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総合評価

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    作中で「この世で過ごすほんの束の間の歳月とはいったい何なのか。人生とは畢竟、テーマパークの様々なアトラクションを経巡りながら味わういっときの享楽と、その興奮が冷めた後での底から込み上げてくるうそうそとした寒々しさのことではないのか。」という部分があるけれど、本当にその通りだとおもう。 個人的に松浦寿輝さんの文章の良さというのは川の水の流れのように動き(うねり、揺らぎ、漂い、揺蕩う)があるところだと思っていて…(1つのお話のバイオリズムと言う点においても、1文個々のベクトルにおいても。)ちなみに、他の作家さんに感じるのは山の稜線をなぞるような起伏。 特にこの『半島』は川の源流のように流れは少しあるものの水面は穏やかなところから始まり、大河に合流し、最後は(水関係で語ると)海のような、1つ上のレイヤーの存在に抱かれるなり見つめられるなり境地に至るなりする感じが良くわかる。 思えば『川の光』という川辺の棲みかを追われたネズミ一家が、新天地を求めて旅に出る まるでガンバの冒険か!?みたいなストーリーの児童書?的な小説も書いてはるし、いろんな作品に川や水辺のモチーフは頻出しているし(『人外』、『花腐し』等々)と思っていたら、ミツカン水の文化センターのインタビュー記事で『表現者としての川や水の存在について』語っておられるのがあった。 そして、相も変わらず、異国料理屋に(東南アジアとかアジア圏多し)行ってカタコトの日本語も喋れる女性に狐に化かされた感が残るからかわれ方もされるwほんと好きねぇと思うw割とどの作品も、女性だけに限らなく、例えば土地そのものやそこで暮らす人々くらいの規模感のものに狐に化かされた感のある箇所が出てくる。 そこがまた松浦作品の面白いところだと思う。

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    投稿日: 2025.10.15
  • 摩訶不思議な世界に誘ってくれる一冊でありました

     他の人はどうなのかわかりませんが、物語を読むとき、たとえばこの本のように半島という舞台が設定されている場合、私は頭の中にその地域の地図を想像して描いてみます。「半島」というのは、ある種の閉鎖空間ですよね。でも、この小説においては、まったくその絵を描くことができず、どのような街なのか、施設がどのような配置なのか、まったく想像ができない複雑怪奇な世界でありました。また、幾つかの章に分かれていますが、それぞれが関連があるような、ないような、また関連があっても少々テイストが違うような気がするなと思っていましたら、著者のあとがきによれば、楽しみながら書いて、そのつど雑誌に発表したとありました。  ただ普通に興味深く読み進めていたのですが、この本の最後に掲載されていた三浦雅士氏の解説(単なる小説に、詳細な解説があるのも面白いのですが)を読んで、あ~なるほど、そう言うことでこの小説は優れた作品なんだと改めて認識しました。自分の読解力のなさをまざまざと見せつけられた気がします。コレを踏まえて、いずれ再読してみたいと思います。

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    投稿日: 2023.06.06
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    中年期の寓話。15年ぶり再読。主人公と同じく中年になったからこそわかる部分あり。様々なからくりのある島の描写が魅力的。仮初か現実か、桃源郷か現実世界か、どちらか一方を選んで終わらないのがもどかしくもあり、可笑しくもあり。

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    投稿日: 2022.06.17