
総合評価
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powered by ブクログほんわかしたお話だけど、夜のお散歩メンバーとの交流を通して自分と向き合う登場人物たち。 善く生きるってなんだろう。色々な葛藤の中で自分の思いを大切にすることを選んだみんなにエールを送りたい。傍観者としてむしろもややんに近い位置で主人公を応援しているような感じになっていた気がする(笑)
15投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログ「わたしの良い子」を読んで、2冊目。 主人公の實成の繊細で真面目な人柄が、 少しじれったいような、憎めないような感じ。 それでも芯の部分ではしっかりと自分の考えを持っている。 彼に関わる人たちは、知らず知らずに好意を抱いてしまう。 明るい太陽のように目立たないけれど、 暗い夜に足元をそっと照らす月明かりのような存在だ。 変質者の出る夜中に女性が一人では歩かないでと声をかける事、それは変だという實成の考えは同感。 なぜ、不審者のせいで、自由な行動を抑えねばいけないのか。 そんな、チョッと世間とは違う考え方、 様々な生き方を何気に受け入れて理解しようとする態度はほほえましい。 モヤヤンが知らないうちに消えてしまったのはよかった。 「善きに生きる」はしっかりと守られてるよ。
48投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログふだん自分がもやもや感じていたこと、気になりつつも知らないフリをしていたこと、知らぬ間に傷ついていたようなこと… そんなあれこれを一つずつ掬い上げ、月夜にただいっしょに歩いてくれるような優しさで、寄り添ってくれる物語でした。
7投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログ例によって、特段事件は起こらず、淡々と日々の生活が描かれる。いつの間にやら夜の散歩メンバーが増えていく訳だが、この散歩が一番人生の中で重みを持つのは、中学生のエリザベート・ネコスキー一世略してザベ子(変名して、熊、本名彩夏)だろうか。 塩田さん(ザベ子の父の元恋人)がザベ子と一緒に暮らすようになるくだりを読むと、血縁よりも大事な相性というのはあるんだろうなあ、と思う。 伊吹さんともっちゃんの両方に好かれている主人公の實成冬至(みなり・とうじ)の恋愛は作中では特段進展しないが、ラストシーンを見る限り、もっちゃんとはうまくいくのだろう。 寺地はるなさんらしい作品で好きなのだけど、もつとドラマティックな作品も読んでみたい。
32投稿日: 2024.11.23
powered by ブクログ大きな事件が起きるでもなく (それは平和でいいのだけれど) 日々を過ごす人々が少しずつ関わり合い 物語は進んでいく。 原田ひ香さん 〈寺地さんの作品の中で、一番好きです〉と書かれている。 私も、星を五つ付けた。 實成の考えていることに共感したから。 簡単な言葉で相手に合わせるのではなく しっかり考え、自分の思いを口にする。 同じ職場の塩田さんも良かった。 サラッと書かれている物語と思えるが そういうのが一番難しいのかもしれない。 だから、評価が分かれてしまうのだろう。
1投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログ優しい物語。 ももやん(父親の霊?)はこんな息子にたいして歩くことで仲間を増やし、強くしていったのかも。 優しいことは罪ではあるけど大罪ではない。人の捉え方、 月夜のような優しさは時に涙がでるほど切なく暖かい。 そんな物語。 大阪と滋賀町並みが想像できてよみすすめやすかったのもあるかも。 冬の名前を持つ實成くんと満月を想像させるもっちゃんとは一緒にいて当人が居心地の良い関係でいれると、いいな。 さて、この本を読み終えた私は朝日の中を歩きにゆきます(笑) ただ善き人って、難しいよな。八方美人て言われるよなと思いながら。
20投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログ友人とはまた違った一言で言うには難しい不思議な関係性でありながらも、お互いに少しずつ影響しあっていく過程が丁寧に描写されている独特の雰囲気が良かった。
0投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログ實成冬至は第4子。上から春香、夏生、秋穂(生まれと季節関係ない)。呪縛のように善く生きることが常に心中にある。高卒で就職し、寮に入り、今はアパートで一人暮らし。慎ましく暮らしているが、毎日どう生きて行けばいいのかうっすら悩んでいて、例えば実家、兄姉、会社の人間関係、以前付き合っていた伊吹さん、父の葬式で帰省したとき連絡取り合った幼馴染みのもっちゃん、会社の塩田さんとその連れで中学生くらいの女の子…。 深夜徘徊する塩田さんと連れと共に歩くようになって、色々考えていく冬至のお話。 主人公が清貧な感じで、共感しやすいし、少しずつ何かが変わっていくのでさらりと読み終わった。小野寺史宜テイスト感じました。 大人の付き合い描写あるので、中学校から。
4投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログみんな自分の人生を模索しながら生きている。登場人物たちも、私も。 實成(みなり)くんのように丁寧に生きていきたいと思った。
2投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大人青春群青劇 伊吹さんが幸せになってたらいいなあ、 誰かに他の誰かみたいに生きれば良いなんて、ひどい言い方よ
0投稿日: 2024.11.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大丈夫そうに見える人でも、みんなそれぞれに悩みや問題を抱えてる。毎日が穏やかで明るい月夜じゃないけど、でも歩いていく。まさに人生と読み終えて思った。 主人公の實成(みなり)冬至はある夜、職場の同僚である塩田さんと出会う。塩田さんは独身で子どももいないはずだが、中学生くらいの女の子と一緒だった。それから塩田さん、熊(自分の名前が嫌いだからそう呼ばれることになった中学生の子)と夜に散歩をするようになる。それから、實成の元彼女である伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人さんと散歩メンバーが増えていく。他愛もない話をしたりする散歩の時間が愛おしい。自分が抱えている悩みや問題は相談して軽くなることはあるけど、結局決めて動くのは自分。優しいのに、勇気をもらえるお話だった。
10投稿日: 2024.11.05
powered by ブクログ夜のウォーキングって昼間とは違い寂しさを感じる 表情は解らなくても、それぞれが悩みを抱えているであろう
0投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログ夜に歩く。歩き仲間が増えていく。 其々に抱えているものがあっても、歩く時はただ歩く。 抱えているものはあるけど、人の幸せと比較する事なく、ありのままでいい、みたいなメッセージなのかな。 主人公實成君の温かさに救われ、心地良さが残った。
1投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログ寺地さんの中では読む手が進まないし、入り込むのに時間がかかるお話だった。寛成の不器用さが歯がゆくて、遅々としか進まない展開にちょっとイラついて、でも読み終わったときにちょっとほんのりと心が温まった。いつもの寺地さん!ゆっくりだけど、前を向いて歩いている人たちの物語だ。
0投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ寺地さんの新作。 いつものように覚えておきたい言葉がたくさんあった。 「みんな、すごい説明してほしがる。わたしを理解しようとする。でも頼んでないし、理解してくれとも寄り添ってくれとも言うてないし。心配するふりして推理ゲーム楽しむの、趣味悪い」 「わたしがおかしなこと言うやつに合わせて行動を制限しなきゃならないの、どう考えてもおかしいもん」 ウォーキング、あえて何か言わなくても良かったんじゃないのかなぁ。周りが変わると自分も変わるし、自然な流れでグループの形も変わっていったんじゃないかなぁ、と自分が参加してた気分で、ちょっと切なく感じてしまった。 みんながそれぞれ一歩踏み出したってことで、気持ちよく着地。サクサク読めました。
4投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ寺地さんの新作だったので楽しみにしていました。 やっと読めました。 大人な話で全体的に明るい話ではないものの、 読み始めるとなぜか続きの気になるものでした。 實成さんが変わったのがとてもよくわかる。 最後に立て続けに名場面が。 「どこにも移動せずに、旅をする人もいるんだよ」 は好きでした。
28投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ奥深くて、印象に残った言葉がたくさんありました。 ✩『慣れる必要のないものには慣れてはいけないのだ』 ✩『でもね、何者かにならねばならないというプレッシャーもない。可能性が少ないって、もう何者にもならなくていいって、自由だね』 無理する必要なんて、ないんだと教えてくれる内容でした。 主人公が得体のしれないモヤヤンに憑かれ、夜の散歩を通していろいろなことに気付かされていくお話です。 誰もがきっと抱えるモヤヤン… ゆっくり時間をかけて、スッと身体が楽になれる何かを見つけられたらいいなぁと思いました。
17投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ夜になると、這い上がってくるモヤヤンを振り払うために夜の散歩へ出かけるようになった冬至。 歩いているうちに同じ職場の塩谷さん、塩田さんと住む熊、元カノの伊吹さん、初老の松江さんと次々仲間が増えていく。ただウォーキングをしているだけなのに、それぞれ影響を受けて少しずつ変わっていく。
1投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログ善く生きるとは。 とても難しい。 自分だけを軸にして考えるなら、簡単なんだけど それが他者にとって悪かもしれないとか考えると 本当に難しい。 人と関わるから問題が生まれるけど、 人と関わるから解決できることも沢山あるよなー。 なんて思った。
1投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログ単行本の帯に「寺地さんの作品の中で、一番好きです 原田ひ香」とあります。 同感です。 私自身にとっても、大切な作品となりました。 人と比べてしまったり、無理して合わせてしまったり。 無理して笑おうとして、幸せでいなくちゃいけないと思い込んだり。 そんな自分を色々な角度からそっと包み込んでくれる作品でした。 何もずっと幸せでいないといけないわけではない。無理して笑うぐらいなら、泣いていい。 そして自分自身だけでなく、大切な人にも、幸せでいてほしいという願望を押し付けてはならない。 ひとりひとり、それぞれ自分の足で歩む人生。 その歩みが交わる人生。 温かくて優しい気持ちになれます。 「いつも」ではなく「いつか」、のタイトルがまたいいです。
47投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログ作中のみけねこ洋菓子店に行ってみたい。塩田さんの、慣れる必要のないものには慣れてはいけない、という態度が好き。モヤヤンとの付き合いが話の軸になるのかな、と読み始める前は思ったけど違った。
0投稿日: 2024.10.30
powered by ブクログ会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安に取り憑かれるようになる。 モヤヤンと呼んでいるそいつを遠ざける為に夜道を散歩するようになった。 そんなある夜、いつものように散歩していると会社の同僚の塩田さんが、中学生くらいの女子と歩いているのに出くわす。 やがて深夜に散歩するメンバーが増えて… つかず離れず、無理強いしない会話と距離感。 だけどいつかは自然と離れていく。 その離れ方も嫌な感じではないところが、いい具合なんだろうなと思った。 寂しいけど近すぎて干渉されたり、意見されたりすると逃げたくなるのは嫌。 このくらいがいい。 ゆっくりと正解を見つけ出す…そんな感じがした。 いつのまにか、實成はモヤヤンの存在を感じなくなっていたし、自分の大切なものは何かもわかったようである。
67投稿日: 2024.10.30
powered by ブクログもっと大切に人生を生きよう。 笑ってごまかしたり、納得いかないことを流したりするのは、その場ではいいかもしれないが、澱となって溜まっていく。
1投稿日: 2024.10.27
powered by ブクログ悩める者同士が集い心落ち着くひと時を過ごす 。 それだけじゃないのがいい。 ただお互いを認め合う一種の馴れ合いのような物語ではなく最終的には自分の決断で人生を進めていくところがとても良いなと思った。 主人公の實成くんがとても良い。 好きになってしまった。
1投稿日: 2024.10.26
powered by ブクログ月夜を散歩して会社の同僚と少女に出会い元カノに出会いして一緒に夜散歩するメンバーが増えていく。歩きながらいろいろなことを考える主人公の気づきの物語。優しさや他人との距離感など主人公の真面目さに惹かれました。
1投稿日: 2024.10.24
powered by ブクログ實成は、とくに夜になると現れる黒い不安のかたまり(もっちゃんがモヤヤンと名付けてくれた)につかまらないようひたすら歩く。そこで同じ会社の塩田さんとその連れの中学生の女の子に会いウォーキング仲間に。さらに元彼女の伊吹さん、伊吹さんのマンションの管理人さんの松江さんとなぜか仲間が増えていく。とても居心地のよい関係ができているように見えたがやがて別れがくる。いつも明るい月夜だったら良いけれど、月夜じゃなくても歩けるんだ。みんな自分の道を探して前に進み続ける。私も。
1投稿日: 2024.10.23
powered by ブクログ主人公の實成は父親を亡くしてから得たいのしれない不安「モヤヤン」に取り憑かるるようになった。特に夜にやってくる「モヤヤン」を遠ざける為に何も考えずひたすら夜道歩くことを始めた實成。 ある晩歩いていたら会社の同僚である塩田さんと、娘らしき少女と遭遇。それ以来一緒に夜の散歩をする3人。その後一緒にお散歩する人が増え、まさかまさかの實成の元カノまで一緒になるとは…。 お互い触れてはいけない話には触れず、放ってはおけない事柄には協力する関係性が羨ましい。誰でも聞かれたくないことや、踏み込んで欲しくない事ってありますよね〜?塩田さんがとっても良い人だったな。 それと深夜に営業している「みけねこ洋菓子店」いいですね〜。そんなお店があったら月夜にお散歩するのも良いかも〜。 最近は日の入りも早く、ワンコと夕方お散歩に出るとお月さまが見える日もあります。先日は満月だったので思わず立ち止まって眺めてしまいました。深夜は難しいけど夕方の月夜のお散歩ならこれからチャンスがたくさんありそう。
7投稿日: 2024.10.22
powered by ブクログ不安(モヤヤンと呼んでいる)解消のために始めた一人の夜の散歩。そこに一人、また一人とメンバーが加わっていく。 友達同士でウォーキングをやっている知り合いはいるけど、いわゆる散歩を定期的に誰かと…というのは聞いたことがない。 この本を読んでいると、そういう散歩を誰かとしたくなった。 同じ方向を見てただ歩く、話したいことが浮かんだら話す。昼ではなくて夜だから、より自然にできるのかなと思う。 気がついたらモヤヤンもなくなっていたみたいだし。 そういえばこのモヤヤンっていう言葉、初めに出てきたので重要ワードかと思ったら、それっきり出てこなかったな。
56投稿日: 2024.10.22
powered by ブクログゆっくり散歩をするような速さで淡々と物語が進んでいく。 大きな事件が起きるわけじゃないし、とびきりハッピーエンド!というわけでもない。 コンデンスミルク入りのエビマヨと、コンデンスミルク抜きのエビマヨを作り比べてみたり、会社の先輩とピリついたり。そんな日常を繰り返しながらそれぞれ少しでも明るい方へ行けるように立ち止まって悩み、考える。そしてまた歩き出す。 口に出す前に色んな事を考える、少し繊細すぎるような気もする主人公が、私が普段「ん?」と引っかかりつつ見落としがちなモヤッを言葉にしてくれるので「ああ、そうや、これ嫌やわ」と気付いて目から鱗だった。 寺地はるなさんの作品を読むとそういう事がよくある。 〇冗談だということはわかっている。でもおもしろく ない。無視すればいいのかもしれないがそもそもおもしろくない冗談を耳にすること自体ストレスだ。 〇「気を遣っているんだな」と相手や周囲にはっきりわかるように気を遣う人 あー!あー!わかる、わかる。いる!と胸の仲で何度も頷いた。 〇「わたしなんか、もう何者にもなれないもんね。でもね、何者かにならねばならないというプレッシャーもない。ピアニストになれるわけじゃなし、って母は言ってたけど、じゃあ今のわたしは自分の楽しみのためだけにピアノを習える。それって、意外と悪くないよね。可能性が 少ないって、もう何者にもならなくていいって、自由だね」
8投稿日: 2024.10.21
powered by ブクログ深く無い関係の人達と一緒夜に散歩をしていて、久しぶりに実家に帰っただけの話です。 しかしながら、内容はとても濃厚で、人として成長する過程での確実な一歩を踏み出すまさにその瞬間が描かれていて読み応えがありました。 寺地先生は最近、好き嫌いが分かれる作品を描かれる様になってきたと思われますが、作品が「変化」ではなく「進化」してきているのではないかと感じます。 今作も含めて作品自体、深みや厚みが増してきていて本の厚さの割に読み応えがあります。 次回作が待ち遠しい作家さんのひとりです。
71投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログ「いつも月夜と米の飯」という諺があってその意味は何不自由のない気楽な生活。表題の「いつも」ではなく「いつか」に、ちょっとした生きづらさが積もっていく主人公たちの姿が見える。譲れないもの、譲れない考え、それぞれがそれを大事にしたいと「善き人生」を進んでいく。それぞれの道へ分かれていく。寺地さんらしい作品。
2投稿日: 2024.10.20
powered by ブクログ月夜をゆっくりお散歩するように 静かだけど景色は確実に変わってるうちに しっとりと終わった。 変わらないものはないんだよなって 再確認した感じ。 お母さん、好きだなぁ。 唯一無二の愛を私も求めてしまうなぁ。 なんだかずーっと静かな月夜だった。
15投稿日: 2024.10.17
powered by ブクログ自分の寂しさや苦しみは自分自身で解決するしかない。知人や身内がどうこう出来るものではないが、夜の散歩を通じて知り合った個々のモヤモヤした気持ちを整理していく様は何だか心地良かったです。
2投稿日: 2024.10.16
powered by ブクログレビュー消えたよ。まったく~~ ザザザ~っと、もう一度。 實成の不安感「モヤヤン」は、夜の街を散歩するようになると 陰を潜める。 モヤヤンが登場できないほど、散歩仲間のあれこれに関わるからだ。 でも、やがて、解散の日が・・・ それぞれのあたらしい人生へ。 同僚の女性・塩田さんが言う。 「實成くんは、私が好きでしょう(恋愛感情ではなく) あまりに年が違いすぎるから、あなたの話を聞いて否定しないから心地よいのよね。 わたしもアナタが素直にいうことを聞いてくれて気持ちよかった」と。 ああ、それってあるかも。 年齢の違う人と話すときの心地よさは、これだったのか~ でも、向き合うべき人ときちんと向き合い、 きちんと話さないとね、と塩田さん。 その通りだよね。うん。 作者・寺地はるなさんは、わたしにとって凪良ゆうグループの作家さん。 昭和の価値観をガッツンガッツンしてくれる。 ただ、寺地さんは、凪良さんほど、えぐってこないから、 読んでいて辛くないのよね。
1投稿日: 2024.10.16
powered by ブクログ寺地はるなさんの前作「こまどりたちが歌うなら」に、話合いができる人ならとっくに話合いできてる…というニュアンスのセリフがあった。 そこにものすごく共感して、私の中で何かが吹っ切れたのだが、この本はそれを補完してくれた感じ。 「言葉は通じるのに話しても意思の疎通ができない、そもそも相手がこちらの話に応じる気がない」 「そういった人間を上司や親などに持つと、行き着く先は地獄だ。」 やはり…寺地さんも話合いでなんでも解決できると思い込んでいる人種に苦しめられたのだろう。 それでも、どうにかその環境の中でどうにか生き延びたり、そこから脱出して人は生きていく。 熊も伊吹さんも、實成や塩田がただ寄り添っていてくれることに救われて、自分で苦しい環境から抜け出すことができたのかもしれない。 余計なことは言わず、ただ傍に寄り添うことは、案外難しい。 でも、考えてみれば私の周りにもそんな人がいてくれている。ありがたいことだ。 話合いで解決できない難しい環境そのものは変えられないけど、傍で寄り添ってくれている人に感謝しつつ、私は私の人生を歩いて行こう… またもや、寺地さんの暖かさに癒される秋の朝だった。 いつも月夜でなくても、いつか月夜であれば… それで十分だ。
26投稿日: 2024.10.13
powered by ブクログ久しぶりにいい話を読んだ気がした 出てくる人に嫌いな人がいない ゆっくり歩いていくように話が進む 人が集まり離れていく 解散の仕方もよかった
1投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大学生のときバイト先の数人で夜に歩け歩け隊を結成したときのことを思い出しました。自然と人が集まって、楽しい時間で、それでもそれぞれの大事なことを優先するようになり自然と解散する、といった経験が過去にあったのですごく共感しながら読みました。 私は一度知り合いより一歩踏み込んだ関係になったあとに離れることがとても名残惜しいし寂しいと感じる性格なのですが、塩田さんがミナリにいった別々に歩く理由もすごくハッとするものがありました。甘えないを選んだ塩田さんもまた年上のプライドがあったのかな.... 伊吹さんが激しめの恋愛が好きなところも意外。松江さんだいすきだったので早くケガが治ってパートナーの方と穏やかに月夜の散歩を楽しんで欲しいです。 この先何度も読む作品になった気がします。、
1投稿日: 2024.10.07
powered by ブクログ「いつも月夜なんてありえないけど、月夜じゃなくても歩けるんだよ。わたしもあなたも。他の人たちも、みんな」 月が好きで夜が好きで、夜に歩くという衝動と似たものが私の心にもあるから。あと表紙に惹かれて。そんな感じで手に取った本。 寺地はるなさんの本が初めてなのでこれは予測も含んだ感想ですが、この本は寺地はるなさんの世の中に対する願いや祈りや反抗心や愛おしく想う心が詰め込まれた本だったな……という印象でとても好きだった。多分他の本でこれをやろうとするととっちらかりそうなのに、實成という青年の一貫とした在り方でそれが成り立っている。 作中、「いつも月夜に米の飯」ということわざが出てくる。何不自由なく満足である理想の生活という意味で、主人公は、"友人の奥本くんは「いつも月夜」みたいな生活を送るのだろうな"と考える。しかし奥本くんは決して「いつも月夜」ではなく、悩みという暗闇の中で今でも苦しんでいることを知る。 いつも月夜だなんてそうそう上手くはいかない。月が雲に隠されてしまうことだって、自分が月の光を見つけられない時だって、影に隠れたい時だってある。それでも私たちは歩くことができるし進むことができる。他の誰かや物が光になって道を照らしてくれることだってある。それでもやはりあなたの歩く道が月夜でありますように。いつも月夜ではないけれど、それでもあなたのそばに光があるように、歩いて行けるように、どうか。この祈りが込められた小説のタイトルが『いつか月夜』なのうますぎ。 夜に歩きたくなった。月夜ではなくて、周りが暗いと感じても、きっとこの本が私の光になってくれる。
0投稿日: 2024.10.04
powered by ブクログ夜のお散歩、良いなー。誰かと喋らなくても良いから誰かと。夜じゃなくても全然大丈夫だけど(笑) 塩田さんが登場人物のなかで1番好きだったな。あと、お母さんも。 ーーー印象に残ったーーー •みんな、軽率に良いこと言おうとしすぎなんだよ。人の悩みにアドバイスするってそんなに気持ちいいの?p31 •もう何者にもならなくていいって、自由だね。p229 •誰かに、他の誰かみたいに生きればいいのに、なんて、ひどい言いかたよ。あなたもわたしも、他人を変えることはできないp229
14投稿日: 2024.10.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
得体のしれない不安(「モヤヤン」)を抱え、父の口癖だった「善く生きろ」という言葉を頭に浮かべながら、「善く生きよう」とする實成冬至。 他人の言動に引っかかりを感じつつ、自分の弱さを自覚するがゆえに困難を覚えながらも善く生きたいと思う實成のモヤモヤに共感する。人のことを安易に決めつけてはいけない。
6投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログ初読み作家さん。すごーく人気のある方だけど、こういう文章を書かれる方なんだ。素朴でユーモラス。仰々しくない。主人公みたいな真っ当な男性は男性からしたら面白みがないとおもわれるかもしれないけれどモテるよねー、などと考える。
24投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログ寺地さんの描く青年は心優しくて、繊細な人ばかり。 今回の主人公、冬至くんも4兄妹の末っ子ながら、自分のことより人のことの心配ばかりしている。 毎朝、犬の散歩をしていると同じような犬仲間だけでなく、ご年配の方やジョギングする人たちに会う。みんな今日も一日頑張るぞと言った活気に満ちたオーラを感じる。 逆にたまに夜遅く外に出ると、1日の疲れや嫌な出来事をクールダウンしているようにジョギングする人や歩いている人を見かける。薄暗さが心も体も休ませてくれるのかな。 でも、物騒な世の中、なかなか夜の散歩は難しい。 なんか今作、小野寺さんの『ひと』に雰囲気が似てる気がしたのは私だけかしら。
47投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログ胸に広がるモヤヤンを抑えるために夜歩きに行く主人公。 同じようにそれぞれ漠然とした不安や悩みを抱きつつ生きる周囲の人達が歩き仲間に加わっていく。 それぞれ悩みを抱えながら、これでいいのかと問いかけながらも懸命に前を見て進んでいく登場人物達は、読んでいる私達自身のような気がした。 だからこそ優しい寺地さんの文章で癒されて最後はぽっと心が温まったような読後感だった。 歩く道がいつも月夜とは限らないけど、人生そんなに捨てたもんじゃない。 また折に触れ読み返したい。
2投稿日: 2024.10.01
powered by ブクログいつも いい彼女や いい妻や いい親や いい子で いなくちゃと思ってた。 より良い選択肢を選んで より良い道を進むべきだと思っていた。 たぶん今も 心のどこがでそう思ってしまう。 いい人でありたくて そう考えてしまう。 でももっと気楽に 散歩するようにぶらりと生きていってもいい。 夫が死去して 「さびしいにきまってると決めつけられても困る」と 主人公の親が言う。「さびしさは わたしのもんや」という。 そうだよね。 それでいい。それがいい。
9投稿日: 2024.09.29
powered by ブクログ急に涼しくなって、着る物探してあたふたしてます( ̄∀ ̄)秋ですね〜♪ さて、寺地はるなさんの新作 コツコツ読み進めてます(^^) 父を亡くした後現れるようになった得体の知れない不安(モヤヤン)を遠ざけるため夜の散歩に出る實成。 やがてどんどん散歩のメンバーが増えていき、それぞれの問題と向き合うの物語。 寺地さんの作品は普段言語化できずにいたことが見事に表現されていたり、グサっと刺さる一言に出会えたりするところが好きなんです。 今回も素敵な言葉はありましたが、あまり刺さらずでした。 それぞれが抱えるものはあるんですが、ちょっと弱いというか、感情移入する前に終わってしまったかなという感じがしました。 その中でも好きな言葉をメモしときます 「わたしなんか、もう何者にもなれないもんね。でもね、何者かにならねばならないというプレッシャーもない。 ピアニストになれるわけじゃなし、って母は言ってたけど、じゃあ今のわたしは自分の楽しみのためだけにピアノを習える。それって意外と悪くないよね。可能性が少ないって、もう何者にもならなくていいって、自由だね」 この考えは好き(*´꒳`*) 寺地さん好きなので次に期待です(^^)
99投稿日: 2024.09.27
powered by ブクログ寺地さんの作品は好きで定期的に読んでる。 刺さる作品と全く刺さらない作品に別れるのだけど今回は刺さらず残念。 他人の言動に過敏になりすぎ考えすぎてしまう主人公が多いかな。 男は〜女は〜でくくられることに過敏だったり。 またか…と思ってしまった。
6投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ目的もなく夜を歩く、不安から逃れるために。そのうち仲間が増えてくる。同じく不安を抱えた。解決方法にはならないが、この夜歩きはめちゃくちゃ素敵に感じた、とても優しい物語です。 何者にでも自由になれる可能性のある若さもいいが、もう何者にもならなくていい自由。この表現には響きました。
33投稿日: 2024.09.26
powered by ブクログ人は生きているとたくさんの人と出会うけれど、その人たちは、夜中にいっしょに歩いてもいいかなと思える人と、とてもそうは思えない人と、2種類に分かれるのかもしれない。 で、いっしょに歩ける人とも、完全に分かり合えることはけっしてなくて、いろんな理由でもういっしょには歩けなくなってしまうのだ。 でもそれは何かを失ったということではなくて、お互いの心に豊かなものを確かに残してくれて、だからこそちょっと切ない。 この小説を読んで、そんなことを感じた。 主人公の青年の、質素ながら真摯な人柄が、小野寺史宜の『ひと』『まち』の主人公と似ている印象で、イマドキな感じがする。 「みけねこ洋菓子店」の件りだけ、急にジブリ映画みたいなテイストになる。
5投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログまったり、ゆったり、流れる会話。なんということのない日常。得体の知れない不安“モヤヤン”遠ざけるための夜道歩き。ストレス解消には、何も考えず歩くのが一番。月夜でなくても。「善く生きる」って…
2投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログ夜中の散歩仲間がなぜかポツポツと増えてゆく。夜の闇の中の散歩はふわふわと非現実的。暗闇の中で歩きながら話す、そのことが見知らぬ他人だったはずの彼らを緩く繋ぎ、彼らを拘束する現実から解き放つきっかけとなる。 實成の善く生きようとするポリシーは好感が持てる。伊吹さんの今後が気掛かり。
4投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログ30才印刷会社勤務、夜散歩するようになると、同じ会社の人や少女らと散歩し、それぞれのモヤモヤを解消できるのか。 登場人物に共通する不安が物語の根幹にある風なのだけれど分かりにくい。読みやすいがストーリー展開も人物造形も不自然感あり。
1投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログ終わり方とか、向かうベクトルは良かったけれど、 ボリュームの割り振り?ウェイトに違和感を抱いてしまった。 後半、終わり方に向かっていく部分に物足りなさがありました。 前半に偏っているように自分には思えました。 隣人の過去の引っ掛かっていることが、自分は許せなくて。 かといって實成が言うように他人が何か言うことではないとはわかりつつも、なんかなぁ。。モヤっとしてしまいそれがぬぐえずクライマックスも自分の心が追いつかなかったのかもしれないです。 自分が感じるこのモヤモヤは、実際の事件や、そういった類のものに怒りを表明してくれたたくさんの人の言葉があって感じられている違和感だと思っていて。 その蓄積がない人は、気付かないまま軽い問題としてスルーしてしまうかもしれない。それが嫌です。 気付ける機会は多ければ多いほどいい。だから、この本でもしっかり非難してほしかった欲が出てしまうのが私の本音。。 普段、寺地はるなさんの作品の、いろんな問題を仰々しく扱わず劇的に解決しないところが好きって思ってはいるのですけど、作品の中に出てくるセンシティブな問題の取り扱いによっては自分の心がついていけないことがちょこちょこある。
1投稿日: 2024.09.21
powered by ブクログいろいろな偶然が重なり合い、一緒に夜の散歩をすることになった人々。 それぞれに複雑な境遇を背負っている。 夜と散歩という距離感は居心地よく、お互いの表情を程よく隠し、時間も制限される。 寺地はるなの小説に出てくる人々は、いつも身近さを感じる。自分の周囲にいる人に置き換えながら、読むのが楽しい。
20投稿日: 2024.09.18
powered by ブクログ夜、得体の知れない不安に襲われる__ふりほどくように外へ出ると不思議な出会いが待っていた。彼らが共有した時間はほんのひとときだが、人生の歩み方を考えるきっかけとなった。夜の散歩の魅力って、朧げで非現実的な所じゃないかなぁ...とふと考えてみたり。
9投稿日: 2024.09.17
powered by ブクログ夜に不安を感じる實成が、気持ちを落ち着けようと始めた夜道の散歩。 ひょんなことから増えていく散歩メンバー。 それぞれが夜に歩く理由はーー。 みんな生きてれば、いろいろある。 夜道を、ただ一緒に歩くだけの緩やかな時間。一緒にいても顔を見ないから、何となく話せてしまうこともあるかも、と思えた。 周囲の期待と自分の気持ち、かつての自分の選択、言葉が孕む暴力性など。 「あぁ、そうだった…」 静かに、過去の自分の経験やかつての感情を思いだし、重ねてしまうシーンがありました。 本当に、どうして寺地さんの作品はいつもこんなに人の心を推し測るのが上手いのか…。 読むほど、ゆっくりじんわり染みてくるよう。 最初から最後まで静かな印象の作品。 知らず知らず、心に澱のようにたまるモヤモヤした気持ちを丁寧に掬い上げてくれるのは、寺地さんの他作品にも共通していて、いつも自分の気持ちに気づいたり、確かめるような読書になっている。 ただ、全体的に暗い雰囲気が漂っていて、最近気持ちが落ち込みがちな私にはちょっと読みづらく、少しずつ読みました。 でも、夜に少しだけ歩こうかなとも思えた。
6投稿日: 2024.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2024/08/06リクエスト 5 亡き父の言葉「善く生きろ」をモットーにしている實成冬至(みなりとうじ)。 父親を亡くして、心のなかにモヤモヤが現れるようになり、夜、散歩に出るように。 その散歩仲間との付かず離れずの距離感の会話。 昼間、顔がはっきり見えた状態なら一緒に話したりすることもなさそうな人たちと、夜同じ方向を向いて話すでもなく、一緒に歩く、そういう関係もありだと思う。 私も、そういう知り合いを作りたい。
1投稿日: 2024.09.12
powered by ブクログ最初の頃からずっと好きで読み続けている作家さんなので、とてもいいにくいけど個人的にいまいちだった。読む側に想像力を掻き立てたり、考えさせたりという感じがなくなって、全部のことを登場人物の誰かに言わせてしまっているような、考えの押し付け的な…そんな感じがした。個人的には最近の作品があまり好きじゃない感じかも。 でもご本人は最近になって、ずっと自分の書きたかったことを書けるようになってきたっておっしゃっていた気がします。
2投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログ「わたしのさびしさは、わたしのもんや」 娘や息子ごときがどうこうできるようなものではない、ときっぱり言い切った母の言葉にハッとした。 そうだな、自分の気持ちは自分のものだ。しっかり見ていてあげたいなと思った。
2投稿日: 2024.09.06
powered by ブクログ父を亡くしたあと、得体の知れない不安にかられると、ひたすら夜道を歩くようになる主人公。 散歩仲間に出会って、だんだんと増えていく深夜の散歩メンバー。 ちょうどいい距離感でいいなと思った。 普段から一緒にいる人とする散歩とは違うよさがあるなあ。
16投稿日: 2024.09.04
powered by ブクログ夜になると不安に襲われる實成は夜道を歩く。そこで同僚の塩田さんと中学生の女性と出会う。それが何度も続き、散歩のメンバーも増えて實成にとってとても大切な時間になっていく。それぞれの暮らしにある悩みや問題を知るにつれ、自分を見つめ直していく實成。家族や友人ではない距離感の心地よさの中にいる安心感と少し前向きになれそうな予感とが少しずつ感じられていくのがとてもいい。
1投稿日: 2024.09.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
實成冬至は大阪で働く会社員、滋賀の父親が亡くなってから、得体の知れない不安を感じる時があり、夜に散歩しようと思う。塩田さんや熊、松江さん、冬至の母、もっちゃん…余計な事は言わないことも大切だが、ちゃんと言葉にする事も大切なんだな。伊吹は弱さを克服できるといいなと思った。大事件が起こる物語ではないが、元気がもらえる本だと思う。
3投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログ決して波瀾万丈でない大変静かな展開の中で、登場人物達の心情が機微描かれ善く生きるって何だろうねと問いかける賽成の様子が大変身近に感じられで好印象です。 印刷会社に勤める賽成冬至(みなりとうじ)。夜中の散歩中に、同じ会社に勤める塩田有希子(うきこ)さんが女の子と歩いているのに出会い、三人は一緒に散歩するようになります。さらに別れた彼女やマンション管理人さんなども巻き込みながら、その関係性の中で賽成が悩み考える物語りでした。 星4つです。 #美文
1投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログしんとした静けさの中に温かみを感じる作品だった。 主人公は印刷会社に勤務する實成冬至。 亡き父が生前何度も口にしていた「善く生きろ」の言葉をモットーにしつつも、そうなれない自分と葛藤している。 私も善人でありたいと思いながら、なれない自分に苦悶しているので共感しかなかった。 ひょんな事から始まった夜の散歩。 深夜の散歩メンバーは一人、また一人と増えていく。 この距離感が絶妙で互いを尊重している感じがいい。 皆、何かしらの不安や悩みを抱えているけれど誰かが傍にいる事が支えとなる。 自身を見つめ直す啓発本のような優しい作品。
6投稿日: 2024.08.31
powered by ブクログ夜の散歩のお話。大学時代に散歩部に入っていたので、なんだか懐かしい感覚を覚えつつ、強くて優しい世界観がとてもよかった。 一緒に夜歩くだけの浅めの人間関係だからこそ話せることがある。そして相手の事情を知らないからこそ、慎重に言葉を選ぶ。 わたしは人と関わるときに、相手が求めていそうなことを勝手に判断して発言してしまうので、主人公の慎重さや真面目さを見て、反省した。相手のことを本当に考えているからできることだと思った。 最近は減っているように思うけれど、自分の価値観を押し付けてきたり、安易な想像力で導き出した結果をあてはめてきたりする人がいる。 例えば、連日の猛暑の中、息子と歩いている私に「暑いのにかわいそう」などと言ってくるおばちゃん。彼女は息子が外に出たいと家でギャン泣きしていたことなど知らない。ギャン泣きする息子をなだめながら、やっとの思いで外に出てきたことを知らない。 心からそう思ったから言っているのだろうし、弁解しようとも思わないけれど、イラッとモヤっとする。 主人公たちはそうした価値観の押し付けや安易な想像の押し付けに敏感だ。けれど、だからといって自分を相手に合わせる必要はないのだと教えてくれた。とても勇気づけられる作品だった。
58投稿日: 2024.08.25
powered by ブクログ●なぜ気になったか 本屋大賞ノミネ作で知った、寺地はるなさん。ノミネ作もおもしろかったし、その後読んだ1冊もおもしろかった。相性のよい作家さんと感じたので、過去作も今後読んでみたいと思っている。新作を読みたくなるのはあたり前 ●読了感想 うーん、残念。期待して読んだけど、心が動かされることも少なく、気持ちが落ち込む感じが強くおもしろくなかった。他の作家さんでは落ち込む感じでもおもしろさを感じる作品もあったりするので、その違いはどこにあるのかに興味がわいた #いつか月夜 #寺地はるな 24/8/8出版 https://amzn.to/4fC6sIw
7投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログAmazonの紹介より 会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。 中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。 皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。いつも月夜、ではないけれど。 悩みを抱える人達が、夜道を歩くことで心が開放的になり、お互いを干渉し合うことで垣間見る展開に、温かな世界観やゆったりとした気持ちになりました。 普段目にしているいつもの場所でも、夜になると、自分自身の心の安定さも違っていきます。 改めてですが、時間帯ややり方が違うだけで、気持ちや心の解放といったものが違って、こんなにも新たな発見があるんだなと思いました。 主人公ですが、名前は實成冬至。4人兄弟の末っ子。實成が苗字なのですが、ほかの兄妹が名前表記だったので、頭がこんがらがってしまいました。 整理すると、主人公は實成冬至なのですが、ずっと苗字表記で物語は進行していきます。 得体のしれない不安・モヤヤンが登場したときはSF?とかそういったジャンルなの⁉と思ったのですが、そこはあまり深堀りすることなく、モヤヤンを避けるため、夜道をひたすら歩きます。 歩く途中で出会う会社の人や元カノ、はたまた管理人など夜道を歩く人がどんどん増えていきます。 そこで垣間見るそれぞれが抱える苦悩。みんな普通に生きていても、何かしらの不安や苦労があって、必死に生きているんだなとしみじみ思いました。 實成のキャラクターも良い味を出していました。 至って「普通」だった人が、夜道での交流を通じて、色んな変化をしていきます。 心が開放されたのか、いつもとは違う行動をとっていて、日常においては微々たるものかもしれませんが、心にとっては大きな一歩になったのかなと思うくらい成長が見られ、なんだかちょっとした優越感がありました。 お互い、特に深掘りすることなく、今置かれている状況をどう解決していくのか、特にスッキリ解決するというわけではなく、自然に普通にありがちに終わっていくので、それがまた心地よくもありました。 急ぎすぎない空気感も良く、ゆったりとした気持ちがあって、出会うことの大切さを嚙みしめました。
3投稿日: 2024.08.17
powered by ブクログ読み終わるのが残念なくらい素敵な作品でした。 共に夜歩く人達の中に垣間見える、それぞれの事情。余計な詮索をせず助け合える関係性がいい。實成くんは自己評価低いけど、相手を尊重できる魅力的な人だと思いました
10投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログ寺地さんの書く男性主人公が好きだ。 飄々として静かだけれど、中に一本芯が通っている。この本の主人公、實成(みなり)くんもそんな性格の30代男性。 「善く生きる」ことについて考えながら生活している、真面目な人だ。 会社の同僚の塩田さんと、塩田さんと同居している中学生の女の子と、偶然夜中の散歩中に出くわしたことがきっかけで、一緒に夜の散歩をするように。 やがて散歩仲間は少しずつ増えていく。 ひとりでいるのが少ししんどい時に、一緒に歩いてくれる人を求めて、自然と集まり、また自然と解散していく。 その縛られなさ、自由さが良い関係だなと思った。 一見ニュートラルで何事にも動じなさそうな實成くんだが、物語の終盤で、いつもと違う行動を取る瞬間がある。 中学生の女の子に呼び捨てにされ続けるのが気に入らないと伝えたり、頑なに避けていた実家に帰省したり、不躾な態度をとる先輩に「何がおかしいんですか。感じ悪いですよ」と立ち向かったり。 何が決定的な大事件が起きたわけでもないけれど、散歩仲間と語らう中で、あるいは日々の生活の中で、時間の経過とともに、彼の中で少しずつ変化していった何かがあった。 きっと多くの人の人生は、實成くんのように、本人も気づかないうちに変わったり変わらなかったりする。 この本は、そんな波瀾万丈「じゃない」人の生き様の美しさを描いている。
12投稿日: 2024.08.07
powered by ブクログ感想 柔らかい光を浴びる。心が躍ることはない。気持ちが高揚することだってない。だけどそれは居心地が良い。ずっとそこにいたい。何もしないで。
8投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログ最近は重い内容の作品が多かった寺地さん。今回もある程度覚悟して読み始めたが、意外やとても優しい読み心地の作品だった。 主人公は實成冬至。4人きょうだいの末っ子で、それぞれの名前の付け方が笑える。家庭にも特に問題はなく、彼自身も大きな問題は抱えていない。唯一気になるのは、5月に父が亡くなった後、「あれ」が現れるようになったことだ。そんな實成くんが送る、いたって普通の毎日を丁寧に描いていく。 もちろん、穏やかとはいえども多少の波風はある。けれど、読みながら怒りに震えたり、涙があふれたりはしない。提示される様々な問題も、ごく自然に解決へと向かう。この自然さがとても心地よかった。 刊行日 2024/08/08、NetGalleyにて読了。
11投稿日: 2024.07.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
父の死をきっかけにモヤッとした不安を抱える實成とひょんなことから一緒に夜の散歩をすることになった同僚と同僚と同居する少女、元カノと元カノの住むマンションの管理人。それぞれに悩みや不安、問題を抱えていて… 人はみんな、多かれ少なかれ悩みや不安、問題を抱えていて、日々折り合いをつけながら過ごしているんだと思う。ひとりで抱え込んで追い詰められていく人もいるだろうけれど、支えたり支えられたりという関係性を築くことができれば、少しラクになったり、一歩前に踏み出せたりすることもある。この物語では後者が描かれる。 特に大きな何かが起きるわけではなく、日常が描かれているからか身近なできごとのように感じたし、自分のことのようにも感じた。 太陽の射すような眩しい光ではなく、月の柔らかな光が感じられるラストはとても心地良かった。
3投稿日: 2024.06.21
