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アンドロイドはマンションの夢を見るか?
アンドロイドはマンションの夢を見るか?
石黒浩、熊野聡、堀井規男、大西広望/毎日新聞出版
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総合評価

4件)
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    石黒先生の本ということで期待した分、満足はできなかった。 マンションのこれからに関して考えられていることの、発想の意図は理解できた。だが、日本的長屋がなくなった理由や、実際に似たようなコンセプトの社会実装がそこかしこで行われて大した成果を結んでいないことをどう考えているのか、疑問である。小さなコミュニティをつくったところで、それは比較的豊かで身の回りの不自由のない人たちの道楽のように思う。お庭は「庭師が手入れしたら良い」ではなく、そういう労働者まで考えるべき。机上の空論を出ておらず、説得力に欠けた。 アンドロイドに関しては最前線で闘ってきた内容が濃くてとても勉強になったので、そことの違いを感じずにはいられなかった。

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    投稿日: 2025.07.22
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    図書館の新刊コーナーで出会い、「アンドロイドとマンション、どう繋がるの?!」と即決お持ち帰りした本。 結論、アンドロイドはほとんど関係なかった(笑)。 20世紀後半に「ブレードランナー」という映画があって、その原作が、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という題名だったと人に教えてもらい、ネット検索したところ、当時、この題名のいろんなパロディがあったらしいので、そこからつけた題名なのかな、と。 内容は、石黒先生と長谷工の60歳前後の方4人が考える未来の住宅。 いろいろ未来的な技術を駆使した内容が盛り込まれていて素晴らしい。 一方で、率直な感想として、60歳前後の男性たちは(と括ったらだめか)、この4人の方たちは、ケアが必要な状態の人やその人をケアする人の解像度がまだまだ低く、居住者としての像を結んでいないように思いました。 未来の住宅は、そういう人たちもちゃんと像を結んで存在できてて、長く生きて未来を生きられてよかったと思える家がいいなぁと思う。

    6
    投稿日: 2025.05.25
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    久しぶりに一冊を読み終えました。 マッド石黒(私は勝手にそう呼んでいる)と マンション施工の長谷工コーポレーションの ベテラン勢が万博パビリオン建設の前に あーだこーだブレストをやった話。 住まいの、未来ってどんなだろう。 自分も不器用ながら、途中途中で本を閉じて 考えながら読み進めました。 衣食住、なんてよくいうけど 未来の住まいは医・食・育が接近している住居がいいと思います。言いかえると、病院が近くて、スーパーマーケットが近くて、子育てを応援してくれる助っ人シニアが近くにいる住居。 

    12
    投稿日: 2025.05.13
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    アンドロイドはマンションの夢を見るか? ロボットも住環境も、どちらも「人間とは何か」を教えてくれる鏡 人間にとって大事な「気持ち」や「考える」ことへの根源的な問いの探求 未来の集合住宅「シェアタウン」の構想 人とのつながりを通して「豊かな暮らし」をデザインする 自然から人間を「隔離」してきたこれまでの技術利用からの転換 最先端技術によって、失われかけた自然を取り戻し、文化を設計する シェアタウン:プライバシーを守りつつ他の住人と活発に交流できる街 シェアハウスの概念を街のスケールまで広げたコミュニティ 部屋を売買するのではなく「住む権利」をサブスクリプションで提供 多様な世代や価値観の人々が交流し、互いに助け合える村のような社会 コミュニティを能動的に育てる「マンションコーディネーター」の必要性 コーディネーター役としてのCGアバター活用の可能性 人類学の知見:人のつながりの限界は150人?(ダンバー数) 技術を自然や人間の側に馴染ませていく「人工超自然」という考え方 時間効率を重視しすぎた結果、喪失した「自然な時間」とコミュニケーション 本質的な人間関係の価値:時に相手の感情に触れ、自分の感情も揺り動かされる関わり 未来の住環境には、技術に加えて「文化」が必要不可欠 日本文化:「生きた自然」に包まれ、自然と対話して住まう 人間の脳が本能的に引き寄せられる「構造化されたカオス (structured chaos)」 住み手に「気を遣わせる」住まいが、「気を遣い」という文化を育む 日本の伝統的な住居構造に見る「つながり」の知恵(垣根、格子、障子、縁側) 垣根:「全部を閉ざさない」内と外を緩やかにつなぐ境界 障子:曖昧な境界が気配を伝え、住む人の想像力を掻き立てる 縁側:内でも外でもない、人間が自然と調和する理想的な構造 変化する家族形態:「核家族」からより柔軟な人のつながりへの移行 「箱家族 (ハコ家族)」:血縁や戸籍から切り離された新しい家族のあり方 個人の価値観に紐づいた、個別かつ同等の価値を持つ住まいの増加 「住宅すごろく」の崩壊と、不動産を所有しない暮らしへのシフト 住居(ハコ)のサブスクリプション:賃貸と持家の境界をなくし、柔軟な住み替えを可能に ハード(建物)だけでなく「ソフト」(サービス、文化、コミュニティ)をデザインする重要性 人間を支え豊かにする複雑な対話サービス(AIやアバターが担う未来?) サステナブルな建築への転換:新築・スクラップからリノベーションへ 照明や音響技術:雰囲気を作り出し、住空間に生命感や自然とのつながりをもたらす 新しい概念を発明し、文化をデザインできるマンションのデザイナーの必要性 「豊かさ」とは:人とのつながり、自然との関わり、自己・社会と向き合うこと 互いに適度に「気を遣い合い」ながら共に生きる文化の再評価 自然は都市生活における人間社会の緩衝材となりうる 「街に住む権利」を手に入れ、皆で街を守り育てていく未来像 人から隔離される住まいではなく、「人とつながるため」の住まいへ

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    投稿日: 2025.04.28