
総合評価
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powered by ブクログ表題作『袋小路の男』とこれを三人称視点で描く『小田切孝の言い分』、叔父とメイの手紙のやりとりを書く『アーリオ オーリオ』の三作品収録。 <袋小路・小田切> 小田切と大谷の絶妙な距離感が何とも言えない読み心地を与えてくれる小説。大谷が小田切を「友達」というワードで絶対に表現しなかったり、性的関係を結ばなかったり、それでも精神面で、というか心のどこかで依存している。そんな感じ。 だからと言って、この距離感が良いというつもりは全くと言っていいほど無い。解説の言葉を借りるなら「狎れ合い・癒着・自他の融合」・・・。ネガティブな言葉ではあっても、それがもたらす影響は必ずしもネガティブではない。解説者はこの小説を”哀切”と表現しているが、それならばなおのことフィクションのままでいてほしいもの。以前読んだ某小説(越谷オサム『陽だまりの彼女』)のような胸糞悪くなるほどベタベタしたいちゃつきもそれはそれでオッケーだと思うし、寂しがり屋な自分としてはむしろ好みでもある。 とはいえ、何気にがんばって独特の距離を作り出している小田切はすごく好きだ。人同士の距離をうまく量れない粘着質な自分からすれば、彼に憧憬したりもする。 <アーリオ オーリオ> 下宿生活時代、毎日ペペロンチーノ(チーニ?)をつくって食べていた頃を思い出す。主人公のように300gも食べてはいないが。 主人公”哲”が最後の手紙を書ききらずに止めたのには、何故だかとても安心した。「簡単そうで、美味しく作るのは難しい」(p125)ペペロンチーノをつくるように、哲と姪の距離を仕上げるベストな選択肢だと思ったからなのかもしれない。 だが、週5以上のペースでロクに具も入ってないペペロンチーノを食ってた身として言わせてもらえば、たまにはありったけの具材を突っ込んでみたくなる。もう少し具材というか、彩りが欲しいなと思える哲の生活。 それでも、この小説に感動してしまうのは、基本となるベースの味をしっかりと思い出させてくれるからなのかも知れない。一旦初心に帰るというか・・・この感覚は、この後読んだ同著者の小説(『ニート』角川書店)で再確認することになった。
0投稿日: 2011.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
*引用* 引っ越しが終わって少し落ち着いた頃、あなたは、私の家に来て、いきなり冷蔵庫を開けた。びっくりした。いきなりスカートをめくられるよりびっくりした。 「ちゃんと生活してるな」 冷蔵庫を閉めながらあなたは言った。それから居心地悪そうにコーヒーを一杯だけ飲んで帰った。あなたが帰った後、掃除したばかりの部屋で私は落ち着かなかった。 ――『袋小路の男』 p.47
0投稿日: 2011.11.16
powered by ブクログ女性心理、男性心理が実に分かりやすい。そして、ちょっとした彼のしぐさや言葉で一喜一憂する日向子がせつない。でも彼らは一生関わっていくんだろうな。 アーリオオーリオも、すばらしかった。中学生の美由の瑞々しさ、哲のちょっとした諦めた感じなど、リアルだな~(笑) 絲山さんはすばらしい。
0投稿日: 2011.11.13
powered by ブクログ短編が三つ. 絲山さんの流れるような文章は,言葉の一つ一つが丁寧で,読みやすくさくさくと,しかし心情描写は不可解なほど噛み千切れない気持ちになります. 分からないというよりは,いや,人間の心情ってそうすっぱりいかないよね,っていう共感. 表題作ではなく三番目に収録されている「アーリオ・オーリオ」は傑作です. 高校時代,受験の国語の問題に出されて思わず読みふけり,その後単行本を探しに本屋に走ったのも良い思い出です. 読むと,きっと噛み切れないと思います.
0投稿日: 2011.11.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
追っかける恋愛が好きな人には 気持ちわかるよ 「袋小路の男」「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」3つの短編のバランスが丁度いいな 30回川端康成文学賞受賞
0投稿日: 2011.09.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
スラスラ読めたけど、やっぱり私は文章にもう少しクセのある人が好きだなあ。表題の袋小路の男、小田切孝の言い分は連作。自分から見る他人ってのは、本当に一面的でしかないのだよな。これは別に恋愛だけに限らなくて。だからこそ、決めつけずに常にフラットな気持ちで人と接したいものだ。
0投稿日: 2011.08.06
powered by ブクログ背伸びしてない恋愛小説。きわめてごく普通の片思い。 普通でも執拗に思い続けるのは、恋じゃなくて、変だ。 私には、この主人公のように執拗に思い続けることは、出来ない。 振られたらちょっと落ち込んで、軽やかに次にいくのが、普通の人でしょ。あるいはちょっと弱いと、ストーカーになるか。 そのどちらでもない、これは、精神が異常なほどタフな人の、普通の日常のお話。
0投稿日: 2011.08.01
powered by ブクログふたりの間に在る微妙な距離。 1話目の「わたし」と「あなた」が、 2話目で名前を持って現れると、 世界がまったく違ったものになる。 解説でも触れられているけれど、 この試みに快感を覚えました。 3話目は前の2話とある「距離」 を感じさせる関係という意味で 地続きの物語。未知の物質で 満たされた宇宙を微かに貫く 星の光は関係性の暗喩なのか。 大島弓子のような読後感でした。 余談ですが、紹介文を読んで 泥沼型純愛話と予想しましたが、 良い方向に裏切られました。
0投稿日: 2011.07.11
powered by ブクログ「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」、どちらもいい雰囲気です。 二人の距離がもう少し何とかならないかと思いますが、その何ともならない距離が主題なんでしょう。 「アーリオ オーリオ」もいい風が流れる、違う意味合いの二人の距離の作品です。
0投稿日: 2011.07.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
純愛というのは はたから見ると時に滑稽なものだ。 家柄だとか身分だのが足かせになった時代でもなく、20歳を超えた社会人が 純愛してる と言うのはどちらかに相当の「思い込み」みたいなものがなければ成立しない。 主人公の「私」も過分に思い込みの激しい人物だが 当人はそれに気がついていない。(その気付かなさ加減は2章で語られるが) 「私」が格好いいと思い続ける「あなた」は定職に就かず(就けず)作家を夢見、酔って自宅の窓から飛び降りて入院などし、何よりいい年をして母親の比護の元実家で暮らしている。(これって結構格好悪いよ)こういう男というのは ある程度の年齢以降例外なくルックスも急激な下降線をたどる。 「私」だって、付き合う男はどれもこれもよりによって・・、というような輩だし、こんな2人が私の友人だったとしたら「どうぞご勝手に」としか思えない。 そして 心では「でも要は 彼女じゃタタナイってことよね。それはきっとこの先もずっとじゃんね?」と気の毒に思うだろう。 ここの往生際を自分で解する勇気というのが 女には必要だと思うのだが・・。
3投稿日: 2011.06.13
powered by ブクログふーんて感じだったけどなんだか今後読み返したくなる日が来るような気がするな。図書館からの借り物だったけど一応購入しておこうかと。
0投稿日: 2011.04.03
powered by ブクログ理解できるかもしれないし、できないかもしれない。 これを読んで、しあわせって人それぞれなんだって、改めてそう思いました。
0投稿日: 2011.01.30
powered by ブクログ図書館で借りた本。 う~ん。可もなく不可もなく。ずるずると、曖昧な関係を続けるってのが、よくわからないから。そして、日向子にある種の我儘さが嗅ぎとれるから。
0投稿日: 2010.12.19
powered by ブクログどんなに相手がツレないときも、日向子は相手を愛し続ける。 こんな強い愛情ってどこから作られるのだろうと一瞬考えたけれど、それって「作られる」ものじゃないのかも。 日向子は孝を愛する為に生まれた。そう思ってしまうくらいの濃い愛情が全体に漂っています。
0投稿日: 2010.12.17
powered by ブクログ読み手としては、つい主人公に同情しがちだけど、主人公が変われば感じ方はまた違う。 両方の目線から見た世界を感じることができて面白かった。
0投稿日: 2010.12.11
powered by ブクログ自分はだれかにとことん尽くすというタイプでないので、小田切みたいなのを見ると殴ってやりたくなる。どうしてそんな男をずっと見続けられるの?と不思議に思ってしまうがそれは人それぞれ。絲山さんの本は読みやすくさらりと読めてしまうのだが、後で思い返すと手の間から砂がこぼれ落ちたように感覚だけ残っていて中身が思い出せない。
0投稿日: 2010.11.12
powered by ブクログ絲山秋子の作品を読むのは、これが3冊目。 『イッツ・オンリー・トーク』、『ニート』と同様にダメ人間登場。この短編の中の2編、『袋小路の男』と『小田切孝の言い分』は同じ物語で、『小田切孝の言い分』が、『袋小路の男』の物語が1人称で語られていたものを3人称で書き直した面白い作りとなっている。この物語に出てくる大谷日向子、小田切孝ともに、何だかイライラさせる人間である。そう、絲山秋子の作品の登場人物は、読み手を何だかイライラさせるのである。全くもう、何でこんなにイライラさせられるのだろうかと考えていたら、3冊目にしてそれがどうしてなのかわかった。このような登場人物がファンタジーの世界ではなくて、現実に存在するからである。絲山秋子の描く登場人物は、とてもリアルなるが故に、このダメさが痛烈に伝わってくるのである。 そして本作品には、『アーリオ オーリオ』なんていう、独身中年と中学生の姪のちょっとほのぼのとしたストーリーもあったりして、素直な温かさの一面も見せてくれたりするので、最後はちょっとほっとする感じであった。
0投稿日: 2010.10.29
powered by ブクログ川端康成文学賞をもらったこの「袋小路の男」。 この作品は、多分、今後の人生において、 山田詠美の「アニマル・ロジック」みたいに、 何度も読み直すくらい気に入った。 いくつかすごく綺麗な比喩表現が散りばめられてて その文章があまりに美しすぎて、 なんだか宝石箱の中にある宝石を 何度も見てしまうように 何度でも読んで味わいたい。 タイトルもすごくよく考えてつけられている。 どうしようもないオトコに振り回されてしまう 片思いの女性の心理が、こんなにも悲しく こんなにもせつなく書けるって、本当にすごい。 それと距離感、人と人との距離。 2人の間の距離。それがとてもよく表現されている。 「袋小路の男」だけでも完璧だと思うけど 「小田切孝の言い分」は、 そのどうしようもないオトコの視点から書かれた もう1つの物語。 オトコの立場から言うと、物語はそうなるのかと ちょっとだけ納得してしまう物語。 この2編は最強かもしれない 最高におすすめの1冊。
0投稿日: 2010.09.22
powered by ブクログ絲山さんの本の中で川端康成文学賞をとった作品があると知り、探して、読んだ本。やっぱ他より断然好き。 文章のまとまりがやはりスマートだし、頭いい感じするの、好き。 裏のある純粋さ。 ストーリーも、よかった。自分だったら、苦しいけど。 すごく日常に近く、自然に描けてるなーと。 片想いか・・。 アーリオオーリオは途中から読み飽きて放置している笑
0投稿日: 2010.07.22
powered by ブクログもうちょっと、よくわからない話が読みたかった。「アーリオ オーリオ」は天文ファンの出てくる話で、ぐんま天文台で観測するシーンもある。
0投稿日: 2010.07.12
powered by ブクログこの絲山秋子という人の紡ぐ文章がとても好きになってしまいました。 こんな素敵な短篇集に出会えたことに感謝します。 どことなく、お日様のあたった布団のような匂いがします。 「わかる!」とか「切ないなぁ」とか激しく共感する本ではない。 けれど、不思議な温かさを胸の中に残してくれます。 それはきっと、みんなの生きている毎日が、 そういう感じだからだと思うのです。
0投稿日: 2010.06.29
powered by ブクログお友達からのおすすめ本。 自分と相手のスタイルを何より尊重しつつ、微妙な距離をとりながら、けれども確かに繋がっている彼と彼女の話。 うううもどかしい! 違うの、これが嫌いなわけではなくて。逆のものが好きなだけです。 たぶんこのお話が嫌っている、ゼロ距離のもたれあい、依存し合い、「あなたがいないと生きていけない」、二人一緒にぬかるみへ首までどっぷり浸かりきったような関係が。
0投稿日: 2010.06.15
powered by ブクログ「わたし」と「あなた」の微妙な人間関係がじれったい。 このさきもずっと、この関係は変わらないんだろうな。 「わたし」はどういう気持ちなんだろう。 「うれしい」「たのしい」「せつない」「むなしい」 一喜一憂な「わたし」 こんな実体験はないのに、妙に共感してしまい、 なんかいいなあと思う。 もうひとつの短編『アーリオオーリオ』も、天体をベースにしていてろまんちっく。
0投稿日: 2010.05.31
powered by ブクログなんてかっこよくて、なんてだめな男! きゅんっきゅんの恋愛モノ。私にとっては。 現実にこんな状況だったら困り果てるかもしれないけど、本で読む分には最高。 『小田切孝の言い分』の最後の一文でずっきゅんとやられました。
0投稿日: 2010.05.23
powered by ブクログどうしてこんなに宗教みたいに絶対的で盲信的なんだろう。 もじにするとあまりにも狂気じみている。でもわたしが納得できないところはひとつもない。 ただの信者なのだ。とてもおろかしい信者。 だれより懸命で、じぶんのねがいがかなわないのをしっている。
0投稿日: 2010.04.10
powered by ブクログ日向子は小田切を袋小路に追いつめることだってできる。それをわかっていてしないところに、彼女の小田切に対する優位や強がりのようなものを感じもするけれど、なによりも、本当に小田切のことが好きだということが伝わって、切なかった。 俺が死んだら、と小田切が言うやりとりで日向子は「私はあなたの骨の小さなかけらをくすねることを考える。半分は乳鉢で擂ってカフェオレに入れて飲んでしまう。そしたら私の骨になる。」と妄想する。その一節に込められた思いのなんと深いことか。
1投稿日: 2010.03.15
powered by ブクログ20分足らずで読めるさらっとした文章。にもかかわらず、読んだあとに不思議な満足感のある本です。わたしはこういう恋愛をしたことがないからかもしれませんが、新鮮さと、優しさとを感じました。
0投稿日: 2010.03.13
powered by ブクログこの本を読んだ後に、この作家が芥川賞を受賞した。納得。 川上弘美とはもちろん違うが、すっと文章の中に自然と入っていける感じだった。 袋小路にある家に住んでるあなたと、彼を好きな私。 私の視点でほとんどが構成されているが、後半あなたから見た私などが出てくる。 主人公はずっと彼のことを高校生の時から好きなのに、彼はその気持ちを理解しつつも2人は付きあう関係ではなく、つかず離れずの関係をずっと続いている。 でもお互いに大切は存在であることはたしか。 最後、特別2人の関係が変わって終るという訳ではなく、そのままフェイドアウトするかのようにすっと話しは終ってしまった。 でも後味は悪くない。きっとこのまま自然に続くのだろうなという感じがしたから。 もう1つ収録されてる「アーリオオーリア」は清掃工場で働いている主人公と姪の中学生とが、一緒にプラネタリウムに行ってから文通を始める。 その中で、姪は若いだけあってどんどんいろんなことに興味を持ちどんどん成長していき、主人公は自分を見つめたりしたりもする。 これも取り立ててなにっていう話しではないかもしれないが、日々ギスギスちがちな現代人には、こういうおだやかに時間が流れていく本を読む必要があるのかもしれないとも思った。 ※2006年2月1日 読み終わる
1投稿日: 2010.03.09
powered by ブクログ全くもって好みじゃなかった。何がって登場人物が。だらだらと結論も出さずに中途半端でうっとおしいったら、ありゃしない。「アーリオ・オーリオ」はまあいいんだけど、「だから??」って印象だし。時間の無駄。好みの人いたら、すんませんね。
0投稿日: 2010.02.18
powered by ブクログこの本は二人称を使って、相手に親しく感じがあったし、告白レータとも感じた。 この本は片思いからはじめた、最初読むときは、主人公は男か女かわからなかった、ただ小田切さんのことが大好きということが強く感じた。本により小田切さんは浪人で、私にとってちょっと浮気な気がしたと感じたが、筆者は彼が好きで、大阪で就職し、東京に出張するときは、彼に似てる人に見て、追いつけることもした。そしてその後転勤して、彼と出会って、彼とほかの女性のラブラブ姿を見て、好きだが、口で言えないつらい気持ちも感じた。男同士の愛だが、筆者は柔軟な形で、深刻だが、強制がない感じはした。なんか彼のそばにいればいい感じがした。
0投稿日: 2010.01.07
powered by ブクログ何がいいのかわからないけど、よかった。 だから人間同士は空間を言葉で埋め尽くそうとする。
0投稿日: 2009.12.19
powered by ブクログ言葉の選び方がすごく好み。短編が3つ入っていて、最初の2つは一組の男女それぞれの目線で綴られていて両方読むことで物語に深みが増す。3つ目は他とはだいぶ雰囲気が違うんだけど、これはこれで温かい気持ちになれてよかった。
0投稿日: 2009.12.10
powered by ブクログ私に神様はいなかったから、お月さまに願った。あなたが、生きていて元気でありますように。それでも会うことなんて願わなかった。いくら相手が月でもそんな天文学的確率の話は無理だと思っていた。 (P.21)
0投稿日: 2009.12.10
powered by ブクログ<内容> 指も触れないまま「あなた」を思い続けた12年間。 恋人でも友人でもない関係を描く究極の純愛小説。 第134回川端康成文学賞受賞の表題作を含む3篇を収録した短篇集。 <感想> 表題作「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」は連作。 それに「アーリオオーリオ」を加えた短編3編。 この小説は、理解できる人は共感できるけれど、 わからない人には理解不能の小説だと思う。 私は、大谷日向子の小田切孝への気持ちは「純愛」だと思う。 何をしても断ち切れない彼への想い。彼と完全に切れないのは彼も日向子が必要だと思っているから。 それに日向子は気付いていない。無機質な小田切の印象は、「小田切孝の言い分」で色を持ち始める。 小田切孝、イヤな男だけど惹かれてしまうキモチもわかる気がした。 3話目の「アーリオオーリオ」は、全く違う小説。 こちらの評判の方が良かったのだけれど、私はダメでした。
0投稿日: 2009.12.04
powered by ブクログ表題作とリンク作の『小田切孝の言い分』は 今ひとつ入り込めず・・・帯に「指一本触れないまま 『あなた』を想い続けた」とあるのですが、そこまで 想い続けるほどの小田切の魅力がまったくわからず。 視点を変えて書かれた2編目を読んだら 想い続けてる日向子のほうにもさらに同調できなくなり 読み終えても、どうにもすっきりできませんでした。 一転、3編目の『アーリオ オーリオ』は好きでした。 世の中に普通ーになじんで暮らしている人と比べると ちょっとはみ出しちゃってる人たちが主人公なのは 3編に共通だと思うのですが、 『アーリオ オーリオ』はわかりやすかったです。
0投稿日: 2009.11.22
powered by ブクログ絲山秋子の『袋小路の男』を読んだ。 2005年の本屋大賞にランクインしてたのでチェックしてたんだけど、川端康成文学賞というものも受賞していた事が読んだ後に判明した。 自分の疎さにまいる。 この作者の文体は素直な感じで僕は好きだ。 何か大きな出来事が起こるわけでもなく、どちらかというと淡々と事が進むのだが、不思議と惹きつけられるものがある。 それに、本作は3本の短編で構成されていて、ボリューム的に今の僕が読むのにぴったりだった。 表題作は袋小路に住む男とその高校の後輩の女との、ひとことで言えば純愛物語だ。 男は頭は良いのだけれど素行が悪く、でも、それに惹かれる女がいて、彼女はずっと彼を追いかけている。 いわば男のファンのような形で始まる恋なんだけど、男が期待に応えてくれることはなく、だらだらと手も繋がない不思議な恋愛関係が続いていく。 恋人未満家族以上、と彼女は思うのだった。 病院で男が泣くシーンで涙が流れた。 なんの感情だか自分ではわからなかった。 もうひとつ、男のほうからの視点で描かれた短編『小田切孝の言い分』が収録されている。 こちらはサイドストーリーだ。 男はジャズバーでバーテンのようなアルバイトをしている。 女とはカウンター越しの距離感を保ったままだ。 それでも、お互いの想いが伝わってくる。 恋愛にいろんなカタチがあるのだろうけど、ちょっとせつない。 最後の作品は『アーリオ オーリオ』 パスタと星と仕事に孤独に生きる叔父さんと中学3年生の女の子の話。 女の子をプラネタリウムに連れて行ってあげたことから、二人の文通が始まる。 瑞々しい完成の中学生と“おじさん”とのコミュニケーションは、不思議と胸に感動を宿す。 なんてことない日常にいろんな発見が隠されているのだろうな。 人と人との結びつきには言葉を超えた何かチカラがあると思う。 互いに影響し合い、励ましあい、時には背中を押してもらう勇気となり、感動を共にする。 感情の世界は深遠でとても理解しがたいが、人を尊敬する関係になったとき、自らを高めるパートナーとなれるのだ、きっと。 知人であれ、親友であれ、恋人であれ、伴侶であれ、憧れであれ。 今はただ、一緒に涙しあえる友がいることに感謝したい。
0投稿日: 2009.11.13
powered by ブクログ絲山 秋子の文章って独特で、読むとむずむずする。本作もそう。 付かず離れずのふたりのむずむずした距離感が伝わってくる。が、これが男女の関係として「ちょうどいい」とは思わない。いつか均衡が崩れる。そういう儚い感じ。
0投稿日: 2009.11.11
powered by ブクログ表題作と他2篇。 つかず離れず、距離感がとてもすばらしい。 微妙な空気感や流れるような時間は読んでてとても居心地がいい。 初めて読んだけど作者をとても気に入ってしまった。
0投稿日: 2009.11.10
powered by ブクログこの不思議な距離感、絶妙。 純愛ってこういうものかしら。 「小田切孝の言い分」のおかげでまた「袋小路の男」の感じ方が変わるところが素敵だと思った。 切なくて、そしてなんだか微笑ましい。 「アーリオ・オーリオ」はほっこり美しい。 淡々とした文章、なのに、なんだかあったかい。 このひとの文章好きかも。
0投稿日: 2009.10.19
powered by ブクログ090809(a 090902) 090924(a 091006) 100305(a 100330) 100413(a 100812) 101001(a 101024)
0投稿日: 2009.09.21
powered by ブクログ知り合ってから12年もの間、 付かず離れずを繰り返す不器用な男女。 勿論、身体の関係もないままで。 女目線と男目線各々で書かれた短編集だったが、 距離感や温度差がよく出ていた。 3つ目の短編『アーリオ オーリオ』は凄く良かった! 独身中年の叔父と中3の姪との交流。 メールの時代にあって、 日にちを要する手紙でのやり取りがアタタカイ気持ちになった。
0投稿日: 2009.09.21
powered by ブクログこの距離感ね、いいよね。どうしたって届かないんだけど、お互いに気にし合っていて、でもそれ以上でもそれ以下でもない。 そういう人がわたしにはたくさんいて、そういう人こそ大切にしたいって思ってしまうんだけど、それは間違っているのかな。 この本、表紙のデザインも好き。 同時収録の「アーリオオーリオ」も、宇宙に思いを馳せる名作です。 絲山さんの作品を好きになった最初の一冊。
0投稿日: 2009.09.14
powered by ブクログこわごわと手を伸ばしたものの、 あれれれれ・・・。 これが、恋ですよね。 きっと大いに反論されそうだけれど。 ああやって誰かに恋をし続けるのは、 あるいはそう夢見させてくれたらと、 男に願うことはとても多い。 それが裏切られることも、また甘美ではあるが。
1投稿日: 2009.07.14
powered by ブクログ「小田切は答えずに背を向けた。それは、彼が嬉しいときの仕草だと日向子はずっと昔から知っていた。」 3つの短編からなるいい感じの本。 2つ目の「小田切の言い分」という短編が新鮮だった。文中で何の区切れも無く、語り部が変わる。こんな本は初めて読んだ。二人の想いが絡みながらもズレていて、着かず離れず時間が過ぎて、こんな関係は実際はあり得ないんだろうけど、小説だからそれは良しとしよう。
0投稿日: 2009.06.14
powered by ブクログう〜ん、なんだかなぁ。。。 「沖で待つ」で証明した通り絲山秋子の才能は本物であり、文学界期待の星の一人ではあるのだろう。 ポトスライムの舟でも感じたけど、こういうのは日本の私小説とまではいわないが、小説の作法の伝統を立派に受け継いでいると思う。(ようは主人公がうじうじ悩むという部分なのだが。。。)主人公が脊椎カリエスで悩もうが、だめ男にひっかかったことを悩もうが、読者にとってみればしょせん人ごとなのだが、しかし第三の新人たちは、その後、遠藤周作は沈黙を書き、阿川弘之は山本五十六を書きと成長していった。果たして絲山秋子はもっと高い次元にのぼっていけるのだろうか?
0投稿日: 2009.06.11
powered by ブクログ高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。指さえ触れることもなく12年、それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった・・・。 男女の微妙な距離感を描いた物語が3篇収められている。この微妙な距離感は、これらの物語と読者の距離感に似ている。常に、読者と一定の距離を置いた文体のリズム感が心地いい。でも、12年は長いなぁ。
0投稿日: 2009.06.08
powered by ブクログ彼に似ていてせつなくなった。 でもわたしは日向子ほど思いこみ激しくないし、嫉妬深くもない。 指一本触れずに、なんてこと絶対ない。 純愛にむいていないのか。
0投稿日: 2009.05.30
powered by ブクログ表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」の2作が収められている。 これはものすごい作品である。 「袋小路の男」は、「私」が高校の先輩である小田切孝(「あなた」)に恋愛感情を抱きながらも叶うことのないまま過ごす長い年月を描いた作品である。 登場人物同士の距離感、作者と登場人物の距離感が本当に本当に絶妙だ。 つかず離れずの2人の関係性や、「私」の「あなた」への思い、「私」の視点を通して伝わってくる「あなた」の人間性が、行間にふんだんに埋め込まれている。 それは文字どおり「言葉にできない」ものであり、それをわざわざ言葉にしないまま受け取ることで、読者としての自分は、「私」に共感することができるのだろう。 絲山秋子という作家は、少ない言葉数の文章とともに、そのような共感を呼び起こすことのできる行間を書くことができる人だ。 だから天才なのだと思う。 44ページから45ページにかけての「問題は」から始まる一節は、その真骨頂である。 声に出して読みたくなるほどの完璧な一節である。 「私」の「あなた」への愛情がとつとつと語られ、読者は「私」の思いを痛いほど知る。 それとともに、「私」の視点を頼りにして、読者は「あなた」の「私」への思いを、もしかしたら、と予測する。 けれども、それらは次の「小田切孝の言い分」で、鮮やかなほど見事に裏切られるのである。 「小田切孝の言い分」は、「袋小路の男」における「私」と「あなた」の心情や関係性を三人称の視点から捉え直した作品である。 「袋小路の男」では語られることのなかった、「私」すなわち大谷日向子の「あなた」すなわち小田切孝への、愛情一辺倒ではない冷静な感情や、小田切の本心が語られる。 読み進めるうち、単なる恋する女と恋される男でしかなかった2人が、次第に人間臭さを帯びてくる。 これが、一人称と三人称の距離感の違いなのか、と思わされる。 そして、もう一度「袋小路の男」を読み返したくなる。 「袋小路の男」の、2人が初めて出会うシーンの中で、「私」は「あなた」の家の屋根に生えているぺんぺん草を「あなた」の「原点」だと決めるのだが、あのシーンが2人や2人の関係性を象徴している。 まさに「原点」である。 そのことに、この2作を読み終え、再び「袋小路の男」を読み始めた時、初めて気づかされる。 「アーリオ オーリオ」は、主人公松尾哲と、姪の美由のやり取りを描いた作品である。 「袋小路の男」や「小田切孝の言い分」と同様、2人の心の通い合いとすれ違いが危ういバランスで維持されている。 2人は主に手紙のやり取りをするのだが、2人が相手から受け取った手紙を読みつつ、文面には書かれていない相手の様子や心情に思いをはせるのと同じように、読者である自分も行間に思いをはせることができる。 近づきそうで近づくことのない2人の距離感は、結末部分に見事に表現されている。 前2作と同様、何度でも読み返したくなる味わい深い作品である。
1投稿日: 2009.01.28
powered by ブクログ不思議な距離感と、 人を好きになったときのどうにもならない気持ちが 相変わらずサクサクと書かれていてヒジョーに読みやすい。 こんな風に私は好きな人を思い続けることは出来ないけれど、 気持ちは分からなくもないな、と思ってみたりね。
0投稿日: 2009.01.26
powered by ブクログ『おすすめ文庫王国2008』の第8位。そうでもなけりゃあ、とても手にしないタイトル&装丁ね。高校時代から付かず離れずズルズルと恋愛とも言えぬ付き合いを続け人生の袋小路に嵌った男女ひと組。表題作「袋小路の男」&「小田切孝の言い分」には、このズルズル感が女の側、男の側それぞれから描かれて、男と女の間には確かにこういうすれ違い感って有りますね。ただ、こういう付き合い方の切なさに、もはや胸が詰まる歳でもなく…。寧ろ私にはもうひとつの「アーリオ オーリオ」に描かれた、聞く耳を持たず未来について語りたがらない叔父と、その叔父が拘る世界に触発されしかし叔父とは違った方向で自分の世界を広げていく中学生の姪の関係のほうが、しっくり入りました。
0投稿日: 2009.01.10
powered by ブクログ久しぶりにキタ。すごーく感動した訳ではないけど、何か好き。 この人の書いた本をもっと読んでみたい。
0投稿日: 2008.12.31
powered by ブクログ短編「アーリオ オーリオ」が なんか…近年まれに見る(私にとっての)理想のお話…なんでだろ。 「私の手紙がおじさんに届くまでの三日間は、3光日の距離にある惑星アーリオオーリオの光が地球に届くまでの時間と同じです。」 あぁなんでだろう。なんでこんなに素敵な気がするんだろう。ゆっくり考えたい。
0投稿日: 2008.11.26
powered by ブクログこの本には ・袋小路の男、と ・アーリオ オーリオ の2話が収録されているが、後者が秀逸。徐々に自分の世界を作り上げていく姪の描写がいい。 描写は、銘と主人公、手紙、星を通してえがかれている。 手紙をかいたら、もらったら、星をみたら、そんなときにぜひ読んでみてほしい。
0投稿日: 2008.11.23
powered by ブクログカタチにならない片思いって 虚しいですか? それでも、しあわせですか? 大好きだった人を、1番大好きだった頃を思い出して、ちょっぴり痛んだ。
0投稿日: 2008.10.12
powered by ブクログ意見がコロコロ形をかえていつも感想を書いていてほとんどその時の気分に支配されているな。コイツって時々思って見下している。特に恋愛モノは。本書でなんだか共感できた箇所。「あなたの骨の小さなかけらをひとつだけくすねることを考える。」「何百回と会っているのに今日が一番好きだと思った。」「判らないんだったら、帰りな。」以上。
0投稿日: 2008.09.15
powered by ブクログ片思いは究極の純愛ですよね。 袋小路は女性視点。男性視点も同時収録されてます。 長く片思いしてる人はぜひ。
0投稿日: 2008.09.12
powered by ブクログどうも私はこの人の書く顔はいいのにダメ男に弱いみたいです・・・。 その好みはどうなのか・・・。 一番の見どころは男女の考え方の違い(笑) かみ合ってなくても生きていけるから人はこんなにも愛しい。
0投稿日: 2008.08.25
powered by ブクログ縁を切らせないさびしがりやの男。 こんな男はうざくて嫌です。 でもきっと出会ってしまえば、はまるのだ。
0投稿日: 2008.07.11
powered by ブクログそれでも、どうせ俺には判ってしまうんだが。 恋愛に発展しない関係が、もしかしたら一番続くのかもしれない。 でも、いつだって消滅の可能性があるから特別なんだとも思う。 すきなひとと、なんにもないままで18年間。 その覚悟が、私にはあるだろうか。
0投稿日: 2008.06.30
powered by ブクログ文庫本でツルッと読んだ。この人の書く文章は常に日常だ。そこに毒がある。触らないで10年以上の付き合いって、もう。 ほんとうに文章がうまい。 それが感想。この人は文章がうまい。
0投稿日: 2008.06.23
powered by ブクログ200806読了!★★★★ すごく好み!文体がこざっぱりとしていて、あとにひかないのがとてもいい。 やってることがやってることだけに、文章が女性っぽかったりすると、陰湿なものになりかねない。 テーマと文体がよく合ってて、なんだか短い夢をみているような気分になれた。 表題作は12年間、指すらも触れないふたりの物語。触れない愛が、不健康極まりないのに、ちっとも不潔でないのがすごい。 表題作が一人称で書かれていて、2話目は三人称。視点変え。すると、見えないものが見えてくる。 こっちは、さらに6年プラス。結局18年間、お互いに触れもしない。 相手がにぎりしめていた10円玉をもらって、そのぬくもりをじわりと感じる、とかね、 相手が握ったハンドルを握って、「ベタベタしているのを知れてうれしかった」とかね、 フェチじゃなくって、あたりまえすぎるんだけども、その時間が思い続けて10年とかなもんだから、重みがずっしりつたわってくる。 だけど、あくまで文体はかろやか。 短くてとても読みやすいので、センスが合う人には薦めてみたいと思います!おすすめ!
0投稿日: 2008.06.05
powered by ブクログ正直、表題作はあんまり好みではないのですが。。。 最後に入っている短編「アーリオ オーリオ」が大好きです。 高3のとき、センター対策模試の小説で抜粋して出題されたときからすごく好きでした。 やっと文庫化されてすっごく嬉しい! 天文好きでどこか冷めている主人公と 頭の良さゆえにどこか周囲に馴染めない中3の姪、美由ちゃん。 そんなふたりの手紙の交換を中心に物語が展開していきます。 試験中、この主人公の叔父さんがすっごいタイプ!!と思いながら読んでたのを思い出しましたw 読み返してみたらやっぱり超タイプでした。変わってませんww 付き合ってる女の人に「あなたは自分の世界があるから一人でいたほうがいいのかもしれない」 と、言われて最終的には耐えられず振られてしまうような男の人が好きです。。w ラストの描写がほんとうに鮮やかで爽やか。 美由ちゃんはきっと将来幸せになるだろうな、って予感がするような素敵な結末でした。
0投稿日: 2008.05.12
powered by ブクログ日向子と小田切の12年間の物語。 友だちでも恋人でもない、でもどこかでつながっている二人。 その関係性は何とも呼びがたい。 いつか小田切が日向子ときちんと向き合ってくれるといいなと思った。
0投稿日: 2008.02.28
powered by ブクログ幸せってなんなんだろーな心の支えが、少しあるといいそういう気になる作品かな「アーリオ・オーリオ」個人的にはこっちが好み文通が素敵だ
0投稿日: 2008.02.18
powered by ブクログ日向子の、小田切に対する気持ちのあり方がもどかしくて、悲しかった。自分と相手が、お互いの関係に求めてるものが違って、どうしようもない。振り切ろうにも、年月を積み重ねすぎていて、身動きができなくて。自分の気持ちだけで関係を壊すわけにはいかない。小田切も、日向子を必要としているってわかってるから。 行き止まり、だ。 結局は失うよりも、このバランスでいることの方に逃げてるんだなぁと思った。逃げっていうのも、違うかな。踏み込まないのも、ある意味、選んでるわけだし。 こんな男に惚れたら、ご愁傷様〜ってわけだ…。
0投稿日: 2008.02.12
powered by ブクログ例えるならば、シーソーがちょうど吊り合っている状態で、どっちかが動いてしまえばその均衡が一気に崩れてしまうという様子。それが、本作で描かれる「彼」と「私」の関係性だ。まさに、この「不安定な安定」とでも言うべき状態を、物凄くリアルなカタチで描き出しているのが、表題作でもある「袋小路の男」だ。セックスをしなくても、愛していると言わなくても、そこに確かに「愛」が存在するのだからこれは列記とした恋愛小説である。「愛」とは何かという問いには古今東西様々な答えがあると思うけれども、私的にはこの2人の関係性は理想的な恋愛状態だな、と思う。そういう不安定なものを嘱望する心性というのが、果たして私自身に独自のものなのか、はたまた現代的なメンタリティなのかは定かでないけれど、単に所有欲や性欲では還元されない「愛」というものの存在を認識している作家がいるということの証明という意味で、この作品は非常に価値のあるものなのである、私にとっては。
0投稿日: 2008.02.12
powered by ブクログ3つの短編が入った1cm足らずの薄い本なので1日で読んでしまいました。どのお話もこれといったストーリーはありません。雰囲気本です。物語が好きな私としてはちょっと物足りなさもありましたが、この3つのお話のもつ雰囲気はとても好きです。
0投稿日: 2008.02.03
powered by ブクログ結ばれることはないとわかっていても、ただひたすらに想い続ける恋愛。それが表題作「袋小路の男」の題材であるが、主人公に対する共感と、軽い尊敬の混じった気持ちで最後まであっという間に読めた。今の自分の気持ちと重なる部分が多くて、軽く自己投影しながら読んでいた。究極の選択ー一夜を共にして終わりにするか、指一本触れないままの関係をずっと続けていくかー前者を選んだ主人公は潔いよいと思う。いや、無理とわかっているのに諦めないという意味では往生際が悪いのか。どちらにしても、自分にはこんな恋愛をすることは難しいと思った。
0投稿日: 2008.01.13
powered by ブクログもう一歩が踏み込めない、いや、踏み込まない男女の話。 こういうじれったい距離感をいつまでも続けるには相当根気がいると思う。 たいていは諦めて妥協して次の恋に走るんじゃないかな。 そんな次の恋に行ってしまった自分は読んでてちょっと羨ましいような・・・・笑 もうひとつの短編「アーリオオーリオ」は深い。 3光日・・・せつないね。 手紙・・・書きたくなりました。
1投稿日: 2007.12.10
powered by ブクログ女からの目線と男からの目線と2つの章立てになっていて、同じことがらでも捕らえ方が違うのが面白かった。我々の実生活でもこういうことだらけなんだろうなと思った。 アーリオオーリオという別の短編も含め、主人公の少し世間からはずれていて、さめながらも寂しい思いが、我々世代には共感をよぶんだろうと思った。誰しもがこういう思いをどこかで持っているだろうから。
0投稿日: 2007.12.08
powered by ブクログ似たような経験を持つ人(多分たくさんいる、含む自分)のつぼにはまるであろう作品。男女両面から描いているので、男性側の感想を知りたいところ。 小説らしい都合のよさが、そりゃ小説だもんね、とむしろ清清しい。 この人の小説は良質の「ファンタジー」だから好きなんだな、と思う。
0投稿日: 2007.12.08
powered by ブクログ表題作と、その表題作の視点を変えた『小田切孝の言い分』、そしてまったく別の短編『アーリオオーリオ』の3つの作品集。 表題作について書くと、この「袋小路」を色々な場面で見出すことが出来る。 「私」は高校の時から小田切という男のことが好きでずっと思い続けている。男は男で、「私」を切り捨てる訳でもなく、かといって手を出すでもない。そんな一定の距離を保った二人の関係が描かれている。 まず、男が住む家が単純に「袋小路」にある。そして、「私」と男の関係性はまさに「袋小路」。男は手を出さないし、女は迫ったりしない。この関係性が大きく崩れることがない。そして、男は小説を書いているが認められずにいるため、男の状態が「袋小路」と読める。 そんなたくさんの、かつ、どうにも身動きが取れない「袋小路」も、「私」の視点から書いた表題作ではなく、男視点の『小田切孝の言い分』を読むとまた若干異なって見えてくる。二人の関係が単なる「袋小路」でなく居心地のよいバランスが保たれた「袋小路」が存在するように思えてくる。手も触れない、キスもしないような男女の関係だがその袋小路にはまると、なかなか抜け出せないのかもしれない。
0投稿日: 2007.12.06
powered by ブクログどうもこの2人の主人公に共感できないというのが本音です。 だから、物語に入り込めないし、面白さも感じられない。性格的な問題でしょうね。 「袋小路の男」と別の見方で語った「小田切孝の言い分」があり、構成的には面白いのですが、本編にあまり興味がわかないので。。。 一番面白かったのは叔父と姪の交流を描いた「アーリオ オーリオ」でした。
0投稿日: 2007.12.06
powered by ブクログ結婚して子供を産んで(中略)そのどれかひとつでも欠けたらダメなのか、っていう主人公の話は確かに極端かもしれない。 でもそういうことを周囲から無言で強いられる年代になって、そう言いたくなる気持ちがよく分かる。小田切の言い分もアーリオ オーリオも、二人のつかず離れずの距離感が良かった。
0投稿日: 2007.11.27
