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総合評価

147件)
3.4
17
44
53
18
4
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作はひりつくような緊張感を纏い、強引に首元を掴まれるようにグイグイ引っ張られて目が離せなかった。 何も分からないと思ったのに、三編を続けて読むうちにどこかで共感している自分がいる。 都合のいい存在を求めるグロテスクに直面し、自問してしまう。自分は独りよがりで強欲な人間でないと言い切れるのか。たとえそうだとして、どこを基準にその判断をするのか。 人間がいる限り消えることのない欲求が今も世界のあちこちで噴出しては彷徨っているように思えた。

    0
    投稿日: 2021.04.12
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    今まで読んだ村田沙耶香ではいちばん文学っぽかった(文学なんて分からないけど要するに精神性…?が強い)。 でもなんかこの方の本は読めてしまうし後ろ向きに救われたくなったときに読みたくなる。なんなんでしょうかこの気持ち。流行りの心温まるオムニバスとか外に出て優しい誰かと繋がろう、みたいな小説より癒されることがある。もちろんほっこり本も好きでそういうのばかり読むときもあり。 主人公たちは外と内が擦れるたびに違和感を抱えながらも内の世界を完成させていって、すごい。その先どうなるかは知らないけど。私は中途半端だからできない。 ケンみたいな健全でまっとうな人を小馬鹿にしながらも圧倒的敗北感を抱くの、わかる…

    1
    投稿日: 2021.03.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3遍とも何という面白さ。 「釈迦の部屋」 煩悩のない悟った釈迦のような要ニになぜか惹かれる主人公。 生暖かそうなブリーフ、、 美しくととのった陰毛を一羽のカラスに例える、、 などなど、圧倒的な言葉のナイフ。 主人公である私は「僕(私が自認する性が男性)だ!」とラストで悟った。 アセクシャルな要ニに執着した理由は、自分の性が混乱していたからなのだろう。  

    0
    投稿日: 2021.02.22
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    デビュー作を含む短編集。 「授乳」 人間の身体の生々しく細かい描写、冷めすぎている少女、弱々しい男性、少女じみた母など、デビュー作から村田ワールド炸裂でした。 家庭教師にくることになった大学院生の男性、彼の弱さを知った主人公の中学生の少女は、まるで彼の母であるかのように振る舞うことに快感を覚えます。それは決して恋愛などではなく、思春期の少女が成長するにあたって自分を試したいという欲求のようなもの。母親への嫌悪もあいまって、少女の悪意はえげつないほど。その世界観にひきこまれ、あっという間に読み終えました。もっと読んでいたいと思ってしまう強烈さ。 「コイビト」 ぬいぐるみに依存しつつ現実をなんとかやりすごしている女性主人公が、ぬいぐるみを恋人と完全に思い込んでいる少女と出会う。 村田さんの作品は、この、ぬいぐるみなど一般的には子どもらしいかわいさ・癒しとされるものが、生々しい性をともなって描かれる。 主人公はともかく、少女のキャラがまた強烈。 こちらも世界に引き込まれ、気付くと読み終わっていた。 よく小さな子どもが自分の世界に閉じこもり物語を作って独り言をつぶやきつづけているが、人間はどの時点でそれをやめて現実に適応していくのだろう。現実適応能力に差が生じるのは、なんでなんだろう。そんなことを考えました。 「御伽の部屋」 明るくてしっかり者の女子大学生が、同じ歳の関口要ニの前でだけ、子どもっぽく振る舞うことに快感を覚える話。まるでままごとのように、関口要ニの部屋でだけ、互いに作り上げた世界を互いに演技する。現実から切り離された架空の世界に体と心を浸らせているうちに、現実への対応が耐え難いものになっていく……。 ちょうど同時期に読んだ『生命式』に収録されている短編『孵化』を思い出しました。相手によって人格が極端に変わるという。『コンビニ人間』にも周りにあわせた口調になるというくだりがありましたね。人は置かれた環境や相手ののぞむ世界を裏切らないよう振る舞ってしまう。ままごとのように。だから、自分がのぞむ世界を完璧に演じてくれる人が、他の世界では別人になる。それなら、ままごとを自分一人で完結させちゃおうという結論は、併録の「コイビト」にも通じるものがある。「授乳」もある意味ままごとを先生とやっていたみたいなもんですよね。 正男さんがどんな大人になったのかが気になりました。正男さんせつない。

    1
    投稿日: 2021.02.20
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    村田さん3冊目。これも昔一度読んだことがある本です。どのお話も強烈でした。 解説の、主人公がそれぞれ自分だけの王国を持っている、という部分に納得。自分が心地よく生きていける空間をなりふり構わず追求している主人公たちが、少し怖かった。「御伽の部屋」の主人公の気持ちはわかる気がする。 村田さんの人間の描写の仕方はすごい。人間を外側から見ている感じ。あと何か食べているときの表現。命を奪うときの表現もそう。あまり気持ちのいい表現ではなくて、どちらかと言えば気持ち悪くて、私もその気持ち悪い生物なんだといつも思う。 3冊読んで、共通して蟻が出てきていることに気づいた。蟻好きなのかしら。「取り替えられるだけの存在」の象徴として扱われているのかな。

    0
    投稿日: 2021.01.02
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    あいかわらず世の中に溶け込めないちょっといっちゃってる人達の物語が3遍。それでも「あっ、なんかちょっとわかる。」とか思っちゃうところがぼちぼちあったりするのがちょっと怖いところでもある。3つの物語の中では特に「御伽の部屋」の世界観が好き。ただ、正男お姉ちゃんのエピソードがあまりに切なくてなんともやりきれない気持ちになった。

    6
    投稿日: 2020.11.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2005年作品(今の世相を捉えているのかな) ①「授乳」②「コイビト」③「御伽(おとぎ)の部屋」 ①主人公女子中学生ー28歳独身男性(ペットのよう)  主人公がペットを飼いならす感じの話で、男を飼いならしたい願望がある今の時代の話と思った。草食系男子には性的行為に興味がなくても命令には逆らえない感が出ている。 ②女子が好きな人形をまるで生きているように扱うところに恐怖を感じた。(女子小学生と大人女性) ③作者の根底にある恋愛・性的関係なしの関係を描いた話 私も愛について考えさせられる。今は擬人化(ペット)の犬や猫への愛が巷では多い気がする。 いつも、動物病院を通る度、時代は変わったなと感じる。 平成も終わり、令和なんだな。  

    6
    投稿日: 2020.08.05
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    デビュー作「授乳」を含む3作品 いずれも著者の独特な世界を感じられました とくに性に関してはこだわりがあるように 感じます それは他の作品を読んでも感じることですが

    1
    投稿日: 2020.06.04
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    『授乳』 『コイビト』 『御伽の部屋』 『授乳』はデビュー作との事。 強さと脆さを感じた。 『コイビト』は「ずぶずぶ」と聞こえてきそうな感じ。 何をするのも面倒なのに面倒見が良すぎてあたしが不安に。 『御伽の部屋』ほ、あたしにとって新しい読書って感じ。 大好き。 うっかり同時進行で、 『ハコブネ』 も読んでしまっていて、 何人もの悩みや考えが押し寄せてきて一緒に悩んじゃった。

    0
    投稿日: 2020.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼児体験や家庭環境ゆえに、特殊な世界の味方をするようになった語り手が、しかし単独では自立できず、(奇蹟的に)共犯者を見つけて、擦り合わせ、しかしすべてを分かり合えるはずもなく、ズレに絶望する……。 絶望の挙句、離反・離脱・幻滅して現実に戻るのなら、まだわかるし、あービターなエンドですねー少女ってそんなもんっすよねーと片付けられるが、語り手は相手を捨てて、さらにその向こう側へ跳躍するのだ!あ 跳躍度合いの強さ……「御伽の部屋」>「授乳」>「コイビト」。 これ、特殊な性癖とかだけでなく、すべての対人関係に敷衍できる。 「コンビニ人間」を、サイコパスじゃんと揶揄しながらも他人事ではない読者は多くいるだろう。 女性読者なら、もっと直接に理解できるのかもしれない。 しかし男性にとっては、自らの内側に息づく少女への憧憬を、語り手に重ね合わせるという作業が必要になる、と今まで思っていた。 が、実は村田沙耶香作品には大抵、「一筋縄ではいかない男性」がいて、彼らが私のような読者の受け皿というかジャンプ台になっている、と今回ようやく気付いた。 「授乳」の先生。「御伽の部屋」の正男お姉ちゃん。 「私」ないし「あたし」との関係における彼らのステレオタイプに、反抗しつつも捨てきれずにいるうちに、読み手も語り手に同化する階段を上がらされている、というか。 もちろん男女二元論で考える必要はまったくなくて、世界はーふたりのためにーあるのー、という書き方は決してしていない、ということ。 主要人物の誰がしかが何がしかの小説内役割を担っている。

    6
    投稿日: 2020.01.31
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    「授乳」 村田沙耶香(著) 2010 4/15 第一刷 (株)講談社 2017 1/10 第七刷 2020 1/3 読了。 今年最初の読了本。 村田沙耶香強化月間中^^; 常識という名の多数派に違和感を感じながら その感情を表現しない少数派の意識を代弁し続けてる女性作家、村田沙耶香のデビュー作「授乳」を含む短編三作からなる本書。 同じ世界で 同じ価値観の中で同じ空気を吸っているはずなのに その世界の真反対からの風景を彼女は見せてくれて そしてその不思議な風景に惹きつけられる。 ゆっくり村田沙耶香ワールドに浸っていると 間違っているのは「ぼくの方」ではないかと錯覚する。 でも不愉快ではないのよマジで。

    2
    投稿日: 2020.01.03
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    村田沙耶香初挑戦!となれば、処女作からでしょうと思い軽い気持ちで手に取ってみました。王様のブ◯ンチでおすすめ書籍紹介している著者がおしとやかな印象だったので、作品とのギャップに驚きました。これは確かに純文学のジャンルですね。 三作品ともモノトーンで無機質な世界観、内外の世界感の齟齬に苦しむ主人公という点で共通してる。自分の女性的な性に苦しみ嫌悪し、個々人のユートピアを目指し現実世界との齟齬に貶められる姿が、ある面で狂気、ある面では憧れを抱かせてくれる。 個人的には『コイビト』の主人公の、幼少時代のエピソードが胸に響いた。『他の大抵の人には目に見えるらしいルールというものを、暗記してそれに従うようにしている』という感覚が、自分にも、特に若い頃に痛烈に感じていたものと重なる。 生々しさ、グロテスク表現がちょっと近寄りがたいけど、素敵な作品、作家との出会いになったのは間違いない。

    9
    投稿日: 2019.12.13
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    なんか不気味な作品(笑) 最後の作品なんかは、奇行がすぎてちょい引くレベル。 殺人出産が面白すぎて、村田さんの別の作品読んでみたいと思って読んだのが、この単行本だったけど、少し拍子抜けしました。 淡々としているコンビニ人間に比べると、多少の盛り上がりはあったけど・・・

    0
    投稿日: 2019.08.22
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    村田沙耶香の小説は芥川賞受賞作の『コンビニ人間』から入ったのだが、そのコンビニで働く36歳で恋愛経験がない主人公の古倉恵子の人間性に度肝を抜かれ、続いて読んだセックスが無くなり、子供が人工授精で産まれる世界を描いた『消滅世界』の世界観に嫌悪感を突き抜けた先に見える無力感に打ちのめされた。 もうこの2冊で村田沙耶香の虜になってしまった。 ここまで彼女の描く世界の魅力に取り憑かれてしまったからには村田沙耶香の処女作に取り組まない訳にはいかない。 本書『授乳』は、群像新人文学賞優秀作を受賞した村田沙耶香のデビュー作である。 女子中学生と大学院生の男性家庭教師との倒錯した関係を描いた表題の『授乳』の他、ぬいぐるみを恋人として過ごす主人公の女性と同じくぬいぐるみを愛する小学生の女の子との関係を描いた『コイビト』、大学生の女性が自分の想像する理想の大学生に出会い、その男性を自分の望むままに支配していく過程を描く『御伽の部屋』の計3作品が収録されている。 『処女作にはその作家のすべてがある』とよく言われるが、恥ずかしながら僕の未熟な村田沙耶香小説の読書歴に照らし合わせても、この言葉は「至言」であると思う。 平成28年10月2日付の文春オンラインの瀧井朝世氏のコーナー『作家と90分』内での村田沙耶香へのインタビューで   瀧井 ― 「授乳」のなかには、家族や母親というテーマ、少女の性への目覚め、自分なりの価値観で世界を築こうとする主人公などと、その後も村田さんのなかで大事なテーマになるものが詰まっていますよね。   村田 ― 確かに短篇なのに、私の書きたいテーマが、あそこにギュッと詰まっている気が今でもしています。 と本人も話していることなので、当たらずとも遠からずといったところであろうか。 処女作の『授乳』、そして『コイビト』『御伽の部屋』の3作品の中には間違いなく『コンビニ人間』の主人公・古倉恵子も『消滅世界』の主人公・坂口雨音の姿も見つけることができる。もちろん彼女達がこの3作品に直接登場している訳ではない。その精神性がこの3作品の主人公達と共通しているのだ。 村田沙耶香の描く女性は、いずれもその『性』や『肉体』について我々の読者が普通に思い描く価値観とはかけ離れた考えを持っている。彼女たちは、上手く言葉で言い表せないが、自分の『肉体』を大切にしていないというか、もっと言うならば嫌悪感すら抱いている、とすら言えるのだ。 彼女達の一番重要なものは、自分の心や精神そのものであって、その『肉体』については、心や精神を縛る手枷足枷であり、むしろ心や精神を閉じ込めている監獄であると言ってもいいかもしれない。 村田沙耶香が描く性描写を読むと「愛し合う男女が愛を確かめ合う行為」だとはとても感じられない、むしろ昆虫や爬虫類の交尾を見せつけられているような「できればご遠慮させていただきたいと思います」と丁重にお断りしたくなるような居心地の悪い気持ちにさせられるのも、その理由の一つだろう。 そしてもう一つ。村田沙耶香は、自らの描くキャラクターの持つ女性にとっての「母」「妻」「娘」や、男性にとっての「父」「夫」「息子」といった性別上の役割を通常の価値観からは想像できないような方法で完全に崩壊させているというところだ。 本書の表題作である『授乳』では、主人公である女子中学生は自分の母親が父親の下着を分けて洗濯することに対して嫌悪感を抱き、あえて自分の下着と父親の下着を結びつけて洗濯カゴに投げ入れる。『消滅世界』においても主人公の坂口雨音とその母親との関係を描写するラストは激烈なイメージを読者に与える。 であるなら読者は村田沙耶香の描く『違和感しかない世界』に対して嫌悪感を抱かないのか? 少なくとも僕にとっては、この質問に対する答えは、完全に『否』としか言えない。 なぜなら、もうこの倒錯した既存の価値観のぶっ壊される経験はやみつきになるからだ。 トリップ感があると言っても良いかもしれない。 この倒錯した価値観を独特の美しい文書で強制的に追体験させられる。 この体験は極めて特殊であり、他の小説家からは得られない唯一無二の読書体験だ。 村田沙耶香の描くこの狂った世界を、読者にごく普通に当たり前のように感じさせるこの筆力の凄まじさ。 これが村田沙耶香を「クレイジー沙耶香」と呼ばせる所以の一つなのだろう。 この世界に取り込まれてしまいたい。 ずっと村田沙耶香の小説を読んでいたい。 ただ、そうすると、もう二度と「こちらの世界」には戻って来られなくなるので、その投与量については厳密にチェックしておく必要があることは言うまでもない。 ここまでくればもう立派な『「クレイジー沙耶香」にクレイジー(首ったけ)な読者』の完成だ。 僕はまだ彼女の小説を3冊しか読んでいない。 つまり、これからまだまだ「クレイジー沙耶香」を愉しめるということだ。 狂喜している僕の顔には、他人から見れば、歪んだ笑みしか浮かんでいないのだろう。

    26
    投稿日: 2019.08.02
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    芥川賞受賞の『コンビニ人間』が面白かったので、著者のデビュー作を読んでみようと思い購入。 表題を含め3つの作品からなっている。 凄い。とにかく、普通の人が出てこない。家庭教師を隷属させる中学生、ぬいぐるみを友人家族恋人として愛する大学生、、、など。普通じゃないことが淡々とさも普通のことのように書かれている。 でも、この世界観はクセになる。他の作品も読んでみたいと思った。

    0
    投稿日: 2019.05.13
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    文学界の異端児・村田沙耶香さんが完全にぶっ壊れてイカレタ3人の少女を描くデビュー作品集。本書の3人のヒロインはそれぞれに狂気すれすれの生き方をしていると思いますが、彼女達に正道を教え諭す強く立派な人格者は登場せず結局は本人が自覚するしかなくて、私は長い時間がかかってもいいからとにかく自分でしっかりと納得した上で危ない方向に道を踏み外さない様にして人生を歩んで欲しいなと願いますね。また解説に書かれている様に彼女らが壮絶なデトックス(浄化・解毒)で悪い物を全て吐き出した後に幸せになってくれたらと切に祈ります。 『授乳』家庭教師の青年はこの歪んだ支配のゲームから脱けられてとてもラッキーだったですね。きっと母は何があろうとも決してこの我がまま娘を見捨てはしないでしょう。ヒロインが母の無私の愛に気づく日は来るのか?どうしても見通しは暗く悲観的になってしまいますね。『コイビト』末恐ろしい小学生は完全に反面教師で、ヒロインはコイビトのぬいぐるみホシオと訣別できてよかったですね。後はホシオロスによる依存症や禁断症状を克服して欲しいです。『御伽の部屋』彼女は普通に見えて実は一番の重症で厳しいけど何とか自分を取り戻して欲しい。

    3
    投稿日: 2019.02.03
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    収録されている3作どれもが内向きにしか興味がなくそれを何かに投影している。ただそれが現実とのつながりを感じた途端嫌悪の対象となる、といった物語。 ここでいう現実とは何か?本職の解説では女性性と捉えていたが社会規範として捉えることもできるのではないか、とも感じた。社会規範をうまく理解できない主人公がその心理的防御策として自分だけの世界を創り出す。なので似ていても自分のルールと少しでも異なると嫌悪感を抱き破綻すると対象を替え自分だけの世界を再構築する、そんなイメージ。自分の中の直視したくない部分を突きつけられたような気がして少し気が重くなるのと同時に、自分だけではないという安心感とが入り混じる感じがする。 3作の中では、美佐子がどんどん不気味な存在になって行くのが印象的な『コイビト』は世にも奇妙な物語風なホラー感があり一番のお気に入り。 それにしても全編通しての美しい文章に混じる汚い言葉が独特な表現であり何ともこの人らしい。

    0
    投稿日: 2019.01.04
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    表題作を中心とした、3つの物語。 淡々として低温の、けれど溢れ出す熱いものを抱えた女の子たちの、物語。 放出することを許されない環境で育つ彼女たち。3つの物語すべて、親が娘である彼女たちに、向き合っていなかった。彼女たちの中にある溢れだしていいものは、封印され、ある種歪んだ形で放出される。 彼女たちは、気づく。健全なものに触れた時、まだ彼女たちが到達していないどこかにいる人間に遭遇した時、彼女たちが抱える未放出の、溢れ出すものを受け止めてもらえた時、歪みに気づく。 物語を読み進めながら思ったこと。なんだか彼女たちの自慰行為を目撃してしまったような、そんな感じだ。 時折共感できる、彼女たちの心の叫び。それらがちくりと刺さるのは、自分にも歪みがあるからで。 彼女たちは極端な例かもしれないけれど、わたし自身もその歪みと向き合っていて、きっとみんな、多少の歪みを抱えながら、時には放出させながら、生きてるんだと思う。 解説がよかったです。

    14
    投稿日: 2018.09.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    コンビニ人間をよんで。 ソッチ方面かなぁ、と予想はしていたけれど ソッチ方面でした。 解説滝井朝世氏。ナルホド。。。 いわゆる「普通の人とは違う」感性の持ち主3人の女の子のお話。 けれど、他者と関わらずには生きていけない自立前の女の子たち。 (大学生は割と好きなように泊まったり出来ていたようだが) 1作目は長続きは出来ないだろう関係性の物語で、 でもまだ中学生で 2作目はもっと高レベルの人間と出会ったことで関係性の変化へと繋がって でもまだ大学生で 3作目は同じ感性の持ち主かと思いきや、自分が高レベルで。。。でもまだ大学生で  でも自分なりに終着点を見つけて。 彼女たちがこれから大人になってどうやって生きていくのだろう、と考えたら。。。 憂鬱に。。。 3作目が一番長かったが、その中で登場した「お姉ちゃん」がキツかった。。。 中身と外見が違う場合、自分の中で許容範囲内で外見に合わせていける人間は幸せだな、と。。。 他作品、読み進めようか悩む。。 授乳 コイビト 御伽の部屋

    0
    投稿日: 2018.06.22
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    またまた村田沙耶香さんにチャレンジ。 やはりクセが強すぎて自分に合わず。 突飛な話すぎて感情移入できない。 もうこの人の本はいいかなあ。

    0
    投稿日: 2018.04.25
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    彼女たちはどこに行くのか、 少しずつ他者と交わりなんとか外界と適合していくのか、 それとも自分自身の世界を打ち立てて生きていくのか。 興味を感じずにはいられない。 http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-206.html

    0
    投稿日: 2018.03.11
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    女性性の拒絶、って解説にもあったけど、それがすごくわかりやすく一貫していた。 授乳はデビュー作らしいけど、正直絵面としてわかりやすくインパクトあるなあと思いました。 子供のいる人間が(とりわけ親)したはずのこと(婉曲)に対して感じる嫌悪って難しいと思う。別にこの作品では重要な要素ではなかったと思うけど。

    1
    投稿日: 2018.02.02
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    女であることに嫌悪感を抱いても、一生それとお付き合いしていくしかないんだけどねぇ。 「コイビト」のラストはゾワっとする。

    0
    投稿日: 2017.09.23
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    村田さんのデビュー作。村田さんらしい世界が広がる。短編集で、先に違う作品たちを読み終えているので、少々物足りなさを感じるが、この作品の延長上に最近の素晴らしい作品があるんだなと納得させられた。大好きな作家さん。

    1
    投稿日: 2017.07.22
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    村田沙耶香の初文庫本。生理的な存在に対する嫌悪、特にセクシャリティに対する嫌悪をそれぞれの短編の女主人公から感じられる。ありような人間に対しては徹底的にグロテスクに、常態が転倒した存在に対してはポエティックな柔らかい表現をもって扱っているのが特徴的。これは何だろうかと、著者の人格に関心が出てくる。 17.7.6

    0
    投稿日: 2017.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんだか、よく分からなかった。自己愛の気持ち悪さみたいなのが目立って、読むのがちょっとしんどかった。 コンビニ人間の方が読みやすかったな。

    1
    投稿日: 2017.03.14
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     女子中学生の「私」が、男性を感じさせない家庭教師の「先生」を捌け口に、思春期の矛盾を孕み制御不能な苛立ちを「ゲーム」と称して吐き付けていく表題作「授乳」。その他、ハムスターのぬいぐるみ「ホシオ」を心の支えとする主人公・真紀が、オオカミのぬいぐるみ「ムータ」と性的なつながりを求める少女・美佐子と出会い、美佐子の中に自分と共通する歪んだ精神世界を見て恐怖する「コイビト」、女子大生ゆきは全てを理解し提供してくれる理想の男性・関口要二と奇妙な関係を結ぶが、少しずつ理想とずれてゆく要二に苛立ちを感じ、新たな幸福の自己完結の形を見出す「御伽の部屋」の2作を収める。  正直3作目「御伽の部屋」の後半は、もう訳が分からず読んでいることが苦痛だった。登場人物、特に3作とも女性主人公の心情が理解も共感もできずただただ読みながら呆然とするだけ…。それもそのはずで、文庫版の最後に付された「解説」でようやく理解できたのだが、これは男性の読者には共感できないものなのだ。いや、おそらく本当の意味での理解すら、男にはできないのだと思う。  饒舌に説明してくれる妻の話を聞きながら、「本当に男と女とは別の生き物なのだなぁ」と改めて思わされた。男性は単純で、女性は複雑。多分こんな簡単な言葉でまとめてはいけないのだろうけど、女性の中にある本人すら出口の知らない迷宮を、男性が知った風な顔で語るのはそれこそ女性蔑視のような気がする。  女性の混沌とした内側を描かせたら、村田沙耶香の右に出る人はいないのではないか。と妻が言っています。確かにこんなこと、男性作家が書いていたらどんなに気持ち悪いことか…。

    0
    投稿日: 2017.01.31
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    想像力音痴な自分には彼女の世界観がぶっ飛びすぎていて解釈するのができませんでした笑。ものすごい世界観です。

    0
    投稿日: 2017.01.01
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    よくわからなかった。 描写表現は面白かったが、内容に全くついていけなかった。 女性の視線なら違った解釈ができるのかな。

    0
    投稿日: 2016.11.12
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     正直、主人公に共感できない部分が多かった。自分だけの世界を作り上げること。いわゆるキチガイじみた行動に嫌悪するわけではないのだが、同性に対する嫌悪感や、自分の世界を固守しようとする感覚は無くて、もしかしたら男女の違いなのかな?とすら思った。性別による考え方の違いみたいなものは、考え方として好きではないはずなのだけれど。『コンビニ人間』からはじまりこれで同著者の小説は4作目となるが、こう考えるのは初めて。 <表題>  主体性の欠片もない無機質な家庭教師におっぱいを吸わせちゃう話。何でも言いなりになってくれる男を利用して自分の世界を構築してゆく様は、さながら人形遊び。 だが、そうして頑張って作り上げた虚構も、親の介入で呆気なく崩れ去る。そんなものをどうして守りたがるのか、作りたがるのか。それを自分のなかに作りたいと思ったことが無いからなのか、主人公の心境が理解できないまま終わってしまったのが悔やまれる。 <コイビト>  ペットボトル飲料のオマケに付いてたハムスターのぬいぐるみを彼氏に持つ女子大生の話(!)。  表題作に「自分だけの世界の脆さ」が描かれているとするならば、ここでは「自分だけの世界の外にいることの脆さ」が描かれているように感じた。ぬいぐるみを彼氏に持つという行為の異常性が、同じくぬいぐるみと愛し合う小学生「美佐子」によって晒される。「あたしは、ホシオと一緒に自分の内側の世界のとりのこされてしまったことを、どこかで後悔しつづけてるのかもしれない。」(p.105)と、語り手は自分の異常性に気付き、外の世界に汚されにいこうとする。  でも、年月を経て強固に作られた虚構の世界は、そう簡単には崩れない(表題と異なる点かと思う)。それを色濃く感じさせるラストが怖かった。 <御伽の部屋>  大学生の男女が性的生臭さの無いごっこ遊びに耽るんだけど、ほころびが出てやばいことになる話。  表題と「コイビト」に続き、ここで感じるのは「自分だけの世界に籠ることの脆さ」。  ここまでの3篇はまるで主人公の悪化の軌跡を見ているよう。「授乳」では、幼い主人公が一所懸命に自分の世界を作ろうとして失敗する。続く「コイビト」では、作り上げた自分の世界に縛られて身動きが取れなくなってゆく。そして「御伽の部屋」では、自分の世界の構成員を求めてヤバい方向へ舵を切る。  教養小説やジュブナイルでは主人公がたいてい良い方向に成長してゆくのだが、この短篇集は、(あくまで社会的にという限定付きで)どんどん悪い方向へ突き進んでゆく。この流れに『コンビニ人間』の萌芽が見える。コンビニ人間が軟着陸とするならば、この短篇集は墜落。デビュー作だからか、荒々しさがすごい。

    7
    投稿日: 2016.08.21
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    三つの短編を収めた本著、おもな登場人物は別次元に潜む存在のようでこちらから進んでお近づきになろうとは思わない人ばかりである。ところがその異物感はやがて関心へと変化し、つい先を読みたくなる。読後には表題作のタイトルがなんとも甘美に響く。

    0
    投稿日: 2016.08.15
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    授乳 村田沙耶香の作品を読むのはこれで2作目。 そこを描写して表現するかといった一文が多く、独特の味を感じる。 さらには少女は突発的に理解できない行動をとり、読者を村田ワールドに一気に引き込む。 そんな共通点を私は村田作品に見出してきた。 母を見下し男を見下し母になろうとするも時に母を頼る。そんな思春期の女の子が抱いて当然なのかあるいは抱くことは稀なのか分からないような行動を描写した作品。 で合ってるのかは分からない笑

    0
    投稿日: 2016.07.28
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    既存の倫理、価値観を覆す作品を次々に発表し、若手作家仲間からは「クレイジー沙耶香」と呼ばれながら、そのつきぬけ感がすごい!と言わしめている村田沙耶香。彼女の作品を読んでみたいと思い、まずはデビュー作から。 自分独自の世界をつきつめ、脳内に王国を築いていく女性たちを主人公にした「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の3編。3人とも、自分の中の女性性を嫌悪し、それを排除し、性的なものを取り払った世界を理想としている。 彼女たちを異常だ、狂っていると切り捨てられる多くの人たちにとって、この作品は理解不能なただグロテスクなものでしかないだろう。ただ、こういう違和感を抱いて日々を過ごしている人も少なからずいて、そういう人たちにとっては共感できるのかもしれない。 次の作品に行くには躊躇するような独特の世界観だった。

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    投稿日: 2016.02.13
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    現実は窮屈だ。嫌われないように、場の空気を壊さないように、慎重に生きている人間にとっては。だから彼女たちは自分の内側に王国を作る。ありのままに許容される居心地の良い場所。生きてゆくために必要な秘密の時間。しかし過度の依存が現実との均衡を崩していく。現実が自分の内側に浸食し、狂気が現実に漏出する…。 より強固な自分の世界を構築するのか、妥協し現実と折り合いをつけるのか、どちらも選びたくない。酷く気持ちが悪いです。そこが良い。

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    投稿日: 2015.05.23
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    「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の三篇。 村田さんの本は初めて読んだものの、肌に合っていたのかどれもとても面白かった。身体の表現が生々しく、嫌悪感をいい意味で感じることができた。 どの作品もなんだか息苦しくて不気味。女性の役割から逃げているような女の子たちが主人公で、共感できる部分も多々ある。 個人的に一番好きなのは「授乳」。 授乳という母性を思わせる行為にやらしさを感じたし、文章の雰囲気が圧倒的。 あんな先生がほしい。というか、庇護欲を満たしてくれるような都合のいい存在が欲しいのかもしれない。

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    投稿日: 2014.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あかん、これは女性でないと分からない小説やと思う。 女性に読んでもらって、女性に何かを伝えたくて書いている意図がはっきり見えてくる。 自分の中にドロドロと嫌悪すべき何かを持っているのは、性別問わず一緒だとは思うけど、それをどう表現してどう理解を得るか(あるいは理解されないようにするか)という関門が、この小説の場合は女性専用で設けられている。 男子禁制、☆×2としてみたが、この小説を理解していないので、いつも以上に参考にならん評価です

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    投稿日: 2014.03.06
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    現実と親密になれなかった三人の少女。 現実から愛情を受け取れなかった彼女らは、それでも安心を得るため自分の中に擬似的に「息子」「恋人」「飼い主」を創り出す。 妄想に依存し、その中で必要とされることで安心を得る。 自分の中に逃げ込んでしまった彼女らには他に逃げ場がない。

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    投稿日: 2014.02.03
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    『あたしたちは今、多分、セックスをしているのだろう。体に何も挿入しなくても、これがあたしたちの作り出したセックスの形なのだろう。そう思った。』 『手遅れという言葉が頭に浮かび、頭蓋骨がきりきりとなって追い詰められた目頭に水分が溜まった。手遅れとはとても悲しい言葉だと思った。』 『帰りたいと言って正男お姉ちゃんが泣く。正男お姉ちゃんの家はここなのに、帰りたい、帰りたいと子供のように何度も繰り返す。正男お姉ちゃんは絵の中に行きたいのだとあたしは思う。でも行ったこともない場所にどうして帰りたいと思うのか、やっぱりあたしにはよくわからない。』 「お姉ちゃん、お姉ちゃんはそこに帰って何するの?」 「眠りたいの。安心して眠れる場所に帰りたいのよ」 『誰かの自慰に暇な人間が付き合うことを、セックスと呼ぶのだと思っていた。あたしはいつでも暇だったから、いろんな人の自慰を観察してきたと思う。』 『性器は頭脳の中にあって、体についているものはただ、そこを稼働させるためのスイッチに過ぎないと思っていた。その昔人間がまだ動物だったころの名残で、そこに触れたり挿れたりするのはただの儀式だと受け止めていた。』 『今まで、なぜか自分は妊娠しないだろうという漠然とした自信があったが、ケンの精液は違うと思った。今まで子宮に吸い込んできた、ただ終了しましたという記号でしかない、ただそれだけの液体とはまるで違った、ケンのそれは命の塊だった。そんなものに体内に泳がれたらあたしの体には確実に命が宿ってしまうだろう。あたし自身ほとんど夢うつつで生きてなんかいないのに、あたしの腹部をあたしよりずっと生命力があるものに侵食されるなんて、呪いのようにしか思えない。あたしはのがれようと走り続けた。』

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    投稿日: 2013.09.29
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    凄いのは読んでてわかるが肌に合わないベッドシーツのような感じ。 慣れるのにもう少し他の作品も読まないと、かもしれない。

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    投稿日: 2013.08.16
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    生々しい、生理的な気持ち悪さが文章からにおってくる。 表題作の「授乳」だけではいまいち分かりにくかったけれど、「コイビト」「御伽の部屋」の3作を通して読むと、女性性への根源的な嫌悪感というか、露骨なまでの拒否感がしみ出しているような気がします。著者が女性だからこそ描けた雰囲気や曖昧な世界だと思う。 扱っている題材が題材なだけに、どの作品もどうしても不完全燃焼な印象を受けてしまった。

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    投稿日: 2013.06.22
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    「授乳」は想像してた以上に肩すかしというか、「ギンイロノウタ」と「マウス」がよかったので、言葉のあいまいさとか帰結の平凡さがちょっとな、と思った。でもデビュー作だしこんなもんかね。 「コイビト」と「御伽の部屋」は村田沙耶香特有の閉塞感と不気味さがあってよかったけど、「御伽の部屋」のいちいち上から目線な感じが少し鼻についた。構成はすごいと思った。

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    投稿日: 2012.10.15
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    3つの作品に共通し、他者からすると狂気じみているともいえる「自分だけの世界」は誰のうちにでもあるものだ。精緻な文章と執拗な描写によってそれが描き出されるが、やや作為的、予定調和的にも感じた。

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    投稿日: 2012.09.04
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    観念的。私の趣味じゃないなぁ・・・すごく読むの疲れた。 まぁ強いて言えば「コイビト」はちょっと可愛かったけど。

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    投稿日: 2012.06.26
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    2作目の「コイビト」がなかなかのカオスで狂っていて、良かった。しかしまあ、男にはこういう小説は書けないのだろうかね・・・。

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    投稿日: 2012.05.06
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    「コイビト」が良かった。 わたしの愛しいコイビトはぬいぐるみ 描写が生々しくて、胸がざらざらする。気持ちが悪くなる。 すきよ

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    投稿日: 2010.07.21
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    自分の世界を持ってる女の子達のお話。 家庭教師の先生やヌイグルミ、同級生の男の子、、、 篭った世界でそれらと支配、依存、共生する生き方は 傍目からみていると病んでるとしか思えない。 けれども、単純に否定しがたい何かを持っているんですね。 生きるのが息苦しかったと感じたときに読むと多少共感できるかも。 そして、自己嫌悪になれるかも☆

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    投稿日: 2010.07.16
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    改めて眺めて文庫の表紙可愛いな。 初読みだったけど完全に惹き込まれた。 この作家に関する情報で「生理的」とはよく耳にしていたけれども、思っていた生理的とは違った。 完全に夢の中の世界であり、それに生々しい感触を持たせることができるのがこの作家なのだなぁと思った。 小さな、小さな感触だけを必死に捕らえて、それだけにすがって、あまり周りを見渡してはだめなんだと。五感がすべて。それだけで、世界は暗闇に奥深くつながっているでしょ、と。 まったく目隠しされた少女の絵はそのとおりである。 一貫しての母性と女性性への偏執的なアプローチ。 それから暴力描写がたまに割り込まれるけれど、三島賞かななにかの書評でこの人は暴力的な描写とかに走らなくてももっとほんとうに怖いものを知っているはずだといわれているのを読んだ。 でも私はなんだか、この人はそういった風に人間を見つめた上でこういう偏執的なものを描くというよりは、こちら側の人なんでないかなぁ、と思っている。 こちら側から、あこがれを描く。 だから、そんなに悟らないで欲しいと思っています(笑) 次「マウス」読みます。

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    投稿日: 2010.05.16