
総合評価
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powered by ブクログ特に2022年立春のページが好きです。曾孫に向けた言葉、「自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。残しておかないともったいない」✨さりげなくいい言葉〰️
0投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログ【収録作品】一九五八年 立春/一九七五年 処暑/一九八八年 秋分/一九九九年 夏至/二〇一〇年 穀雨/二〇二二年 立春 純粋に知りたいから研究する。役に立つかどうかは問題ではない。そういう姿勢からこそ何かが生まれるのだろうな。 そういう人が家族だと…… 最初と最後の「長靴」が象徴的。
7投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログ4世代家族それぞれに受け継がれるものや思いもよらない??の展開。 最後の曾祖父とひ孫の心暖まる場面でホッとしました。
0投稿日: 2025.06.28
powered by ブクログ天気の研究に生涯を捧げた藤巻博士がひ孫と散歩に出かけるまでの60年を描いた物語。親が銀行員、子どもが画家、孫が天気の研究員。孫の子どもがヨチヨチと可愛い年ごろ。人生ってあっという間。
0投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログもっと読みたいお話もあったなー 最初のお話とひ孫ちゃんの話が良かったー 息子の話で毛色が変わったけどオチが良すぎてグッときた。
1投稿日: 2025.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これは良かった。 図書館で借りたけど手元に欲しいなぁ。 藤巻家の四世代?に渡る物語。 どのお話も素敵で優しい気持ちになった。 二十四節気ごとこ行事も受け継がれていて素敵だったなぁ。 のに、和也の浮気は衝撃だった。 そして浮気相手がやった和也が書いた絵を送りつけてきたってなかなか過激な笑 さらっと書かれててそこは、もっと深掘りしてほしかった笑
9投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ何世代にも連なる家族の物語。 前のお話に出てきたあの人が、次のお話でまた登場したり。そういう繋がりだったのかぁと発見する喜びがありました。 世代を越えて受け継がれていく家族の想いっていいなぁ。心温まる場面がたくさんありました。 自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。残しておかないともったいない メモしておかなくちゃ
0投稿日: 2025.05.20
powered by ブクログ時代が変わっても代々続いていくしきたりみたいのっていいなー。やっぱり続けるって大事なんだな。繋がってるというか。
1投稿日: 2025.03.28
powered by ブクログきれいな表紙に惹かれて読んでみた。「往々にして」「矜持」等いろんな言葉がつかわれていて、知的な本‥と思った。およそ80年前の時代から物語が始まるので、聞きなれない言葉や文化がいろいろ出てくる。章によって話し手と時代設定が変わるのはおもしろかった!この2人こうなったんだーとか、読み取りながら相関図を思い描く。 藤巻さんみたいに、気象学を学んで自分でこのあとの天気を予想できたらすてきだな〜。どうして虹はかかるのか?なんで白い雲と黒い雲があるのか?そういうこともちゃんとしれたら、空を見るのももっともっと楽しそうだな。 私も藤巻さん同様散歩は好きだけど、晴れた日にイヤホンをさすことが多い。雨は寒いし濡れるし荷物が多いから…笑 でも雨の日の散歩を好み、わざわざ長靴を履いて散歩する藤巻さん素敵だなと思った。今度雨が降った日、散歩してみよう。そしてたまにはイヤホンをやめてみようかな。雨の音や鳥の声を聴くのもいい。
1投稿日: 2025.03.21
powered by ブクログ天気の研究に生涯をささげた藤巻博士の一家・四世代を中心に、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を描いていて良かった。それぞれのお話で語り手が変わるので、次は誰の視点だろうと楽しんで読める。 天気を変えられないように、人間もあるがままを受け入れるしかないと思えるようになり、少しスッキリ。読み終えた後は天気や四季の変化を感じるのが楽しくなるはず。
4投稿日: 2025.03.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
話は、1人の女性が藤巻家へ家事手伝いに行くところから始まります。二十四節気でお祝いをするのが家族行事であったり、風変わりなお坊ちゃんがいたりと、どこか変わっている藤巻家。そしてその藤巻家を取り囲む人々。 藤巻家はどんな人たちなのだろうか。 語り手が家族もしくはその周りの人たち1人1人から順に移っていくオムニバス形式でした。 『自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。 残しておかないともったいない。』p247 家族が1人、また1人と増えていく中で、ずっと変わらないものだけではありません。変わっていくのが常です。 家族の心が離れかけたかと思いきや、思わずほっこりしてしまうあたたかな結末が待っていて良かったです。
5投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ藤巻家の4世代の短編小説集。 気象学者の曽祖父、画家の祖父、曽祖父と同じ気象の道へ進んだ母、小学2年生の玲へとバトンは繋がれていく。 語り部は本人ではなく、隣人や家庭教師、仕事相手などにその輪郭を語らせる。ゆえに本人の輪郭はとてもクッキリと浮かび上がるが、その分内面は読者各々の想像に委ねられている。各々に委ねられてはいるが、作者の巧さによってきっと似た想像をしているのではないだろうか。 異色なのが藤巻家の人間ではないが、ノストラダムスの予言を本気で信じ込んでいたアラサー女性。じわじわとホラーじみ、一見穏やかそうな藤巻家にさっくりと切れ込みを入れている。家族全員(もしくは和也以外)一生消えない傷。皮膚が再生し傷口がふさがったように見えてもその痕は残る、そんな出来事。ほんとに和也、お前な。
1投稿日: 2025.03.05
powered by ブクログ気象学者の曽祖父から続く、家族とその周りの人々の短編連作。 大きな事件が起こるわけではないが、それぞれの人生のうちに起こる出来事が、ときには淡々と、ときには少し湿度をもって綴られていく。 長靴にまつわるエピソードが素敵だった。
2投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ気象学に生涯を捧げた一風変わった大学教授、そこから四世代にわたる物語。 心暖まるようでちょっとチクリとする部分もあり、背景や結論をぼかしながら、余白を読者の想像に委ねて、永い時代の物語がとつとつと進んでいく。 どこかつかみどころのない話だったが、不思議と心地よく読み進めていった。 誰もがどこかで経験しているような、人の営みの物語だった。
18投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログ天気博士とその子供、孫、、、の話。 時代の移り変わりについていけなくて何となく流し読み。誰が誰かわかんなくなった。 人と人との繋がりと気象の話っていう素敵な物語のはずなんだけど、イマイチのめり込めず。
0投稿日: 2024.12.25
powered by ブクログ気象学が専門のひい爺さんの若かりし頃の思い出話から、 そのひ孫が1人でひい爺さんの家に泊まりに来るまでの様 々な物語が描かれていますが、特に1999年に人類滅亡 するかもと言う噂がたった頃の話が懐かしく感じました。
0投稿日: 2024.11.07
powered by ブクログ気象学にしか興味のない変わり者の博士とその一家を描いた連作短編です。 全部で6編有りますが、最初の短編には博士と奥さんの出会いが描かれ、その後、博士、息子、孫娘、ひ孫と対象を変えながら話が進んでいきます。 瀧羽さんは2冊目。最初に読んだ『株式会社ネバーラ北関東支社』の感想には「なかなか楽しい物語です。ただ上のように”既視感”を感じるのは、ストーリーも人物設定も、どこかありふれたものだからでしょう(おデブ課長のカッコ良さはちょっと意外性がありましたが)。テレビドラマにでもしたら面白そうな作品です。」と書いています。とは言え、次の一冊に手が伸びるほどの印象は無く、そのまま放置してきた作家さん。最近、どこかで褒められているのを見て手を出す気になったのですが。。。 やっぱり1冊目と同じような感想ですね。悪い話じゃない。気象学にしか興味のない変わり者の博士を初め、登場人物の設定は良い。でもなんか薄い、あるいは軽い。スルスル読んで、後に何も残らない。やっぱりテレビドラマにしたら良いかも。そんな印象です。
2投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
気象学専門の学者、藤巻博士を取り巻く家族たちを登場人物にした連作短編。 いつも空を見て、雨が降ると全身に浴びたがるような藤巻博士は、母親から人との交わりを苦手をしていることを心配されるようなタイプの人なのだが、この博士が掲載1つめと最後の短編でとても良い雰囲気を醸し出すのだ。 ネタバレになるが、その最初と最後の小道具が長靴。作品の間には55年もの年月が流れていて、その間の家族たちの物語が間に挟まれている(不倫や中間管理職の悲哀など浮世のテーマ作品もある)短編を読んだら、この博士と長靴がガツンの効いてくる。 伏線を張って…というタイプの連作短編ではないのだが、こういう回収の仕方もあるんだなぁと感心する。非常に心地よい小説。 俺もこれからはメモ帳を持って暮らすとしよう。
2投稿日: 2024.10.22
powered by ブクログ素敵な穏やかな博士の人生。 気象の不思議を知りたい博士の若い頃、その子ども、さらにその子供と、さらにその子供。 章ごとに時代が流れて日常が描かれる。 最後の、長靴のエピソードがグッときました。 天気の研究に生涯をささげた藤巻博士。博士一家・四世代の歴史と、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を丁寧に描いた傑作連作短編小説。
0投稿日: 2024.08.30
powered by ブクログ二十四節気を大事にする藤巻家4世代の物語。 気象博士から、そのひ孫まで。 時代時代の価値観の違いや家族っていろいろあるけどそれでも細く長く繋がっていて、家族で祝う季節を感じる行事があるのがいいなとしみじみとした気持ちになった。 最初と最後の博士の長靴の話が素敵。
0投稿日: 2024.07.08
powered by ブクログなんか最後まで行くと、とても筆が達者な作家に、瀧羽さんが成長なさっていることに、しみじみした思いを感じる。左京区の頃と比べたら、小説としての滋味が。
0投稿日: 2024.06.04
powered by ブクログ年ごとに四世代が受け継がれていく、ゆったりとした時間が流れていく、天気を変えることはできない、あるがままを受け入れるしかないけど、台風などの災害に備えることはできる。風変わりな祖父は、自分の一生涯を天気の研究に捧げるのだろう、空を見上げて時には雨を浴びてメモを片手に‥ 長靴とメモ帳のプレゼントが良かった
0投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ母子2人の藤巻家に奉公することになったスミさん 息子は大学の研究室に勤務し、気象学を研究している いつも空を見上げて歩いている、空以外に興味がない、ちょっと変わった人だ 藤巻家は、二十四節気ごとに決まった食べ物を食べたり贈り物をしたりする風習がある 立春の日、スミさんは息子の昭彦さんから空色の長靴をもらう 章が移ると十数年の時が経っており、家族の形も変わっている そんな中でも二十四節気の行事は受け継がれていき、時が流れても世代が移ろっても変わらない核がある 最終章では、昭彦さんからひ孫まで4世代が出てきて、スミさんに贈るはずだった青色の長靴が昭彦さんからひ孫の玲に渡される こうやって藤巻家の歴史は紡がれていくのだろうなと切なくも温かくなるシーンだった 家族も良いことばかりだけじゃなくて、色々あるし上手くいかないこともある でも脈々と受け継がれていくものがあり、それはありがたいことで、感謝しなきゃいけないんだなと思った
0投稿日: 2024.05.07中学入試頻出の作品
気象博士の子ども、孫、ひ孫までの数世代に渡る人間模様を描いた連作短編集。2023年の中高入試では多くの学校で出題された。各短編の最後で、えー、この後どうなるんだよーとやきもきさせられるのだが、次の短編では十数年が経過していて、あーそう落ち着いたのねとスッキリする。そしてまたラストにやきもきするという連続。「ニ〇ニニ年 立春」は秀逸。冒頭の短編「一九五八年 立春」と リンクして表題の「博士の長靴」がキーアイテムとなる。それにしても玲くんのお父さんが誰なのか気になる。え?まさか…?だよね?
0投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ4世代の藤巻家の物語 かなり風変わりな気象学者が立春にスミさんにに贈った空色の長靴、そして60年以上過ぎた立春に祖孫に青い長靴と手帳を… 1958年から2022年までの長い時間がゆっくり流れるようなほんわかする小説です。 日本に生まれたからこそ 二十四節気をもう少し大切に気にかけていけるような余裕のある生活をしたい
0投稿日: 2024.05.06
powered by ブクログ代々学者肌が続くわけじゃないにしろこの親からこう育つかと驚く。博士の話はじんわり暖かく思えるけど家族は大変なんだろう。
0投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ瀧羽麻子さんの作品を読むのは「うさぎパン」に続き2冊目です。 今回は気象学者の藤巻昭彦さんから始まり藤巻家の4世代にわたるストーリーが書かれています。 私は、もっと気象学がっつりのお話かと思っていましたが、藤巻家の日常をいろいろな世代で書かれていて、 最初と最後のお話がとてもほんわかして 可愛らしかったです。 世代がどんどん変わってもどこか風変わりな 藤巻昭彦さんの温かさが軸になっているので 心があったかくなりました。 最後のお話の ひいおじいちゃんになった昭彦さんが、メモをたくさんとりながら、空を見上げているのを不思議そうにひ孫の玲くんが見ていると、 「あなたの頭で考えたことは財産です。残しておかないともったいない」とメモ帳をプレゼントしてくれた場面がとても温かく心に残りました。
16投稿日: 2024.03.29
powered by ブクログ気象学者のいる藤巻家と、その周りの人々の物語。 第一章は、昭彦さんとスミさんの出会い。空を見上げてばかりいる昭彦さんと、足元を見ながら歩いてしまう癖のあるスミさん。実は対照的というのが面白い。 その後、時代や語り手を変えながら、藤巻家を見守っていく。 第一章に出てくる贈り物の長靴、最終章で今度は曾孫に贈られ、亡き曾祖母と曾孫のつながりを感じられて、なんだか温かい。 あまり話す機会のない曾祖父って、何となく謎なところがあるけれど、曾孫の趣味のことを覚えていたという優しい心とか、妻や孫娘を想う気持ちも垣間見えて、最終章はとても温かい気持ちになった。 ノストラダムスの大予言を本気で信じている女の子、その後なんとか生きていけただろうか。あの頃、そんな人って一定数はいたのかな。
3投稿日: 2024.03.28
powered by ブクログ4世代がつながって、紡がれていく連作集。 この作品を読んでいると12節気を大切にしたくなる。読んでいくと、前の話での登場人物がどう成長したのかを感じられて面白かった。
1投稿日: 2024.03.05
powered by ブクログ気象学者が主人公。時間の流れは穏やかで長い。時は少しずつ紡がれるが、異なるもの、同じものが、その合間を漂う。
1投稿日: 2024.02.09
powered by ブクログ小さい頃、少し大きな長靴を履いて、わざわざ水たまりを選んで歩いていた。 そんな思い出が浮かんできた本。 空を見上げるのが好きだけど、もちろん気象学的ではなく、雲ひとつない青空に飛行機を見つけるのが好き。 今度からは、天気と関連させて見てみよう!
4投稿日: 2024.02.07
powered by ブクログ博士の空色の長靴で始まり、青色の長靴で終わる。博士4代の家族の年代記。 どれも静かで優しい話だけれど、「1999年 夏至」だけは異質。心をざらりと撫でらるようなほんのり違和感が拭いきれない、もやもやが残る話。
5投稿日: 2023.10.19
powered by ブクログ戦後から現代まで視点を変えつつ家族の話が描かれている。 綿々と続いていく感じがなんだかいい。 博士の長靴は愛なんだなぁ。。。
1投稿日: 2023.10.17
powered by ブクログいくつもの年代世代の、それぞれの二十四節気の物語。 スミさんと曾孫でつながる長靴の物語。 てか和也。なにしてんの。
0投稿日: 2023.08.18
powered by ブクログ立春、処暑、秋分、夏至、穀雨、立春 という章に分けられた短編。 短編と言ってもすべて繋がっている。 大きな事件はないけれど、一人ひとりの生き方に興味がそそられたし、二十四節気について知りたいと思えた。
0投稿日: 2023.08.06
powered by ブクログ気象学の博士がいる藤巻家を中心としたお話 1958年 立春 1975年 処暑 1988年 秋分 1999年 夏至 2010年 穀雨 2022年 立春 の6編のお話 ほのぼのとしたお話が続く中、不穏なお話が入って少し残念な気も・・・それも必要だったと 題名の「博士の長靴」に納得です。 二十四節気を気にしてみようかなと思いました。
1投稿日: 2023.07.20
powered by ブクログ藤巻家と一家と関わる人々の話。四世代に渡って描かれていく家族の話にどんどん引き込まれる。章が進むにつれ空白の期間も気になる。1章の奥様から始まり、出てくる人全員好きになる。藤巻先生の実は人を思いやってるのも素敵。長靴のエピソードが好き。先生とスミさんの話深掘りしてほしい。
0投稿日: 2023.07.09
powered by ブクログ博士の一家を通して、日本の歩みを感じました。 二十四節気のお祝いなど、受け継がれていく家族のつながりが好きです。
10投稿日: 2023.07.01
powered by ブクログ立春のお祝いにお赤飯とすき焼きを食べる藤巻家四代に関わる人達の連作短編集。気象学の研究をする博士からお手伝いのスミさんに贈られた長靴の行方が最後に知れて、時の流れを感じさせてくれた。家族で代々繋がれていく歴史のなかの出来事が細やかに描かれていた。
1投稿日: 2023.06.22
powered by ブクログあなたは、天気を変えたいと思ったことはないでしょうか? あーした天気にな〜れ!、旅行、試合、そして何かの晴れ舞台などなど、私たちはそんな日に雨が降らないように、てるてる坊主にお祈りするといった行為を多かれ少なかれしてきたと思います。その一方で、農業をされている方にとっては、雨が降らないことに頭を悩ませもします。古の世より続く雨乞いの儀式は、そんな人の思いが太古の昔から続いてきたものであることを思わせもします。 この先の天気の移り変わりを知ることが大きな関心事であることはいつの世でも同じことです。そして、『気象学』という学問が生まれ、人工衛星まで投入して、最先端の科学技術の力によって、その予測の精度は上がってきてはいます。 しかし、『どんなに科学が進歩しても、人間の力で天気を操ることはできない』という現実が立ちはだかります。自然の力に贖うことなど私たちちっぽけな人類には夢また夢のことなのだと思います。 さて、ここに『天気を変えることはできない』という現実を認識した上で『気象学』の研究を地道に行ってきた研究者と何らかの関わりを持つ人たちを描いた作品があります。『天気を変えることはできない』という考え方を人の世に置き換えるこの作品。ままならない世の中に生きていく人の姿を描いたこの作品。そしてそれは、何もかも自分の思い通りになるわけではない人生をそれでも工夫の積み重ねで地道に生きていく人たちを見る物語です。 『わたしには下を向いて歩く癖がある』、自分の『この癖』がついたのは、『中学校を卒業し、はじめてお勤めした先でのことだ』と思うのは主人公のスミ。『裕福なおうち』で『主に掃除を担当することにな』ったスミは『がんばった分だけ着実に家の中がきれいになる』ことが気に入り、『丹誠こめて働』きました。そして、『勤続五年目にして』『旦那様の転勤』もあって『新しい働き口を世話して』もらいます。そして、『藤巻のお宅に通いはじめて、ちょうど一週間になる』という今のスミは『五十代の母親と社会人の息子のふたり暮らし』という家で『掃除と洗濯を任されて』います。『勤め先は、大学の研究室』という息子の昭彦とは時間が合わず『いまだに一度も顔を合わせていない』というスミ。そんなスミは、『空気を入れ替えるだけでかまわない』と言われている昭彦の部屋を開けます。『日々自室で寝起きしている』という昭彦の部屋は『畳のそこかしこに本やノートが積みあがり、数式や図のようなものが書きつけられたメモが散乱してい』ました。『他人が下手にいじ』るわけにはいかないと思うスミは、『坊ちゃまは大学でなんの研究をなさっているのだろう』と考えます。場面は変わり、『どんよりとした曇天だった』という翌日、『卵を買い忘れちゃって』と説明する奥様に『わたしが行ってきますよ』と返すスミ。『雨の中、ごめんなさいね。今日はそれでお終いにしましょう。本降りになる前に、おうちに帰って頂戴ね』と言われたスミは、『奥様は優しい』と改めて思います。そして、『国鉄の駅前にある商店街まで』出かけて帰ってきたスミは『藤巻家の門前で』『すぐ前を歩いていたら男が』『いきなり足をとめた』ことで立ち止まります。『黒い雨傘をさし、くすんだ緑色のゴム長靴をはいて、ずぼんの裾をたくしこんでいる』というその男は『頭上にさしていた傘をさっと下ろ』すと『雨に打たれ』ます。『顔を上に向けて、ざんざんと降り注ぐ雨水を全身に浴び』る男は『あっというまにずぶ濡れにな』りました。そして、『悠々とした足どりで門をくぐ』ると、『ただいま』と『ほがらかな声』を出すその男。男を追い、『おそるおそる玄関に足を踏み入れた』スミは、『どうしてあなたは、いつもそうなんですか。傘はちゃんとさすように、何度も言っているでしょう』と叱る奥様の姿がありました。それに、『一瞬、西の空が光ったように見えたんです。もしかしたら雷かもしれない。かなり珍しい現象ですよ、こんな寒い季節に落雷だなんて!』と返す男は昭彦でした。茶の間へと上がり、『はじめまして。どうぞよろしくお願いいたします』と挨拶するスミに、『はじめまして』と返す昭彦は、『ひょっとして、窓を拭いて下さいましたか?』と訊き返します。それに、スミが『ああ、はい』と答えると、『やっぱり。やけに空がくっきり見えるなあと思ったんです。どうもありがとうございました』と『顔をほころばせ』る昭彦。それに、『雨が上がったら、また磨いておきます』と言うスミに、『明日は晴れるのかしらね』と奥様が言うと、『今日の夜中か、遅くとも明け方までにはやむでしょう』と『なぜか自信たっぷりに』答える昭彦。『気象学』を研究する昭彦の家で働くスミ視点の物語が描かれていきます…という最初の短編〈一九五八年 立春〉。書名ともなる『博士』=昭彦の若き日の人となりをスミ視点で鮮やかに見せていく好編でした。 “天気の研究に生涯をささげた藤巻博士。博士一家・四世代の歴史と、彼らとの出会いで変化していく人々の生きざまや家族の在り方を丁寧に描いた傑作連作短編小説”と内容紹介にうたわれるこの作品。『博士の…』で始まる書名にフラフラと導かれるように手にした私。はい、そうです。『博士』で始まる小説と言えば小川洋子さんの傑作「博士の愛した数式」が反射的に思い浮かびます。この反応は恐らく私だけではないと思います。であれば、そんなあなたにここで是非お伝えしたいことがあります。『博士の…』で始まるこの作品には確かに『博士』に相当する人物が登場します。しかし、この作品は、小川さんの作品のようにそんな『博士』にずっと光が当てられてはいきません。どちらかと言えば『博士』はすぐに裏方に回ってしまいます。とは言え、それでこの作品の魅力は減じられません。この作品は内容紹介にある通り、『博士』と何かしらの関わり合いをもった人たちが、その出会いによって何かしらの影響を受けていく、そんな物語が描かれていくのです。この点をまずはお伝えしたいと思います。 では、そんな作品の魅力を二つの視点から見ていきたいと思います。まず一つ目は、六つの時代を描いていく構成です。この作品は六つの短編が連作短編を構成しながら描かれていきますが、そこに、その時代、その時代を表すものが登場します。 ・〈一九五八年 立春〉: 『部屋の隅へと目が吸い寄せられる。四本脚で支えられた四角い箱に、布のカバーがかけてある』。 → さて、問題です。これは何でしょうか? → はい、『テレビ』です。『休憩中は自由に見ていいと言われて心が動いた』というスミですが、『立ちっぱなしで眺める街頭テレビでさえ何時間でも没頭してしまうのに、ゆったり座って見られるなんて』と『つけたが最後、時間を忘れて見入ってしまいそうだ』と自重します。 ・〈一九七五年 処暑〉: 『タワーリング・インフェルノ、先生も観た?』 → この年に日本公開もされた大ヒット、アメリカ映画が会話に登場します。 → 『消防局長のスティーブ・マックイーンがもう、かっこよくてさあ…』と続く会話の場面。作品の内容自体が本編に関わるわけではありませんが、現代よりも映画の力が大きかったとされるこの時代には、自然な会話の場面と言えると思います。 ・〈一九八八年 秋分〉: 『わたしは食卓に残された朝刊の一面に目を落とした』。 → さて、そんな誌面には何が掲載されていたでしょうか?…って流石にこれだけでは分かりませんね。 → 『ソウルオリンピックの開会式でおそろいの制服に身を包み晴れやかに行進する選手団の写真が、大きくあしらわれている』。そうです。同年に開催された『ソウルオリンピック』の記事が掲載されていた、ということですね。いかがでしょうか? 他にも、『昼前に駅前 ー 国鉄、もといJRの駅だ。横文字の呼称にはいまだになじめない ー の商店街で買いものを…』といった感じで時代を表現していく瀧羽麻子さん。複数の時代を連作短編で描く作品にはこの時代の演出はつきものですが、これから読まれる方には是非、そんな時代表現も追いながらの読書をお楽しみください! 次に二つ目はこの作品通しての主人公である『博士』が『気象学』の研究者であるという点です。 『僕は主に、雲と降水のしくみを研究しています。雲の中でなにが起こっているのか、解明するんです』。 そんな風に話す『博士』は、『常に空の様子を気にしてい』ます。そして、そんな『博士』の授業は、『受講にあたっては数学と物理学の基礎知識を持っていることが望ましい』と『履修選択用の学修要項』に記されているものの、それは『明らかに語弊があ』り、『「基礎」は「高度な」、「望ましい」は「必須」と書き換えるべき』という極めて高度な内容です。しかし、だからこそそんな講義に惹きつけられる学生も出てきます。例えば『宇宙物理学を専攻するつもりで』入学したはずの学生を『僕はすっかり気象というものに魅了されていた』と学びの方向を変化させるなど大きな存在でもある『博士』の日常にはこんな場面も見られます。 『ぱらぱらと雑誌のページをめくっていた』『博士』は、ふと窓の外に目を向け』、『ああ、一雨くるな』と呟きます。 → 『言われてみれば、暗灰色の乱層雲がどんよりと空を覆っている。ついさっきまでからりと晴れていたのに、夏の天気は本当に変わりやすい』と思う主人公は、『藤巻先生は、常に空の様子を気にしている』とまとめます。ここで、”ポツポツと雨が降り出した…”と安直に書かないところが好印象です。『博士』は研究者であって超能力者ではありません。このあたりの描き方にも魅力を感じました。 また、上記で短編タイトルを記載しましたが、そこには、『立春』、『処暑』、そして『秋分』という『二十四節気』が登場します。この作品では、この『二十四節気』も巧みに物語に織り込んでいきます。例えば、『今日って穀雨ですよね』という〈二〇一〇年 穀雨〉の一場面。 『穀雨の日に雨が降ると、その年は充実した一年になるって言われてるんです。だから前日の夜に、てるてる坊主を作るんですよ。さかさにつるせば雨が降るっていうでしょう?』 そんな風に語られていく物語は、『二十四節気』についてよく知らない私のような人間にとっては、なるほど、なミニ知識を提供してもらえる場面でもあります。短編タイトルに時代とともに『二十四節気』が記載されていくこの作品。なかなかに面白い視点を提供していると思いました。 そんなこの作品は、上記した通り六つの短編が連作短編を構成していきます。連作短編は人を共通にするものと、人以外を共通とするものがありますが、この作品は人を繋げていく作品です。具体的には藤巻家の『息子』として『勤め先は、大学の研究室だ』と最初の短編〈一九五八年 春分〉に登場する『博士』が軸を作ります。この短編は、上記もした通り、そんな藤巻家で『掃除と洗濯を任されている』スミが主人公となって展開し、そこに『博士』が大きな存在感をもって登場します。この短編中でスミは『女中』という表現がされてもいますが、まさに一九五八年という時代を感じさせるものです。そんなスミの前に現れた『博士』は、『職業柄、上のほうが気になるんですよ』と、その個性がこの短編で炸裂していきます。この時代の女性は、今の時代では考えられないほどに関わり合いを持つ男性の個性に人生が影響を受けていた時代でもあります。そんな中に幸せな日々が描かれていくスミの物語、この作品の冒頭を飾るに相応しい優しさに溢れた短編です。そして、それを継ぐように、物語は時代を下っていきます。そんな物語の中に『博士』が冒頭の短編ほどに存在感を示すことはありません。短編を経れば経るほどに、『博士』のその後、スミのその後が極めて納得感のある物語の中に描かれていきます。そして、そんな短編に背景として登場する『博士』やスミは間違いなく、冒頭の短編の印象そのままに年を取っていきます。また各短編には、そんな二人にまさかの関わり合いで繋がる人物たちに順に光が当てられていきます。誰に光が当たるのか、なかなかに凝った人物への視点移動が用意されているこの作品。ここでは、これ以上書くことは伏せ、是非あなた自身の読書の中でその驚きを体験していただきたいと思います。物語は、上記した三つの年代の先、〈一九九九年 夏至〉、〈二〇一〇年 穀雨〉、〈二〇二二年 立春〉と、冒頭の短編から実に五十五年も後の世が結末の短編で描かれていくという幅の広さを見せます。もちろん、そんな変遷の中で『博士』は歳を重ねていくことになります。このあたりの描き方含め、人を共通とする連作短編の見事な描き方は瀧羽さんならではです。それぞれの登場人物がそれぞれの苦悩の中に人と人との出会いをきっかけに何かしら影響を受けながら生きていく様が描かれるこの作品。終始優しく紡がれていく物語の中に「博士の長靴」と書名に刻んだ瀧羽さんの上手さを感じました。 『天気を変えることはできない…人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかない』。 そんな言葉の先に『気象のしくみを知りたい』と『気象学』の世界に生きる人たちなど、『博士』に繋がる六人の主人公たちの生き様が描かれたこの作品。そこには、五十五年にも渡る物語が描かれていました。それぞれの時代を写し出す表現の登場が楽しみなこの作品。どんな繋がりの人物に視点が移るかとても楽しみなこの作品。 “明日晴れにしたいと思って晴れさせることはできない。そういうままならないのは天気に限らずある”とおっしゃる瀧羽さん。そんな瀧羽さんが優しい眼差しの中に描く、ほのぼのとした作品でした。
150投稿日: 2023.06.10
powered by ブクログ藤巻先生の粋な姿、素敵だなって思いました。多くは語らないけれど、ちゃんと相手の事を想っている。スミさんのことも、お孫さんのことも。長靴をプレゼントするなんて、素敵じゃないですか。お隣さんの旦那さんも、何を描こうか悩んでいる奥さんのためにナスを買ってきて、とても素敵です。不器用な愛があります。防災課に配属になった方も、なるみさんに出会い、天候が2人を繋ぎました。ただ気象について知りたいと願うまっすぐな藤巻先生にほっと心が温かくなるような素敵なお話でした。
3投稿日: 2023.04.17
powered by ブクログこんな雨の日は。天気の研究に生涯をささげた博士とその一家四世代の物語。主人公がリレーのように繋がっていく。生き方は人それぞれ。自分で見えているものも家族や他人には違った見え方をすることもある。天気を変えることはできないようにあるがままの自分や環境を認めた上でどう生きるかなんだと思う。
1投稿日: 2023.04.09
powered by ブクログほのぼのとした、いい作品でした。年代が移ろう中で淡々と語られる日常に、何だかとても惹かれて一気に読んでしまいました。
0投稿日: 2023.03.15
powered by ブクログ天気を変えられないけれど、あるがまま受け入れ、備えることはできる。。 長靴は、博士の思いやりと誠意のこもった贈り物なのだと思う。 博士一家に関わりを持つ、迷い戸惑い立ち止まっている人々の短編集。 浮世離れしてマイペースで、無邪気に無心に空を眺める、穏やかで静かな博士の物語がもっと読みたかった。
1投稿日: 2023.02.23
powered by ブクログ気象の事が一番の藤巻博士の周囲の人が各々語り手となり歳月を繋いでいく。 1 お手伝いのスミさん 2 息子の家庭教師光野さん 3 隣の家の豊田さん 4 ‥ 5 防災課の榎本さん 6 孫の玲くん 4で嫌な気分になり、段々と読むのがイヤになってしまった。
0投稿日: 2023.02.20
powered by ブクログ「一九五八年・立春」「一九七五年・処暑」「一九八八年・秋分」 「一九九九年・夏至」「二〇一〇年・穀雨」「二〇二二年・立春」 6話収録の連作短編集。 天気の研究に生涯を捧げた藤巻博士とその家族、四世代の歴史が描かれる。 難しい用語はなく柔らかな言葉で紡がれる文章が心地良い。 藤巻博士のマイペースな仕草が浮かんで来て思わず顔がほころんでしまう。 画家になった息子のとんでもエピソードには思わず眉を顰めてしまったが、どこの家庭にも多かれ少なかれ様々な問題が起こっているんだろうなと親近感を覚えた。 緩やかな空気感に包まれる一冊。
0投稿日: 2023.02.18
powered by ブクログ藤巻一家を巡る人間関係の物語が、とても興味深かった。立春ではじまり立春で締めくくられる構成も気に入った。
0投稿日: 2023.02.16
powered by ブクログほっこりする話だった。 最初のスミさんの話は、ちいさいおうちの黒木華さんのイメージ。藤巻教授は、私の若い頃の、理想の人そのものだった。 でも息子の話を読むと興味をもって貰えず寂しそうだった。 何気に2010年の防災課の課長も好き。容認している市長と榎本さんも偉い。皆さん2011年の震災は大丈夫だったのだろうか。。 成美さんの夫は同じ研究者で震災で亡くなってしまったのだろうか。 色々有る中でも変わらない立春の儀式と藤巻教授に心暖まる。 成美さんと同世代だから、藤巻教授は私の祖父と同い年位。 私も昔近くのお店で文房具を買って貰った事を思い出した。 亡くなってしまったけど、祖父が懐かしい。私にも受け継いでいる何か、あっただろうか。
0投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログ瀧羽さんのお話はいつも、全編通して、あったかさが伝わってくるところが嬉しいです 天気に夢中な博士が、すーっと静かに素敵なプレゼントを差し出す感じが好き それは物だったり、言葉だったり、姿勢だったり… 決して押し付けがましくない 期待で重くなってない それはプレゼントだったのか? 博士は、意図していなかったのか 自然に出てきただけなのか ??? どちらともとれそう そんな博士の自然体なところに憧れます
2投稿日: 2023.01.07
powered by ブクログ瀧羽さん初読み。 1958年から2022年までを6篇の短篇で構成した連作短篇集。藤巻家の人々やその関係者の一人称で綴られている“藤巻家クロニクル”である。 最初の作品に登場するのは気象学を研究する昭彦。はっきり言ってかなりの変人だ。その後も4世代にわたり藤巻家の人々が登場する。章ごとのタイトルは西暦年+二十四節気の1つ。この二十四節気がポイントで、藤巻家独特のイベントがある。 特になにも起きないまま読み終えてしまったが、読後感はなかなかよかった。
2投稿日: 2023.01.02
powered by ブクログ確かに親子四世代の話なのだけれど何となく薄く感じてしまったのはなぜなんだろう。 家族の繋がりだとか愛だとかそういうものを期待して読んだからだろうか。 紡がれてきた一族の記録を淡々と眺めているような不思議な感じ。 でも最後の章だけは温かい気持ちになった。
1投稿日: 2022.12.21
powered by ブクログ博士とその周りの人たちが主役になりながらの短編集。 気象学を研究している博士は、いつも空を見上げている。気象のことに全部の力を使い果たして、他には回らない博士がとても良い感じで、もっともっと気象の話をいっぱいしてほしくなる。 短編集として、ちょっと苦みを含みながらも穏やかな空気に包まれた素敵な作品だと思うが、やはり長編好きなので、博士のお話を深く読みたくなってしまいました。 最後のお話で、メモ帳を買ってくれた時の言葉がとても好き。「自分の頭で考えたことは、あなたの財産です。残しておかないともったいない。」
9投稿日: 2022.11.30
powered by ブクログあるがままを受け入れるってできそうでできないことなんだ。 空を見上げる事が最近減ったけど、空を見上げることは好き。季節の移り変わりを空でよく感じることができる。今も、ちゃんと秋空から冬空に変わろうとしてるのがわかる 季節の変わり目のお祝いかぁ 日にちが変わるって知らなかったけど、だいたい私の誕生日は立春だからやっぱりちゃんとお祝いしようと改めて思ってしまいました笑
0投稿日: 2022.11.16
powered by ブクログ4世代が登場するが、大きな出来事は特に起きない。 というか、大きな出来事は本編では紹介程度でしっかり描かれることもない。 でも、出てくる登場人物はくっきりとその人物が思い描ける。ちゃんと人柄を感じられる。凄いところもしょうもないところも。 飛び飛びのエピソードは、雨上がりの水たまりをいくつも覗きこむよう。
0投稿日: 2022.10.20
powered by ブクログ四世代に渡る家族の歴史が、静かなトーンで描かれた作品。 60年あまりもの間には、当然良い思い出ばかりが積み重なっているわけでもなく、家族の間だからこそ生じる劣等感や怒りを抱える時もある。 それをどうやって乗り越えたのかは具体的には描かれていなかったし、作者は葛藤しながら家族であることを選んだ末の幸せを描きたかったのかもしれないけれども、幸せなラストシーンに素直に「良かった」と感じる一方で、家族であり続けることってそんなに重要なのかな?とひねくれたことを少し思ってしまった。
0投稿日: 2022.10.20
powered by ブクログ読み終えたとき、何やらよくわからない物語だなぁと思ったのだけれど、その後に説明書きを読んで納得。 藤巻博士一家の四代に渡っての物語。人の歴史というのもお天気のようにままならないもので、どんどん変わっていくもの。 心温まる晴れた日の物語もあれば、ハラハラとしてしまう雷雨の物語もある。曇りが晴れてきたりすることもあって、なるほど、お天気に準えたかったのね!と納得した。 私は秋分が好きかな。 茄子を買ってきた旦那さんに心動かされちゃう奥さんがかわいらしい。そうそう、女って結構単純なんだよね(笑)と思ってなんだかほのぼのとさせてもらった。
0投稿日: 2022.10.11
powered by ブクログ天気の研究をしている昭彦。 彼が妻と出会った時から、ひ孫の代までの連作短編集。 読み始める前は、昭彦を中心に話が進んでいくものと思っていたのだけれど、お話ごとに、中心人物は代替わりをしていく。 初めの方の何編かは古き良き時代のほっこりしたお話が続き心地よかったのだけど、後半はなんだか急にすごーく嫌な気分になるお話になってきます。 なんなの!?残念すぎるんですけど! と、思っていたら、天気は変えることはできない、と。 天気も人間もあるがままを受け入れるしかないんだ、と。 そういえば、我が家のトイレの松岡修造カレンダーも、天気や人の性格は変えることができないから考えても無駄、無駄なことはシャットアウトしろ!と言っていたっけ‥‥と思い出しました。 自分の思い通りにならないことに遭遇するとついついイラッとしてしまうけど、受け入れること、大切ですね。難しいけど笑
59投稿日: 2022.10.08
powered by ブクログいろいろな人の視点から物語が語られているのが楽しく、穏やかな気持ちで読める。気にしない人がほとんどと思われる二十四節気を素敵な形で描かれていてとても素晴らしい。
1投稿日: 2022.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
藤巻家が受け継がれていきながら、視点は様々で、その時で話が変わったり、いい話だったり、少しどうなんやろうかこれは?という話が並び、短編集のようだった。話は全てとても良い。学べることも多く、ほっこりとしながらも、問題を抱えながら生きていく現実さもあり、感情が揺さぶられる。特に自分は、上をよく向く学者と下をよく見る女中さんがくっついたのは個人的にすごくグッときた。正反対な目線で日々を過ごしているのに、その人に対しては同じ目線を持っていたのかなと想像すると、とても胸がソワソワするし、ロマンチックだなとも思う。
1投稿日: 2022.09.25
powered by ブクログ気象学者の藤巻博士を軸とする4世代の連作短編集。 表紙の色合い、タッチがイメージ通りで素敵。 それぞれの短編が深くリンクしているわけではないのだけど、二十四節気や天気のことなどでゆるーく繋がっているところがよかった。 故に、個人的には和也の章はいらなかったかも。
1投稿日: 2022.08.25
powered by ブクログ24節気をお祝いする家族、天気や暦、というものに、ちょっとスローに思いをはせながら読みすすめることができました。子や孫へ、、自然と受け継がれていく、そんなものが何かあるといいな、と感じました。
1投稿日: 2022.08.15
powered by ブクログ長靴のプレゼントは 愛情の表れか? 家族だからといって、 全てが引き継がれるわけではなく、 違うところ、 理解できないところもたくさんある。 そこが反発部分にもなるけど、 愛情がないわけではない。
1投稿日: 2022.07.30
powered by ブクログ気象学者家族の4世代にわたる連作短編集。多くは語られず、ああこの人があの人ね、なるほどあのあとこうなったのね、と想像したり読んでいく。 すごく好きな雰囲気だけど、えー、となる展開がいくつかあったのはまあ仕方ないか。
2投稿日: 2022.07.29
powered by ブクログ天気は変えられないのであれば対策するというのは天気に限らず全ての問題において言える事。家族のお祝いが時代を超えて受け継がれていくのも素敵。そして何よりの感動はひ孫に贈られた長靴。時代を越えた愛情が伝わってきた。
7投稿日: 2022.07.26
powered by ブクログ連作短編集6編 気象学の大学教授藤巻家の四世帯にわたる変遷をいろんな人物のひとコマを描いて浮き上がらせている。博士のたんたんとしたマイペースなところと分かりにくい優しさがいいです。 そして表紙の福田利之氏、いつもながら素敵です。
1投稿日: 2022.07.06
powered by ブクログ藤巻家の4代に渡るお話。 気象について知りたいという、純粋な思いの教授とその奥さん、息子、お隣さん、孫娘、孫のお話。 ちょっと意外な展開もあって、視点が変わったりで、面白かったです。
1投稿日: 2022.07.03
powered by ブクログ気象学を専門とする博士の4世代の物語。 連作短編で話は紡がれていく家族の物語。 博士の視点で物語は語られない。 文章からこの人が博士とつながりがある人?と思いながら読んだ。 家族から見れば変人と思われがちな博士だけれど、博士の気配や優しさのようなものが小説の中に流れている気がした。
1投稿日: 2022.06.28
powered by ブクログ気象学オタクである教授の結婚、勉強の苦手な息子など、1958年から2022年まで四代に渡る家族を描写する連作短編集。 すごく面白い章とまあまあの章が混在。一貫したテーマは特にないようで、「長期間家族小説」が特徴。
0投稿日: 2022.06.22
powered by ブクログ題名を見たとき、笠智衆さんの「好人好日」を思いだしました。 でもあのモデルは岡潔さん。 立春にすき焼き。 処暑に鰻と花火。 いいかも~。 テレビでも水害災害時の避難や経験者の話を番組でよく見ます。 梅雨からゲリラ豪雨、線上降水帯、台風と続く日本のお天気。 地震や火山噴火と違って、早くから予報が出るのだから、悲しむ人が1人でも出ないことを思います。
2投稿日: 2022.06.16
powered by ブクログ気象研究ひと筋の藤巻博士の4代に渡る家族のお話。 どこかにモデルとなる人物がいる様な気分になった。 二十四節気、日本らしくて良いですね。 関東が梅雨入りしたこの季節に、長靴のキーワード、博士の好きな曇り空の下の読書、良い物語に出会えました。
1投稿日: 2022.06.08
powered by ブクログ「うさぎパン」「ぱりぱり」「左京区シリーズ」など、優しい世界観が心地いい瀧羽さんの新刊本 気象学者 藤巻博士の四世代の家族の歩みを、ノストラダムスの予言の頃からコロナ禍の現代にわたって楽しめました。 「ノストラダムス」「2000年問題」懐かしいなぁ。 時々「これは誰の視点?」となったり、同じ登場人物でも視点が変わることによって印象が変わったりした。 家族が好きなものに自然と興味がわいて、子どもだったり孫が好きになる。 世代を越えて気持ちが通じるものがあるって素敵。 物語自体に大きな起伏はないけど、次世代へと繋がっていく家族の歩みを感じられて温かな気持ちになりました。 ただ個人的には、他の作品と比べて少し物足りない気がしたかなぁという印象です。
1投稿日: 2022.06.02
powered by ブクログ気象学のが藤巻博士、四世代にわたる連作短編集。 すき焼きが食べたくなった。 日本の美徳を学ぶ。 本を読む順番って大切。 すっごい面白い本を読んだあとのほのぼの系は、ダメっていうのがわかった。 違うタイミングで読んだなら、きっとほのぼのして良い話だったのだと思う。 長靴、子供の頃は履いていたが大人になるとよっぽどでないと履かない? あ、ラブシャでよく見るかも、長靴。 と思いながら読んだ。
0投稿日: 2022.05.30
powered by ブクログ偏屈な気象学者から始まる一家4代を描いた短編集。 自由人の息子、祖父を継ぎ気象学者になった孫娘、ひ孫の出生の謎(明かされない)、彼らを繋ぐ弟子(息子の家庭教師であり孫娘の教授でもある)など、一家の歴史の奥行きと輪廻を感じられ、味わい深い。
1投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログ本を読みながらそっと外を眺めてから空へと目向ける。 爽やかな風と眩い光が差し込んでいる今日は、空の雲の流れもゆるやかだ。 たしかに空は美しい。 雲の色もかたちも刻々と変わっていくのを眺めていると飽きることはないのだろう。 これは、気象の研究に生涯を捧げる藤巻博士の一家、四世代の歴史である。 家族の在り方を連作短編で綴っている。 二十四節気の決まりごとを代々、受け継いでいるのがとても素敵である。 ちょいちょい不倫やシングルマザーなどをぶっ込んでくるのだが、苦悩やドロドロ感などなく、気象と同様に諍うことなく、なるようになる…的な感じで流れていく。 この揺蕩うような感じがとても心地良い。 優しく流れていく雲のような物語だった。
30投稿日: 2022.05.25
powered by ブクログ短編ではあるが 世代が変わり全て繋がっている物語。主人公が変わっていて、次はどんな人なんだろうかと考えながら読むのも面白い。また、世代が変わってゆくが、変わらずそこにいる博士もまた良い。 読後もほっこりする物語。
6投稿日: 2022.05.16
powered by ブクログ「わからないことだらけだよこの世界は、だからこそおもしろい(P72)」 天気の研究に生涯をささげた藤巻博士一家の4世代の歴史を描いた一冊(王様のブランチでも紹介されていた)。1958年~2022年までの60年の物語(全6話収録)で、全話藤巻博士視点かと思っていたがそうではなく、家族&周辺の人物視点で複雑な家族の生きざまが描かれる、中盤に賛否両論あるような話もあり…1話と最終話が微妙に繋がっているのがいい感じだった。瀧羽さんの作品が好きは人にオススメ。
0投稿日: 2022.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
気象学を研究している藤巻博士。いつも空を見上げて気象の事ばかり考えている。そんな藤巻博士の家に家政婦として派遣されたスミ。変わり者の藤巻に驚くが、ある日空色の長靴をプレゼントされ… 藤巻博士とスミが結婚し、子供、孫と視点が移動していく連作短編集。 藤巻博士は全編通してブレないですね。 いつも空を見上げて天気を読む。ちょっと場を読む事は出来ないけれど、人柄的には穏やかな人でした。 息子も小さい頃はやんちゃだったけど、画家の道は判る気がしました。ただ、まさか不倫するとは夢にも思いませんでした。 そして、孫の成美もシングルマザーになっててこれまた驚きました。祖父の研究を継いでるのは嬉しかったです。 そして、あの空色の長靴が曾孫へと繋がっているのも感慨深かったです。
0投稿日: 2022.05.10
powered by ブクログ気象の研究者である藤巻博士とつながる6人が、それぞれ主人公となる短編集。藤巻博士の奥さんになるスミさんから始まってひ孫にあたる玲くんまで4世代にわたるので、時代背景も異なるし、隣家の奥さん、息子の不倫相手、防災課の職員とか、関係性を理解するのに一瞬とまどうけれど、テンポ良く読み進められる。タイトルは二十四節気で、お天気の描写が印象的。 「人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかない」 「役に立つかどうかを基準にものを考えるのって、研究者としてどうなんだろうな」 藤巻博士のように純粋に一つのことを究めることは難しいけど、ものごとの捉え方や心の持ちよう次第かなという気がする。読んでいて、心が軽やかになる感じがした。
0投稿日: 2022.05.07
powered by ブクログ季節が移り変わるように、丁寧に紡がれていく連作短編小説。 そこには家族があり、一人ひとりの人生がある。 降ったり晴れたり、天候の変動のような心の動きが、日々の暮らしの種を育て未来へと繋げていく。 そよかぜに乗ってそれをそっと見守るような、優しい読書体験でした。 人生には、天気のように自分の力では変えることができないものに見舞われることがあるけれど、のちに光を得るならば、雨は虹の元となる。 種がこぼれ落ちるなら、雨は成長の糧となる。 きっと、天を見ても地を見ても、私たちには気づきがある。 天使の梯子のように、一筋の光が射すような物語です。
4投稿日: 2022.03.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ポプラブッククラブの2月の配本でした、 発売前に読ませてもらいました。 装丁も、モチーフに気象マークが使われていて、オシャレ。 気象学の研究者と、それを取り巻く家族(4世代)の物語。 研究者って、研究以外のことには無頓着な人が多いけど、まさに。 同じ瀧羽さんの左京区シリーズのたっくんを思い出しました。 ずっと空をみていて、空以外に興味がない先生。 そんな先生に家族は振り回されます。 でも、この不器用さが、最初と最後につながるんです。素敵なプレゼントで。 「役に立つかどうかを基準にものを考えるのって、研究者としてどうなんだろう」 「人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかないんだって」 天気はコントロールできないけれど、知ることで備えはできる。 自然災害が増えてきた現代へのメッセージも込められていました。
3投稿日: 2022.02.28
