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風待ちのひと
風待ちのひと
伊吹有喜、吉實恵/ポプラ社
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総合評価

101件)
4.0
29
39
25
4
0
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    「心が風邪をひいてしまった」という表現は、とても優しく感じられた。 物語は、心が弱ってしまった男女が出会い、支え合いながら夏を過ごす姿を描いている。 読み進めるうちに「家族とは」「夫婦とは」「親子とは」といったことを考えさせられた。 支え合える人の存在は、生きていくうえで欠かせないものだと思う。 夫婦は本来支え合うものだと思っていたが、時には傷つけ合ってしまう関係にもなり得る。 そのことを思うと、とても切ない気持ちになった。 だからこそ、お互いに「必要だ」と思える人との出会い、そして支え合える人との出会いがどれほど大切かを改めて感じた。 最後が前向きに進んでいけそうな結末だったのが救いであり、良かったと思う。

    1
    投稿日: 2025.09.25
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    面白かった。一気に読んだ。ラストも良かった。 30代後半の大人の恋愛小説っぽい。それぞれに色々な経験を持った男女が、たまたま偶然出会い、お互いに大切な人になっていく。伊吹有喜さんのデビュー作。伊吹さん3冊目。刺激的ではないけれど、いつも穏やかな、優しい気持ちにさせてくれる作家さんです。好きかも。人との繋がりの大事さを教えてくれる。他の作品も読んでみたい。

    19
    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アラフォーの男女の恋愛が、ゆっくり進んでゆくストーリーですが、ところどころ違和感が⋯ 喜美子が全体的に39歳とは思えぬ所作や話し方だったのが気になって気になって⋯苦労の多さを鑑みても老けすぎてて60歳くらいの描写に感じられてしまった。10年以上前の作品とはいえ⋯ また、主人公の妻が分かりやすい悪役すぎて、ちょっと男性視点だけのご都合主義に見えました。 まあ最後までスルスル読みやすかったのは良かったかな。 3.4

    2
    投稿日: 2025.08.31
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    主人公よりも10年も長く生きてしまったせいか、ものすごく俯瞰的に読んでしまう物語だった。どの人にも肩入れはできず、とはいえ全く理解できないというわけでもない。リアルだと言えばそうだし、その割に夏の美鷲の風景は夢みたいだった。エピローグの幸せそうな皆の様子がとても良かった。

    1
    投稿日: 2025.07.04
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    お久し振りにこの作者さん、デビュー作に行ってみる。 仕事にも家庭にも疲れた哲司が、亡くなった母が最後に住んでいた港町の家を訪ねたところから始まる物語。 そこで偶然知り合った喜美子に母の遺品整理を手伝ってもらうことになったが、喜美子にも息子と夫を相次いで亡くしていた過去があり…といった展開。 悪くない話なのだが、何故だかあまり響かずで、実際にあったらいいよねえというか、もはやこういう話はお腹いっぱいって感じ? 病んでいる割には偉そうかつ頑なな哲司にも、自分を守るためとは言いながら自らをオバチャン呼ばわりする喜美子にも、あまり魅力を感じず。 哲司の奥さんもどうだかとは思うのだが、なんか男だけに都合の良い収束になったのは、ちょっと可哀想だったかなあ。 我が身を振り返れば、仕事で病むこともなく勤めを続けて来られ、配偶者とはまあまあの仲(多分)で、こういう感想書けるだけ恵まれているのだと思う。

    78
    投稿日: 2025.06.05
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    伊吹さんの作品を読むのは3冊めです。最初に読んだ「雲を紡ぐ」が好きだったことが手にしたきっかけです。 優しい雰囲気はこれまでの2冊と同様でした。 歳を重ねると、いろいろな経験を重ねる中で、自分の生きていく世界が固まっていく、決められていくような気がします。若いときのように新しい環境に飛び込むことも難しく、億劫になってしまう。 哲司も喜美子もじれったいですが、20代のように突っ走ることも難しい、まどろっこしい感じもありつつ、切ない話でした。

    38
    投稿日: 2025.04.10
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    仕事にほとほと疲れた主人公がひとり夏の休暇をとって、母親が暮らした和歌山県の岬の家にやってくる。掃除も買い物も手につかないところで、ひょんなことから一人の世話好きな女性と出会う。海で死にそうになったその時に、その女性が救い出してくれる。母親が音楽を教えた学校の卒業生たちがやってくるが、この女性が何もかも手伝ってくれて何とか対面を保てる。突然に、東京から妻が押しかけて物語は風雲急を告げる。

    1
    投稿日: 2025.04.01
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    この間本屋さんで 大好きな伊吹さんの作品を見つけ 思わず即買いしてしまいました。 いつも本当に温かく優しい物語の伊吹さんの作品に 今回はそれプラス、大人のラブストーリーがエッセンスとなって 素敵な物語になっています。 ストーリーを少し… つらい思いを胸にしまい 哲司はなき母の家の片付けと 心の休養のため三鷹にやってくる そこで 偶然出会った喜美子に片付けを手伝ってもらうことに… 心に傷を持ちながらもいつも笑顔の喜美子の温かさに少しずつ 本来の自分を取り戻していく 哲司。 お互いが少しづつ近づく感じは いろいろ事情があるが故に まどろっこしく、切ないく 読んでいる方もつい感情移入してしまいました。 周りの人達もみんな温かく素敵な 人達で二人を見守る 距離感も心地良かったです。 会話がたくさんで まるでドラマの中にいるようで あっという間に読了してしまいました。 いつものように 後味の良いストーリーで 癒されました。

    45
    投稿日: 2025.01.25
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    風待ち、潮待ち、日和待ち、ってよく使う言葉で、好きな言葉です❗️ 最近は、人生、急いだり、あせったりしないようにしています。

    4
    投稿日: 2024.12.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ペコちゃん 福井喜美子。不二家のペコちゃんに似た腕利きの元理容師。夏の間、ミワという店で手伝いをしている。三十九歳。六年前に旦那が亡くなった。 須賀哲司 和歌山県から東京までトラックで鮮魚を運ぶ仕事を始めて五年目。三十九歳。美鷲水産。大学卒業後に入った銀行は相次ぐ合併で、気が付けば吸収された側の窓際にいた。 実塩 哲司の母。三重県の私立の女子校で教頭を務めていた。定年後も請われてその学園の運営に携わっていたが、六年前に完全にリタイアし、岬の家と呼ばれる、美鷲に家を建てた暮らしていた。持病が悪化して倒れ、五ヶ月の闘病の末に病院で亡くなった。 理香 哲司の妻。大学の同級生。外資系の証券会社に勤める。スポーツクラブの若いインストラクターと体の関係を持つ。 友樹 喜美子の息子。七年前、海の事故で十二歳で死んだ。 藤原アキノ 岬の家の手伝いをしていた。実塩が指導していた音楽部の最長老のOGで、最高顧問。 由佳 哲司の娘。 マダム ミワの店主。喜美子の亡くなった夫の叔母。 舜 マダムの孫。大学の留年が決まる。ガンプラに熱中している。 舞 マダムの妹の孫。干物工場の跡取り娘で、舜と同じ年だが、進学せずに工場で経理の仕事をしている。 孝弘 マダムの甥っ子。喜美子の亭主。名古屋の料亭で板前をしていた。 勝利 スタンドのオーナー。 絵凛 勝利の娘。

    1
    投稿日: 2024.10.23
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    若い子の恋愛には無い 39歳色々な経験積んだ大人 じれったく、ハラハラしたり、ドキドキ、クスッと笑ったり、涙ポロ 伊吹有喜さんの作品なので優しく書かれる気はしますが優しくない感じもした。 大人の恋愛だな。オペラやミュージカル 星4.5

    10
    投稿日: 2024.08.29
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    読みだし、西加奈子の肉子ちゃんを思い出した そんな感じの滑り出しであったが 肉子ちゃんとは似ても似つかないキャラであり内容であった。 伊吹有喜さんの作品はこれで7、8冊ぐらいか ぶーぶー文句を言いながら結構気に入ってる 山本甲士と同じでハズレがない よくよく考えてみるとブックオフで100円で売ってるからか ともかく、人間味溢れるというか その情感の描写がとても上手いです

    1
    投稿日: 2024.08.26
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    哲司と喜美子と同い年の時だったから、なんだか気になって手に取りました。 39歳。 それなりに生きて来て、それなりに色々持っていて、それなりに幸せだけど、何だかポッカリ隙間が空いちゃってるような気がしてる。 何を探してるのか、自分でもわかんないのに、 気ばかり焦ってバタバタしてる。 幸せってひとつじゃないし、同じ形でもない。 ゆっくり探せばいいじゃないって、背中を押してくれるような作品でした。

    4
    投稿日: 2024.05.05
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    辛い経験を経て失うものとそこから得るもの、人生で起こる小さな出逢いや縁の大切さを気づかせてくれました。 小説の中にしかないでしょ?といった筋ではなく、親近感が持てる人物像と現代家族の描写に、隣の家を覗いているようなリアル感を得られました。

    3
    投稿日: 2024.04.06
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    伊吹さんの小説、2冊目。読み終えて感じたこと。 美鷲の風景描写が、想像できるくらいの表現の素晴らしさに惹かれた。 家族を失った貴美子と心の風邪をひいてしまった哲司。 貴美子の優しさと気遣い、テキパキとこなす仕事。かっこいいと思った。 お互いに欠けているもの、大切なものに気付き前に進もうとするストーリー。 貴美子は本当に温かい女性だと思う。 謙虚でどんな人にも温かく接することができる女性。 弱いようで、芯の強さもある。 大切なものを手にするために、自由に生きれたらどんなに幸せかなぁ、と思ったストーリーだった。 ちょっぴりもどかしくてせつなくもなる大人の恋も描かれてて、色んな気持ちになれた。

    5
    投稿日: 2024.03.14
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    "道を踏みはずしたよ" "踏みはずしたんじゃないよ。風待ち中" 心の風邪をひいて休職中のエリート会社員と過去に家族を相次いでを亡くした傷を抱える女性。共に39歳の2人が海辺の町で偶然出会って再生していくお話し。 優しい大人の恋ではあるんだけど、それも不倫では…とも思ってしまった。 2人の葛藤や、撤退はしないといいつつ中々前に進むことができなくてウジウジとする心の動きがとてもリアルに伝わってきて、この作家さんは心の機微を描くのがやはり上手だなと思う。

    4
    投稿日: 2024.02.16
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    39歳、妻とうまくいっていないエリートサラリーマンが、心の病気を患い、亡き母の残した三重県の海辺の家に、整理しがてら、療養にやってくる。 その海辺の町で、家族とうまくいかない男は、子供を海の事故でなくして心に傷を負っている同い年の女と出逢う。 39歳という、もう若くはない年齢で出逢った二人が、お互いの傷をじっくりと癒しながら、リスタートをきっていく。 小説を読んでいるだけで、雄大な景色、オペラが奏でられるような気がする美しい小説です。 大人の素敵なラブストーリーですね。

    3
    投稿日: 2023.12.12
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    伊吹さんの作品は人の心情の移り変わりなどが大変上手いので作品を読み終えるたびに上手いなあと感じます。 今回もそれぞれが感じていた寂しさや、やるせなさなどがとても上手く表現されています。 ハラハラ、ドキドキしながら迎えるラストにとても心が癒されます。

    4
    投稿日: 2023.11.20
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    さてさてさんの本棚から図書館予約 単行本を読みました 恥ずかしながら知らなかった作家さんで初読みです 出会った二人をめぐる、せつなくてやさしいお話し チキン南蛮、椿姫、ガンダムプラモ うふふ あたたかな海からの風 踏み外したんじゃなくて「風待ち」のとき ≪ また次の 一歩を踏み出す 風を待ち ≫

    28
    投稿日: 2023.05.28
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    あなたは、『たしかに自分は今、何もかも保留、宙ぶらりん、先送り中だった』という今を生きていませんか? この世を生きていく中には、楽しいこと、やりたいことがある一方で、嫌なこと、やりたくないこともたくさんあると思います。これは誰だって同じです。前者だけしかないという方がいたらそれはとても幸せで前向きな人生なのだと思います。誰にだって多かれ少なかれ、またその時々の状況によって嫌なこと、やりたくないことというものはあるはずです。そして、当然の感情として、そんなことごとを後回しにしたい、そんなことがあること自体を考えないでいたい、そんな風に考えると思います。 しかし、残念ながら人の人生が有限である以上、嫌なこと、やりたくないことをいつまでも先延ばしにできるはずがありません。また、先延ばしにすればするほどにそんな事ごとの難易度が上がっていく場合だってあると思います。早めに踏ん切りをつけて、そういった事ごとを一気に解決してしまう、それも生きていくには大切な事だと思います。 ただ、そうは言っても私たちは人間です。教科書に書いてある通りそうは簡単に行動できるかというとそんなに容易くもないものです。そういう私も読書&レビューの日々を送る一方で家庭が抱えるある問題をさき送りしていることに気づきます。というより気づいているからこそ、読書&レビューにのめり込んで、そのことを忘れようとしている、そんな自覚自体はあります。どうしたものですかね…。 さて、ここに妻の『ペンディング』という言葉をきっかけに人生が宙ぶらりんになってしまったと感じる一人の男性が主人公となる物語があります。そんな物語には、もう一人、息子と夫を相次いで亡くし、二人の面影をいつまでもひきずる一人の女性が登場します。この作品はそんな二人の主人公が『紀伊半島の南東部、熊野灘に面した』『海沿いの町』という美鷲(みわし)に出会い、暮らす中で”凝り固まった哲司の心と身体がゆっくりとときほぐされ”ていくのを見る物語。そんな二人の間に通い合う人と人との繋がりを感じる物語。そしてそれは、そんな二人の人生が再生する瞬間を見る物語です。  『手洗いを使いたくて、このドライブインに寄ったこと』を『心から後悔』するのは主人公の須賀哲司(すが てつじ)。そんな哲司の前で『あの車のドライバー、どちらさん?』と『トラックのドライバーが』『軽自動車の持ち主を大声で捜して』います。やむなく『私ですが』と答えた哲司に『あんた、美鷲(みわし)の人?もし帰るんなら、あの人乗せてやってよ』とドライバーは一人の女を指差しました。『一人でいたかった』と思う哲司ですが、『乗せるの、乗せないの?』と詰め寄られ『仕方なくうなず』きます。そして、女を乗せて走り出すと『兄さん、どこの人?去年の夏は見かけなかったけど』と訊く女に『夏の間だけ、しばらく美鷲にいることになって』と返す哲司。その後もさまざまなことを訊かれて『うっとうしくな』った哲司は『ipodのイヤフォンを耳に入れ』ます。そして、『車は美鷲の町に入ってい』きます。『三重県の私立の女子校で教頭を務めていた母』がリタイア後、『家を建てて暮らしていた』美鷲。そんな母親も『二ヶ月前に病院で亡くな』りました。そんな時から『突然、夜に眠れなくなった』哲司は『首が右に曲がらなく』もなりました。『体に異常はなく、精神的なもの』と診断された哲司は『六週間の休職が認められ』たこともあって『母の家を整理しがてら、美鷲で静養することにし』たものの、『静養して何になる?』、『いっそこのまま何もかも捨て、息をすることすらやめてしまいたい』とも思います。そんな時、女に肩を叩かれイヤフォンを外すと『防波堤の手前で車を止めるよう』言われます。『目の前の店を指さし』遊びに来いと言う女は『うんとサービスするから、ぜひ来てね』と言うと車を降りました。『「ミワ」と赤いネオンサインが』またたくそのお店。そして、家に着いた哲司は、『台所で見つけたウォッカを飲』みます。『思えば昨日も一昨日も眠れず、酒の量ばかりが増えている』という哲司は『不意に海が見たくなり』庭に出ると、今度は『海水に触れたくな』り、砂浜へ出て、『水の中に進』みます。『体が軽くなるのを感じた』哲司は『楽になりたい』『疲れた』と思い目を閉じました。『大学卒業後に入った銀行は相次ぐ吸収合併』に見舞われるも転職の踏ん切りがつかない日々の中、『妻がスポーツクラブの若いインストラクターと体の関係を持っていた』ことを知った哲司ですが、『中学受験を控えた娘』のために『ペンディング』となったそれから。『沈んでみようか』と思った次の瞬間、『体が沈んで』『息苦しくなり、手が水をかいた』という緊迫した状況。そんな時、『大丈夫。力、抜いて』という声、そして体が引かれ『砂地に着いた』のを感じた哲司に『救急車、救急車を呼ぶよ』と声が聞こえました。顔を上げるとそこには車に乗せた女の顔がありました。『兄さん、岬の家の人なの?』と肩を貸してくれる女に家まで送ってもらった哲司は、女に風呂に入れられ、マッサージまでしてもらい介抱されます。そして、福井喜美子と名乗ったその女。そんな喜美子との関わり合いの中で、『自分は今、何もかも保留、宙ぶらりん、先送り中だった』という哲司の人生が再び動き出していく物語が描かれていきます。 “「心の風邪」で休職中の男と、家族を失った傷を抱える女。海辺の町で偶然出会った同い年のふたりは、39歳の夏を共に過ごすことに。人生の休息の季節と再生へのみちのりを鮮やかに描いた、著者デビュー作”と内容紹介にうたわれるこの作品。第三回ポプラ社小説大賞特別賞も受賞するなど、伊吹有喜さんの今に続く小説家としての出発点となる作品です。そんな作品は、”「心の風邪」で休職中の男”とされる須賀哲司と、”家族を失った傷を抱える女”とされる福井喜美子といういずれも39歳同い年の二人に交互に視点を切り替えながら展開していきます。では、そんな作品を三つの視点から見ていきたいと思います。 まず一つ目は〈プロローグ〉と〈エピローグ〉の効果的な使い方です。伊吹さんの作品では現時点での既刊14冊のうち半数の作品で〈プロローグ〉と〈エピローグ〉が構成に盛り込まれています。とはいえその使い方は作品によって異なり、それぞれに物語の読み味を絶妙に作り上げています。この作品では上記の通り、哲司と喜美子の主人公二人に交互に視点を切り替えていきます。このような構成の場合、二人それぞれの相手を見る心の内が視点の切り替えによって読者にもはっきりと見えてくるという効果があります。しかし、そんな二人は周囲からどういう存在として見えるのかという視点がなくなってしまいます。もちろん、そんな視点なしに描かれた作品もありますがこの作品では〈プロローグ〉と〈エピローグ〉を全くの第三者である一人の『青年』の視点とすることで思わぬ効果を生んでいます。物語の冒頭については上記でまとめていますが、それは実際には〈第一章〉の冒頭となります。〈第一章〉では美鷲へと帰るところだった哲司の車に喜美子が乗り込むというところから始まり、『一人でいたかった』という哲司にはなんとも迷惑な展開になったという物語が描かれます。しかし、ここに〈プロローグ〉が差し込まれることで見え方が全く違ってくるのです。そんな〈プロローグ〉の『青年』は『ドライブインの駐車場の隅で小柄な女が男の髪を切ってい』るという光景を目にします。『丸みを帯びた』『どこか福々し』い顔を見た『青年』は、『先輩ドライバー』から聞いたこんな噂を思い出します。 『「海沿いの町」という紙を掲げた中年女がヒッチハイクをしていたら、必ず乗せて丁重に扱え。不二家のペコちゃんに似たその女は腕利きの理容師で、乗せるとその礼に必ずドライブインで髪を切ってくれる』。 そして、ポイントが次の結果論です。 『そうして男ぶりが上がったドライバーにはその後、きまって多くの福が舞い込むらしい』。 いかにも噂という感じのお話ですが、どこかロマンティックな雰囲気感も漂わせます。そして、そんな女が乗ることになったのが哲司の車。〈第一章〉へと物語は繋がっていきます。どうでしょう。上記の〈第一章〉の物語に一気に厚みが出てくるのがわかります。そして、そこにはそんな噂が本当になるのかな?という読者の期待感が生まれます。これは、二人の視点の切り替えだけでは決して得られないものです。第三者である『青年』を登場させるからこそ生まれた効果とも言えます。一方で〈エピローグ〉に触れることは即ネタバレとなるために避けたいと思いますが、〈プロローグ〉同様に『青年』が再び登場し、物語を実にあたたかな眼差しで見る中に物語は幕を下ろします。これから読まれる方にはこの見事な〈プロローグ〉と〈エピローグ〉の演出の妙には是非ご期待ください。 次に二つ目はクラシック音楽に関する描写です。物語ではクラシック音楽を愛する哲司と、『やはりクラシックは特別なものなのだろうか。それを楽しむにはもっと教養みたいなものが必要なのだろうか』という中に哲司にそんな音楽の魅力を教えてもらおうとする喜美子の姿が描かれていきます。『そう構えるものでもないよ。たかが音楽だ』と言う哲司に『なのに、どうしてすがるようにあの人はそれを聴いているのだろう』と思う喜美子。そんな二人の掛け合いがなかなかに面白く描かれていきます。一つ取り上げます。一枚の『レーザーディスク』を手にした哲司。そのジャケットを見ながらの二人の会話です。 喜美子: 『ねえ、なんでこの男の人は白ずくめなの?』 哲司: 『白鳥の騎士だから』 喜美子: 『はーくーちょうの騎士?いやだ、もう。哲さん、真面目に言ってるの?』 哲司: 『本人が白鳥じゃないよ。白鳥が牽いてくる小舟に乗ってくるんだ』 喜美子: 『それ、どういう舟なの?おまるみたいな舟?』 哲司: 『演出による』 喜美子: 『弱そう。出てきたらすぐ死にそう』 哲司: 『強いよ、主役だから』 なんとも軽妙なやり取りですが、オペラをご存知の方はお分かりだと思います。これは、ワーグナー「ローエングリン」の『レーザーディスク』を手にしてのやり取りになります。こんな感じでこの作品にはクラシック音楽の話題が多々出てきます。それは、衣裳にまで及ぶなど、この作品の骨の部分を絶妙に彩っていく重要な役割を果たします。クラシック音楽はあまり知らない…という方もご心配なく。主人公の一人・喜美子はそんなあなた同様にクラシック音楽の知識ゼロから出発するという位置づけです。この作品を読み終わったあなたは無償にクラシック音楽を聴きたくなること請け合いです。 最後に三つ目は、内容紹介に”人生の休息の季節と再生へのみちのり”と記された時間を二人が過ごすことになる『紀伊半島の南東部、熊野灘に面した』『海沿いの町』という美鷲(みわし)の魅力溢れる描写です。人は美しい景色に癒される、一般論としてさらっと言われる通り、特に都会のゴミごみとした街並みの中で生活している人ほど、美しい自然に囲まれた場所で癒されたいと思うものです。そもそもこの作品はそんな癒されていく主人公たちの姿を描くわけですから、そこに説得力は必須です。そんな場面の描写を引用します。喜美子からマッサージを受ける中に心地良い眠りに入ってしまった哲司が、ふと気付くと『喜美子はいなかった』という場面です。 『潮騒が響いてきて、木槿の花のまわりを飛ぶミツバチの羽音が聞こえた。タオルケットに顔をよせると、日向の匂いがして、心地良く肌にまとわりついた。顔を上げた。空の青さが目にしみた… 世界が突然、鮮やかな色と音を伴って目の前に現れた。海を見る。波の音とトンビの声が聞こえた。草花をそよがせた風が体を通り抜けていく』。 『…た』という末尾で淡々と目の前に見える光景、耳に聞こえる音、そして体に感じる空気感を哲司の感覚そのままに表現していく手法は、まるで読者が哲司になったようなリアルな雰囲気を伝えてくれます。”森が生み出す空気と海風のおかげか、空が澄んで光が明るく、山の緑と海の青がとても綺麗に見える地方です”とおっしゃる伊吹さんが描く癒しの町を舞台にした物語。哲司が回復していく様を見る物語はこの伊吹さんの描写あってのことだと思いました。 三つをあげてみましたが、そんなポイントを背景に描かれるのは上記もした通り哲司と喜美子というそれぞれの理由の中に傷ついた二人の再生の物語です。『たしかに自分は今、何もかも保留、宙ぶらりん、先送り中だった』という哲司は窓際状態の仕事に、妻の浮気と娘の中学受験という家庭の中に悩みながらも何も解決できない今に苦しんでいました。一方、息子と夫を相次いで亡くした喜美子はそんな二人の面影をいつまでもひきずる今を生きていました。そんな二人の今の状態はこんな言葉で表されます。 『それは、何かを先延ばしにしていただけなのかもしれない』。 そんな二人はお互いがお互いの立場を思いやる中に惹かれあってもいきます。男と女が惹かれ合う、それはイコール”恋愛物語”と言えます。しかし、そこに描かれる二人の繋がりは単純に”恋愛物語”とは見えないところがあります。その感覚を伊吹さんは”人と人として惹かれあった二人という気がしています”と説明されます。そんな伊吹さんは”美鷲という場所で同じものを見て、食べて、聴いて、触れて、心をふるわせて…。 五感の喜びを一つひとつ取り戻していくことで、生きる喜びを取り戻した、そんなふうにも感じています”と、二人のことを語られます。そう、この作品はそんな二人がまさしく再生していく姿を描く物語です。伊吹さんは、「雲を紡ぐ」、「今はちょっとついてないだけ」、そして代表作でもある「四十九日のレシピ」でも人の再生に光を当てられています。そんな作品に比してもこのデビュー作で描かれた再生の物語はとても初々しいが故に、あたたかく紡がれる物語がじわっと沁み出してくるのだと思いました。 『人も物も変わっていく。変わらぬものはない。ならば恐れずに越えていこう。変わっていくことでより良い未来が来ることを願いながら』。 伊吹さんのデビュー作となるこの作品では、伊吹さんの代名詞ともなる人の再生を描く物語が、『紀伊半島の南東部、熊野灘に面した』『海沿いの町』美鷲を舞台に描かれていました。『補給部隊にはマチルダさん…』というまさかの”ガンダムネタ”が登場したり、えっ!あの伊吹さんがこんなこと書くの!と驚く”下ネタ”描写の予想外の登場に驚かされるこの作品。〈プロローグ〉と〈エピローグ〉の絶妙な使い方など今に続く伊吹さんの構成の妙を堪能できるこの作品。 初々しさも感じさせるデビュー作の物語の中に、今に続く伊吹さんの優しい眼差しを感じることのできた、そんな作品でした。

    142
    投稿日: 2023.03.29
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    鬱で生きる気力のない哲司に否応なく関わってくる喜美子。いつも明るい喜美子も悲しみを抱えています。 読んでいて平穏な日常の幸せを感じました。 哲司と喜美子の他愛ない会話ややり取りに和む。 伊吹さんの作品に共通して感じる“優しさ”、“安らぎ”みたいなものを、デビュー作からも感じました。 読めて嬉しい。 良い読後感でした。

    5
    投稿日: 2022.12.29
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    何だかなあ。 良い話なんだろうけど、 あんまりこういう展開は好きじゃない。 結局、娘が可哀想としか思えん。

    3
    投稿日: 2022.12.14
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    哲司39歳、銀行員、出世コースから外れ、外資に勤める妻の年収の方が多くなった。うつ状態になり休職することになった。三重の田舎に家を建てた母が死に、その家の始末に来た。喜美子39歳、息子に死なれ、あちこち転々としていた。たまたま会った哲司を助け、家の片付けを手伝うようになった。自称オバチャン ある種の完璧な小説だった。 ヒッチハイクをする喜美子を説明するプロローグ、悩みを抱えた哲司。彼を助けてあげる喜美子。こうなったらいいな、こうなったらいやだなと読む者を振り回すストーリー。素晴らしい。 喜美子は理想のタイプの女性だなと思うのと、どんな事があっても、人間は再生できる、やり直せると深く思った。

    1
    投稿日: 2022.09.28
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    著者の作品を読むのは雲を紡ぐに続いて2回目です。エリートコースを歩んできたサラリーマンが、うつ病になり、妻にも浮気され男としての自信を失い、自殺するつもりで亡くなった母の住んでいた街、美鷲(おそらく三重県の尾鷲市)に訪れます。休職期間中のその街での出会いや恋愛を綴った、切なくも優しいストーリーです。 哲司も喜美子もお互いを好きなのに常識のある人間だからこそ先に進めない感じがなんとも切ない。 雲を紡ぐを読んで、夫婦や親子関係の機微を描写するのが上手な作家だなと思っていましたが、その魅力が存分に詰まった一冊で、今まで読んできた小説の中でも1番と言っていいくらい好きな本です。少し日々の生活に疲れてしまった人にぜひ読んでもらいたいです。

    11
    投稿日: 2022.08.21
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    疲れたら休めばいい。こんな素敵なまちで休暇を過ごせるなんて気分転換できること間違いなしでは? ちょっとおせっかいか、と思われるけど、そのおせっかいさに救われたところが大きいな。

    1
    投稿日: 2022.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    伊吹さん。今年に入ってすでに7冊目。今回は自分の年齢と似たアラフォーの主人公・哲司と喜美子のカタルシスWITH恋愛の話し。哲司はエリート銀行マン、妻との関係は冷え切り、心身の不調から休職。静養がてら、母が住んでいた海辺の町・美鷲を訪れる。同い年の喜美子は、明るく世話好き。夫と息子を亡くした心に辛い傷を負っていた。喜美子の健気さと懐に入り込む愛嬌が何とも愛らしい。完全に喜美子が気になる。哲司には喜美子が必要だが妻との諍いから辛い展開に。最後は久しぶりに涙が出た。伊吹さんの本で一番感情移入したベスト本。⑤↑ これがデビュー作なんだね。

    37
    投稿日: 2022.05.22
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    親切にすると幸運をもたらすと言われている女性、貴美子が心を病んだ哲司と出会う。哲司は亡くなった母の岬の家に療養に来ていた。お互い惹かれる素因があったのだろう。上手くいきそうで中々いかない、じれったくもあったが終わりはよかった。クラッシックの曲が流れているのもいい。

    0
    投稿日: 2022.03.31
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    まさにツボ、満点でした。 哲司と同じ業界で働いていました。そして途中で道を外してジ・エンド。音楽ではクラシック大好き。昨秋はショパンコンクールにハマっていました。コロナの前はオペラにもよく行きました。最も聴いているのはトラビアータ、ウィーンやパリでも聴きました。事実なのですがヴェネツィアフェニーチェ劇場は2年前コロナで泣く泣くキャンセルしました。 ただし、生まれ育ちは平凡で、教養もお金もなく外見は貧相という点は大きな違い。おかげで生きる喜びを未だに模索中です。こんな格好いい男になりたかった。

    5
    投稿日: 2022.03.09
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    うーん…恋愛小説だったか!主人公が心の病でどうなることか、と思ったけど、出会った喜美子さんと関わっていくなかで主人公の心が回復していく過程が良かった。二人のやりとりが面白く、笑ってしまうところもあった。

    0
    投稿日: 2021.11.03
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    伊吹有喜さんのデビュー作。四十九日のレシピが有名ですが、個人的にはこちらの方が好きです。 オススメ!

    4
    投稿日: 2021.10.21
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    最近、青春小説ばっかり読んでいたので、久々に大人のお話。 心のバランスを崩し休職中のエリートサラリーマン哲司が紀伊半島の港街、美鷲を訪れる。そこで出会った喜美子。明るい振る舞いの裏には悲しい過去があり。 最初はこの喜美子の田舎のオバちゃん然とした感じがイヤだったけど、読み進めていくうちにそれが彼女の自信のなさやあきらめてきたものからくるものだとわかってくる。本当は誰よりも純粋でまっすぐで。だから哲司もそんな彼女に癒され、徐々に自分を取り戻していくんだね。大人の夏休み。 「風待ち」という言葉がいいね。「道を踏み外したのではなく、風待ち中。いい風が吹くまで港で待機しているだけ」 惹かれあう二人だけど、この年になると大人の事情とか分別とかあって、じゃあとすんなりはいかない。色んなしがらみがあるし、周りの人たちの気持ちも考えてしまうし。なかなかに切ないです。 特に哲司には東京に妻と娘がいて、そこは読んでいても難しいなぁと。奥さんにかなり難ありだけど、彼女の言うこともわからなくはなくて。最後までどんな結末に落ち着くのかわからなくてはらはらしました。大人ならではのストーリーで面白かったです。 あと、ストーリーの中でオペラ音楽(椿姫)がキーになっていて、哲司に教わってだんだん喜美子が音楽を理解し世界が広がっていく過程は興味深かったです。私もオペラを聞いてもさっぱりわからないけど、聞き込めばわかるようになるのかなぁ…

    0
    投稿日: 2021.08.08
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    めちゃくちゃよかったけど、 大人向けの大人のお話でした。 学校図書館にはおけないかな。 心が風邪をひいたら、どうする? 大人こそ、疲れちゃうし、 風邪をひいてしまうこともあるんだよね。 大人に読んで欲しい、心地よい物語。 伊吹有喜さん、完全に推し。

    0
    投稿日: 2021.04.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み残してたデビュー作 「心の風邪」この発想ができるからこその作品たちなのだなあと ガソリンスタンドのくだり、そうやってくしか生きていけない感じはあるけど、キンコなら前を向いて生きててほしかったような

    0
    投稿日: 2021.04.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    また大好きな本が増えたー。 「大人のけじめの付け方が、子どもの人生に影響する」 確かになー。また、喜美子がした渦の話もよかった。人生に喩えられるね。 哲司と喜美子の関係がなでしこ物語のヨウヨとリュウカくんに通じてる気がして。 それにしても伊吹さんのデビュー作、彼女は最初からこんな繊細で豊かな人間性を持つ登場人物を描けていたんだな。すごい。

    0
    投稿日: 2020.12.07
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     心が風邪を引いてしまったら、どうする?  そんなことで寝込んでなどいられないと、自身を叱咤激励するか、それとも、癒されるまで、ゆっくり過ごすか。  心が風邪を引いてしまったら、無理をしちゃいけない。周りの速度が速いから、取り残されてしまうのではないかと心配になるかもしれないけれど、焦らなくていい。 「風待ち中。いい風が吹くまで待機しているだけ」  いい風が吹いてきたら、帆を上げて漕ぎ出せばいい。  でも、それは一人じゃ無理。傍にいてくれる誰かが必要。支え、励ます、時にはユーモアをもって。その中で、もしかしたら、風邪が治りきっていなかった自身も癒されていく。  読後感がとてもあたたかい小説でした。

    0
    投稿日: 2020.09.26
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    人生には行く時か風待ちの時間が必ずある。 風待ち、港に泊まる船のように。 共に39歳、人生を四季に例えると最後の夏の年(本編では2,30代を夏としている) 傷ついた風待ちの男女がひと夏をとある田舎町で過ごす物語。 今後の自分の人生に本当に必要なもの、ひとは誰なのか。幸せとはなんなのか。 そんな答えを出すかけがえのない年の物語。

    0
    投稿日: 2020.09.15
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    7月−17。3.0点。 不眠症になり、亡き母の田舎に来た銀行員。息子と夫を亡くした同世代のじょせいと知り合いに。 「雲を紡ぐ」読んで、この作家の本が読みたいと手に取った。デビュー作だが、ほんのりと暖かくなるストーリー。

    0
    投稿日: 2020.07.18
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    随所に現れる瑞々しい表現が心を掴む 瓜の汁を指で拭うシーンは美しい映像が浮かびました 誰かの大事な人になるタイミング、過程 少女漫画以上にときめきました

    0
    投稿日: 2020.07.18
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    二人の視点から描かれるストーリーにより、互いに抱える問題、過去にできた傷が読み取れる。 美しい風景が目に浮かび、人の温かさを感じることができる作品。

    0
    投稿日: 2020.07.10
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    今の世の中の空気感で、自分の心も疲れている実感があり、少しほっこり楽な気持ちになれそうな本を読みたくなり、手に取った。 心に傷を持った、39歳の哲司とキンコ(喜美子)が、夏のひとときに出会い惹かれていく。 正直、第一印象は、哲司は少し偉そうで、キンコは元気と下品を取り違えてるオバチャンみたいで、微妙に感じたのだけど、 一見、全く交わることがなさそうな二人が、いつの間にか、距離が近づいていくと、交わす言葉に、優しさや、哀しみを隠した明るさや、温度みたいなものが感じられるようになる。すると、不思議。二人ともが魅力的に思えてきて。こう言う二人が、これからの人生を支えあっていけたらいいな、と思う気持ちが出てきた。 ものすごく心を揺さぶられるとかではないけど、読む前に思った、ほっこり優しい感じ。そんな時間をもらえたと思う。

    0
    投稿日: 2020.04.20
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    序盤横柄な態度の哲司にイライラしながら読んだ。いつから何故心を開いたのか、いつ恋心が芽生えたのかがちょっと謎だったけど、人間くさいお話だった。 クラシックやオペラを知らないから少しカタカナが難しかったな。

    16
    投稿日: 2020.01.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2019/8/28 これがデビュー作。天才。恐ろしい子。 ダメなところを見捨てないからダメなとこまで愛しくなるのかな。 イヤ、これ危険や。違うかも。ダメンズになってしまう思想かも。 ダメな時かな。 この人の描く包容力がすごいんやけど。めちゃくちゃ癒されるんやけど。 コチコチに固まった哲司君をほぐすのがめちゃくちゃ癒される。 こんな風にほぐされたいと思いつつ他人をほぐそうとはしないのよね。 イケないよね自分ばかり。 惜しみなく働く人になりたいよ。 体力がないよ。 ああ!惜しみなく働かないからアカンのか?なるほど。 また哲司君もいいんだよ。 ちょっとイジワルを言ってしまったよ。とか。 そう言えばこの二人のおしゃべり独特だなぁ。 すごく気持ちのいいテンポ。 ちょっとちびまる子っぽい。 舜はどうしてるかな?また彼らに会いたいね。

    3
    投稿日: 2019.08.28
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    意外と面白かったけど 話が進むに従って ストーリーに無理がありすぎて ちょっと引いたかも 笑。キャラクターもブレブレになっていくし。 貴美子って ガソリンスタンドの社長とあんな形で結ばれるような女性だっけ? とーとつなのもあったけど なんか納得いかない感満載で消化不良。

    3
    投稿日: 2019.03.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文章も情景も優しい。二度読みをして、主人公と同じくいつの間にか喜美子がかわいらしく魅力的な女性として映っている事に気づいたほど引き込まれていた。(最初はがさつなおばちゃんだったのに・・)溺れかけた主人公を助けた事は、喜美子にとって亡くなった息子への償いとともに新しい人生の始まりでもあったのだと思う。 喜美子の言葉は優しく、温かく、悲しい・・ 久しぶりに「アー、良かった」と思わせてくれた小説 タイトルもとても良い

    3
    投稿日: 2019.01.30
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    「何もかもコースアウト。 道を踏み外したよ」 『踏み外したんじゃないよ。 風待ち中。 いい風が吹くまで 港で待機してるだけ』 あぁ そんな考え方も あるんだな って ちょっと 楽になった そのうち いい風 吹けばいいなぁ~ オトナ様の恋愛小説 オトナ様の再生物語

    7
    投稿日: 2018.11.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初の数十ページで、ストリーは大体最後がなんとなくわかったけど、読み続けた。 読み終えて、いい気持になれた。小説っていいなぁと。 恋愛小説だけど、再生の話だと感じた。 「何もかもコースアウト。道を踏み外した」という哲司の言葉に、喜美子は「踏み外したんじゃないよ。風待ちの中。いい風が吹くまで港で待機しているだけ」と応える。心にしみた。 人は誰でも、心の風邪を生きていれば、何度となくひくのだ。そこで必死になるのではなく、ちょっと休むことは、人に必要な事なのだ。理香の言葉の後ろにある、プライドや効率とか、成果とか、流行り言葉になっている「生産性」とか、それらは一つの物差しでしかない。一つの物差しでしか考えられない方が、愚かなことなのに。でも、「生きる喜び」というのは、そいうことでは、きっとないのだ。 本作の中では、音楽、オペラ(椿姫)、食べ物、飲み物、ミント、本、そして岬の素敵な住まいが小道具として使われている。それらが少しずつ少しずつ、哲司や喜美子の心を解していくし、読み手の心も和らげ、優しい気持へと誘う、やはり「生きる」ということの大切なものとして、これらはあるのだと思った。

    3
    投稿日: 2018.08.25
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    友人のオススメで、初めて伊吹有喜さんの作品を読みました。風待ち...ってのが良いです。いい風が吹くまで待つという考えがあれば、焦ってもがいたり、間違って変な方向へ行ったりしないですもんね。   何よりここまでハマるとは思いませんでした。ストーリーが良いのは言うまでもなく、優しいタッチと風景や情景を鮮明にイメージさせる優れた表現力を感じます。そして魅力的な登場人物、特に大概の男性はキンコに惚れてしまうでしょう。美鷲の人々もみんな素敵です。   完成度の高いこの作品がデビュー作ってのが凄いです。他にも魅力的な作品がありそうなので、伊吹ワールドの2歩目を歩んでみようと思います。

    4
    投稿日: 2018.06.22
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    すまんねぇ、とつい言ってしまう喜美子。 あやまるより、ありがとうを言う人生に! 不器用な大人が、生きる喜びに出会う。 大人になるほど、生きにくいこともあるけど、頑張ろうと思う。

    4
    投稿日: 2018.02.16
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    39歳の彼女は、一夜の魔法にかかったように最高の淑女になって、素敵な紳士のエスコートで、オペラ椿姫を見に行く。 39歳。もう若くはなく、人生の半ばを迎えて、どうしようもない苦しさや悲しみもたくさん経験して、とぼとぼとひとり、道を歩いているような季節。 そんな時期の男女に、ふわりと舞い降りた恋。 それは、劇的に落ちる恋ではなく、疲れた心が新鮮な空気を吸って徐々に癒されていくとともに、ゆっくり心の中に広がっていくような恋。 こう書くと、甘いラブストーリーのようだけど、主人公2人が置かれた環境が、39歳のリアルだけに胸に迫るものがある。私は、男性側の主人公の奥さんが、次元がずれているところで、相手を引きとめようとするどうしようもない思いが自分の物のような気がして、少し、悲しかったかな。あと、39歳の女性の価値、心を持った女性としてではなく、働き手として見られてしまうところとかも、身に沁みたなぁ。 そうそう、オペラ「椿姫」等の音楽の扱われ方がとても素敵で、こんなふうに音楽と親しむのって素敵ですよね。

    7
    投稿日: 2018.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【あらすじ】 “心の風邪”で休職中の39歳のエリートサラリーマン・哲司は、亡くなった母が最後に住んでいた美しい港町、美鷲を訪れる。哲司はそこで偶然知り合った喜美子に、母親の遺品の整理を手伝ってもらうことに。疲れ果てていた哲司は、彼女の優しさや町の人たちの温かさに触れるにつれ、徐々に心を癒していく。 喜美子は哲司と同い年で、かつて息子と夫を相次いで亡くしていた。癒えぬ悲しみを抱えたまま明るく振舞う喜美子だったが、哲司と接することで、次第に自分の思いや諦めていたことに気づいていく。少しずつ距離を縮め、次第にふたりはひかれ合うが、哲司には東京に残してきた妻子がいた――。 【感想】

    0
    投稿日: 2017.08.07
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    こういう小説好きだなあとしみじみ思えるお話でした。 心のしんどさを抱えながら人を思いやることや、そのしんどさを自分なりに乗り越えたいと試行錯誤すること、自分ができることは頑張ってやること、相手にきちんと気持ちを伝える努力をすることなど、とても気持ちのよい時間を過ごせた。

    4
    投稿日: 2017.06.22
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    インフルエンザにかかり、手に取れる場所にある本はホラーやミステリばかり。 何だかなぁと思い、主人に『優しそうな感じの本を持ってきて〜』とお願いした所、本書を持ってきてくれました。 ちなみに主人は本はほとんど読まず、タイトルと表紙のイラストで『優しそう』な感じがしたんだとか。 病床の身にはピッタリな優しい大人の恋愛。 もちろん大人なので優しいだけではなく、シビアな現実の話も出てきますが、やはりこの本は優しい。 話の中に出てくる椿姫のオペラの曲、ラ・トラヴィアータを聴きながら読みました。 心の風邪をひいた哲司と一緒に、ノンビリした空間の中で私の体も少しだけ元気になった気がします。 膨大な積読の中から一冊を選ぶのは迷ったり悩んだり中々大変だったのですが、これを期にたまに主人にお願いして選んできてもらおうと目論んでいます。 新たな本の楽しみ方をまた一つ発見。

    8
    投稿日: 2017.02.13
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    「心の風邪」で休職中のエリート会社員の哲司とあけすけでおせっかいだが繊細で家族を失った心の傷を抱える喜美子という39才の2人の恋と再生の物語。舞台は三重県東紀州の「美鷲」。ストーリーもそうだが、町や家の描写など、小説全体がやさしい雰囲気につつまれている。舜をはじめ脇役もキャラが光っていた。ただ、最後の結末はちょっとご都合主義かな、と思ってしまった。

    3
    投稿日: 2016.07.24
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    内容紹介 “心の風邪”で休職中の39歳のエリートサラリーマン・哲司は、亡くなった母が最後に住んでいた美しい港町、美鷲を訪れる。哲司はそこで偶然知り合った喜美子に、母親の遺品の整理を手伝ってもらうことに。疲れ果てていた哲司は、彼女の優しさや町の人たちの温かさに触れるにつれ、徐々に心を癒していく。 喜美子は哲司と同い年で、かつて息子と夫を相次いで亡くしていた。癒えぬ悲しみを抱えたまま明るく振舞う喜美子だったが、哲司と接することで、次第に自分の思いや諦めていたことに気づいていく。少しずつ距離を縮め、次第にふたりはひかれ合うが、哲司には東京に残してきた妻子がいた――。 目利きがこぞって推薦! 書評家からの声、続々! チキン南蛮、椿姫、ガンダムプラモ 素敵なものがたくさん詰った一夏の体験で、男と女は魂の再生を果たす。 やり直せない人生なんてないと、この小説で知りました。―杉江松恋 人の人との心が解け合っていく過程を丁寧に、じんわりと描いて、やがてこちらの心 も柔らかくなっている。福々しい笑顔を持つ喜美子が最高に魅力的。―瀧井朝世 次の季節に踏み出す力をくれる、胸震わせる珠玉のセカンドラブ小説。―三村美衣

    3
    投稿日: 2016.07.16
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    功罪を求めるなんて野暮なこと。人はそんなに強くないし、一人では生きていけないのだから。 あらすじ(背表紙より) “心の風邪”で休職中の男と、家族を失った傷を抱える女。海辺の町で偶然出会った同い年のふたりは、39歳の夏を共に過ごすことに。人生の休息の季節と再生へのみちのりを鮮やかに描いた、著者デビュー作。『四十九日のレシピ』にも通じるあたたかな読後感に心が抱まれる物語。

    3
    投稿日: 2016.06.29
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    図書館で。四十九日のレシピが面白かったので借りてみたんですがアレの後に読むと同じようなお話だなあと思ってしまう。この作家さん、きっと美人よりも愛嬌があって家事(特に料理)上手な女性が好きなんだろうな。 それにしても彼の奥さんがあまりにテンプレな悪女過ぎてなんでこんなのと結婚したんだ、と思うけど…もしかしたら彼女なりに変わろうとした努力とかあったのかもしれないし、二人の話し合いが見えなくて残念。四十九日の話の次に読むと男の浮気は許すけど女の浮気は許さないぞ、みたいにも見えてちょっとな、と思います。 ペコちゃんも最初はちょっとおせっかいすぎるし図々しいしあまり好きなタイプではないな~と思いながら読みました。人の話聞かない人ってなんて言うかニガテ。自暴自棄な主人公君もナンダカナ、と思うし。 夏休み楽しかった、でも日常に戻ります、というオチでも人生って感じで良かったんじゃないかなあ。ペコちゃんと過ごした優しい時間を心に奥さんと娘さんに優しくしてあげることはできなかったんだろうか?と思うのは私が感傷的すぎるのかな。そして取って付けたようなペコちゃんの家族候補とその最後もナンダカナ、と思うし。そんな全方向的にハピエンにするならペコちゃんには独立してきちんと働いてほしかったな、と思いました。大体、店を持つと家の面倒見てもらうが一緒ってちょっと公私混同すぎるよね…。そして。 39はオバハンじゃないでしょ~(笑)

    2
    投稿日: 2016.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

     この本を読み始めてすぐに、心の中に心地よい風が吹きわたりました。 残念ながら途中で風は止んでしまいましたが、エピローグを読んで、さらに爽やかな風が心を満たしましたo(^∀^*)o  「海沿いの町」という紙を掲げて、ヒッチハイクしている中年女がいたら、必ず乗せて丁重に扱え。不二家のペコちゃんに似たその女は腕利きの美容師で、乗せるとその礼にかならず髪を切ってくれる。 そうして男ぶりが上がったドライバーには決まって福が舞い込むらしい。  そんな素敵な噂を持つ、ペコちゃんこと福井喜美子と、東京から母の亡くなった家の片づけに来た、須賀哲司は知り合う。  うっとうしがる須賀には構わず、家の中に入り込み、どんどん彼の心の中にも入っていくペコちゃん。 片意地を張って、心に風邪をひいていた須賀の心を溶かしていく、美鷲の人々。  途中須賀の奥さん等の障害はあるけど、最後のハッピーエンドが良かった。

    0
    投稿日: 2016.05.26
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    第一印象は「大人な文章で少し退屈」。クラシックの話がたくさん出てきたからかも。あと基本的には大人というか、おっちゃん、おばちゃんの恋愛物語なので、展開が緩かったから、というのも退屈さを感じた原因のひとつかも。 とはいえ結果的には読み終えて良かった。何度も読むのを挫折しそうだったけど。5章あたりから一気に畳み掛けられた。大人な恋物語の底力を見せられた感じ。 最初のほう、退屈でも是非あきらめずに読み進めてほしいです。きっととても幸せな読後感が待っています。 最後に気になった文章を引用。 「きっと、自分に自信がある人は、好きなものを堂々と好きだと言えるのだ」→喜美子の言葉 「親子の愛情に変わりはないが、男女の愛情は育てていかないと枯れる」→哲司が娘に宛てた手紙

    0
    投稿日: 2016.03.09
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    一度読んでたのを忘れて手にしました。 読み直してつくづく、とても優しい物語だと思いました。 大人になると辛いことや、うまくいかずに傷つくことも多いもの。それだけ怖がりにもなってしまう。常識や世間体まで入ってくるから変わることはとても難しい。 でも、心の底から愛せる人が現れたら、絶対に勇気を出したい。そんな時に読むと素敵な作品。

    0
    投稿日: 2016.02.20
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    プロローグから一気に引き込まれ、心をもっていかれた。 明るくて世話好きの喜美子をはじめ、美鷲に暮らす周りの人達みんながとても魅力的。妻子持ちの哲司とどうなるのかドキドキで、お互いに抱えるものが多く気持ちだけではどうにもならない、そんな場面ではせつなくてたまらなかった。哲司の妻は嫌な女だけれど、哲司を離すまいとする気持ちはなんとなくわかる…

    0
    投稿日: 2015.10.29
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    49日のレシピが良かったので、こちらもと読んでみました。映画を観ているように引き込まれ、一気に読んでしまった。すごく好きなストーリー。また読みたいな。

    0
    投稿日: 2015.09.17
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    39歳の恋愛。なんかなー、ええハナシやけど、そこはなとなくベタだ。39歳の恋愛は、そんなうまくまとまらんて。

    0
    投稿日: 2015.07.19
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    Like body massage, his mind was healed a little and a slowly by her. anyway, the hamburger? he loves it so much he could die? no. it's a destiny. i feel that Miz Ibuki, the author love him, a star role in this story. She wants to be loved by a man like him.

    0
    投稿日: 2015.02.20
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    傷付いた39歳の男女が主人公。 39歳、自分の年に通じることもあり、気になって読んでみました。40にして迷わずという言葉もありますが、39は実は一番、迷うのかもしれません。 銀行員の哲さんは、最初は理屈っぽい、やな奴だと思いましたが、傷付いたひとほど自分を守ろうとするものだとしたら、何となく哲さんの気持ちも分かりました。 有喜と出会って、心が溶けていく様が、妙に良いなと思う。男の人も女の人も、背負っているものが多すぎるよねと思ってしまう一冊。 49日のレシピも読んでみたいと思います。

    3
    投稿日: 2014.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    四十九日のレシピを読んで、この人の作品良いなぁと思って2作目 やっぱり良かった・・・癒し系・・・・ 最後、あぁ喜美子はそうなっちゃっうのねって少し残念な気持ちで読み進めたけど、最後もいい終わり方で良かった 舜くん一番良かった 大人の夏休み・・・ゆっくり自分を見直せる、生活を見直せる時間が必要な時ってあるんだね・・・

    3
    投稿日: 2014.09.16
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    出張の新幹線用に。 喜美子はあまり好きなタイプではないけれど、読んでいて嫌な気持ちにはならなかった。

    3
    投稿日: 2014.09.09
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    少し前なら「心が風邪をひきかけた人」の登場人物を受け入れるのが難しかったかもしれない。 大人になった今だからこそ、この物語に寄り添えるのかも。 そしてコモノに、サンタマリアノヴェッラ・ガンダム・着物・クラシック音楽が出てくる。 完全にそれがツボ! 面白かった。 ストーリーも、コモノの使い方も、描写から浮かんでくる景色も全て。 映像化して欲しいなぁ。

    3
    投稿日: 2014.08.19
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    哲司の家は息がつまる。娘の由佳が一番大人だなぁと感じた。 「ゴメン」より「ありがとう」、私も言われるならその方が嬉しい。 最後は取り敢えずハッピーエンドで良かった。

    3
    投稿日: 2014.03.21
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    「49日のレシピ」からの流れで読んだ作品。 伊吹さんの作品は、とても心地よい空気感があるように感じた。 終始幸せな気持ち、、というわけではないけど、 最終的にほっこりした気持ちになる。

    3
    投稿日: 2013.12.06
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    夏休み、哲さんははヒッチハイクで乗せると幸せになるペコちゃんと言う女と出会う ペコちゃんは喜美子という名前で、そのひと夏、哲司の心の病を一生懸命に治した

    3
    投稿日: 2013.09.16
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    人間の辛さ、優しさ、思いやり、やるせなさ・・・・ それぞれの表現が実にいい、それぞれの人物像が心に染み渡る。 それでいてストーリーが飽きない。 最後やっぱりヤッタ~~

    0
    投稿日: 2013.06.07
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    『49日のレシピ』の作者のデビュー作ということで読んでみました。どちらにも共通するあたたかさを感じました。ただこっちはラブストーリーなんだよねえ。

    3
    投稿日: 2013.03.18
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    「心の風邪」をひきかけた男の人が温もっていく話。 こういう環境で やさしい人に出会えたら 惹かれてしまうでしょうね。 心の病気は仕方ないけど それにただ甘えるのはどうかなと思う。 むつかしい問題だけど。

    3
    投稿日: 2013.03.17
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    風まちの人という言葉に感銘を受けた。たしか、傷ついて人を停泊したヨットに例えてたかんじ。立ち止まってるんじゃなくて、次に大きな風が来て沖まで運んでくれるのを待ってるだけらみたいな意。 何かに迷った時、私は風を待ってる人だと思うと安心するし、勇気がわく。 このタイトルのもつ意味が気に入った。ストーリーはフツウ。

    3
    投稿日: 2013.01.16
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    四十九日のレシピを読んでいたので、図書館で借りてみた。 本篇も四十九日のレシピのように食べものが美味しく描かれている。 ただこっちの主流はオペラ。 自分に音楽の素養がないので、そのあたりの読み取りが足らないところができないのが、残念だった。 いささか、主人公の身勝手さがどうなんだろうかという気がする。 一方的に妻だけを悪ものにしている感もあるが、これも一方から見た真実だから逆にこうなってしまうものか・・・ 最初と最後の第三者からの目線の部分が結構好きだった。

    3
    投稿日: 2013.01.12
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    全く違う境遇の男女二人が織り成す恋愛小説。40目前でお互いに心に傷を持つ、成熟したでもそれまでの経験のせいでなかなか自分の気持ちに素直になれない、なんとももどかしい恋愛ものでした。 自分はまだ結婚もしていないし、歳もそこまでいっていないけど、このような心の深いところで共感できる人がいれば・・・と比較してちょっと凹んでしまった。でも、巻末で書かれているように、人は何歳になってもやり直せる。風が吹かないときもある。無理に焦らず身を任せることも大事。心が軽くなる読み終わりでした。

    3
    投稿日: 2013.01.06
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    第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作!  “心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした傷を抱える女。  海辺の町で、ふたりは出会った――。  心にさわやかな風が吹きぬける、愛と再生の物語。 ---------------- とのこと。 冒頭はグイグイッと引き込まれたのだけど、後半になるにつれ失速。 なにが悪いってワケではないはずなんだけど。期待していたような心の震えは得られず。

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    投稿日: 2012.11.12
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    心の病を抱えた哲司と家族を失った傷を抱えた喜美子の39歳夏の物語。 心を閉ざしていた哲司の心を開き、二人の距離は縮まっていく。 切ないけど優しい気持ちになれる作品。 2012.10.28

    3
    投稿日: 2012.10.28
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     主人公の福井喜美子は周囲の人を幸せにすると噂される幸運の女神だった。しかし、本人の人生はそれとは裏腹に悲しく辛い思い出を抱えている。絶望の淵に落ち込む寸前で発揮する輝きが、他人を幸せにしていたのである。  エリート脱落者の須賀哲司もそんな喜美子に救われる一人の男であった。哲司は社会的に、そして家庭でも挫折し母の里である美鷲という町に帰る。それが喜美子の里でもあったのである。  ストーリーの紹介は他に譲ることにして、この小説の要素をいくつか論ってみよう。まずは癒しとしての人間関係という設定である。喜美子にしても、哲司にしてもまたそのほかに登場する何人かの人物も過去に何らかの傷を持っており、それを克服しようとしてもがいている。それができず結果的に死を選んでしまった喜美子の前夫の話が背景にあるが、ストーリー全体は癒しと再生の物語になっている。それが喜美子の存在に焦点をあわせて形成されているのがこの小説の特徴だ。  次になくしてしまった大切な人物への愛惜である。喜美子は事故でなくしてしまった息子の友樹と、夫との思い出が自分の行動を束縛していることを自覚していながらも克服できずにいる。また哲司は亡き母の思い出や、その母の最初の配偶者への思いが自分を束縛していることが精神上の足かせになっている。それらの人物への思いは人生にとって大切なものであるとともに、次のステップへ踏み出せない原因でもあるのだ。登場人物たちはこれらの思い出とうまく折り合いをつけることによって次に進もうともがくのである。  現状の打破にかかるエネルギーと犠牲も描かれている。哲司は自分を理解しない妻との離婚にかなりの勢力を傾けるし、喜美子も同棲することになった男との決別に悩むことになる。一度組み合わされた人間関係を再構築することの難しさは容易に理解できることである。ただし、この小説ではこの点においては少々安易に話が進みすぎる気がする。本題からは外れることなのでさほど気にすることもないが。  調べてみると作者自身が三重県の出身であるというから、作品世界の描写は経験に基づくところもあるのだろう。軽やかな叙述の中に、さまざまな工夫もあり、楽しめる作品であった。

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    投稿日: 2012.10.08
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    銀行を休職した哲司と、家族を失った喜美子の恋愛小説。登場人物の設定はテレビドラマにもありそうな感じというところもしたが、まさにありそうな会話のやり取りにはなんとなくほっとしたり、応援したくなったり。舜や舞の姿も微笑ましい。なんとなくいい気分となる小説というところか。

    1
    投稿日: 2012.10.01
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    優しい、優しい、本です。 自分も優しくなりたいなぁと・・・今はどちらかというと、厳しいな。 どうしたらいいだろう?

    1
    投稿日: 2012.09.09
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    キンコ。どこか不思議で優しい女性。心が風邪をひく…か。なかなか上手い表現。人は迷い、傷付き…そんな時に手を差し伸べてくれる人が居れば立ち直れる。そして、手を差し伸べる優しさと勇気があれば… キンコの視点、哲司の視点、両者の視点で物語を振り返ると、この作品に込められたメッセージがより明確に見えて来る。 たまには素直な気持ちで、こういうほっこりする物語を読んでみるのも、心の糧になるかと思う。素直な気持ち。素直な気持ち。

    8
    投稿日: 2012.09.05
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    心に風邪をひいた哲司と、家族を失った傷を抱える喜美子が海辺の待ちで出会った。39歳同士の恋物語。海辺の街や自然の描写に癒されました。

    1
    投稿日: 2012.08.15
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    ミステリーじゃないこういう小説が心地良い今日この頃。味わい深く読ませていただきました。 ぺこちゃん、こと、キンコさん、こと、喜美子さんの人物像の描き込み方が、なんとも好き。哲司の奥様はちょっと…自分のことを描かれてるみたいで、落ち着かない気の毒さだった;

    1
    投稿日: 2012.07.27
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    39歳、人生の夏の終わりに差し掛かった2人の切なくも暖かい純愛物語。2人とも心に深い傷を持っており、「とらドラ!」にちょっと似てるかも。 掴みが良いですね。最初の2ページで引き込まれます。「海沿いの街」を目指してヒッチハイクをする中年女、通称「ペコちゃん」。その彼女を乗せてあげて丁重に扱うと、そのドライバーには必ず福が舞い込むという「幸せのペコちゃん伝説」。「とらドラ!」の「幸せの手乗りタイガー伝説」と被ります。 この物語では、クラシック音楽、特にグレン・グルードの演奏によるバッハのピアノ曲「アダージオ」と、オペラ「椿姫」の中の代表曲「乾杯の歌」の2曲が鍵になってます。おそらくはこの2つから着想を得て紡がれた物語。原題は「夏の終わりのトラヴィアータ」で、トラヴィアータとは椿姫のこと。 クラシックに疎いヒロインが、ある理由からそれを学ぼうとする。偶然にクラシックに詳しい男性と出会ったことから、主人公の助けを得て少しづつ理解していく。他の曲にも多少は触れられるものの、中心となる曲は先出の2曲に絞られており、クラシックの楽しみ方が無理なくわかるような感じで、クラシック音楽の入門書という側面もあるかも。 この2曲はぜひ聴いておくことをお勧めします。特にグレン・グルードの「アダージオ」は、読み終わった後に聴くとなるほどなぁーという感じ。 本作は小物の使い方が上手いです。 ヒロインは「キンコ瓜」のことをまるで自分みたいに思っている。どこにでもあって、安くて、あんまり甘くない瓜。好んで食べる人が少ない瓜。でもそんなキンコ瓜が、ヒロインは好きだった。 そんなキンコ瓜を、彼もまた好きだという。自分みたいなキンコ瓜を喜んで食べてくれる彼の姿が嬉しくて、毎日のように彼のところに持っていく。でも自分は自分のことに自信が持てなくて、お互いに良い年の大人なのでそれぞれ事情もあって、一緒にはなれない。 これって、「とらドラ!」後期ED曲「オレンジ」にそっくり。まだ青いオレンジを食べてみたけどまだすっぱくて泣いた。そんなオレンジがまるで自分みたいで残せなくてぜんぶ食べた。そういう歌。 他にもガンダムネタやらiPodやら色々と小物が上手に使われていて、そういう点でも「とらドラ!」に近いものがあるかも知れない。 難点としては後半のシリアス展開がいまいちで。なんだあの奥さんは。ちょっと扱いがあんまりではないですかい? 穏やかな前半が凄く良かっただけに納得行かない感じ。 でも最後は秀逸。iPodと例の2曲の使い方が見事でした。

    1
    投稿日: 2012.07.20
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    なんだこれは~ ダメ男の妄想?? こういう主人公、実際にいそう・・プライドが高くて、失敗を相手のせいにして・・  49日のレシピ読もうかと思ってたけど、や~めた。

    1
    投稿日: 2012.07.19
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    心の風邪で一月の休暇を貰った元エリートの主人公と、自分のことをおばちゃんと呼び学のなさをコンプレックスにもつヒロインとの恋愛物語。小物使いがうまく情景を思い浮かべるのが楽しい。

    1
    投稿日: 2012.05.20
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    母が生前住んでいた海辺の家に、鬱の療養と家の整理がてら帰ってきた哲司と昔夫と息子を亡くした喜美子の不倫物語。 なんか想像と違った。 絶賛されている割に普通。 主要登場人物に感情移入できなかったし魅力的に思えなかった。 哲司は初対面の人間にタメ口聞く時点でアウトだし、 喜美子はいい人だけど恋愛まで行くかあ?と不思議。押し付けがましいし。 それにいくら妻が嫌なヤツだからって離婚前に不倫したら同じレベルでしょ。。。 どこに感動すればいいかまったくわからなかった。 物語としても東京に戻ってからはよいけれど、それまででだれてしまった。 もっとうまい人なら短編で充分な話だと思う。 世界観を楽しむ物語だから、この世界に魅力を感じないなら冗長なだけ。 風景や家の中の描写はよかったので映画にしたら面白そう。

    4
    投稿日: 2012.04.25
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    主人公は中年の男性。 母の死後、体調を崩して二ヶ月。 数週間は休むことにして、母が晩年に暮らした家の整理のために、海辺の町・美鷲に滞在することに。 女子校の教頭を勤め上げて退任した母が建てた家は和洋折衷で、岬の家と呼ばれていた。 一人息子の須賀哲司はエリートといっても良かったが、勤め先が吸収合併され、今は閑職に追いやられた失意の身。 しかも妻の浮気にも気づいてしまった。 たまたま車に乗せる羽目になった中年の女性。 夏場だけはいつも故郷に戻って近くのスナックを手伝っている福井喜美子は、丸顔で太めだが、実はペコちゃんという伝説的なあだ名がある。 哲司の様子を見かねて、岬の家の片づけを手伝うことを申し出る。 家の中にずらりとCDが並んでいるクラシック音楽について、教えて貰うのを交換条件として。 故郷ではキンコとも呼ばれていた。キンコ瓜という薄味だが食べやすい瓜にちなんで。 お節介なほど親切で、いきいきしていて暖かい。 実は家族を亡くした悲しみを秘めていた。 ピアノの才能を認められていた息子を偲んで、息子が聴いていたクラシック音楽について知りたいと思ったのだ。 スナックのミワは亡くなった夫の叔母が店主のマダム。 マダムは孫の舜がガンプラに夢中になっているので、取り上げて持ってきたと言い、興味を示したジュニア(哲司)にあげる。 若い舜が実は哲司の母と仲が良く、何かと岬の家の手伝いに出入りしていたこともわかって… ふとした出会いから付き合いが次第に深まっていく。 全く違う育ち方をしていた二人だが。 寂しさやみっともなさ、大人だからの諦めやためらい。 一夏を共に過ごす。 妻子ある哲司はいずれ家庭に戻る人と思う喜美子だが。 切れそうになった繋がりは…? ハートウォーミングな作品です。 「夏じゅう、教えてくれた」「生きる喜びを」 著者は1969年三重県生まれ。 2008年、第三回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。「夏の終わりのトラヴィアータ」改題。

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    投稿日: 2012.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    39歳のちょっとわけあり男女の純愛ラブストーリー。 第二章の盛り上がりが最高潮なのかと思ったら,その後も飽きさせない展開で最後まで一気に読めた。妙に現実味があって面白かった。 10代が青春,20/30代が朱夏,40/50代が白秋なんだって。 あー,僕の夏ももうすぐ終わりかと思うとちょっとさびしいな。

    1
    投稿日: 2012.02.06
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    優しさに溢れた大人の恋愛小説でした。 40歳を超えた今では普通の情熱的、もしくは感動的な恋愛小説を読んで物語として感動することがあっても、深く心を打つようなことはなくなりました。ところが本書では一度立ち止まった中年ならではの人生観がとても上手く語られており、じわじわと心に染み込んできます。 最近は知り合う女性も仕事関係がほぼ全てで、年齢も若い人が多いので、こんな同級生と恋愛感情なしで出会ったら少年時代の気持ちに戻れて素敵なんですけどね。

    1
    投稿日: 2012.01.16
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    すごく良かった! 39歳男女の恋愛。 お互い色々抱えていて一筋縄ではいかないけれど、優しい人たちに守られながら惹かれあっていく・・・。 おかしくて、悲しくて、じんわりするお話(#^.^#)

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    投稿日: 2012.01.05
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    著者の四十九日のレシピにも通じる優しさに満ち溢れた小説でした。小説の中を流れている時間は、幸福感に満ちたものではないけれど、著者の筆致により紡がれていく登場人物達の気持ち、人生は心地よい読後感を導きます。

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    投稿日: 2011.12.27
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    「四十九日のレシピ」が良かったので、伊吹有喜さんの著作を引き続き読んだ。2作とも、亡くなった肉親からの視点を意識した主人公の心の動きが描かれている点が共通点と思った。人生を立て直すのに必要なことは、目の前の事を一つ一つ大切にこなしていくことというのは、人生の黄金律だとつくづく思う。

    1
    投稿日: 2011.12.04
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    どこか素人っぽさを感じた『四十九日のレシピ』よりも出来が良い様に思えたのだが、こちらの方がデビュー作なのですね。 主人公が元気な女性と言うのは同じパターンですが、『四十九日』が家族愛だったのに対し、こちらは男女愛。出来の良さは『風待ち』の方だが、テーマとしては『四十九日』の方が好みです。 しかし、いずれにせよ、どこかテレビドラマを思わせる作品。そういう意味では、多少取り扱うテーマは違うけれど小路幸也に似ている気がします。 ”優しくて暖かい”物語です。

    0
    投稿日: 2011.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    適度な読みごたえと、離婚、不倫などの問題が絡んでくる割に読了後のすっきりした気持ち。読んでいる中で、表紙にあるような穏やかな海を思い浮かべていたからか。喜美子と出会い変化する主人公と喜美子自身の心情の書き方が秀逸。

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    投稿日: 2011.10.15
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    話の根底にあるのは家族であり別離、死別、不倫、離婚であり決して明るい話題ではないのだが、そんな人生の紆余曲折を経たものが互いに干渉し合い「心の風邪」から再生へと向かっていく。町風景と心の描写が美しい文章で綴られていて、心地よい風が読む者の中に通り抜るエピローグとなる。  生きていればすべて変わっていく、より良い未来を願いながら変わっていくことの大切さに気づかせてくれる。 「青春・朱夏・白秋・玄冬』で人生の時期を表すのも深みがありますね。 犬塚康博さんの「幸せそうな人たち」の歌の一節に 青い春は石を剥がし/朱い夏に石を投げ/白い秋は石を切り出し/玄(くろ)い冬に石を敷く~ってあり、再び感動。

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    投稿日: 2011.10.12
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    とっても良かったです! ちょっと不器用な、心温まる、大人の恋のお話です♪ 出てくる人が、みんな素敵! とくに舜は・・・いい男になりそう♪♪ 「椿姫」を聴いてみたくなります♪ おススメです!!

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    投稿日: 2011.08.10
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    軽くないのがいい。フツウの神経をしていたら、そのくらいのためらいはある・・・と想像できる“ためらい”がきちんと描かれてあるのがいい。 でも、このふたりもどうせ年月が経てば・・・って考えてしまうのは、私がただ恋愛を信じてないだけだな。

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    投稿日: 2011.06.26
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    世界観はクラシックが流れていて、それでいて日本の田舎を舞台にしているという静かな感じ。でもさいごじれったくてじれったくて一気読み。

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    投稿日: 2011.06.07