
総合評価
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powered by ブクログ神や宗教をテーマとした短編集と言ったら良いだろうか。 いかんせん難解というまではいかないのだが、 読み進めるのに苦労したのは正直な感想。 日本人にとっての神とはどんな存在なのだろうか。 絶対的な存在としてはいないのだが、 でも心のどこかで神頼みは誰しもしている。 それもピンチの時に限って。 上手くいけば自分の手柄、失敗すれば神の仕業。 それが我々の宗教観なのかもしれない。 そんなことを読んでいてふと思ってしまった。
0投稿日: 2025.11.12
powered by ブクログ宗教とか思想、多方面から苦情が来そうな内容を書ききりましたね。難しいので、合わないひとはほんの数ページで読むのをやめるのではないでしょうか。 最後は大衆向けのSFです。もう一つの月ができて自転がなくなり極零下の暗闇と灼熱の極光の世界になった地球を生き残るために二つの船が限られた資源の中、奇跡が起きない限り、数千年で資源が尽きる運命の中、ルールを調整しながら生きていく世界のちょっとしたロマンスを込めて。この一作がなかったら、この本は・・・
1投稿日: 2025.09.25
powered by ブクログ何を言うてるの?という話が半分くらいだったけれど、陰謀論だったり、宗教だったり、神だったり題材が自分の関心というか不思議だと思うことと重なっていて、自分はそっち側になることもあるし、その逆側になることもあるんだけど、それを俯瞰して読めることが面白かった。 小川哲さん、「君が手にするはずだった黄金について」で初めて読んで好きになって、「君のクイズ」も面白くて、期待に胸を膨らませてこの本を手に取った。でも最初から読みづらすぎて全然入ってこなくて、無理だと思って諦めちゃっていたんだけど、「地図と拳」ではまって読書熱が上がり、もう一回読んでみてよかった。特に最後の話がとても好きだった。
2投稿日: 2025.09.10
powered by ブクログ初めて小川哲の作品を読まれる方にはおすすめしません。なんだこいつ、って感想になりかねない。そういう本でした。 「ユートロニカのこちら側」を読まれると良いと思います。そうして水が合った方向け。 一歩引いて飄々とした作風から一転して、熱量のある作品たちでした。 いつも根底に哲学的な姿勢を取られますが、それがいつになく強く、キャラクターより構造を重視したものになっています。ですので読後感はすっきりしません。しかし咀嚼していくに従って、この単行本そのものが小説のていをとった哲学論だという理解をすると、腑に落ちる気がします。 虚構を信じる力に善悪はない。貨幣経済や信仰をはじめとした道徳という実体のない虚構を信じることは文明を発展させる源であるが、人々を分断させ憎しみ合わせることもできる。両義性あるその力こそが、人類の優れた才のひとつである。 そういう受け取り方をしました。どうでしょう、バラモンになれますか?(笑) こういう読み方自体が術中なんだろうなぁ。 ……うん。考えたら疲れたので、砕けますが。 コロナ禍前後で、色々思ったり傷付いたり腹立ったりしたのかな。 大なり小なり、みんなあの時期には色々思ったけど、小説家っていう職業であるからこそ、そしてヴィトゲンシュタインに文転させられたような人だからこそ、言葉が人を断絶させるっていう状況下にめっちゃ物申したかったんかな……。 そういう意味では、ここまで思想で殴ってきたのは、小川哲の生の感情の現れなのかなあとか。思ってた以上に苛烈な人なんかな、とか。って思わせるのも手法なのかなぁ。 色々余計なことを考えたりなどしました。 一番のお気に入りは「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」。仮説を立てること自体が神という虚構を信じるということ、文面にされるとくるものがあります。フィクション全肯定じゃん。思わず泣きました。ありがとう、小説読んでて良かった。
2投稿日: 2025.08.27
powered by ブクログ難しかった。世界観も用語もガチガチで結構頭を抱えながら読んだ。小川哲は結構好きだったはずだけどあまりハマらず残念。コンセプトとか概念は好きなだけに読み解けなかったのが悔しい。帯に引っ張られているかもしれないけれど、SF版京極夏彦の雰囲気は感じた。最後の篇は分かりやすくて面白かった!
0投稿日: 2025.07.24
powered by ブクログ小川哲にしてはキレのない話が多かったなーという印象。 つかみは悪くないけど、オチがふわっとしている作品ばかりで印象に残らない話ばかりだった。
0投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小川哲の最新短編集。表題作「スメラミシング」を含む歴史、SF、数学、宗教を縦横に駆使した、言葉と物語による創造と救済、支配と欺瞞の世界の記録。 面白かった。表題作「スメラミシング」をはじめ、「なぜ人は理由や物語を求めるのか」というテーマが通底する短編集だった。中でも「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」が印象的。 科学至上主義を掲げる国家・理国を舞台に、神や信仰を否定する体制のなか、叙事詩の矛盾を暴く書簡形式で物語が進行する。 ヴォネガット『タイタンの妖女』を思わせる壮大な構成と、理性と感情、客観性と直感が人間を形づくるという主題が胸を打つ。科学も信仰も“物語”として人を導くのだと感じた。
2投稿日: 2025.07.19
powered by ブクログ“宗教と科学” 相反することでも相対することから、何かしらの関連性を感じさせること 6編の物語では「過去」「現在」「未来」を行き来しながら、信仰することと探求することが線を引くことのできない間柄であるように感じてくる。 『ゲームの王国』でのナイフのような感覚から少し滑らかにはなったけど、どこか金属的な味のする作者の物語 これからも読み続けそう。
10投稿日: 2025.07.18
powered by ブクログ小川哲は本当に作風に幅があって驚く。キリ教出身なので、神とか宗教とかテーマの短編集は見逃せない。お気に入りは、七十人聖書を巡る宗教裁判「七十人の翻訳者たち」と、天皇を運ぶ家柄の配達員「密林のモガリ」。表題作も雰囲気がかなり好き。
0投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログhttps://www.businessinsider.jp/article/295178/ 正直1度見ただけでは理解仕切れないほどの、情報量や解釈、問いかけをもらったって感じだ 神についてはいると潜在的には思っているけど、それを顕在して考え続けてるってほどではないし 陰謀論は割と好きで信じてる側面はある(科学的な栄養だったり、政治や国際情勢、芸能界の闇など)し、 古代ギリシャと、世界が終わり世紀末的な設定のものまで古から未来、そして宗教と科学という日常生活ではそこまで考えないものばかりだったので2回目を読んでいるところである。 ーー 作者のインタビューから ・小説の原点は聖書にあるんじゃないかという考え。宗教という存在があり、自分が信じるものを他人に伝えて、信じさせるために魅力的なお話をつくるんじゃないかと思った ・人間は、責任の所在がないというか、理由がないことに耐えられない ・誰かアイドルや俳優のファンになったりすることって、ときに盲目的になって、宗教的になることがある ・人間の発想の転換や思いつきという非科学的な部分からはじまっていて、のちのち検証していくと科学的に正しかったとなっているのが、現代の僕たちの生活をつくりあげている ・人間が科学を発達させてきた事実と、人間がすごく思い込みをしやすい生き物であるということは、表裏一体にある ・日本は信仰心が薄い国だが、いろんなところに宗教や神のかけらみたいなものが散らばっている(推し活だったり、どこかの野球チームだったり) たまたま現代の日本の価値観や当たり前があるけど、自分がそれぞれの時代に生まれていたらどう考えて、どんな人間になっていただろうか 神とはやはり何も知識がなくても、人間が潜在的にもっているものなのだろうか 知らない事が実は幸せってあるんだろうなとか、いろんな事を考えた。 https://bibroom.com/sumera-mishing/
0投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログ小川哲さんは「地図と拳」や「嘘と正典」はおもしろくて好きだったが、「スメラミシング」に掲載された6篇中5篇は正直おもしろいと思えなかった。難解なストーリーでありながら、読み進めたいという興味を持ちづらく、とっつきにくい雰囲気のものが多かった。 ただ最後の「ちょっとした奇跡」は良い意味で漫画っぽい話で、楽しく読むことができた。
0投稿日: 2025.07.03
powered by ブクログふふふ、むずっw 難しくはあるんだけど、なんだろうな、好きなんですよね。 「七十人の翻訳者たち」 「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」 「ちょっとした奇跡」 あたりは、シビれますね。 脳みそ、活性。 実話?と思うくらいに作り込みがすごい。
31投稿日: 2025.06.17
powered by ブクログスメラミシング 2025.06.17 私には非常に難解だった。ワクチンなど興味の対象に入る分野についての物語でさえ不思議だった。時間を経てまた読みたい。
0投稿日: 2025.06.17
powered by ブクログ20250607読了 確か昨年2024年の12月頃に一度借りて2/3ほど読み、読み切っていなかった最後の短編だけ今日読み切った。 昨年読んだ短編も軽く再読したが、いずれの短編も神や何かを信奉すること、その起源、を描いている作品だと解釈。 信じることの起源を紐解いていくと、誤解だったり、何かの偶然だったり、そこには何もないよというようなテイストが多かったように思う。 どこか冷めていて、皮肉めいている。 そういう意味で言うと、最もキャッチーにそれが表れているのは、現代社会の辛さをネットの海に吐露していた主人公のツイートが勝手に解釈された結果として陰謀論が生まれていった様を複数の角度からの視点で描く表題作「スメラミシング」は、確かに最も売る上で推そうとなる作品なのかもしれない。 ただ帯でつけられるような文句のサイコエンタメ的なのは、全体の作風とはやや異なるように受け取った。 自分が最も好きだったのは、最後の『ちょっとした奇跡』 かなり斬新なSF設定のもとで、切ないティーンを描いている。 他の作品とはやや毛色が異なるように感じたけれど、遠く離れた誰かを想うこと、を”祈り”として捉え、そうした文脈で本書に取り入れられたのかな? 逆に言えば、個人的には他の作品は全編を通してめちゃくちゃ好みかと言われるとまあまあな感じもあった。 ただ相変わらず骨太な感じはある。 この女性作家の短編だと生まれにくい感じなんなんだろうな。もちろん男性作家の短編でも湿っぽいものはあるはあるんだけども、湿り気がない感じ。そのサラサラ感が心地良くもあるが、同時にあの湿り気を読書体験に求めている自分もいる。 エグいレベルのジェンダー観で申し訳ないのだが、帰納的な自分なりの暫定コンパスということで怒らないでほしい。好みの話をしているだけ。 宗教という題材の特殊性もあるが、自分としては短編集であれば「君が手にするはずだった黄金について」の方が好みだな。 麻布競馬場とも親和性のありそうな、ペルソナの描き込みというか、具体のものに関わる人の人間性についての偏見こみでの創作がレベル高い作家だったと、今の記憶の中ではある。 また、作家がキャリアの中でそう何本もポンポン出せるものではないのは承知の上で思うのは、現代社会を離れたフィクションであれば『地図と拳』のような骨太な長編巨編を読みたくなる自分がいる。 君のクイズといい、最近さらっとしたものしか世に出てないから、ゆーても地図と拳は三年前でしかないのだがまたああいうのを読ませてほしい。期待してしまわずにはいられないし、この期待は残酷なものであるかもしれないが、そのように期待される人はなかなかいないし、羨ましくもある。
1投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログこれまで読んできたSFとかファンタジー作品とは次元が違うくらい、私にとっては新しく、不思議な作品だった。ものすごく描写が詳細だから、本当にあった、あるいは未来に起こりうる話なんじゃないかっていう。タモリさんの「世にも○○」みたいな、ぞわっとする感じ。 確かにすごーく難解で、哲学的で、数学とか物理の話とかでてきて、読み進めるのがすごーく大変だったけど。(何度も断念しかけた) テーマになっている「神」の扱い方も各章で全くといっていいほど違っていて、いろんな視点で神を感じられた。 人類は遠い未来、どうなっちゃうんだろうね…。
8投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ正直言いたい事が良く分からず素直に楽しめたのは2章目の 宅配便に働いてる社員の話しだけだった だけどその話しも起承転結の「結」が描かれておらず「え、 ここで終わり」と言った感じで不満が残る 他の章は横文字がマシンガンの様に連発されており、理解するのに疲れるので殆ど斜め読みした 多分万人に向けて書かれている訳ではないんだろうなと感じたのと陰謀論者は厄介だなと言う事
0投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログ難しい話が多くてちゃんと読めたのは本題のスメラミシングだった。出てくる登場人物みんな主人公含めいろいろあり、何があるんだろうこの後どうなるんだろうと展開が気になりページをめくる手が止まらなかった。
0投稿日: 2025.05.22
powered by ブクログ宗教、神といったテーマが多かった短編。哲学のような小難しさがあるので、この作品は好みが分かれると思いました。小川さんの文章力に完全に支配されてしまったと感じた一冊。
0投稿日: 2025.05.08
powered by ブクログ「神」に向き合う「人」の短編集。 神というのはそれを求め、正対する人が少しずつ触れる輪郭の集合である。 そういう意味では人を通してしか神は見えない。神学者を通しても、天皇に使える一族を通しても、陰謀論者を通しても神は見えるのだ。
0投稿日: 2025.05.07
powered by ブクログ12月に予約し、やっと手元へ届きました! 私が積極的に手にとるようなジャンルではなかったですが、久しぶりな感覚になりました。なんだろな・・・? 色々な世界というか 感覚というか 読み進めていて面白いなとなりました。
25投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログ最初繋がっていくと思い70人の章を繰り返し読んだんだが、ショートだった。 やはり小川さんの作品は自分の能力の発揮のために試行錯誤していると思う気持ちは継続中。 最終的にどのジャンルに根を張るのか気になります。 今回は難解過ぎる哲学過ぎる苦手なものもあり(70人と神のやつ)→宗教辛みは私にとっては何光年も先のテーマだww 面白かったのは、啓蒙の光かな。これもちょいと神ネタだけど、サスペンス要素ありのSFで内容好き。 そうかというと、密林とかスメラミシングとか、少し狂喜がかった作品もあったりと色々盛り沢山であった。 小川さん博学ですよね。友人が言ってて真理なりと思うことがある。偏差値の高い人たちって勉強できるだけじゃないのよ。試験とかに不要な雑学的知識も物凄い持ってるのよ。頭よいので容量が大きく、色んな興味から探求しちゃって知識増えまくるんだと思う。八瀬童子とかもわたしゃ初めて知りましたヨ。
1投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログこれはSF風純文学なのではないか。SFとして読むと私の好みではなかったが、純文学と言われたら納得してしまう。読解力には自信があったのだが、全体を通して難解だと感じた。 タイトルのスメラミシングは、コロナ禍での陰謀論をテーマにしていて収録されている他の短編より読みやすかった。陰謀論って専門用語が多いなと思ったが、よく考えるとビジネスも専門用語が多い。となると、用語が分からない相手からしたら私たちも陰謀論者の語りと同じように見える可能性もある。結局、用語で煙に巻かず、相手が分かりやすい言葉で論理的に話すことが大切なのだ。
0投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログ難解だったけどぼんやり言いたいことが伝わるような、新しい読み味でした。星新一の短編集をもっと難しく、現代風にした感じ?最初の話からなかなか攻めてて面白かったです。
1投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ色々な味の短編小説集。 天皇制やコロナ陰謀論や何だかムツカシイお話やSF恋愛ものやと、小川哲の頭の良さを堪能出来る一冊ではあるものの、阿保の私には付いていけないお話もあり、全体としては、そんなに楽しめなかった。 やはり小川哲は長編が良い。 ただ、ラストのSF恋愛ものは、切なくて良かった。 これを読めただけでも損はしてない。 星は3つ。3.4だな。
0投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
6編からなる短編集。 「文藝」が主ではあるが、発表時期も媒体も異なりつつ、そこはかとなくテーマが通底していて、面白い。 「神」、「宗教」を扱いつつ、そこに潜む虚偽や、なにかにすがらずにはおれない人間の愚かさを冷ややかを皮肉っているかのようなお話。 核となる、というか、どの物語も発端は、ここにあるのでは? と思う記述が下記; 「地球が誕生したのも人類が誕生したのも偶然だ。何億年、何十億年という時間をかけて、さまざまな偶然の連鎖の果てに、私たち人類は存在している。だが私たちはその事実に耐えられない。だからこそ神を創造した。自分が生きていることは必然なのだと考えようとした。私たちは幸福を求めているのではなく、理由を求めている。真実を求めているのではなく、理不尽で暗く、生きる価値のない現実を受け入れるための物語を求めている。昔からずっとそうだった。」 表題作の中にあるので、間違いないだろう。 その理由を求めたものが、「七十人の翻訳者たち」で扱った聖書であり、「神」の存在であり、その神的な存在、理由を何に求めるかで、「密林の殯」(天皇と神)となり、「スメラミイング」(新興宗教)、「神の方程式」(ゼロという概念)などと、理由、根拠をどこに求めたかを手を変え品を変えて綴られていく。 とにかく著者の博識ぶりに舌を巻くし、短編ゆえに、きっちりオトシマエを付けるまで深堀りせず、考えるヒントを与えるくらいのところで筆を収めているあたりが巧い。 一話めに持ってきた「七十人の翻訳者たち」の中で語られる、近未来の「物語ゲノムの解析」という発想が、実に面白い。 神話の体系を整理し分類したジョセフ・キャンベルの研究を持ち出すまでもなく、世界中に散らばる物語の原型が、旧約聖書だったり、古事記だったり、古き伝統に根ざしているということを、 「聖書を含むすべての物語には「ゲノム」があり、「適応と淘汰」がある。物語は「突然変異」を繰り返し、いくつかの個体が存在し、後代に残されていく。」 と、あたかもDNA研究に置き換えて語っているのは見事。 逆に、人体のDNAも、編集と編纂を繰り返し、時には書き間違い(突然変異)が発生し、それを正す「校正」の作業が入ると、まさに文章のごとしという話を『ことばの番人』(高橋秀実著)でも最近読んだばかり。 「全ての物語には過去に存在した物語の「ゲノム」が残されている。」として、近未来に、そのゲノム解析が行われているなんて、ゾクゾクさせられるが、そうなると、作家なんかは、ますます必要なくなるのではと思ってしまう。そういえば、著者は、『文藝春秋』でAIの可能性について一文もいつだったか寄せていたか。 行きつくところ、人は、嘘を信じることで生きていく生き物ということで、ユヴァル・ノア・ハラリの言う「認知革命」以降、あらゆる分野で、虚構を講じていく生き物だということが、この短編集を読んでいて痛感させられる思いだ。 虚構を構築した先になにがあるか? 「いいですか、私たちが出来事を語ろうとするとき、真実は消えてしまうのです。」 真実など必要ない、という、神の御宣託也。
2投稿日: 2025.04.08
powered by ブクログAmazonオーディブルで聴いた。 まったく頭に入らなくて、何回か聴き直した。 最後の作品以外どれも「だから?」という気持ちになってしまった。 テッド・チャンと似た読後感…小川哲はテッド・チャンをリスペクトしてるそうで、その読後感もそれなりに正しいのかも(^_^;) 1作目(七十人の〜)と4作目(神についての方程式)はオチに至っても、ハァとしか思わず。 2作目(密林の殯)、3作目(スメラミシング)は特に「だから何なんだ」と思った。 5作目(啓蒙の光が〜)は何回聴いても全然頭に入らず(なので話の展開も理解してない)。 6作目(ちょっとした奇跡)だけは少しだけ良かった。
1投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体を通して、陰謀論に関するインターネット社会の裏の顔が垣間見れた。というのも、インターネットで検索すればいくらでも情報が手に入るが、裏を取ることはほとんどしていないであろう。今アクセスできる情報の信憑性はどれぐらいだろう。ということは、陰謀論を広めようと思えば簡単に広がってしまうのではないか。そんなインターネット社会の裏の顔を心に留めた。 陰謀論を全く信じず、神様の存在にフタをしている私は、この本を面白がれるほど人間ができていない。ノーと言えず、社会に流されてしまう私では。 今何かを頑張ってる人、純粋な人、実直で素直な人の、視点の幅を広げる一助におすすめしたい一冊であると感じた。 〈七十人の翻訳家たち〉 ・事実と言い伝えの相違が、危うさを生んでいるのだと感じた。 ・歴史を紐解くには、書物や伝言でしか伝わらないため、道筋を開くためには想像するしかないことを学んだ。 ・こうでなくてはならないとか、これでなくてはならないとか、綺麗な数字であるはずとか、神様の法則に従っているとか、あんまり関係ないんだなと思った。 〈密林の殯〉 ・対比がこの上なく素晴らしい。主人公の職業である運送業(配達員)と、殯(天皇が亡くなった時に、死体を運ぶ職)の対比、生と死(風俗と殯)の対比、送る人と受け取る人(荷送人と荷受人)の対比。私が感じたいくつもの対比を、素晴らしい配置で構成されていることに対し、尊敬の意を表したい。 〈スメラミシング〉 ・ツイートという、何の信憑性もない、裏付けのない文字の羅列で、人間はこうも簡単に信じ込んでしまうのだなと思った。 ・職場の環境を良くすることで職場の人間関係が良好になることは、なんとなく理解できる。ただその中に入れない人も一定数存在していることを念頭に置くべきであると感じた。 〈神についての方程式〉 ・数学や物理学と神学を結びつけるところがリアルだと思った。 ・この物語がフィクションであることは後々明かされるが、将来の予測としてリアルさが精緻だった。 ・内容を掴みたいけど掴みきれない魅力がある作品であると感じた。 ・人類は宗教にどれだけの時間とお金を費やしただろう。因果関係などないのに、神様に 自分の努力やたまたま発生したことを、神様のおかげにする。冷静に考えると歪であると感じた。 ・ニュース記事を読んでる意識で読めた。難解な話題、言葉、単語が豊富に出てくるが、読みやすいのは、素晴らしい技術だと思った。 〈啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで〉 ・約30ページの作品だが、3回読み直しても30%ほどしか理解できなかった。 ・神の存在を論証で証明されてしまうことを巡り、物語が進んでいく。 ・人名、地名がカタカナであり、出てきたカタカナ語がどちらか分からなくなる部分があり、集中できなかった。 ・もう少し理解力、読解力を上げて、再挑戦させてもらいたい作品だった。 〈ちょっとした奇跡〉 ・2つ目の月が出現し、地球の自転が遅くなってしまう。その影響で、人類は地球を赤道に沿って動かなくてはいけない。 ・ラブ要素が多めなので、スメラミシング全体でも非常に読みやすい作品 ・地球の自転を止めるために2つ目の月を設定したことが、素晴らしいと感じた。 ・タイトル通りちょっとした奇跡が起こることが、とってもよかったと引き込まれる作品
5投稿日: 2025.03.29
powered by ブクログメモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1904704784915194151?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
0投稿日: 2025.03.26
powered by ブクログ短編集なのだが、初めっからよくわからない話で、次とその次(タイトル作)はまぁ何とか読めたのだが結論何を言いたいのかはよくわからず。 で、四作目に至ってはこれを本当に世の中に理解できて面白いと思える人がいるとわかって書いたのか信じられず、五作目も六作目も初めだけ目を通して、おんなじ様な話だなと思ったのでもうやめた。 この作者、初めて読んだ本と2回目の地図と拳は面白く、期待して読んだこの本も二作目の配達員の話は君のクイズのミニチュア版といった趣(クイズの話ではないが、論理構成がまあ近いかなと)で面白かったのだけど、これではもう次は読まなくても良いかな…
1投稿日: 2025.03.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自転が止まった地球を2つの船が昼と夜の境目をぐるぐる回ってる話が一番好き ネットの陰謀論者のオフ会の話は反政府的な思想を持ってる人が自分が信じてる人の言葉は何も考えずに鵜呑みにしてるセリフがあって、こういうのあるよな〜ってなった 嫌われてる上司のネット右翼アカウントを晒す計画のキベノミクスがどうなったのかも気になる(木辺さんはその上司から一目置かれてる主人公の事も陥れようと計画していた感じでかなりイヤだった)
1投稿日: 2025.03.25
powered by ブクログダヴィンチの小川哲特集で気になったもの。しかしこれは、個人的尺度におけるSFに寄り過ぎていて無理でした。それぞれの背景に横たわる壮大な世界観には畏敬の念を覚えるけど、そこから派生する物語群に付いていけず、果たして楽しむことも出来ない自分なのでした。
0投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログあまり、おもしろくなかった。小川哲については、設定系SFよりも、自分と同世代ならではの、私小説っぽい作品が好きかもしれない。
0投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログ昔の話のようでいて、未来的! タイトルの「スメラミシング」より、個人的には「七十人の翻訳者たち」が衝撃的で印象に残った。 「神についての方程式」は超文系の私にはキツイ部分もあったけれど、ストーリーとしては面白いと思った。
8投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログなかなか尖ったコンセプトの短編集。 どの作品もまず設定が面白い。「スメラミング」「ちょっとした奇跡」が好き。設定は「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」が好き。
7投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ2025.3.15市立図書館 SNSで評判をきいて(改めて調べてみたところ、ネットの書評サイトに連載されている鴻巣友季子の文芸コラム+新聞の池澤春菜のコラムで紹介されていたのを読んだらしい)、読んでみようと思って少し前に予約してやっと順番が回ってきた。新学期前になんとか読み終えて返したい。 6つの作品が入った短編集。 巻頭の「七十人の翻訳者たち」(「NOVA」2019年春号)は紀元前のギリシアと近未来の物語ゲノムの解析研究という場を行き来して語られる二重の謎解き、二度読んだ。 「密林の殯」(「文藝」2019年夏季号)は宅配の配達員さんの仕事ぶりの描写がよかった。八瀬童子の話も興味深かった。 表題作「スメラミシング」(「文藝」2022年夏季号)は陰謀論者たちの世界を描いている。なんというか、河合隼雄だったか「日本は中空構造(中心は空っぽ)」と言ったのはこういうことともいえるのかもしれない、と思った。外国の陰謀論の実態はどうなっているのかわからないけれど⋯ 「神についての方程式」(「文藝」2022年冬季号)は「大断絶」後の未来から宗教考古学者が21世紀の今を見て、「宗教」が消滅した理由をさぐってとある信仰体系の起源を読み解く物語。相容れないはずの宗教と科学が意外と似た者同士かもと思えてくる。 続く「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」(「文藝」2024年夏季号)も「神が禁じられ科学がすべてを支配する世界」というのは破綻なく成り立つのか問う内容。 最後の「ちょっとした奇跡」(「小説現代」2021年2月号)2つ目の月がうまれ自転が止まってしまった未来の地球に生き残った人類の話。読みやすく、「奇跡」の内容ははやばやと予測できてしまったが、主人公の心情と成長をじっくり味わえた。
1投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログ神にまつわる短編集。 作者のこの手の話はコントの台本みたいで面白い。(ツッコミがなく置いてきぼりにされるところも新しい感じ。)小ネタも散りばめてるし。特に「神についての方程式」なんか、令和ロマンの漫才かよ。 最後の「ちょっとした奇跡」はラブストーリーで素敵だった。ちょっと雪舟えまみたいで。
2投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『地図と拳』、『君のクイズ』、『君が手にするはずだった黄金について』と読んできた身からすると「どした?」という感じが否めないのが正直なところ。 ただ、元々がSF作家とのプロフィールだったり、書き下ろしというわけでもなく、それなりの期間で様々な掲載先に掲載された短編を集めてきたもので本作が出来上がっている点なんかも考えると、本当はこういう把みどころがないような物語が書きたいのかなー、なんて思ったりもする。 宗教(歴史あるものもあれば、危うい新興思想のものもある)、神なるものをテーマとした6編からなる短編集。 登場人物や世界観は全く重ならないが貫くテーマがある。 小難しい理屈、理論、設定の中に潜ませる警鐘、皮肉、視座は暗に仄めかしすぎていて何が伝えたいのかわかり難い部分もあるが、なるほどーと思えるような着眼点、よじれがあって興味深い。 もっと簡単に書いてくれればいいのにと素人目線では思う。 最後に人間くさい「ちょっとした奇跡」をもってきたところは作品全体がきゅっと締まって、編集の力を感じた。 ただ、「密林の殯」はちょっと悪ノリが過ぎるような気が。
46投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ25/03/02読了 信仰が共通テーマの短編集。 主人公が八瀬の民出身で宅配員を務める『密林の殯』、SNSで信条を発信するひとびとが出てくる『スメラミシング』あたりがよかったかな。タイトルとしては『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』がかっこよすぎる。
0投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログとても面白いとは言えない。 難しい。読み続けるのがしんどい。 が、なんか、やめたらあかん気がして、我慢して読んだ。 「密林のモガリ」と「ちょっとした奇跡」に少しの救いがあり、耐えた。 「スメラミシング」の一節。鉄道好きの人との会話からの「鉄道には理由がある」とハマっていくところが読後、なぜか思い出される。全体へのつなぎの一節なんやけど、私の中で、独立した部分として残った。
0投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログ6つの短編。それぞれ別の話。だが共通した感じが。宇宙や歴史や神などの深遠な世界と、卑近で具体的な世界が併存する奇妙な感じ。一番好きなのは第6話の「ちょっとした奇跡」。
0投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ今更ながら、好きな作家の作品がすべて面白い訳ではない。だからといって、手に取る前に流し読みできる訳でもなし…途中で放り出したくなるが、小川さんだし、どこかで…と未練がましくズルズル。
3投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログ何だかよく分からない話が6編。 表題と同じ三話目の「スメラミシング」が本書の推しなのだろうが、読後は「だから何???」という感じ。 全編通して宗教や神が語られ、陰謀論的な思想が前面に出てくることもあって好きじゃない作品群だった。 唯一「神についての方程式」が、科学的な要素が入っていて「なるほど」と感じながら読めた。 有限の世界に『ゼロ』が現れた時、科学は行き詰ってしまう。 物理学の理論に沿った計算結果が『ゼロ』or『無限』になると、どういうことが導かれたのか理解できない。 ゼロ=無、無とは何かを考えていると、もう科学の考え方でなく物理学は宗教だと思えてくる。 『ゼロ』を避けるために"超ひも理論"が生まれたという理屈はいままで考えたことがなかった。 ここらへんの話題を小説に盛り込めるのは、小川哲さんならではですね。 「神についての方程式」が★4 「スメラミシング」が★3 他の4作品が★2といった感じなので、総合評価は(久しぶりの)★2です。
31投稿日: 2025.02.15
powered by ブクログ神や宗教、信仰にまつわる6編をあつめた短編集。私自身、人はなぜ宗教に救いを求めるのか?とか、なぜ陰謀論に走ってしまうのか?ということに興味があるため、どれも興味深く読めた。 「七十人の翻訳者たち」 聖書の起源のこと何も知らなかったから普通に勉強になった。ヘブライ語の聖書がギリシア語に翻訳される過程で「七十人訳聖書」が生まれ、新約聖書につながる。解釈され、翻訳され、さまざまに変異していく物語の起源に遡ろうとする話。 「密林の殯(もがり)」 このタイトルでAmazonの配達員の話とは誰が思おう!配達の依頼主という神から配達先の神へと荷物という神を届けるっていう解釈が面白い。 「スメラミシング」 『世界には理由がある。それこそがマスタープラン』 スメラミシングは、スメラミコトという「統べるお方」という意味の言葉から造語したと思われる。スメラミシングのツイートを解釈し読解するアカウントが現れたことで、スメラミシング自身が崇拝の対象となり、そのフォロワーたちが反ワクデモに集う…。スメラミシング自身含め、理由と、怒りの矛先が欲しいひとたちなのかもしれない。 「神についての方程式」 宗教のなくなった世界から、宗教のあった時代のとある宗教について調べる研究者の話。主人公の価値観においては宗教なんて前時代の産物で不合理だから滅びたものでしかないけれど、調べていくうち、その宗教の教祖が真理に辿りついて世界の法則が書き換えられた結果が今の世界である可能性に思い至る。しかしその結果の世界からは真理はおろか宗教が消え失せているというパラドックス。 「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」 文明の延命のため、神や宗教を信じることを禁じられた文明。しかし歴史学者が歴史の矛盾を研究する中、「神」の存在が論証されてしまう。人間のすべてに因果を幻視してしまう能力が神を発見し、そしてそれが文明発達に寄与する側面もある。神を信じること、幻を信じることを肯定する話だと思った。 「ちょっとした奇跡」 自転をしなくなった地球で、限りある資源を消費しながら地表をめぐる二つの舟。 彼らを律するのは、皆が少しでも長く生きるための規律。 そんな主人公にも神に祈りたいことができる。三年間祈った結果、「ちょっとした奇跡」が起きる。
0投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ神と宗教、信仰についての短編集。 特に好きだったのが『神についての方程式』『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』の2篇。 『神についての方程式』 これぞ小川哲。遠い未来、宗教が滅んだ後の世界。過去存在した最後の宗教についての調査録。数学に絡めて神を定義していく、「0」に秘められたロマン。頑張れば少し分かりそうなレベルから始まり、最後は分からないけどすごい気がする、に持っていく。自分が賢いと思っている人間が一番ハマるラインの宗教の解像度が高い。どこかに存在していたのか、あるいはこれから存在するのかもしれない。そんな実在性を持った物語こそ小川哲の真骨頂。 『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』 全体的にこれまでよりエンタメより純文学寄りの仕上がりかな。これまでの小川哲作品のようなエンタメ性を求めると少し物足りないかなと思いつつも世界観のリアリティは充分。
1投稿日: 2025.02.11
powered by ブクログ短編集6編 神や宗教、歴史あるいは真理に根元から切り込んで疑問を投げかけている作品が多い。 自転しなくなった地球で出会うことのない2隻の船で航海する「ちょっとした奇跡」が良かった。
0投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログこれでこの作者の作品2つ目。どうも、この作者は自分にイマイチ合わない気がしてきた。難易度の高い、博識な人しか知らないような知識がバックグラウンドにあって、そのうえでテーマがある。テーマが身近なものならスッと入ってくるが、テーマも高度だとちんぷんかんぷん。 それでも、表題作「スメラミシング」と「ちょっとした奇跡」はまだ分かりやすかった。あとの4つは頭の上で「?」が踊り、読み進むのが遅くなった。自分が無知無学なのかな〜
5投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ高尚すぎて、理解できているかは言い難いが、自分なりにこの作品から切り取ったことがいくつかある。まず、コロナウィルスやワクチンに対する陰謀論的な見方、本当にそう思っているのか?防衛からくる心理なのか?など、思想の根本はどこにあるのだろうと考えさせられた。 また、『神についての方程式』が、ひいお爺さんの話の真実を追求するというテーマのもと、宗教や神の存在を数学を使って論じるところが魅力的だった。実数を0で割ることの意味について、社会と結びつけて考えたことなどなく非常に興味深かった。 ラストの『ちょっとした奇跡』も好みだった。 SFの世界にロマンティックな要素が少し感じられるところが良かった。
16投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ図書館本 書評など何も読まずに読み始め。 SF系の短編集。 近未来的だったり、宗教の何たるかみたいなことが表現されてた。
12投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
https://note.com/futen_seisuke/n/n49080c293844 カリスマアカウントを崇拝する”覚醒者”たちの白昼のオフ会。そこではじまる、緊迫の陰謀論✕サイコサスペンス!小川哲の精緻な設計は、眼と舌、移動と思考を等価であるかのように見せかける。凄い。とても、凄い。 ──京極夏彦 多様性が声高に叫ばれる現代に於いても、 掬い上げられることなく無視され排除されていく人々をその内面から描いた、挑戦的な快作。 ──金原ひとみ 世界の隅から吹き寄せられた言葉の切れ端が、 列をなし、「文」になり、拳となって、今あなたの隣に座る。 ──飛浩隆 ヒリつく不安 積まれる緊張 ピリつく世情 生まれる破局 全てに病みつきになりました! ──魚豊(『チ。』『ようこそ!FACTへ』) ボルヘスを理系的センスで再構築した超欺瞞世界! ──マライ・メントライン(エッセイスト) 「理由がほしい。物語がほしい。正義のヒーローが現れて、黒幕の悪事を暴き、世界を変える、そんなお話であってほしい。自分はその物語の登場人物でありたい」── SNS上のカリスマアカウント〈スメラミシング〉を崇拝する”覚醒者”たちの白昼のオフ会。かれらを観察する陰謀論ソムリエ・〈タキムラ〉の願いとは? 壊れゆく世界の未来を問う、現代の黙示録。宗教 ✕ 超弩級エンタメ6篇を収録した絶品作品集!
0投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ神と宗教の話は難しい 表題作のスメラミシングやちょっとした奇跡は、比較的ヒトを描いていて読みやすかった
1投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ小川哲さんの本は2冊目。こちらはSF短編集です。とても自分好みで大満足です。他の本は分厚いものが多かったけれど、また挑戦してみてもいいかな、と思えました。
70投稿日: 2025.01.25
powered by ブクログ文章や物語構成がぶつ切りで、読みにくかったです。内容も実がない感じたで半分読んで残り速読と飛ばし読みしました。私には(珍しい事ですが)合わない本でした。
5投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログ一言でいうと難解。作者から試されているかのようにも感じる。ちょっとした奇跡だけは、せつなさいっぱいのSFで面白かった。
16投稿日: 2025.01.18
powered by ブクログSF的な要素もあるいろいろな作品集。これまで著者のほかの書籍を読んでいたので期待したが、書きっぱなしみたいな印象の作品が多くよくわからなかった。書きたいものがあって書いた作品と、先に依頼、期日があって仕上げる作品とは違うのかなと思った。
3投稿日: 2025.01.14
powered by ブクログ小川哲の短編集。今回は、宗教(神)と歴史が共通テーマなのかな。少し小難しい感じもありますが、相変わらずの教養深さと味わい深さ。世界設定がユニーク。 「七十人の翻訳者たち」 世の中にある無数の物語は、それ以前の物語に影響されている。物語ゲノム解析にかけると物語の起源がわかるということで、世界でも起源が不明な聖書を研究対象にする。物語ゲノム解析をする2036年と、解析対象の出来事が起きた紀元前260年代を行き来しながら進む。 「密林の殯」 天皇が身罷った際に棺を運ぶ役目を負っている一族の末裔の話。神に近い人を運ぶ役目を誇りに思う両親と、価値を感じず宅配ドライバーとして過ごす主人公。Amazonの荷物を運ぶ日々だが、お客様は神様でお客様に配達する荷物も神様、よって我々の仕事は神様を運ぶ仕事だと会社で言われる。自分は家業と同業についたのか?神って? 「スメラミシング」 反ワクチン派やスーパーナチュラル派やナノマシン陰謀論派などから信仰されるSNS上の謎のインフルエンサー、スメラミシング。彼の言葉に解釈を与えて解説するバラモンたちもまた、崇められている。世の中とうまくかみ合わないとき、世界にはちゃんと理由があるのか。あってほしいと願う人たち。 「神についての方程式」 昔知り合いだった数学の研究者は、ある日インドの大学で滑稽無糖な「真の真空論」を講じていた。純粋な数学者の彼女に何があったのか?やがてゼロインフィニティという新興宗教が生まれた。 「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」 神という超自然的な存在を否定し、そういったことを話すことすら禁じられた惑星。この星は科学に基づいた理律や理法によって統治されている。しかしある日ある学者が、理律に基づき反証した結果、神の存在を証明してしまった。さあどうする。これは理律違反だろうか? 「ちょっとした奇跡」 宇宙を永遠に飛行する2つの船。一方は昼を追いかけ、もう一つは夜を追いかける。船内の人口は最適に保たれねばならない、太陽風から人類を生きながらえさせるために。
21投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログ古今東西が詰め込まれた短編集。 まず、それぞれの作品の世界観に入り込むのに思考をすり減らし、奥深さに飲まれるのに体力を使います。 面白さとしんどさが共存する不思議な感覚です。
16投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログブックオフの話題の本コーナーにあり表紙が気になったので購入 個人的には「エレファントヘッド」的ないろんな意味で凄まじい長編の予感がしていたのだが蓋を開けてみれば小難しい短編集 それぞれの短編の中身は読めたのだが「で?」という感想しか持たない 自分が短編集が苦手であることを再認識したと同時に期待していただけにとても残念な本だった
1投稿日: 2025.01.08
powered by ブクログ宗教にまつわる短編集。 難しくて、疲れている時に読むと、読みながら寝落ちしてしまった。 特に一番最後の「ちょっとした奇跡」が面白かった。 「七十人の翻訳者たち」はテーマが面白いと思った。聖書のヘブライ語のオリジナル版が見つかっていなくて、今、色々な言語に訳されている原本はギリシア語版。それが72人の翻訳者によって訳されたという逸話に関する話。どこまでが本当なんだろう?と思った。解説が欲しい。
9投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログ聖書や数学、裏政府的な話やワクチン陰謀論を盲信する人の話と多彩で高度な内容で面白いのだが、何しろ難しい。正月に気楽に読める本ではなかった…
0投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログムズおもろい。作者の天才奇才っぷりが炸裂し過ぎてて「啓蒙の光〜」なんかはほとんど理解できなかったが、その世界観と「(自分には)ワケのわからなさ」が面白かった。 特に1本目「七十人の翻訳者たち」と「ちょっとした奇跡」が好きだった。
2投稿日: 2024.12.30
powered by ブクログ難しかった… 神や宗教がテーマになっているSF小説ということだけど、私の読解力、知識では半分も読めていない気がする。 私は、特にSF要素が強まると読めなくなるみたい。 読みたてほやほやの今のタイミングで、誰かに解説して欲しい気分。 そんな中、表題作の「スメラミシング」は読みやすく面白かった。
41投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログ難しかった! でも、小川哲さんの描こうとしたものを理解したくて、少しでも感じ取りたくて、読み続けた。 ちょっと時間が経った頃に、もう一度読み直したい。
8投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログ6つの短編集だが、どれもが正直難しい。 崇拝する神に対し、その存在を信仰、あるいは定義しようとした人間の破滅に向けた物語、というのか。 内容は分かったつもりだが、きっと作者の意図を掴みきれてない気がする。 最後の「ちょっとした奇跡」がようやくふんわりできた。 279冊目読了。
5投稿日: 2024.12.29
powered by ブクログ短編集です。はっきりいって読みにくい内容が多いです。小川哲のファンじゃなかったら正直苦しいかも(私は理解してないくせになんとなく好きなんだよな~)。宗教を軸に置いたSF・ファンタジーエッセンス入りの壮大な学術系フィクション。 「七十人の翻訳者たち」 聖書についての基礎知識がない人にはチンプンカンプンです。読んだ後でいろいろしらべました。七十人訳聖書をググってから読むことをお勧めします。ありがとうWikipedia。 「密林の殯」 これは読みやすいです!まずはこれから読むといいかも。 運送業をしている僕の生きることへの自問自答と家と天皇と。 八瀬童子なんか知らなかったしね。読みやすいけどバックグラウンドの知識量さりげなく多い。 「スメラミシング」 ネットと妄信と。世界を自分の思うように変えたいと考えるタキムラ。SNSでつながっているイソギンチャクさんとの交流から話が始まる。 現代の教祖はネットから発生することは十分考えられるけど架空世界から顕現するのは難しいか?架空のままでいたほうが神秘的で集金も楽かも。 「神のついての方程式」 数学っぽい展開の中で神を語りひも解く。ゼロという概念と神を結びつける...ような内容が続きます。数学苦手な人は飛ばしましょう。 「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」 この世は大きなものに作られた実験場なのではないか、という誰でも一度は考えた考察がここまで壮大に表現されると脱帽しかない。 「ちょっとした奇跡」 隕石の影響で自転が止まった地球と、それでも生き残ろうとあがく人類。二つのロケットにのった若い二人は日記帳で交流していたのだが。 これはかなり読みやすい内容です。この本読んだよとつまみ食い読みしたい人はこちらの短編もぜひ。この本の最後にこのシーン来るのは、いいな。 短編の中にはかなり激しめの性的表現あるので、中学校から。
5投稿日: 2024.12.24
powered by ブクログ博識な小川哲さんの明晰頭脳から生まれた今作は、読解力に劣る自分には読み続けるのが少々辛かった。 「密林の殯」「スメラミング」「ちょっとした奇跡」はそれなりに読めたが、他の作品は当方の力不足で楽しめなかった。
1投稿日: 2024.12.19
powered by ブクログ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00556622
0投稿日: 2024.12.17
powered by ブクログ短編集なだけに、さまざまな作者の引き出しが楽しめる。コロナ期の陰謀論、紀元前と未来、惑星の進化への関与など、ある種SFの定番ネタではあるのだろうけど、やはりどれも独特な記憶を脳に植え付けられる感がある。
13投稿日: 2024.12.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全編を通して、人間が紡ぎ出す“物語”が軸になっていると感じた。 物語には、歴史や宗教、陰謀論や占星術、科学といったものまで含まれる。本書の短編の一つ、【啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで】の台詞にある、“人類は因果関係を想像する能力のおかげで社会を築くことができたが、その能力ゆえ、すべての事象に因果を幻視してしまう。存在しない因果の糸が、神という幻を生みだす。さらに厄介なことに、神を幻視することが人類の文明発達に寄与してしまうという側面もある。”(p.218)という部分が、この短編集に通じるテーマだと感じた。 以下、本書を読んで考えたこと ・人類がこれほどまでに発展した理由は、「理性」と「共感」である。理性と共感の2つの能力のおかげであり、私たちは事象の因果関係を深く考察し、その考察を集団で検討することができる。理性とは、帰納法によって個別の結果から法則性を見つけ出し、意外な結果からその原因を想定する推論の能力と関係している。 共感能力のおかげで、私たちは社会を形成し、他者と交流し、知識を蓄積し、1世代では実現不可能な発展を遂げることができた。 ・不可解な現実、自らの理解が及ばない事象に遭遇したときに、人間は理性と共感能力をフル活用し、目の前の課題を解決しようとする。そういった積み重ねが宗教や文化を作り出し、更には歴史となる。科学が発展する以前には、宗教によって世界の仕組みを理解することが科学としての役割を果たしていた。 ・科学が発達した現代であっても、科学で解明できない事柄や、自分に都合の悪い現実に対抗するための陰謀論のようなものが数多く蔓延している。物事に理由を求めたがる人間のバイアスによって、複雑な現実よりも、一見わかりやすい真実っぽさのあるストーリーが共感を人々を一致団結させるということが繰り返されている。
7投稿日: 2024.12.04
powered by ブクログ密林の殯、スメラミシングは良かった。 他のエピソードは難解すぎて自分には合わなかったです。 「啓蒙の光が、全ての幻を祓う日まで」は途中で読むのを挫折した。 なんだか読者が置いてきぼりな印象。 前作の「君が手にするはずだった黄金について」は凄く良かったんだけど… 多分、自分が元々SFが苦手というのもあると思うが… ただ、小川哲さんが物凄く博識な人なんだということは伝わる。きっと、自分の教養レベルではこの面白さはわからなかった、それだけかもしれない。
6投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前作 「君のクイズ」のようなわかりやすい話ではなく ワシのような物語の隠喩や暗喩を読み取れない読者にはむつかしいお話が続く短編集 ラストのお話だけはわかりやすいが 共に正対し同方向に地球を周り続ける二隻から出される連絡船が会合するのか?(進行方向とは逆進するはずで主人公の出発シーンにその記述あり) が気になってモヤモヤした終わりになってしまった
4投稿日: 2024.11.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集。 今回難しい話が多かった。特に「神についての方程式」「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」の二連チャンは私の頭ではついていけず辛い読書となってしまった…と思いきや、最後の「ちょっとした奇跡」が最高。小川さん、ありがとう。ちゃんと私のような難しい話に耐性のない人間を見捨てないでいてくれた。 カティサーク号とノアズアーク号は、自転が止まってしまった地球からなんとか生き延びるために人類が知恵を出し、作られた船。 何のためにレーションを食べ、何のために進み続けるのか。そんなことを考える間もなく、船が進んでいるのは、人類の存続への欲なのか。 主人公のマオは想い人のリリザと会えることはないが、それでも自身の仕事を疎かにせず、日々を過ごしている。 マオを見ていると、何のために生きているのかということを強く感じる。彼が生きているのは、いつかリリザに会えるかもしれないからじゃないのか。それとも、優秀な機関士として生を全うしたいのか。 マオを待っている結末は天国から地獄へ落とされるようなものではあったが、その中で起きた本当にちょっとした奇跡が、マオを救っている。 素敵な話だ。"会えて感動の対面"を遥かに超えた奇跡じゃないだろうかと私は思う。
2投稿日: 2024.11.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
4本目『神についての方程式』オチの付け方が最高。おそらくテッド・チャン『ゼロで割る』へのアンサー。読んでてよかったテッド・チャン。 5本目『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』も素晴らしいSF、読んでてよかった万物理論。
1投稿日: 2024.11.28
powered by ブクログ科学、宗教、歴史、文化などで覆われた私たちの信じるものたちの直ぐ傍にあるバカバカしさのようなものについて、こんなにも冷めた目線と多角的で知的な視点でバッサバッサとなぎ倒すだなんて笑 信じるとはなんなんですかね。
1投稿日: 2024.11.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
迷信・陰謀論・非合理性・論理的矛盾がテーマ。表題作が最もわかりやすく、根源的。151頁の最後の行から152頁の9行目は必読。「ちょっとした奇跡」「密林の殯」はわかりやすいかな。冒頭の「七十人の翻訳者」や「神についての方程式」や「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」は学術風のはったりがきついが、人間は非合理、矛盾に満ちているという人間観を念頭に置いて読めば、言わんとするところは理解できるだろう。
1投稿日: 2024.11.27
powered by ブクログ今年読んだ本の中で一番良かったものかもしれない。収録されている短編の中で特に好きだな、となったものについて感想を書く。 『七十人の翻訳者たち』 紀元前の時間軸と2036年のシーンが交互に語られる。これらがどう関わるのか、とてもわくわくして一気に読んでしまった。最後のシーンには驚かされた。読み始めのうちはそんな気はしなかったが、読了後はすごくSFだ!と感激した話だった。何度でも読み返したいくらい好き。 『スメラミシング』 表題作。イソギンチャク@白昼夢さんの陰謀論について語る台詞で一気に話に惹き込まれた。この話も、二つの視点が交互に出てくるのだが、私の察しが悪いのもあったのかもしれないが、最初、「僕」と「私」は同一人物だと思っていた。でも、それが違うということがラストシーンでわかってとても驚かされた。スメラミシングとはどういう存在だったのか、それが最後の最後でわかるというというのが素晴らしい構成だな、と思った。 『ちょっとした奇跡』 未来の、自転が止まったあとの地球を舞台にしたSF。世界観がとにかく好き。主人公であるマオという少年から、定められたルールに則って船の中で生活するクルーの様子が淡々と語られるのが、その現代人からすれば奇妙な生活が、この世界では当たり前とされていることなのだと実感させられた。そんなマオがちょっとした奇跡に遭遇して物語は終わる。彼のその後について、幸せであれと願わずにはいられない。
2投稿日: 2024.11.27
powered by ブクログ小川哲さん、キレッキレだな、頭いい。難しくて途中で読むのをあきらめた「啓蒙の光が、すべての光を祓うまで」、なんとか最後まで読んだけどよくわからず苦痛だった「神についての方程式」はあったけど、地球船?クルーの話「ちょっとした奇跡」は単純に面白かったし、私の地元である千葉の総武線の話題が出てくる「スメラミシング」も鉄道ネタを楽しんだ。小川哲さん、千葉市出身なのか。なるほど詳しいはず。
6投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログ神話、宗教、陰謀論など超絶な発想力と筆致で描く、高次元すぎて脳髄が飛びちる作品集 #スメラミシング ■きっと読みたくなるレビュー 小川哲先生の天才鬼才ぶりを余すところなく発揮した短編集。神話、宗教、陰謀論など、解釈が難解なテーマについて先生お得意の超フィクションで描く。 凡人の私なんかが読んでも、内容が高次元すぎて半分も理解できているか微妙。わかんねーなと言っているよりも、むしろそれは作品の味として楽しみましょう。まずは何を伝えようとしているのか感じ取るのが吉ですね。詳細が気になるようであれば、情報を調べてみるといいですよ。 さて本作、どの作品も迫力のある筆致。物語というかもはや学術書読んでるようなものもあり、才能が底知れない。こんな本を読んじゃうと、自分も作家になれるかなーなんて甘い考えは吹き飛んじゃいますね。 ●七十人訳聖書 古代ギリシャ、ユダヤ教と聖書の起源に関する物語。 いきなり何じゃこれってお話で、化け物感がエグイ。まず知識として知らなかったので、いきなり勉強になる。へー聖書の翻訳にまつわるこんなお話があるんですね。こんな短いお話にも関わらず、歴史の荘厳さに圧倒される作品。 ●密林の殯 天皇の棺を担いだといわれる京都の八瀬童子、一族の末裔である主人公は宅配便の仕事をしており… おもろい、チャレンジングな作品ですね。乱雑さの中にも気品さと重々しさがある。天皇と神様と自分の距離感って難しいよね。日常にはまるで関係ないし、日本人でも答えがだせない課題だったりもする。 ●スメラミシング 陰謀論に取りつかれる人たちの物語。人間がどういう背景を経て思い込みに至るのかっていうのが、少しわかった気がした。結局は不安なことからの逃亡であって、これは宗教も同じなんですよね。 ●神のついての方程式 宗教考古学を専攻した語り手が、ゼロ・インフィニティという宗教団体について調べるお話。 宗教学か数学の学術書を読んでるような気がしてきますね、後半の講義はシーンは楽しめました。正直、終盤の終盤までハードでさっぱり理解できないんですが、怪物っぷりは肌で感じました。 ●啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで 超越的な神という概念を信じてはいけない惑星の物語。この作品も神を信じる信じないの争いをテーマにしており、人間の弱さが伝わってくる作品。 ●ちょっとした奇跡 自転を失った地球で生き抜く人間たちの物語。 現実的かどうかはおいといて、この設定の発想力に感服。巨大な地球に対して、ちっぽけな人間の希望が描かれている。おそらくは未来の話なのに、どこか遠くの昔話のような物語でした。
85投稿日: 2024.11.21
powered by ブクログ信じること、信仰に関する物語の短篇集。 紀元前の話から陰謀論や近い将来起こりうるかもしれないことなどなど、これぞ奇才小川哲って感じ。 世界史好きだったので、ヘブライ語の聖書が出てくる『七十人の翻訳者たち』やインド文明のゼロ発見の『神についての方程式』興味深く読んだけど難しい。 陰謀論とか、宗教とか一度曲がった考え方、信じ方をしたら修正するのが難しいんだろうな。 どこまでフィクションなんだか、ノンフィクションなのかよくわからなくなる。前作もそうだったけど、「これぞ小川哲」なんだろうな。 短篇集なので、サクサク読めるけど、難しい。信じることも難しい。
42投稿日: 2024.11.21
powered by ブクログ『君のクイズ』や『君が手にするはずだった黄金について』で知られる著者の新刊。陰謀論や宗教を題材にした6本の短編集。人々が神を求め、神にまつわる物語が人々を支配するという構図はまさにナラティブの時代となった2020年代をそっくり転写している。表題作が最もリアルではあるが、個人的には数学と宗教を結び付けてみせた『神についての方程式』が出色だった。ゼロの概念を出発点(この「ゼロが出発点」という表現も本作を読んだ後では妙に引っかかってしまうw)にあそこまで飛躍するとは。タナカ・ヤスタケの正体の定説には爆笑w
1投稿日: 2024.11.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
正直に言うと…。 分かりやすいものもあったりもするのですが、作品によってはただ文字を追うだけの感覚だったりするものもあり、私には難解で、読むのに時間がかかりました。 なんとか読了、といった感じです。 小川哲さんの作品は、知識がないと読むのが難しいな…。 しかし、そのなかでも興味深い箇所や、なるほど、と考えさせられる一文もあったりするので、最後まで読んでよかったです。
4投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログトークイベント参加のため、珍しく小説を物理媒体で購入。"宗教"をテーマにした短篇集で、たった6本なのに天皇の殯からSNSのカリスマ、ゴリゴリのSFまで非常に幅広い。『神についての方程式』が最も面白かった。 "宗教"という縛りで良くもこんなにバラエティに富んだ短篇を書けるな、と思ってしまうが、イベントにて、色んな時期に書いたものを"宗教"という切り口で集めたものなので、そう見えるだけ、と仰っており納得させられた。
4投稿日: 2024.11.11
powered by ブクログSF短編集。 ・七十人の翻訳者たち ・啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで この2つは不可解で全くわからず・・・ のこり4編もなかなかに多才で不可思議。 前作「君が手にするはずだった黄金について」は好きだったけど、SF色が強いものはちと苦手だな。
7投稿日: 2024.11.08
powered by ブクログ難しい。最初の一編で放り出そうかと思ったが、頑張って読んだら割と面白い。宗教、科学、数学の教養というかセンスがもっとあれば更に面白くなると思う。 「神についての方程式」わかりにくいけど面白い。「ちょっとした奇跡」わかりやす過ぎるけど面白い。
2投稿日: 2024.11.07
powered by ブクログSF短編集だが、設定が凝っているものが多く、短編集の長さだと少し難しい話が多かった。設定が平易なものは面白く読めた。作者の作品の幅には相変わらず感心させられる。
2投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ中毒性の高い短編集。小川哲さんの哲学的思考と空想力、言語化力にまたやられた。SF的手法による聖書成立過程の論理が凄過ぎる「七十人の翻訳者たち」に始まり、ディストピアの恋が切ない「ちょっとした奇跡」まで〝神〟に纏わる6編。陰謀論を題材にした表題作がやはり一番面白く、衝撃の結末はツボに嵌まった。
15投稿日: 2024.11.06
powered by ブクログ信仰をめぐる短篇集。聖書や神、天皇だけでなく陰謀論を描いたものもあって、確かにそれも人によってはそういう対象と呼べるなと面白く読んだ。個人的には前半四作がとても好み、後半二作がハマらないというちょっと極端な一冊になった。
1投稿日: 2024.11.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いやぁ、私には難しかった…。 でも、人類を超越するものへのアプローチなど面白いなぁと感じる部分がたくさんあり、結局最後までがんばった。 最後のお話はサービスしてくれてるのかな?と思うくらいわかりやすく読みやすかった。
2投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体的に神様や神がかったもの、説明のつかないもの、についての短編集といった感じ。 しかも、文系寄りな話と理系寄りな話に分かれている印象。 「啓蒙の光が〜」、この中にある“自然淘汰は偶然の概念が前提とされる”みたいなくだりの箇所が難解で、職場の人と自然淘汰の前提について話し合ったりして。図らずも知的な読書体験になってもうた。 「ちょっとした奇跡」はドラマチック。 理系寄りの話は難解だったけれど、神ネタはこんなバリエーションがあるのかと感心しちゃった。哲学や数学の知識があればもっと楽しめたかも。
1投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小川哲さんの作品は今作で4作目。なんだけど…難しすぎる… 『君のクイズ』がわかりやすくておもしろかったから諦めきれず他の作品も読んでしまうんだけど、だめだ、小川さん賢すぎて小川ワールドにわたしはついていけない。情けない… 『啓蒙の光〜』とかどんでん返しだったの?どんな話なのかわからないまま読み終わった… めちゃくちゃ解説してほしいです。
6投稿日: 2024.11.01
powered by ブクログ6篇を収録した短篇集。宗教・神をテーマにした作品が多く、なかなかに難解だった。 「七十人の翻訳者たち」は、紀元前と近未来を舞台にギリシア語に翻訳された聖書の真偽を探る。「密林の殯」は、代々天皇の棺を担ぐ役目を負った一族の末裔が主人公。表題作「スメラミシング」は、コロナ禍とワクチンを巡る陰謀論。「神についての方程式」は、宗教と数学を絡ませた作品。神が禁じられた惑星での気づきを描いた「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」、自転を停止した地球で生き残った人類を描く「ちょっとした奇跡」は、紛れもなくSF小説だった。
2投稿日: 2024.11.01
powered by ブクログ狭義および広義の「宗教」いや「神」をテーマにしたタペストリーじゃなかった短編集(どんな間違えやねん!) うーん、小川哲さんやっぱ博識やねーっていうのしか残らんかったw 俗に言う”読者置いてけぼり系SF”です(初耳だわ!) しかしながらこれぞわいの好きな小川哲さんという もっとやれ!っていうね ほとんど意味わからんくて完全なる置いてけぼりなのに、もっとやれ!っていうね なにこの気持ち?(知らんわ!)
59投稿日: 2024.11.01
powered by ブクログどれもおもしろい!けど、物足りない。と感じてしまうのは、小川哲ならこの設定でもっと深くて壮大な物語を紡げるはずと思ってしまうから。 ゼロの起源から導き出される「神についての方程式」、 合理性と客観性が貫徹される「理国」の話は、特に、長編にするに耐えうるわくわくする設定。 小川哲は短篇より長篇でこそその能力がいかんなく発揮されると思う。
1投稿日: 2024.11.01
powered by ブクログ「神」と「宗教」と「科学」の密接な関係性を証明してくれるお話。 宗教を数学的に解説し、また化学の中心に神の存在を説く。 難しくて理解が及ばないところが多かったが、ゆっくり読めば、数学や化学に疎くても、全て理解できるように書かれてある。 表題作「スメラミシング」は唯一陰謀論に関するお話で、妄信的な信仰が破滅に向かう様が見られてゾクッとした。 「神についての方程式」と「啓蒙の光が、全ての幻を祓うまで」は、どんでん返し…とまでは言わないけど、最後にえっ!そうゆうことか!という驚きがあって、難しくも楽しく読みました。 作家 小川哲が好きではないと、早々に読むのを諦めてしまいそうな難しさがあり、興味の持てないテーマだと思う。
9投稿日: 2024.10.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
著者独特の世界観が味わえる短編集。 「七十人の翻訳者たち」 「密林の殯」 「スメラミシング」 「神についての方程式」 「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」 「ちょっとした奇跡」 の6編収録。 著者の膨大な知識量が炸裂していて、特に人文科学と自然科学の融合的な思考が面白い。 ただ、あまりにもマニアックな世界なので自分もついていけないところがあり、短編ではじっくり味わいきれないのがもったいないです。
1投稿日: 2024.10.30
powered by ブクログ科学と神というテーマについて、アカデミックな意味でも物語としても多角的な視点を得られて満足。 科学が進めば神や信仰から乖離していくものだと思っていたが、こんなにも密接に複雑に関連するものなのか、というか科学の中心に神があるようにも思えた。 人間であるという制約、人間が住むこの宇宙の制約の中では神や大いなる存在みたいなものを信じることは必然なのかもしれない。 「だが、私たちはその事実に耐えられない。だからこそ神を創造した。自分が生きていることは必然なのだと考えようとした。私たちは幸福を求めているのではなく、理由を求めている。真実を求めているのではなく、理不尽で暗く、生きる価値のない現実を受け入れるための物語を求めている。」 「スメラミシング」p.146 七十人の翻訳者たち 密林のもがり スメラミシング 神についての方程式 啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで ちょっとした奇跡
1投稿日: 2024.10.30
powered by ブクログ5つの短編集、それぞれが独立したもので頭の中の切り替えが出来ず難解だった。ひも理論はずっと若かりし頃昔科学雑誌で読んだ覚えがあった。更に本当の真の真空とは何か?実際には作り出せないこと等ゼロ0の話しなど良かった!さて著者はどんな方かな?なるほどさもありなんと納得した。
4投稿日: 2024.10.29
powered by ブクログ帯の裏、「この世界は末期です。全部壊さないといけません」 強い言葉で引用されているが作中の展開に大きい展開はない。 内容は中々に難解で、複雑な科学用語に陰謀論の元となる要素が入り混じるので分かりにくい。ある種、現実の陰謀論もそんな感じなのかもしれないがそこは分からない。 ある作品こそ清涼感のある終わり方だったが、帯にあるような『弩級エンタメ』作品ではない思想的作品と感じられる事は言っておきたい。 少なくとも一般大衆向けのエンタメではないということは。
1投稿日: 2024.10.27
powered by ブクログ陰謀論を中心とした世界を描いた短編集。真実や歴史といった人類が信じ続けていることの幻想性や儚さを描いていた。鋭い洞察や精緻な社会のディティールを描きつつもエンタメ作品として読ませる力強さがあった。
2投稿日: 2024.10.24
powered by ブクログ直木賞作家 小川哲の作品。前回読んだ「君のクイズ」以来、1年半ぶりに読んだ。新刊とはいうものの、2019年以降の短編集。最初の「七十人の翻訳者たち」と最後の「ちょっとした奇跡」はSFで、残りの4作品は季刊文芸誌「文藝」に掲載された作品。直木賞受賞後、小川哲は純文学に突き進むのだろうか?まだ少しはSFに軸足を残しておいて欲しい。しかし、今回も帯の紹介文がうるさいな。「陰謀論」、「サイコサスペンス」、「京極夏彦」、「弩級エンタメ集」の文字が大きく、裏に回って「この世界は末期です。全部壊さないといけません。」の文章が大きい。作品の題名は太字で強調。 今回の作品はなかなかの粒ぞろい。一つ一つの作品に光るものがあるので、今回は各作品に対してコメントを書きたい。 〇「七十人の翻訳者たち」(NOVA:2019年春号) 紀元前(262~261年)と近未来(2036年)の話が並行して進むのはよくあるパターン。もうこの時点で結末がある程度類推できる。そしてやはり最後にどこかで見たような文章が出てきて結合する。また、「物語ゲノム解析」という言葉から2019年ではなく2036年(位)に設定したのはコンピュータやAIの進化を考慮してのことだろう。物語とゲノム解析を融合させるアイディアも素晴らしい。 〇「密林の殯」(文藝:2019年夏季号) 駄作。 〇「スメラミシング」(文藝:2022年夏季号) コロナの閉塞感、SNSとの距離感の微妙なバランスとやや自閉症気味の性格が相俟って、なにやら怪しい作品へと展開してしまう実に浮遊感に溢れる作品。これが今流行りの純文学なのだろう。最近の映画界の傾向にも似ているような気がする。ということは、この作品も映画化されるのだろうか。脚本はかなり盛らないといけないだろう。私には良く分からんが、この本の題名にもなっているので、作者いちおしの作品なのだろう。 〇「神についての方程式」(文藝:2022年冬季号) 作品全体の中心を貫ぬいているのが0(ゼロ)。ゼロと言えばインド。だからインドが舞台。宗教的な事象も重要だが、それ以上に欠かせないのが数学と量子力学の知識。読者の科学的知識の有無によって評価が分かれるのは少々もったいないような気がするが、片方の読者から大絶賛されることを想定しているのかもしれない。トータルとしてはあまり宜しくない試みではあるが、やっぱりこの話題で書きたいと言う欲求を抑えられなかったのかな。 〇「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」(文藝:2024年夏季号) やや「七十人の翻訳者たち」系の雰囲気を感じられた。それ以上に春暮康一ワールドにかなり近い。最後の報告書、そう、そのとおりなんだけどね。当然、この報告書をベースに作品を構築するのでしょうね。素晴らしい発想と文章力です。もう脱帽です。 〇「ちょっとした奇跡」(小説現代:2021年2月号) これはあまりにも古典すぎるSF。SFはいいんだけど、これを小川哲が書く理由は一体何なんだろうと逆に疑ってしまう。いまや新人SF作家でもこんな幼稚なストーリーを書かないし、コンテストに出しても最終選考に残らないだろう。伏線も早すぎる。エンディングも、なんだかなぁ。この作品の目的は?講談社の意向?私はこの作品、好きですよ。でも小川哲というワードはいらないな。 一年前に『君が手にするはずだった黄金について』が新潮社から出版されていたが、買ってもいなかったし勿論読んでもいなかった。今回の書籍はちょっと気に入ったので、これから書店に『君が・・・』を買いに行こうかな。
11投稿日: 2024.10.24
powered by ブクログ小川哲さんの理屈っぽい話が好きで本作の収録作のどのテーマも面白かったけれども自分の頭が追いつかなかったものもいくつか。 伊坂幸太郎はDon’t believe the hypeをメッセージにしている作品が多くて共感できていたのだけれども小川作品を読んでいるとhypeとそうでないものは紙一重というか表裏一体なのではと感じて混乱します(でもそこがいい)。 収録順は発表順ではなくて、『七十人の翻訳者たち』で始まり、感動必至の『ちょっとした奇跡』で終わるのが編集の妙なのだと思いました。どの収録作も着想がすごすぎる。 なんかもっと人文・社会・自然科学の全部について教養を深めないといけないなと思わされました。自分の理解できなさのせいで星4つ…
12投稿日: 2024.10.22
