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刺青殺人事件~新装版~
刺青殺人事件~新装版~
高木彬光/光文社
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総合評価

31件)
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8
16
5
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    刺青が題材となる殺人事件の作品は読んだことがなかったのでまずそこから新鮮でした。事件のトリックにおいても目を見張るものがありました。双子の姉妹や密室など材料が沢山ありながらも事件の真相は他の作品にはないほど斬新で新鮮でした。古めの小説なので新鮮という言葉が変化もしれませんがこれが処女作ということを考えても凄まじいと思います。

    0
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    たぶんお初の方の作品。神津恭介の名前は知っていたものの、作品をきちんと読むのは今回が初めてだった。戦後まもなくという混沌とした時代に、刺青というアングラな存在に翻弄された人たちを描くミステリ。文章がとても読みやすく、かつそこまでグロテスクでもない。密室はあるもののそこまで難しいネタではないため、誰でも読めそうな印象を受けた。犯人は何となく分かったものの、トリックや関係者までは分からなかったが、なるほどと思わせる展開がとても上手だと思った。機会があれば他の作品も読んでみたい。

    0
    投稿日: 2025.10.14
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    名探偵神津恭介デビュー作「刺青殺人事件」。なんとも懐かしく素晴らしい。先日横溝正史読んだら読みたくなったのだ。占い師に小説家に向いていると言われて初めて書いた作品を江戸川乱歩に送り、乱歩に絶賛されて出版された高木彬光の処女作。 内容はこんな感じ。刺青彫りの名人彫安の娘、背中に大蛇の刺青が彫られた野村絹枝。彼女のもとを訪ねた元軍医の松下研三は鍵のかかった浴室で、胴体のない絹枝の死体を見つける。胴体のないバラバラ密室殺人の謎を神津恭介が解き明かす!という内容です。 古き良き時代の本格探偵小説の典型といいますか。ワトソン役の松下研三は南方帰りの元軍医で、後に執筆活動も務める、まさにワトソンと同じ。お兄さんが警視庁捜査一課長だから何かと動きやすい大食いで、躁鬱症持ち。神津恭介は松下の一高の先輩で、東大で法医学を研究する何でもできるクールな天才肌。でもホームズのような嫌らしさのないカッコいい男なのだ。 さらに捜査一課長の松下の兄は、若くして一課長を勤める優秀な刑事だが、ここでは神津の引立て役に徹する。絹枝には常太郎という兄と珠枝という双子の妹がいて、それぞれ蛙と蛞蝓が背中に蠢く。さらに刺青の入った人皮をコレクションする刺青研究家の早川教授など、おかしな登場人物たちが脇を固め、謎が謎を呼ぶ。 刺青という怪しげな世界を描きながら、華やかな密室を用意しながら密室以外の複数のトリックを絡めて構成される。80年くらい前の有名な作品ですから読んでいてある程度想像はつくのだけれど、世界観やプロット、登場人物の配置の仕方、さらには読者への挑戦状、そして謎解き。往年の本格派ど真ん中で楽しめました。

    0
    投稿日: 2025.02.11
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    見事な大蛇の刺青を背負った女が浴室で殺害される。しかし、刺青を施した胴体だけが消えていた。 刺青に異常な執念を燃やす博士、大蛇の女に魅了される男達、蛙・蛇・ナメクジの三すくみの呪い、と妖艶な雰囲気に浸れる作品でした。

    0
    投稿日: 2024.11.08
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    ザ、ミステリーを突きつけられた感じ。 読みやすく、内容も面白いが、どうしてもこの古典的な展開、話の持って行き方が合わなかった。

    0
    投稿日: 2024.07.11
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    これぞ日本の本格ミステリ。 呪術的な妖しい香りただよう陰惨な連続殺人、古典的ながら何重ものトリックで演出される不可能犯罪、そしてそれを鮮やかなロジックで暴く名探偵。 根底のミステリが見事であるのは言うに及ばず、刺青という頽廃的な美の演出が強烈な魅力。刺青の人皮つけたトルソの描写から入るのはずるい。 そして昔の名のある作家はマジで文章が上手い。特別なことはしてないのに、味わいがあって尚且つ読みやすい。 完全無欠の天才イケメン探偵神津恭介だが、突然碁を打ちだして相手の人間性を測るとかエキセントリックさもあって良き。

    5
    投稿日: 2024.07.01
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    背中に大蛇丸の刺青を彫った女が密室となった浴室で殺され、しかもその胴体はどこかに持ち去られていた。明智小五郎、金田一耕助とならぶ日本三大探偵のひとり、神津恭介のデビュー作。(しかしその登場は終盤まで焦らされる) 刺青に魅入られた医学博士や女の情夫、刺青にまつわる迷信など、戦後間もなくという時代とあいまって妖しく耽美的なストーリー。 ちなみに、本バージョンは大幅に書き直されて1953年に刊行された改稿版。1948年に刊行された初稿版は、『初稿・刺青殺人事件』として扶桑社より出版されている。

    0
    投稿日: 2024.03.13
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    マジでやられたミステリ リスト作品 いにしえの単行本を持っていたけど通読する前にやむなく処分してしまった悲しい記憶があるタイトル 内容についての記憶は全くない 「イレズミ」じゃなくて「シセイ」 高木彬光作品は「破戒-」「人形-」に次いで3作目 読もう読もうと思っているうちに積読が角川版、扶桑社版、光文社版、の3冊になる 読みやすそうな光文社をチョイス 〜ざっくりあらすじ〜 刺青を剥ぎ取られた死体が!同様に2人目の犠牲者が! 〜感想〜 二十章の構成 まず第一章から、読んでいて快感を覚えるほどの文章力 刺青への興味がそそられる 気づいてしまったが、作中に!は出てくるけど?は無い 筆者のこだわりか時代的なものか分からないが 会話文か地の文かを問わず、ときどき読解力を求められる ?で終わる文章に慣れきっているんだなと痛感 十四章のラストで 「読者への挑戦」きたー! 犯人と最初の事件の遺体が誰なのかはおぼろげに分かったけど詳細はよ そして十五章で神津恭介が本作初登場という完璧な流れ ぶっちゃけこの人忘れてました 研三が探偵役になりそうだったし 犯人と対峙する場面からの解決語り編 良いです ラストシーンも趣きがあってお洒落感も良い 解説で高木彬光デビュー作だと思い出す 天才かよ 評価点4.5点 辛めで四つ星かな

    0
    投稿日: 2024.03.12
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    明智小五郎、金田一耕助と並ぶ日本三大探偵の一角、神津恭介が初登場する推理小説。 他の二人と比べて全く知名度が高くない理由はなんとなくわかる。小さい頃から秀才で東大出身、身なりもきちんとしていて推理も論理的、いわゆる正統派すぎる探偵。 ただ、推理物としては非常に面白かった。密室が物理的また心理的にもトリックになっていて、まさに古き良き本格ミステリー。

    0
    投稿日: 2023.10.10
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    刺青の歴史、戦後の雰囲気、色褪せない素敵な作品でした。(名探偵ものがとても好きです) 神津恭介の登場にはテンションが上がりました。名探偵の登場にテンションが上がったのは初めてです。 難事件を華麗に推理する神津恭介は本当にかっこいい! もっと読みたい!そう思いました。光文社さん他の作品も新装版お願いします!!!

    1
    投稿日: 2023.07.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    背中に刺青がある双子と言う事でほぼ想定通りだったかな。でも、細かい部分のトリック(特に密室)は分からなかったです。逆に外部で殺害して分割して狭い窓から中に入れたパターンかと思った。 最初、珠枝の写真を加工したかと思ったがそもそも珠枝(の脚)には刺青が無かったのね。そう言って珠枝の描写に戻って読み返すと確かに、際どいけど脚に刺青があるとまでは書いてありませんでした。 また、絹枝な死を想定させる描写(冒頭)や銭湯のシーンも微妙にぼかして書いてありますね。 文章は古典なのに読みやすかったです。ただ、技術が当時のものなのでリアリティラインの線引は難しいかもしれません。

    0
    投稿日: 2023.06.13
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    怪奇ものの抗いがたい危うい魅力を纏いながらも、新しい時代に向かう論理的展開を中心に据えた作品。 密室が解けることにより、犯行現場を誤認させるという心理的トリックが見事。 ほかにも見せつけるようで隠し、隠しているようで見せつけるといった表裏一体の仕掛けを乾板の陰画と陽画に重ね合わせた暗示も素晴らしい。 犯罪の遺伝的側面やファイロ・ヴァンス風の心理的分析により容疑者を排除していく手法など現在の本格では好まれない部分もあるがかえって本書に時代めいた怪しさを付与するスパイスになっている。

    0
    投稿日: 2023.03.31
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    古い作品なので、読みにくそうだなぁと勝手に思い長い間詰んでありました。 しかし読んでみるとほとんど読みにくさはなかったです。 犯人はこの人かなぁ?と思いましたが、トリックは最後までわからずでした。 わかった時はあぁなるほどねぇと唸ってしまいました。 思い込みって怖い笑 密室のトリックがそこまで重要視されていないのも個人的には高評価でした。

    2
    投稿日: 2022.10.13
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    女の背中に蠢く大蛇の刺青。元軍医の松下は誘われるまま彼女の家に行き、鍵の閉まった浴室で胴体のない女の死体を目撃する。この謎に対峙するのは名探偵・神津恭介。 ミステリーのマストリード本なんかで必ず名前があがっているので、とうとう読みました。 話の合間に読者に「大変な事が起こっているのですよ……っ!」と言ってくる感じ、乱歩さんぽい(偏見)。犯人はわかりやすい気がしましたが、トリックはわからず。 戦後間もない日本の雰囲気を感じられ、雰囲気が良かったです。文章はそんなに古めかしく感じなかった。 肝心の名探偵・神津がなかなか登場しないな。などと思っていたら、現れ、強引なところも感じるものの見事に犯人を断定していき、そんなところも含めて楽しみました。

    0
    投稿日: 2022.03.06
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    いつか読みたいと思いつつ ずっと手が出せていなかった神津恭介シリーズ。 名作との誉れ高い本書をようやく読むことができた。 読み始め、物語の設定された年代もあって 古臭さというか入り込めないところがあったものの 中盤からは入り込め、神津恭介が出てきてからは 一気読みでした。 いろんな箇所に粗さは見えるものの デビュー作ということで密室トリックへのこだわりや 読者への挑戦状など初期衝動に溢れている。 本作に欠かせないギミックではあるものの 作中、刺青への偏執的な薀蓄が多く やや辟易するところはあるものの、 そういうある種の禁忌性を帯びたものへの 偏執的な愛・耽溺・マニア性・怪奇趣味が 乱歩全盛時代の当時のミステリー界には 受け入れられやすかったのかもしれない。 全体的に読みやすいとは言えないものの、 ミステリーとしての論理性などは今でも色褪せないもので ミステリー好きならやはり一読に値する作品だと思う。

    1
    投稿日: 2022.01.10
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    神津恭介の初めての事件。 密室、刺青、持ち去られた胴体、と ミステリー好きには堪らない要素が たくさんありました。 これからこのシリーズも読んでいきたい。

    0
    投稿日: 2021.01.29
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    初神津恭介シリーズ。いつ出てくるんだろう?と思ってたら、終盤ひょっこり出てきて、あっさり解決してしまった!頭良すぎ。密室での殺人。私はというと、刑事と一緒にうまい具合にミスリードされ右往左往。昔だからできただろうトリックだけど、とても読みやすかったし、面白く読めた。シリーズで追いかけたい。

    1
    投稿日: 2020.11.17
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    初高木彬光作品。 よく書かれていて面白く読んだ。 昔の作品と侮っていた。 高木彬光作品も少しずつ読んでいきたい。

    1
    投稿日: 2020.07.12
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    舞台は終戦翌年の東京。刺青に彩られた妖艶な美女、密室殺人、容疑者のアリバイ、名探偵登場というミステリーの醍醐味を味わえる。 名探偵神津恭介初登場にして著者のデビュー作として名高い。

    1
    投稿日: 2020.07.11
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    我が家に縁のある方らしいので、どれどれと思い読んでみました。 70年以上も前の小説ですが、なんでしょう古くささや読みにくさはありませんでした。 神津さんかっこよすぎ。そして謎とき早すぎ!すげぇ! やはり古き良きミステリーはいいですね。 読者への挑戦とか滾りますね。

    0
    投稿日: 2020.02.09
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    恥ずかしながら、高木作品初読みです。読友さんたちがこぞって推薦する名探偵神津恭介。颯爽と現れ美しい推理を披露し…ああ、間違いないです。ついていきます!刺青、バラバラ、密室、双子。美しい耽美な世界が見事に作られているのを感じます。どこかにふわっとクイーンやダインの香りが漂う気がして嬉しいのは欲目かな。今となってはトリックは目新しくはないのかもしれませんが、〇〇の意味がとても良かった。綺麗な本格探偵小説でした。もっと早く読めば良かったです。更に、スカイエマさんの表紙絵が好みで、読後何度も隅々まで眺めました。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    機械的密室と心理の密室にネガポジの反転、全部全部きれいに騙された!半分以上過ぎてから登場する名探偵・神津恭介のあっという間の謎解きもあっさりしてて良い 研三と神津恭介の仲の良さには友情ってどんな時代でも変わらないんだなあと思いました

    0
    投稿日: 2018.09.24
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    トリックの秀逸さもさることながら、刺青の魅力が伝わってくる一冊。刺青が反社会的なとものとして捉えられてしまってることが残念にかんじます。

    0
    投稿日: 2017.10.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初の百頁くらいは延々と刺青講座。やっとバラバラ死体だ、密室だ…で、探偵登場はやっと半分過ぎてからなんである。密室はあっという間に解決しちゃったけど、確かにその意図は分からんかったわ。ちゃんと騙された〜。 色々と古めかしい気はするが、刺青周辺の人と医者学者に探偵と警官しか登場しないから、さほど違和感なし。 ただ、「夜の女」とは言え、彼女にも生活があったわけで、消えたら隣人なり同僚なりが騒ぐんじゃなかろーか。

    0
    投稿日: 2017.09.22
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    タイトルの「刺青」は「しせい」と読む。 刺青競艶会で他を圧倒して優勝をさらった絹江の「大蛇丸」。 研三と早川博士によって見つけられた死体は、密室の浴室で胴体だけが持ち去られたバラバラにされていた。 流れ出る水道の水で、死体の血はきれいに洗い流されていた。 やがて絹江の夫である竹蔵が発見され、絹江を殺して自殺したと思われた。 だが、第三の惨劇が起きる。 絹江の兄・常太郎が刺青を剥ぎ取られた状態で死体で発見された。 潜在的にすりこまれた密室にいだくイメージ。 トリック(密室)よりも、心理的に植え付けられた(ミスリードの)トリックが素晴らしい。 自雷也(文字は本分のまま)、大蛇丸、綱手姫にまつわる禁忌の三すくみ。 序盤で提示される大胆なトリックには脱帽した。 真相への糸口が、さりげなく伏線として描かれているのも本格推理小説としての定義から外れてはいない。 物語の中で考えつくされた公正な表現。 例えば斃れていたと殺されていた・・・などの絶妙な表現と、計算された構成に驚いた。 1948年に書かれたもので、すでに半世紀以上の時が経っている。 しかし、いまなお異彩を放っていることに驚く。 新装版は大幅な改稿がされた後のものが収録されている。

    0
    投稿日: 2017.02.27
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    明智・金田一と並んで日本三大探偵であるらしい神津恭介の初登場作品。 世にも見事な大蛇丸の刺青を背負った女が殺され、その胴体だけが持ち去られた。 次いで女の夫と兄も殺される。 事件に巻き込まれた松下研三は、偶然再会した神津恭介に事件解決を依頼する。 神津の登場はかなり後半のほうで、そこまでは陰惨な事件の様子よりも刺青という芸術についてとくとくと聞かされる印象で、絢爛豪華な刺青にあてられて眩暈がしそうでした。 後に書き直したとはいえ地の文も会話も固さ柔らかさがちょうどよく、高木彬光はやっぱり良いと再確認しました。

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    投稿日: 2016.11.10
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    最初は文章がタルかったが、慣れれば一気に読めた。 内容としては食い足りなかったが、時代背景を考えると、十分猟奇的であり、奇抜かなと思える。 違う作品と読み比べるのもいいか

    0
    投稿日: 2015.12.23
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    何を隠そう…というか、別に隠していないのですが、古色蒼然とした"探偵小説"が好きです。(推理小説というより探偵小説という感じが合っているかと) しかし、高木彬光氏の作品は不覚にもこれまで『能面殺人事件』しか読んだことがなく、今更ながらにこちらを読みましたが… なるほど。日本の探偵小説・推理小説オールタイムベスト投票のような企画で必ず上位に入る作品だけあります。 今となっては(他の推理小説を読みつけた身としては)トリックの要のところは読めてしまいますが、この、"耽美な"プロットがいい。そしてこの「読者への挑戦状」にはしびれる(笑。大いに楽しみました。

    0
    投稿日: 2015.10.31
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    密室をテーマにミステリを語るとき、必ずといっていいほど話題に上るこの『刺青殺人事件』 機械的トリックの裏にある企みは、現代でも十分に通用するもののように思います。 そして胴体を持ち出された死体の謎は、読者の思い込みを巧みに利用し、簡単に思いつきそうでいて盲点になっていた箇所を突いてくる素晴らしいものでした。 そしてなによりデビュー作にしてこれだけの大作を発表したことに驚きました。 まだまだ未読の作品があるので、楽しみに読んでいきたいです。

    0
    投稿日: 2015.03.06
  • 近代推理小説の原点に近い作品です。

    昭和中期のベストセラーであり、本格推理の王道ともいえるクラシカルな密室殺人ものです。高木氏の作品では、間違いなく五指に入るでしょう。 舞台が変転極まりない敗戦直後なので、古臭さはなく、疾風怒涛の空気さえ感じる時代小説として読めるでしょう。そういう意味で違和感はないと思います。 著者の格調高き文体は、昭和の貴重な文化遺産であり、敗戦の生んだ落としだねの毒の花が咲く様を見事に表現しています。ときに威迫的であり、扇情的でもあり、気づくと、まるで高僧の訓話を聞かされている気分なることもあります。タイトル通り、刺青をテーマにした小説であり、絢爛華麗な極彩色の錦絵が網膜に浮かんできます。 中盤過ぎに、当時の小説で流行した読者への挑戦状(いわゆる犯人当てクイズ)があり、作者が心魂を砕きあげて作り上げた世界に、読者自身が登場人物として参加することもできます。

    1
    投稿日: 2014.06.16
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    冒頭の刺青の耽美講義から作品世界に惹き込まれました。猟奇的な死体も相まって良い雰囲気です。 密室トリックは初歩的で拍子抜けしましたが、そこから派生する「何故、密室にしなければならなかったのか」と「何故、胴体が消えたのか」のプロットが実に素晴らしいです。「日本推理小説史上に欠かすことのできない作品」という評価は十分頷けます。 ただ一つ気になったのは、「読者への挑戦」の後で新事実が発覚することです。推理する条件はある程度揃っているとはいえ、探偵と読者が公平でないのはややアンフェアかなと思います。

    1
    投稿日: 2014.03.15