自称悪役令嬢観察記録とほぼ同じタイプの作品。日本人が乙女ゲームのヒロインと悪役令嬢に転生するという設定で、この手の作品としては珍しく、悪役令嬢ではなく王子が主人公。 自称悪役令嬢と同じ設定なれど、内容は結構違う。あちらはギャグ・コメディとシリアスの緩急が素晴らしく、腹黒王子とアッパラパーな令嬢という漫才のような面白おかしいコンビだった。 一方でこちらは良くも悪くも、いやどちらかと言えば良い意味でトゲがない。とても真っ当で明るい、「健やかで清々しいストーリー」になっている。王子は礼儀正しくて優しくて真面目で、令嬢はおしとやかで可愛らしい、どちらも本当にトゲがなく、この二人のやり取りが初々しくて清らかで甘い。そのまんまの意味での「良い話」なのが本作。 画力の高さは当然として、台詞回しや心理描写、感情表現等もとても上手。優れた完成度の作品として仕上がっている。 実に真っ当で真っ直ぐなので、ある意味では華がないかもしれないが、全体的な完成度は高い。結構オススメの作品。