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0投稿日: 2025.02.12デジタル革命のパラドックス
AIの計算能力にどれほど目を見張るものがあっても、所詮は感情を欠いた機械に過ぎず、宿っているのは「愚かな知性」でしかない。 事実、常識が必要とされる場面や正解も不正解もない漠然とした状況では、まるで役には立たぬ。 神経科学者のアントニオ・ダマシオが指摘する通り、人間を行動させるのは感情である。 「人間は心だけの存在でなく、機械と違って身体で思考する」 我々は、直面する難題に対処するのに、利点と欠点を並べたリストを眺めて解決しようとはしない。 「そうした難問の回答は、自己の身体から伝わる感情によって得られる。『これに決めた』という意見を発するのは身体なのだ」 こうした身体と感情を持つ存在こそ人間なのだ。 デジタル社会で進行しつつあるのは、革命の深刻なパラドックスだ。 個人や集団の思考力は向上し、協同的な活動が増えると思われたが、実際には人々をますます白痴にし貧困化させている。 水平的で開かれた議論が可能になるというのは幻想で、いま起きているのはそれとは正反対の事態だ。 富裕層はますます高所得に、労働者はますます低所得になっている。 憎悪を助長し、タコツボ化も進んでいる。認知力や注意力は衰え、拙速で短絡的、軽薄かつ単純な思考能力しか持てない人間がどんどん数を増している。 SNSでまき散らされているのは、吟味の繰り返された情報ではなく、感性に訴えかける信念に過ぎない。 人々は、それに従って世界を好き放題に解釈し、己だけの真実に変えている。 医療や教育などの公共サービスが崩壊し、既存の共同体とのつながりを失った住民は、ますます孤独という名の社会的万力によって締め上げられ、自己のアイデンティティという欲動を爆発させ、他者への嫌悪を募らせる。 外国人嫌いや同性愛嫌悪も、根底にはこのアイデンティティの問題が潜んでいる。 他者との共感力を育まないデジタル社会においては、放っておけばますます猜疑心が高まり、分断化や部族化が加速する一方になるのだから、新たな包摂型社会モデルを生み出す必要があると著者は説く。 それにはこれまで古いとして切り捨ててきた、共同生活の場となる労働組合であり、政党や企業、学校などの組織制度を立て直し、今一度復活させる必要があるのだと。 なんともフランスのインテリらしい結論だし、読んでいても新たな知見は見当たらなかった。 iTunesのストリーミングをジョブズの発明だと誤解したり、事実の誤りも見られた。 それにしてもコロナ禍以降の翻訳出版の質の低下は明らかで、本作も誤字・脱字のオンパレードだった。 「富国の仲間入りを目指す貧国とり、富国が原因の被害のために自動車の所有や肉食を断念することは認めがたいだろう」 これなど、まったく意味が掴めなかった。
0投稿日: 2024.08.29
powered by ブクログSNSにおいて人々は案外分断されており、世界全体で共有する価値観を醸成しないと環境問題など地球規模の課題は解決できないよね、という主張。
0投稿日: 2024.07.25
powered by ブクログあっと言う間に読了できました。ダニエル・コーエンの本は好きですが、彼の博識さが本を不必要に難しくしがちなところ、本書は翻訳の良さもあって一気に読み終わりました。 率直な第一印象としては、テーマが盛りだくさんではあるが、主張自体に目新しさはないという感じでした。欧米の知識人にありがちなAI警戒論に終始していて、どこかで聞いたような話も多かった気がします。逆に言えば、ダニエル・コーエンですら、結局はヘレニズム/ヘブライズムの思考パターンに陥っているのか、という感覚です。 文化人類学者である川田順造先生は、かつて世界の3つの技術文化について論じましたが、欧米の技術文化は「道具の非人間化」であり、二重の意味での脱人間依存、と論じました。つまり、人間の労力に依存しないだけでなく、その人間の能力の高低にも依存しないような道具、つまり人間を補完するのではなく代替する技術文化があることを示しました(フォーク、スプーンを想像すればよい。これらは訓練が必要なく赤ちゃんですら使える道具である)。このような技術文化があると、当然AIを人間の代替ツールとして見るわけですから、AI警戒論しか出てこないわけです。川田先生は日本とアフリカは別の2つの技術文化を持っていることを示しましたが、私は個人的に、AIを正しく使えるのは日本もしくはアフリカ型の技術文化ではないかと思っています。その意味で本書の感想から外れますが、日本の文化人類学者に、オルタナティブなAI解釈の視点を提示していただき、世界に発信してもらいたい気がします。 ただ本書は、コーエン氏の幅広い知識が惜しげもなく披露されていて、知的好奇心は十二分に満たされました。
0投稿日: 2023.11.12
powered by ブクログ行動経済学のシステム1,2に続き、システム3の概論なのでしょうか。フリーライダー、ソーシャルなど、人間の本性と対比できるのかもしれません。、
0投稿日: 2023.10.10
