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恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
エイミー・C・エドモンドソン、野津智子、村瀬俊朗/英治出版
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総合評価

89件)
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    依頼いただいている研修で「心理的安全性」を扱うこともあり、いつか読むであろうと積読していた本書を読んでみることに。英治出版の組織系の本はそんなにハズレはないと思うので、予想通りの良書。おそらく組織でリーダーという立場を担っている人は読んでおいて損はない。同時に「心理的安全性」がリーダーの責務であると強く打ち出すのは重荷になりすぎないか?という懸念も。「心理的安全性」は組織にいる人全てのBeingに関わっていると思われ、やはり個々のBeingを深めることが大切であるように感じた。著者も最後に、好奇心や思いやりに触れているので、おそらくそう思っているのだろう。本書の事例の中では、アパレルブランド「アイリーン・フィッシャー社」社長のフィッシャーさんのあり方は素敵だった。

    0
    投稿日: 2025.11.25
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    本書は近年注目を集める「心理的安全性」について、さまざまな事例を用いてわかりやすくに解説している。読了後、私はそれまで抱いていた「心理的安全性」に関する誤解に気づかされた。 一般には「心理的安全性」を、自由に発言でき、ストレスが少なく、守られた環境として捉える傾向がある。しかし、本書が示すのは、それが単なる「安心」や「緩さ」ではなく、むしろ組織が学習やイノベーションを推進するための土台であるという点だ。重要なのは、いかなる意見も尊重され、真摯な議論を通じてチームが課題に立ち向かう姿勢である。 このプロセスは反対意見に対しても真摯に受け止める必要もあるため、一見負荷を伴うように思えるが、適切なリーダーシップの下では前向きな挑戦へとつながる。むしろ威圧的なリーダーの元で話しにくい環境下において反対意見のない議論のほうが脅威であることにも気づかされる。ただし、心理的安全性を提供するリーダーには不断の学習と実践が求められるが、その努力こそが組織全体の成長を促進する。 私は本書を通じて、心理的安全性が単なる「働きやすさ」を超え、組織の躍進に不可欠な要素であることを理解した。さらに、自らの職場においてそれをどう実現すべきかを考える契機ともなった。勉強を好まない自分が不思議と意欲を持てているのは、この概念が持つ説得力ゆえだろう。 心理的安全性は理想論ではなく、多様化の時代において実践すべき必須なものである。本書はそのことを強く読者に訴えかける一冊である。

    23
    投稿日: 2025.08.25
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    恥ずかしながら心理的安全性という単語をこれまで耳にしたことすらなかった。 以下、大事な概念なのであらためてメモ。 心理的安全性=助けを求めたり、過ちを認めたり等対人関係のリスクをとった時、制裁を受けるような結果にならないと信じられること。 つまり、あなたが言いたいあらゆることに対して無条件の支持を得られるということではなく、組織の中で、率直であること(建設的に反対したり、意見を正直に述べたりすること)が積極的に認められる空気感のことなのかなと。振り返ってみると、良い職場ではそういう空気感が自然と醸成されていたし、他方何もかもうまく行っていない職場では到底ミスは許されなかったような気がする(特に某物資班)。霞が関でのことを思い出すと、ここにある「ヒエラルキーがあると心理的安全性が低くなる」というのは本当にそうなんだなと実感する。あそこはヒエラルキーがいまだにギンギンで存在してたから、そういう意味では勤労統計の誤記載みたいなケースがこれからもあるんだろうな〜と推測。話は脱線したが、こういう組織の雰囲気づくりはやはりリーダーがもたらすものが大きいらしく、フォルクスワーゲンの失敗から学べるのは「報告がないのは仕事が順調である証だと信じている」愚かなリーダーは組織を破滅に導くということ。自分がリーダーになったときには、自ら過ちを認め、わからないことはわからないと言い、率直であることを大切にする文化をいかに醸成していくか、ここに注力していきたいな。

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    投稿日: 2025.07.18
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    人当たりが良いことが恐れのない組織ではなく、嫌なこともきちんと言い合えるのが恐れのない組織であるということ 恐れのない組織の方がミスの報告率が高いというのにも納得 実践は難しそうだな。。

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    投稿日: 2025.06.25
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     お仕事の関係で、心理的安全性について興味を持っています。単にぬるい環境ではなく、学習・イノベーション・成長をもたらすというのが、ポイントです。  p.282 リーダーのパラドックスとは? というのが心に残りました。「リーダーとメンバーの感覚にはズレが生じやすいという『構造的問題』がある。」ということを肝に銘じていきたいと思います。

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    投稿日: 2025.06.22
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    信頼は個人間、心理的安全性は集団のもの。 心理的安全性を持つ組織であるには、リーダーの振る舞いがとても大事。 →土台を作って、参加を求め、生産的に対応する。 メンバーでも、適切な質問を投げかけることで貢献は可能。 (だが、リーダーの比重が大きいと本書を通読して感じた) 心理的安全性がないと大変よ、は色々と事例で示されている。しかし、前提となる心理的安全性の重要さに問題意識のある方は第7章だけ読めばOKかなと感じた。 本書はHowだけ読みたい方には不向き。 わたし個人としては、心理的安全性の欠如した職場で働いていて問題意識はあるものの、メンバーという立ち位置から現状を解決するのはなかなか長い道のりと感じた。

    14
    投稿日: 2025.06.12
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    「心理的安全性」を最初に唱えた研究者による本。気がついたきっかけは医療現場での事故の調査だったとか。気持ちの問題じゃあいのね。もっと早く読めばよかった。

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    投稿日: 2025.04.29
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    Google が研究成果を発表してから一気にメジャーになった「心理的安全性」の概念の元ネタ提唱者の本。内容は薄く広くという感じで、全体像がまとまっているし、実践方法もある程度書かれていて悪くはない。 ・・・のだけど、前著『チームが機能するとはどういうことか』の方が実践面での内容が濃くて、個人的には好き。本書を入門編、『チームが〜』を実践編として読むのが良いと思う。

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    投稿日: 2025.01.03
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    組織の中で心理的安全性を確保することの重要性と確保することは、言葉いうほど単純ではない。福島の原発の話も取り上げられており、表面的な原因は説明できるけれど、教訓として将来に活かして行くには、様々な人の意見を聴く耳を持つという組織風土づくりが重要である。著者がこの心理的安全性にたどりついたのは、バックミンスター・フラーの組織に勤めた経験が生かされている点も大変興味深い。

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    投稿日: 2024.11.25
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    Howでなくて定義と結果が示されていた。 心理的安全性とはの定義。 心理的安全性がない場合、ある場合はどうなるか。 どうやって心理的安全性が高い場所にするかは示されてない。 研究論文にしては、定量的なデータもなし。

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    投稿日: 2024.08.01
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    心理的安全性は、従業員特典などではない。VUCA世界で高パフォーマンスを上げるために不可欠なものである。

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    投稿日: 2024.07.30
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    参考になった。 組織はどうしてもトップダウン型になりやすいので、バランスを取るのが難しいなと、改めて思った。

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    投稿日: 2024.07.16
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    組織の雰囲気に臆すことなく気兼ねなく自分の意見を表現できる心理的安全性こそ価値創造の源として絶対に欠かせないものとして、その必要性と生み出すためのティップス的な情報をまとめている本。心理的安全性は、単なる職場の個性ではなく、リーダーが生み出せるし生み出さなければならない職場の特徴であり、その重要性を強く訴えている。 主張内容自体はシンプルで分かりやすい一方、事例紹介が多くアプローチ論には達してない印象。同様のメッセージを繰り返さすための事例持ち出しがややくどく感じる。

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    投稿日: 2024.07.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    心理的安全性とはなにかについてかなり理解できたと思います。 心理学安全性を経験する最良の道はすでにそれを手に入れているかのように行動することかもしれないと述べられていたので、以下のようなフレーズで周りに働きかけてみようと思いました。 - わかりません。 - 手助けが必要です。 - 間違ってしまいました。 - 申し訳ありません。 - どんな手助けができますか。 - どんな問題にぶつかっているのですか。 - どんなことが気がかりなんですか。 以下簡単な要約です。 心理的安全性が高いとは、対人関係のリスクを取っても制裁を受ける結果にならないと信じられる環境のことです。ここで言う対人関係のリスクとは質問したり支援を求めたりすることやミスを認めることなどです。 人は元々事なかれ主義的な側面があり、沈黙の文化に陥りがちです。悪印象を持たれることへの不安や仕事上の人間関係が悪くなることへの不安から口を閉ざしてしまうのです。 例えば職場で「確実なデータがないなら何も言ってはいけない」「上司の上司がいる場では意見を言ってはいけない」のような暗黙のルールが存在しているなら(これらは意識していない可能性もあります)、沈黙の文化に侵されている可能性が高く注意が必要です。 もし不安により発言できなければ、意見や気づきを述べることができず知識の共有が行われません。もし失敗が許されなければ、皆かつて成功した方法にいつまでもしがみつくことになるでしょう。 心理的安全性の重要性はプロジェクトアリストテレスなどでも広く知られている事実です。 心理的安全性を作るには大きく分類して3つのステップがあります。土台を作る、参加を求める、生産的に対応する、です。 まずはどのような発言であっても歓迎されることや、失敗は許容されるが失敗から何かを学ぶことなど、意識を改革して土台を作る必要があります。 そしてチームの参加を求める必要があります。謙虚な姿勢で「わからない」「助けが必要だ」ということをアピールし、心理的安全のエリアを拡大していきます。また他人に心から関心を持つことで参加を促すことができますが、人はナイーブリアリズムにより関心を持てなくなりがちなので気をつけるべきです。 周りから発言や失敗が引き出せるようになったら、生産的な対応をします。まず発言した勇気に対して感謝を表し、失敗は讃えられるべき存在だと伝えることが大事です。ただし失敗から何も学ばないのであれば、適切なフィードバックが必要です。 心理的安全性は一度できたら終わり、というようなものではありません。心理的安全性があれば成功できる、というようなものでもありません。そこからがようやくスタートです。 心理的安全な組織である上で、学び続け、適応し続け、変わり続ける必要があるのです。

    0
    投稿日: 2024.05.24
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    無知だと思われたくない? それなら質問するな。無能に見えたくない? それならミスや弱点を認めるな。事態をややこしくする人間だと言われたくない? それなら提案するな。 確かに潜在的にこんな意識が根付いてしまっていると思った。もう誰かのためや誰かにどう思われるかではなく、自分を主軸に考えていく時代なのだとつくづく感じた。

    1
    投稿日: 2024.05.02
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    エンジンであるソース理論、骨格となるティール組織、文化性としてのフィアレスな(恐れなき)組織、この三つが三位一体になって、多様性の中で知的共創が必要不可欠な21世紀の新しい組織が生まれるのではないかと思った。 いうは易し行うは難し。しかし、調査設計などはうまく具体的に例示されているので参考になる。

    0
    投稿日: 2024.04.10
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    心理的安全性について、様々な観点から丁寧に説明しています。同時期にセムラーイズムを読んでいて、学術的に説明したらこうなんだろうなという感じです。読みやすかったと思います。

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    投稿日: 2024.03.18
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    心理的安全性とはこういうことだったのか。がわかる作品です。心理的安全性とは、対人関係の不安を減らすことだと認識しました。 日本の人事部主催 HRアワード2021書籍部門優秀賞受賞! 『チームが機能するとはどういうことか』の著者であり、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている、エイミー・C・エドモンドソン教授最新刊! 篠田真貴子氏(エール株式会社取締役)推薦! 「心理的安全性ってそういうことだったのか! 心理的安全性の解釈が人によって違うことが気になっていた。しかし、本家本元による本書を読んで、すっきりと整理ができた。心理的安全性とは個人の資質ではなく集団の規範、ぬるい環境というよりもむしろ成果志向の環境なのだ。失敗と成功の事例を通して、このコンセプトへの理解が深まり、実践への示唆が得られるだろう。「恐れ」から解き放たれれば、私たちはもっと大胆に行動できる。」 Googleの研究で注目を集める心理的安全性。 このコンセプトの生みの親であるハーバード大教授が、 ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例を分析し、 対人関係の不安がいかに組織を蝕むか、 そして、それを乗り越えた組織のあり方を描く。 目次 はじめに 第1部 心理的安全性のパワー 第1章 土台 第2章 研究の軌跡 第2部 職場の心理的安全性 第3章 回避できる失敗 第4章 危険な沈黙 第5章 フィアレスな職場 第6章 無事に 第3部 フィアレスな組織をつくる 第7章 実現させる 第8章 次に何が起きるのか 解説 村瀬俊朗

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    投稿日: 2024.01.03
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    「今の職場は自分の意見を発信しづらい。上司の顔色を伺ってしまう。」と考えている方におすすめの一冊です。 対人関係の不安を最小限に抑え、チームや組織のパフォーマンスを最大にする重要性が分かります。 心理的安全性のない組織で起こった問題と、確保されている組織で起こった成功の実例をそれぞれ紹介してくれます。 フィアレスな組織を作る方法を知りたい方は、ぜひ一度読んでみてください。

    1
    投稿日: 2023.12.13
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    『ナレッジ・マネジメント特論』のテキストとして輪読。 僕は「心理的安全性」を誤解していた気がします。いま、『ティール組織』も別な授業で輪読していて、どうしても今一つ共感しきれないし、どう自分の中に取り入れていけばいいかわからないのですが、この『恐れのない組織』は自分がかかわる組織には根付かせたいと強く思いました。 心理的安全性があればすべてがうまくいくわけではないですが、これがない組織の成功は短期で崩れてしまいそうな気がします。

    0
    投稿日: 2023.12.12
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    心理的安全性が高い組織というのは単に誰でも何でも発言できるとか緩い雰囲気とかいうものではないこと、 また心理的安全性の高さを醸成し維持するには構造づくりを意図的に仕掛けなければならない、ということは理解できた。 ただ、その構造の仕掛けの具体さがちゃんと腹落ちできていないので、もう一回読み返そうと思う。

    1
    投稿日: 2023.08.20
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    近年話題になった心理的安全性に関して詳細に解説している本。 あまり詳しくはないのですがたぶんこの方が提唱している? 心理的安全性とは何なのか、なぜ必要なのか、どのように確保するのかを豊富なケーススタディを挙げつつ解説してくれる。一方で、内容はとてもボリューミーなので読んでいる最中に段々飽きてくる瞬間も正直あった。 それでも書いてある内容に関しては概ね同意で、心理的安全性が確保されていないより絶対確保されている職場の方がイノベーションが起きやすかったり、リスクが回避されやすいように感じた。

    1
    投稿日: 2023.08.13
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    組織においていかに心理的安全性が重要であるかを複数のケースを交えて学べる本。 私個人としては感覚的にこれの大切さが分かっていて、 学生時代のアルバイト経験や社会人時代の各部署などで、小さな単位のチームのおいて"雰囲気づくり"として意識的に取り組んできた。 この本で定義する"心理的安全性"はまさに私が実現したかった"雰囲気づくり"だった。 特に学びが大きかったのは、 これを大きな単位での組織で実現したケースを知れた事と、心理的安全性を実現するために必要なプロセスやポイントが体系的にまとめられていた点。 最終的になぜ"雰囲気づくり"を大切にしたさったのかまでリンクさせることができたのは大きな収穫。 オススメしてくれた岸くん、ありがとう。

    3
    投稿日: 2023.08.04
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    まあ心理的安全性は単に雰囲気良くするって話じゃなくて生産性を高め成果を上げるために必要なものですということ。 心理的安全性はリーダーが作ると明記されており自分がやらねばならぬとクリアになった。また失敗にも種類がありなんでも承認するものでもないというのは確かに。 事業会社では率直にものを言えばよさそうだが、コンサルやベンダーの立場ではどうか。自分の影響の範囲では長期的な失敗を最小限に抑えて生産性を高めるために、やはり確立していくのが良いだろう。

    1
    投稿日: 2023.07.24
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    心理的安全性とは、いかに重要か、どんな成果をもたらすかについて、多くの企業の事例を元に様々な視点から書かれている。読みやすいし、わかりやすい。 信頼との違い、リーダーとの認識の違い、リーダーじゃない私でも心理的安全性のためにやれること、、今後に役立つことが多く書かれていた。 失敗を恐れず、報告を恐れず。上の立場になるほど自分から発信して言いやすい雰囲気を作ることを意識したい。

    1
    投稿日: 2023.07.19
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    有名な心理的安全性を中心に論述されており一読の価値あり 翻訳本にありがちなくどさと言うか読みづらさはあるのですけど線を引きながら二回くらい読みました  リーダーシップをとる立場の人は必見ですネ

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    投稿日: 2023.07.15
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    わたしは、 •人がミスをするのは体制や仕組みのせいだから、誰かがミスをしたなら、その人1人の反省ではなく、体制や仕組みを変えるべき •人を変える唯一のものは環境 という論調派なので、 この「心理的安全性」論にも大賛成。 なので、ふむふむ、そうだよね、こんな職場でいられたらみんな楽しいよね、と思いながら読んだ。 「楽しく働こう」という上司に何人か出会ったけど、それが実現されてるか口だけのものかは、心理的安全性の有無によるものだったと思う。 その会社で地位を築いてる人や失敗の怖さを知らない新入社員みたいな、大体なんでも言えちゃうぜ•許されるから、という人たちじゃない人たちが、のびのびと自分の意見を言える場所。 そんな会社が日本にたくさん増えて、イノベーション起こしていってほしい。

    3
    投稿日: 2023.07.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者のエドモンドソンは、昨今よく耳にする「心理的安全性」の震源地と表現しても良いだろうか。心理的安全性の概念はニュースサイト等でもよく紹介されており、多くの企業でも紹介されている事であろうが、実際に実践できている企業は著者の指摘する通りほとんどないだろう(特に典型的な日本企業やトップダウン型の中小企業で実践するのは相当に難易度が高いように思われる)。本著作を読み、重要と思えるポイントについて記録しておく。 〇心理的安全性の前提条件 組織のリーダーが「心理的安全性は大事だ。思うところがあれば何でも言ってくれ」とメッセージを発するだけで実現すれば苦労はしない。自分なりに心理的安全性をかみ砕いて表現すると「組織をより良い形にしたいと思っていたり、目標を達成したいと思っているメンバーが意見や考えを言う事に対して心理的な障害が一切なく、組織風土に対する信頼が担保されている状態」と言える。組織がこの状態になるには、組織風土レベルで心理的安全性がインストールされる事が前提条件となる。 〇達成するためのプロセス とはいえ、心理的安全性を達成するためには、各組織のリーダー(ミドルマネジメント)が中心となって組織風土を変えていくしかないだろう。 どうすれば心理的安全性を備えた組織を実現できるかのプロセス(リーダーにとってのツールキット)は7章で以下のようにまとめられていた。 Ⅰ.土台を作る(期待と意味の共有) ・仕事をフレーミングする  →失敗、相互依存性、不確実性を当たり前として率直な発言の必要性を明確にする ・目的を際立たせる  →何故重要か、誰にとって重要かを明確に伝える Ⅱ.参加を求める ・状況的謙虚さ  →完璧ではないと認める ・発言を引き出す問い  →探究的な質問を行うと共に、集中して「聴く」姿勢を見せる ・システムと仕組み  →意見を募るためのプラットフォームやディスカッションのガイドラインを作る Ⅲ.生産的に対応する ・感謝を表す  →耳を傾け、意見に対して感謝をする ・失敗を恥ずかしいものではないとする  →目先の失敗による損失ではなく、未来に目を向ける。次のステップに向けて話し合い熟慮しブレーンストーミングをする。 ・明確な違反について処罰する 上記のうち、特に重要と感じたのは「失敗」に対するリアクションの部分だった。日本では教育システム自体が「失敗を回避して行動する主体」を育てるプログラムになっている事から、社会においても失敗を許容しない文化が根強いと考えられる(「すずかんゼミ」で有名な慶應技術大学の鈴木寛先生は、マークシート方式のセンター試験にその傾向が如実に現れていると指摘していた)。失敗を前向きに捉え、財産として運用できている組織は少ないのではないだろうか。特にR&Dの世界では、失敗を次のステップにどのように活用するかが成果に直結することから特段重要と言える。 〇心理的安全性の脆弱性 築き上げるのは途方もなく困難だが、崩すのは一瞬である。誰かの発した意見に感情的に激昂して叩き潰せば、それだけで脆くも崩壊する。感情をぶつけられた方が率直な意見を再度言う事は二度とないだろう。なんとなくだが、「自我」と「理性」を分離できておらず、混同してしまっているがために、仕事において感情が表出するのだと思われる。仕事は自分の「理性」がしているのだ、という感覚を持てば、仕事において「自我」が表出することはないのではないだろうか。 〇雑感 組織論においては、1960年代にフィドラーにより提唱されたコンティンジェンシー理論(普遍的に正解となるリーダー像は存在せず、状況により求められるリーダー像は変わる)が有名だ。確かに、ひと昔前の時代は、目的が明確であり「こうすれば正解する」という共通認識が組織全体に行き渡り、有無を言わさないトップダウン型のマネジメントがフィットしたのかもしれない。フォルクスワーゲンの「ディーゼルショック」の失敗が本著作でも語られていたが、フォルクスワーゲンはトップダウンのひと昔前のマネジメントで劇的な成功を収めた事実はあるものの、マネジメントの負の側面が表出してディーゼルショックに繋がったと分析していた。コンティンジェンシー理論で解釈すると、機械的組織(官僚型組織)から有機的組織(協調型組織)への移行が環境の変化に対してうまくいかなかったと解釈できるが、心理的安全性に関する本著作を読むと、機械的組織における過去の成功はたまたまであって「幻想」に過ぎなかったと解釈できる。本著作はコンティンジェンシー理論を超越して、普遍的なリーダー像を提案しているのかもしれないと感じた。昨今のVUCAの時代においては特にその重要性が高まっているのだろう。

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    投稿日: 2023.07.05
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    心理的安全性を作り出すためには、そのための知識の布教、システムの構築が必須であることが伺える。誰にでも、どこででも実現可能性がある点は、社会変革という視点から言って希望のある話だ。 「対話」と「失敗」を繋ぐ概念が正にこれなのだろう。失敗を未然に防ぐために必要なのが心理的安全性に根差した人間関係、それを産み出す手法としての対話という場。 人間は対立、淘汰といった恐怖を生み出す組織も、それのない協働を可能にする組織も両方とも作り出すことができる。どちらかといえば前者のほうが簡単というところに人間の哀しさを見る思いだ。 理屈は分かった。やれることからやってみよう。

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    投稿日: 2023.06.10
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    組織のあり方、心理的安全性について書かれた本 第7章が要約のようになっている 各章の最初に名言が書かれており印象的 ・CEOとして最も恐れるのは、社員が真実を話そうとしないことだ ・上司の考えがわかるまでは、言いたくない ・してしまったことに対する後悔は時間が和らげてくれる、しなかったことに対する後悔はどんなものも慰めにならない ・恐るべきは死ではない、充実した生き方ができていないことをこそ、恐れるべきだ ・利口かどうかは答え方でわかる、聡明かどうかは問い方でわかる ・学習を妨げる最大の敵は、すでに持っている知識だ 不安にはやる気を引き出す力があると信じているマネージャーは多い 心理的安全性は感じよく振る舞うこととは関係がない 心理的安全性は率直であること、建設的に反対したり気兼ねなく意見交換できること 会議では礼儀正しく話をするが、廊下で個人的に話をする時は賛同できないと言い、結局会議で話し合った結果が実行されないことがある エンゲージメントは自発的に仕事に取り組む熱心さの指標 グーグルXは失敗したらインセンティブを出す 安心して失敗できる環境を作る 失敗できないことが本当の失敗である 明らかな違反に制裁措置をとる事は心理的安全性を損なわない 失敗は3種類 ①回避可能な失敗:プロセスからの逸脱 ②複雑な失敗:システムの破綻 ③賢い失敗:うまくいかなった試み

    1
    投稿日: 2023.05.20
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    心理的安全性は特典ではなく不可欠 これがあればいいわけではないが、メンバーが能力発揮するには不可欠で、避けられる失敗を回避できる、出来るはずのことができないというケースを回避するのに有用 信頼とも心地よさとも違う はっきり意見を言える環境づくり 公私共に制裁を受けないという安心感 よくあるケース ・上司の面子を潰さない(から黙る) ・確証持てる論拠がない  →批判だけでなくアイデアも言えなくなる 異論反論を述べ、データを共有し、実際に起きていることを積極的に報告するよう社内の人を促し、絶え間ない学習と機敏な実行力を生み出す 組織戦略は仮説、実行で検証する アジャイルアプローチが必要 悪い知らせを先に出した方が将来の大失敗の影響を軽微にできる 議論する際のポイント 1.建設的に、個人についてではなくプロジェクトについて話す 2.相手に強制をしない(リーダーが却下ok) 3.あら探しではなく共感の観点でフィードバックする 議論に勝とうとしてはいけない、議論は探究 素直さ+透明性+失敗から学ぶこと+衝突による解決 無知の人になり、謙虚に耳を傾ける 失敗できないことが本当の失敗 使命感+思いやりのリーダーシップでメンバーは意欲的になる ツールキット 1.土台を作る  仕事のリフレーミング  目標を際立たせる 2.参加を求める  状況的謙虚さ、完璧を求めない  探究的な質問をして集中して聴く  +その姿勢を見せる  仕組みとプロセスの確立 3.生産的に対応する  感謝と失敗を恐れない・恥ずかしがらない  →システムデザインの改善やトレーニング   などの抜本対策につなげ、素早く学習  明らかな違反への制裁措置 上司は答えを持っていて命令するのではなく、方向性を決めて、考えを明らかにしてもらうことで方向性に磨きをかけ、絶えず学習し卓抜するための条件を整える役割 部下は貴重な知識と知恵を持つ貢献者 知らないと素直に認めることが信頼を得ることに繋がる インクルーシブリーダーシップの特性  気さくで話しやすい  自分が完璧でなくミスすることを自認  発言しやすいように意見を求める 出てきた結果から積極的に学ぶことが条件 社会的地位の低いメンバーは空気を読んで歩調を合わせるのでリーダーより正確に職場の雰囲気を把握できる

    0
    投稿日: 2023.05.07
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    読み始めてから読了までに、とっても時間がかかってしまったけど、決して面白くなかったわけではなく、とても参考になる本だった。 ある方が本書を紹介していて、漠然と、「恐れのない組織って、きっと従業員が働きやすい環境を整えてるんだろうな。」と思い、そういう組織作りを知りたいと、購入。「従業員が働きやすい」環境や仕組み作り以前の、もっと精神的な土台になる話だった(と思う)。 リーダーが従業員ひとりひとりとその考えを大事にすることが良い組織への第一歩であるということが当然であるとして、その「大事にする」ということが、つまり本書で論じられる「心理的安全性が確立されている」=「恐れのない組織である」ということなのだと、私は解釈した。 この重要なキーワード「心理的安全性」とは、率直に発言したり懸念やアイデアを話したりすることによる対人関係リスクを安心してとれる環境、と定義されている。重要な点は、この心理的安全性を確立するのに、個人の資質は関係ないということ。つまり「無口な人」だから、「自分の意見を言わない人」だからという資質が要因で、発言したり話し合ったりできないわけではない、ということ。 まず、前提として、みんな常に意識的にも無意識的にも対人関係リスクに対応していて、アイデアや疑問を率直に話し合うのを制限している。つまり心理的安全性を欠いた組織が多いということ。 心理的安全性を欠いた組織がどんなに大きな失敗をしたか、時には関係者の死につながってしまう実例があげられ、逆に、心理的安全性が確立された組織では、いかに学習、エンゲージメント、パフォーマンスに素晴らしい効果があるかが、これも実例をあげつつ述べられている。 そして、この心理的安全性の確立は、リーダーの責務であるとして、リーダーはどのように心理的安全性を確立したフィアレスな組織をつくることができるのかという点で、「土台をつくる」、「参加を求める」、「生産的に対応する」の3つの行動が必要と論じられる。 詳細は本書を読んでいただくとして、やはりリーダーのあり方が肝心要なんだと思った。特に、発言をしてくれた人にまず感謝を述べる(意見や反論はそのあとに述べればよい)、謙虚になる(わかならいから教えて欲しいと恥ずかしがらずに言えること)、発言を引き出す問いかけをする(「どれだけミスしたか?」なんて言っても誰も答えたくない)、失敗を恥ずかしいものではないとする(これ、本当に大事。だいたいにおいて日本人は、失敗をダメなものと捉えがち)というところは、とても参考になった。 ただ、ここで大事なのは、「心理的安全性」への一歩を踏み出せるのはリーダーだけでなく、誰でも行動できるということだった。 これから組織において大なり小なりグループのリーダー的存在になることがあるかもしれない。その時には、これを思い出そうと思った。 とても参考になる書籍だった。

    24
    投稿日: 2023.05.01
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    最近は、就活生に対し多くの企業が、自社の心理的安全性の担保を必ず説明する時代に突入したらしい。 著者の研究者としてのバランス感覚と科学的因果関係の説明は、ともすれば神話化しそうな心理的安全性を目の前の現実として理解することが出来る、そして簡易なことばで誰にも効用が説明できる次元までナビゲートしてくれる。人類に対する愛を基調にしたやさしさをなぜか感じる素晴らしい書。

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    投稿日: 2023.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

     「心理的安全性」について学ぶために図書館で借りた。  まったくの偶然だが本著者はこの分野の第一人者であることを読んで気付いた。著者は1990年代から心理的安全性に関心を持ち、もう30年近くこの道ひと筋で研究、実践、教育に努めている。  とにかく「不安」「恐れ」を抱えた職場は短期間では成果を上げたとしても長期間は耐えられない。まして企業に内在する「不安定性」「不確実性」「複雑さ」「曖昧さ」を克服するには、リーダーは従業員同士で安心、安全な環境を構築できる環境を構築することが肝要だ。  なるほど、心理的安全性、しょっぱなに概論を学ぶにはこの上ない良書だった。

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    投稿日: 2023.03.28
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    分からないものを素直に聞く、自らの失敗を語るなど、リーダーとして意識したいポイントが多い 「 沈黙はリスク」は日本的な企業や組織では気をつけたい 違和感あれば尋ねる、失敗から学ぶことをどう実践するか、メンバーができる場づくりは上司の責任

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    投稿日: 2023.03.20
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    組織人事のバズワードとなった感がある心理的安全性には様々な書籍が出ているが、本書を引用しつつ、理論化しようと必死なあまり、理屈をこねくり回してかえって分かりづらくしたものが目立つ。 結局エドモンドソンの書籍が一番わかりやすく、何より心に響くように思う。このテーマを扱うには組織になぜ心理的安全が必要かという体験に導かれた強い熱意と確信が欠かせない。

    1
    投稿日: 2023.02.17
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    リーダーとそれ以外のメンバーとの感覚のズレを認め、それを改善しようとする気持ちが大切なんですね。作り方は詳しく書いてありました。

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    投稿日: 2023.02.16
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     本書は、第1部で心理的安全性に関する研究の歴史的経過を丹念に検証する。第2部では、職場の心理的安全性について多くの企業や実例から多面的・複眼で検証し、盛衰を検証する。心理的安全性をめぐる組織の研究は秀逸で、「回避できる失敗」、「危険な沈黙」、「フィアレスな職場(不安も恐れもない組織)」など、安全な企業・職場づくりにはリーダーの姿勢が最も重要であると指摘する。第3部では、フィアレスな組織を作る具体的な手法やリーダーのツールキットなどが紹介される。本書は訳本でありながら、日本の事例も含まれており、2011年に起きた東日本震災における福島第一原子力発電所の大惨事を検証し、福島第二原子力発電所の危機対応の実践も検証する。世界の企業が「知識集約型組織」がより効果的に活動できると指摘し、多職種協働の重要性こそが今の企業が重視すべき課題であると指摘している。企業や組織のトップの必読文献の1つであると実感した。 閑話休題  昨年末に谷口真由美さんの「おっっさんの掟」を読んでいて、日本の人事・組織的問題の代表作として戸部良一ら「失敗の本質」と組織の改善課題例として本書「恐れない組織」が紹介された。滅多にないことだが、いわゆる「子文献」を読むきっかけになった。今も読み継がれる1984年初版の「失敗の本質」は旧帝国陸海軍の作戦において、ミッドウェー海戦、ガダルカナルの全滅、レイテ沖海戦、インパール作戦、沖縄戦など重要な局面での敗北や失敗を「組織としての日本軍の失敗」ととらえ直し、現代の組織一般の教訓とした戦士の初めての社会科学的分析の書籍である。この書籍には同著者らによる続編があり、2005年に出版された「戦略の本質」では、独ソ戦におけるスターリングラード、中国内戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争などを組織論的に研究した書籍として「失敗との本質」の姉妹本として、両書籍を通読することがお薦めである。

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    投稿日: 2023.02.07
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    心理的安全性は最近よく言われる話であったけど、具体的に何を意味しているのかをしっかりと読んだのは初めてだった。 心理的安全性が全てではないとしつつも、実例を交えてその重要性を伝えている様子に好感を持ち、腑に落ちた。

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    投稿日: 2023.01.09
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    積ん読状態になっていたのを、買って1年半くらいしてようやく読了。 数値化しにくく、エピソードベースにしかならないと思っていたところ、特許の数で評価しているところがあり興味深かった。

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    投稿日: 2022.12.17
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    心理的安全性は信頼の別名ではなく、また目標達成基準を下げることでもない。遠慮なく失敗すること、実りある衝突を行うこと、無知の人となり謙虚に耳を傾けること。そして意見を引き出す仕組みを作る。またそうした心理的に安全になっても、過度になったり話して時間がかかりすぎることはない。 358冊目読了。

    4
    投稿日: 2022.12.11
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    空気を読む日本企業の社員として(笑、日々せせこましく暮らしている身なので、何かしら救いがあるのかしら…?と思い、読んでみました。 本著、ハーバード・ビジネススクールの教授による、タイトル通りではありますが、心理的安全性が組織にもたらす作用について書かれた1冊です。 本著でも挙げられていますが「あまりに無茶で、やりきるには嘘をつくほかない目標の達成を要求するシステム」なんてのがある中であれば、「心理的安全性」だったり「Well-being」だったりの考え方も生まれるわな、と納得できる気はします。 本著を読んで主に感じたのは、下記2つです。 ①誰でもコミュ力が求められる世の中… ②成果は何の掛け算? ①誰でもコミュ力が求められる世の中… (鉄道マニアの悪いクセですが)新幹線に例えると「こだま、ひかり」の理系ワード(音響、光学)の時代は技術やエンジニアリングを突き詰めれば答えが出たけど、今はもはやその先の「のぞみ」の文系ワード(哲学?合意形成?)の時代なんだろうなと。 目標が分野横断だったり、そもそもVUCA世界でようわからん中での手探り。コミュニケーションを改善して、多様なアイデアを収集しないと答えが探れない世の中。 これって人によっては結構しんどいはずですが、その中での1つのコミュニケーションのひな型として、本著のようなチームビルディングがあるのかなと思いました。 ②成果は何の掛け算? 若い頃に上司に言われたコトで、「成果=能力×時間」ってのがあったんですが、「心理的安全性」もこのサブ変数くらいであっても良い気がします。 「成果=能力×時間×(心理的安全性やらモチベーションやらをいくらか加味)」という感じ? ちなみに心理的安全性とモチベーションの関係、著者は両者に相関関係はないという立場だと私は捉えましたが、心理的安全性が低い局面において、「この品質じゃたぶん上司は通らない」という負のモチベーションが働く局面は(特に日本企業では?)あると思うんですよね。(そしてそれゆえに時間がかかって、生産性が低い) しかし本著、悪い本ではなくむしろ良著なんですが、結局「どこかに答えが転がってるけど、ただ情報の偏在で気付けていない時に有効なやり方」なのかしら?とも思ってしまいました。 チームビルディングは頑張るけど、それだけで成果が得られるってコトにはならない気がするんですよね…。じゃあ何さ?って言われると弱いんですが(^^; 読んでおいても良い1冊だと思うのですが、何か目先の悩みに即効性のある回答が得られる訳ではない、というのも心得ておいた方が良いのかなと思いました。 ちなみに、フォルクスワーゲンの不正事例のくだり、「監査役会」とあって「ん?監査役会って日本オリジナルの機関では?」となったのですが、ドイツにも監査役会と訳せるっちゃ訳せる機関は存在していて、ただ役割としては取締役会に近いもののよう。ややこしいですね。

    7
    投稿日: 2022.11.21
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    心理的安全性の正しい理解ができる いくつかの事例を元に心理的安全性を解説している 実践に向けたノウハウも書いてる

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    投稿日: 2022.11.10
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    心理的安全性という言葉がすごく広まっているけど、それって実際どういう意味があるのか?を基礎から解説してくれる本。 言うべきことが言えるのは、遠慮がいらない関係ではなく、成長に向かってみんなが前向きに取り組める環境なんだな。

    0
    投稿日: 2022.11.01
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    これなんかおかしいなと思った時、やっぱいいやとそのままにしたら大変なことになった。あの時ちゃんとしておけば......という時、ありますよね。その「やっぱいいや」ってどうして出てきた?と改めて考えさせてくれる本です。 視点が新しいなと感じましたが、文が冗長に感じたのが残念です。詳しくは第○章で説明するという文が多いのも気になりました。

    0
    投稿日: 2022.10.21
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    心理的安全性が築かれているメリット・築かれていないデメリットを、多くの事例を通して学ぶことができます。 様々な組織の具体例を数多く盛り込んでくれている印象です。 心理的安全性の概要について書かれている第1章、心理的安全性を作り出すリーダーシップについて書かれている第7章は、ぜひ読み返したいと感じました。

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    投稿日: 2022.10.15
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    恐れのない組織=心理的安全性に満ち足りた組織はなぜ重要なのか。どうしたらつくれるのか。さまざまな事例、研究をもとに骨太の理論が学べる。必読。

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    投稿日: 2022.09.26
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    不確実な世の中では心理的安全性が必須、ということは分かった。リーダーの立場じゃなくてもそれぞれが雰囲気を作ることができるとのこと。自分や周りを振り返る余裕が必要だな、と思った。 日本の原発事故の話が出てきたこと、悪い例と良い例の両方が分析されていたことが印象に残った。

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    投稿日: 2022.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リーダーとして、より良いチームづくりのために何ができるのかを学びたくて読んだ一冊。 組織のパフォーマンス向上に心理的安全性が大切と昨今よく聞くが、心理的安全性が確保されたそしきをつくるには具体的にどのような行動が必要なのかを学ぶことができ、リーダーが果たすべき役割は非常に重要であることを実感した。 リーダーに限らず、組織に属して仕事をする人は読んでおくとよい一冊と思う。 以下読書メモ ・組織から不安を除くことで、学習, 成長, イノベーションが可能となる ・価値ある目的を共有、明確化し、メンバーの意欲を掻き立てることもリーダーの重要な役割 ・率直に話し合える環境を作るには、自ら進んで失敗等を共有していく姿勢が大切 ・加えて耳を傾ける文化、発言しやすくする仕組みづくり ・失敗から学べる組織 ・仕事をフレーミングする(無意識のフレーミングを変えて、より正確に現実を表すフレームにする) ・リーダーシップとはみんなの取り組みを総合し、1人では不可能なことを成し遂げること。持てる才能と技術を一人ひとりが活かしきるのを手助けすること。最高の仕事をするのに必要な文化をつくるのがリーダーの仕事。

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    投稿日: 2022.08.08
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    「心理的安全性」を提唱した著者の最新刊。それが低い会社ではどの様な事態が起こるのか、そして高い会社での実例を有名なグローバル企業の例で説明されるので分かりやすい。「心理的安全性」が高い組織は学習、イノベーション、成長をもたらすことは「常識」になっているが、今後は、それを高めるための研究が盛んになるのだろうが、本書でもその単著が述べており、楽しみである。基本、ビジネス書であるので、翻訳は読みやすくサクッと読了できた。

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    投稿日: 2022.07.17
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    冒頭、下記のエピソードからはじまる。 新生児集中治療室(NICU)のナースは、医師から薬の投与指示がなかったことについて確認しようか迷った。 そして、投薬は医師が判断すべきことで、ナースはそれに従うことが仕事だから、と多忙な(かつ、前週、他の看護師の疑問を厳しく叱責していた)医師への質問を呑み込んだ。 本書は、(旧態依然の事業でなく)最先端のナレッジ・ワーカー(知識労働者)たちが集う職場には、「心理的安全性」が必要、と主に経営者、管理職向けに書かれた本だけれど、最先端のナレッジ・ワーカー職場に限らず、人が集い協力しながら何かを成し遂げようとするところでは、絶対に必要なことだと思う。

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    投稿日: 2022.06.05
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    最近よく読んでる心理的安全性の関連書だが、ルーツとも言える本だという事がわかった。 土台を作る、参加を求める、生産的に対応するというリーダーの務めがよくわかった。中間管理職として、リーダーである時とメンバーである時の両方があるが、自分がメンバーとして恐れを感じて沈黙している時の事を、リーダーである時に意識して振る舞いたいと思った。

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    投稿日: 2022.05.28
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    もっと前の本かと思ったが、割と最近だった。学習する組織とかティール組織とかに通じる話で、事例もそんなに新しいわけではない。 が、内容としてつまらないわけではない。むしろ、状況は全く変わっていない。従業員エンゲージメントを気にする割に的はずれな経営幹部。達成不可能な目標を押し付けつつ、コンプラ教育に余念が無いラインマネージャ。そんなのばっかりだよね?

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    投稿日: 2022.05.15
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    【はじめに】 Googleで行われたチームの生産性に影響がある要素を解明しようとするプロジェクト・アリストテレスの結論として、何よりも成果に影響があった要素として挙げられたものが「心理的安全性 (psychological safety)」である。本書の著者エイミー・エドモンドソンは、この「心理的安全性」の重要性を指摘した論文がプロジェクト・アリストテレスの報告書の中で取り上げられたことから有名になったが、その前から同観点を中心に約二十年間組織研究などを積み重ねてきた第一人者である。 本書はエドモンドソンが、2015年にプロジェクト・アリストテレスの報告があった後、心理的安全性とは何か、また心理的安全性を得るために何をするべきかをまとめた本である。 【概要】 ■ 心理的安全性とは何か 著者は心理的安全性とは何か、そして何でないか、について多くの言葉を費やしている。その中からひとつ定義を挙げるとすると、「支援を求めたりミスを認めたりして対人関係のリスクを取っても、公式、非公式を問わず制裁を受けるような結果にならないと信じられることだ」と言うことができるだろう。 いつもわれわれは、「率直な意見を出してほしい」と言う。そして、それに誰もが賛同する。その通りだ、と。それでも、改めて実際はどうなのかと振り返るとき、本書にあるように、率直な意見は対人関係上のリスクと感じて行動していることが多いというのは否定しがたい。心理的安全性は自然に優れた人が集まればできているものではなく、努力をして組織的に獲得をしなければいけないものなのだ。手をこまねいていれば、「質問したり、ミスを認めたり、アイデアを提供したり、計画を批判したりといった行動をとったら、いつなんどき無知、無能、あるいは出しゃばりと見られてしまうか知れない」のである。そういう懸念がない組織が心理的安全性が確保された組織であり、そういった組織が現代において高パフォーマンスを上げることができる組織なのである。 著者が初めて心理的安全性の重要性に気が付いたのは、医療ミスの研究でチーム・パフォーマンスとミスの数の関係を測定したとき、有能なチームほど「多く」のミスをしているという統計データが出たときだという。それをデータの誤差や期待するデータとは異なるものとして留め置かずに、その理由を深堀りして調査したことが心理的安全性という概念が重要であると考えを得るヒントになった。心理的安全性が確保されているほどミスは報告されやすく、その分統計上のミスの数は多くなるが、対策も改善も早くなりパフォーマンスは上がるのだ。 もうひとつ重要なことは心理的安全性は個人でなくグループレベルで存在しているということだ。心理的安全性はグループごとにそのリーダーによってつくられる。心理的安全性は、「リーダーが生み出せるし、生み出さなければならない職場の特徴」なのである。心理的安全性は、「グループ内の相性がよくて生まれるものでも、知らぬ間に生まれるものでもない」。別の言い方をすると、心理的安全性は「率直であるということであり、建設的に反対したり気兼ねなく考えを交換し合ったりできるということ」であり、感じのよさとか礼儀正しいこととは関係ない。内向的や外交的だといったメンバーの性格の問題でもないのだ。 ■ なぜ心理的安全性は重要なのか 心理的安全性の歴史を辿ると、すでに1960年代初めにMITのエドガー・シャインとウォレン・ベニス教授が組織改革の不確実さと不安に対処するようになるには心理的安全性が大切だと説いている。さらに、1990年にボストン大学のウィリアム・カーン教授が心理的安全性が従業員エンゲージメントを高めることを示した。 今日、さらに心理的安全性が注目を浴びているのは、それがイノベーションとのつながりが深いことから来ている。不確実なVUCAの世界において、パフォーマンスを上げるためには、イノベーションは不可欠なものだ。心理的安全性はそのために必要となる、学習、エンゲージメント、パフォーマンスとの相関性が高いことが知られている。また、現代社会においてまた不可欠なダイバーシティを活用するためにも心理的安全性は必要になってくる。著者も、「VUCAの世界では、人々が積極的に学習しながら前進する場合に、高パフォーマンスをあげられるのである」と指摘する。また、「従業員が貢献、成長および学習、協力できるかどうかは、心理的安全性によって左右される」と組織に属する個人への影響にも言及する。VUCAの時代においては率直な意見の表明とその尊重がとても重要になり、組織間のパフォーマンスの差異を産む要素になっていくとの指摘は至極妥当であるように思われる。 今日、心理的安全性が欠けている組織があまりにも多い。なぜならまずは目に見える成果を求められることが多いからだ。危険なことは、心理的安全性がなく、メンバーが率直に意見を言えずにいるということが見た目にはわからないところだ。 ■ 心理的安全性と信頼の違い 著者は、心理的安全性と信頼との違いは何かという質問を受けることが多いそうだ。実際、その違いに着目することが心理的安全性が何であり、また何でないのかを理解するのに役立つだろう。 まず信頼は多くの場合、1対1の関係の中で生まれるものだと考えられる。一方で心理的安全性は先にも述べたようにグループの特性として存在するものである。また、その関係性の違いの他に信じることの方向性が違うことにも意味があるだろう。つまり、信頼とはあなたが他者をとりあえず信じてみるということであり、心理的安全性とは、他者があなたをとりあえず信じてみようと思ってくれるということなのだ。 また心理的安全性は、有事の際に感じられる信頼と違って、「時間的に即座に感じられる経験」となる。つまり、今このときに心理的安全性が確保されているかどうかをリアルタイムで感じることができるような類のものなのだ。こういった信頼との違いを理解することがなぜリーダーとして心理的安全性の確保に取り組まないといけないかの理解につながるだろう。自分も改めてその違いが理解できたように思う。 ■ 心理的安全性と業績基準 先に、目に見える成果を求められるから心理的安全性が欠けている組織が多いと書いた。しかし、心理的安全性と求められる業績基準は原則としては独立したものである。少なくとも心理的安全性とは、「高い基準も納期も守る必要のない「勝手気ままな」環境のことではない。職場で「気楽に過ごす」という意味では、決してないのだ」 という点は、誤解のないように押さえておくべき指摘だろう。 心理的安全性と業績基準は両方ともリーダーにとって重要な仕事である。心理的安全性の高低と業績基準の高低を軸に取った2x2の四つのゾーンに分けた表を提示している。心理的安全性が高く、業績基準が低い場合は「快適」ゾーンとしているが、目指すべきは心理的安全性が高く、業績基準も高い「学習および高パフォーマンス」ゾーンである。リーダーはグループをこのゾーンに持ってくるように努力をするべきであり、そのためには心理的安全性と業績が相反するものではなく、それどころか連動してくるものだということを理解するべきである。一方で著者が最も心配をしていると言うのが心理的安全性が低く、かつ業績基準が高い「不安」ゾーンである。なぜなら、高い業績が何とか確保されている間は、心理的安全性が低い問題は、問題と認識されることが少ないからだ。その中でも中長期の成功が損なわれ、従業員のエンゲージメントに悪影響を与え続けているのだ。 ■ 沈黙のルール 心理的安全性が確保されている状態は率直な意見がメンバーから表明される組織だが、著者らがインタビューを通してそうはならず沈黙を守ることになるほとんど常識ともなっている信念を見つけたという。この著者が「発言についての絶対的信念」と名付けたルールは次の通りだ。いずれも自分にも心当たりが大いにあるものだ。 ・上司が手を貸した可能性のある仕事を批判してはいけない ・確実なデータがないなら、何も言ってはいけない ・上司の上司がいる場で意見を言ってはいけない ・ほかの社員がいるところで仕事についてネガティブなことは一切言ってはいけない。上司の面目をつぶさないためだ ・率直に意見を述べることはキャリアに影響する 沈黙のルールがまかり通ると、悪いニュースだけではなく、いいニュースも素晴らしいアイデアも言わなくなる。発言するためには努力が必要であるということは、もっと認識されるべきである。なぜなら、多くの場合には発言の効果が表れるまでには時間がかかり、何の成果もなく終わることも少なくないからだ。そして、効果が得られるのは組織であったり、顧客であったりするが、発言のリスクを負うのは発言者自身である。一方で、発言によるリスクが生じるのはたいていすぐのことである。沈黙が自分の身を守るという効果を発揮するのはただちにかつ確実に得られるのである。論理的にかつ個人の(短期での)損得勘定だけを考えると多くの場合は、沈黙を守る方が得になるのである。そのため、発言の利得を高めて、そのリスクを取り除くのが、リーダーの責任となるのである。 ■ 失敗事例と成功事例 抽象的な議論だけでは、腹落ち感が少ないだろうということで、本書では多くの失敗事例と成功事例が挙げられている。大きな組織でも心理的安全性が得られていないがために、最終的には重大な問題につながった事例がいくつも挙げられる。その問題は、ときに会社業績だけではなく、関係する人々の命や健康にも悪影響を与えるものでもある。 失敗事例として、最初にフォルクスワーゲンのNOx基準の不正検査が挙げられている。次に、ウェルズ・ファーゴのクロスセル過剰目標が引き起こした不正が挙げられる。これに類することは、静岡銀行でも東芝でも行われたことだ。また、ノキアのスマートフォン時代への移行の失敗やニューヨーク連銀の監査官と銀行の関係も説明される。ビジネス上の問題だけでなく、心理的安全性が確保されず、率直に意見が交換されなかったことによって、生命が失われる事故にもつながった事例も多く挙げられる。NASAのコロンビア号の事故、チャレンジャー号の事故、カナリア諸島での滑走路上での衝突事故、がん研究所での化学療法の処方量ミスによる死亡事故、福島第一原発の電源喪失事故、ウーバーでのセクハラ事件などだ。よい知らせしか歓迎しないリーダーは、不安を生み出し、真実が上がってこなくなる。高い基準とよいマネジメントを混同するべきではないことがわかる。心理的安全性が欠けている組織では、うまくいっているという錯覚が生じて、重大な失敗につながるのだ。 一方で、心理的安全性がある良い事例としてピクサー、ブリッジ・ウォーター(ヘッジファンド)、アイリーン・フィッシャー(ファッションブランド)、バリー・ウェーミュラー(醸造業向け機械製造)、ダヴィータ・キドニー・ケア(透析クリニック)、アングロ・アメリカン(鉱業・資源会社)、福島第二原発の地震後対応、GoogleのプロジェクトX、などが挙げられている。GoogleのプロジェクトXでは、プロジェクトを中止するとお祝いパーティが開かれるという。「本当の失敗は、やってみてうまくいかないとわかったのに、なおも続けていくこと」だという。プロジェクトXまではいかなくとも賢い失敗は、称賛されるべきなのだ。そして、頻繁に失敗することを促すことが必要なのだ。 その裏には回避可能な失敗をしないようにするということも必要だ。 ■ 心理的安全性をいかに確保するか 失敗事例からもわかる通り、沈黙をしていて本来得をする人は、誰一人いないのにも関わらず、人は沈黙を保つことが往々にしてある。その理由は、先に「沈黙のルール」として書かれた通りだ。したがって、リーダーは自らの組織において心理的安全性が確保されるために、努力を続けることが必要になる。 著者は、リーダーが自組織を心理的安全性が確保されたものにするために取るべき行動や考えを以下の通りまとめている。 I. 土台をつくる I-① フレーミング 失敗、不確実性、相互依存を当たり前のものとし、率直な発言の必要性を明確化すること。 そして仕事の不確実性や複雑さについての理解の共有を求めているかを確認し、賢い失敗を奨励しているかを自らにも問うてみるべきだ。 I-② 目的を際立たせる その仕事がなぜ重要なのか、その意義をはっきりと伝えること。 II. 参加を求める II-① 状況的謙虚さを示す 完璧でないことを自ら認め、知らないことは知らないという。同時に常に学ぶ姿勢を崩さない。 II-② 探求的な質問をする 自分が話す文化から聞く文化に。そして集中して「聴く」ことを心掛ける。 よい質問とは、あなたが答えを知らない、イエスかノーではなく、かつ相手が集中して考えを話せるように尋ねることだ。 拡げる問いと深める問いが適度に混ざり合っているかを意識すること。質問は問い詰めることではない。 II-③ 仕組みとプロセスを確立する アイデアと懸念を次々と引き出す仕組みを作っているかを確認すること。 そして、その仕組みによって、率直な対話ができているかが意識をするべきことだ。 III. 生産的に対応する III-① 感謝を表す 相手の努力に配慮して耳を傾けて、相手が今言っていることが大切だというサインを送ること。 常に感謝の言葉を掛けるようにするべきである。 III-② 失敗を恥ずかしいものではないとする 失敗を恥ずかしいものではないとするために何をしているか。 未来に目を向け、支援を申し出て、次のステップに導くこと。 III-③ 明らかな違反に制裁措置を取る 境界を明確にして、非難されるべきことは明確になっているか。明らかな違反に対して厳格な対応をできるか。 これらのことを通して、メンバーと期待と意味の共有をし、発言が歓迎されるという確信を与え、絶え間ない学習への方向付けを行わないといけない。上に挙げたことからもわかるように、心理的安全性を一夜で実現してくれる魔法の杖はない。リーダーは実現しようという熱意をもって、着実に話し合いを重ねることによって、第一歩を踏み出すのだ。 ■ Google プロジェクト・アリストテレス 心理的安全性を有名にしたプロジェクト・アリストテレスは、2012年からプロジェクトを開始し、その調査の結果として2015年に公けにした効率的なチームの要素は次の五つである。 ① 心理的安全性(サイコロジカル・セーフティ) 「チームの中でミスをしても、それを理由に非難されることはない」と思える ② 相互信頼 「チームメンバーは、一度引き受けた仕事は最後までやりきってくれる」と思える ③ 構造と明確さ 「チームには、有効な意思決定プロセスがある」と思える ④ 仕事の意味 「チームのためにしている仕事は、自分自身にとっても意義がある」と思える ⑤ インパクト 「チームの成果が組織の目標達成にどう貢献するかを理解している」と思える 中でも①の心理的安全性の影響が大きく、すべての「土台」となっていると言われている。 また、この心理的安全性を測る七つの質問は以下の通り。1、3、5のポイントが低く、2、4、6、7のポイントが高いほど心理的安全性が確保されている職場となる。この質問による統計的精度は非常に高いそうである。 1. If you make a mistake on this team, it is often held against you.  このチームでミスをしたら、きまって咎められる。 2. Members of this team are able to bring up problems and tough issues. このチームでは、メンバーが困難や課題を提起することができる。 3. People on this team sometimes reject others for being different. このチームの人々は、他と違っていることを認めない。 4. It is safe to take a risk on this team. このチームでは、安心してリスクを取ることができる。 5. It is difficult to ask other members of this team for help. このチームのメンバーには支援を求めにくい。 6. No one on this team would deliberately act in a way that undermines my efforts. このチームには、私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいない。 7. Working with members of this team, my unique skills and talents are valued and utilized. このチームのメンバーと仕事をするときには、私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されている。 (参考: https://research.lightworks.co.jp/psychological-safety) 【所感】 この本を読むまでGoogleのような優秀な社員ばかりであれば、心理的安全性を確保するのも容易なことだろうと考えていた。しかし、そういった優秀な人は損得勘定も含めて理解をしているので、自らの発言がマイナスになる可能性があると考えるのであればいくら優秀であっても発言を控えるものだということも理解できた。そう聞かされれば当然なことのように思われる。 発言によるマイナスリスクは、何となればその場ですぐに発現するにも関わらず、プラスメリットは多くの場合は時間がかかり、かつ明確にその発言者個人の貢献とならないような場合も少なくない。そういった場合に、心理的安全性が確保されなければ、発現を差し控えるのがその個人から見た最適な行動になることは至極納得できた。欧米では、小中学生の頃からディベートなどの訓練があり、自分の意見を表明することが価値のあることだと教えられてきたことから、ここで指摘されるような敢えて意見を控えるという行動はあまりないのではと考えていたのだが、ヒエラルキーのある関係性においては当然そういうことは論理的にありうることと納得した。そして、義務教育のころから、自分の意見を抑えて周りに合わせることがある種の行動規範として身につけられてきた日本人にとってはここでの指摘はますますよくあてはまることだろうとも思う。山本七平の『「空気」の研究』をもしエドモンドソンが読んだらどのように感じるだろう。 自分の職場でも心理的安全性が確保されていない状況があるという認識はある。四つのゾーンで言えば、「不安」ゾーンにいると言っても差し支えないのではないか。即効薬もないことはよく理解できたので、地道な行動が必要だろうと考えている。 「わかりません」「手助けが必要です」「間違ってしまいました」「申し訳ありません」といったフレーズを意識的に使うようにすればいいとのことだが、ツールとしてもその通りなのだが、そういった言葉が自然に出るような職場環境が求められているのだろうと考えている。著者は率直な発言を差し控えて沈黙を守るのか、メンバーが自分の見解や疑問をオープンに発言する違いについて、「負けないようにプレーするのか、勝つためにプレーするのかの違い」だと指摘した。そうだとすると、自分がどちらのマインドセットで仕事に望んでいるかを、よく考えないといけない。 これまで、心理的安全性は流行のバズワード的な認識であったが、少なくともきちんと理解していなかったということが理解できた。組織やチームビルディングに悩みがある人には特におすすめ。

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    投稿日: 2022.05.08
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    実例をあげつつ組織における心理的安全性の重要性とその構築へのヒントを提示しています。学校における教育活動をビジネスの用語で語ることには慎重であるべきとの思いがありますが、この本を読んで、教育はまさにナレッジワークであり、本書の内容は学校経営、学級経営等に十分活用できるものと感じました。訳も読みやすく、解説もよかったです。大変勉強になりました。

    0
    投稿日: 2022.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    心理的安全性に関して有名になった「チームが機能するとはどういうことか」の続編とも言える本。前回は「(多くの読者が生まれるよりも前の)過去の事例」が多かったように思えたが、今回は福島第一原子力発電所事故のような「数年前に起きた事例」も含めた、より身近な現実を感じられる事例が多い。 出版社の英治出版社が、邦訳版の最後に掲載されている村瀬俊朗さんの「解説」の全文を公開している。この解説だけでも邦訳版の価値はあると思う。 『恐れのない組織』の「解説」を公開します。 - 英治出版オンライン https://eijionline.com/n/n6f2339131e64

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    投稿日: 2022.05.07
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    読むのに時間がかかったものの良本。心理的安全性とは何かを良質な論文から例を探り展開してる。こういう参考文献の多い本しか信用できなくなってきてるなぁ。。。

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    投稿日: 2022.04.17
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    職場の「心理的安全性」を取り扱った,代表的な本。心理的安全性とは対人関係のリスクをとっても安全だと信じられる職場であるなど分かりやすく説明されている (事例の説明が多くて,ポイントを掴むのがちょっと大変だけど)。 本文と同じくらい,解説がためになった。リーダーが言葉で「チャレンジしよう」と言っていても,言外に「失敗するな」という雰囲気を出しているとチャレンジしない,というのには大納得。リーダーも失敗するのだから周囲 (部下) に教えてもらうという謙虚な態度と,それを実行するための「一対一の信頼関係の構築」がまずは大事だと思った。

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    投稿日: 2022.03.21
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    第1部 心理的安全性のパワー 第1章 土台 ポイント ・人々は職場で、意識的にも無意識的にも、対人関係のリスクに絶えず対応している。そして、アイデアや疑問や懸念を率直に話し合うのを制限してしまっている。 ・人々が率直に発言できない場合、組織の革新・成長する力が脅かされている。 ・心理的安全性とは、率直に発言したり懸念や疑問やアイデアを話したりすることによる対人関係のリスクを、人々が安心して取れる環境のことである。 ・チーム、部署、支社など社内グループのリーダーは、心理的安全性をつくるうえで重要な役割を果たす。 第2章 研究の軌跡 ポイント ・心理的安全性は、従業員特典などではない。VUCA世界で高パフォーマンスをあげるために不可欠なものである。 ・今日、心理的安全性が欠けている組織があまりに多い。 ・心理的安全性が確立されている場合には、さまざまな業界の組織において学習、エンゲージメント、パフォーマンスに素晴らしい効果がもたらされることが、20年にわたる研究によって明らかになっている。 第2部 職場の心理的安全性 第3章 回避できる失敗 ポイント ・よい知らせしか歓迎しないリーダーは、不安を生み出し、そのせいで真実の声が聞こえなくなってしまう。 ・高い基準の設定とよいマネジメントを、多くのマネージャーが混同している。 ・心理的安全性が欠けていると、うまくいっているという錯覚が生まれ、やがてビジネス上の重大な失敗を引き起こしてしまう。 ・不十分な点に関して早く情報を出すと、将来起きるかもしれない大失敗の規模と影響を、およそ常に小さくできる。 第4章 危険な沈黙 ポイント ・顧客や従業員が懸念や疑問を率直に言えない場合、彼らの身体的安全性がリスクにさらされ、ときには悲惨な死につながることもある。 ・権威を過信することは、心理的・身体的安全におけるリスク要因である。 ・沈黙の文化は、すなわち危険な文化である。 第5章 フィアレスな職場 ポイント ・率直さを特徴とする職場は、創造性、学習、イノベーションに対し、計り知れない恩恵をもたらすことができる。 ・「知らない」「わからない」と言うことにやぶさかでないリーダーは、従業員の心を驚くほど強く惹きつける。 ・従業員を大切にする環境をつくると、エンゲージメント、問題解決、パフォーマンスに素晴らしい成果が現れる。 第6章 無事に ポイント ・明瞭かつ率直にコミュニケーションを図ることが、事故を減らす重要なポイントである。 ・会社の使命感が、思いやりあるリーダーシップと結びつくと、従業員は、業務の安全な実施と従業員の尊厳を守るために、求められる以上のことをしようと意欲的になる。 ・作業員の安全性は、危険やなんらかの懸念について率直に話すよう、従業員を促したり後押ししたりすることから始まる。 第3部 フィアレスな組織をつくる 第7章 実現させる ポイント ・心理的安全性は、相互に関連する三つの行動によって生み出される。その行動とは、土台をつくる、参加を求める、生産的に対応する、の三つである。 ・常に率直に話せる環境を構築または回復するために、この三つの行動は双方向かつ学習本位で、繰り返し実践する必要がある。 ・心理的安全性を生み出し強固にすることは、組織のあらゆるレベルのリーダーの責務である。 第8章 次に何が起きるのか 以上、引用 「弱いロボットの思考」参照

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    投稿日: 2022.03.05
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    心理的安全性の効用と、そこにいたるまでのリーダーのとるべき行動とは、大変参考になる。 組織のリーダーにとってファシリテーションスキルは特に重要と感じるのだけど、なぜかミーティング時にレビュアーあるいはお客さん役、になってしまうリーダーはいませんかね。 で、どうするの?とメンバーを詰めても何も出てこないですから。

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    投稿日: 2022.02.26
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    心理的安全性の重要性を解説した本 心理的安全性は「学習する組織」になるために必要不可欠である。 医療現場では重大な医療ミスの少ないチームは、そうでないチームに比べて小さいミスの報告が多い。ただし、細かい部分でも気になったことを報告できているおかけで、チームにナレッジが蓄積されて重大事故にまで至らない。また、長期的にもパフォーマンスが上がっていく、とのことであった。 このような立場や役職に関係なく、考えたこと気づいたことを気軽言える、失敗をしてもその報告を歓迎する雰囲気はリーダーが作ることができる。自分がチームを率いることになった時には、メンバーが失敗したことを報告してくれたことを褒め、その情報をチームに共有し同じ失敗を繰り返さないようナレッジを蓄積し、パフォーマンスを上げていけるように心がけたい。

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    投稿日: 2022.02.20
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    目的 心理的安全性って最近よく聞くけど、なんなのかを知りたい どうやったら心理的安全性を高められるのか知りたい 感想 心理的安全性が高まることで対人関係の不安を取り除く。率直な意見を言える、失敗を恐れずそこから学ぶ、そうすることで組織が絶え間なく成長できるようになる点で、心理的安全性は重要。 特に、無知であることを心得ること。完璧ではないこと。相手を敬うこと。 真新しい考え方というよりは、当たり前のことを当たり前のようにやることだった。リーダーでなくてもできそうなこと。心掛けたい

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    投稿日: 2022.02.12
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    学習・イノベーションをもたらす組織をつくるためには心理的安全性が必要。 リーダーには、土台をつくる、参加を求める、生産的に対応する必要。 賢く迅速に失敗することが必要。失敗して改善を繰り返す 率直さと謙虚さ。好奇心と思いやりと真摯な熱意。 自分がリーダーになったときにどうやって心理的安全性を持つ組織をつくれるか。謙虚さや思いやり、単に人の意見を聞くだけではだめで、価値観の共有、生産的な反応、ルール違反への罰則など、気をつけるべきことは常に山ほどあり続ける。

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    投稿日: 2022.01.31
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    2014年の著書「チームが機能するとはどういうことか」において、組織が多様な人材を活かして学習しながら協働する手法である「チーミング」を提唱した著者が、「チーミング」の成功に不可欠な「心理的安全性」について解説し、その確立に向けた要諦をまとめた一冊。 著者は、様々な業種における組織研究事例の検証を通じて、メンバーが間違いや失敗を恐れることなく、素直に意見や疑問、懸念などが話せる状況にある場合には、組織のパフォーマンスが高いことを明らかにするとともに、その要因は、心理的安全性がメンバーのエンゲージメントを高め、クリエイティブなアイディアによる積極的なチャレンジを促すとともに、そこから生まれる失敗を学びの機会として活かすことにあると主張する。 そもそも組織は”発言”よりも”沈黙”が蔓延しやすいため、著者は、リーダーが不確実性や失敗を当然のものとして仕事をリフレーミングすることで心理的安全性の土台を作り、リーダー自らが完璧ではないことを認める謙虚さや部下が主体的に考えたくなるような質問を通じてメンバーの参加を促すとともに、メンバーからの素直な意見に耳を傾け、感謝を示すといった努力を続けることが肝要であると説く。”恐れ”や”不安”に頼る専制型リーダーシップが時代遅れであることが改めて確認できる内容となっている。

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    投稿日: 2022.01.31
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    心理的安全性のない組織で仕事をしていたことがあるが、とにかく、何も言い出せないし、言われたことだけ粛々とやっていた。さらにはその言われたことすら満足にできない(失敗やできないことを隠す)ようになっていた。みんながそのような状況で組織としてパフォーマンスを上げられなかった記憶がある。 思い出すたびに萎縮だ気持ちになるが今はそういう組織ではなくなったし、これから先、私も気をつけなければならない。我が身を振り返る良い機会になった。

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    投稿日: 2022.01.29
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    目的をはっきりさせて共有する。 参加を求める(発言の歓迎)。 感謝を表す。失敗は恥ずかしいものでないとする。

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    投稿日: 2022.01.16
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    以前著者のことを知らずにチームが機能するとはどういうことかという本を読んだことがあったが、エイミーエドモンドソンさんが心理的安全性という言葉の生みの親だということを知らなかった。今回、会社で心理的安全性についての講義をすることになり、たまたま最近発売した著書があったため購入した。 改めて心理的安全性の重要性と、それに反対する意見への対応など様々な点で勉強になった。

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    投稿日: 2022.01.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    内容説明 日本の人事部主催 HRアワード2021書籍部門優秀賞受賞! 『チームが機能するとはどういうことか』の著者であり、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている、エイミー・C・エドモンドソン教授最新刊! 篠田真貴子氏(エール株式会社取締役)推薦! 「心理的安全性ってそういうことだったのか! 心理的安全性の解釈が人によって違うことが気になっていた。しかし、本家本元による本書を読んで、すっきりと整理ができた。心理的安全性とは個人の資質ではなく集団の規範、ぬるい環境というよりもむしろ成果志向の環境なのだ。失敗と成功の事例を通して、このコンセプトへの理解が深まり、実践への示唆が得られるだろう。「恐れ」から解き放たれれば、私たちはもっと大胆に行動できる。」 Googleの研究で注目を集める心理的安全性。 このコンセプトの生みの親であるハーバード大教授が、 ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例を分析し、 対人関係の不安がいかに組織を蝕むか、 そして、それを乗り越えた組織のあり方を描く。 目次 はじめに 第1部 心理的安全性のパワー 第1章 土台 p37 心理的安全性は、単なる職場の個性ではなく、リーダーが生み出せるし生み出さなければならない職場の特徴だということである。(中略)きわめて強力な企業文化を持つ場合でも、心理的安全性はグループによって著しく異なっていたのだ。心理的安全性は、グループ内の相性が良くて生まれるものでも、知らぬ間に生まれるものでもなかった。明らかなのは、心理的安全性の条件をうまく作り出せるグループ・リーダーがいる一方で、作り出せないリーダーがいることだった。 p42 心理的安全性は、信頼の別名ではない 最大の違いは、心理的安全性がグループレベルで経験される点だ。 これに対して信頼は、二人の個人あるいは二つの組織間での相互作用である。 第2章 研究の軌跡 p51 「もし、自分はすべての答えを知っていると思うなら、辞職しなければならない。きっと道を誤るからだ」 p60 「発言と沈黙の非対称性」 発言するためには努力が必要であり、ここぞというときにもしかしたら効果を発揮するかもしれない(発揮しないかもしれない)。残念ながら、多くの場合、効果が表れるには時間がかかり、成果なく終わる場合も少なくない。一方、沈黙すべきであることは本能的に悟るものであり、そして安全をもたらす。自分の身を守るという効果を発揮し、その効果は直ちに、かつ確実に得られるのである。 第2部 職場の心理的安全性 第3章 回避できる失敗 p102 組織戦略を、計画ではなく仮説と捉える 第4章 危険な沈黙 p114 率直に意見を言うことが当たり前になるためには、心理的安全性(および発言を期待すること)が制度化・組織化される必要がある。 p121 石橋克彦2007「なぜ懸念されるのか。地震の被害の深刻なリスクにさらされている日本の原子力発電所」 「原子力発電所は地震に対して脆弱だ。直ちに抜本的な対策を講じなければ、日本は近い将来、核の大惨事(津波によるものも含め)に見舞われるだろう」。残念ながら、他の人々は石橋の警告に見向きもしなかった。 p125 国会事故調の委員長、黒川清 どんなに詳しく書いても、この報告書では――――とりわけ世界の人々に対して―――十分に伝えきれないことがある。それは、この大惨事の背後にある、過失を促したマインドセットである。これが「日本であればこそ起きた」大惨事であったことを、我々は重く受け止め、認めなければならない。根本原因は、日本文化に深く染みついた慣習―――すなわち、盲目的服従、権威に異を唱えたがらないこと、「計画を何が何でも実行しようとする姿勢」、集団主義、閉鎖性―――のなかにあるのだ。 第5章 フィアレスな職場 p137 ピクサーの共同創設者であるエドウィン・キャットムルは、素直さを促すために、組織においてそれを制度化する方法を模索している。分けても注目すべきは「ブレイントラスト」というミーティングである。 数名が数か月ごとに集まって、製作中の映画を評価し、忌憚のない意見を監督に伝え、創造的問題の解決を手伝うブレイントラストは1999年に生まれた。 専門家集団(ブレイントラスト) 一大スキャンダルになったフォルクスワーゲンのディーゼルエンジンを、失敗を恐れ素直に話そうとしない人々ではなく、エンジニアという専門家集団(ブレイントラスト)が管理していたら。そのようなエンジンの実現可能性について、もしエンジニアたちが素直に意見を言えていたら。 p144 ブリッジウォーターのレイ・ダリオ「あなたには自分の意見や考えを、ともに仕事をする人々に伝える義務がある」 ある意味、あなたの意見や考えは、あなたや人々が所属する企業のものともいえる。ゆえに、胸に秘めている権利はあなたにはないのである。 p159 信頼が重要であること、タイムレコーダー、休憩を知らせる合図、人事評価の非公開がそうした信頼を阻害してしまうこと 責任ある大人にふさわしくない、「信頼を打ち砕き自尊心を傷つける習慣」 p160 フィアレスな職場では、「改善」のための提案が、積極的に採用・導入されている 第6章 無事に p176 アングロ・アメリカン社が率直に発言できる環境を、どのように整え、制度化したか p178 安全性の問題について意見を言うようあからさまに求めるのではなく、「どんなことをすれば、思いやりと敬意に満ちた職場環境を作れるだろうか」と尋ねたのである それによってはじめて従業員たちは十分に安心し、具体的な懸念を述べ始めた。 p181 ホワイトボードによる透明性 増田尚宏(福島第二原子力発電所長) 正直になり、自分の弱さを認め、コミュニケーションを図り、情報を共有した。加えて、重要アイテムとしてホワイトボードを使った。 第3部 フィアレスな組織をつくる 第7章 実現させる p194 参加を求める 「あなたの患者は、あなたが目指した通り、今週ずっと、あらゆることにおいて安全でしたか」 「ミスや事故を度々みませんでしたか」とは尋ねなかった。代わりに、向上心を刺激する言葉を使って、人々に考えるよう促した。「あなたの患者は、あなたが目指した通り、今週ずっと、あらゆることにおいて安全でしたか」と。 何らかのフォーカス・グループに参加すると、意見を述べることを明確に求められる。考えを言わず黙ったままでいるほうが、落ち着かない気分になる。「発言と沈黙の非対称性」が軽減されるのである。 p197 心理的安全性の土台の作り方 心理的安全性を確立するためのリーダーのツールキット 土台を作る 仕事を(リ)フレーミングする 目的を際立たせる 参加を求める 状況的謙虚さを示す 探究的な質問をする 仕組みとプロセスを確立する 生産的に対応する 感謝を表す 失敗を恥ずかしいものではないとする 明らかな違反に制裁措置を取る p210 「自分は何か見落としているかもしれない。君たちの意見がぜひ必要だ」 p212 ナイーブ・リアリズム(自分は世界を正しく客観的に認識していると考える傾向) リーダーのツールキットの基本原則を実施している「ワールドカフェ」 p215 心理的安全性を高めて参加を促す三つ目の方法は、従業員の意見を引き出すための仕組みを整えることだ。 対人関係の不安を減らしていく仕組みとしては、従業員同士で学びあうのも効果的だ。グーグルの「g2g」(Googler to Googler)ネットワークがまさにこれである。6000人を超えるグーグル社員が進んで時間を提供し、同僚が学ぶのを手伝うのだ。 第8章 次に何が起きるのか p242 Q:職場が心理的に安全になると、時間がかかりすぎてしまうのではないか 一般に秀逸な存在になるには規律正しが必要であるのと同様、(意思決定、問題解決、あるいは単なる報告のための)ミーティング運営を効率的にできるかどうかは、スキルと規律正しさと優れたプロセスデザインがあるか否かの問題である。 p257 日本で心理的安全性を作ることは可能なのか。 トヨタ生産方式は、たゆまぬ改善と完璧な実行に対するアプローチであり、ヒエラルキーの上下を問わずあらゆる従業員に絶えず、積極的に、進んで誤りを指摘することを求める。 言い換えるなら、やろうと思えばできるということである。 解説 村瀬俊朗

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    投稿日: 2021.11.23
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    組織、企業カルチャーだけでなくそれを作るための行動指針、組織のどの階層においても実践が可能なリーダーシップ論にまで踏み込んだ良書

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    投稿日: 2021.11.21
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    心理的安全性 が組織においては必要である イノベーションの源泉でもあり、リーダーがこれを作ることができないとチームメイトは意見を言うことをしなくなってしまう。しかしただおちゃらけた雰囲気ではなく、出た意見に対しても反対意見が言えないと意味がない。その制度を確立することが大事である。

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    投稿日: 2021.11.09
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    心理的安全性とはチームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されている。 これが組織には重要。

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    投稿日: 2021.10.29
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    自信が40%しかない時でも発言できるのが心理的安全性 心理的に安全な組織では、発言する→議論できる→自信のないものは不安を克服しやすくなる 発言すべきではない、ではなく発言できない 賛同できる主張が、効果的な主張であるかは別問題 立場のなると忖度される側に回る できるだけ現場リーダーの声に耳を傾けること 「責任を問われない報告」 目的を際立たせる 思慮深く尋ねるには良い問いをしなければいけない 選択肢を広げたい▶︎見解の違う人は? 理解を深めたい▶︎例を挙げて欲しい 負けないようかなするのではなく 勝つための そこを表面的にしか捉えないとダメ 心理的安全性とは、もちろん万能薬ではなく、ほかのさまざまな項目、モチベーションやダイバーシティなどをさぽーとするなど リーダーは、手助けに入る時に、自分で結論を勝手に決めるのではなく、どんな手助けがいるのか、を本人と相談する

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    投稿日: 2021.09.18
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     The Fearless Organization 「心理的安全性」がある状態であれば誰もが率直に意見提起ができ、失敗を恐れずにチャレンジすることができるため、結果としてイノベーションを起こしやすい組織となる。 ざっくり言うと上記が本書の主張であり(現実はどうであれ)ごもっともである。  「心理的安全性」の研究に20年以上も費やされてきた著者、かつ、論文と書籍が引用された総回数51,598という途方もない数字を持つ権威からの最新の本。  「近年では、心理的安全性がチームワークを向上させ、失敗の共有を促進するなど、その効果に対する認識は学会で確立した」とあり、「心理的安全性」を組織にて高めていくことは、もはや必須の課題となっている。  自分目線での話へ切り替えると、「心理的安全性」という言葉は、何度も触れてきたしなんとなくはわかっていたが、書籍にたどり着いたこと(とくにエドモントン教授の書籍)は、初めての経験であった。 いきなり最新書を読むのでなくて、二三冊周辺の本を勉強してから、こちらの本を読んだ方が理解が深かったかもしれない。  (というのも書いてあることはなんとなくわかるのだけれど、日々の日常との差異にも困惑しつつ、かといって日々を嘆いてばかりもいられないので、と、そういった思考が頭の中でぐるぐる回ってしまったか)  また、自分の生き方においても「正直であれ」「真摯であれ」「Be Unique」などといった人生の軸のようなものをもって日々行動しているだけに「心理的安全性」というトピックには考えさせられることが多い。 今後とも勉強を続けていきたい。 さて、自分の見解よりも抜粋引用の方が伝わると思いますので下記多めとなります。 =========== P14   心理的安全性とは、大まかに言えば「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のことだ。より具体的に言うなら、職場に心理的安全性があれば皆、恥ずかしい思いをするんじゃないか、仕返しされるんじゃないかといった不安なしに、懸念や間違いを話すことができる。考えを率直に述べても、恥をかくことも無視されることも非難されることもないと確信している。 P60  発言と沈黙の非対称性に関する考え方は、この言葉によっても表現されている―「沈黙していたために解雇された人は、これまで一人もいない」。 安全第一で行こうとする本能は強力だ。 組織の人々は無意識に、対人関係のリスクを取らない。聖域に足を踏み入れるなど御免被る。 黙っていれば安全であることは100パーセント確信できるが、発言して確実に成果を得られるかどうかは自信が持てない―チームワークなど、とうてい望むべくもない。 P125    どんなに詳しく書いても、この報告書では―とりわけ世界の人々に対して―十分に伝えられないことがある。それは、この大惨事の背後にある、過失を促したマインドセットである。これが「日本であればこそ起きた」大惨事であったことを、われわれは重く受け止め、認めなければならない。根本原因は、日本文化に深く染みついた慣習―すなわち、盲目的服従、権威に異を唱えたがらないこと。 「計画を何が何でも実行しようとする姿勢」集団主義、閉鎖性―のなかにあるのだ。  黒川が挙げた「染みついた慣習」はいずれも、日本文化に限ったものではない。それは、心理的安全性のレベルが低い文化(率直な発言も抵抗もしたがらない姿勢と、世間に対して体裁をよくしておきたいという強烈な願望とが混ざり合っている文化)に特有の慣習なのだ。 P144  「あなたには自分の意見や考えを、ともに仕事をする人々につたえる義務がある」ことが示されているためだ。 ある意味、あなたの意見や考えは、あなたや人々が所属する企業のものと言える。ゆえに、胸に秘めている権利はあなたにはないのである。 P242  逆に、発言しすぎる人となると、めったに見かけない。私は、基準を過度に下げてあらゆる種類の無駄な、あるいは不適切な発言を自由にさせるのは現実的ではないということより、むしろ、度を越して発言する人が期待するほどいないことを伝えたい。また、もしそのように発言する人が現れたときには、(過度な発言という)この特別なリスクに対し、心理的安全性を減らすという対処法をとるのではなく、発言者にみずからがもたらした影響について意見を伝えるのが最良の対処法である。 P257  たとえば日本では、率直な発言やミスの報告を促そうとしても徒労に終わるというのである。言うまでもなく、この完璧な論理は、トヨタ生産方式という現実にぶつかる。トヨタ生産方式は、たゆまぬ改善と完璧な実行に対するアプローチであり、ヒエラルキーの上下を問わずあらゆる従業員に絶えず、積極的に、進んで誤りを指摘することを求める。これは日本の文化で一般的に行われることなのだろうか、ノーである。では、トヨタの文化に深く根付いているのだろうか、答えはイエスだ。  言い換えるなら、やろうと思えばできるということである。  (中略) 成功できるかどうかは、及第点と言えるくらいの心理的安全性をつくれるかどうかにかかっている。問題やミスについてどんどん率直に話さなければ、質の向上は望めない。躊躇なく支援を求めないなら、従業員のパフォーマンスは平均以下になる。判断に対し恐れず異を唱えなければ、回避可能な大小さまざまの失敗をしてしまう深刻な危険性がある。 そのため、本気で取り組もう。これはあなたがやり遂げるべきことだ。文化的な力に逆らうことになるかもしれないが、やろうと思えばきっとできる。 P270 (解説より)  エドモントン教授によると、「信頼」は個人が特定の対象者に抱く認知的・感情的態度であり、「心理的安全性」とは集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度だ。  (中略)個人間に存在する信頼の影響は、あくまでも信頼を抱く個人と信頼される対象者のやりとりに限定されるが、集団で共有される心理的安全性は集団全体の行動に影響を与える。職場に異なる意見を受け入れる雰囲気があれば、メンバーは率直な提案が可能となる。周りはそれに耳を傾け、チーム全体で建設的な議論を交わす。  一方で、個人間の信頼のままであれば、会議中は各自が自身の思いを胸の内に留め、後に信頼する相手にのみ考えを共有するので、チーム全体の活発な議論にはつながらない。  (中略)そして、チームワーク研究者は「チームは単なる個人の寄せ集めではないので、分解せずにチームとして現象をとらえるべき」と唱え、個人間と集団で起こる心理的現象の区別をより意識的に行うようになった。エドモントン教授も、心理的安全性が単なる個人間の安心感ではなく、集団にしか起きない特殊な心理現象であることを示したのだ。 ===========

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    投稿日: 2021.09.04
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    本書で取り上げられている「心理的安全性」という言葉は、グーグルのプロジェクト・アリストテレスによって非常に有名になった言葉である。 本書内でも紹介されているが、プロジェクト・アリストテレスは、グーグル社内の、「生産性の高いチームの条件は何か」を調査・研究するためのプロジェクトであり、グーグルは、その研究成果を2016年に「チームを成功へと導く5つの鍵」として発表している。それによると、「心理的安全性」は、5つの要素の内の、他の4つの要素を支える「土台」であり、チームの成功にとって最も重要な要素である、としている。なお、ちなみに、「心理的安全性」以外の4つの要素は「明確な目標」「頼れる仲間」「個人的に意味ある仕事」「その仕事に影響力があるという信念」ということであった。 会社で働いた経験のある者であれば、誰でも思ったことを100%言っているわけではないはずだ。それは、上司への配慮からであったり、あるいは、こんなことを言って皆から低く見られないか、嫌われないかという人間関係の心配からだったりする。心理的安全性とは、「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」あるいは「対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる職場環境であること」である。こういう文化がなかった場合、場合によっては非常にまずいことが起こったり、あるいは、こういう文化があった場合に非常に良いことが起こったりすることを、本書中では色々な事例をあげて説明している。 また、高いパフォーマンスをあげるためには、心理的安全性だけでは十分でないことも筆者は強調している。それは、とても重要な必要条件であるが、十分条件ではなく、職場・グループ内のパフォーマンス目標に高い基準を設定することも合わせて重要なことを述べている。 更に、グループの中に心理的安全性を築くことは、リーダーの特に重要な責任であることも本書中で筆者は強調している。 以上が本書のあらまし。 筆者はハーバードビジネススクールの教授、学者であり、本書は、筆者自身のものを含めた心理的安全性に関しての世の中の様々な研究成果に基づいて書かれたものである。一種の学術書でもあるが、色々な事例を取り入れたり、あるいは筆者の文章や本の構成のうまさもあり、読み物としても面白いものになっている。 上記したが、リーダーの(あるいは、組織マネジャーの、と言い換えても良いが)重要な役割は、高い目標を設定し、かつ、心理的安全性を担保することであることが本書では強調されている。VUCAの時代であると言われている。不確実性の大きな時代背景の中では、皆が知恵の交換をスムーズに行いながらチームとして成果を出していくことが重要で、そのために心理的安全性の重要性が更に増しているのだと思うが、高い成果基準とメンバーへの配慮は従来からマネジャーにとって重要なことであった。問題は、それが出来るマネジャーと出来ないマネジャーがいること。私は人事部門に所属しているが、人事部門の大きな課題の1つは、如何にしてそのようなマネジメントが出来るマネジャーを増やすかということである。 そういった面でのヒントも多く含まれている本だった。

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    投稿日: 2021.08.13
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    とても大切なことが書かれている気がするが、ケースが長いせいか、頭に入らなかった。 別本を読みながら振り返るか、再読するか。。。

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    投稿日: 2021.08.11
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    チームのマネジメントやエンゲージメントを高めることで悩んでいる人にはオススメの本!非常に読みやすくて面白かった! マネージャーは、部下個人を変えることは出来ないけど、チームの心理的安全性を高めることによりメンバーに影響を与えることができる。好奇心、思いやり、失敗を共有することが大切で、心理的安全性を高め続ける行動がイノベーションに繋がる。 心理的安全性は、一度構築出来たとしても時と場合により変化するものだということも印象的だった。

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    投稿日: 2021.08.01
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    ・知識労働が真価を発揮する為には、人々が「知識を共有したい」と思える職場が必要。これは、懸念や疑問、過ち、まだまとまっていない考えを伝えるということに他ならない ・どんな人でも朝、目覚めて気が重いのは、勤め先で無知・無能に見えたり、混乱をもたらす人だと思われたりする場合だ。人間は人生の早い段階で、無知だと思われないために質問しない、無能に見えないためにミスや弱点を認めない、事態をややこしくしないために提案しない、問いうリスクを避ける方法を身につけている ・心理的安全性とは、あなたが支援を求めたり過ちを認めたりしたときに、他社があなたをとりあえず信じてみようと思ってくれるということなのだ。正直かつ率直に話すことを可能にし、ゆえに互いに尊敬し合う環境において確立される ・リーダーの仕事:心理的安全性をつくって学習を促進し、回避可能な失敗を避けること。高い基準を設定して人々の意欲を促し、その基準に到達できるようにすること ・心理的安全性を得ている従業員はエンゲージしている従業員である。エンゲージメントとは、自発的に仕事に取り組む熱心さの指標 ・不正なやり方を使わずに販売目標が達成できないゴールを設け、異議を認められずに目標を追わされることで心理的安全性は損なわれる ・「なんとかしてコンセンサスに到達しようとする」せいで、まともな意思決定ができなくなる ・ピクサーのブレイントラスト 1.フィードバックする際には建設的に、そして個人ではなくプロジェクトについて意見を述べなければならない 2.トップダウンにしろその逆にしろ、相手に強制することはできない 3.率直なフィードバックは「あら探しをして恥をかかせること」ではなく、共感の観点から行わなければならない ・何らかの病気で余命幾ばくもないなら、どんなに恐ろしくても真実を知った方がいい。そのとき初めて何をすべきかがわかるから。 ・議論に勝とうとしてはいけない。自分の間違いに気づくのは学んでいる証拠であり、それは正しくあることよりはるかに価値が高い ・従業員に情熱を持つことを促し、「その情熱を大切にするのを認める」 ・Xではプロジェクトを打ち切ったチームにはボーナスが出る。失敗を不安なくできるものにするために、きわめて楽観的・理想主義的なアイデアがうまくいかない証拠を探す。そのようなアイデアをできるだけ早く取り除いて、別のアイデアへ移るためである ・福島第一原発では、命令ではなく情報を出していた。何が壊れていて、どんなリソースが使えるのかの情報を出すことで心理的な安心感を覚えてもらった ・リーダーシップとは、当たり前にはできない行為(率直に話す、賢くリスクをとる、さまざまな意見を受け入れる、きわめてチャレンジングな問題を解決する、など)に、人と組織が紳士に取り組めるようにする力である ・失敗をリフレーミングするために、「自分は失敗のプロではなく、学習のプロだ」ということを自ら述べ、信念としてみんなに納得させた ・インクルーシブリーダーシップの3つの特徴 1.リーダーは気さくで話しやすい 2.リーダーは自分が完璧ではなくミスをする人間であることを認識している 3.リーダーは他のスタッフが発言しやすいように意見を求める状況的謙虚さを持つ ・強力な問い;渡す立ちは何か見落としていないだろうか、他にどんなアイデアが考えられるか、誰か見解の違う人は?、なぜそのように考えるようになったのか、例を挙げてくれないか このように訪ねて初めて、人は互いの経験や目標について詳しく理解できるようになる 強力な問いの特徴 -聞き手に対する関心を引き起こす -思慮深い会話を促す -示唆に富む -基本的前提を明るみに出す -創造性と新たな可能性を引き寄せる -エネルギーと進歩を生み出す -注意を向ける先を変え、探求的な問いに集中させる -参加者の話に耳を傾け続ける -深遠な意味に言及する -更なる質問を呼び起こす ・最初に感謝という対応をしなければならない ・結果がどうあれ人々の努力を賞賛することが重要。よいプロセスが良い結果につながるとは限らず、パフォーマンス面での失敗を恐れてしまうのを避けるため ・質問が個人に向けられ、さらに好奇心を伝えられている質問は、発言の安全地帯を作り出すいい質問 ・上司ではない立場で心理的安全を生み出すには、関心を持っておりいつでも手を貸そうと思っていることを示す言葉を述べるのもきわめて効果的だ。 -どんな手助けができますか? -どんな問題にぶつかっているのですか? -どんなことが気がかりなんですか? ・「信頼」は個人が特定の対象者に抱く認知的・感情的態度であり、「心理的安全性」とは集団の大多数が共有すると生まれる職場に対する態度だ。 ・「このリーダーであれば真実を伝えても怒らない」「このリーダーを助けるために実際の状態を伝えたい」と思わせる信頼関係を必要する必要がある ・間違いを伝える。失敗する。助けを求める。これらの行動こそが組織の力の源泉であり、これらの行動なくして組織の学習力や想像力は高まらない

    3
    投稿日: 2021.07.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    心理的安全性の2冊目。著者のエドモンドソン教授が心理的安全性の第一人者。 感想。 事例中心。全300ページ中200ページくらいが実際に起こった事象をもとに、心理的安全性って大事だよねという展開。石井氏の本の方が実務的・ビジネス書的。 備忘録。 ・VUCAの時代は、優秀な人材を採用すればそれでいいという時代ではない。優秀な人材が、力を合わせて仕事をする必要がある。各職場のパフォーマンスに差が生じる一因が心理的安全性。 ・心理的安全性とは、みんなが、気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化のこと。 ・迷った末に意見を言わない。意見を言った結果自分が軽視されたり、叱責されるリスクを回避する。何も言わずに傍観し、他の人を敵に回さないようにし、自分が愚かに見えてしまうかもしれないリスクを冒すより、安全地帯に留まることを選択する。その結果重大なミスに気づく機会を、組織として失ってしまう。避けられた筈のミスや事故を引き起こしてしまう。 ・心理的安全性は、感じ良くあることとか、誰もがいつも相手の意見に賛成することではない。無条件で支持を得られることでもない。礼儀正しいとかいう話でもない。心理的安全性とは、率直であること、建設的に反対したり気兼ねなく考えを交換しあったりできるということ。 ・職場にこんな暗黙のルールがないだろうか。上司が関与した案件は否定できない。確実なデータがないなら何も言ってはいけない。上司の上司がいる場で意見を言ってはいけない。他の社員がいる場でネガティブなことは一切言ってはいけない。率直に意見を述べることはキャリアに影響する。 ・例えばノキアでは、研究者も経営陣も、個人個人ではスマホの脅威を理解していた。そして皆が忖度し「このまあガラケーで大丈夫!」と説明。。 ・心理的安全性を職場にもたらすには。リーダーが感謝を示し、失敗を恥ずかしいものではないとし、その一方で明確な遺産については処罰する。

    2
    投稿日: 2021.05.05
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    心理的安全性の重要性が言われる中、成果主義による評価やジョブディスクリプションの明確化など、日本企業はVUCA時代に対応できているのかな? 昔のほうがよっぽど心理的安全性が高かった気がする…。

    0
    投稿日: 2021.05.04
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    心理的安全性と聞くと、なんとなくぬるま湯のイメージがあったけど、VUCA時代に賢く失敗するための土壌のようなものと理解出来た。アジャイルに仕事を進めるために不可欠な概念。

    3
    投稿日: 2021.04.10
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    心理的安全性に関する理論だけでなく、事例も豊富。これだけ幅広いケースをどうやってリサーチしたのだろうと感心してしまう。教科書的存在。

    0
    投稿日: 2021.03.31
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    翻訳が平易な文章なのでスラスラと読めてしまうけど、2周、3周と読まないと本質には辿り着けないように思った。 心理的安全性は信頼とは違って、個人間ではなく組織、チーム、場の中に築き上げられるもの。 上司の機嫌や自分の査定、人間関係への影響を気にすることなく、率直にものが言えるかどうか。どうやって心理的安全な場をつくれるか、という問いに対して、こうすれば良いというひとつの正解がある訳ではなく、「風上に向かってジグザグ進む」しかない。まずは、好奇心と思いやりと真摯な熱意(コミットメント)を自分の行動に現していきたいなと思った。

    7
    投稿日: 2021.03.28
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    クラスを安心電話安全な場にするためには 「心理的安全性」をクラスの中で育てていかなければならない。 そのためには教師自身のあり方が大きな一因となるなと本書を読んで思った。 失敗してもいい。そう思うのは簡単だが、日常のささいな出来事の中で、本当にそれができているだろうか。 子どもたちに働きかける以前に自分自身のあり方を考え直さないといけないと考えさせられた。

    1
    投稿日: 2021.03.14
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    「ティーミング」(「チームが機能するとはどういうことか」)の著者で、近年、注目される「心理的安全性」の発見者による新著。 内容はなんとなく想像できるものの、「ティーミング」がとても難しいことをとてもわかりやすく整理したものだったので、一応、読んでおこうというくらいのスタンスで読み始めた。 最初のほうは、それはそうだよな〜という感じなのだが、具体的な事例の紹介などを通じて、だんだん、そうそうその通り、と引き込まれた。 とくに、福島の原子力発電所のケースがわりとしっかりと取り上げられていて、そういう観点からも、身に迫るものがある。 まったく新しい知見が示されているわけではないのだけど、自分がずっと感じていたことが言葉にされ、そして他の本を読んで共感していることがリンクされ、ツールとして、整理されている。 内容的には、たとえば、センゲの学習する組織やティール組織などで議論されていることと共通するわけだけど、とてもクリアで、わかりやすく、実践的な書き方で、なんというか「オレンジ」な人々にも訴えかける書き方になっている。 「オレンジ」にわかるように説明するというのは、ある意味、ハーバード大学的な特徴なのかな?(キーガンの本もそんな感じ) で、この議論の先には、自然と、自己組織化やナラティヴアプローチに繋がっていく感じがあって、いいな。 これからのリーダーシップのあり方として、これはベースなのかもしれないと思った。

    5
    投稿日: 2021.03.04
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    心理的安全性をテーマにした本書。 不確定な要素が多い世の中、新たなサービスや価値を生み出していくためには前線からのフィードバックやトライアンドエラーを繰り返しながら精度を上げていくことが大切。 けっして甘えや緩みではなく、目的を共有しながら高い目標にむかって進んでいくチームこそが強い。 事例も多く読みやすく一気読み。

    1
    投稿日: 2021.02.28
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    今の自分に読み切れるとは思ってなかったのでまず嬉しい。章ごとに豊富な企業事例、具体的な変化のためのプロセス構築法やツールなども多い。 第8章冒頭のp230, "発言より沈黙を好む心理的・社会的な力の基本的非対称性、つまり自己表現より自己防衛しようとする性質は、今後も変わらないだろう"…うぅ…でしょうね。 だが、"発言と沈黙では、見返りもまた非対称である"…ほんそれな!! やはり諦めたくない、沈黙の文化を揺さぶる活動。 心理的安全性は繰り返し探求し続けるものであるし変化もする。 質問集、どれもあるあるすぎて笑う。 第8章はなんと言ってもラストが秀逸。胸熱。風上に向かってジグザグに進め。ヨットの如く。

    6
    投稿日: 2021.02.18
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    心理的安全性とは何か。こうではないと、こうであるがたくさん示されていて、この言葉への理解が豊かになった一冊でした。チャレンジできる環境つくりたいものだなぁと。 そして、到達点は学習する組織なのだなと。

    1
    投稿日: 2021.02.12
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    この本の著者である、エイミー・エドモンドソンの論文と書籍が引用された総回数は5万を超えるという。 前著「チームが機能するとはどういうことか」でも心理的安全性の概念は中枢に据えられていたが、本書はさらに心理的安全性へのフォーカスが強まっている。 本書の構成は以下のようになっている。 第1部 心理的安全性のパワー 第2部 職場の心理的安全性 第3部 フィアレスな組織をつくる 心理的安全性とはなんぞや、近年の学術領域における関心事は何か。 心理的安全性のない組織で何が起きたのか、心理的安全性がある組織でどのようにそれが形成され、保たれているのか。 前著と重複する部分がある。また、ここ日本における現場にフィットした「心理的安全性のつくりかた」という名著が昨年出版されている。心理的安全性のエッセンスを知りたい、という観点では、本書が存在しなくても事足りる部分はある。 それでも数々の事例、とくに福島第2原発の話は胸を熱くさせたし、最終章における畳み掛けるようなFAQ形式は「課題はすべて潰す、心理的安全性を少しでも多くの現場に普及させるぞ」という気迫を感じた。

    0
    投稿日: 2021.02.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    同じことを角度を変えて、丁寧に伝えてくれる一冊でした。 恐れなのないーフェアレスな組織は、集団的知性・知識集約型の組織で、コミュニケーション・協働があり、イノベーションが生まれる……当たり前のことだけれど、これが実践できている組織は、大きな単位になればなるほど限られてくるよなと思いました。 意外だったのが、アプローチが認知と仕組みだったところ。リーダーは、認知バイアスに気づき、意識的に仕組みを作っていく必要がある、つまり誰でもできる可能性があるのだと思いました。 「沈黙して得な人はいない」 何かを恐れて、サイレント化していくのは、もったいないぞと改めて。

    0
    投稿日: 2021.02.11