考証が凄まじい。謎解き要素だけでなく、スターリン主義に巻き込まれた犠牲者の、悲痛な経験や思いがひしひしと伝わってくる構成となっている。予想よりも分厚いものだったが、読み応え満点だった。ほぼノンフィクションなフィクション。

    2
    投稿日: 2022.07.04
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    ●積読書だったが、やっと読めた。読み出したら止まらない。土日を費やした。 ●今の国際情勢の時にソビエトの本を読むのは皮肉なものだけれど、本当に独特な国だと思う。 ●今の屈折した結果も過去のしがらみが要因とも言えるし… ●一時期に、米原さんの本を集中的に買って読んだが、これがその最後となる。 ●疾走感があるし、過去の描写が凄く細かくて圧倒される。情景が思い浮かぶ。

    2
    投稿日: 2022.03.07
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    前に読んだ嘘つきアーニャの真っ赤な真実が面白かったので読みました。登場人物が立っていて、著者の人間を見る目の鋭さに驚きます。最後まで読んだあとにもう一度読み返せばだれがなにをかんがえていたのかが推察できそうです。

    1
    投稿日: 2022.03.01
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    「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」が好きすぎて、この本を読みました。作品の中で描かれる歴史が残酷すぎて衝撃でしたが、オリガ・モリソヴナが何者か解明していくのが気になって最後まで読みました。作品を通して、酷い歴史は繰り返されてはならないというメッセージも感じられました。

    3
    投稿日: 2021.12.15
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    緻密な歴史ノンフィクションとドラマティックなフィクションの融合、共産主義の凄惨な過去と生き生きとした学生生活とのギャップ、志摩とカーチャの快活な語りと単純にミステリとしての面白さで読む手が止まらなかったです。常に光と闇の対比があり、ソ連政権下で必死に生きた人々の人生がくっきりと映し出されています。歴史の影に埋もれた、あったかもしれない話に胸を打たれました。

    3
    投稿日: 2021.11.29
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    ソ連の大粛清時代に、屈辱や理不尽な仕打ちの中を生き抜いた女性たちの力強さを感じる傑作大河。 悲惨な表現もある中、ともすれば暗い内容になりがちだが、主人公とそのパートナーに茶目っ気があり、絶妙な雰囲気となっていた。 フィクションだが、ノンフィクションに近く歴史の勉強にもなる。

    2
    投稿日: 2021.10.23
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    ノンフィクションのようでいて、劇的なプロットで読者を飽きさせず、フィクションのようでいて、緻密な取材や資料研究に下支えされた正確な描写。フィクションとノンフィクションのいいとこ取りをしたような小説。 ドストエフスキーを筆頭にロシア文学は途中で登場人物の名前が分からなくなって何度も戻り読みさせられる苦い経験があるが本作は文体も非常に軽快な読ませる文体だし、キャラ付けがしっかりとされていて、巻頭の人物紹介に全く戻らなくてもすらすらと入ってきた。 ロシア人の名前の音にも慣れてきたし、ここらで挫折した「カラマーゾフ」再挑戦or「アンナ・カレーニナ」に挑戦か、、、?

    2
    投稿日: 2021.09.17
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    ノンフィクションっぽいフィクション。実話の部分もあって”この時代にこういう人が居たんだ”って感じられるからか、ソ連界隈のあまり興味ない世界でも本当に興味深く楽しめた。

    0
    投稿日: 2021.07.26
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    1人の女性舞踏家の過去や謎を探る旅を、主人公の視点から追体験しているような感覚になる。 ページを読み進めるたびに、「彼女のことを知りたい」という思いが強まった。 米原万里氏の作品らしく、徹底的な取材・文献に基づいた史実が多く描かれるため、旧ソ連とその周辺国の様子も手を取るように感じられる。 特にラーゲリ(強制収容所)での描写。現実にこのようなことがあったことに絶句し、そこに生きた人々に敬意の念を覚える。 「強制収容所」や「過去に人類が犯した過ち」を理解する上で、「夜と霧」と並んで紹介されても良いのではないかと感じた

    1
    投稿日: 2021.03.23
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    夢中になって読んだ。読みやすいのにガツンと来る。登場人物もたくさんいるのに、それぞれ魅力的で、とても良かった。全員にドラマがあることが、詳細に書かれていると書かれていないとにかかわらず、深く深く伝わってくる。

    1
    投稿日: 2021.03.08
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    米原さんがモデルの主人公が、在籍したプラハ・ソビエト学校の先生の半生を追う謎解きミステリー。実体験や史実がふんだんに織り交ぜられ、登場人物が魅力的で、フィクションであることを忘れそうになりながら500ページあっという間に読み終えました。 嘘つきアーニャの真っ赤な真実はノンフィクション、この本はフィクションと違いはあるものの、どちらも冷戦時代の厳しい環境の中で生きる人々の様子が活き活きと描かれ、ここからどうなるんだろうと、ドキドキわくわくの読書体験でした。 米原さん、プラハ時代のこと、本当に大切に思ってたんだろうなあ。

    3
    投稿日: 2021.02.08
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     『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を先に読んでおいて良かった こちら同様にソビエト学校体験を時代的背景としながら、スターリン時代の闇にまでせまっていこうとさらに深く掘り下げた内容になる 物語は1960年頃、ソビエト学校在学中に舞踊教師オリガ・モリソヴナの影響を受け、ダンサーを志した過去を持つ主人公が、30年後に元同級生らと、少女時代に垣間見たオリガの謎を解き明かしていくという展開である ある意味、ミステリーとしてもグイグイ引き込まれる その過程でロシア革命からスターリンの粛清、死後の批判という激動の時代が描き出されている タイトルからは想像もつかない深い内容であった ノンフィクションという形式では書ききれなかったこと、『嘘つき…』で描こうとしたことをさらに深めようとしたとき、フィクションという表現を選択するしかなかったと米原氏は巻末で語っている とは言うものの、多くの参考文献の羅列(コミンテルン、スターリン、フルチショフ、ベリヤ、ラーゲリ…)を見れば、限りなくノンフィクションに近い内容だと納得 さすが米原さんハンパじゃない 日本人から程遠い世界で、国や運命に翻弄されながらも、命を賭けた人生をただただ必死で生き抜いた女性たちの力強く美しい物語だ ラーゲリ(強制収容所)での劣悪な環境下での悲惨な生活、人とみなされない家畜並みの扱い、貧相な食生活と過酷な労働… 何よりも彼女らの心がボロボロと崩れ行く様は、心をわしづかみにされるほど痛くて苦しい 何度もこみ上げてるものがあるが、それ以上に彼女らの生きる力にこちらが救われるほどだ それを表したのが大好きな以下の場面… 〜オリガは独房に入れられ、尋問される毎日 とても普通の精神状態ではいられない ここでは逮捕された直後にまず、刃物と刃物になり得るもの全てが奪われる あれだけ人を殺しまくっていた当局は、それを囚人が自力ですることを極端に嫌がった 生死さえも自分たちの支配下に置こうとした そんな中、オリガは意地でも自殺を遂げて見せようと刃物を手に入れるべく必死になった ある時靴ひもを引っ掛けるための掛け金が靴に残っているのを発見 毎日毎日床石に当てて少しずつ研いでいく こうして自分で刃物を手にした瞬間、とてつもない解放感を味わった 自由を獲得したと思った 生死は自分自身で決める 自殺なんかするものか 絶対生き抜いてやる〜 乱暴な容疑で、簡単に収容所送りとなる 理不尽な罪で、処刑される スターリン時代の粛清の犠牲者達の話である もちろん話のスケールは大きく、内容的にかなり重厚であるのだが、一人一人の各登場人物の人生も等身大で書かれており、小説としてもとても読みやすい 誰もが多かれ少なかれ挫折もあり、隠して生きていかなければいけないもの抱え、才能がありながらも時代に翻弄されてしまう… しかし全てを受け入れ頑張って生きている 時代背景とは違い登場人物達は、ユーモアを大切にした個性あふれる面々、またカラッと明るく救われること! また、何が素敵かって皆がそれぞれ足りないところを補い合って、思いやりを持って支え合って生きている 日常で感じ得ない心が洗われるような感覚に ロシア情勢、プラハの春、ユダヤ人問題… 日本では積極的な情報収集をしないとわからないこの時代の出来事 この本を通して新たに知ることができて良かった 巻末の池澤夏樹氏との対談もかなり興味深い 共産主義ながら自由? そう、米原さん曰く、プラハの学校は日本の学校より自由だったとのこと 〜日本はみんなが同じが当然で、それから外れると劣等感を持ったり、不幸だと考える だから違うのが許せない〜 池澤氏は「実は日本は社会主義の極みの国だとよく言われる」とおっしゃる なにをもって自由というのか考えさせられる また、今日本でコロナ差別という言葉が生まれてしまっている 人と違うことを厳しく排する そういう国民性の悪いところが表面化している 他にも、ロシアでは芸術に対する才能に対するひがみや嫉妬がない 皆がその才能を手放しで喜ぶ また応援して支え合う 西側の国は、芸術は商品になり、人が足を引っ張り合う 競争社会の悪い部分である 読んで良かった! 知って良かった! 心に響いた! (圧巻過ぎる小説を前に拙い言葉しか出てこないのです…) 男性の社会派ルポライターにはない、日常を懸命に生きる女性たちの姿に多くの人が共感するのではないか この時代を知らない若者達にも読んで欲しいなぁと老婆心ながらに…(笑)

    37
    投稿日: 2020.08.31
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    おすすめ本として紹介されていたので、何気なく手に取り読んだら物凄く面白い。 惹き付けられる。 最初は、 (ロシア…遠い国のお話かなぁ)と思ったが、 話のスケールが大きく、かといって小難しいわけでもなく。 ロシアについて、色んなことを知ることもできた。 ストーリーが興味深く、文章も上手いので続きが気になってたまらなくなる。 いつかまた再読する。

    0
    投稿日: 2019.12.01
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    友人2人があまりにも面白いと勧められ、またAmazonのレビューも信じられないほどの高評価で手に取ったわけだがこれは…最近読んだ中で1番面白く、興味が尽きない1冊だった。 ストーリー構成も見事で読む手が本当に止まらない!当然のように溢れる涙。女性の逞しい美しさが描かれていた。そして通訳である作者の英智が存分に生かされている。 最後の対談で日本という国を語られているのだが、納得しかなかった。この国の生きづらさの正体。 ソ連に関連して、次は死に山を手に取ってみようかしら。

    0
    投稿日: 2019.10.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごかった。物語自体も面白かったけど、最後の対談の部分で放心してしまった。なんで自分はロシアや、共産主義の国に興味を(共感ではなく)うっすら覚えるのだろう?と思っていたが、なんか日本がニセ社会主義的だからだ、と指摘を読んで身にしみた。 それは、今まで読んだ本の感想とか自分が会社を辞めたとかで、すごい実感をもって理解できた気がしたからだ。そうじゃなければ、ああ、そういう見方もできるかもね、なるほど、で終わってたかもしれない。でも、会社をやめて、でもまだ息苦しくて、世の中の人たちを見ていてどうしても自分との感覚が合わない部分があって、その息苦しさを言い表すのが社会主義的、というのを見つけて、なんか救われたのかもしれない。 日本の、このみんな一緒の息苦しさ、ひとりひとり違うことこそが宝でそれに邁進すればよいのに他人を羨望することだけに終始する日常のこのうっぷんを、そしてそれをこれ見よがしに真似する若い世代の、見るにたえない気持ちを、この話で救われた気がした。 プラハの授業がすごく面白そうだった。日本の教育をほんとうに、こんなふうにできたら素敵なのに、そして大人になってからでも、どんどん人と意見を交換するような(他人に妬まれないための愚痴合戦ではなく)文化になればいいのにと思う。 日本の文化が社会主義的だと思えば、外国について報じるときも、バイアスがかかっていて当然だなと思う。ていうか、バイアスのかからないメディアなんてないと思うが、社会主義の人たちが好むようなものが、空気を読みながら放送されているのかもしれない。 おそろしいのは、この社会主義的だ、という指摘はある程度の大人なら聞いたことがあったり思うところがあったりするのに、こんなに優秀な小説があるのに、したり顔でそうだよ、と言うだけであたかも自分はまっとうだと、あるいは世の中がそうだから仕方ないと言わんばかりの周りのひとたち。知ってるのに誰も変えようとしない、こそりとも音を立てない。なんと勇敢なことだろう!さすが侍の国。 欠点を指摘されて「それは言われなくても知っている」という、よっぽど、おつむがよろしいと見える。七面鳥が出汁にされてからゆっくり考える様に似ている。そういえばみんなの顔もどこか鳥のように華やか。だから日本はこの先ずっと安泰だし、この上なく自由な風が吹き荒れる、みんながやりたいことを見つけだして自分の好きな道を歩める希望にみちあふれた類いまれなる誠に住みやすい豊かな国だ。 ……だめだ、彼女のように罵倒したり絶賛したりする言葉を、わたしは置いてきてしまった、学校の教室の道具箱の中かそこらへんに。もっと口汚い言葉を、いっぱい習得しよう。あと、諳じれる物語をいくつか持ちたい。あと、ヨガもやりたいなあと、思った。

    2
    投稿日: 2019.08.27
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    凄すぎだろうがよ、コレ。ラーゲリの壮絶さを読むと、これから先、生きてくのが怖くなってくる。だっていつこんな社会になるか分からないから。この作品は小説だけど、ラーゲリは真実なのだから。言わずもがな『嘘つきアーニャ〜』が下敷きになっており、かつ『心臓に毛が生えている理由』でこの小説の取材時のエッセイが入っているので、この二つを先に読むと、より面白い。

    1
    投稿日: 2019.03.17
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    幼い頃チェコのソビエト学校で学んだ著者の経験から生まれたミステリー仕立てのストーリーで一気に読ませる。ディテイルが自身の経験で裏付けされているので説得力がある。スターリン時代の恐怖に支配される人々の日常、強制収容所での過酷な生活がリアリティを持って描かれる。主要人物の1人エレオノーラ ミハイロヴナ最期の告白で人間の弱さとそこから生まれる苦しみが描かれており、この小説に一層の深みを与えている。

    0
    投稿日: 2019.01.26
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    20180526読了 2005年出版。「不実な美女か―」に始まり「魔女の一ダース」「嘘つきアーニャ」ときて、意図的に残したわけではないけれど最後に「オリガ・モリソヴナ」。著者の本は偶然にも執筆順に読んできたことになる。前三作はエッセイや紀行文でノンフィクションの部類なのだと思うが、これは小説。長編だからと一気に読める機会を狙っていたらずっと積読になってしまった。ひとは誰でも一生に一作は小説を書けると聞いたことがあるけれども、この「オリガ」は著者の人生をぎゅーっと濃縮した物語のように思えた。ほかの著作が予習みたいなもので、先にいろいろ読んでおいてよかった。スケールが大きい。それにしても、バレエの話、「藻刈富代」のネーミングには笑った! 20170114登録 20170508蔵書

    0
    投稿日: 2018.08.01
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    いやー泣いてしまった。後半怒涛の畳み掛けと人情深いラストシーンの良さよ。社会に翻弄され、屈する人も屈しない人もそこまでも生きられなかった人も、登場人物がみな、善悪ひっくるめてとても味わい深い魅力があった。繰り返しになるけど多分一言で言うとその魅力ってのは人情とか人間らしさとかそういう類のものなんだろな。なんかうまく言えない。けど、すごく良い小説でした。

    0
    投稿日: 2018.05.16
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    これは面白かった。1960年代のプラハでソ連大使館設立の学校に通う少女たち。その後数十年を経て再会を果たすのだが、その時に学校にいた謎のダンス教師とフランス語教師の過去を探っていく物語。多くの謎が次第に明らかになるが想像を超えた逆転が続く。スターリン時代の粛清やその後のソ連の変化がキーなのだが、単に闇の部分を強調したり批判したりするのではなく、登場人物が生き生きと目の前に存在しているようなライブ感が味わえる。また、現代日本の異質さにも触れられているところがまたリアル感を増す。著者は既に亡くなっているが、他の本も読んでみたい。

    1
    投稿日: 2018.03.28
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    米原万理第一作。 プラハのソヴィエト学校の思い出から辿る、女教師の数奇な運命とソヴィエト/スターリン体制の粛清の嵐とラーゲリ。

    0
    投稿日: 2018.02.23
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    著者自身のダンサーの夢破れた経験と旧ソ連の鬱屈した共産主義社会とを重ね合わせ、さらにそこに講師の一生を辿ることでスターリン独裁政権下の暗部を際立たせた一冊。前半はほんわかした雰囲気なのに後半になるとルビャンカや大粛清、ベリヤの旧宅の話など旧ソ連随一のおどろおどろしいものが出てくるw バレエなんかをやってた人はより楽しめるかも。

    0
    投稿日: 2017.10.09
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    前職の同期に薦められ。外語大卒で、非常に頭が切れる彼がお薦めしたのも納得の本。本当に面白かった。60年代のプラハで、ソビエト学校に通っていた日本人留学生の志摩。その独特な言い回しと異様な存在感で学校一の人気教師だったオリガ・モリソヴナと、彼女の友人であるフランス語教師のエレオノーラ・ミハイロヴナ。時折暗い翳を見せる彼女達の謎に包まれた過去を、大人になった志摩が解き明かす。先の読めない展開と巧みな場面転換にページを繰る手が止まらなかった。歴史的事実を上手に盛り込んでいて、ノンフィクションよりノンフィクションらしいと言われるのも頷ける。スケールがここまで大きい本を読んだのは久々。非常に満足感のある読後だった。

    2
    投稿日: 2017.06.11
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    エッセイストでロシア語同時通訳者の米原万里さんによる、小説。少女時代をチェコのソビエト学校で過ごした彼女の経歴が活かされている。 時代は1930年代から現代まで。チェコのソビエト学校の同級生たちと、当時謎に包まれていた二人の先生の人生を追跡調査する物語。 とても重く、読みごたえがあった。戦前および戦後の旧ソ連に残酷にも運命を翻弄されて生き抜いた人たちの話である。戦中のナチスドイツの蛮行は誰でも知っているが、ソ連も権力(粛清)の名のもと相当ひどいことを自国民に行ってきたのは、あまり外部に知られていない。どれだけ多くの人が中央政府の犠牲になってきたのか。小説とはいえ、ものすごい調査をして書かれた本であるから、当時の政治や苦しんだ人々の様子がよくわかる。登場人物が多く、ロシア語の名前が覚えにくいが、日本人でこういう本をかけるのは米原さんしかいないだろう。 戦後自由を謳歌してきた日本には、社会主義と共産主義の違いを分かっている人も少ない。単純に是非は問えないが、国民の命など何とも思っていなかったソ連政府は多大な犠牲の上に築かれていたとはいえるだろう。考えさせられる一冊である。

    1
    投稿日: 2017.03.15
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    ミステリーであり、ソ連の暗黒の歴史であり、著者の自伝でもある。オリガモリソヴナの反語のルーツが、権力や権威にひれ伏せない生き方を 示すことに 感動した チェロ奏者ロストロポーヴィチの言葉「客への迎合癖が知らないうちに身につくのは 音楽にとって 致命的」は 心に刺さった

    0
    投稿日: 2017.03.09
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    タイトルから想像もつかない物語で、ソ連の歴史、その犠牲になった人々、生き様、友情、人の残酷さ、優しさ、たくさんがつまった物語だった。人間の人生をみて、涙がでた。 ロシアについてほとんどゼロに等しい知識しかなかったけど、もっと知りたいと思った。

    0
    投稿日: 2016.10.01
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    まったくなんのジャンルの物語なのか予想もつかない、やけにインパクトのあるタイトルが長年気になっていたのだが、やっと最近読み終えた。 一言、おもしろかった! 長い長い物語なのに気になって気になってどんどん読み進めてしまった。 久しぶりに物語を読むことができる、ということの楽しさ、喜びを心から味わった。 (恐らくは)著者の少女時代の思い出をベースに虚構から史実へ入りこみ、実に人物造形が生き生きとしていて、実際に生きていたかもしれない人々の人生まで、あっという間に体感した感じ。 ついでにwikiを片手に、ソビエトとは何かの勉強にもなりました。

    1
    投稿日: 2016.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

     スターリンの支配するロシアで収容所での暮らしを生き延びたオリガ・モリソヴナの謎を解き明かす物語。  不幸な時代をしたたかにしかも他者への思いやりを持って生きたオリガ・モリソヴナの姿には強い共感を覚えます。  作者の米原万理さんはゴルバチョフの通訳も務めたロシア語通訳者ですが、残念ながら亡くなられてしまいました。この作品は、米原さんの最初の、そして最後の小説です。そしてそれは、米原さんのロシア語通訳者としての知識と体験と類まれな言語能力を駆使し、全身全霊を傾けて書かれた逸品です。  読み終わったあとはしばらくは呆然としてしまいました。

    5
    投稿日: 2016.03.13
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    かつて通ったチェコのプラハ・ソビエト学校の舞踏教師オリガ・モリゾウナの半生を、大人になった主人公が振り返り辿っていく物語。 オリガの圧倒的存在感と、苛酷なスターリン時代が生き生きと描かれている。 人名がなじみがないので、時折あれ、これ誰だっけ?と行きつ戻りつしたり、読みづらいところもあったけれど、後半は読みふけりました。

    0
    投稿日: 2015.11.10
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    スターリン時代の話。伏線バラバラ張って一気に回収する。いい話だけど、先に嘘つきアーニャを読んでると既視感に襲われる。

    0
    投稿日: 2015.11.09
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    面白い!夢中で読了。途中ソ連体制の暗い部分には息詰まる所もあったが、最後まで心を掴まれたままだった。 池澤さんとの対談もあり、最高の組み合わせ 2015.8.13

    0
    投稿日: 2015.08.10
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    ソ連時代の思想弾圧は残虐を極めたが、あれって国がやってるんじゃなくて人がやってるんだよね。こわ。体制はイヤだけど、学校の教育内容は今の日本のより内容が豊かなんじゃないか?

    0
    投稿日: 2015.07.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    後半の謎が明らかになる流れは圧巻だった。 所々予想外ではあったけれど。 これは自分の問題で、やはり時代背景の理解が浅いと読み込みも難しくなるなあと。 巻末の参考文献を見て、そのあたりに目を向けるいいきっかけにもなった。 かなり濃くて充実した内容でした。 池澤夏樹氏との対談も面白かった。 日本人の性質の考えには刺さるものがあった。 それに振り回されて苦悩しつつも抜けきれない自分がよく見えたりして。

    0
    投稿日: 2015.06.24
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    おもしろかったおもしろかったおもしろかった。 ★10個くらいつけたい。 米原万里さんは『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読み終わったその瞬間から、いやもはや読んでいる最中からとっても信頼できる作家さんで、この人の本ならば間違いないだろうとすぐに本書を購入したんだった。 でもその厚みになかなか時間を割く勇気が出ず、おもいがけなく寝かせすぎた挙句、突如として重たい腰をあげたのだったが!はたして!なんということかしら!ああ、神様!あたしゃ感動のあまり震えが止まらなくなるよ!これは反語法ではなく、ほんとうのきもちです。 活字が苦手な漫画や映像を好むひとにも、きっと楽しんでもらえる一冊だとおもう。 過去と未来。現在。 この小説は3つの時代を交互に行きかう。 主人公・志摩は少女時代プラハのソビエト学校にいた。そのとき出会った先生たちの謎を、当時の親友・カーチャとともに解き明かしていく…。彼女たちが相対した真実は、スターリンによる大粛清、ベリヤの性的虐待など歴史的背景までも巻き込んでロシアと日本をいったりきたりする。 過去のちょっとしたキーワードでつながる伏線、構成力はお見事で、改行などなくても時代も視点も誰のものなのかちゃんとわかる。 読んでいるうちに、わたしまでオリガ・モリソヴナの生徒になって先生の過去を紐といているような、なんとも奇妙で心地よい読書体験だった。 主人公が中学3年生で日本に帰ってきて、外側を整えることがさも思いやりかのような日本の教育に疑問を感じるところ、「あっ」となる。 巻末の池澤夏樹さんとの対談でも、米原さんはソビエト学校時代に、誰かの能力を自分のことのようにみんなで喜んでいた、日本はそれがない、○×の同じ答えを競いあって、かけがえのない人間だと思わないように思わないようになっている、と指摘している。 赤信号みんなで渡れば怖くない精神の恐ろしさと、社会主義の、人間を商品化しない良さを説いている。 いろんな側面で、この本はいろんなことを学ぼうと思わせずに学ばせてくれる魅力がぎっしりつまっている。 ガリーナに会いに救急車で向かうシーンが大好き。 大満足です。 ただひとつ残念なのは、アルジェリアの少年と、東ドイツの少年と、ハンガリーの少年の物語を読めなかったこと。

    4
    投稿日: 2015.03.17
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    同著者の『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』に比べると「小説」に仕立て上げようとするため些かご都合主義な展開が気になるものの、一癖も二癖もある登場人物たちが、過酷な運命に押し流されながらもしたたかにしなやかに生きる様を生き生きと描き上げた、鋭い観察眼に裏打ちされた筆力が圧巻。

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    投稿日: 2015.03.03
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    ☆3 水無瀬 同著者の『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』に比べると「小説」に仕立て上げようとするため些かご都合主義な展開が気になるものの、一癖も二癖もある登場人物たちが、過酷な運命に押し流されながらもしたたかにしなやかに生きる様を生き生きと描き上げた、鋭い観察眼に裏打ちされた筆力が圧巻。 ☆3 容 時代と人物に注ぐ著者の情熱に星3つ。小説という乗り物には乗せなくてよかった、ご都合主義かつ稚拙な展開は勢いを削ぐ。とはいえ政治と歴史を実在の人生の集積物として語り直す姿勢に共感、うかうか人生を傍観しないために読む価値あり。

    0
    投稿日: 2015.03.03
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    何度か落涙しながら通勤、昼休みに読み耽りました。地下鉄に乗っていても大粛清時代のソ連にトリップ。 史実織り交ぜながら時代も行き来するのにぐいぐい引き込む筆力、というか熱量の高さが書きたいという熱だったのかなと、心動かされました。

    0
    投稿日: 2015.02.28
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    シーマチカが日本に帰国してからの日常を最後に少しでもいいから描いてほしかった。終幕が唐突だったかなあと。

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    投稿日: 2015.01.24
  • どこまで嘘だかホントだかわかりゃしない

    軽妙洒脱なエッセイを書く米原氏の持ち味がふんだんに生かされた長編小説。 ストーリーとしては主人公が少女時代に師事した一風変わったダンス講師オリガ・モリソヴナをひょんなことから思い出し、調べていくうちに謎が芽生え始めて……というもの。 フィクションだが、実際に著者の過ごしたプラハをベースにしているだけあって細かい描写や時代背景にリアリティがあふれていて、どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのかわからなくなるほど。 激動のソビエト冷戦時代という歴史を背景にした謎解きやその時代に実際に生きた人々の悲喜こもごもが迫ってきて、たとえば指輪物語のようなハイファンタジーに勝るとも劣らない広い世界が感じられた。 登場キャラクターも外国人らしく個性あふれる人達ばかり。「オリガ・モリソヴナの反語法」というタイトルも、オリガ・モリソヴナを象徴する単語というだけではなく、物語全体を貫いて引き締める仕掛けがあるので、ぜひ楽しみに読んでほしい。

    3
    投稿日: 2015.01.09
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    2回読んだ!  1960年代にプラハのソビエト小学校に通っていた日本人の女の子が、ソビエト崩壊後にモスクワを訪れて、当時のその小学校のダンスの先生だったオリガ・モリソヴナという人気者でかつミステリアスだった教師について調べ始める。 ソビエトや周辺の国々の人たちがスターリンの粛清時代をどう生きてきたのか、それはどういう時代だったのか、どんどん浮かび上がってくる。1930年代の恐怖の時代と、主人公が親友と一緒に短い滞在期間中にさまざまな人々と出会いながら過去を紐解いていく現在と、楽しい思い出がみっちり詰まった小学校時代、と3つの時代が折り重なって厚みのある作品。 テーマは重いけれど、満ち足りた感動に包まれるのは、米原万里さんの筆の力だと思う。彼女の残した唯一の小説。 処女作であり、絶筆。 こんなにすばらしい渾身の作品を書いてしまったらもう他に書けないだろうと思われるくらいなのに、あとがきに次の作品の構想も語られていて、書かずに亡くなられたことがとても残念。

    4
    投稿日: 2014.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼い頃プラハで出会ったダンス教室についての秘密を成長した主人公が級友とともに解き明かしていくというミステリー。 女性らしい繊細でディテールの細かな文章になじめない。

    0
    投稿日: 2014.08.24
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    社会主義は悪というイメージがあった。 けれど、それは違うなと認識。 この世界では多数派が正義になってしまうということを心に刻みつけたい。

    0
    投稿日: 2014.07.23
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    ロシア語通訳者でもあり作家でもあった米原真理さん唯一の長編小説。 彼女のエッセイは何冊か読んだことがあったけど、小説は初めて読んだ。 小説とはいうものの、幼少をチェコのソビエト学校で学んだ著者の半自伝的ストーリーとのこと。 魅力的な登場人物達、ミステリー要素もあり、当時のソ連の政治的背景や粛清関連のエピソードも興味深かった。ちょろりと実際の日本のバレエ界の裏事情をストーリーに絡めて暴露されていたりと一度読み始めたらぐいぐい引き込まれる内容であっという間に読了。 そして巻末に羅列している膨大な参考文献の数さにびっくり。 綿密な取材ときっちりと史実に基づいた時代考証をふまえて書かれた著者のご苦労が偲ばれる。

    0
    投稿日: 2014.07.20
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    奇跡の一冊。 話はフィクションだけど、背景・設定は作者の実体験とほぼ重なるらしい。作者の本業は翻訳者+エッセイストで、すでに故人。これは遺された唯一の小説だそうな。 だから、奇跡の一冊。 この人だから、そして一生に一冊だから、書けたんだと思う。 読み続けたくて、快速電車をやり過ごして各駅に乗った。最後は家の駅についてからホームのベンチに座りこんで読了した。 ヒトの尊厳、気高さ、繋がりや惜愛、生きる力、魂の自由。 そーゆーことやなんやかやを、小手先のゴマカシもなく一刀彫のごとくほとんど淡々とぐいぐいと骨太に 描ききる。 日本人がこんな小説を書いていたとは。 この本のことも、この作者のことも全く知らなかった。なんでだろう??  もしかして私だけ??

    1
    投稿日: 2014.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とても面白く、興味深い作品。ぐいぐい引きつけられる。面白すぎて、つい最後まで読んでしまい、外出の予定が3時間遅くなってしまった。

    0
    投稿日: 2014.03.02
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    商品説明 ロシア語通訳の第一人者としても、またエッセイストとしても活躍している米原万理がはじめて書いた長編小説である。第13回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した。 1960年代のチェコ、プラハ。主人公で日本人留学生の小学生・弘世志摩が通うソビエト学校の舞踊教師オリガ・モリソヴナは、その卓越した舞踊技術だけでなく、なによりも歯に衣着せない鋭い舌鋒で名物教師として知られていた。大袈裟に誉めるのは罵倒の裏返しであり、けなすのは誉め言葉の代わりだった。その「反語法」と呼ばれる独特の言葉遣いで彼女は学校内で人気者だった。そんなオリガを志摩はいつも慕っていたが、やがて彼女の過去には深い謎が秘められているらしいと気づく。そして彼女と親しいフランス語教師、彼女たちを「お母さん」と呼ぶ転校生ジーナの存在もいわくありげだった。 物語では、大人になった志摩が1992年ソ連崩壊直後のモスクワで、少女時代からずっと抱いていたそれらの疑問を解くべく、かつての同級生や関係者に会いながら、ついに真相にたどり着くまでがミステリータッチで描かれている。話が進むにつれて明らかにされていくのは、ひとりの天才ダンサーの数奇な運命だけではない。ソ連という国家の為政者たちの奇妙で残酷な人間性、そして彼らによって形作られたこれまた奇妙で残酷なソ連現代史、そしてその歴史の影で犠牲となった民衆の悲劇などが次々に明らかにされていく。 物語の内容や手法からすれば、この作品は大宅壮一ノンフィクション賞作品『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の姉妹版であるといえる。しかし読み終わったあと、ときにフィクションのほうがノンフィクションよりも多くの真実を語ることができる、ということに気付くに違いない。(文月 達)

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    投稿日: 2014.03.02
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    今年読んだ中のイチ押し! この本を選んだということで、私は、自分の知らない世界を知るために本を読んでいるのだなぁ、と改めて感じた。

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    投稿日: 2013.12.27
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    この本を読むまで、旧ソ連のスターリン粛清時代のことをよく知らなかった。著者は、史実と自身が経験した在プラハ ソビエト学校での体験をうまくフィクションに仕立てている。ロシア語の参考文献の多さをみるにつけ、同時通訳として活躍した著者が偲ばれた。

    1
    投稿日: 2013.11.27
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    激動のソ連を生きた女性達についての物語です。作者の本業がロシア語通訳で、幼少のころに共産圏に暮らしていたことがあるため、当時の東側に住む人々の生活を感じることが出来ます。 九州大学 ニックネーム:稲生平八郎

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    投稿日: 2013.10.22
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    いくら米原さんでも最初の小説ではイマイチなのでは、と思って本当に申し訳なかった。小さい違和感を感じることがゼロだったとは言わないけれど、それを補って余りある大きなプラスがありますよ。広がりと繊細さの両方を備えている。そして躍動感がある。

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    投稿日: 2013.10.17
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    設定がおもしろくて、どんどん物語に引き込まれていった。スターリンの粛正の時代に、これほど多くの人々が命、家族、人生を不条理に奪われていたことを知らなかった。 その歴史を物語の中に盛り込み、興味深く読ませる構成は見事。 米原万里さんの作品を読む度に、いまも生きていたらどんな作品を生んだのだろうと惜しむ気持ちでいっぱいになる。

    0
    投稿日: 2013.10.02
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    1960年に在プラハ・ソビエト学校で出会った舞踊教師の謎を追う小説。 天才的な踊りと反語法による罵倒で生徒を魅了した老教師オリガ。その強烈な個性とソ連の厳密な教師雇用審査とは相容れないはずではないか。小さな違和感から浮かび上がってきたのはスターリンの圧政に翻弄された人々だった。 「アーニャの真っ赤な真実」に描かれた原体験と膨大な資料と創作とが融合し重い話ながらも溌剌とした主人公らに導かれて一気読み。 証拠を必要とせず、隣人即殺人者たり得る世界。正義を騙った堂々たる虐殺。粛清は人間が生んだ地獄だ。

    1
    投稿日: 2013.09.11
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    私の奥さん大好き、米原万里さんを借りて、初めて読んでみた。 ロシアで、あんな悲惨な弾圧が行われていたなんて、知らなかった。 あまりにひどい女性への仕打ち。それにも慣れていってしまう女性達。 だんだんあらわになる真相に、ため息がでた。 ラスト、オリガの再来に、感動してしまった。

    0
    投稿日: 2013.08.15
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    米原万里さんの代表作だと思います。日本とソビエト(ソ連)を繋ぐ同時通訳者であった米原さんだからこそ書けた小説だと思います。ソビエトでの少女時代はとても生き生きと書かれ、その過去の最大の謎を一緒に追い掛けていく過程がとても愉しかったです。自分とは全く接点のなかった国ソビエト(ソ連)に、初めて興味を持った本でした。

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    投稿日: 2013.08.13
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    読むのが二回目だったので一回目ほどの衝撃はなかったが、やはり面白い。 山崎豊子の「大地の子」も読んだ後なので、思想弾圧の凄まじさと理不尽さに以前みたいには驚かなくなっていた。 というか、年とともに感情移入の度合いが浅くなってきた。楽に読む様になった。 難しくて話の本筋に関係ないような部分は飛ばし読みするようになったし。

    0
    投稿日: 2013.08.08
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    暇ができたので一気に読み終わった。引き込まれて一気によめる作品。 物語の収集の付け方がやや強引のような気がする。オリガの反語法は悲劇を乗り越えるための方法らしいが、その一文で最後を片付けてしまうのはちょっと…。オリガの悲劇は本文でさんざん書いたから、最後はあっさりとしたのかもしれないけど。 私にとっては結末があっけなすぎたという印象です。ほかはとても面白く、ますます米原さんに興味を覚えた。亡くなってしまったのが残念でたまりません。 参考文献も読んでみたいです。

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    投稿日: 2013.06.10
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    数回は読みたい。あちこちのレビューで書かれているように、私もすぐに引き込まれて一気に読んだ。 壮大すぎてどう感想を書けばよいのかわからないというのが感想。 ソビエトと東欧諸国については、子供の頃から違和感と関心があったけれど、何となく寒く暗い先入観を持っており、小説にも踏み込めなかった。でも、この小説を読めば、ロシアの歴史を中学生レベルでしか知らない私でも、その知識を総動員して楽しむことができた。 解説や対談もおもしろく、関連する本をいろいろと読んでみたくなった。そして、米原万里さんってすごい方だったんだなあ、対談でお話しされている3人の男の子の物語が実現したらよかったのに、と残念に思った。

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    投稿日: 2013.02.17
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    すごい そしてソビエトの話を経験に基づいて語れる日本人というのがすごい 激動の時代を生きた強く美しい女性の話。

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    投稿日: 2013.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    チェコのソビエト小学校時代の個性あふれる教師の謎を、再会した同級生とともにモスクワで解明していく話。スケールが大きい。スターリン時代がどうだったかなんて、全く想像もつかず、苛酷なストーリーに圧倒されるが、そのなかで、オリガ・モリソヴナの”反語法”が力強く、明るく描かれている。 確かに、ロシア語は罵倒の表現が豊か!罵倒と称賛。見事なコントラスト。 なるほど、ストーリそのものが”反語法”で象徴されている。

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    投稿日: 2013.02.09
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    色鮮やかな少女時代の回想を読みながら、『窓際のトットちゃん』を連想した。ソビエトの歴史についてすこし勉強してから読めば、より楽しめたかも。 ノンフィクションかと思うほど多くの資料の読みこなしには脱帽としかいいようがない。

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    投稿日: 2013.02.09
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    ―――1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校に入った志摩は、舞踊教師オリガ・モリソヴナに魅了された。 老女だが踊りは天才的。彼女が濁声で「美の極致!」と叫んだら、それは強烈な罵倒。 だが、その行動には謎も多かった。あれから30数年、翻訳者となった志摩はモスクワに赴きオリガの半生を辿る。 苛酷なスターリン時代を、伝説の踊子はどう生き抜いたのか。 祥子からの借りもん 読み始めて気がついたけど、ロシア法の講義内で、あの唯一神渋谷謙次郎先生も推してた 読むのに物凄くエネルギーがいるからあまり進まない でも、すぐまた読みたくなる不思議な小説 オリガの謎が、前半の伏線,ロシアの国家体制変遷と複雑に絡み合う構造を思うだけで楽しいのに それがほどける過程も鳥肌がたつほど。 何より、膨大な資料に裏打ちされたディテールと 翻訳家も兼ねる筆者による 『世界一罵倒語が豊富な言語』ロシア語の表現がたまらん

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    投稿日: 2012.12.30
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    「本当に見てきて書いた」みたいな空気感があって、あれ?これってノンフィクションだっけ? と何度も確認してしまった。 「資料」となるものが一つずつ提示されて、次第に謎が解けていく感覚も気持ち良かった。 きっと取材をしているうちにいくつもの資料が線で繋がって、その奥にある物語が見えてくる時というのはこんな感じなんだろうな、と思った。 この感覚は、ノンフィクション作家だからこそ出せるものに違いない。 率直に、面白かった。

    0
    投稿日: 2012.12.30
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    久しぶりの大ヒット。 米原万里が、1960年代プラハのソビエト学校の少女たちの数十年後の姿を追う足跡を描く…というと『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』という素晴らしいノンフィクションがあるけれど、こちらはフィクション。その分、作り物のお話になるのかと思いきや、とてつもなくドラマチックで、哀しくて、それでも明るい人々とソ連という国のお話で、歴史の迫力、人の魅力が増幅された物語でした。 夢に破れバツイチ子持ちの40代の志摩が、少女時代を過ごしたソビエト学校の名物教師、オリガ・モリソヴナの人生の謎を、旧友とともにたどる。3つの時代をまたいで展開する謎をシーマチカは追い、いつの間にか「これはミステリーだったのか!」と思う頃には、もう読み進める手がとまらない。 複雑な時間・空間・人間関係をひも解くうちに徐々に明らかになるオリガ・モリソヴナと親友のエレオノーラ・ミハイロヴナの人生は、旧ソ連の歴史や権力、犯罪、粛清の凄惨さによって十重二十重に苦しめられてきたものではあったけれど、彼女らもその周りの人々も、その中で自身の良心に忠実に、笑ってしまうくらいのひどい罵詈雑言を武器に明るくたくましく生き抜いていく。そこに私まで救われる。 1930~1950年代のスターリン時代のソ連の姿が克明に描かれていて、実際のところ本当かどうかはわからないけれど(粛清する側も粛清されていったから)、人間はここまで残虐になれるのかと思う一方、ここまで清々しく明るく強く生きていけるのかとも思わせる。 巻末の対談で「資本主義国の人間には悪が等分に割り振られているけど、ソ連の人々はそうではない」ということが書かれているけど、まさにそうだと思う。どっちがいいのかなんて、人間には判断できないことなんでしょうか。 この話のもう一つのテーマは、「権力の犯罪の災禍に巻き込まれた普通の人々はその後遺症の中で必死に生きてきているのに、犯罪者とその走狗たちは責任も問われず、罰も受けずにのうのうと暮らしている」という告発だと思う。 そんなふうに政治経済や社会機構はめちゃくちゃなのに、ソ連の人々は芸術や学問の才能を愛し、大事にしているのがすごく印象的だった。良いものや正しいものを知っていて、それらを大事にすることで生きる力を得られることを知っている。真善美が生きて、愛され、用いられている。だからこそとんでもない国で人々が生きてこられたのかもしれないと、大げさでなく思う。 あとロシア式の人名って複雑でややこしいけど、親密度によって変えたり好き嫌いや尊敬まで表現できる呼び方があるのが、非常に好感でした。先生にオリガ・モリソヴナ!とか言ってみたい。 翻訳やエッセイが本業の著者の、人生で最初で最後のフィクションなので、言葉遣いがライブ感ありすぎなところもありますが、そんなケチな批判を吹っ飛ばす圧倒的な読書体験でした。やっぱり米原万里はすごい。

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    投稿日: 2012.12.26
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    久しぶりにもうその世界にどっぷりはまって無我夢中で読んだ。 こういう震えるほどの感動を与えてくれるから読書ってやめられない。 最初ロシア人の名前とかが覚えにくくて読むのに苦労したけれど、いったん読み進めるともう止まらない! 1行目からのチェコスロバキアの舞踏教師、オリガ・モリソヴナの反語法、大げさに褒め称え、それからの口汚い罵詈雑言で心を鷲掴みされた。 だってその時代錯誤は派手な服装、年齢に不釣り合いな抜群のスタイルのオリガ・モリソヴナに興味を惹かれない人がいるだろうか? そのオリガのたどった数奇な人生の謎の解明。 もう主人公と一緒になって早くその謎が知りたくて知りたくて一機に読んだ。 「夜と霧」や「ワイルド・スワン」を読んだときも思ったんだけど、理不尽な国家権力に翻弄されても決して屈せず、絶望的な状況にあっても希望を見出す、人間ってなんて素晴らしいだろうと思った。 食べて寝るだけの動物ではない、人間には想像力という素晴らしいものがある。 そしてそれを育ててくれる本や歌や演劇などの芸術が人間らしい生活を許されない収容所生活の中で、最後に人間の心を救ってくれたんだということがとても感動的で、今自由に本を読めてる幸せをますます噛みしめた。

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    投稿日: 2012.12.08
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    とても読みやすくて興味深かったけれど、自分がこのあたりの歴史にあまりにも無知なあまり、「この小説、多分もっと面白いはずだよな。ちゃんと彼らの歴史が頭に入っていたら…」という印象。消化不良な感じです。 まともなソ連の歴史本か何かを読んでから、もう一度読んで、あーやっぱり面白かった、と言おうと思う。

    0
    投稿日: 2012.12.03
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    オリガ・モリソヴナ。 日本人には少々、いやかなり発音しにくい名前でございます。 1960年代にプラハ・ソビエト学校で舞踊の教師を務めた彼女の特技は大げさな賞賛により相手を罵倒する「反語法」。 少女時代をその学校で過ごした日本人”シーマチカ”こと弘世志摩。 30年の後、結婚にも夢にも挫折した彼女は、単身モスクワに渡り旧友と共にオリガ・モリソヴナの半生を繙く…という話。 体制の歴史、それに翻弄された人々の歴史、そして今を生きる私たち。 縦の糸と横の糸。 紡ぎだされる物語のスケールの大きさにただ圧倒されてしまった。 オリガ・モリソヴナという舞踊教師は実在の人物だが、物語自体はフィクションだという。 ただここに描かれるスターリンによる粛正の時代に無実の罪で多くの人間が処刑されるか、或いはラーゲリ送りにされたということ、当人やその家族の人生を狂わせたということは厳然たる事実であり、その中にオリガやエレオノーラ、あるいはゴズイレフやレオニードがいたとしても不思議ではない。 フィクションとノンフィクションの狭間のような作品である。 物語のはじめとおわりに繰り返される威勢のいい「反語法」に、歴史を乗り越えて生きる人間の強さを、そういった人間に対する仄かな希望を感じてしまった。

    0
    投稿日: 2012.11.11
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    米原万里さんのエッセイは何冊か読んだことがありましたが、そういえば、唯一の長編であるこの作品を読んでない!と気づき、読んでみまし た。 「反語法」とついたタイトルからして、翻訳者として長らく言葉に関 わってきたかたらしく、言葉や言語に関する物語なのかな と軽く読み始めたのですが、それは違ってました。 いつしか、その疾走感と背後にある時代の歴史と事実、それを正面から受け止めてたくましく生きる女性の毅然 とした態度など、まるで見てきたかのような気持ちに読む側を連れて行く、いきいきとした描写に心が引っ張られるような気持ちで、あれよあ れよという間にずんずん読んでいきました。 はじめは、個性の強すぎる舞踊教師オリガ・モリソヴナとソビエト学校 の生徒たちのやりとりを、とても微笑ましく読んでいました。濁声で投げつけられる罵倒の数々。(でも形式は、褒め言葉・・・) もうおかしくておかしくてたまりませんでした。 そんなインパクトのありすぎる先生が持っていた謎めいた部分が、当時よ りずっと心に引っかかってた主人公の志摩さんは、大人になってから、音信不通になっていた当時の級友を探しあて、彼女とともに、情報の公開されない当時は知り得なかった事実の記された資料や、ゆかりの人や場所を訪ね、少しづ つその激動の半生を辿っていきます。 なんせ、オリガ・モリソヴナのそのアクの強~いキャラクターにひかれて読み始めていたのんきな気分でしたから、粛清や収容所の生活といった当時の事実に接して、頭を岩でなぐられる想いで読み、電車の中でも涙がこみ上げてくるといった衝撃に包まれることはしゅっちゅうでした。 同時になんて安全で生ぬるい時代に住まわせてもらっているのか、 という申し訳ない気持ちになりました。 それにしてもオリガ先生を初めとして、この作品に登場する女性のなんとたく ましいこと。それぞれが運命に翻弄され、やり場のない怒りや悲しみをしまいながら生きなければならなかったけれども、決して尊さと望みを失わず前だけを信じて生きていた、そんな姿にとても励まされました。 そして、主人公の志摩とカーチャの友情もあたたかくて清々しかった。 ロシアの人は気難しそうなイメージ、って勝手に持っていたけれど、出てくる人みんな気さくで真っ直ぐで、そして男性は表面は豪快でも、内面は意外と気弱でちょっとだけ頼りなくて、でもいざという時は男前で・・・米原万里さんの紹介する、人間味たっぷりな飾らないロシアのことを、そしてこういう大事な記憶を、もっと読んでいたかったな。 読み終えたら、ずどーんと重たい疲れが押し寄せてくる作品で、手許にあるこの530ページを超える文庫本のその1ページたりとも、今めくれ ば気軽に読み返せないけれど、きっと何度も読み直してみたいと思う一冊になったので、星5つとしました。 次に読む前には、歴史の事をもう少し勉強してから再び手に取りたい。 知らない事って本当にいっぱいあるなあ。ぬるい自分に喝をいれてくれる作品でした。

    4
    投稿日: 2012.11.02
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    何度読み返しても、面白い。スターリン時代のロシアの過酷さと、教育の豊かさの対比。まだ共産主義にも、未来が感じられた時代⁇これだけが、唯一の長編小説だという事のみが、残念。

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    投稿日: 2012.09.05
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    嘘つきアーニャを先に読んでいたので、これもノンフィクションか?と思うくらい人物描写や時代背景、主人公が過去を回顧するシーンなどが詳細に書かれていて、妙にリアリティがあって、次は何が起きるのか?この糸口からなにがわかるのか?テンポよく進んでいく話に引き込まれて一気に読破してしまいました。

    1
    投稿日: 2012.07.27
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    濃密ですばらしい。 時間軸と国をまたぐ広がりの中に、笑い、悲しみ、人情、ミステリーをよくぞこれだけの密度で描けるものだ。読み応えって言葉の使いどころがわかった。 人間の厚みが違うんだろうな。

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    投稿日: 2012.07.17
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    オリガ・モリソヴナの謎が、スターリン時代の粛清やラーゲリと呼ばれる収容所の様子とともに徐々に明らかになる展開に読む手が止まらなかった。

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    投稿日: 2012.07.01
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    一度目は2011年の夏、今回は半年ぶりに再読しました。 一度目、歴史を知らない私は読むのにとても時間がかかり、理解するのに大苦戦。なので今回ある程度知識を入れて再チャレンジ。 悲惨な背景ですが、考えされられる本でした。

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    投稿日: 2012.03.18
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    当時のソ連の情勢や収容所での女たちの生活の過酷さは読んでいてかなり辛い。しかし、それでも読み進めたい衝動に駆られるのは、米原万里の簡潔で充実した筆力による。 また、主人公が感じた日本の均質的で閉鎖的な社会についての気持ちの吐露は、思わず頷く。 そして、どんな過酷な状況でも、女は強い!と思わせる作品。

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    投稿日: 2012.03.18
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    後書きにもあった通り、この本の唯一の欠点は『題名』であるかもしれない。 物語のなかでこれでもかというほど反語法に魅せられ、物語との結びつきに唸らされた後に改めて題名を考えたときと、書店でふと手にとったときの重みが全く違いすぎる。 まったく、拍子抜けするほど期待を裏切る一冊だ。 反語法の使い方、これで合ってるだろうか。

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    投稿日: 2012.03.16
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    よく調べられていて、時代の流れに基づく人々のドラマが過去の謎を解きながら語られるのが凄い。暗い粛清時代の話しだが、それを乗り越えよう、生き延びよう、と前向きにも後向きにももがく人々の様が重たい読後にさせない。 かなり読みごたえがあるし、何度も読みたい本。

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    投稿日: 2012.03.10