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杉森くんを殺すには
杉森くんを殺すには
長谷川まりる、おさつ/くもん出版
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総合評価

197件)
4.1
70
66
37
6
0
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    女子高校生ヒロが杉森くんを殺すと決意し、実行に移すまでの思案のお話 タイトルから禍々しい感じがしますが文体はとてもライトです。そして相反するように内容はとてもヘビーです。 アドバイザーのような存在のミトさんに杉森くん殺しに着いて相談すると、殺したい理由を考えてみることと、犯罪者になるのだからやり残したことを済ませておくことを勧められます。 序盤はヒロの考える理由を読むたびに、「嫌なやつ」である杉森くんも、思春期の面倒な思考回路を持ったヒロもあーあという気持ちで読み進めましたが途中から様子が変わります。みなさんもどう考えるか、ぜひ読んでみてください

    6
    投稿日: 2025.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自殺してしまった親友。その事実に向き合うために、その親友を「殺すこと」にした主人公の旅路。親友には主人公しかいなかったけれど、主人公にはよりそい、向き合ってくれる友だちや大人たちがいて、なんとか折り合いをつけられた。自分も、精神的に困ったときは、誰にも相談できず、ただただ寝続けたり、セルフケアでなんとかして、ぎりぎりまで行った経験があったので身につまされた。今ではジャーナリングで自分の考えを可視化したり、AIと対話をすることもできるようになった。人間の相談先も、確保しています。こういうメンタルヘルスの具体的テクニックこそ、家や学校で小さいうちから知っておいた方がいいな、と思います。

    84
    投稿日: 2025.03.02
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    “喪の仕事”の物語。 大切な人を失った時の、混乱、悲しみ、怒り、苦しみ…まだ経験したことはないけれど、想像するだけで苦しい。苦しい気持ちでページを繰りながら、同時に結愛の変化に心打たれる。 変化なのか、回復なのか。人間は強い、立ち上がる力を持っている。でもそれは、誰かに助けてもらう必要がある。一人で解決するには難題すぎる。 大切な人や身近な誰かを亡くした人に寄り添う一冊でもあるし、いま悩んでいる人にも寄り添ってくれる一冊。 児童書だけど、大人にだって必要な本だ、これは。

    10
    投稿日: 2025.02.26
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    子供が読むコーナーに置かれていた本だったけど、大人でもみんな読むべき本だと思う。 途中までは杉森くん本人が出てこないのでヒロの言ってることが本当なのか疑い始めて分からなくなって、全容が掴めなかった。 半分くらい読んでから、そうだったんだねって。 どれだけ辛かったか計り知れないけど、周りに話せる人がいて、優しい人で良かったなって思った。独りじゃないって思えることはすごく大事なこと。聞く側も抱えきれずに逃げたくなることもあるよね。でも2人3人、分け合えれば軽くなるんだってこと。身近な人に置き換えてもし悩んでいたらって考えると本当にこっちも辛い。ヒロにとっての杉森くんと同じように、いろんな人にとって大事な存在だってこと、伝えてあげたい。

    9
    投稿日: 2025.02.26
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    児童文学って言うけれど、子供向けって感覚ではなく読める。確かに、中高生に読んでもらいたい気持ちはわかる。悲しい話だけど、前に進む勇気を持てるんじゃないかな。

    6
    投稿日: 2025.02.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    思いもしない展開だったので驚いた。 だけど杉森くんは、わたしの大事な杉森くんを殺しちゃったんだよ。 ハッとしました。

    4
    投稿日: 2025.02.23
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    優しさは、時には鋭利なものとなり、自分や大切な人を傷つけてしまう。それでも、優しさは心の奥深く、魂を救ってくれることを教えてくれる本。

    10
    投稿日: 2025.02.22
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    ''なんでもかんでも、言語化しなきゃダメ?'' 別に言語化しなくてもいいのか!と思えた。 少し心が軽くなるような本でした。

    3
    投稿日: 2025.02.20
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    かなり前に図書館で予約していて、届いた時に、何で児童書予約したんだっけ...と。表紙のかわいらしい絵とそれに似つかわしくないタイトル。 中高生の些細なことでも心が揺れ動く時にこの本があったらなあとしみじみ。最後の方に出てくる「自立」の考え方は分かっているようで、辛い時には思い出せないものなので、これからも心に留めておきたい。

    11
    投稿日: 2025.02.18
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    まちがっているとかまちがっていないとか、考えること自体がまちがっているんじゃないかな。そもそも、数学とはちがうんだ。正しいとか正しくないかなんて、人によって変わるだろ。 そうしなきゃと思ったんなら、なにか理由があるはずだ。がんばれば言語化できそうな理由が。でも、がんばる必要って、そもそもあるのだろうか。なんでもかんでも、言語化しなきゃダメ? 生きるために必要な手段だから、その手段をとりあげちゃダメ。 空気を読まずに、いいたいことをいう。わたしのやりのこしたことリストのひとつだ。 わたしの心の声を優先する。だってわたしの人生だし。 わたしにはわたしの人生があるの。 たったひとつの真実なんてだれひとり正確にはわかってなくて、みんな主観で生きてる。自分が現実だと思いこんだことが、その人にとっての現実として採用されてるだけで、客観的な事実とは無関係なことも、たくさんあると思うの。でも、べつにそれでいいと思う。自分がそう思ってれば、それはもう、その人にとって現実だし、事実なんだよ。 人って、一か所だけに執着していたら、依存なんだって。わりと良くないことなんだって。でもね。いっぱい依存先もって、あちこちに相談できてたら、それは自立っていうんだって。

    1
    投稿日: 2025.02.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。 色々考えさせられる話だった。 子供に読んで欲しくて借りたけど、気になって先に読んでしまった。 子供には最期の解説まで是非読んで欲しい。 読んでいく内に色んな事が明かされていくのが気になって一気に読んでしまった。 周りの友人に恵まれて本当に良かったよね。 悲しい話なんだけど、最後は凄いポジティブになれる面白い話だった。 「一か所だけに執着してたら依存。でも、いっぱい依存先をもって、あちこちに相談できてたらそれは自立。」 すごい響いた。 あと自傷行為をやめさせるのはいけない。というのが衝撃だった。 もし自分の子供が自傷行為をしていたら冷静になれずにすぐにやめろと言ってしまうと思う。 今の時代、色んな問題が溢れてて精神が疲弊することも多いから子供の機微に敏感でありたいし、正しい対応をしたい。

    3
    投稿日: 2025.02.16
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    タイトルだけ見て「杉森くんってどんだけ極悪非道な男なの?」と思いながら読み進めていくうちに、杉森くんがヒロにとってどんな人なのか分かって落ち込んでしまった。 p119「ケンカとか、すれちがいで仲が悪くなったんなら、そりゃなんかのきっかけで仲直りすることもあるかもよ?でもさ、友だちでなくなるときって、そういうんじゃないと思うんだよね。日々の積み重ねっていうかさ。だんだん、ふたりの共通の話題が合わなくなってくとかさ。いっしょにいてももりあがらなくなっていったり。相手の言葉が、いちいちカンにさわるようになってって、自分の中の相手のイメージと現実が、どんどんかけはなれていっちゃって…(後略)」という以前は仲良かった塩野さんと友だちでなくなってしまった良子さんの発言が印象的だった。 ヒロがいろんな人に出会って少しずつ傷を癒していきながら考えが変わってゆく描写が丁寧で引き込まれた。 あと、ごめんなんだけど、良子さんのオタク口調がちょっとムズムズした。 良子さんのことは好きだよ!

    2
    投稿日: 2025.02.16
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    くぅー、若い。 若い人の感性をそのまま言語化するのも一つの才能だなと思う。 話をざっくり書くと、主人公のヒロが杉森くんを殺す決心をする。話を進めるにつれて杉森くんが女の子であること、既に自殺していることが分かる。最後には自分の弱さを認めることができる。…大まかにはこんなストーリー。 読めたけど…大人が読むには青臭すぎたと言った感じかな…小中学校の頃なら少しは刺さったのだろうか。それとも自分に親友のような人がいたらもう少し捉え方が変わったのかな? 自分が殺したことにしたい、そうでないと自分を許せない。みたいな考え方から自分も人間でキャパがあるから助けられなかったしょうがなかったに切り替えられたのは昔の自分を見てるようで少し安心した。 上記を書いた後に他の方の感想を読んでみたら、しっかりと杉森くんの死について触れていてびっくりした。 ストーリー上の単純な「死」としてしか捉えてなかったので杉森くんの死がヒロにかなりの影響を与えていることや両親や兄のミトさんが気にかけている様など、言われてみれば…確かに…ていうかそれこそがこの本の根幹ですよね…って感じ。 依存先を増やしたら自立になる、という部分に触れている人もいらっしゃって、私自身がしっかり考え抜いてそこに辿り着いて来てるが故に流してしまっていたなあ…。と…

    1
    投稿日: 2025.02.15
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    物凄く面白かった。 主人公の感覚が、奇妙なようでいて真っ当 周りの人達も優しくて丁寧 言葉選びが魅力的 段々明かされるストーリーも、ミステリで読み応えがあった。

    6
    投稿日: 2025.02.15
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    話題になっていた本で 図書館の予約の順番がやっとまわってきて読めました。 児童向けの書籍なのになんというタイトル。。。でも、さすがに児童向けだから生々しい話ではないよね。 と思っていましたが、ずっしり重かったです。 何が、正解なのか大人でも難しい。。。 でも、子どもを持つ親として 思春期の気持ちがグラグラする時期、まわりの大人が暖かく見守り支えてあげることの重要性が身に染みました。

    9
    投稿日: 2025.02.08
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    読み進めるうちに明らかになっていく杉森くんとわたしの関係性。だれかから頼りにされて依存されて、少し疲れてしまう。そういう経験をしたことがある人は、少なくないのではないか。 依存してしまう人も、依存されている人にも、読んでほしい作品だと思った。 依存先を増やすと、依存ではなく「自立」になる。 悩んでいる人からすれば、説教めいて聞こえるかもしれないけれど、とても大切な話だった。 わたしの周りにいる人たちも、わたしとの関わりを丁寧に深めていてすごくよかった。腫れ物扱いするのでもなく、自然に関わることの難しさには経験がある。 相手がどう感じているのか、自分の気持ちはどうなのか、人と関わることは難しいけれど、丁寧に適度に付き合えたらこんなに素晴らしいことはない。

    48
    投稿日: 2025.02.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    題名が児童書なのにすごく怖いけど、装丁が可愛くてどんな話なんだろうと思いながら読んだ。 生きていると思っていた杉森くんは本当は死んでいて、主人公の親友で女の子だった。 そして自殺だった。 助けを求めていたのに、受け止め切れず見捨てた自分を許せず、傷ついていた。 自殺したなんて認めたくなくて、自分が殺したと思う事で死を受け止めようとしていたヒロの心の葛藤が描かれていた。 周りの友人やミトさん、お母さんに助けられながら前を向いていく姿がとても良かった。 良子さんに出会えて、ヒロはすごく救われたのではないかな。

    4
    投稿日: 2025.02.07
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    ネタバレなくして感想が書けないような内容なので、人に勧めたいが説明が難しい。 なんか生きづらくない?と思ってる人は共感できるはずなので特にお勧めします。 ジャンルとしては、若者の心の成長を描いたヤングアダルト向け小説である。 しかし、上から目線などは一切なく、どこかすっとぼけているような、ページをめくるごとに心の海に潜水していくような、楽しさと怖さが入り混じった感覚に陥る。 とはいえ「楽しい」が7割くらいなので肩の力を抜いて読んでほしい。重いテーマを軽口で語りきったところが本当に素晴らしい。 おさつさんの究極的に可愛いイラストも、世界観とよくマッチしている。 主人公の周りの友人たちとの会話が、読んでいてすごく楽しい。「若者言葉」というと、一般の言葉遣いを崩したように捉えられるが、煮崩れたおでんの具のように、彼ら彼女らの言葉は豊かで味わいがある。短い会話の中に、色んなものが凝縮されている。何度も読み返したくなった。 今思い出したが、落語家の立川談志は海外のジョークが好きで、こんなブラック・ジョークを言っていた。 戦場で友人を目の前で殺されて、精神がおかしくなったやつを医者に治してくれと頼んだ。すると医者はこれは正常だと言った。 人生にはちょっと「おかしく」ならないと生きていけないこともある。それでも「可笑しく」生きていけるのが人間の素晴らしさでもある。誰でもそんな人から勇気を貰ったことがあるはず。 重いことを重いまま背負うのではなく、(今は駄目でも)軽く笑い飛ばしてやろうとする人間の強さ。手を差し伸べるのは大変なことだけど、僕はこの本を読んで少し優しくなる勇気を貰えました。

    8
    投稿日: 2025.02.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一行目から杉森くんを殺すことにしたって物騒な言葉から始まるけれど、児童書なのでやさしい物語りでした。 ヒロは支えてくれる人がいて良かったね。 私が杉森くんだったら墓参りにダブルデートで来られたらイヤだな。 幸せそうで妬んで恨んで死んだこと後悔すると思うな。 杉森くんも生きて幸せになってほしかったな。

    4
    投稿日: 2025.02.04
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    大切な人を2人消す 高校1年生にはつらかろう これが児童文学とは なかなかにハードなテーマ 良子さんがとても素敵

    2
    投稿日: 2025.02.03
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    内容全く知らなかったので、けっこう衝撃的な話だった。昨年の小中高生の自殺者が過去最多になったと云うニュースを見たばかりだが、その世代の人に読んで欲しい内容だと感じた

    6
    投稿日: 2025.01.30
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    SNSにて話題作、とのことだったので読んでみた。 タイトルがかなり攻めていたのでどんな内容なのかと思ったけど、 喪失と再生の物語だった。 難しく考えずにサクサク読めた。 興味深い内容だった。

    7
    投稿日: 2025.01.30
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    YAでこんな小説、すっごくいいと思う! かなり重いテーマでありながら、語り口は軽く、ストーリーのテンポも良く、時に哲学的なことも挟まれながら、それでいて読者に考え込ませすぎないバランス わたしは大人なので、少し読んですぐに「この語り手は信頼できないタイプ」とわかったけれど、小中学生あたりの子どもなら、ああ、そういうこと!といういう驚きもあって、読書体験としての楽しさも味わえると思う 物語もよかった 主人公の心の傷が、周囲の人たちと関わり合うことで少しずつ、自然とほぐれていく様が「杉森くんを殺す理由」の変化としてわかりやすく伝えられていて、主人公と一緒に、読んでいるこちらの気持ちも腑に落ちていく 単純に、青春物語としての側面も良い 高校生の友情、恋愛、家族関係 矢口くんとのくだりはにやにやした 良かった、いい本をありがとうございました

    4
    投稿日: 2025.01.29
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    大人になっても人間関係で悩んだり、昔のことを「ああしていれば良かったのかな」と考えたりしてしまう癖がある自分としてはかなりこの本が刺さりました。 主人公の気持ちも、杉森くんの気持ちも、自分と重なる部分があり、ところどころ泣きながら読んじゃいました。 最初はタイトルにドキッとして読みはじめた本でしたがとても繊細な内容です。人間関係で悩みがある人は読んでみるとなにかヒントがつかめるかもしれません。

    8
    投稿日: 2025.01.27
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    子どもだった頃の自分なのか、それともこれから色んなことを経験し成長していく息子なのか何を投影しているのかはわからないけれど、未熟な子どもが周りの人との出会いや考えを交換し合うことで成長していく様はぐっと来た。 この年頃の自分はあまり悩まずに来た。 当時もし自殺した子がいたとしても、全く気持ちを理解できてなかったと思う。 自分とは違う世界線で起きる不幸とか弱さと思っていたと思う。 “たくさんの依存先をもってあちこちに相談できてたらそれは自立”かぁ 自分を信じて、だからこそ周りの人を信じられる。 息子にはそういう風に考えて生きていって欲しいなぁ。 悲しいことを悲しめる場所があるって大切なことなんだなぁ… 杉森君の人生は終わってしまったけど、 ヒロの人生はこれからも恋やら新しい友人やらたくさんの青春が待っていると考えるとやはりどうしても寂しい気持ちにはなる。 …

    4
    投稿日: 2025.01.27
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    私には本文の内容が全く刺さらなかった。何度も読むのを挫折した。読み終えて「解説」を読んだ。この解説を読むために頑張って読み終えたんじゃないかというぐらいステキなことが書いてあった。

    1
    投稿日: 2025.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これは泣く。 自分は読んで良かったし、すごく良い本だと思うけど、簡単に人に勧められない。 「依存先がたくさんあって、いろんな人に相談できたら、それは自立」覚えておきたい。

    3
    投稿日: 2025.01.25
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    2025.1 市立図書館  グリーフケア 児童書。サクッと読めてしまう文章量と文体。 でも、これは泣いてしまう。 罪悪感。 身近な人を亡くした経験がある人なら、わかると思う。 うまく言葉にできないけど、子どもでも大人でも… あなたは悪くないよ、って言ってあげたい。

    1
    投稿日: 2025.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自殺してしまった、かつて仲が良かったが疎遠になった友人への悔恨に苦しむ高校生の主人公ヒロが、けして自分のせいではないと納得して彼我を切り分ける話。 「杉森くん」とは互いに成長するにしたがって趣味嗜好や行動範囲が変わっていった、という友人関係にはよくある話なのだが、思春期の女子同士であり杉森くんが(生育環境のせいもあり)なかなかに厄介な性格をしているうえに家が近所で物理的接触が避けづらい、という、付かず離れずの付き合いすら許されず存在そのものがうざったくなる要件を見事に満たしてしまった。そして杉森くんは結果的に最期の言葉をヒロに投げつけODを目論んだが失敗して窒息死した。 それ以前からさんざん死ぬ死ぬかまってちゃんメール(ライン)を受け取って辟易していたヒロには、あなたのせい(既読スルーして現場に行かなかった)ではない、と言いたくなるし実際ヒロのせいではない。だからと言って、ヒロとしてはそうだよね私のせいじゃない、とはとても開き直れないというのもよくわかる。 ある程度小説を読み慣れていると序盤の家族や周囲の反応でどういう事態が起こっている(た)のか大体の予測はつくと思う。そこからはヒロがどうやって現状を咀嚼して折り合いをつけていくのか、ヒロが本当はどう感じ考えていたのかを、彼女の目線でゆっくりと追体験していく。 本作がこういった「信頼できない語り手」を読み慣れていない、本来想定されていた読者層にどういう刺さり方をするかはわからないが、きっととても刺激的な読書体験になったのではないかと思う。 人間ひとりを抱え込むことはできない、抱え込めなくてもそれはあなたが悪いのではない、と、自殺沙汰にまではいかなくとも、狭い世界で煮詰まりやすい人間関係の中にいる子どもたちへの強いメッセージ性を感じた。 叙述ミステリとして読むと、「杉森くん」の真相を隠すためのミスリードらしき描写(「殺す」と言ったときの父親の反応等)がところどころ不自然に感じる部分もあるが、あえてのヒントなのかもしれないし、ヒロの一人称視点なので多少違和感があってもまあそういうものかと飲み込める範囲ではある。 ヒロやその周囲の子供が終始守られるべき存在として描かれ、抱え込むな、周囲に頼っていいのだと説かれるところはとても優しい誘導だと思う。しかし、ヒロにとって頼れる存在であるミトさんもまた、いい大人の読者目線から見ると充分に庇護されるべき存在なので、彼が自分がもっと相談に乗るべきだったと悔やむ部分にも多少のフォローが欲しかった気もする。高校~大学生に、年の離れた異母妹とその友人のこじれた人間関係に介入するべきだったというのはちょっと。だが、ヒロの世代に焦点を当てているのでそれ以上の世代は一律「大人」であると割り切った描写なのかもしれない。 ミトさんといえばラスト辺りの展開は両親の勘違いだと思ったらそれがそのまま事実だったので少し驚いた、おめでとう。

    4
    投稿日: 2025.01.22
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    自死を美化せず。自己犠牲を美化せず。根性を美化せず。順応を美化せず。 絶対的正解を求め、地団駄を踏んでいた若者が、自分の弱さや間違いを受け入れ、前進しようとするする様が美しい。

    5
    投稿日: 2025.01.20
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    突如Xのおすすめに流れて来たので読んでみた。良かったら息子たちに譲るつもりで。これはなかなか危険な内容だ。救いがあるようで、実はないのかもしれない。起こってしまったことは、取り返しがきかないから。なので、あらかじめ考えておくために読むのは良いだろうと思う。 ただ、実際に辛い経験をしたことがある人や、その最中にある人は、気をつけた方が良いかも。かなりフラッシュバックして落ちる気がする。 少しミステリーの要素があり、その謎解きも中盤までは面白いのだが、答えはなかなかキツい話なので面食らう。必要な設定だったかは疑問。 良子さん始め、主人公の周囲の人間が素晴らしい。それだけに主人公が罪悪感を抱える場面には、イライラしつつも共感した。

    6
    投稿日: 2025.01.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まずタイトルがすごいなと思った。どんな内容なのか興味がそそられた。 一気に読んでしまった。ヒロがなぜ杉森くんを殺したいのか、どんな経緯があったのか、気持ちを日記に書いていくことで、自分を見つめ直し、本当は色々な気持ちが混ざりあっていたことがわかる。 本当は大好きな相手だったからこそ、自分の期待する相手じゃなかった時に不満を募らせたり、きらいになったりする。でも相手が辛い時には支えてあげたい気持ちももちろんある。それが限度を超えた時、本当に辛くなる。 たくさんの人に助けを求められたらいいが、なかなかそううまくはいかないだろう。唯一助けを求められる人がいても1人だけだとそれは依存になってしまうんだということを知った。 ヒロは自分の行動を悔いていたけれど、絶対にヒロのせいではないし、どうすればよかったかの正解はないと思う。 ただヒロが色々な人と関わったり、色々な経験をしていくことで自分を取り戻していってることに希望がもてた。

    4
    投稿日: 2025.01.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    途中まで本当に人殺しをするのかと思っていた。でも、杉森くんは現実世界ではもう亡くなっていて、その現実を受け止めるためにヒロが葛藤していることを「杉森くんを殺す」という言葉で表現するだなんて、、、すごい。世の中には自分のせいで悪い結末になってしまったと感じてしまうことが多々ある。友人の死のような大きなことに限らず、仕事で迷惑をかけてしまったとか部活の試合で失敗してチームを負かせてしまったとか。確かに自分がその要因に関わったかもしれないが、それだけが全ての結果の元凶ではないのだ。ただそう思えないのが人なのだ。どう受け止め受け流すのか、どう自分の心に留めるのかが重要なのかもと思えた作品でした。

    4
    投稿日: 2025.01.09
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    あくまで個人の感想なので許してほしいのですが… ヒロとは立場が違いますが同じような経緯で知り合いを亡くした身としては、読み終わった後「こんな本が読みたかった。杉森くんを殺す手際の良さに感心」と書いてある帯に嫌悪感を覚えました。そんなにエンタメ感を出していい本かな…? 鬱傾向のある人にはあまり読んでほしくない本かも。 巻末に悩んでいる人へとありましたが、元気な時だからこそ読める本な気がします。 過去にメンタルを壊した経験もあるのですが…回復した今だからこそヒロの目線で読めたけど、伏せっていた当時だと杉森くんの側(公開にしているので触れませんが気になる方はネタバレ設定にされてる方のレビューを読んでください)に引っ張られていた気がして少し怖くもありました。 わたしは「感動しました!!」「子供に読ませたいです!!」みたいな刹那的な流行らせ方をしてはいけない本な気がします。

    4
    投稿日: 2025.01.05
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    人って、一か所だけに執着してたら、依存なんだって。 でもね。いっぱい依存先もって、あちこちに相談できてたら、それは自立って言うんだって。 主人公、広瀬結愛の友達良子さんの言葉が印象的でした。 杉森くん、の正体にびっくり。読む前はもっと違う内容かと思ってた。

    8
    投稿日: 2025.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自死した友達に対する複雑な思いを、友人や家族との関わりや日々の生活のなかで、やりくりしていく高校生の物語。 思春期の友達関係とか、恋心とか、繊細でややこしい感じがとてもよく描かれているなあ。 心を壊した友人が自分にもいるけれど、助けてあげたいけれど付き合うことが億劫になったり、そのことに罪悪感を感じたり、主人公の気持ちに共感しながら読んだ。

    3
    投稿日: 2025.01.01
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    読んで泣ける小説はひさしぶりに読んだかもしれない。重度の精神疾患もちの友人とうまくいかなかったことを引きずっていたので読んでなんだか楽になった

    4
    投稿日: 2024.12.31
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    タイトルが気になり読みました。 杉森くんを殺すってどんな展開になるの?って読み進めていくとあっという間に読み終わりました。 高校生活の悩みである人間関係を秀逸な文書表現をちりばめて書かれていました。 最後の方にでてくるトラウマ島の話がとても心に響きました。 気になる方は、読んでみて下さい。

    8
    投稿日: 2024.12.30
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    好き。 育児より仕事を優先して働きまくって疲弊してた時期の自分を重ねながら読みました。最後の解説のとこでは泣いてしまったなぁ。

    7
    投稿日: 2024.12.27
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    良い うちの高学年の子も、よかったと言っている  そして親の私も読んでみていいじゃん と感じた ただ、うちのいいじゃんという感情は、多感期の子どもに、なんて良本なのっと言う感情だ もちろん大人も楽しく読めるけど、感情が抑えきれない時期の子らには特におすすめしたい だからきっと親が勝手に買って、そこら辺に置いておくのがベスト そして少しでも助けを求めてる子が救われたらいい

    5
    投稿日: 2024.12.24
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    児童文学の定義ってなんだっけと思い、ネットで調べると一つに「大人が子供をおもな読者と想定して創作した文学」とあった。これを子どもに読ませようとするのは時代的にかなりチャレンジングだなと思いつつ、そういうチャレンジングさを失っていないことに良いなと感じた。主人公がいわゆる変わった子なので、変わった目線で話が進むのきつかったけど、最後の解説があって、良かった。

    1
    投稿日: 2024.12.22
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    なんといってもタイトルのインパクトがすごい。相反するような表紙のポップさも惹きつけられた。 杉森くん?殺す?読み始めはわからないことばかりだけど、読み進めていくうちに本当の意味がわかってくる。 児童書だしサクサク読めたけど、なかなか考えさせられる話だなと思った。自分のイメージする相手は幻想にすぎない、確かにみんな心にリトル〇〇がいるのかも。 良子さん、矢口くん、野崎くんとの関わりもよかった。相手のことを想って話すことができる子たちだなぁと感心した。告白シーンはなんだか可愛らしくて癒された。

    6
    投稿日: 2024.12.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SNSでみかけて、児童書にしてはずいぶん刺激的なタイトルと、ポップな装丁というちぐはぐな組み合わせに惹かれて読んでみた。 『杉森くんを殺すには』だなんて、いかにも不穏。 一体どういうことなのか、主人公である15歳の女子高生・ヒロの真意を探りつつ読み進めていくことになる。 そうして、杉森くんというのは実は女の子で、ヒロとは幼馴染の同級生で、しかし少し前にすでに自殺してしまったということがわかってくる。 中学生になってからというもの、杉森くんは学校に馴染めず居心地の悪さを感じていた。 ヒロは、昔と変わらないまま自分に依存してくる杉森くんのSOSに気づいていたものの、むしょうに疎ましさを感じていて、とうとう寄り添ってあげることはできなかった。 それによる取り返しのつかない後悔や、杉森くんが自殺を選んだことへの怒りや非難、悲しみ、困惑、恐怖、生きているうちに交わした約束など、ヒロのなかでさまざまな思いが交錯した末に導かれたのが「杉森くんを殺す」だったのだ。 それをモチベーションとしてしがみついて何とか日常をやり過ごしていたが、ステップファミリーとなった義母や、義兄・ミトさんとの交流、クラスメイトと新たに育まれる友情を通して、徐々に杉森くんの死を受け容れていく。「わからない」が、一つずつわかるようになっていく。 思春期とはなんて複雑なのだろう。自分自身の感情の正体さえ理解できず、手に負えないものとして呑み込まれていくさまを、易しく見守るように書いてくれる物語だった。杉森くんも、ヒロも、二人ともが深く傷ついていたのだ。 解説にある、カウンセラーの方の言葉があたたかくて涙が出そうになった。自分の心や大切な人の心を、ひとりで守ろうとする必要はない。相談できる場所、依存先(安心や信頼のおけるところ)をいくつもいくつも見つけよう。 今まさに渦中にいるような悩んでいる子、悩んでいる子がまわりにいる子、そんな中高生たちにぜひ読んでもらいたい本。

    6
    投稿日: 2024.12.16
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    これは最後の『解説』まで読むべし!です。 そして 今、人生に悩んでいる人や悩んでいる人が身近にいる人は、早くこの本と出会って欲しいと思いました。 私は悩み事を誰にも相談できないとき、答えが出そうな本を探して読みあさってました。  だから 多くの方の手に取っていただけたらと思います。 読んでよかった一冊です。

    3
    投稿日: 2024.12.13
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    友達の自殺から立ち直る話。兄や友人や先生が適切に寄り添ってくれて立派。自分もこんな風に人に接することができるだろうかと見つめ直すことができた。 ただ、自分の好みとは合わない気がした。子供向けの本なのでこれ以上を求めるのは無理だとは思うが。

    0
    投稿日: 2024.12.13
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    あぁ…なるほど…そういう話か… 主人公の友人、良子さんが良い子過ぎる。名は体を現す。良子さんのような人間になりたい。

    2
    投稿日: 2024.12.01
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    私が学生の時に読みたかったなと思えた本でした。 社会人になってこの本を読んで、学生時代の人間関係を振り返って良好とは言えない人間関係だったなと思いましたし、今の時代を生きる学生さんには読んで欲しい一冊でした。 漢字にふりがなが振ってあるので小学生高学年くらいからでも読めるのではないかと思います。

    6
    投稿日: 2024.12.01
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    ヒロが杉森くんを殺す理由が明らかになるにつれ、物語の状況も明らかになる。児童文学で読みやすいのに、何か大切なことを伝えてくれている。小さい子に読んで欲しい。客観はだれかにとっての主観

    7
    投稿日: 2024.11.30
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    刺激的なタイトルから、どんな物語なんだろう?と読む前から想像を掻き立てられ、読み進めていくうちに「なるほどな...」と、こまめに最初から読み直してもう一度話を整理したくなる本だった。 展開も早く面白くどんどん読み進められるので、あっという間に読了。 テーマ自体はきっと重ためでありながらも、少し笑ってしまうような登場人物のユーモラスな会話で、あまり負荷を感じずに楽しく考えながら読めた。

    4
    投稿日: 2024.11.28
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    児童文学とは知らず読み進めていたが、自分の経験にも重なる部分があり、共感する場面が多い本だった。 読み始めたきっかけはXでおすすめされていて気になったからである。ミステリー系の話かと思ったが、これは悩んで辛い思いをしている人を支えようとしている周囲の人の葛藤を描いているとても現実的でハッとさせられるような学びの多い物語だった。 読み進めているとき、中学生の友達の顔が浮かんだ。物語の立場で言うと杉森くんにあたる。その子は自殺はしていないが、精神的に病みかなり追い込まれていた。そして、私の立場は主人公のヒロにあたる。その子にとって頼り先が私しかなかった。 ヒロが、自分を精神安定剤にしてくる杉森くんの存在を「めんどうくさい、距離をおきたい、私は私の人生がある」と煩わしく感じていた。 すごく共感できた。小さい頃から仲良しで親友だったのに、病んで落ちていくあの子なりのSOSにしっかり向き合おうとすると、すごくめんどうくさかったことを思い出した。私だって楽しいことをしたい、別のコミュニティがあるのにと、一緒に悩み考え苦しむ時間がある一定をすぎるとどんどん煩わしくなるのだ。 ヒロはここで、その役割を一身に担い疲弊し逃げる。周りの大人に相談できなかったのだ。 ヒロは、杉森くんを自分の世界から追放し拒絶したが、私は先生に泣きながら話を聞いてほしいとSOSを出した。 今思えば、本当に偉かったと思う。 そのあと、その子はカウンセラーに預けられ私が先生にSOSを出したことにありがとうと言ってくれた。 ヒロはすごく強い子だった。強いから1人で悩んで抱え込んでいた。弱かった私は弱かったからこそ周りを頼ることができた。 最近仕事でうまくいかないことしかない辛い日々で

    3
    投稿日: 2024.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    風邪気味で、子供達の食事の用意などして、自分はさっさと寝る準備をして、そういえばこの本があったと寝室で、風邪だけどビール一缶くらいは、と読み始めた本 出会いはXで。最近流れてくる情報は全部しつらえた物みたいで、つまらないと思っていたけど、やっぱりこういう出会いがあるから、情報に触れ続けるのは有意義だと思い直せるほどの。 この本は、本当に児童文学ですか?いや確かに子供達に読んでほしい。世の中のほんとうの事が淡々と書かれていて、感動しすぎて泣きすぎてどうしようもなくなってしまいました。 杉森君を殺さなければいけない真相が分かり次第、主人公の切実な心の叫びが胸を突いて堪らない。読んでる私が逃げ出したい程の真摯な叫びが堪らなかった。 風邪由来の鼻水を超えて嗚咽が止まらないほどの涙と鼻水で箱ティッシュの容量をどんどん減らしてしまいました。 子供達がお母さん風邪大丈夫〜?と寝室を覗いたらヤバいです。もしそうなったら、素直にこの本読みなさいと差し出すしかないでしょう...

    4
    投稿日: 2024.11.26
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    『客観なんて、しょせん、だれかの主観だ。』 和歌山にある書店の店主さんがXで激推ししていて気になって読んだ。 読み終わって「え!?本当に児童文学!?」とびっくりしてしまった。 文体は軽めでサクサク読めるのに、心にグサグサ刺さる。小中学校の国語の教科書に載せるべきだと思うし、1人でも多くの人にこの本を読んで欲しい。 絶対救われる人がいると思う。

    7
    投稿日: 2024.11.25
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    児童文学を久しぶりに読みましたが、社会人の自分にこんなにしっくりくるとは思っても見なかったです。わかりやすい表現、言葉、構成、物語。 いろんな作者が同じテーマで小説を書く。それでもまだまだ読みたくなる。文体や視点、空気感ってそれぞれの作品にこもっているんだなと、この小説にはそんなことを考えさせられました。 なんだか星で評価を決めるような小説ではないような気がしたので星なしです。

    4
    投稿日: 2024.11.25
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    「杉森くんを殺すことにしたわたしは〜」と、衝撃的な一文で始まる今作は、発売当初からYA文学界隈で話題になっていて、早く読まねばと思っていたらつい先日、野間児童文芸賞を受賞した。 なかなか重い内容なので、最後は臨床心理士の方が、解説文を書いていて、困ったときの相談先リストも掲載されている。 深い深い衝撃的な出来事があった高一の少女ヒロが、少しずつ心の闇を取り除いていく物語で、臨床心理士さんはこの作品を「悲しみの居場所探しの物語」と書いている。 あまり書きすぎるとネタバレになってしまうが、「人って、一か所だけに執着してたら依存になるけど、いっぱい依存先をもって、あちこちに相談できたら、それは自立になる」という、友人の良子がSNSで見かけた言葉に共感。 多くの中高生だけでなく、私たち親世代もぜひ読んでほしい読むべき作品。

    45
    投稿日: 2024.11.09
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    衝撃的なタイトル、そして真正面から精神的なテーマに向き合った得難い本。 杉村くんを殺すには。杉村くんとは?殺すってどうやって?過去に何があった?最初は謎だらけだけど、納得がいく展開。

    14
    投稿日: 2024.11.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルが刺激的だが、ネタバレをしてしまうと、幼馴染を自殺で無くした高校1年生の主人公が、彼女の悩みにきちんと向き合ってこなかった自分の気持ちを、だんだんと整理していく「喪」の物語である。主人公は自分に依存するように悩みをぶつけてくる幼馴染を受け止め切れず、LINEをブロックしてしまうが、そのあとに幼馴染は自殺。大人の自分であっても、誰かのしんどい悩みを受け止め切れる自信はなく、主人公に共感を覚える。ゲートキーパーになるとき、人は他人の悩みをどう受け止めたら良いのか、擬似体験ができ、考えさせられる。巻末に様々な相談機関の案内もあり、親切だ。

    3
    投稿日: 2024.10.31
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    最初は、杉森くんに心底嫌なことをされて、殺したいほど憎んでいる女子高生の話かと思った。 しばらくして、どうやら違うようだなと思い始めた。 やがて本当のことが見え始めてからは、どのようにこの話が終わるのかなと考えた。 後半、主人公の血の繋がらない兄であるミトさんの『トラウマ島』の話(スマトラ島みたいだ)辺りからは、なんか文章がザクザクと心に言葉が突き刺さって、でもそれは決して読み手を傷つけるための攻撃的なものではなく、大切なことを心に刻みつけるための彫刻刀のような言葉でなのだ。 私くらいの年の人間でもそう感じるのだから、今まさに主人公と同年代の人たちが読んだら、どうなのだろう。 一か所だけに執着することを依存といい、たくさんの依存先をもち、相談することができたなら、それを自立という。 なるほど。 読み始めは子ども向けなのかと少し退屈しながら読んだけど、読み終えて本を閉じたときには、この本に出会えてよかったと思った。

    8
    投稿日: 2024.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中学校の図書室で見かけ、そのタイトルにドキッとして、あらすじを調べてみたところ「杉森くんを殺すことにしたの」というフレーズに、どんなお話なんだろうと思い読み始めました。 淡々とした、でもそれでいて主人公の気持ちをありのまま投影した語り口は、凄く読みやすくて、するすると物語に引き込まれていく。 死と向き合うこと、気持ちを整理すること、すごくリアルでした。 読み終わって「杉森くんを殺す」ってそういうことかと、すとんと答えが落ちてきて、分かった時には涙が止まりませんでした。こんなにも暖かくて、悲しくて、寂しくて、それでいて心が晴れやかになったお話は久しぶりです。 個人的には臨床心理士の高橋先生の解説も含めて、一つの作品だなぁと思っています。 また、最後には困った時の心の相談先や、もっと知りたい人のための調べサイトまで載っているのも素晴らしい。 児童書と侮る事なかれ。 ショッキングなタイトルだけれど、そこで怯まず是非最後まで読んでほしい作品。 人間関係で困っている人、何か悩みがあって自ら命を絶とうと考えた事がある人。そんな人が近くにいる人。そんな人から助けを求められたことがある人。大人子ども関係なく、色んな立場の人に読んでほしい本です。

    3
    投稿日: 2024.10.10
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    なんだかよくわからないな、と思いながら読み進めた。状況が飲み込めると、苦しくなった。 巻末に相談リストが載っていた。 悩み思いつめている子どもたちが救われて欲しい。

    18
    投稿日: 2024.10.06
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    高校1年生の主人公はとある決断をします。 「杉森くんを殺すことにしたの」 「いまのうちに、やりのこしたことやっとけよ。後悔しないように」 何故杉森くんを殺すことにしたのか、理由を考えながら高校生活を送る主人公。 中高生向けの本ではあるけれど、大人にも刺さる内容でした。

    13
    投稿日: 2024.10.02
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    第9回ビブリオバトル全国大会inいこま予選会③オンラインで発表された本です。チャンプ本。 2024.2.4 2024.3.10開催の第9回ビブリオバトル全国大会inいこま決勝に進出。 グランドチャンプ本! https://www.youtube.com/watch?v=hHJZbBs_KLg

    2
    投稿日: 2024.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    児童文学だと後から知ったので、このひらがな多めの読みやすい感じはそういうことかと納得。自分が小中の時に読んだらどう思ったんだろう。 大切な人の自死に向き合うまでの話。 良子さん人生二周目感のある価値観は児童的にどう映るんだろうか 矢口くんとの告白対話(告白対話?)はかなり良かったな

    3
    投稿日: 2024.09.05
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    ショッキングなタイトルとアルビレオさんのポップな装丁が印象的な1冊。主人公は友人の杉森くんを殺すことを決心する。ネタバレになるので詳しくは書かないが、主人公はその意思を遂行する。その過程の書き方が鮮やか!当初の期待よりもずっと良かった。

    3
    投稿日: 2024.08.29
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    友人から紹介してもらった書籍「杉森くんを〜」。書くとシャドウBANされそうなタイトルなのですが「あのときこの書籍を読んでおきたかった」と思えるような素晴らしい内容でした。子どもたちが小学校高学年になったら読んでもらいたいので、物理本で本棚に収納。

    4
    投稿日: 2024.08.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    わたしはあのこを殺さないといけない。 衝撃的なタイトルにギョッとする。中身もなかなかギョッとする内容である。主人公・ヒロの一人称なので現実世界と心の中と回想が混ざり、なかなか全貌は把握できない。最初に「杉森くんを殺す」という話をミトさんという大人にするところから始まり、しかもミトさんはその話を特に咎めないのである。どういうことだろう、という驚きからどんどんとページをめくる。半分くらいのところで、すでに杉森くんが死んでいること、しかもそれは自殺であったこと、ヒロにずっと助けを求めていたがヒロはそれを拒絶してしまった(と思っている)ことがわかる。それでは、そのすでに亡くなっている親友を「殺す」とは? 身近な人を亡くしたとき、人の心はさまざまに揺れる。納得できなかったり、誰かや自分を責めたり、亡くなった人のことを思い出したり。これはヒロが杉森くんの死を「消化する」までの心の動きを描いた物語である。適切な言葉が思いつかないので「消化」と書いたけど、つまりはグリーフの過程だ。特に自分に罪があると感じている死に関しては、この過程は大切である。自分の罪を責める気持ち、死んでしまったことを許せない気持ち、自分もキャパオーバーになりかけていたという辛い気持ち。 悲しいことではあるが、人はどんな悲しみからも立ち直る。ヒロも周囲の人と関わりながら自分の気持ちを整理した。考えを書き出したり、木工で手を動かしたりは気持ちの整理によいと聞く。ヒロは自分の中に杉森くんだけでないリトル誰かがずっといること、そのリトル誰かは自分の中にいるもので本人とは異なること、ただそのリトル誰かと一緒に生きていくことを会得する。 この物語をどのように、誰に、いつ、手渡すのかはとても難しい。しかしこの物語を届けたい人はどこかにいる。どうしようもなくなっていたら物語は読めないかもしれないので、そのちょっと前に手に取ってもらいたい。それにはこの衝撃的なタイトルもよいのかもしれない。目を引くから。読めば理由もわかるから。

    4
    投稿日: 2024.08.15
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    ポップな表紙と相反するタイトルで、内容は知らずに、「児童書ですが、大人のかたにも」との勧めで読んでみました。 主人公が抱える、どうにもし難い想いが、タイトルに繋がります。 表情を失くしてしまった主人公の心が、周りの家族や友達の言葉や気持ちに触れることで、自然な笑顔を取り戻していく。 1人で抱えるには重すぎて、でも記憶から消し去ることはできなくて、 1人でできることはなくて、1人で抱える必要はなくて、たくさん手を伸ばしていけるように、繋いでいくしかないのかもしれない。 「依存先が多ければ、それは自立」

    6
    投稿日: 2024.07.21
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    これすごく良かったです!タイトルに惹かれ手に取りました。エンタメ要素の強いお話なのかと思っていましたが、いえいえ、しっかり命を扱う重いお話でした。それであっても、登場人物それぞれがいい意味でさっぱり、飄々としていて、しっかり心の葛藤も描かれている。個人的には『成瀬は天下を取りに行く』のようなタッチに感じて、好みでした。もちろん作中のような悩みの中にある人にも、そうでない人にも響く作品だと思います。ぜひ読んでもらいたいです。

    8
    投稿日: 2024.07.17
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    p.114 「えーと。これは漫画の知識なんだけど」良子さんはぴったりの言葉を探すように、言葉を選びながらいった。 「自傷してる人って、死のうとしてるわけじゃないらしいんだわ。そりゃそうよね、腕を切ったくらいじゃ人は死なない。それはリストカットしてる本人もちゃんとわかってる。そうじゃなくて、自傷しなきゃいられない人って、生きのびるために切っちゃうんだよ」 わだしは「ふーん」と答えた。わたしの返事があんまり間画びしてきこえたのか、良死にたい気持ちとか、逆に怒りがこみあげて人をつけたくなっちゃうときに、自分を抑えるためにやるの。そうして落ちつく。だから自傷って、その人にとっては必要なんだよ。生きるために必要だから、その手段をとりあげちゃダメ」良子さんはわたしの腕をきゅっとだきしめた。 「だから、ヒロは止めなくてよかったんだよ。それはほんと。なにもまちがってない」そうなのかな。良子さんのいっていること、ほんとうに正しいのかな。ただ、わたしをはげますために適当なことをいってるんじゃない?適当にそれっぽいことをかっこつけていう、ドラマのセリフみたいに。 わたしは良子さんを見た。 良子さんは、わたしを心配してくれている。きっとわたしがはじめて悩みを打ちあけて、はじめて助けを求めたからだ。だけど、もしもわたしが毎日悩みを打ちあけて、毎日助けを求めたら、きっと疲弊してしまうんだろうな。 そうならないように、気をつけたい。 だけど少しは、わたしの話もきいてほしい。 少しでいいから。 p.119 「人って、変わるんだよ。ヒロぽん」さみしそうに笑っていう。 「いくら仲良しの友だちでもね。いっていいことと悪いことはあるし。それが何回もつづいたら、キレるし。したら、それ以降は仲良しにもどれないし」「でも、でもさ」 わたしはいう。なんとかしたくて。 「こういうのって、話せば解決したりするじゃん。なんかのきっかけで・・・・・・・」「うーん。どうなんだろ。これってそういう話じゃない気がする」良子さんはトイレの床のタイルをにらみつけながらいった。 「ケンカとか、すれちがいで仲が悪くなったんなら、そりゃなんかのきっかけで仲直りすることもあるかもよ?でもさ、友だちでなくなるときって、そういうんじゃないと思うんだよね。日々の積み重ねっていうかさ。だんだん、ふたりの共通の話題が合わなくなってくとかさ。いっしょにいてももりあがらなくなっていったり。相手の言葉が、いちいちカンにさわるようになってって、自分のなかの相手のイメージと現実が、どんどんかけはなれていっちゃって・・・・なんか、相手の一挙手一投足が、もう目ざわりになってくんだよ。なんかするたび、今度はなにやってんだ?って、ぴりぴりしてく。 そしたらそれって、相手も気づく。ああ、いまあいつに嫌われたなとか、いまの言葉、むかついただろうなとか、わかっちゃう。で、おたがいいっしょにいるのがしんどくなってく。そういうときに、もう話しかけないで、っていわれたらさ。もうそれは、お友だち終了の合図なのよ。ピリオドはもう、打たれちゃったわけ」わたしはぎゅっと良子さんの手を握りしめていた。 はじめは良子さんがわたしの手を握りしめていたのに、いまではわたしが、握りしめていた。 「自分のなかの、相手のイメージ」わたしは良子さんの言葉をくりかえした。 それは、ミトさんにきいた、謎の郊影の話と似ている。 ううん、それとこれは、おなじものなんだ、きっと。 良子さんの心のなかにも、小さな塩野さんがいたんだ。良子さんがこういったらああいって、ああいったらこう切りかえしてくる、心のなかのリトル塩野さんが。 目子さんのなかのリトル塩野さんは、きっといまも、良子さんと仲のいい腐女子な塩野さんなんだろう。教室で、ハ行の女の子たちとバカ笑いしている塩野さんとは、もは や別人。 別人だけど、きっとどちらも、塩野さんなんだ。 p.123 ロールすると、ちゃんと知りたい情報が出てきた。 うで 友だちが自分の腕を切りきざんでいるときにいちばんやっちゃいけないことは、感情的な反応だ。怒ったり、心配しすぎたり、泣きわめいたり、こわがったりしちゃいけない。そうした反応はすべからく、リストカットをした本人をびっくりさせて、罪悪感をあおるだけ。 いちばんいいのは、外科医の態度。 あ、ケガしたんだ。止血して消毒しようね。ところで、どうして傷つけたの? こんなふうに、落ちついて、淡々と状況を把握すればいい。まちがっても、切ることを止めようとしてはいけない。もう切らないでね、と無意味な約束をしてもいけない。 やめたほうがいいよ、と冗談ぽくいってもいけない。 自傷は、本人にとってつらい現実から目をそらすための、延命措置にすぎない。だから大げさにとらえて、なにがなんでもやめさせようとする必要はまったくない。 でも、何度も何度も自分を傷つけていると、エスカレートする可能性がある。気持ちを落ちつかせる効果がだんだん弱くなって、現実がどんどんつらくなってって、結局ほんとうに死を選んでしまう人もいる。杉森くんのように。 だから、自傷は止めちゃいけないけれど、ほうっておいてもいいわけじゃない。 自傷という「時間稼ぎ」をしているうちに、心の傷をいやす方法を探す。これが正し たいおう い「対応」。 りょう 良子さんはわたしに「なにもまちがってない」といった。 だけどこれは正しくない。 わたしはあのとき、見て見ぬフリをした。ラインをブロックして、杉森くんから遠ざかった。 あれはあきらかに「感情的な反応」だった。よくなかった。 わたしはただ、落ちついて、あの子の話をきいてやればよかっただけなのに。「心配してるよ」と伝えてあげればよかっただけだったのに。ずっとは無理でも、ときどきそばにいてあげればよかっただけなのに。 ても、あのときのわたしは正しい対処法なんて知らなかった。ああ、ても、検索すればすぐにわかることだった。なんでわたしはすぐに調べなかったんだろう。いまみたいに親指ひとつ動かせば、すぐにわかることだった。手にとるように簡単に。 杉森くんはいつもわたしを罪悪感でいっぱいにする。 p.133 杉森くんは昔から繊細だった。心が弱かった。 だから杉森くんは、心の弱い人の気持ちがよくわかる子だった。 繊細で、こわれそうになっている人にいちはやく気づいて、きちんと気づかえる子だった。 図工の授業でうっかりわたしの貯金をつぶしてしまったときは、わたし以上に悲しんで、本気で謝ってくれた。いいよといっているのに、何度も何度も謝った。 理科の実験で魚の解剖をするときは、サイコパスじゃん、なんて冗談をいいながらも、どうしても魚を解剖できないことを謝って、かわりに解剖したわたしにお礼をいった。 自分のことを僧善者だっていうから、わたしは笑って、そうかもねなんて冗談を返した。 でも、杉森くんは偽善者なんかじゃない。わたしはちゃんとわかってた。 杉森くんは、ほんとうに心の底から、やさしすぎるだけなんだ。 中学に入っておなじクラスになったとき、わたしたちは手をとりあって喜んだ。 杉森くんといっしょにいられることがうれしかった。 杉森くんのことが、ほんとうにほんとうに大好きだった。 そんけい」 尊敬していた。 えらいと思っていた。 いまも、やさしさという点に関しては、杉森くんのことを信用している。 いやなところも、好きになれないところも、うんざりするところも、たくさんたくさんあるけれど。 それと同時に、だれよりも、わたしは杉森くんを言頼している。 杉森くんを殺す理由その十一:杉森くんはやさしすぎる。 だから、だれかにやられる前に、わたしがやらないと。 杉森くんはやさしいから、殺人なんてしてほしくない。 杉森くんに自分殺しなんて、してほしくない。 p.179 「ヒロは、トラウマって知ってるか?」出た。また、ミトさんの謎かけだ。 どこに話を終着させるつもりなんだろう。見当もつかない。 「たとえ話なんだ。おれたちはみんな海にただよっている。で、そこにひとつ、ドーナツ状の島がある。ドーナツの真ん中は深い湖で、トラウマを抱えた人はその湖の底に沈んでぷくぷくあぶくを出している。まあ、トラウマにかぎらず、悩んでる人って解釈してくれればいい」 わたしは「うん」と相槌を打った。 たぶんミトさんは花火大会の日に、この話をわたしにしたかったんだろうなと思った。 「島の外の海にただよっている人たちは、真ん中の湖で沈んでいる人の問題に気がつけない。トラウマ島がそそりたっていて、内側に湖があることさえ気がついていないから。 湖の底に沈む人を助けるためには、トラウマ島を登っていかなきゃいけない。でも、トラウマ島のてっぺんより湖側に少しでも近づきすぎると、あっというまに足をすべらせて、助けようとした人までいっしょに湖の底に沈んでしまう」わたしは想像してみた。トラウマ島は、きっと内側がアリ地獄みたいになっている。 湖の真ん中に沈んでいる人は、自力であがっていけないんだ。登ろうとしてはすべりおち、失敗して、とうとうあきらめて力つき、湖の底にぷくぷく沈んでいる。 「だからトラウマ島に登るには、それなりの装備が必要だ。それに、ふみこみすぎない距離感もいる。でも、距離をとるというのは、沈んでいる人から目をそむけて、島を降りて海に出て行くという意味じゃない。湖の底が見える場所と、湖にすべりおちてしまわない、ちょうどぎりぎりのところでふんばっていなくちゃいけないんだ」 「わたしは海に逃げだした」 わたしはいった。とても悲しい気持ちを抱えて。 ミトさんがため息をつく。 「ちがうよ、ヒロ。逃げたのは・・・・・・おれだ」わたしは不意をつかれた。ミトさんがなにをいっているのかわからない。 「ほんとうは、おれたちが気がついて、おまえのかわりに杉森くんのトラウマ島を登っていかなきゃいけなかったんだ。まわりのおとなたちが。親や先生や・・・・・いや、やっぱりちがうな。おれが、やらないといけなかった」わたしは驚いた。ミトさんの声が、心なしかふるえている気がしたから。 「どうしてそんなこというの。ミトさんはなにも悪くないでしょ」 「そんなことはなかったと思う」 ミトさんはいった。きっぱりとした声だった。 「おまえはときどき、おれに電話をくれたろ。中学でなにがあったとか、部活でなにをやってるとか。でも、おまえの話の六割は、杉森くんのことだった」わたしは息が止まりそうになった。 そんなわけ...・・・そんなわけ…・・・そうだっけ? たっぷり一分考えてみると、そうかもしれない、と思えてきた。 びっくりした。自分ではまったく気がつかなかった。ミトさんとの貴重な会話の半分以上を、まさか杉森くんの話題にあてていたなんて。にわかには肩じがたいけれど、でも、よくよく考えてみれば、杉森くんを殺すと決めたあとも、わたしはずっとミトさんに杉森くんの話ばかりしている。 死んじゃったから、杉森くんのことばかり考えるようになったわけじゃない。 わたしは前から、あの子のことばかり考えていた。だって友だちだったから。 「ごめん、ミトさん。わたし・・・・・・無意識だった」 「それはいいんだ。おまえはなにも悪くない。悪いのは、おまえが杉森くんのことでどうすればいいかわからないでいたのに、助けようともしなかったおれだよ」わたしはなにかするどいもので胸をつらぬかれたような気持ちになった。 つまり、とてもつらい。 「おれが、おまえから杉森くんの話をきいたときに、気がついてやらなきゃいけなかった。いや、気がついてはいたんだ。でも、なにをどうすればいいかわからなくて、放置してた。おまえのことを、ほったらかしにした」 「そんなこと…・・・・・」 「ごめん、ヒロ。それをずっと謝りたかったんだ」わたしはもっていたスマホをぎゅっと握りしめた。 ミトさんも杉森くんの死によって悩んでいたのだと、はじめて気がついた。 杉森くんの死はいろんな人を悩ませている。ああすればよかった、こうすればよかったと、人びとに罪悪感を描かせつづける。それくらい、杉森くんはいろんな人にとって、大事な存在だった。 p.186 杉森くんを殺す理由その十五:杉森くんは助けを求めるのが下手すぎる。 杉森くんはひまさえあればわたしに弱みを見せつけてきたけれど、だれにでもそうだったわけじゃない。わたしはたぶん、杉森くんにとってのセーブポイントだったんだ きゅうけいじょ と思う。ほっとできる隙間。息継ぎをするための休憩所。 杉森くんはいつもへらへら笑ってた。それでお茶をにごしていた。なにかいやなことがあっても、その場ではやりすごして、自分の感情にフタをしていた。そのあとわたしに吐露していた。わたしは人に助けを求めるのが超下手くそな杉森くんの、助けを求られるたったひとりの人間だった。 小学生のとき、杉森くんにもらった手紙がまだわたしの引き出しのなかに入ってい か る。花の絵が百個くらい描かれた真ん中に、杉森くんのメッセージが七色のペンでそえられている。 「結愛、大好き。一生友だちだよ」 たぶん、杉森くんの部屋の引き出しのなかにも、わたしが書いたラブレターがまだ入っている。 わたしたちは親友だった。ほんとうに仲良しだった。だから杉森くんがわたしをたよるのは当たり前だった。右をむいたら頭が左をむくのとおなじくらい当たり前だった。 だけど、だからってわたしはスーパーマンではない。 わたしはがんばった。はじめこそがんばった。でも、そのうちつかれて、とうとう最後には杉森くんを見捨てて、トラウマ島からすべりおり、海に逃げだしてしまった。 そして杉森くんは湖に沈んだまま、あぶくのひとつも出さなくなった。 杉森くんは助けを求めるのが下手すぎる。 せめて杉森くんは、湖から頭を出してぎゃあぎゃあさわいでくれればよかった。 わたし以外にきこえるように。 ほかの人にもきこえるように。 杉森くんの親も先生も親戚も、「聞き分けのいい、よい子な杉森くん」しか知らなかったはずだ。杉森くんはそういう子を演じつづけた。杉森くんは人間を借用できず、自分の心をおおいかくし、疲弊してしまった。 杉森くんが人間不になってしまったのは、まわりだけのせいでも、本人だけのせいてもない。悪いことが奇跡的に重なって、偶然が偶然を呼んで、悪魔のからくり仕掛け みたいに「人を信じられない考え方」がカチャカチャと組みあがってしまったせいなん だ。 そして杉森くんはたったひとり、わたしだけに助けを求めた。 でも、わたしだって人間だ。 杉森くんほどじゃないかもしれない。治療が必要なほどではないかもしれない。それ でも、いいたい。リトルだれかにまゆをひそめられるかもしれないけれど、やっぱりいいたい。 わたしだって弱いんだよ。 わたしにだってキャパがある。無理をするとこわれてしまう。 でもそのことを、杉森くんは忘れてしまっていた。 わたしが杉森くんから逃げてしまったのは、わたしだけのせいじゃないと思う。 もちろん、杉森くんだけのせいでもない。 たんじゅんめいかい 世の中は複雑でめんどくさい。単純明快になんてなりゃしない。 生きるって、ほんとうにめんどくさい。 でも、あとからじわじわ楽しいことって、たいていはめんどくさいんだ。 p.193 杉森くん。 殺したことにして、ごめんね。 だって耐えられないんだよ。 これはわたしのエゴなの。 だけど杉森くんは、わたしの大事な杉森くんを殺しちゃったんだよ。 ゆるされない罪だよ。 だからこれくらい、ゆるしてよね。おたがいさまってやつ。そうでしょ。 文句があるなら、わたしが死んだあとにきくよ。 きっとあと何十年も先だけど、まてるよね。 お願い。まってて。 謝ることも、たくさんたくさん、あるんだからね。 顔をあげると、良子さんと矢口くんと野崎くんの三人が、わたしをまっていた。 「いっつも、ヒロは最後だよね」 こないだSNSで見かけた言葉なんだけどさ。人って、一か所だけに執着してたら、依存なんだって。わりとよくないことなんだって」良子さんがそんなことをいう。ふうん、とわたしはつれない声を出す。 「でもね。いっぱい依存先もって、あちこちに相談できてたら、それは自立っていうんだって」 p.203 う。 相談する人は、頭ごなしにしかったり、否定したりせず、あなたのつらさに関心を寄せ、話してくれたことをねぎらってくれるような人がよいでしょう。杉森くんの場合、スクールカウンセラーの相談には不満があるようでしたが、あなたの学校のカウンセラーはちがうかもしれないし、学校には、保健室の先生や担任、部活の先生など、「この先生だったら話してみようかな」と思える人がいるかもしれません。学校の先生以外では、親やきょうだい、親戚の人、友だちだけではなく、地域のさまざまな施設などが相談先になります。あなたの力になりたいという人たちは、みなさんが相談しやすいように、匿名で話せる電話やSNSによる相談先も用意しています。いくつか相談して、自分にあった相談先や対処方法をふやしてほしいと思います。 また、身近な人が悩んでいる、様子が心配という人は、まずはその人に声をかけ、具体的に尋ね、耳をかたむけ、批判や評価をせずに、話を聞いてみてはいかがでしょうか。そして、自分以外にも話せる専門家や相談場所があることを伝えたり、そういった所につきそったり、応援を求めたりし てほしいです。悩んでいる人も、その周りの人も、これまでひとりでがんばってきた方がいると思います。少しだけでも、そのがんばりをだれかと分けあってみませんか。ヒロが杉森くんを失った悲しみとむきあうことができたように、みなさんも信頼して話せる人たちに出会ってもらいたいと思います。自分の心や大切な人の心を、ひとりで守ろうとする必要はないのです。 このあとのページに、相談先の情報や参考になる本を掲載しておきます。これからみなさんがおとなになっていくなかで、なにかあったときに、話してみよう、きいてみようというきっかけになってもらえたら、うれしいです。 高橋恵一 (臨床心理士・公認心理師)

    0
    投稿日: 2024.06.30
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    題名に惹かれてあっという間に読み終わりました。 読み終わった後にぜひもう1回初めから読み直して見てください。 物語が180度違って見えます。すごい。すごい深い。リアル。周りの反応とか、1回目には腑に落ちなかったことが、そういうことか、ってなります。 杉森くんみたいな友だちを思い出しました。 人間関係ってなんでこんなに複雑なのか。考えると頭痛くなってくるので、この本は児童文学だけど私にはむしろまだ早いんだと思う。 あの子元気かな。

    6
    投稿日: 2024.06.25
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    なかなかに衝撃的なタイトル でも、中身はとてもいい本でした 児童書と侮ってはいけません あんまり書くとネタバレしちゃう、どうしようと書きながら思っていますが つらいとき 苦しいとき 依存しすぎることもなく、誰かに助けを求められたら、そうできたなら 誰しも一度は消えたいとか思ったことがあるんじゃないかと思います そのときの感情がすごく思い起こされる本です つらくもなりますが 最後は温かい気持ちになれます

    6
    投稿日: 2024.06.22
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    タイトルに惹かれて手に取り、 冒頭「杉森くんを殺すことにしたわたしは、とりあえずミトさんに報告の電話を入れた」 で心をつかまれて一気読み、読み終わった後あらためてタイトルの良さに感じ入りました。 ヒロちゃんのように悩むたくさんの子に届いてほしい。そのためにも、このちょっと刺激的なタイトルが効果的ではないでしょうか。 お友達の良子さんが本当に良い子で、この作品の重さを和らげてくれている気がしました。 腐女子の良子さん、良きです。

    8
    投稿日: 2024.06.13
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    本書が高学年対象なのは勿体ないと思うくらい考えさせられる作品でした。 主人公のヒロがミトさんという人に電話を掛ける場面から物語が始まりますが、最初はどういうことなのか全く掴めませんでした。しかし「杉森くんを殺したい理由」が挙げられていくなかでようやく、ヒロがどういう立場にいるのかが理解できました。 ヒロのような経験をした子どもが読むのであれば、救いにもなりうるし、解説が丁寧で分かりやすいので、大人が読んでも勉強になる一冊なのではないかと思います。

    13
    投稿日: 2024.05.15
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    謎の幻影、自立するための自分の守り方と人とのつながり方を学べた。多方面からじわじわ感情が動くキラキラ本!

    3
    投稿日: 2024.05.12
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    ステップファミリーである女子高校生ヒロが主人公。 インパクトありすぎなタイトルはどうなのかと考えつつも、この本を必要としている多感な中高生は一定数は居るのだろうなあ。 心理学を学ぶ学生にも良いのかもしれない。 心臓に毛が生えている私には難しすぎた。

    3
    投稿日: 2024.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルから想像していた内容と全く違った。 「杉森くん」という存在がすごく抽象的で、読んでいる側に投げかけられている。 主人公ヒロの杉森くんに対する感情が憎しみなんだろうと、先入観を抱いて読んでいたら見事に裏切られた感じ。 今、悩んでいる中高生に向けてのメッセージ的な本だとしたら、杉森くん側の心情がもっと描かれて欲しかった。 杉森くんを失ったあとの周りの子への心のケアのような物語でした。 実際には友人を失った子供の心の不安は計り知れないものなのだと思う。 そんな子にも届いて欲しい作品。 解説の臨床心理士の方の話はとても分かりやすく、この部分だけでも読む価値はあると思いました。

    9
    投稿日: 2024.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「杉森くんを殺すことにしたの」 ステップファミリーの兄であるミトさんに、わたしは電話でそう告げた。 ゆっくり考えて「そうか」と答えてくれたミトさんは、「殺したら捕まるからいまのうちに、やり残したことをやっておけよ」と「裁判所で理由を話さないといけない。杉森くんを殺さないといけなかった理由をまとめとけ」とアドバイスをくれた。 それに従いわたしは、日記に残すことにした。 杉森くんを殺す理由その一:杉森くんは意地悪。 物騒なタイトルに惹かれて手に取りました。 話の始まり方も、一体何が起きているんだろう?と疑問に思いながら、推理しながら読み進めることができて楽しかったです。 杉森くんははじめ、「くん」というくらいだから男の子だと思っていたし、もちろん生きていると思っていました。 そして前半の殺す理由からすると、そんなに仲が良くない子なんだろうな、一体何をやらかして主人公のヒロを傷付け怒らせたのだろうかと、呑気な気持ちで読んでいました。 杉森くんはどうやら、杉森さんなのだと分かったあたりから、これは何かがおかしいぞと気付きました。 後半はもう、とにかく辛いです。ヒロが割と気丈に振る舞っているから暗く感じにくいけれど、その細い、気を張った線がプツリと切れた時に、感情となるべきだったものが涙に変わって出てくる描写が辛いです。 友達同士の会話や学校生活の描き方が割とリアルに感じられましたが、実際の高校生から見るとどうなんでしょうか。そのリアルさから、感情が迷走している様もまたリアルに感じられて感情移入してしまい辛くなりました。 極め付けはミトさん。 ずっとミトさんの立ち位置はどうなんだろうか?杉森くんとも面識があるみたいだし…と思っていましたが、ミトさんもまた傷付いていた一人だったのだと分かり、辛いなあと思ってしまいました。 残された人達は皆、傷付いている。 けれどそれを罪悪感と一言で言って仕舞いにしたり、綺麗なものにしないで、そこに至るまでの経緯を一つ一つ丁寧に描いていて、最後は希望を持てる終わり方でとても良かったです。 YA、中高生に向けたお話でした。 小学校高学年でも読める文章でしょうが、薦めるのは躊躇います。

    12
    投稿日: 2024.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    序盤、こんな話かな?と想像した展開が当たってはいたが、思っていた以上に深く考えさせられた。読み終わってもう一度最初から読み直してしまう。 登場人物それぞれを思うと切なく苦しくなる

    4
    投稿日: 2024.04.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    題名が衝撃的だった。内容も衝撃。 こんな場合どうしたらいいのか、どうしたらよかったのか、考えてしまう。自分で自分を守るためにヒロが考えたのが杉森くんを殺すこと。 それについて真剣に考えて向き合ってくれるミトさん。 ヒロの周りの人々がヒロを支えてくれて本当によかった。 読後、感情がかなり引きずられてしまった。

    3
    投稿日: 2024.04.17
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    まずタイトルを見て衝撃で二度見。児童文学だよな…?と。読みながら、ずっと胸に痛みを覚える感じ。これほどではないけれど、思春期の頃って、こういう人間関係のめんどくささってあったよなって思い出した。登場人物が基本的にみんな良い人で、そこが救われた。とにかく読めてよかった作品。

    3
    投稿日: 2024.03.31
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    「杉本くんを殺すには」 こんなタイトルの本を自分からは求めなかった。ある人の紹介で読んだんだけれど、大切な人の「死」にまつわる心の動きがなんともすごかった。自分としては、少なくてもそういう動きをしない、というのが読後の感想で、それでいいのだという感覚。

    3
    投稿日: 2024.03.19
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    感情移入してしまいボロ泣きしてしまいました。 多感期だった私に読ませたいし、今後の子供にもぜひ読んで欲しい一冊でした。

    6
    投稿日: 2024.03.17
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    インパクトのあるタイトルとSNSでよく見かけたので気になって読んでみた。 杉森くんを殺す理由を上げていく主人公のヒロ。読み進めるとだんだん杉森くんのことが分かってくる。 ズシリと心に重く響く内容で過去の自身の経験からヒロの気持ちが分かりすぎて一気読み。 過去の辛い時期に読みたかった。救いになったであろう本。

    7
    投稿日: 2024.02.26
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    題名に驚き、内容にビビりました。この内容をYAで出す覚悟と周到さに星五つです。 物語は、義兄に「杉森くん殺害計画」を相談する所から始まります。殺す理由は「意地悪」からスタートし、「わからない」、「自分が楽になりたい」と、少しずつ変化していきます。その変化の理由と必要性は、是非本書を読んで知ってもらいたいです。メッセージ性の強い作品ですが、物語としてもぐいぐい読ませます。

    43
    投稿日: 2024.02.18
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    思春期の「生きづらさ」「悩み」を扱った児童文学。 まず、題名に驚かされるが、本人が自死するまで悩むことに関して、また周りの近しい人が自死した時、自身の心のあり方も傷づくであろう。そのような状態から、回復していく過程を小説として描いている。重苦しい題材ではあるが、思春期の心のケアの一端となるのではないか。

    3
    投稿日: 2024.02.18
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    児童文学でこのタイトル?と気になって読んでみました。読みやすくて一気に読めました。 主人公のヒロの心理描写が丁寧に書かれています。信頼できる依存先を複数確保しておく事は大事ですね。 最後に解説が付いているのもいいですね。 大人が読んでも十分読み応えありましたが、やはり中高生くらいの子に読んでほしい本です。

    7
    投稿日: 2024.01.11
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    重すぎず、軽すぎず、子供達の会話にクスッとしたり、登場人物を通して自分を見つめ返すことができたり。学生に限らず、沢山の人に読んで欲しい本。タイトルにはドキッとするけれど、読み進めていくと腑に落ちます。読んで良かった。

    11
    投稿日: 2024.01.10
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    書評読んでざっくりの内容を知っていたけれど、期待以上に面白かった。押し付けがましくなく、うるさくなく、中高生に薦められそう。キャッチーなタイトルに反して真面目な内容で、このタイトルだからこそ届けたい層にアピールできるのもうまい。木彫りのクロブタ、かわいい。

    9
    投稿日: 2023.12.29
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    対象:中学生以上 とある。イエス、全中高生に読んでほしい!そして、高校生の頃、何を見、何を感じ考え、どんなふうに友だちと接していたかを思い出したい全大人にも。「杉森くんを殺す」と決めた高1女子の語りにまんまとのめり込んだ。素直になれない、苦しさ切なさをどう処理していいかわからずヒリヒリした日々、女友だち、異性、親きょうだい。あの年頃に立ちはだかるさまざまな出来事を、凄まじい語彙力でぶつけてくれた。辛くて、落ち込んで、でも1歩踏み出して。そんな登場人物たちに気持ちが入るとたちまちポロリと涙が落ちた。

    4
    投稿日: 2023.12.15
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    この本には、うーーーん❗️と唸らされた。 主人公の結愛(ゆあ)は高校1年生。 冒頭は、「杉森くんを殺すことにしたわたしは、とりあえずミトさんに報告の電話を入れた」という文から始まる。 ミトさんの助言で、殺人を犯したら捕まるから、それまでにやりたいこと、あと杉森くんを殺したい理由を考えておいた方がいいと言われたので、それを実践する。 そこから、杉森くんとはどんな子か、結愛自身のこと、結愛と杉森くんとの関係がどんどん浮き彫りになっていく。 この話は題名がなかなかインパクトあるので、もしかしてこんなに表紙の絵は可愛いのに、中身は残酷なのか?と思いきや、全然そんなことないです。 令和の女子高生である結愛の視点を通した友達関係の考え方が、とても興味深かった。 また、少しずつ謎が解けていく感じも、ミステリー味があってワクワクした。 最後の方で、結愛が花火大会の時に隣にいた赤ちゃんを見て、人生で初めて花火を見た赤ちゃんに「この世の祝福が、みんなこめられたかのような笑顔だった」としみじみ感動しているシーンを読んで、少し泣けてきた。 この本を読んだ方がいたら、感想聞かせてほしいです。YA小説なので、読みやすくてとてもおすすめ

    8
    投稿日: 2023.12.03
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    高校生のヒロは、中学までの同級生の杉森くんを殺す計画をしている。大好きなミトさんにも相談している。ミトさんに、殺す理由を書いておいたほうが良いと言われ、殺す理由を書き留めている… 何なんだこの話?と思いながら読み始めたが、なかなか大変な話だった。個性的な愛すべき高校生たち、読み終わってちょっと感動した。最後は、ちょっと上手く出来すぎな気もするけれど、しょうがないか。

    8
    投稿日: 2023.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ヒロは杉森くんを殺すことにした ヒロは、杉森くんを殺す理由とやり残したことをリストにしていく 杉森くんのことをずっと考えている ○“杉森くん”と“ヒロ”たちに読んで欲しいな、周りの人たちにも  紹介出来ない、見つけてほしい本だ  見つけやすいタイトルとカバーだなと思う ○巻末に臨床心理士の解説と案内がある

    10
    投稿日: 2023.11.25
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    あとがきの通り、“悲しみの居場所探しの物語“。理解のある人達が居てよかった。タイトルはあまり好みじゃないかな。

    21
    投稿日: 2023.11.20
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    『世の中は複雑でめんどくさい。単純明快になんてなりゃしない。 生きるって、ほんとうにめんどくさい。 でも、あとからじわじわ楽しいことって、たいていはめんどくさいんだ。』

    6
    投稿日: 2023.11.17
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    杉森くんを殺す理由を考えて挙げていく。 人と人の関係性の物語。誰かを支えて、支えられて、支えられなくて、支えてほしくて。 主人公視点の物語は、主人公とともに視界が開けて新たな世界が見えてくる。その想いは心の中に残り語りかけてくるだろう。 これは読んだ人と語りたいなあ。 なるべく前情報なしで読んでほしいから、語りたいことが語れない。僕自身これは!と思ったのでなるべく情報を絶っていた。 この手法を児童書で扱うのかとか、ここで取り上げられた問題はあれとも繋がるよねとかとか。 でもYAはいいぞということだけは大声で語っておこう。

    5
    投稿日: 2023.11.08
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    杉森くんを「殺す」ことで、罰を背負おうとする高校1年生の女の子の話。 赦される苦しみに囚われ、傷ついた心を抱えながらも、様々な人とつながり、前に進もうとする心の揺れ動きに惹きつけられました。 伝えたいメッセージが確かにあって、希望と共に語られている。 この本に出会えて、とても良かったです。

    19
    投稿日: 2023.11.05
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    想像していた以上に良い本だった。 誰もが「え?」って二度見するようなタイトル。でもくもん出版だしそんなわけないよな、という印象持って読み始めた。 感想を書こうとするとネタバレになるのであんまり書けないのだけど、ヒロの心の中で事実をだんだん受け入れていって、受け止めていくまでに、いろんな人がサポートしてあげていて。重いんだけど、良子さんとヒロの軽快なやりとりが読みやすくて、スイスイ読めちゃう。 内容は全然違うけど、森絵都さんの『カラフル』と同じ立ち位置で、いろんな子どもたちに紹介したい本だと思った。

    7
    投稿日: 2023.10.27
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    ちょっといやだな、と思わせる刺激的なタイトル。 でも、この本のタイトルはこれでなければいけなかった。 これは学校の先生を説き伏せても、学校図書館にいれる意味があると思います。 杉森くんを殺すことにきめた、高校生の女の子のお話。最後の解説が超ネタバレなので、絶対に最後から読まないように。 まあこのタイトルつけてるから仕方ないし、必要だろうとは思いつつ。 これをきちんと読めば、全部わかるから。 これを読み通せる子は、絶対にそんなこと、しないから。大丈夫。 重たいテーマにも関わらず、恋バナのきゅんあり、友情あり、腐女子あり。地の文の軽さと、令和の現代っ子の解像度の高さもお見事。 そしてなんとアッパレ、ミステリーです。 どうやって殺すのか? なんで殺すのか? てんこ盛りすぎるけど全部がきちんと成り立っている大傑作。 絶対読んでほしい。

    8
    投稿日: 2023.10.27