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在日外国人 第三版-法の壁,心の溝
在日外国人 第三版-法の壁,心の溝
田中宏/岩波書店
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総合評価

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    「在日外国人 法の壁、心の溝(第三版)」田中宏著、岩波新書、2013.05.21 273p¥861C0236(2025.04.06読了)(2025.03.28借入) 「ボーダー 移民と難民」佐々涼子著を読んだとき、参考文献の中にこの本があったので図書館から借りてきて読みました。 在日外国人という題名ですが、メインは、在日韓国・朝鮮人です。在日外国人の話は、主に在日韓国・朝鮮人の扱いとの比較のために登場します。 日本は、単一民族を維持しようと異民族の移民を受け入れないという方針があるかのようで、移民や難民をできる限り受け入れないようにしているようです。 国際社会の中で、そうも言ってられなくなってきているので、難民条約とかを受け入れざるを得なくなり少しずつ変わってきてはいるようです。 そのなかで、なぜか在日韓国・朝鮮人に関しては、他の国と扱いが違うことがしばしばあるようです。韓国併合以来の歴史的な心の壁があるようです。 【目次】 まえがき―第三版にあたって 序章 アジア人留学生との出会い Ⅰ 在日外国人はいま Ⅱ 「帝国臣民」から「外国人」へ Ⅲ 指紋の押捺 Ⅳ 援護から除かれた戦争犠牲者 Ⅴ 差別撤廃への挑戦 Ⅵ 「黒船」となったインドシナ難民 Ⅶ 国際国家のかけ声のもとで Ⅷ 外国人労働者と日本 終章 ともに生きる社会へ ●一対一の人間として(197頁) 留学生が、かつていつもいったのは、「私たちには、憐みや同情はいりません。豊かな日本人と貧しいアジア人という関係ではなく、一対一の人間として平等・対等な人間関係が必要なんです」ということである。 ☆関連図書(既読) 「ボーダー 移民と難民」佐々涼子著、集英社インターナショナル、2022.11.30 「やさしい猫」中島京子著、中央公論新社、2021.08.19 「在日」姜尚中著、集英社文庫、2008.01.25 (「BOOK」データベースより) 半世紀前にアジアからの留学生に出会い、その後、著者は、在日韓国・朝鮮人や留学生、労働者、難民などを取り囲む「壁」を打ち破るために、長年にわたって尽力してきた。最新のデータとともに、入管法の大幅「改正」のほか、高校の無償化など外国人学校をめぐる問題についても語る。ロングセラーの最新版。

    4
    投稿日: 2025.04.11
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    大学の講義の予備知識を蓄えるために読みました。国籍について全く詳しくない私でも、その歴史と考え方について深く学べました。

    0
    投稿日: 2021.08.10
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    在日外国人の人権を考えるなら、まずこれを読むべしだと私は思っています。最初の版が出たときの「やっとこういうものが!」の感激は今も鮮明です。2020年度までのテキスト。

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    投稿日: 2020.10.14
  • 客観性という壁を越えて、痛みに寄り添う

    本書の著者は、若い頃にベトナム人の留学生と出会ったのだが、 彼は非常に不本意な形で日本を去ることになった。 それに対して著者は何もできなかった。 著者にはどうにもできない「法の壁」があり、多くの日本人と外国人の間に「心の溝」があったからだ。 そこから、著者は様々な事情で日本に暮らす外国人と関わるようになった。 在日外国人を取り巻く「法の壁」と「心の溝」について論じた本書が、ロングセラーとして読み継がれ、第三版まで版を重ねているのは何故か。 ある人は、著者の姿勢を感情的というかもしれない。 またある人は、偽善的というかもしれない。 だが、日本人として、日本人ではない人(=外国人)と向き合う以上、 断絶が生まれるし、そこには、もしかしたら当事者には「偽善」と感じるものもあるのかもしれない。 また、著者が乗り越えようとしているのは「心の溝」でもある。 当然、心が入らなければ、溝は埋めることができない。 だから、感情的にも感じる。 これは、あらゆる人権問題について言えることかもしれない。 客観的であること、公正であること、それは大事なことだ。 しかし、それだけでは「心の溝」は埋まらない。 著者は出会ってきた外国人に寄り添う形で、言葉を選び、伝えている。 自分も含めてなのだが、最近は「客観性」を求める雰囲気が強いように思う。 また別の言い方をすれば「偏りがない」ことを求める。 誰かの痛みに寄り添うことが、当事者からは「上から目線」に見えたり ある種の人からは「政治的偏向」(←何?)に見えたりしてしまう。 そう思われるのも言われるのも嫌なので、私なら、こういう本は書けないだろう。 日本人でありながら、日本に暮らす外国人に誠心誠意寄り添い、 何か力になりたいと思い、様々な法律や制度を調べ上げたのが初版。 その姿勢を続けたのが新版、第三版。 おそらく、データ的な意味でもっと「正しい」本はあるのだろう。 だが、客観性を求めるあまり、見失ってしまった何かについて、 考えさせられる本であった。 客観性を求めすぎるあまり、どこかさめた自分の生き方に、 ふと疑問を感じたりもした。

    9
    投稿日: 2015.02.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1963年に登場した「伊藤博文」の千円札留学生のあいだに、ある゛ざわめき”を生んだ 指紋が人間の同一性確認する最高の方法だということがピンと来ない 

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    投稿日: 2013.07.05
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    これは大変参考になった。 大日外国人を取り巻く状況の変化がとてもコンパクトにまとめられていて、19945年(より正鵠を期すなら1952年以降)の日本国の外国人政策がいかに排他的且つ場当たり的か、ということがとてもよく分かる。

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    投稿日: 2013.06.28
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    憲法改正の中曽根試案に「国民」が「なにびとも」にされていることを知った。 憲法改正というと、どうしてもネガティブに受け取りがちだけれど、最近の野中さんの尖閣発言もそうだけど、しっかり耳を傾けるだけの価値はありそうだ。 アメリカは生地主義。日本は純血主義。 日本で生まれ、育ってもいつまでたっても在任朝鮮人ということだ。 そろそろ「日本人」という過剰意識をなんとかしなければ・・・・・。

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    投稿日: 2013.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    田中宏『在日外国人 第三版 法の壁、心の溝』岩波新書、読了。留学生との交流・支援に人生を捧げた著者の筆による「在日外国人」に対する“扱い”の歴史と今。初版は91年、入管法改正を受け2版。最新版はデータを一新し、ニューカーマーも含め「国籍とは、民族とは、人権とは」を再度考える。 在日外国人といえば在日朝鮮半島の人々の戦後史。本書も中心的にその経緯を概観するが、誤解に基づくためにする議論が横行するなか、本書は、東奔西走した著者の思い出とともに、その基礎的知識を提供する。初学者にも反レイシズムの方にも手にとって欲しい。 例えば、李信恵「差別排外デモ」密着ルポ 在特会・桜井誠会長への突撃取材:ガジェット通信 http://www.asiapress.org/apn/archives/2013/06/03144101.php 救済措置の入管特例法の経緯をスルーし「特権と叫ぶ」のが排外主義者の常。しかし特例以上の切り捨てが実際の歴史。 そもそも「旧植民地出身者を、あたかも一般の外国人であるかのように装うことによって、“歴史の抹消”」を図った51年の「出入国管理令」に問題がある。これは大英帝国のそれとも、ドイツのオーストリアに対するそれとも非対称的である(国籍選択権の非認)。 因みに敗戦後、在日の朝鮮半島の人々に対する変化は何か。それは「参政権の停止」である。普選実施以降は、衆議員に11名が立候補し、二人が当選していたという。敗戦は発言の機会すら奪うことになる(今も同じ)。本書は新書ながら初めて知ることも多い。 著者は留学生から言われた。「田中さん、日本人は、外国人を“害国人”だと思っているんですか」。副題は「法の壁、心の溝」。法の壁が心の溝を深くし、心の溝が法の壁を当然と後押しした。右傾化が懸念される現在、新版した著者と岩波書店には敬意を表したい。

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    投稿日: 2013.06.04