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雷と走る
雷と走る
千早茜/河出書房新社
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総合評価

127件)
3.5
14
43
54
6
1
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    読みやすく、あっという間に読了。 幼少期の貴重な体験が主な内容だったけれど、 その後の主人公の話も続きがあればいいのにと思いました。

    9
    投稿日: 2025.11.10
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    幼い頃、乾季と雨季しかない治安の悪い国で大型犬を飼っていた時の回想がずーと続きます。 主人にだけは忠実だけど野生が出ると何をしでかすかわからないところがあり、本能のままの振舞いが愛おしさもあるが怖さも感じる。 私も小さい時、犬を飼ってた事があるので随所にみられる犬の習性が古い記憶を呼び覚ましてくれました。 犬とは主君関係が成り立つように感じますが、猫とは違い対等な関係性を感じたことがないので愛とゆうにはちと傲慢な感じでした。

    81
    投稿日: 2025.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    またまた千早茜さんです。切なくて、とても良かった。 千早茜さんらしく、主人公は30歳を少し過ぎて、結婚を考えている恋人もいるんだけど、妊娠・出産に関しては少し慎重になっていて、その気持ちを恋人とうまく共有できていない、という設定。 そのことは、彼女の生い立ち(幼い頃の思い出)と関係している。 主人公は幼い頃、父親の仕事でアフリカにいて、そこは非常に治安が悪く、インターナショナルスクールには車で通い、自宅の広い敷地と、インターナショナルスクールは頑丈な塀で囲われ、そこから外に一歩でも出ると危険、という環境だった。自宅の敷地には、番犬用に大型犬を何匹も飼っていた。現地で生活する外国人は、番犬を飼うのが当然とされていた。 日本では見られないような大型の猟犬で、現地のスタッフによく躾され、飼い主に従順ではあるがかなり凶暴。主人公のまどかは、1匹の犬に虎と名付け、可愛がった。 その野性性と自分との関係、結局は日本に帰るときに置いていかなければならなかったことが、彼女の心をとらえている。 まどかの現在と、アフリカ時代の回想が交互に描かれる。まどかは、虎を愛したように、恋人や子供を愛せるのか自信をもてずにいるが、ラストは恋人がまどかを理解しようと歩み寄って(寄り添って?)くれていて、希望がもてる感じで良かった。

    10
    投稿日: 2025.10.01
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    この本を正確に理解しようとすると難しいのかもしれない。 幼い頃愛を注いでた犬の本能に目を背け、異国の地に置いて来た事を後悔する自分と、その後悔故に今の恋人への愛に自信を持てない自分が交錯する。 何か結論があるわけではなく、淡々とした語り口。 停滞した自分を停滞したままに描く。短いので読みやすい。

    1
    投稿日: 2025.09.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

     所謂ペットではなく、ガードドッグとして暮らしていた虎は野生と人との共生との間にいた存在であった。それ故に、まどかは日本に共に帰国するという選択肢を選ぶことはなかった。いや、できなかったのだろう。  「幸せってなに?」幼いまどかから大人たちへと投げかけられた疑問は、合理的な選択をする大人たちへの批判でありながら、後に自身も同じような選択肢を避けざるを得ない状況で自らにも問うたのではないだろうか。  命の重たさをひしひしと感じる一冊。

    2
    投稿日: 2025.08.25
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    主題は愛と本能。 早朝のランニング、ひとりただひたすら走るまどかの心は、 過去の愛と現在の愛を行ったり来たりする。 過去の愛は、海外で過ごした子どもの頃に飼っていた、虎という名の番犬。 言葉でも理屈でもなく、愛し愛された存在。 確実で強固な愛の存在を感じていたのに、 野生の本能が目覚める瞬間、愛は本能には太刀打ちできなくなる。 現在の愛は、恋人の博人。結婚を見据える博人の 気持ちと自分の気持ちに違和感がありつつも言葉として明確にならない。 愛情はあるのに、愛には理屈が必要。本能ではないものが蠢く。 過去でも現在でも、愛と本能に揺れ動く、 繊細なまどかの心理描写がとてもよかった。

    5
    投稿日: 2025.07.27
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    異国で犬たちと暮らしていた少女の過去と現在の話。 主人公はあまり感情移入がしやすいタイプではなかったが、異国の空気と犬の描写が素晴らしく惹き込まれる作品だった。 犬と生きる異国でのどこか幻想的な空気と、日本で暮らす現在のリアルな質感とのギャップの表現が上手く、その狭間に立つ主人公が丁寧に描かれていた。 一点だけ気になったのが、作中メインで登場する犬種と表紙の犬が明らかに別物であること。表紙はとても美しく話の雰囲気にも合っていたので、この犬の方が良かったということか…?と少し複雑な気持ちになった。

    0
    投稿日: 2025.07.16
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    父の仕事で海外に移住することになり、番犬である虎をペットにすることに。 虎の本能、力強さ、主人公との絆……とにかく読後感が凄かった(´Д`)

    1
    投稿日: 2025.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    去年の夏、新刊案内で気になった『雷と走る』(千早茜)。 狼のような表紙とタイトルで惹かれて読んだその本は、 主人公が抱える犬に対する罪の意識が色濃く、出産・育児にまで及ぶ話だった。 この本を読んで思ったのは、子どもの頃に経験した事は大人になっても響き続ける事、  そして、それが暗いものだった場合、親は現実逃避のための外出で紛らわすのではなく問題そのものに向き合う行動に出るべきだという事。 子どもなんて親以上に何やったらいいかわかんないし、中には「自分がやった事のせいで、又はこんな体に生まれたせいで親に苦労をかける」と罪悪感を持つ事なんて稀じゃない。 無知ゆえに無鉄砲な行動を起こしがちな幼少期を経る育児だけに限らず日々の生活・仕事も含めて大変なんだろうけど、そこまで見る責任が伴う事でもあるんだと。 読んだ後ちょっとま何をするわけでもなく、そればっかりかんがえてたな。

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    アフリカと思われる国に引っ越しして 番犬虎と出会う 番犬として仕事や幸せそして本能で生きていることのなどが臨場感を感じた

    2
    投稿日: 2025.06.21
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    はあ〜…力強い本だった…! 虎の本能の力強さに呑まれながら読んで、読後は脱力感がすごい この本は千早茜がアフリカで過ごしていた小学生の頃の事が基になってるのかな? 私は犬を飼った事がないから犬を愛すると言う気持ちがあまり分からないところではあるけど、虎の荒々しいとも言える力強さに気押されて、いくら愛していても日本で飼うのは無理だろうな…と思った 私だったらとてと手に負えない 不自由を強いる事で一緒に過ごすか、一緒会えない選択をするか…酷だなあ 主人公の恋人が独りよがりで見ていて反吐が出そうだった

    36
    投稿日: 2025.06.05
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    表紙を見たとき、何となく細田守さんの「おおかみ子供の雨と雪」が頭をよぎったのだけど、全然違った。 そもそもこちらは犬だった。 千早茜さん、初読みです。 文章から受けたイメージは、ひと言でいうのなら、クールビューティ。何だかこれがしっくりきました。 主人公が幼少期に過ごした海外の家で、番犬として迎え入れた犬(名は虎)との話。 飼い犬として心を通わす時と、番犬としての本能が働く時、虎はたちまち手がつけられなくなる。その葛藤。それは良かった。 でも、全体的に惜しい気がする。 現在の主人公も、あまり魅力的に感じられなかった。 幼少期、現在、虎目線あたりで連作短編集とかなら、もう少し入り込めたのでは、と思ったり…。 余計なお世話ですが…。   今回は少し残念だったので、また別作品を読んでみたいです。

    18
    投稿日: 2025.05.28
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    思ってた話とは全然違ったけど、 アフリカ(と思われる)国で、野生味溢れる大型犬と共に過ごす日々を感じられて、それはそれとして面白かった。 動物を飼うってとてつもない責任が伴うよなぁ。 わたしも小学生の頃、家族に頼み込んで頼み込んで、トイプーを2匹飼っていたけど、今思うとその2匹に申し訳ないことをしたと思うこともあったり、それがどうしても償いきれない罪みたいに感じられたり… でもまたやっぱり犬と過ごしたいと思ったり、そういう主人公の気持ちが結構重くのしかかってきたように思う。 最後の方は、もののけ姫みたいだなって思った。 P.S. この国、ザンビア…なのか?  『わるい食べもの』に、千早さんは昔ザンビアに住んでいたことがあるって出てきた。

    8
    投稿日: 2025.05.19
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    表紙があまりにも美しくて買ってしまったジャケ買い作品だったのですが、内容も美しかった。 野生、野蛮を美しく思えるのは新鮮でした。

    4
    投稿日: 2025.05.11
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    ローデシアン・リッジバック 検索した。 なんと美しい犬なのだろう。 犬を見て、ワンコワンコ と言うことが多い私なのだが とてもじゃないがワンコとか言っちゃいけないような気がする。 実際の飼い主さんからするとワンコなのかもしれないけれど。 うん。 ワンコと人間の関係は奥深い。

    2
    投稿日: 2025.05.06
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    ガードドッグ虎と少女まどか。 猛々しい虎の描写でスラスラ読ませてもらいましたが、うーんって感じ。 表紙に惹かれましたが、内容を誤解されそうです。

    1
    投稿日: 2025.04.22
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    主人公の幼少期での異国での犬との日々が ノスタルジックにそして、切なさも感じる 文体で綴られていました。 千早茜さん自身がアフリカで幼少期 過ごされていたということで、 主人公の異国での生活の描写が生々しく 伝わってきました。 私たちの国での犬との関係性は友人や家族のような 存在ですが、国や場所が変われば、番犬としての 機能を求められている犬たちもいるんだなと知ることができました。 本の中で出てくる「虎」は番犬として求められていますが、犬としての本能が剥き出しになるシーンを見ると犬と人間との関係性って何なのだろうかと改めて考えてしまいました。 本の中で 「犬は人の求めに応じて変わっていける。」と 書かれています。 人に求められる役割を担う犬は、人間のエゴに 振り回されることがあっても、 飼い主を純粋に思い、共に過ごしてくれる。 本当に愛おしくなる存在だなと感じました。 読んでいて苦しくなりましたが、人と犬との絆というのは、きっと存在していると信じたくなるお話でした。

    63
    投稿日: 2025.04.15
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    ガードドッグ虎と少女の話。150ページに満たないのでさらっと読める。あのこはそこでしかいきていけないのだね。

    1
    投稿日: 2025.04.15
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    グリフィス、を読みたかったのだが、こちらを先に読んでしまった。 久しぶりの千早作品で、それなりに楽しめたのだが、少し物足りない。

    1
    投稿日: 2025.04.13
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    世界には、本に描かれているような治安の悪い国があることを初めて知った。 人間を守るための犬がいることも… 今の生活があたりもえでなく、幸せであること覚えておこう

    1
    投稿日: 2025.03.30
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    犬と異国の地は。 こんな過去があると話す事は簡単だとしても、共感をしてもらおうとすると難しいかもしれないな。

    1
    投稿日: 2025.03.27
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    異国に移住した少女と犬の話。 感想書くのが難しい。 ページ数も少なくさらっと読めるけど、さらっとした内容じゃない。

    1
    投稿日: 2025.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とらぁぁぁあ!大型犬なのかな、あ、いや、なんか犬種書いてあったな最後の方に…。 心細い生活で自分と家族を守ってくれる無償の愛に近い虎達との関係、いいなと思います。 というか、表紙の絵が綺麗すぎる!! 後に、胃が合う二人を読んで、千早さんの幼少期の頃を元にしてるんだと分かってまた好きになった

    1
    投稿日: 2025.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間が生き物を大事にするのは答えが返ってこないから、それができないと永遠に悔いが残る という和の言葉に共感した 私も昔家で飼っていた犬が幸福だったのか自信がなくて悔いが残ってるし、たぶんこのもやもやが消えることはないと思う 彩度が高くて、光と陰がくっきりとわかれているような鮮やかな異国の描写が美しくもそら恐ろしかった 現代の日本よりも野生が近い感じの…その辺の感覚は拓ちゃんに一番共感できたかも 日本を離れてこの国で暮らすのめちゃくちゃ怖いしバッタの群れが大雨みたいに窓を打ったら私パニック起こすかもしれない… このお話では対等な愛ってなんなのかってことを問いかけている気がした 異国のガードドッグも日本の愛玩犬も人間の意向一つで属する場所を勝手に変えられたり繁殖能力や子供を奪われたりする まどかが虎に感じてた愛はどんなにその強さを感じていてもやっぱり「所有」したうえでの愛にすぎなくて、最後まどか自身が下した結論を思い返してはそれを痛感している気がする じゃあ人間同士の愛はどうなのか、必ずしも対等な愛なのか、そこに所有のような関係はないのか…指輪と首輪が重なって見えるのがいいなあって思った まどかがこの指輪をつけるのかどうかわからないところも好き 和が言っていたみたいに新しい犬を飼えばまどかは幸せになれるのかな 必ずしもそうじゃない気がする

    2
    投稿日: 2025.03.15
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    私も犬を物心ついた頃から飼っていて、 今の犬が3代目。 幼いまどかと同じで 無責任に所有していたのだと、ハッとした。 虎とまどかとの愛と罪のお話を読み終えて、 私も虎を失ったような気がして、 昔飼っていた犬たちも、もちろん 今飼っている犬も大切に かけがえのない時間を共有していきたいと強く思った

    1
    投稿日: 2025.03.14
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    大きな愛と、抑えきれない強さで守ってくれる虎と、 それに応えられず後悔している女の子の話。 ペットを飼う前に読んで欲しい本かもしれない。

    1
    投稿日: 2025.03.10
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    まどかには忘れられない犬がいた。ローデシアン・リッジバックの『虎』。『全身で伝えてくる愛となんの曇りもない信頼のまなざし』にグッときた。今は亡き愛犬たちを懐古し、静かに本を閉じた。

    2
    投稿日: 2025.03.05
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    犬を飼っているもしくは飼ったことのある人は、きっとすごく共感するだろうなぁとゆう物語。 自分はどちらかというと犬が放されていると怖い…大抵は吠えられていっそう苦手になる。かわいいなぁと思うけれど、近づいて吠えられると怖さが勝ってしまうので。 ペットを飼ったことのない自分には、犬から子供に繋げるのは難しいが。 子供を持つことはすごくデリケートな話題で、人によって価値観も違うし。そもそも出来る体かどうかでも全然違う感情で。できにくいと分かっていたらそれがコンプレックスにもなるし、欲しいと考えることも憚られるようにもなる。ピル=避妊と短絡的に考える人が多いのは、やっぱり日本人の「子はかすがい」「子供を産んで一人前」みたいな思考が拭えないところに起因するのかも。 人に話しても理解されないと思うと、抱え込んだまま心の奥で凍っていくことってたくさんある気がする。

    2
    投稿日: 2025.03.03
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    日本で生活を共にする犬とはまた違った、異国で生活する犬と日本人の関係。国を跨げばこんなにも犬との関係性が変わるのだと、感じさせられた。

    2
    投稿日: 2025.02.28
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    サラサラ読めるけど読み応えのある文章はさすが千早茜さんだ、と思う。 犬を飼っている人は読んでほしい。 虎の幸せって、人が犬を飼う事の意味って、責任って、、、

    1
    投稿日: 2025.02.24
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    千早さんの新たな一面をまた見せてもらいました。 日本から離れた異郷の地で、幼かった主人公と犬の愛を描いた小説です。 犬を飼う人間として感じるところがたくさんありました。 彼らの与えてくれる愛は私たちを幸せにしてくれます。 では、私たちは彼らを幸せにできているでしょうか。 We have to consider what is happiness for dogs. They are different from humans.

    17
    投稿日: 2025.02.24
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    異国の地に住んだ子供時代の頃の番犬の話。弟さんがあまり好きなキャラではなかった。表紙がとても素敵だと思った。

    3
    投稿日: 2025.02.23
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    異国の空気や植物の色鮮やかさが閃き、香りまで漂ってきそうだし主人公の犬・虎は生命力に溢れ毛並みに触れた時の感触が思い出せる(私には存在しない記憶だが)くらい文章から質感を感じます。 犬の形にぽっかりと空いたまどかの胸の奥の穴は塞がることはないのでしょう。

    7
    投稿日: 2025.02.11
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    強烈な美しさに憧れながらも、完全には混ざり合えない異国の地。 確かな絆はありながらも、透明な壁に隔たれているような、少女と犬。 景色や空気の描写が匂いたつようにリアルで、虎とまどかの濃密な時間を追体験しているような気分で読んだ。

    2
    投稿日: 2025.02.10
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    表紙の美しさに惹かれて購入。 犬の中の無邪気な本能と、子供の無邪気さと葛藤が描かれていて、生々しさもあるのに鮮やかな情景が浮かぶ綺麗さがあった。 愛と幸せとはなにかを、犬という生き物を通して見つめさせられた。犬飼いの人は特に刺さるものがあるんじゃないかと思う。

    3
    投稿日: 2025.01.29
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    こう言うことの経験はないけれど ヒリヒリするような なんとも言えない気持ちになる あ〜〜みんな幸せだったらいい

    2
    投稿日: 2025.01.29
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    千早茜さんの作品は毎度考えさせられるし、千早さんのかく心に傷がある主人公は魅力があってどこかに共感する言葉があります。動物と人間の共存、、、日本の治安ありきの共存、、、考えさせられます。

    1
    投稿日: 2025.01.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人間と犬の信頼は言葉では伝えあえないからこその信頼の形があると思う。 しかし、本当に信頼できているのか…人間と犬…人間と獣? 主人公の絶対なる信頼(愛)が届かなかった瞬間の主人公の気持ち、それでも愛してやまない気持ち。 ずっと一緒にいられたらどうだったのだろうかと思うが、主人公が幼過ぎた点も否定はできない。 幼少期と大人になった今の双方の視点を交えて語られるストーリーはとても読みやすく、タイトル通りに走る様にすぐ読み終わってしまった。

    1
    投稿日: 2025.01.18
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    千早茜さん流の人間が犬に抱く愛情のお話。 読んでいる最中にすごく色々思うことがあったのに、いざ感想を書こうとするとうまく言葉が出てこない不思議な作品だった。 治安の悪い異国の地で、人間を守ってくれるガードドッグ。主人公の犬「虎」に関する主人公の思い出と今現在の話が行き来する。 人間よりも犬の方が、素直でわかりやすいのもすごくわかるし、犬の描写を読んでて昔自分が飼ってた犬を思い出したりもしました(全然似てないけど) 千早茜さんの作品が描く「愛」は、対象が人間でなくてもこんなに鮮烈なんだなと思いました。

    1
    投稿日: 2025.01.16
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    犬と人間の関係性を問われるような物語だった。 異国のそれも治安の悪い国へ家族と共に住むことになり、そこには当然のように番犬がいた。 ガードドッグという仕事を持つ犬。 悪いものから家の人間を守るという犬たちと走り回り遊んだ私は、なかでも虎だけは特別だった。 だが虎の本能を見たときに日本へ連れ帰ることはできないと思った。 あの国でこそ生きる犬だとわかったから。 大人になっても虎の夢を見るのは…他の犬を飼うことができないのは…虎を愛したからこそなのだろうか。 雷のような逆毛を背負った美しい相棒は、ずっと心のなかで住み続けるのかもしれない。 喋るわけでもないのに必要だと感じる存在で、癒される存在で相棒なのが犬で、実際にうちにもラブラドールの雄犬を飼っていた。だが彼が死んでから20年経つが思い出はたくさんあって、他の犬を飼う気になれない。 けっして勇敢でもなくどちらかといえばドジでお茶目な犬だったけれどミルク色した短毛の背中は立派で温かかった。 そんな彼を懐かしく思い出した。

    57
    投稿日: 2025.01.15
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    犬と少女の絆の話。弟の和が、生き物を大事にするのは、「答えが返ってこないからだよ。幸せかと尋ねても人間以外の生き物は答えない。だから、日々最善を尽くす。幸せにできているだろうかと常に自分に問うしかない。それができないと永遠に悔いが残るんだ。」という言葉に共感した。 まどかが人生で最も信頼していた相手が虎という犬だったこと、たしかに腹の底で何を考えているか分からない人間より、犬には嘘や裏がなくて心を預けられるよな、と思った。 アフリカで生活することの大変さについても、映像が浮かぶほど鮮明に描写されているところも良かった。私の知らない世界だった。 千早茜さんの本は恋愛ものしか読んだことなかったから、こんな内容の本も書くのだととても新鮮だった。

    1
    投稿日: 2025.01.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    旅先の書店で装丁の綺麗さに目を惹かれ、図書館で借りました。 千早茜さんの本は魚神を読んでいて、描写が印象的だと思っていたので楽しみに読み始めました。 本作でも異国の自然やガードドックの美しさが艶かしい実感を伴うような表現で描かれていて素晴らしかったです。 内容は主人公まどかが、異国で過ごした少女時代を思い返すように当時の記憶が再生され進行していきます。時折現在のまどかの暮らしとも対比されて、自然な流れで読み終えてしまったなという印象でした。 異国で暮らす中で、少女が番犬達と紡いだ絆だったり、番犬と共に日本で歩む責任の重さと別れを短い期間の中で突きつけられていきました。 それが現在のまどかに活きて、どこか色々な関係性を築く事に消極的というか思慮深くなっているのだなと感じますが、培った強さでもあるような気がして、たまらない読後感でした。

    1
    投稿日: 2025.01.11
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    薄暗い世界観の話だった。 少し心が落ち込んでる時だったから尚更そう思ったのかもしれない。 いろんな気持ちが湧き出てくるが言葉にできない。犬が本当はなにを考えているのか、私たちにはわからない。飼い主を慕ってたくさんの愛情をくれるが、一瞬で獰猛になることもある。 私には少し遠い話であり、深い話だった。 虎という名前の犬を飼っていた女の子の話。 海外ではガードドッグといって、犬が守ってくれないと危険な国がある。ガードドッグは広い庭を毎日パトロールして、強盗などから生活の安全を守ってくれる。虎の犬種はローデシアン・リッジバック。

    15
    投稿日: 2025.01.11
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    主人公まどかには心に傷がある。 子供のころの一時期、父の仕事でアフリカのとある国に住んだ。そこで飼っていた犬を、彼女は愛していた。けれど、その犬を連れ帰っては来なかった。連れ帰らないという選択を彼女はした。そのときの心の痛みがずっと消えずにいる。 物語は、成人して日本の都会で暮らす彼女と、少女時代のアフリカの彼女との間を行ったり来たりする。 犬はローデシアン・リッジバックと呼ばれる種だった。 ローデシアとは現在のジンバブエ地域で、旧イギリス植民地を指す。リッジは隆起線のことで、リッジバックは背骨に沿った目立った逆毛をいう。 ローデシアン・リッジバックは優れた猟犬であり、かつてはライオンなどの猛獣狩りによく伴われていた。主人に従順で、見知らぬ者に対する警戒心が強く、襲撃の際には獰猛にもなりうるため、原産地では番犬としてよく使われる。 父の赴任地では外国からの駐在者は番犬を飼うのが当たり前だった。まどかは、父や弟と犬を選びに行った。まどかが選んだのは一番弱々しい仔犬だった。 茶と黒のまだら模様の珍しい毛色。まるで虎のようなそのまだらの犬を彼女は「虎」と名付けた。 やがて成長した犬は、主人に忠実でまっすぐで気性の激しい犬になった。まるで雷神様の使いのような、雷のような犬に。 成人した彼女には恋人もいるのだが、実はそれほどうまくいってはいない。 子供を欲しがる彼と、子作りをするつもりがない彼女との間には十分な話し合いもされていない。 彼女は時々、一人で走る習慣がある。その脳裏には、あのまだらの犬がいる。 「虎」は彼女によくなついた。彼女も犬たちを、とりわけ「虎」をかわいがった。 けれど、彼女は知っていた。犬たちにはどこか、制しきれないところがあることを。 母はさらに敏感にそれを感じ取り、犬とはやや距離を置いていた。 インターナショナルスクールで弟には友達ができ、家を行き来する交流も生まれた。友達の家はごく近所だった。 そんな中、ある事件が起こる。それは「虎」の「野性」を否応なしに見せつけるものだった。 それから間もなく、父が日本に戻ることになる。もちろん、家族もともにだが、犬をどうするか。その選択を父はまどかに委ねる。 実のところ、選択の余地はなかった。 気性の激しい大型犬、それも今まで広い庭で放し飼いにされていた犬を、狭い日本の住宅で鎖につないだまま飼うのは至難の業だ。しかも「虎」は複数回、事件を起こしている。 日本に連れ帰り、何か起これば殺処分の可能性もある。 その選択を子供にさせるのはいささか酷なことだっただろう。 まどかもわかっている。連れて帰らない方が「虎」には幸せなのだ。けれど一方で夢想する。 連れて帰る。何かあったらその時は、命を懸けて「虎」を守る。それも叶わぬなら一緒に死ぬ。 それは確かに、それまでもそれからもなかったほどに愛した存在について描く甘美な夢でもあったろう。 しかしおそらく、それだけではない。 彼女の中にも、どこか飼いならしきれない「野性」があるのだ。その「野性」が時に暴れるのだ。「虎」を失った痛みとともに。 だから彼女は走る。雷を胸のうちに秘めて走る。 恋人は優しい。優しく彼女に寄り添う。 しかし、その視点はどこかズレている。 彼は彼女の野性を見ていない。 「野性」と「都会」の間で、彼女は揺れている。 飼いならされて生きることに納得するのなら、彼女は彼と生きるだろう。 物語の終幕では、そうするようにも見える。 けれど、どうだろう。 塀を飛び越え、走って欲しいとどこかで思ってしまうのだ。たとえその先が破滅でも。 それは読者である自分の中にも、潜む「野性」があるからなのかもしれない。

    8
    投稿日: 2025.01.06
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    犬と暮らすこと 使役犬と共に暮らすことはどういうことか、しっかりと捉えた作品。 子供の頃、父親の仕事について南アフリカで暮らしていた主人公は、ガードドックと共に育つ。 そして、犬と暮らすことの意味を知る。 帰国する際に、その犬「虎」とは別れることになるが、主人公の心の中には、虎との暮らし、虎との離別、その記憶、その記憶が生き続けている。 直木賞を取った「しろがねの葉」とはまったく違う作品だが、これも興味深く、犬と暮らすことの意味を考えさせられた。 他の作品も読んでみようと思う。

    4
    投稿日: 2025.01.06
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    犬と人間との関係性 多分犬の気持ちがわかる人間はいるんだと思う 私には分からないんだけど、分かる人と分からない人の間には決定的な溝があるように思う。 このタイミングでやってはいけない事。 それが分かるか分からないか。 子供の頃近所の犬同士の猛烈な喧嘩を見て、 ビビり倒したので、犬が怖いというのは分かる。 嫌いではないけど。 大型犬は怖いかな。

    8
    投稿日: 2025.01.05
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    千早茜さんの最新作を楽しみにしていたのだが、全く好みではなかった。「本当に同じ作家さん?」というほどそれぞれの本で作風が違うように感じる。「香り」シリーズは何度も読み返したくなるくらい読んでいて心地いいのに。

    7
    投稿日: 2025.01.04
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    何度もウルウルした。犬好きには全員読んでほしいと思う本。 親しくなった動物とは触れ合ったり目を合わせたりするだけですべて伝わるような気がするのに、人間の恋人とのコミュニケーションにはすべてを言葉にすることが必要で、頭で考えて考えて何も言えなくなる…というのがめちゃくちゃ分かる。

    1
    投稿日: 2025.01.01
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    犬と人間との関係の物語ではあるが、少し変わった内容ではあった。 まずこの犬はペットではなく、かと言って盲導犬や警察犬といった厳しい訓練を受けた職業犬でもない。本能に近い生き方をする番犬。 異国の地で暮らす不安定感の中、唯一の確かな存在だった犬との暮らしが大人になってからも影響を与え続ける。 家族でも友人でも主従関係でもない、不思議な関係。

    6
    投稿日: 2024.12.31
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    舞台はローデシアか。リッジバックという差が髪を持つ番犬。治安の悪い国への家族での赴任で孤独のなか、主人公に常に付き添う大型犬の虎。虎の野性に慄きながらも愛し、虎を残して帰国した喪失感と孤独。もう誰も守れないと思い詰め成長した少女が傷ましい。

    2
    投稿日: 2024.12.29
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    2024.12.18 主人公が幼い時、父の海外赴任先(多分アフリカ?)でのガードドックとのお話。 アフリカは大人でも外を1人で歩けないくらい治安が悪いので、裕福な家庭は高い塀の中に住んでいて塀から塀への移動は全て車で、番犬として犬を飼っていたらしい。 番犬の中で1番可愛がっていたのが虎という名前の犬。 従順だけど本能のまま生きていて獣の生き物であるものがわかる文章。 獰猛な息遣いが耳元で聞こえる様だった。 帰国することになり置いて行ってしまった虎への後悔と、でも一緒に帰ってこれなかった現実と・・・。 千早さんの「わるい食べもの」で父親が獣医で幼い頃アフリカに住んでいて、番犬と広い庭を散歩していたと書かれていたので実際の話も含まれているのかな。 表紙の犬の絵が綺麗!

    1
    投稿日: 2024.12.26
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    異国で出会った犬と少女の愛の話 しろがねの葉の時も思ったけれど、千早さんの文体ってちょっと暗くて物悲しくて美しくて、色気があるんだよな〜! 10歳と愛犬の話なのに、雰囲気がすごい、命懸けの愛……! 千早さん自身が幼少期に外国に住んでたから、異国の空気みたいなのがすごくリアル 犬との愛がメインだから仕方ないけど、大人になってからの主人公が恋人を蔑ろにしすぎでは?と思ってしまった 人のことズレてるとか心の中で貶す前にもうちょっと話し合ったら?彼氏かわいそうだよ…… 物語は短いけれど、それでも千早さんの書く愛が堪能できる本だった

    14
    投稿日: 2024.12.25
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    これはきっといや絶対、実体験だろうな。 著者は(ウィキペディアによると)幼少期をアフリカで過ごしたらしい。 この空気感はそこの想像で描くにはあまりにリアルで、犬を飼ったことはない私でも、つかの間この番犬として子犬から飼っていた”虎”とすごい強い絆で結ばれたような気がしたよ。 ほんとにほんとに日本に連れて帰りたかっただろうな。 でも、”ローデシアン・リッジバック”という犬種、写真で見たけどこんな獰猛そうな犬に追いかけられたもう恐怖でしかない。 でも、その犬が自分に懐き意思疎通ができればもう唯一無二の存在になるだろう。 この子どもの頃のアフリカ生活パートと現在の大人になってからの恋人との関係を描く交互で展開する2部構成。 虎は雷神の使いのような犬。だから雷と走るなのね。 使用人がいて、番犬を飼わなくていけないほど治安が悪くて、塀の外(自宅の敷地の外)を子どもだけでは歩けないなんてね。なんて不自由なんだろう。 でも、まどかには虎がいた。虎と出会えたことは数年間だったとしてもとてつもなく大きいことだったんだろうな。

    2
    投稿日: 2024.12.24
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    千早茜さんの小説は、永遠に記憶に残り続ける、心の中の「かたち」(=自分なりに解釈すると面影のようなもの?)をモチーフにした作品が多いように思う。 本作も、主人公のまどかが幼少期に父親の仕事の都合で過ごした外国での、番犬との思い出が「かたち」となっている。 この番犬は正義感が強くもんちゃなところがあり、周囲の人からはたしなめられていたが、まどかとは長い時間を過ごすうちにたしかな絆が生まれていく。 それでも、現地で敵とみなした人間や他所の犬に対して獰猛になるところに獣の本能を見てとり、やはり人間とは違うのだという思いが生まれる。完全に理解はできないのだと。 そうして、帰国の折には、日本に連れ帰るかどうか選択を迫られるも、やはり責任はとれないと感じ、現地に残すことを決断する。 日本に連れ帰ってもきっと番犬は自由に動き回れず、有り余る力を使えずにストレスを抱えることになると考え、人の幸せを犬に押しつけることが、相手のためだと思えなかったため。 帰国後は大人になっても、2つの方向から、番犬との思い出が「かたち」となって残る。 1つ目は、自分の愛の形に沿わせることが相手にとっての幸せだとは思わないこと。 2つ目は、当時の選択の正解がわからず、常に自分の選択に対して自信が持てなくなっている。 これによって、子どもを持つ責任が持てないために密かに避妊しているということを、現在の恋人に伝えないまま、関係を保っている。 番犬との思い出は、心の中にぽっかりと空いた穴、かたちとなって、今でも悲しい気持ちになるという。 でもそれは決して悪いことばかりではなく、当時の思い出やそこから感じたこと(上記の責任等について)を一生持ち続けていられるという面もあると思う。

    11
    投稿日: 2024.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    完全なるジャケ買いってやつでしたが、いい意味でしんどいストーリーでした。 なんだか褒め方が難しいんですが、間違いなく琴線には触れたというか。 犬への想いがない人にとっては読了まで文字を追うだけの本なんだろうなーと読了直後に思ってたら、その通りのレビューがあって、ちょっと面白かったです。 いや、実際この本は犬への愛が軸で、その軸のみで展開しているので、そりゃそうなんですよね。 軸の周りに肉付けとか装飾なんて皆無なんですよ。 その分、犬を想う「狂おしみ」みたいなものが滴っているというか。 一応「後悔」っていう飾りは添えられていますね。 ただ、愛犬家が全員共感できるかというとそれもまたビミョーに違うんだろうなと思います。 虎と、虎とまどかが暮らしたその国は、そもそもの「犬」の立ち位置が私たちの価値観とは違うんですよね。 愛玩って言葉がイマイチ好きじゃないんですが、どういったところで愛されるために存在しているとしか言いようがない現代日本の多くの犬。 まれに昭和感のある犬小屋に繋がれていた「ザ・番犬」もいますが、もはやその環境は虐待であると判断されるパターンあったりするわけで。 これもまた、やっぱり立ち位置、概念が根本から違う。 極彩色の世界を最愛の本能と生きる少女は、あちら側の空気を感じ、吸収しながらも、本質はこちら側。 その本能の野生味を、自由を、荒々しさを愛しているのに、2人で生きていこうとするでもなく、一緒に死ぬでもなく、後悔だけを鍋底に焦げ付かせて、過去の自分が捨てた愛を眺め続ける。 いや、まあそうでしょう。 異国でガードドッグと2人で生きていく!犬を殺して私も死ぬ!って実践できるような「鮮烈な魂」とやらを持っていたら、虎よりさらに現代日本で生きていくのはのは無理だったでしょう。 どんな価値観の中に存在していようとも、人間から愛されてようと愛されてなかろうと、人間を、主人を愛してくれる生き物だということを考えると、また愛さずにはいられない。 そんな生き物。犬。 愛犬に野生味なんてものは1ミリも感じないんですが、虎の描写の中にも愛すべき同じ匂いを感じる不思議。 何はともあれ、ジャカランダとローデシアンは画像検索しましたよねー。

    3
    投稿日: 2024.12.24
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    一番好きな作家の千早さんの本なんだけど、 動物をテーマにした本は正直興味が無くてずっと積みっぱなしだった。 犬に愛着が無いというのもあって、イマイチ入り込めず。 治安の悪い国に住むことになったまどかたち家族。 番犬に対して主人公のまどかが愛着持ちすぎてて、 泥棒が来ても番犬守ろうとしてるのはちょっとなぁ…と共感できなかった。 泥棒から守ろうとしてる母を突き飛ばして番犬を守ろうとするって、 犬の役割とその国の危険さを分かってなさすぎて苛々。 なんだか色々と幼すぎて無責任だなと… 千早さんは香りシリーズが一番。 千早さん好きの読者としては、やはり人対人の話が読みたいな

    2
    投稿日: 2024.12.24
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    犬が苦手だから、ここまで思いを馳せることはできないけれど、なんだかよくわからない絆で結ばれているのかもね。飼い主とは。

    1
    投稿日: 2024.12.19
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    異国の空気。飼い犬であっても現地の犬は野生である事が主人公の記憶に強く残っている。 突き放すような文章がいい。

    1
    投稿日: 2024.12.15
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    千早さんの生い立ちは自分と似ている。 幼少期のアフリカでの生活、その中で飼っていた犬についての物語で、感情移入しながら読んだ。 親の都合で越してきて、親の都合で虎と引き離される理不尽さがせつない。 主人公が日本で大人になった今、虎と同じような存在に出会えて、一緒に暮らせてらいいなと思った。

    1
    投稿日: 2024.12.13
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    自宅の門の外を歩けないほどの治安の悪い異国での生活に急に放り込まれたのは、小学生の主人公にとって、計り知れない重圧だっただろう。 番犬の「虎」にとても深い愛情を持ったのは、よちよちの幼犬から育てたからだけでなく、そんな環境で前を向いて毎日を過ごすための心の拠りどころだったんじゃないかな。 でも、番犬は獣であることを知らされる出来事が重なり、責任と愛情のあいだで揺らぐようになる。こんな状況だったら、子供じゃなくても悩むよね。 大人になっても、いつも思い浮かべてしまう当時の苦悩と自分の選択の是非。恋人との関係を通じて、徐々に心が解放されていくと良いなと思った。 表紙の犬のイラストが凄く素敵だった!

    10
    投稿日: 2024.12.13
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    まず、あまりにも表紙が綺麗だったので手に取ってしまった。 不器用な主人公が、確かに愛だったと確信できたものが、虎への愛情だった。 それは一緒に最期を迎えられなかった、見届けられなかったからこそ胸にこびりついてるのかも知れない。

    3
    投稿日: 2024.12.10
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    犬とともに生きるということ。 アフリカの強い自然の中で飼われている犬と、少女の話。日本とは自然も社会も違うけれど、生き物を飼うという責任は共通するところがあると思った。 犬が持つ本能は、普段は人間がコントロールできるようにしつけられているけれど、何かの拍子に暴走したとき、制御不能になってしまう。飼い主の油断や驕りが招く事故のニュースは、頻繁ではないけれど定期的に見る。 私には犬が悪いとは思えない。飼い主の責任はきちんと問うべきだと思うが。 生き物を飼うことのハードルは思っているより高い。特に自分より大きな生き物や、力のある生き物については。 人間の幸せと、犬の幸せは違う。 人間がよくても犬の方はどうなのか。生き物を飼う責任は負えるのか。そんなことを考えさせられる読書だった。 と、書きながら、子どもにも言えることだなと思う。私たちが決意して生んだ命が横ですやすや寝ている、がんばろう。

    53
    投稿日: 2024.12.10
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    父の転勤で、あるアフリカ大陸の国で小学校低学年の数年間を過ごした主人公・まどか。番犬として、生まれたばかりの大型猟犬を飼うことになり、はるかは他の兄妹にエサを奪われるばかりの小さい一匹を選び、「虎」と名付けて面倒をみる。 まどかは32歳、働きながら、彼との関係の間で、時々、虎との日々を思い出す。信頼すること、自身の幸せを他人に理解してもらうこと、他人と心を通わせること。ある出来事で、日本から来た友人と疎遠になり、そして虎との悲しい別れ。そんなことを背負いながら、まどかは悩み続けている。 決して明るく楽しい物語ではないが、興味深く、まどかと虎の関係を読んだ。前に読んだ同じ著者の「透明な夜の香り」のように、時に情景や人の心が浮かんでくる穏やかな文章だと感じた。 外国人向けの大きな屋敷の塀の中で、虎たち犬は首輪もリードもなく、放し飼いで暮らしていた。父やまどかが車で帰宅すると、どこからか現れて出迎えてくれる。愛玩犬ではない虎たちは、大きくなるにつれ、野生の本能が出ると制御できなくなることも。まどかは幼いながらも、父や周りの人たちの教えで、虎としっかりした主従関係を結ぶ。弟や母には難しかったが。 父の案内役から、まどかは犬のことを教わり、「守り、守られて、犬は魂の伴侶」という話も聞く。インターナショナルスクールに馴染めないまどかだったが、虎の姿や行動を見て、同じように強くなりたいと願い、少しずつ成長していく。

    9
    投稿日: 2024.12.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【キーワード】 忘れられない犬/海外での生活/スリ/兄弟の子/人種差別/去勢/飼い犬への傷害/インターナショナルスクール/帰国 【印象的な一文】 「犬たちを連れていくのは難しい」   「そばにいて。いい子でそばにいて」 額を撫でる。虎は気持ち良さそうに目をとじた。大人になったいまでも、虎以上に信じられた存在はいない。 殺せば良かった。殺して、一緒に死ねば良かった。それくらい(愛犬を)愛していた。 【最後の一文】 一瞬、ぼやけた視界に虎と走る小さな私が見えた気がした。

    9
    投稿日: 2024.12.08
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    短い小説なのに、重い本だった。 自分では犬を飼ったことがない。 ただ、小さい頃、短い期間住んでいた田舎の家には、雷と書いて「らい」という犬がいた。 だから、主人公が羨ましくもあり、「犬を飼うのが向いている」と言われ、犬を大切に思うから、責任を感じ、犬を置いてきたことが、常に心に棘となって残っている。人でも、犬でも何かを愛することには責任が必ずつきまとう。だから、結婚と言う1歩が、踏み出せない主人公の気持ちもわかる。 自分に責任感があったのだろうか。

    2
    投稿日: 2024.12.05
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    するんと読了。しかし、ずっしりとした物語だった。千早さんの幼少期の海外での体験が生きているのか、虎やマリという犬をはじめ、物語で登場する動物たちは皆生き生きとしていて、たくましかった。異国の地で、現代日本ではあまり見られないガードドッグという仕事を持つ犬と彼らの犬たる無邪気さが、余計犬と暮らす者としてぐっと胸をついた。どんな犬種でもわんこなんだ。人と生きるということを何万年も続けてきた。すごい動物だと思う。

    5
    投稿日: 2024.12.05
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     終盤に主人公の「まどか」が引用したあの小説から、本書の主旨のようなものが私なりに見えてきた気がしたものの、それをあまりに特殊な設定でやるところが、千早茜さんらしいというか、まあ。  女の子と犬の変わらぬ絆とだけ書くと、とても牧歌的で微笑ましい光景を思い浮かべるかもしれないが、おそらくまどかが見ているそれと他の人が見るそれとでは、全く印象が変わってくるのではないかと思われたのも当然で、何故ならば、それはとても個人的なもので誰も立ち入ることのできない不可侵領域だからであり、本書の場合、大人になってから振り返る形式を取ってはいるものの、それを千早さんは、小学生くらいの女の子と「ローデシアン・リッジバック」で表そうとする中、更に日本ではない国を舞台にすることによって、特別感が際立つ一方で異質感も際立っているように思われたのが、また本書の主旨に沿ったような悲劇性を皮肉にも演出しており、そもそもまどかたち家族自身がその国に於いては、『言葉も常識も価値観も違う、飢えや暴力を知らない私たちはあの国では徹底的に異物だった』という環境下での出来事であったことも、更に悲劇性に輪をかけているのであろう。  ちなみに「ローデシアン・リッジバック」という犬種を知らなかったので、画像検索で見ると、なんてスマートな体躯で凛々しく精悍な顔つきなのだろうと感じ、この犬の走る姿を、真っ直ぐに落ちる白い稲妻のようだと例えたのも納得できそうではあったのだが、そのあまりの迫力に実際は人とじゃれ合っているのだとしても、捉え方によっては襲われているようにも見えるのではと感じられた、そこに価値観の違いが存在したのは、まさしく本書でいうところのまどかと彼女以外の家族とのそれであり、その国に於いては家族皆が異物だと思われた中で、更に家族の中に於いてはまどかだけが異物であるような書き方をしているのは、明らかに物語を構築する上で意図的なものがあるように感じられた、それが愛というのはすごく個人的なもので、時に誰からも共感されないものであるからこそ、それは想像を絶するような素晴らしさがあるということの強調なのではないかと。  また、人間側だけの価値観だけでなく、そこに犬は人間ではなく動物であることから、野生や本能といった未知の部分が加わることで、理想と現実のどちらを選択するのかといえば、おそらく大半の人は現実を選ばざるを得ないのは火を見るよりも明らかなことだと感じつつも、そこに少し嫌味な書き方をすると、千早さんが人間の持つ優しさにつけ込んだともいえるような、物語としては私たちだけが幸せになればいいといった、自己満足なハッピーエンドも愛の物語には多い中で、本書がそれらと異なる展開にさせているのは、おそらく今を生きる人達に贈りたい物語だからだと私は思い、まどかの抱く『私の罪』というのも当時の年齢や状況を考えれば仕方ないのではと、いくら他人が思っても彼女本人がどう思うのかは自由だし、彼女にとっては、それだけ真剣に考えて背負い続けてきた個人的で特別なものの証なのだと思う・・・私には設定が特殊過ぎて、我が事のように感じられない部分もあったけれど、それも含めて愛の底知れぬ奥深さなのだろう。  至極普遍的なものの中に異形なものが入り込んだ感じというと、屈折したような印象を受けるかもしれないが、その異形も一つの個性として捉えれば、十人十色なんて言葉もあるように、人それぞれでどう感じるのかは様々に異なってくる。  例えば、それは入江明日香さんによる表紙の装画の、美しくも儚くも悲しくも怖くも見えてくる異形めいた犬の姿が如実に表しているようで、その混沌とした中に普遍的な愛なんて見えるのだろうかと疑いたくもなるが、そんな犬にもあどけない小鳥が寄り添っている姿を見つけると、これも愛なんだという感覚みたいなものは本能的に伝わってきて、個人的なものだからこそ正解なんてものは無いのだろうし、この装画がまどかと「虎」のそれを肯定してくれているように感じられたのは、古典ではなく現在進行形で未来の夢を見せてくれた、千早さんなりの温情なのかもしれない。

    65
    投稿日: 2024.12.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幼少時をアフリカで過ごした女性が、当時ともに暮らしていたガードドッグとの交流を回想していくお話。 短めの作品でありながら、一文一文が鉛のようにずしりとしていた。 幼いながらにたくさんの愛を注いだ存在であるローデシアン・リッジバックの虎との別れが苦しくて苦しくて、後半は嗚咽をこらえながら読んだ。相変わらず私は動物の話にすこぶる弱い。 大人になった主人公の、「あれは私の罪だから」という言葉がとてつもなく重かった。 どれだけ躾けても飼い馴らしても、犬に眠る野性。その犬を飼う者は何が起きようと決して綺麗事では済まされず、必ず大きな覚悟と責任が必要になる。 雷のような虎が、どこにも繋がれることなく最後まで自由に駆け回れていたことを願う。

    6
    投稿日: 2024.12.03
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    装画がとても美しい。犬と生活したことが無いので、いろいろと想像しながら。主人公は自分の役割を果たそうと、色々と頑張ってきた幼少期、そしてそのまま大人になったのかなという印象。弟くんの現在がとっても気になる。景色が鮮やか。 2024/10/13読了

    1
    投稿日: 2024.12.02
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    まだこどもの頃に家族で過ごした異国の地でガードドックとして飼っていた犬との思い出と置いてきてしまった事による後悔。

    7
    投稿日: 2024.12.02
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    幼少期に過ごした海外の危険地域て番犬として買っていた犬を現地に置いてきてしまったことがトラウマになっている女性の話。私も大型犬を飼っているので飼い主としての責任については厳しい考えを持っていると自認している。 でもなぁ、このやっぱり犬を飼えなくなる事情か起きることもあるうる。主人公が深刻に捉えすぎてる気がして感情移入できなかった。

    1
    投稿日: 2024.11.29
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    異国でのガードドックとの生活が リアルに伝わってきてなんともいえない 空気感が漂う良い作品でした。 日本での生活との対比がまた なんとも切ない。

    1
    投稿日: 2024.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    けっこう好き。 子供のころに危険な異国で番犬として、飼っていた大型犬「虎」ローデシアン・リッジバック。 飼い犬だけど、日本みたいに鎖に繋いでないし、番犬だから、強盗が入ってきたとき襲う。 それをみてこわいと思ってしまった。 結局10歳くらいで日本に帰るとき置いてきた。 その後悔。 自分の愛のかたちに沿わせることが相手にとっての幸せだと思いきれない。人の幸せを犬に押しつけることに抵抗があった。 現在30過ぎて恋人がいるが、子供ができたら結婚と約束しているけど、隠れてピルを飲んでた。 虎のことがあって自分以外の誰かを守り抜く自信がないから。 恋人とは結局わかりあえる。 子供関係なくプロポーズされる。

    1
    投稿日: 2024.11.26
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    特にこれといった事も起こらずたんたんと話が終わった。犬を飼っているから大事に思う気持ちはわかるけどそこまでって感じもした。

    2
    投稿日: 2024.11.24
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    犬はかわいい。しかし犬は人に対して感情を持っているのか?いやご飯をくれる対象として持っているだけで、人に対しての感情はないんじゃないか。 そんな愛しくて、でもなんだか悲しい物語だった。

    1
    投稿日: 2024.11.22
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    妊娠したら結婚しようと約束している恋人がいる主人公。彼女は昔飼っていた犬のことが忘れらない。異国の地に置いてきたことを後悔しているのだとずっと思って。でも、彼女はもしかしたら、日本へ連れてきて飼い犬に首輪を付けることはできないと思ったのと同じで、自分自身も結婚指輪という首輪を付けられたくないと思っていたのかもと思った。 千早さんらしい、心がざらりとまるで犬の舌に舐められるような心地の悪さを感じる物語。でも、その感触が自分が生きているのだと実感させてくる。

    1
    投稿日: 2024.11.20
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    予想と違った結末。「虎」も人も生まれた国で過ごすのが一番…犬を怖がっていた弟が保護犬買い出し「姉ちゃん、生き物を大事にするのはどうしてかわかる?答えが返ってこないからだよ。幸せかと尋ねても人間以外の生き物は答えない。だから日々最善を尽くす幸せにできているだろうかと常に自分に問うしかない。それができないと永遠に悔いが残るんだ」弟の成長ぶり、目を見張るばかり。

    4
    投稿日: 2024.11.20
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    海外に住む経験がそれほどレアでなくなったとしても、まどかのような子供時代を過ごす人は本当に稀だと思う 愛玩動物としてではなく飼う犬との濃い、本当に濃密な関係が今もまどかの思考の根底にあるのがわかって苦しい

    1
    投稿日: 2024.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私の犬も大切な家族だからずっと幸せな気持ちで生きていてほしい。できる限りのことをしたいと思う。 ・「どんな目に遭っても人間をじようとするんだ、犬っていう生き物は。けなげだよね」と和は言う。 ただ、一度だけ、「姉ちゃん、生き物を大事にするのはどうしてかわかる?」と訊いてきたことがあった。私はなにも答えなかった。 「答えが返ってこないからだよ。幸せかと尋ねても人間以外の生き物は答えない。 だから、日々最善を尽くす。幸せにできているだろうかと常に自分に問うしかない。それができないと永遠に悔いが残るんだ」

    3
    投稿日: 2024.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    130頁、一瞬でした。 幼い私の海外生活における犬との回想の物語。 犬好きに刺さる内容なのかは微妙ですが、最後は感慨深くなりました。

    1
    投稿日: 2024.11.15
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    草の生えた滑走路は、陽炎が揺らめいていた。工場のような空港を出ると、TVでしか見たことのないような黒人に囲まれた。コニチハ、アリガト、物乞い。 そんな国で、主人公のまどか一家は、豪邸と、門番のいる家に住む。番犬を四頭は飼うことが当たり前だった。 ガードドック、仔犬を手に入れた。 現地の人は、大型犬になるこの犬を“戦士の魂を持つ生き物”と言う。 猟犬の類で、すぐに育った。 まどかが選び名付けた犬、虎はよく問題を起こしていた。 ・・・虎・・・大人しくして・・ あれから、父親の仕事の都合で日本へ戻った。 大人になった今でも、夢をみる。 私は結婚前に、そう、実家の家に、猫が住みついた。勝手口で餌やりをしていた。その猫は家の中に入ってくるようになりとうとう――だが、家出中のお隣の猫 だった。茶トラ、オス、名はゴン。ゴンは家には帰らなかった。我が家を選んだ。 (=^x^=)可愛いがった!だが、 昭和天皇崩御と共に亡くなった。 朝早くに、数時間の差だと思う。 ――凄い猫だった。 それからというもの、私は生き物を飼うことができなくなってしまった。 本当は、膝の上に子犬を乗せたいと思うことがよくある。 2024、11、11 読了

    53
    投稿日: 2024.11.11
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    海外(おそらくアフリカ大陸のどこか)で幼い頃飼っていた犬への愛情のはなし。犬を飼ったことはあるけど、獣という本能の危うさを感じたことはなく、なかなかまどかに共感は出来なかったが、大人になってから人を愛することにまで影響する深い愛があるのだな、と思った。

    2
    投稿日: 2024.11.11
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    こーいうの好き。 この作家さんに、ずーっと年下ですけど、感服。 異国の地でのガードドッグと。 〜ずっと愛がわからない。〜 〜虎は、私が所有した唯一の愛だった。〜 圧倒的な感じ。 余韻の方が迫る。 虎‼︎

    1
    投稿日: 2024.11.09
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    表紙の絵に犬が描かれているのに、犬物と知らずに読み始めた。薄い本だったので、あまりのめり込むことはないだろうと軽い気持ちで、あまり期待せずに読み始める。  ところが止まらない。一気読みです。 幼い時、異国の国で飼い始めた大型犬の虎。虎と心と心で通じ合えているつもりでいても、時に、人にはコントロールできなくなる犬の本能を肌で感じ、その隔たりを認めざるを得ない瞬間がある。 [ずっと愛がわからない。示し方も、受け取り方も、わからない。わからないのに、あれが、あれこそが愛だったと確信している。虎は、私が所有した唯一の愛だった。(本文、並びに帯より)] もうね、痺れました。私と同じじゃないですか。千早さん、どうしてわかってくれたんですか?っていうくらい、共感の嵐です。 この物語の犬は、大型の番犬で、いわゆる日本のペット、愛玩犬とは違います。そして、私の相手は日本の一般的な猫です。でも、同じなんです。 人間との愛のあれこれはわからないけれど、その猫との間にあったもの、それこそが唯一の愛だったと私も確信しているんです。 筋ももちろん素晴らしいです。そして、千早茜さんならではですが、その色っぽいこと。他の何者もその領域に踏み込めない、ひたむきさの熱いこと。 悶絶です。感動です。千早茜さん、やっぱり最高です!  

    38
    投稿日: 2024.11.02
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    ここの感想を見ると評価が分かれる本のようです。 「雷のような逆毛を背負った、美しい犬。運命の相棒を裏切った、幼い私の『罪と罰』。直木賞作家が描く、究極の愛のかたち。」(帯より) 「ずっと愛がわからない。示し方も、受け取り方も、わからない。わからないのに、あれが、あれこそが愛だったと確信している。虎は、私が所有した唯一の愛だった。(本文より)」(帯の裏より) 千早さんは愛犬家なのかな?犬を飼ったことがあるのかな?そう感じるくらいの、犬の様子やそれに対する人間側の想いなどの描写がリアルで素敵すぎた。愛犬家としては共感する部分も多かった。 現代、人との距離感が昔より遠いがして、誰かを心から愛するっていうのがよく分からないって人も多いと思う。それでも犬や猫を愛しまくる人は増えているから、犬へ対しての愛こそがほんものの愛だったって感じる人も多いんじゃないかなぁ。そんな人たちに読んでもらいたいかな。 わたし、夫も子どもも居るけど、似たような感情よく知っている。

    4
    投稿日: 2024.11.01
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    単調な話で盛り上がりもあまりなかった。 読んでいて感情があまり動かされないので、無心になりたい時はいいのかもしれない。

    0
    投稿日: 2024.10.31
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    まどかは幼いころ、父の転勤で治安の悪い国で暮らすことになり、塀に囲まれた広い家で番犬のローデシアン・リッジバッグの仔犬「虎」を飼うことになった。獣の本能を失っていない繋がれたことのない犬の虎と強い信頼関係を築いた日々だったが、帰国が決まり虎の処遇はまどかの責任で決めることとなり、置いてこざるを得なかった。それからは、胸の中に虎の形の咎がなくなることはなく、守ること、責任を持つことを避けるようになり、恋人との関係にも影響を及ぼした。生きものとの関りと人間社会の都合の狭間の理不尽さと、やりきれなさ、そして包み込まれるやさしさを味わえる一冊。

    1
    投稿日: 2024.10.29
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    ローデシアン・リッジバッグ…背中に蛇を負う犬。犬の忠誠ってすごい。老後に犬が守ってくれるサービスの話を思い出した。こちらのワンチャンはもっと野性味溢れてますが。 画像みたけどイメージと違った。表紙の絵のようなイメージ持っていたので。

    2
    投稿日: 2024.10.28
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    サイン本。アフリカの地の土埃や濃く深い緑の匂い、犬の体温と野性味溢れた力強さを感じる。ガードドックと言う犬の仕事やローデシアン・リッジバックという犬種は治安の悪いこの地ならでは。あまりに住みにくい土地に驚く。でも、ジャカランダの青紫色の落花の美しさは本当に圧倒的でこの国の女王と言われる理由がわかる。愛しいけど獣のような虎に抱いた恐怖も置き去る罪悪感も胸に迫りズキズキする。ただ、背負うしかない。うちの犬も幸せかと尋ねても答えないから、日々最善を尽くし幸せにできてるか常に自分に問い続ける。犬への愛ゆえの罪悪。

    2
    投稿日: 2024.10.28
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    小学生の頃、父親の仕事で家族と海外で暮らしていたまどか。治安の悪い国なので、ガードドッグを数匹飼っていた。番犬…という概念よりも、もっと野生的で、庭で放し飼いにされ飼い主には忠実だが、侵入者には容赦はない。その中でも、まどかは虎と名付けた犬を友として大事にしていた。そして、心待ちにしていた帰国が決まるが、それは忠実な友でもある虎との別れでもあった。 命の責任を持つということの重大さ。まどかの心に深い傷を負わせた経験となる。大人になったまどかが、子どもを産むことに躊躇してしまうほどのトラウマとなってしまう。単にペットとの別れというものではなく、命を守ることの責任について考えさせる小説だった。

    3
    投稿日: 2024.10.28
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    ガードドッグは日本で言う番犬にあたるんだろうけど、この本を読んでいると別物のような気がしてくる。 父の赴任先(アフリカ?)でガードドッグとして幼い時にやってきた「虎」。他の犬達と共に放し飼いにされていて、なかなか野性的な雰囲気。 動物を守っているのか守られているのか?動物とは心が通うのか?本能が勝ってしまう獣なのか? 色々な問いが頭に浮かんだ。 「虎」を現地に置いてきてしまったことやその理由がトラウマになってしまったまどか。 恋人との未来に躊躇してしまう気持ちは、誠実さの表れのような気がした。 読み終えて改めて装画を見ると、美しさと怖さが共存していて、内容にマッチしているなと感じた。

    44
    投稿日: 2024.10.26
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    人間の言葉は、犬に伝わらない。そして犬の言葉も人間には伝わらない。この事実は揺るがないことがなんとも虚しい、、、

    1
    投稿日: 2024.10.26
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    遠い異国で家族と暮らすまどか。強盗から守るために囲われた家。そこで番犬として飼われた犬達。 その中で一番まどかのそばに居て守る虎。 まどかはずっと置いてきてしまった虎に心が囚われている。犬を飼っている人が読むとまどかの苦しみが分かる思う。

    2
    投稿日: 2024.10.26
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    全130ページの薄さなので、あっという間に読了。 小学校低学年時に住んでいたアフリカで、番犬ガードドッグとして飼っていた愛犬を思い出しながら、早朝ジョギングをするまどか。 恋人との関係が一歩先に進まないのも、愛犬虎を帰国の際に置いてきた後悔の念があるから。 ローデシアン・リッジバックという犬種を初めて知った。調べたら、スラリとしたしなやかな身体で美しい犬だった。 まどかと虎の関係は飼い犬、飼い主よりももっと深い恋人のような関係だったのだろう。 私と愛犬の関係は飼い犬というよりも子ども、というか孫。

    43
    投稿日: 2024.10.25
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    短編の様な薄い本だったがこれぞ千早作品って感じ。 男女の関係性がそれぞれ自己主張しつつも異性の感情を理解しようとする気持ちが常にある。 そしてお互い自身に対する否も認めようとするのが心地良いと言うか読んでてホッとする。 金原ひとみは感情を爆発させつつも自己嫌悪に陥り、村上春樹はあっけないまでに異性の気持ちに理解を示すがそこに人間らしさを全く感じない。 千早作品には人間の温かみが常に存在するので読後感が凄く良い。 流石の良作。

    1
    投稿日: 2024.10.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず初めにタイトルが素敵で、どんな話なのか気になって惹かれました。 幼い頃異国で犬達と過ごした思い出がギュッと詰まっていました。何度も繰り返し思い出すのは、きっと強い後悔があるからなんだと思います。 だからといって狭い日本に連れてきても、きっと後悔するんだろうな。 一番心に残っているところは、 和が「生き物を大事にするのはどうしてかわかる?」と問の答えが、まさに確信につく答えに思わずぐっときました。

    2
    投稿日: 2024.10.22
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    海外で番犬として飼っていた「虎」。 虎は番犬としてはとても優秀だけど、だんだんと獣としての本能を制御できなくなっていく。 後半の番犬としての本能をむき出しにする虎は、頼もしいと同時に恐怖すら感じた。 本当の番犬は日本で飼われているペットとは違うんだと改めて感じた。 まだ当時小学生だった主人公に命の責任を取れというのは酷な気がするけど、 小さいなりにもしっかりと虎の事を考えて決断をしたのはすごいと思う。 子どもができたら結婚しようというパートナーに対し 子どもを妊娠したとき、女性は強制的に責任が発生し、それから逃れられないと主人公がパートナーに言った言葉が、私の中にもずしんと重くのしかかった。 いつか虎を置いてきてしまったという後悔から解放されるといいなと思う。 薄くてあっという間に読み終わってしまって、ちょっと物足りなさも感じたけど、面白かった。

    8
    投稿日: 2024.10.22
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    読み終えてから改めて装画を見ると、この物語に出てくる、虎という犬のことをとてもうまく表現しているように思えた。 子どもの頃に日本では考えられない暮らしを経験したまどか。そのことが与えた影響は、大人になっても色濃く残っていた。信頼すること、されることを心から感じていた日々。弱々しかった虎が成長し、いつのまにか強くなって、それでもまどかには忠実であったこと。ただ、それがすべてではなく、本能というものが顔を覗かせた出来事があり、そしてやむなく決断したことが、今でもまどかの心にのしかかっていた。 「守り、守られて。犬は魂の伴侶だ」という言葉が、ジャラカンダの花と共に印象的だった。 最後には、まどかの心が、自分のことをなんとか理解してくれようとする人に向いてきたような気持ちが伺えて、少しほっとした。 正直に言うと、読み始めは読了が無理かもと思った。しかし、想像したこともなかった異国での日本人の暮らしかたや、犬たちの生きざまに興味を持つようになって読み進めた。そして、子どもに責任を負わす大人の正当性の中に潜む無責任さに対してなど、様々な思いが駆け巡った読書だった。内容的に、このくらいの長さでちょうどよかったように思った。

    33
    投稿日: 2024.10.19
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    アフリカでの子供時代,番犬として飼われた虎との交流,絆.帰国の時に置いて来ざるを得なかった後悔が今も消えない.まだ小さな少女だった主人公と虎との間にあった信頼感に圧倒された.トラウマになるのも納得.

    1
    投稿日: 2024.10.17
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    大好きな千早茜さん 美しい装丁に 読む前からため息が出てしまう 犬の持つ、無邪気な忠誠心と 誰にも止められない 容赦なく牙をむく野生の本能_ 治安の悪い海外で住むために 番犬として犬を飼い... 飼い犬である “虎” との深い絆と それでいて絶対に超えられない断絶が描かれる 千早茜さんの痛みをともなう言葉に 惹かれずにはいられない 大人になっても 子どもでは親のいう事を 守らないといけないとはいえ... 虎と通じ合っていた愛と信頼を 放り出してしまった時の罪悪感がよぎる... 虎と言葉でも 理屈でも表せない親愛し合う描写は 触れ合う時の質感や匂いなど 鮮やかな色や日々が 目の前に広がっていく... そして どうしようもない人と犬との隔たり... 主人には牙をむく事はなくても それ以外には容赦なく本能が 目覚め立ち向かっていく... そんな虎を気高く感じながらも 怖いと思ってしまったこと... 大好きだった虎を 置いていかなくてはならなかったことが 大人になっても昏い影をおとす… 切ない感情に連れていかれながらも... ラストは生きる力をもらったかのような描写で 光を求めて読み進めて 本当によかった...と 安堵する想いで 本を閉じました...

    1
    投稿日: 2024.10.13