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ほたるいしマジカルランド
ほたるいしマジカルランド
寺地はるな、福田利之/ポプラ社
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総合評価

161件)
3.8
28
67
54
2
1
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    遊園地で働く人たちの話。どちらかといえば遊園地を舞台にした話と言うよりは、職場を舞台にした人間関係の話という認識かなとおもった。

    2
    投稿日: 2021.12.27
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    『遊園地ってなんのためにあるんやと思う?』 かつては日本全国のそこかしこに点在した遊園地。その数は、ここ二十年ほどで三分の二へと激減しているようです。鉄道の駅名にその痕跡をとどめるだけのものなど、私たちが非日常を求める場所の栄枯盛衰を感じるのは悲しいことでもあります。そういう私自身、そんな場所へと足を運んだのがいつのことかすぐに思い出すことができません。自ら足を運ばないにも関わらず、そんな場所が減って行くことを嘆く資格はないのかもしれません。 さて、そんな非日常の場を提供してくれる遊園地のことを思い浮かべるとそこにはどんなイメージが思い浮かぶでしょうか?カラフルに彩られた園内、思わず顔が綻ぶキャラクター、そして私たちに非日常を感じさせてくれる数々のアトラクション。それらが一体となって、私たちは、辛い日常を忘れて『ひとときの夢』をそこに見ることができます。しかし、よく考えてみてください。そんな夢の世界は自然に出来上がるものではありません。興奮に満ち溢れたゲートで私たちを優しく出迎えてくれる人、チリ一つない美しい園内を維持してくれる清掃員、そして私たちに決して姿を見せずその裏側で様々な問題を管理しているスタッフたち。そう、私たちが非日常の舞台に心躍らすその舞台裏には実に多くのスタッフの存在があるのです。しかし、そんなスタッフもそれぞれは一人の人間です。夢の舞台を提供する一方で、私たちと同じように、悩み、苦しみ、そして喜びを感じる、そんな人としての生活を営んでいます。 この作品は、そんな遊園地のスタッフに光を当てる物語。そんな遊園地のスタッフの喜怒哀楽を感じる物語。そして、それはそんなスタッフが作り上げて行く夢の舞台の裏側を見る物語です。 『「ほたるいしマジカルランドまであと529歩」という巨大な看板を横目に、改札を通り抜けた』のはこの短編の主人公・萩原紗英(はぎわら さえ)。『大阪北部に位置するこの蛍石市』にある『ほたるいしマジカルランド』のインフォメーションで働く紗英は、『迷子の預かり、落としものの受付、その他諸々』を担当しています。『大学に入った年に』アルバイトを始めた紗英は、『そろそろ就職活動をはじめなければというタイミング』で『社員登用試験』を受け社員になって五年の歳月が流れました。『制服に着替え、髪をひとつにまとめ』、毎日行われる朝礼に臨む紗英。そんな朝礼に『出張などの例外を除いて』欠席したことのない社長のことを思う紗英は、『トレードマークである白いフリルつきのワンピースとつばの広い帽子』を思い出して『むりやり詰めこんできた朝食が胃の中でずしりと重く』なるのを感じます。社長のことを『胃もたれをおこさせるにじゅうぶんなあくの強さをもつおばさん』と感じている紗英。しかし、そのあくの強さが『地方都市の、よくある地味な遊園地』に注目を浴びさせるきっかけとなりました。『テレビコマーシャルに自ら出演し』、『名物社長と呼』ばれる社長の国村市子。しかし、『最近、気になる噂』を耳にした紗英。それは、『蛍石市』出身の女優・木村幹が『ほたるいしマジカルランドの広告』に起用されるというものでした。そんな木村のことを『特別な存在』と考えている紗英。そんな時、朝礼が始まり、『社長の姿が、今日は見えない』ことに疑問を抱く紗英。それ以外はいつも通りの流れで進んだ朝礼で『最後に報告があります』と主任が語り出しました。『本日よりしばらく、社長が休養に入られます』というその内容に『顔を見合わせる』スタッフたち。『入院中なんです』と続ける主任は『たいした病気ではありませんので、皆さんはいつもどおり業務に集中してください』と話を終えました。『社長はたぶんもっと重い病気やと思う』と噂話の中に『社長交代かもしれへんね』という声も聞こえるその場。そして始まった遊園地の一日。そんな時、狼狽した一人の『白髪の男性』が入ってきました。『ゆうに八十歳』を超えているその男性は『孫となあ、はぐれてしもてなあ』と写真を取り出して話し出しました。『お名前は?』『年齢は?』と訊いても『芳しい回答が得られない』状況の中、『日本語が話せない』数名の男女が入ってきてその対応に気を取られた紗英。気づくと先程の老人は姿を消していました。『やってしまった』と思い、外に飛び出した紗英。そんな紗英の働く姿とともに『ほたるいしマジカルランド』の一日が描かれていきます…という最初の短編〈月曜日 萩原紗英〉。作品全体の導入パートも担う短編として、『ほたるいしマジカルランド』の全体像が自然と頭の中に浮かび上がってくる好編でした。 『大阪北部に位置する』蛍石市にある『ほたるいしマジカルランド』。大阪に実在する”ひらかたパーク”をモデルにしたという、そんな夢の遊園地を舞台に六人の人物を各短編に主人公として登場させながら、彼らが働く遊園地の日常が連作短編の形式をとって描かれていきます。まず舞台となる遊園地です。作品にもある通り『地方都市の、よくある地味な遊園地』だという『ほたるいしマジカルランド』。昨今、少子高齢化も相まって、日本各地にあった遊園地が次々と閉鎖されているのはよく報道されるところです。この作品で取り上げられる『ほたるいしマジカルランド』は、そんな中で『マジカルおばさん』、『名物社長』と呼ばれる社長の国村市子の強烈なキャラクターによって注目を浴びている、そんな設定がなされています。『ただのパートタイマーから社長にまでのぼりつめた』というエピソード付きで人々の関心を集める社長の市子。埋没しないためには何かしら、世の人々を振り向かせるきっかけが必要です。そんな遊園地は、『石好き』な『社長の趣味』もあって、その『アトラクションの多くは、石の名前がつけられてい』ます。私は石に特に興味はありませんが、一方で石といっても例えば美しい宝石を見て無関心というわけではありません。そんな宝石の名前がアトラクションと合体すると、何故か気持ちが掻き立てられるから不思議です。そんなアトラクションを幾つかご紹介しましょう。 ・『オパールのマジカル鉱山』: 『鉱山を模した建物内の数カ所に設置されたクイズを解』いて『クリアすると景品として宝石(樹脂製)がもらえる』という『謎解き型アトラクション』 ・『サファイアドリーム』: 『高台にあって、首をひねると下方の広場が見渡せ』、園に来る人々を迎え、見送るという『観覧車』 ・『フローライト・スターダスト』: 天井部分に『ヴェネチア』の街並みが描かれ、『あざやかな緋色の鞍は白馬』を映えさせるという『二階建てのメリーゴーラウンド』 という感じで絶妙なネーミングをもってアトラクションの数々が紹介されていきます。そこに浮かび上がるのは、キラキラとした美しい宝石のような、『ひとときの夢』を来場者に見せてくれる、そんな遊園地の魅力溢れる光景です。こんな遊園地があるのであれば是非行ってみたい!、一貫した雰囲気感に包まれる遊園地の描写の数々にとても魅せられました。 そんなこの作品は、六人のスタッフが一人づつ登場する〈月曜日 萩原紗英〉から〈土曜日 三沢星哉〉までの六つの短編と、物語を締めるかのように位置づけられる〈日曜日 すべての働くひと〉の合計七つの短編から構成されています。私たちは遊園地を訪れて、そこにスタッフの存在を感じるでしょうか。『遊園地を訪れる多くの人にとって、そこで働く人間は風景の一部にしか見えない』というのが実際ではないでしょうか?受付、遊具の係員、清掃員、植栽の管理員、そして管理業務にあたるスタッフ…と遊園地を運営していくためには数多くのスタッフが必要です。この作品ではそんなスタッフの視点から、自分たちにも『彼らと似た、けれども同じではない日常と生活があり、その積み重ねてきた人生がある』という側面でスタッフたちの人生が描かれていきます。そんな物語は、一方で一人の人間でもあるスタッフが主人公となる物語でもあります。『清掃スタッフとしてこのほたるいしマジカルランドに通うようになって、もう一年以上経つ』という清掃員の篠塚八重子は、『自分と世間とのあいだには、いつもすこしだけずれがある』と感じながら生きています。『母親失格や』と言われ、夫と離婚し、息子を手放し、つつましい生活を一人送る八重子。そんな八重子は『目の前のことをやるしかない』と仕事に誇りを持って取り組んでいきます。そんな八重子がささやかな幸せを見る物語は、頬に温かいものが流れる瞬間を感じさせる物語です。また、『ほたるいしマジカルランドの植物を管理するようになって、もう二十年近くになる』というガーデナーの山田勝頼は、一方で『玲香の父親としてしっかりせねば』という家庭での役割に悩んでいました。そんな勝頼が『日曜日に、山田は四十二年勤めたほたるいし園芸を退職する』という人生の一区切りを迎える瞬間を見る物語は、普段私たちの意識の外にあるスタッフにも自分たちと同じような人生の営みがあることを感じさせてくれました。そして、それらスタッフたちのその後を描く最後の短編〈日曜日 すべての働くひと〉が物語を締めくくります。物語の大団円としてスタッフ全員が登場するその物語には、『ひとときの夢を見るため、人びとは遊園地にやってくる』という私たちのために、それぞれの持ち場で遊園地を支えていくスタッフの頼もしさと、優しさを感じさせる物語が描かれていました。 『たいていの人生は、ドラマチックではない』という私たちの人生。そんな私たちに『ひとときの夢』を見せてくれる遊園地。この作品では、そんな遊園地の舞台裏で今日も働き続けるスタッフの人生を見ることができました。『遊園地ってなんのためにあるんやと思う?』という問いの答えを求めながら今日も私たちを笑顔で迎え入れてくれる遊園地のスタッフ。そんな問いには『正解など』ありません。それは、私たちの人生のあり方に決して正解などないことと同じなのだと思います。 夢に遊ぶかのような遊園地を舞台に、その舞台を地道に作り上げていく人たちの生き様を丁寧に描いたこの作品。美しく彩られた遊園地の世界観の中に、人々のささやかな人生の営みを感じた、そんな素晴らしい作品でした。

    112
    投稿日: 2021.12.04
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    様々な登場人物が、厚みのある、これまでの人生をきちんと重ねてきたキャラクターとして書かれていて、読み応えがあった。 若い女の子も、定年間近の庭師も、社長の息子も、とても魅力があって、舞台が遊園地というのもあってとても楽しく読み進めた。 私は小学生の子供がいるからどうしても母親の立場の人を特に思い入れ深く読んでしまうけど、八重子さんの他には山田さんが好きだなと思った。 最後の八重子さんのシーン、グッときた。 映画にしたらあれがクライマックスやなというくらいいいシーン。 あと照代さんの一言も、とても素敵で。 私も夫が定年退職するときに言おうっと。

    7
    投稿日: 2021.11.30
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    偶然、孫たちと遊園地へ行った日から読み出した。 メリーゴーランドもイルミネーションもリアルタイム。 何処にでもいる人々、でもみんな同じゃなく、各々バックグラウンドがあってひとりの人。 人から見たらなあ~んだ、と思うことだって本人には無くてはならない大切なことだってある。 それに気が付いて自分なりに精一杯生きていこうとする人達が遊園地のイルミネーションのようにキラキラ輝いているように感じた。 また遊園地へ行きたいなあ。

    8
    投稿日: 2021.11.20
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    やっぱり寺地はるなさんの書く文章、 表現が好きだなと改めて思った。 特に何か大きな出来事が起こるわけでは ないし、悪い人も登場しない。 だけど、遊園地(ひらパーをイメージ しながら読んでしまいました)で働く 色んな人の生き方•価値観、それこそ 身近にいそうな、自分もいだきそうな感情を かいているから心にくるものがある。 唯一気になったのは、市子さんが どういう経緯で社長になったのかってことかな。 1番印象に残った箇所は、 「なんのために」なんてくだらない。 ともに生きていくものに、重要な意味なんか なくていい。価値なんかなくていい。 食べて寝て働いて。ただそれだけ繰り返して 死んでいくなんてあんまりだから。 なんのためにもならないものが、ごく あたりまえに存在する。 存在することを許されている。 それこそが豊かさだ。

    7
    投稿日: 2021.11.03
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    遊園地にはいろんな人が働いている 当たり前だが一人ひとりに似たような、 けれども同じではない日常と生活があること そしてその積み重ねとしての人生がある。 みんなね、それぞれに悩みがあったり問題を抱えて いたりするわけです。 この仕事に自分が向いているのかよくわからない インフォメーションの若い女性や 子供を置いて離婚した清掃会社の女性 メリーゴーランドに思い入れがある従業員 気難しそうで人付き合いの苦手そうな 職人気質のガーデナー この遊園地で働くそういう人たちが関わり合う中で ちょっと立ち止まったり休んだりもしながら ほんの些細なことをきっかけに成長していく物語 全く別々の話が少しづつリンクしているので あー、ここで、この人がこういう行動をしていたのは こういうことだったのか。っていうのがわかるのも 面白かった。 遊園地って なんのためにあるんやと思う? 何かのためにならないものや 不要不急でないものが当たり前に存在して みなに喜ばれるっていうことこそがね 豊かさなんだろうな。

    1
    投稿日: 2021.11.03
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    まさかの三沢まで、毒っ気を抜かれて、これはデトックスランドだわ。 内容的にもほっこりして、こちらもデトックスできました。

    1
    投稿日: 2021.10.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この読後感がたまらない 現実ではないかもしれない でも、こういう人たちが生きてるんだ って思える マジカルランド ではなく リアルに そう思わせてくれる寺地はるなさん 好きだなあ 大阪在住とか 色々読んだけれど、どれも好き お仕事小説 という中で それぞれの奮闘が描かれる 社長も清掃のおばちゃんも 月曜から日曜まで どれもあったかだった ≪ 遊園地 働く人も きらきらと ≫

    17
    投稿日: 2021.10.07
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    はじまりの月曜日がちょっと退屈で、読むペースがあがらなかったけど、進むにつれてどんどん惹きつけられる。関西のテーマパークで働く人たちの話。良かったんやけど、さっぱりしていて、登場人物の名前とかすぐわすれてしまう!マジカルおばさん、ちゃんと名前覚えてて、すごいな。

    0
    投稿日: 2021.09.17
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    ほたるいしマジカルランドを通じて、関わる人たちの物語。 ありきたりな展開ではあるが、少しずつみんなの考えが良い方に変わっていき、それぞれのストーリーの主人公が関わり合うのがとても好きでした。 また、遊園地がテーマではあるが、夢と魔法に溢れたキラキラした登場人物がでてくるのではなく、 それぞれ人間味があるところがまた良かった。

    1
    投稿日: 2021.09.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大阪北部にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く人たちの物語集です。それぞれの人生の出来事が優しく交差しながら一つのお話として進んでいきます。 個人的見解になるのですが、枚方にある「ひらパー」にめっちゃ似ていて、読んでいる最中は完全にひらパーで脳内再生されてました。 以下似ている点 ・俳優をCMに起用する 枚方出身の俳優 V6岡田 蛍石出身の俳優 木村幹 ・老舗遊園地で最近活気を取り戻した ・アニメや人気の漫画とのコラボ企画がある ・メインキャラクターが魔法使いと妖精 ・ミニ動物園がある ひらパーにはアルパカとかちょっとした動物がいるスペースがあります ・菊人形の展示がある ひらパーでは去年はネイキッドとのコラボで盛り上がりました ・イルミネーションに力を入れている 毎年「光の遊園地」と題した大規模なイルミネーションをやってます!光るわたがしもあったみたいです http://www.hirakatapark.co.jp/illumination/ 個人的憶測ですみません、、 自分の中では身近な遊園地が本の元ネタになったのかと思いテンションがあがってしまいました^ ^

    1
    投稿日: 2021.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    *大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る* 遊園地で働く、少しずつ何かを抱えた人たちの連作集。 一見恵まれている人も、そうでない人も、毎日何かしら思う所があるわけで・・・ とにかく、毎日、目の前のことを、一生懸命やる。 特別に背伸びしたり高望みしたりせず、そのかわり人を羨んだり比較したり落ち込んだりすることもしない。 それだけで、少し楽に生きられるんじゃない?と言われた気がする。優しい読後感です。

    2
    投稿日: 2021.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    多くの読友さんが読む寺地はるなさん、初読み。若干暗く、でも透明感がある独特な雰囲気だったが、それぞれの人生を回想するには正にその雰囲気を醸し出した。ほたるいしマジカルランドの社長・国村市子の手術前後の1週間は職員の人間関係が一気に動く。人生は宝石のようにイビツで尖り、でも丸かったり、人生の紆余曲折を示して様だった。自分で一生懸命に磨けば自分にには光輝いて見えるのだろう。遊園地とは普段の生活から離れて「夢」を見るための場所。職員が輝いていないと相手に夢を見せられない。でも職員、客、家族、色んな夢が見えた。

    36
    投稿日: 2021.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大阪の北摂にある遊園地で働く人々を描いた連作短編集。 ・インフォメーションセンターの女性。女優を目指していた。 ・メリーゴーランド好きの男性。プライド?自己評価が高いが、他の人からは距離を置かれている。 ・別会社クリーンサービスに勤める清掃係の女性。昔、ママ友により勧誘販売にのめり込み借金・離婚・息子とも会えない生活。 ・別会社園芸サービスからの男性。園芸一筋でもうすぐ退職。妻は再婚で、連れ子とは上手くいかなかった。 ・遊園地名物女性社長の、息子。やり手だが、いつも母親と、幼なじみの生き方に気後れしてしまう。 ・遊園地アルバイト。バイトしているが、家は資産家で働く必要も意欲もない。相手と付き合うのはメリットがあるかどうかだけ。  昔からある遊園地で、のんびりしてそう。でも働く人は様々で、事情も抱えてたりする。この作者って、結構悲惨な人生も前向きにからっと書くのが上手いなーと思う。文章のテンポも設定もストーリーも楽しんだ。

    6
    投稿日: 2021.08.24
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    最後はしっかりカンドーさせてくれる寺地さん、うまい。「ええもん選んだなぁと人生の選択肯定してやればよかった」「遊園地ってなんのためにあるんやと思う?でも答えはどうでもよかった。なんのためになんて、くだらない。ともに生きていくものに、重要な意味なんかなくていい。価値なんかなくてもいい。なんのためにもならないものが、ごく当たり前に存在する。存在することを許されている。それこそが豊かさだ」心に深く留めたい言葉です。

    6
    投稿日: 2021.08.17
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    地方のこんな遊園地って、なかなか生き残ってない。その昔、幼いころ地元にあった「一畑パーク」が正にこんな遊園地で、今や伝説。その後バブル期に雨後の筍よろしく誕生した遊園地は、概ね淘汰された。この時代、青天井に投資し続けなきゃ非日常の夢想世界を提供できないか。でもテーマパークと称される勝ち組は、入園料が高騰してて気楽に行けんよ。元取るのは一日仕事?でしょ。いつの日か、公私に悩みつつも支え合うスタッフが、創意に富んだ企画で迎えてくれるこんな遊園地を再び訪れてみたい。俺がメリーゴーラウンドの木馬に乗ってる情景…。

    1
    投稿日: 2021.08.14
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    大阪北部の蛍石市にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く人々が色々悩みを抱えながらも仕事を頑張る姿が日替わりで描かれる。それぞれが肩肘張って抱えていた重荷が小さなきっかけで軽くなる瞬間が温かくて良い。清掃員の篠塚さんの「おにぎり」が通じた所は染みる。自己評価と他の登場人物視点でとの違いが語られたり少しずつ人々が繋がっていくのも楽しい。名物社長の市子さんが冒頭突然入院するので遊園地が閉園する流れか?とちょっとどきどきしていたけどその状況でも従業員を想い、対応に精を出す姿は素敵だった。もっとエピソード欲しかったな。ところで菊人形あったり出身女優がイメージキャラクターになる遊園地という事で、想像するのは某兄さんがいる遊園地でよろしいですよね?

    24
    投稿日: 2021.08.12
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    正解はない人それぞれ。それぞれ、似ているかもしれないが、同じではない日常と生活があり、その積み重ねてきたものが自分の人生。 何の役に立たないものがあるのが豊かさ。

    2
    投稿日: 2021.08.11
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    一章に一つキラキラワードがあり、目を引きましたが、まとまりに欠ける?感がなきにしもあらず。そのためちょっと合いませんでした。若干くどめ。アトラクション名の応酬も辛かったです。立て続けに読んだので、ちょっとインターバル置いた方が良いかも。ひらパーをどうしてもイメージしちゃいますね。

    0
    投稿日: 2021.07.29
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    それぞれ面倒くさいことがあって、ちゃんと仕事があり、日常がある。 メリーゴーランドを回るような日々でも、景色は少しずつ変わっていく。 そっと寄り添ってくれる優しさが大好きな一冊。

    2
    投稿日: 2021.07.28
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    遊園地のお仕事小説。 アトラクションやインフォメーション担当、清掃スタッフ、花や植物の管理担当。 仕事内容も年齢、性別も様々なスタッフが働く遊園地の毎日。働く理由はそれぞれ。そしてそこには一人一人の悲喜こもごもがある。 「日曜日  すべての働くひと」が特に良かった。 ガーデナーの山田さんの奥さんが最高! 篠塚さんの息子さんとのシーンはグッときました。 悩む姿の人間臭さが愛しくて、人の温かさも感じられる作品。面白かったです♪ 『たいていの人生は、ドラマチックではない。でも小さく変化する瞬間はきっといくつもあるのだ。ちょっとしたことをきっかけに、自分の中のなにかが変化する』 『「あたりまえ」は変わるんや。変わっていく。なんとなく自然に変わっていったわけではなくて「あたりまえ」を変えようと行動してくれた誰かがおったはず』 『なんのためにもならないものが、ごくあたりまえに存在する。存在することを許されている。それこそが豊かさだ。』

    3
    投稿日: 2021.07.28
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    いろんな職場、仕事のことを知るのは面白い。そこにいる人のことも。この本は遊園地。それだけでワクワクしながら読んだ。 きっと誰かが見てくれてる。認めてくれてる誰かがいる。私もそこにいる誰かをちゃんと認める人になりたいな。

    11
    投稿日: 2021.07.23
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    大阪にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」を舞台に、名物社長や、幾人かの従業員それぞれの視点で話が描かれている物語。 それぞれの思いは千差万別で、とても日常的で、身近な事として描かれている感じで、そこがこの作品の良さなんだろうけど、私個人的には全体的にちょっとつまらなくて退屈だった。 でも、そういった日常的に訪れる毎日にも些細な変化があり、豊かさがある。自分は自分。どんな人にだって大小抱えているものがある。そういう忘れてしまいがちな当たり前の事に気づく、小さな物語の集まりが、大きな1つの物語になっているような一冊に感じました。

    9
    投稿日: 2021.07.20
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    大阪市北部にある架空の町、蛍石市。 そこにある遊園地を舞台にした、仕事への向き合い方、人とのつながり、夢を描いた物語。 ひらパー兄さんや、某ホテルの社長を思わせる人物が出てくる。 が、あくまでそれは外観で、中身は真摯なビジネスパーソンで、接客のプロだ。 社長はよく従業員の名前、仕事への姿勢を見ている。 「自分のことは自分では見えにくい」(44頁)とか、 「好き、という思いが仕事の邪魔になることもある」(58頁) なんて言葉をかける。 また、一生懸命自分の仕事をしている人たちはこんな言葉をかける。 「向いてないって思うなら、変えていったらええんちゃう?」(206頁) 些細な言葉、ありきたりな言葉と言われるかもしれない。 けれど、自分の力で、一つ一つ自信を取り戻すべく、言葉を見つけていく。 小さな変化を積み重ねて、誰かから、でなく、自分で見つけた言葉を。 一度奪われてしまった自信はそう簡単には戻らないから。 本作に登場する人々は嫌なところ、ダメなところもたくさんあって、一緒に仕事をするのはちょっと、というところもある。 それでも、何かを見つけて変わっていく様は、希望を見ているようだ。 夢を見る場所、作る場所。 私も、自分の仕事を通して、誰かの希望となりたい、と思う。

    3
    投稿日: 2021.07.18
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    地方のテーマパークで働く人々の短編連作。普通の人だけど、みんないろいろ考えてたり、抱えてたり、そういう物語を書くのが上手な作家さん。

    6
    投稿日: 2021.07.17
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    遊園地従業員の群像もの。社長と社長の息子と謎の青年の関係性が良い。紗英と宮城が面白い子で好きだなーと思っていたら一番面白いのは山田さんの奥さんだった。ずっと読んでいたい本だった。続編あるといいな。

    2
    投稿日: 2021.07.08
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    6冊目になる寺地はるなさん。装画も装丁もとっても素敵ですよね。先日やぁっと図書館に入ったので早速借りて読みました〜。 大阪の北部に位置する蛍石市にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」…ここで働く人々、6人の視点から1週間を描いた連作短編集です。 「もしかしたらそれは劇的な事件ではなく、一緒にいた人間も気づかないぐらいの、ほんのささいな出来事がきっかけだったのかもしれない。」(254頁) とあるように、6人それぞれがそれまで悩んでいたことから前向きに変わるきっかけとなった、ほんのささいな出来事を描いています。 寺地さんはこういう「人が前向きに変わるほんのささいな出来事」を描くのが本当に上手いですよね。今作もとても良かったです、好きです。 そして、世の中の人の上に立つ立場の方たち全員が、このほたるいしマジカルランドの社長のような人だったら良いのに…と切に思います。 木村幹がメインのお話も読んでみたかったですね。

    2
    投稿日: 2021.07.04
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    寺地さんらしく肩の力を抜いて生きていきなさいとエールをもらえる本だった。名物社長の国村市子が率いる「ほたるいしマジカルランド」。市子は『なんのためにもならないものがごくあたりまえに存在する。存在することを許されている。それこそが豊かさだ』と断言している。コロナ禍当初の頃、繰返し、繰り返し叫ばれていた「不急不要以外は外出しないで下さい」を聴くたびに、疑問を持った。誰が不要不急じゃないを選別するのだろうか。新約聖書に「人はパンのみにて生くるものにあらず」とあるように、人間は物質だけではなく精神的にも満たされることを求めて生きているのにと・・・。 繰り返される日常を淡々とやり過ごすコツは、あれこれ考えずに、今目の前の仕事をきちんとやりとげること。 目から鱗!

    24
    投稿日: 2021.07.04
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    仕事は楽しくなければいけない。そんな風に本気で思ってくれる会社が有ったら最高ですね。そんな会社がほたるいしマジカルランド。 しかしそんな会社にも色々な苦悩が渦巻いておりまして、一人一人は皆悩みを抱えております。人から見たら恵まれているように見えていても自分ではそう思っていないし、自分では自信をもっている部分が、人からはそう見えて居なかったりする。悩ましいものであります。 例によって寺田さんの十八番連作なので、各々から見た各々の違いが面白いです。実生活でも「この人自分のいい部分わかってないな」というとき有りますよね。そんな感じです。

    2
    投稿日: 2021.07.02
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    誰かのやりたいことをやっていたり、 誰かのやりたくないことをやったり。 誰かの幸せを紡いだり、悲しみに寄り添ったり。  そっと浮いたり、ふっと沈んだりしながら、 人生はメリーゴーラウンドのように、 日々を何度も回っていく。 色とりどりの想いを乗せて、 優しく、どこか物哀しいような景色を巡らす。 人と人との繋がり、そこから生まれるあたたかさ。 凝り固まった心を溶かす、 そんな優しさが織り成された素敵な作品でした。 込み上げる想いや感動の波に揺られ、 微笑みと涙が同時に湧き上がる時は、 目の前のすべてが愛でふくらむ。 人生がぐっと愛おしくなる。 夢の国へ行くとか、そんな大それたことじゃなく、 ちょっぴり現実から離れるとか、 生きてくためのご飯じゃなくて、 お腹よりも心を満たすお菓子のような、 そんな生活に彩りを与えてくれるもの。 「ほたるいしマジカルランド」も、この作品もきっと、そんな豊かさを与えてくれるささやかな魔法なのかも。 そんなふうに思いました。

    2
    投稿日: 2021.06.28
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    遊園地で働く人々の悲喜こもごも と、言ってしまえばそういうことなのだけど 当たり前だがそれぞれの人生がある そんなことを改めて考えさせられる みんな頑張ってるんだってことを。 人間がいとおしくなる一冊。

    8
    投稿日: 2021.06.26
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    最終章の国村佐門の「昨日の彼女になにがあったのだろう。もしかしたらそれは劇的な事件ではなく、一緒にいた人間も気づかないくらいの、ほんのささいな出来事がきっかけだったのかもしれない。 たいていの人生は、ドラマチックではない。でも小さく変化する瞬間はきっといくつもあるのだ。」という言葉がとても印象的だったし、とても希望を持てる言葉だと思った。 ここでの登場人物みんな、何かしらのちょっとしたことがきっかけで何かが変わった。 変わりたいと思ってる時は、何かドカンとくる言葉や体験を求めてしまいがちだけど、こんなふうに小さなことが自分に変化を起こし続けて変わっていけるんだろうなと、明るい気持ちになれた。

    2
    投稿日: 2021.06.25
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    遊園地で働く人達の短編集。 自己肯定感が低い人達が多いけどでも、各々幸せになれるお話しでした。 読みやすいし頭の中でイメージが湧いてくる作品。

    7
    投稿日: 2021.06.20
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    遊園地で働く人たちの群像劇。 自分に対する評価って必ず正しいとは限らない。 だいたい低すぎるか高すぎるかだ。 他人からの評価の方が案外マトを得ているときがある。 自分では気づけない良さや悪さが、たぶん誰しもにある。 そして、自分のことを人知れず見てくれてる人がきっといる。社長のように。 二階建てのメリーゴーラウンドは私は一度も見たことがないのだけれど、本当に存在するものなのだろうか。私も2階の馬に乗ってみたいと思った。 遊園地やミニ動物園、ガーデンと、それから色とりどりの宝石の名前を冠したアトラクション。 ほたるいしマジカルランドの地図が載っていればよかったと思うほど、どんなところなのか見たくなった。 ふんわりとした終わり方だった。 結局社長etcはどうなったんだろう…

    32
    投稿日: 2021.06.04
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    遊園地で働く人たちのお話。 とりあえず働いている、お金のために働いている‥‥好きなことじゃないけど、楽しくなんかないけど‥‥ そんな、ちょっと自己肯定感の低い感じの登場人物たち。 だけど、大事なのは『お仕事だから(仕方がない)』と思いつつも、目の前のことをやり続けること。 そして、「がんばってるやん、て自分に言うたげる」こと。 「他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる」から。 〜自分を幸せにできるのは自分だけ〜 誰かに幸せにしてもらおうとか、誰かを幸せにできるか、なんてそんなのナンセンスですね。 登場人物みんなが、ちょっとしたきっかけで前向きにお仕事ができるようになってほんわかしたラストで良かったです。 相談された人が相手に向かって 「知らん!自分で考えろ!」 って何回か出てきた‥‥その度に吹き出しました。 ですよね〜自分で考えて出した答えが正解なんですよね。

    56
    投稿日: 2021.06.03
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    寺地はるな作品 この作家さんの作品はお仕事と絡めたものが多いのですが、今回は遊園地。 ほたるいしマジカルランドの名物社長(大きな帽子にワンピースのおばちゃん)が入院。その間 社長の知人の青年 佑に遊園地の様子を見に行ってもらう。 遊園地の従業員たちのバックグランドや想いはそれぞれ。いろんな人間模様があって それを温かく見守る社長。 人が多すぎて(何の担当の人だっけ?)と話の中で迷子になってしまった。 ただ この作者さんの文体は ほっこりあたたかいので 読了感は心地よい。 梅雨のあいまに ゆったりと読んでみてはいかがでしょう。

    3
    投稿日: 2021.06.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。社長はあの人を想像するし、蛍石の名前からして場所もあのへんかな。遊園地は今はなきエキスポランドを思い出し、菊人形も出てくる。北摂に住んでたので思い描くだけで面白い。 ひとりひとりの悩みもあるし良いこともある。 日常ってそんなものやな。まだまだ続きそうなお話。

    2
    投稿日: 2021.05.31
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    読み進めていくうちにどんどん引きこまれていきました 最後の1/3はどんどんスピードが上がっていきました みんなに似たような、けれども同じではない日常と生活があること、そしてその積み重ねとしての人生がある 本当にその通りだなあと思う 自分がミスしたり落ち込む事がある時 誰かの姿と自分を比べたり 他人と比べたってしかたないってわかっててもしてしまう 羨望と憎悪は表裏一体 だけど、みんなそれぞれの人生を送ってるんだよね って当たり前のことを見れた気がします 本はいつでも自分は客観的に見れるから だからそんな当たり前を理解できるのかもしれないなぁ

    0
    投稿日: 2021.05.28
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    【収録作品】月曜日 萩原紗英/火曜日 村瀬草/水曜日 篠塚八重子/木曜日 山田勝頼/金曜日 国村左門/土曜日 三沢星哉/日曜日 すべての働くひと   地味に、誠実に、目の前のことをやるしかなく、その積み重ねが生きるということ。そんな自分を見ていてくれる人がいるという温かさが感じられる。

    3
    投稿日: 2021.05.25
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    限りなくリアルで、そして優しい小説だと思った。 これを読んだ人全てが登場人物の誰かと同じような思いをした事があるのでは。自分の現状に満足できてなかったり過去の後悔を引きずってたりしている事を周りの人のせいにして自己嫌悪に陥って、そこから抜け出せなくて。 でも、それでも人と関わる事を避けて通るのではなく、ほんの少し歩み寄る事によってほんの少しずつ現状を変える事ができるんだという事をふわっと教えてくれている。 寺地さんは何故いつもこんなにも人のマイナスの感情に寄り添えるんだろう?私もそんな人間になりたい。

    4
    投稿日: 2021.05.24
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    自分に自信がなくて、過小評価している人たちがたくさん出てくる。でも、周りの人は、その人の頑張りをちゃんと見てる。「いいな」と思っている。 自分の物語のように、励まされるお話ばかりだった。 家族、友だち、恋人、自分のことをちゃんと見てくれている人たちのために、もっと自分を褒めてあげたい。

    5
    投稿日: 2021.05.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    名物社長は某社長を思い出しますし、テーマパークは大阪の馴染みの場所、〇〇〇~を思い出しました。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。従業員がそれぞれの悩みを抱えてるんだなあと。 社長のもとに突然届いた「働くのがつらいです」という匿名のメール。誰だってその思いを抱かない人はいないんじゃあと思いつつ読み進めました。だれもが自分の人生の主役になって生きていかねばとならないんだよねと思え、力まなくても読めるほっとするお話です。緊急事態宣言下でいろんな思いや苦労をされているんだろうと思います。自粛生活で遊園地には全く行けてませんが、いつかがマスクを外して近隣のテーマパークに行ける日がはやく訪れることを願って☆5つです。

    2
    投稿日: 2021.05.13
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    3.7 ついつい、自分を過小評価してしまう癖ができてしまったけど、ほんの小さな事でも、自分を褒めてあげる癖をつけたい。今月1日も休まず仕事行けた、偉いぞ!私‼︎のような。当たり前って思われるかもしれないけど、当たり前のこと当たり前にやってる自分は褒めてあげたい。

    4
    投稿日: 2021.05.13
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    大阪の蛍石市にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く従業員達を主人公としたお仕事小説(著者は寺地はるなさん)。6つの短編(+1)が収録されておりで、それぞれの短編でさまざまな年齢層・職種の従業員を主人公としてその生活が語られる。従業員それぞれが固有の悩みを持っており、悩みつつも最後は解決していくのだが、その過程でほっこりとさせられる。ビジネス書の内容を小説に落とし込んだような話がいくつかあるのが興味深かった。

    1
    投稿日: 2021.05.04
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    唯一の完全オフである日曜日に読むには最適の一冊だった。適度なボリューム、複雑でないストーリー、そして温かい結末。こんな職場を創り上げたマジカルランド社長が格好いい。外注まで、社員全員を知っているだけでなく、それぞれをよく見ている。働いている人たちは幸せだ。 社長が必ず参加する毎日の朝礼では、「自分が好きなもの、もしくは今はまっていること」をテーマに、毎日順繰りに社員がスピーチ。好きなものを話す時、人は自然と笑顔になる、一日の始まりに笑顔を引き出すため、と社長が決めたらしい。これも格好いい。 大阪北部の蛍石市にある遊園地、ほたるいしマジカルランドが舞台。昭和初期の蛍石公園から続いている。社長・国井市子のトレードマークは白いフリルつきのワンピースとつばの広い帽子、そして両手の指八本には石のついた指輪が輝いている。その社長が入院、そして自らが必ず前面に立っていた広告への出演を、地元出身の若手女優に譲るという噂も。そんな中、各章の主人公それぞれが、過去のことやらモヤモヤした思いやらを乗り越えていく。

    1
    投稿日: 2021.05.03
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    関西の遊園地が舞台。様々な従業員の悲喜こもごも。メリーゴーラウンドオタクや真面目なインフォメーション担当、離婚して息子を夫に取られた清掃担当、Twitterで見かけた女性を好きになったメリーゴーラウンド担当など。 爽やかなのにしっとりした人間ドラマ。面白かった。 <「はたくんLOVE」などと蛍光色で書かれた巨大なうちわをつくっている妻の姿など、あまり積極的に見たいものではない。一度など、部屋でライブのDVDを流しながらひとりで光る棒を振って一心不乱に踊っているのを目撃して動揺したが、照代は「だってファンなんやもん」と平気な顔をしていた。楽しげな妻の姿を見るたびに腹の底から沸き上がるこの感情の正体を知りたくない。嫉妬では断じてないはずだが、なにかほの暗いものであることはたしかだ> 正体を知りたくない感情。巧い。 <他人は自分の人生ドラマに現れたり消えたりする登場人物のようなもので、だから当然入れ替わりがある。端役だと思っていた相手が急に重要な役をつとめたり、準主役だと思っていた相手が急に消えたりする。生きていたらそういうことの繰り返しだ> 生きるとは人生というドラマを観ることなのかも知れない。

    3
    投稿日: 2021.04.27
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    作品紹介・あらすじ 大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る。

    0
    投稿日: 2021.04.16
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    寺地さんの本は、読み終わったらいつも「この本抱きしめて寝よう…」て思う。この物語に、この人たちに、出会えてよかったっていつも思う。そうだよね、そうなんだよね、うん、私も頑張るね、なんかもうダメダメだと思うこともたくさんあるけど、と力を抜いて、背筋を伸ばせる。 こういう物語で涙が浮かぶ。ぎゅってなる。そういう物語が、私は本当に好き。

    9
    投稿日: 2021.04.15
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    連作短編7篇 マジカルおばちゃんと言われる社長の入院,そこに現れた秘密の調査員,狂言回しのように登場した祐ののほほんとした立居振る舞いが,マジカルランドで働く人々に幸せの魔法をかけていくそんな物語.

    0
    投稿日: 2021.04.14
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    「ほたるいしマジカルランド」という大阪の遊園地で働く人々を描く。強烈な個性を持った社長の社員に対するあたたかな眼差しが良い。

    0
    投稿日: 2021.04.13
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    自分の居るべき場所とか、自分がどう思われているのか、つい考えがち。そして、考えても答えはいつも出てこない。 なのにふとしたことで、自分の考えが覆えったり世界が広がったりする。そして、いくら考えても出なかった答えが見つかったような気さえする。 マジカルランドの人々の人生を覗き見して、目の前のことをしっかりやって、好きなことを大切にしなきゃと教えてもらった。 マジカルランドに行って2階建メリーゴーラウンド、いやフローライトスターダストの一角獣に乗りたいな。 のがみの話、もう少し聞きたかったなー。

    3
    投稿日: 2021.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    遊園地で働く人々、笑顔でがんばる裏にはたくさんの人生と苦労や悩みがある 当たり前のことなのだけれど気づかされることがあった 複雑な家族の物語が多く、特に八重子さん…息子との別れがつらい 元夫は何年経っても変わらないんだなと残念、でも再婚相手は素晴らしい方のよう(離婚理由が不妊なので自分もつらい思いをしたのかな) 息子との一瞬の邂逅にはうるっとしてしまった 佑や幹を掘り下げた物語も読んでみたかったな

    0
    投稿日: 2021.03.31
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    ほたるいしマジカルランドで働く人達それぞれの、小さな物語が連なった連作短編集 清掃員として働く篠塚八重子さんの物語が一番刺さった。 おにぎりのサインに泣いた( ;∀;) 語られなかった『のがみ」の野上さんの話もいつか読めたらいいな

    30
    投稿日: 2021.03.29
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    篠塚八重子さんの話が印象的。 ロサ・レビガータ素敵。 これ、続きあるかな? 佑と佐門の話がもっと知りたいし パートから社長になった話も。 遊園地に行きたくなった。

    0
    投稿日: 2021.03.26
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    遊園地のスタッフの話し。 月曜日から日曜日にかけて各曜日毎に違うスタッフの話が展開する。 佑みたいに飄々とした生き様に憧れる。 淡々としているようで、ジンワリ暖かくなった。

    0
    投稿日: 2021.03.25
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    ほたるいしマジカルランドの従業員さんたちのお話。 ひとりひとりにストーリーがある。日常の小さな幸せを見つけて、コツコツ生きていくことが大切だと感じました。

    0
    投稿日: 2021.03.19
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    遊園地を舞台にしたお仕事小説。 様々な職種があって、その中で、人を羨んだり、コンプレックスを抱えた人たちが集まっている。 初めはネガティブだった主人公たちも、自分の今の仕事に、前向きに頑張っていく姿が微笑ましい。 一番の魅力は社長の市子さんかな。 市子さんの言葉、一つ一つに励まされた気がする。 生活には必要のない施設での仕事、存在意義。 市子さんの言葉の中で一番励まされた。 こんな時期だからこそ、かもしれない。 カバーイラストとカバーを外したところのメリーゴーランドが可愛くてとても素敵。裏表紙のイラストもかわいい。

    7
    投稿日: 2021.03.17
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    遊園地で働く人たちのお話。優しいテイストで読みやすく、癒し効果をもたらす。ハラハラドキドキは無いけれど、こういう小説もアリだなと思った。

    0
    投稿日: 2021.03.11
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    蛍石市にある遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く人達を主人公にしたお仕事小説。月曜日から土曜日まで、1人ずつが主人公となる連作形式で、日曜日は全員が顔を揃える。従業員はそれぞれなにかしらの問題を抱えているものの生死に関わるような深刻なものではなく、仕事の内容も基本的に接客なのでさほどの興味ももてない。つまらなくはないが得るものはなかった。信頼の寺地作品なのでちょっと残念だ。

    0
    投稿日: 2021.03.03
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    大阪の遊園地・ほたるいしマジカルランドで働く人々を描く連作短編です。 登場人物はみんなどこかに小さな瑕疵を抱えています。自信が無かったり、高慢だったり、かつて酒で失敗したり。一方でそれぞれが良い所も持っていて、それらが組み合わさって、あえてテーマパークを名乗らない老舗の遊園地を支え、自分達も成長して行きます。 いかにも寺地さんらしい、あたたかなお仕事小説です。 ただね~、ちょっと人物が多すぎ、伏線も張りすぎで、スッと読み切れず、全体の印象がぼんやりしています。ちょっと消化不良。もう少し枝葉を切り落とし、そのぶん深く描いた方が良かったように思えます。 人気が出て来た寺地さん、エライ勢いで新刊が出てますが、薄まらなければいいですがね。

    0
    投稿日: 2021.03.02
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    巷で流行りの異世界への転生が我が身に起きるのなら、イケメン騎士に見初められたり勇者になって戦うより、わたしは寺地はるなさんの物語の登場人物になりたい。 殊に、本作を読んでそう思う。 わたしもほたるいしマジカルランドの従業員になりたいし、いやむしろ、ここに通う常連客のモブキャラでいいから転生したい。 自分の生きる世界とは決して遠くない、でも少しだけ現実より優しくなれそうなこの世界で、生きてみたいと強く思うのです。 紗英ちゃんと焼き鳥食べに行きたいし村瀬がメリーゴウランド眺めてる姿を盗み見してみたいし、八重子さんと同じ定食屋の別の席でお昼ごはん食べたいし山田さんには奥さんと一緒にサイリウムぶんぶん振りたい。左門の肩をそっと叩きたいし三沢におまえなぁとうざい感じで声をかけたい。 この世界で息をして、生きてみたい。 なんのためにはならないけれど、豊かなもの。 帯の言葉はまさにそれで、この世界には確かに豊かなものがある。 豊かなものはなにも特別でキラキラと輝くものではなくあたりまえのようにそこにあるもの。 それを恩着せがましくなくさりげなく気づかせてくれる寺地はるなさんこそ、豊かな作家なのだと思います。 彼女に命を与えられる人たちが羨ましい。

    5
    投稿日: 2021.02.14