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総合評価

26件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「手首を拾う」 「ともだち」 「下の人」 「成人」 「逃げよう」 「十万年」 「知らないこと」 「こわいもの」 の8編。 このうち「成人」は東雅夫・編「平成怪奇小説傑作集〈3〉」で既読。 初めて読む、非・京極堂の一冊。 怪奇シーンド真ん中のリアリストが、実話怪談ブームに対してとった態度……実作でそれを表明しているあたりが、やはり一歩抜きんでている。 黒沢清がどれだけホラーを撮っても、おそらく幽霊など毛ほども信じていないのと同じく。 本作で幻想へ踏み込むのは、実際に幽霊が存在しているからではなく、文体芸。 ある筋とある文体が両立すれば、向こう側への回路がキリキリっと開いて、いてはならぬ・見てはならぬものが存在し始めてもう後戻りできない……その気配を変奏した短編集。 茫漠とした思弁が、カキっと異界チャンネルに合う、というか。(どうにも擬態語が多いね) でも上に書いたことって、上質な小説すべてにあてはまることなのかもしれない。 要素の少ない「手首を拾う」「ともだち」「下の人」もいいし、一番具体的な「成人」もいいが、「逃げよう」のスラップスティック一歩手前なわちゃわちゃ具合も面白い。

    6
    投稿日: 2024.12.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幽談 京極先生のショートミステリーを期待したのですが、いずれの短編も存在の不確かさを主題とした不思議な話集でした。手首を拾う、ともだち、下の人、成人、逃げよう、十万年、知らないこと、こわいものの全8編の短編集です。ベッドの下に”いる”「下の人」や生きた手首を拾う「手首を拾う」など、奇想を元にしたものや、アイデンティティの崩壊の様子を淡々と綴った「知らないこと」や「ともだち」、禅問答を思わせる「こわいもの」などいろいろなアプローチで壊れてしまうことを追求しています。 一風変わった怖い話を味わいたい方にはお勧めしますが、京極堂や又市シリーズのような爽快感はありませんので、ご注意下さい。 竹蔵

    0
    投稿日: 2024.09.09
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    妖しくて不気味な雰囲気がジワジワとやってくる。一番「手首を拾う」の妖艶な感じが良かった。「逃げよう」もまた違った不思議な怖さだった。「下の人」ホントにいたら怖い!「成人」は実話っぽくてなんか不気味。「知らないこと」、最終的な視点がぐるりと変わりなにがなんだかわからなくなる。

    19
    投稿日: 2024.03.29
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    がっつりホラー、というわけではなく、少し不気味な、ちょっとジメッとしたお話をいくつか集めた感じ。 「逃げよう」「知らないこと」が気味悪すぎたわ。意志疎通出来てる相手の方が怖いね

    2
    投稿日: 2023.05.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ホラー映画のような直球な怖さではなく、ジメッとした気持ち悪さが残る作品。 各短編の主人公たちは怪異に出くわしても、恐怖に慄くことなく淡々としてるのが印象的だった。 どの話も基本的に全く解決に至らないまま終了するため、ちょっとモヤっとしたけど、そういう「よくわからないもの」を楽しむ作品なのではないかと思った。 純文学のような趣がある「手首を拾う」「十万年」 強烈な気持ち悪さが残る「成人」「逃げよう」 哲学的な「こわいもの」 不条理な雰囲気が漂う「ともだち」「知らないこと」 一番直球なホラーだけど、なんかシュールでちょっと笑ってしまった「下の人」

    2
    投稿日: 2023.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おもしろい。 ハッキリしないもの、曖昧な思い出、感情への違和感など、こわいものを追求する短編集。 一話目「手首を拾う」を読んだあと、この感覚で読み進めて良い本なのかどうか正直迷った。『納得してから進むべきではないのか、何か重要な部分を理解できていないのではないだろうか』と、そんなことを考えてしまい、読むのを止めてしまったくらいだ(笑) 結局は『ええい、このままいっちゃええ』ということで一気読み。 読者として『え、わからん。どゆこと』 という感覚もあるが、それがおもしろいし、それで良いと思わせる何かがある作品集だった。 「ともだち」「成人」「知らないこと」は特に印象に残った。最後の「こわいもの」もおもしろい。 なんとも言えない読了感。それも読書の醍醐味。 楽しかった。

    33
    投稿日: 2023.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編集。「手首を拾う」「ともだち」「下の人」「成人」「逃げよう」「十万年」「知らないこと」「こわいもの」。 明確なホラーじゃなくて「こわいもの」に書かれて伊rうように『わからないものが怖い』話なんだなーと思った。ともだちのAくんちは何があったんだ…下の人の主人公めっちゃ強くない??ベッドの下に人がいるとか私ならベッド捨てるか引っ越しちゃう…。

    1
    投稿日: 2022.10.08
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    やはり1番好きなのは"手首を拾う"。つげ義春作品のような侘しさ/寂しさに、艶かしい手首を拾うという幽玄の妖しさが混じりあった極上の短編。これはかなり好きでしょっちゅう読んでる。汽船で行くのですよ。

    0
    投稿日: 2021.09.23
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    物語のラストが全て不明瞭で曖昧模糊とした短編が詰まった一冊。個人的には「下の人」がストーリーも主人公のなんとも言えない着物座った感じも好きだった。話によっては、なんとも言えない後味の悪さが残るような、じわりじわりと来るような怖さのある話が多かった。面白かった。

    1
    投稿日: 2021.05.09
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    再読。今作はよくわからない不安や恐怖などの形のない恐れがそこかしこに散りばめられた短編集。現実的な恐怖から一気によくわからない恐怖に陥る話もあれば、最初からよくわからない恐怖まみれの話もある。幽霊譚とも違うなんとも言えないゾクゾク感が味わえる一冊。一番好きなのは「十万年」かな。

    0
    投稿日: 2020.05.27
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    怖いものとは何だろう。本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、通された座敷で思案する。完全な暗闇の世界、思いもよらない異形のモノ、殺意を持った猛獣や殺人鬼、己が死ぬこと、幽霊―。不安でも嫌悪でも驚きでも不思議でもなく、純粋な怖いものを。恐怖に似たものではない、真実の“こわいもの”を知るという屋敷の老人が、男にさし示したものとは。「こわいもの」を含む、妖しく美しい、幽き8つの物語を収録。

    0
    投稿日: 2019.09.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「ともだち」と「下の人」は想像しやすくてハッとする怖さがあったけど、他は怖さはなく意味を考えるようなことが多かった。生きるも死ぬもそんなに代わり映えしないのかも、という考え方が頭に残る。 「成人」が一番興味をそそる話だった。

    0
    投稿日: 2019.01.04
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    京極夏彦の短編集。 ホラーテイストの・・・かと言って単純にホラーじゃない、不思議な世界観の八篇が収められています。 読んでて怖いと思ったのは「成人」と「逃げよう」 特に「逃げよう」は、追いかけてくる“迚も厭なもの”より、追いかけられ逃げ込んだ“おばあちゃんの家”の描写がなかなかの怖さでした(^_^;) 京極夏彦ってより、夢枕獏の作品を読んでるようで・・・・・ちょっと変な読後感でした。

    0
    投稿日: 2016.02.11
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    こういう現代ホラー小説なら好きです。はっきりとは分からないけど、もぞっとするようなもやっとする感じ。ぞっとしないけど恐いと言うわけでもないけど、(むしろ笑けてしまう話もあるのですが、それが逆に現代的)結末にねじれを感じて、どこへ連れていかれるのか却って楽しみな感じ。投げっぱなしもあったけど、それは想像力で…というのかもしれません。

    0
    投稿日: 2015.10.07
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    さくっと読める短編集。 ぞくっとして時々ざわっとする。きゅんとくるラストもあった。 こういうのも書く方なんだなあ~と思いつつ、 個人的にやはりこの作家さんはずっしり長編がすきです。

    0
    投稿日: 2015.02.21
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    ホラーとカテゴライズしたけれど、正面きったホラーかというとそうではなく。 人間という生き物の不安定さを描いているという点で、気付けばどことなく怖くなる、という意味のホラー。 人間の感覚や認識、個人個人で違うし、同じ人物でも時と場合によって感じ方は違う。それはよくよく考えると怖いことなんじゃないだろうかと、手を変え品を変え、京極氏が説明してくれる。 読んだ後に、ちょっともぞもぞしちゃう短編集。 ただやっぱり、個人的には、京極氏の作品は長編のほうが好みかも。ねちねちしていて。

    0
    投稿日: 2014.08.28
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    らしいといえば、らしいのだが、落ちがないので、読んだ後いろいろ考えてつらい。 個人的には「こわいもの」が良かった。 この話みたいに、あれこれ突き詰めて考えるのは、嫌いでない。

    0
    投稿日: 2014.08.17
  • 厭な気持ち悪さが、クセになる。

    現代の、幽き八つの物語。短篇集。怪談やホラーのようにハッキリとした怖さはないけれど、物語に織り込まれた据わりの悪さ、厭な気持ち悪さに浸食されるようで、じわじわと怖かった。得体のしれないモノの淡々とした恐怖。そこに確かにあったものが、突然崩れ始めていく恐怖。「十万年」だけは、趣の違ったロマンティックな終わり方だった気がするが、「成人」「逃げよう」「知らないこと」この辺りの、正体のわからない不気味さは流石。

    3
    投稿日: 2014.04.03
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    京極さんらしいと言うか、ぞくぞく薄気味悪く読後もその感覚が抜けない。 恐怖を感じてたもののネタばらしをしないから、どんより気持ち悪い厭な気分がずっと残る。

    1
    投稿日: 2014.03.31
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    シリーズもの以外の京極作品は初 全編を通して普通の日常を違う視点から視た怖さが描かれている気がする 成人が一番面白かった 手首を拾うは川端康成の腕を思い出した た

    0
    投稿日: 2014.03.03
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    久しぶりに京極夏彦を手に取った。短編集でありながら、この奥の深さは感服ものだ。全てが記憶に残る、懐かしさと怖ろしさと、どこか物哀しい。表紙はそうか、「手首」なのか。

    0
    投稿日: 2014.02.27
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    本屋で『怖い絵』という本を手に取り、レジに向かう途中でこの本も目にとまって 冥談とセットで買いました。 この時点で私が本書にホラー要素を求めていたのが丸分かりな購入エピソードです。 京極さんの本はこれまであまり馴染みがありません。 そんなNOT京極作品愛読者の目から見た感想です。 ページをめくってみるとホラーとは違う短編が綴られていました。 幽談は純粋な怖さを求めて読むとガッカリしてしまう方も多いかと思います。 幽けきもの。 不思議なもの。 なんだか正体が分からないままのもの。 私たちが普段望む怖い話は、因果によって成り立っている話がほとんどです。 過去にこういう残酷な事件があったから、今この場所ではその怨念に囚われた 幽霊が出るんだって……のような。 けれどこの本に出てくるお話では、そうした所謂それが起きた理由。 読者が納得できるような親切な原因や結末は用意されていません。 なんだか分からないモヤモヤとした胸に残る感じ。 これはこれで味わいがあって良いものだなと思いました。 でも読む側がこの幽かな世界に開かれている時に読まないと 絶対に面白くはない気がする。 作者が好きで長年多くの作品を吸収しておられる人が読めばいつでも 面白いのかもしれませんが。 一人称で進む語り口の話が多いけど、この方の作品ではこういう形の ものが多いのだろうか。 冥談も買ったので、そちらも読んで確認してみようと思います。

    0
    投稿日: 2014.01.29
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    怖い。特に怖かったのは、①「知らないこと」自分が本当は何も知らないのだとしたら・・・②「こわいもの」こわいものとは?老人から渡された『恐怖それ自体』の小箱。それを開けた時・・・。8つの短編どれをとっても、「?」と思いながら背筋にうすら寒いものを感じずにはいられない。自分の見ているものは正しいのか?自分はどれだけ判っているのか。考え出すと深みにはまっていく。そばに気配を感じながら。

    0
    投稿日: 2014.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんとなくいそうでいない幽霊のお話。読むのに苦労するほどではないんだけど、そんなもんかなーってくらい。

    0
    投稿日: 2014.01.19
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    秀逸。京極夏彦氏は断じてミステリー作家などではなく、ミステリーの体裁をとっている怪談がバカ売れしたのだと改めて実感。氏の物語は、怪異の描き方が天才的に上手い。しかし、面白い事にそれらの怪異は「恐ろしいもの」なだけでなく「とても嫌なもの」として、現代に生きる我々をちくちくと刺激する。それを思うと、現代における相応しい怪異を復興させた氏の功績が明瞭になってきたりする。そんな短編集。怪異好きは是非とも御一読を。

    0
    投稿日: 2014.01.16
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    冬にホラー♡ 意外な取りあわせのようですが、かなり好きです。(夏はリアルすぎてねぇ) 京極さんは一時期京極堂シリーズを頑張って読んでいたのだけれど、挫折。短編集だったので手に取ったのですが、これが面白くて怖い。 やはり怪談はこうでなくては(^^) 冥談も楽しみだなぁ。

    0
    投稿日: 2014.01.06