
総合評価
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powered by ブクログ空を羽ばたくいきもの、海から陸に進出したいきものがどうやって進化したのか。とつぜん空飛んだり陸に上がる生物に進化したんだろうか。 というテーマだが、みすず書房なので本の後ろに答えが書いてあった。 〇面白かったところ ・トウモロコシはひとつぶひとつぶ違う胚で異なる遺伝子を持っている。 ↑トウモロコシを食べるニワトリもおれもヴィーガンも多様性と進化を脅かす侵害者。 ・ホヤの幼生はオタマジャクシのように泳いで回る
0投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ生物はどのように進化してきたか。例えば、既存の機能の転用やウイルスの遺伝子の利用など、進化の多様な手法が紹介される。また、歴代の科学者たちがどのように進化の謎に挑んできたかについても振り返るような内容だ。進化生物学の最新の知見をわかりやすくまとめた良書。 「進化」を思考実験してみると疑問にぶち当たるのだが、例えば、足は速ければ速い方が獲物を狙いやすく、逆に逃げやすくもなる。これに進化の選択圧の作用が働くなら、圧倒的に速い種のみが残っていくという事には何故ならないのか。同様に、腕力や爪の鋭さもそうだろう。これを考えると辿り着くのは、結局、餌がいなくなるほど強くなっても滅びてしまうので、良い塩梅までしか強化されえないという事だ。「進化」は欲深い金持ちが際限なく富を得ようとする行為ではなく、生態系の調和の中における許容範囲内のできごとなのではないだろうか。 言い方を変えると、種は他の種を支配するために都合よく進化していくものではなく、調和の中で生存した結果でしかないのだろう。同様に、人間も直線的に機能強化していくわけではない。そもそも、何が有利で何が正義かという点については、個体にも種にも答えがあるわけではない。知能は優れていれば優れている方が良さそうだが、他者を支配するために利用される知能同士で競争する事は、必ずしもエネルギー効率が良いとは言えない。優れているという必要性は、劣っているものを搾取するという前提の上で成り立つ。競争回避が合理的ならば、強化し続けるのではなく、正規分布の方が利点が多い。一つの種においてすらそうなのだ。 ただ、肉体の限界としてはそのような生態系全体での調和を意識した限界領域がありそうだが、人類の社会制度においては、この点は必ずしも成立しない。その理由の一つは時間軸の違いであり、短期的な搾取の構図が長期的には是正されていく波の中でしか顕現しないからだ。つまり、餌がなくなるまでには時間がかかるので、架空の社会的身分の暴走は暫く止まらない。そしてもう一つの理由は、人工的な調和を齎す「家畜化」が自然な生態系を狂わせるからだ。ここでの家畜化は比喩ではない。人間同士がまさにそれである。 随分、横道に逸れたが、いわゆる進化とは、アニメやゲームとは異なり、徐々に強い存在へと変身していく事、徐々に生産性が高まっていくという事ではないという事だ。人類はその点を少し勘違いしているのかもしれない。
49投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログメモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1894916780168224804?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
0投稿日: 2025.02.27
powered by ブクログ批判者から「進化は漸進的にではなく一気に進む」と言われたダーウィンは、「漸進的な変化には機能の変化が伴う」と反論した。後世の研究は、正に「機能の変化」こそ、生命史上の大進化が起きたメカニズムを説明するキーワードだと明らかにした。古生物学者が発生生物学、遺伝学、ゲノム研究の成果から進化の謎に迫っていくサイエンス・ノンフィクション。 太古の水棲生物が陸に上がるときに肺を持つことができたのはなぜなのか。飛ばない恐竜の表皮に今の鳥類と同じような羽毛が生えていたのはなぜか。なぜさまざまな動物の種で胚が似ているのか。こうした謎を解き明かす過程で、ダーウィンが残した「機能の変化」という言葉がいかに的確に進化を表現していたかがわかってくる。生物はほとんど同じ材料を共有しながら、それを転用したり複製したり、外部から侵入してきたウイルスを利用したりして個々の姿を変えてきたのだ。 特に、「ジャンク」と呼ばれ、無駄なストックだと思われていた重複遺伝子が今の動物に必須な五感や呼吸の機能を生んだとわかるくだりはワクワクした。重複遺伝子という言葉自体が初耳だったけど、機能が先にあったのではなく無駄に作られたコピーが次の展開に繋がっていくというあたり、おもしろ例え話に使えそう。古代生物の脳にタンパク質が発現したり、卵生から胎生に変わるきっかけがウイルスだった! というのは『天冥の標』のノルルスカインだなぁ。 現在、すべての動物が同じ遺伝子群を使って体を作りだしているということがわかっており、それによって多発的な進化が説明できる。そのことは、つまり初めから生命史をリプレイしたとしても動物たちは同じ発生の過程を辿って今と同じ姿になるだろうことを示すという。これが現代における〈存在の大いなる連鎖〉なのだ。 本書は研究者たちの列伝でもあって、キャッチーな写真とキャプションで楽しませてくれたり、性差別と闘いながら独自に研究を続けた女性たちにスポットを当てている。今研究史を書くなら当たり前に考えなければいけないことだとは思うけど、女性科学者に対する偏見に気を配った書き方がされているのでストレスを感じず読めた。 注釈と別に「さらに勉強したい人のために」が用意されてて超親切! 著者は元々化石を掘る古生物学の人なので、初期両生類の化石発見をめぐる一文はローレン・アイズリーを思わせるセンス・オブ・ワンダーに満ちていた。この人好きだなぁ。他の著作も読んでみよう。
1投稿日: 2024.07.03
powered by ブクログ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC10594748
0投稿日: 2024.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
30年ほどまえ、修士論文のために遺伝的アルゴリズムを研究していた。出来上がった論文はゴミだったが、いくつか知見を得ることはできた。最大の知見は、画像認識あるいは人工知能研究のためには当時の時点ではコンピュータのパワーが圧倒的に不足しているということ。 当時、遺伝的アルゴリズムの研究者にどれほどの人材が参加していたかは不明だ。もともとが遺伝子のふるまいをごくごく単純にモデル化したにすぎないもので、実用に耐えうるのかという疑問が指導教員をして当方にテーマを授けさせたと感じている。単純なモデルに不安を感じたのは指導教員だけではなかったのだろう。門外漢が付け焼刃的な学習から得た遺伝子のそれっぽいふるまいを付け足した、やくたいもない論文だらけだった。この分野に未来はあるのだろうかと思ったものだ。 遺伝子の振る舞いは、これまで思っていたものよりも静的ではない。免疫が外部からの侵入者と常に戦っているように、ウィルスという外敵だけでなく、自らのコピーミスとも戦っている。稀な出来事ではないらしい。 そんなことを本書を学んだ今ならば、少しは面白い遺伝的振る舞いを仕込めたかもしれないなどと懐古する。 「何事も、当然のことながら、私たちが始まったと思った時に始まっているわけではない」 この言葉の意味するところは、進化という言葉に想起される個人的なイメージを払拭した。進化のために遺伝子セットが生み出されるのではなく、すでに存在する遺伝子が必要に応じてオンオフされるということだ。本書ではサンショウウオの例と、浮袋を持つ魚の例があげられている。 サンショウウオの食餌は、水棲時においては吸い込む方式で、陸棲時はカエルのように舌を伸ばして捕食する。舌を伸縮する方法は筋力によるものではなく、いわば指先につまんだなめらかなものを弾き飛ばすようなもので、エラだったものが変化したものだという。環境要因で遺伝子がオンオフされて、同一個体でそう成るという。 地球上の生物の進化は海から始まり、陸に上がったといわれている。陸に上がったから肺が発生したのではなく、まず浮袋に類するものがあり、それが変化したのだという。 そしてまた、遺伝子に対する漠然とした疑問が本書で解消された。すべての細胞に含まれるという遺伝子は、適材適所の発現をなにによって制御しているのかというものである。 遺伝子の中には発生をコントロールする遺伝子がある。中学の理科だったろうか、胚葉の部位が身体の部位に対応していることを学んだのは。遺伝子の並びもそれに準じている、ということらしい。
0投稿日: 2023.06.19
powered by ブクログダーウィンの5文字の言葉:「何事も当然のことながら、私たちが始まったと思った時に、始まっっているわけではない」 発生学の胎動 ゲノムに宿るマエストロ 美しき怪物 進化というモノマネ師 私たちの内なる戦場 重りの仕込まれたサイコロ 生命のM&A
0投稿日: 2022.06.30
powered by ブクログ創造論者の教授の下では進化の話ができないとか…20世紀の米国で、ですよ!骨の髄までニッポン人のワタクシにはピンと来ない話なんだけど、よくこの手の話、聞くしなあ。科学と信仰って、折り合いつけるの大変なヒト達がいらっしゃるんですよね、うんうん。 ところで、脳オルガノイドって、倫理的には大丈夫なのかな? 三胚葉の分化とか、高校生物の復習を思わずしちゃったよ(笑)
0投稿日: 2022.05.17
powered by ブクログレビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12741616444.html
0投稿日: 2022.05.08進化は環境と必然から起こる?
面白すぎる。 レビューでウォール・ストリート・ジャーナルが、「ニール・シュービンは天性のストーリーテラーで、才能ある科学コミュニケーターだ」と評している通り、リーダビリティが圧倒的。 昨年読んで抜群に面白かった『家は生態系』の著者ロブ・ダンも、娘と奪い合いながら読んだとのこと。 各章の「進化というモノマネ師」や「重りの仕込まれたサイコロ」など、タイトルを見ただけで興味がそそられるし、進化の本なのに原題が"Some Assembly Required(要組立)"と謎めいているが、最後になるほどと感心させられた。 「進化は環境と偶然から起きるもので、何百年もかかるもんだ。だが歴史は環境と選択によって生まれるんだ。しかも人間の一生のあいだに起こるものだし、場合によっては数年や数か月、いや、数日の間にさえ起こるんだ」。 キム・スタンリ・ロビンソンの傑作SF『レッド・マーズ』の中のセリフだが、多くの人が進化に対してこのように見ているのではないだろうか? グールドが唱えていたように、今の我々や地球上のすべての動植物は、数十億年に起きた数々の偶発的な出来事の産物で、巻き戻してやり直したって同じにはならないはずだ、と。 著者は偶然を否定する。 進化の道筋は、それぞれの種が様々な経路を辿ったとしても、最後には同じ場所に辿り着く、と。 グールド風に言えば、「偶発的な状況を変更して生命史のテープをリプレイしても、重要な事件は変わることはない。それらは同様に発生する」と、主張している。 この結論に行き着くまでには、何が進化の原動力になっているのか、何が地球上の全生命に違いをもたらしているのか、の難問に答える必要があるのだが、ここで著者は科学者列伝とも言うべき、古今東西でこの難問に挑んだ先達を登場させ、少しずつ核心に迫っていく。 同種の中でこれだけ個体差がある理由は、特定の環境下でも個体が生き延びて繁殖する確率を高めるためで、この多様性があるからこそ自然選択による進化が起こるのだ。 「個体間の多様性は自然選択による進化の燃料であり、多様性が大きいほど進化が起きる速度も増す。(奇形であろうと)多様性の潤沢な供給があるからこそ、自然選択が長い時間のうちに大きな変化をもたらしうるのだ」。 つまり、進化の真髄は、ある世代から次の世代へと受け継がれる多様性にある。 さらに進化の推進力となる燃料として、古来の遺伝子を改変したり、使い回す転用であったり、エラーによって生じた遺伝子の重複や余剰をあげている。 これにより、新たな用途にすぐに使えるよう、余分が変異して新たな機能を獲得できるようになる。 「新しい遺伝物質だと思っていたものが、新たな用途に転用された古い遺伝物質のコピーだったりする。進化の創造力はどちらかと言うとモノマネ師の能力に近い」。 魚のヒレから肢への進化を調べると、あらゆるレベルで転用が起きていることがわかる。 「生命に大変革が起きるのに、新たな遺伝子、器官、生活様式が一斉に発明される必要があるとは限らない。古来の特徴を新たな用途に使い回すことで、子孫に大いなる可能性が開かれることもある」。 転用やコピーなど、祖先から受け継いだものばかりではなく、実は外からの侵入者(ウイルス)によって促される進化もある。 哺乳類しか持っていない妊娠に関わる細胞は、もとはウイルスが我々のゲノムを乗っ取るため侵入し、無限コピーをつくろうとしたところ、免疫によって返り討ちにあい、無毒化され、新しい主人のために使役する羽目になったものだ。 進化の道筋で失われてしまった能力もある。 多くの生き物が持っている、体の一部を失っても再生する能力などがそれに当たる。 「何事も私たちが始まったと思った時に始まっているわけではない」と繰り返し語る通り、無から新たな機能を獲得したり、発明しているわけではなく、すでにそこにあり、ただ転用したりエラーを起こして重複コピーしてしまったりとかが、背後にあったなんて想像もしなかった。 しかもさらに面白いのは、退化としか見られないような機能の喪失が、新たな機能の発現など、進化を促すキッカケにもなるなど、本当に逆説的な話だ。
0投稿日: 2022.01.10
