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百貨の魔法
百貨の魔法
村山早紀/ポプラ社
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総合評価

193件)
3.6
35
57
65
16
2
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    このレビューはネタバレを含みます。

    老舗デパートの経営が悪化しても理念を持ってテナントを温かかく見守り、地域の人々に愛されている。 従業員やお客の思い出と優しさに包まれて話は進んでいくが美しすぎる。綺麗事ばかり。

    0
    投稿日: 2025.10.13
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    経営が危ぶまれている、地元に根付いた百貨店が舞台の優しくて綺麗なお話。 働いている人たちがみんなこの百貨店を愛していて 創始者の理念も素敵だし 百貨店の建物の描写も美しい。 メルヘンすぎて、ちょっと自分の好みとは違ったけれど。 あと「そのひと」という言い方がやたら多用されていて、なんだか違和感を感じました。

    1
    投稿日: 2025.06.18
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    綺麗な、綺麗すぎるお話でした。 本当にこんな百貨店があったら素敵ですね! 第二幕「夏の木馬」が切なくて印象的でした。 屋上遊園地に置き去りにされた子のことを思うと胸が痛くなりました… 出てくる人達は皆前向きで、だからこそ巡り巡って良いことが起こる… 情けは人の為ならずってこういうことなんだなぁとしみじみ思いました。

    0
    投稿日: 2025.06.03
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    村山早紀さんの作品を読むのは「さやかに星はきらめき」に次ぐ2冊目。本作品の感想をブクログ⇒X(旧Twitter)に投稿したところ、御本人から返事があった。ビックリした!いいねとかリポスト(リツイート)はされたことはこれまでに何度かあるが、作家御本人から返信があったのは初めて。もう舞い上がってしまい、久々に気が動転してしまった。村山さんからは御丁寧な御礼のお言葉と、本書「百貨の魔法」の推薦のお言葉を頂戴した。もうこれはすぐに購入して読むしかない。そして速攻で書店へ行くが、どの店も新刊の「風の港 再会の空」と「街角ファンタジア」(どちらも購入済み)しか置いていない。「百貨の魔法」は7年前の発売だからなぁ。さあ、どうするか。村山さんには、早急に入手して再度感想を提出させて戴きたいと既に宣言・返信しているし、ああ、どうしよう。書店に発注することも考えたが、ちょっと良からぬことを考えた。近くのBOOK OFFだ。背に腹は代えられない。なにせスピード勝負なのだから。でも、確実に置いてあるとは限らない・・・ありました。なんてラッキーなんだ。そして今読んでいる本を一旦棚上げして読書開始。その次の日、ある書店で文庫本を確認。これも何かの縁ということで購入。 〇 第一幕「空を泳ぐ鯨」 星野百貨店のエレベーターガール、松浦いさなの話から始まる。「いさな」は勇魚、鯨のこと。蒸発した父親が命名した。「いさな」の一挙手一投足にいちいち反応してしまう。 そして星野百貨店について。生まれ故郷の石巻で唯一の百貨店「丸光」と重ね合わせながら読み進めた。設定は殆ど同じ。大きな違いは駅から離れていて、北上川の川縁(リバーサイド)に位置していること。小学生の時、上りしかないエスカレーターを一日に何度も乗り、エレガの綺麗なおねえさんとエレベーターで二人っきりになってドキドキした記憶がある。その後は御多分に漏れず閉館となり、震災で更地になった。 星野百貨店の背景、ステンドグラスの白い子猫、そして謎の芹沢結子にその都度、心を動かされた。オペラでも観客の注目を引き付ける役割を持つ第一幕としては実に申し分のない滑り出しとなった。 〇 第二幕「シンデレラの階段」 高校の時に夢を諦めた。そう、私も咲子と同じく夢を諦めた。医者になりたかった、音楽家になりたかった、天文学者になりたかった、お金持ちに・・・高校の時に、化学の先生の話が面白く、どんどん化学にのめり込んでいった。大学も化学系、就職しても2年目から有機合成化学の仕事に就き、振り返ってみると会社生活の9割5分は化学関連の仕事を担当し、結果として充実した会社生活を送ることができた。 人生の分岐点で如何にbetterな選択ができるか、浮島を渡るようにその連続ポイントでどちらの方向に飛ぶか、スピードを落とすことで水に落ちることなく確実に人生を終えることができるか。さあ、これからの私の人生、一体どうなる? ああ大脱線。ストーリーについては100ページ付近で重大な伏線を発見。多分こうなるだろうなと思いつつ第三幕に突入!杏に会うこともなく。 〇 第三幕「夏の木馬」 佐藤フロアマネージャーのお母さん、雰囲気が私の母と共通するところが多い。何か深い所で繋がっている様な気がしている。そしてギリギリ何とか間に合った。小説はこうでないと。ちょっと涙がでました。本当にいい話だ。幸せを噛みしめながら第四章へ。 〇 第四幕「精霊の鏡」 早乙女一花、まさにシンデレラストーリー。その後どうなったのか?早く知りたい。そして芹沢結子の秘密のベールが一枚一枚剥がされていく。 〇 「幕間」 子猫はみんなの夢だったんだ。子猫が死んで夢が消えてしまったら、夢は自らの手で叶えなくてはいけない、子猫のため自分のために。夢は復興へと繋がり今の自分たちがある。目的を叶えた今だからこそ子猫に会いたい。そしてその夢も叶った。おっ!良く持ちこたえたな。この後、頑張れ! 〇 終幕「百貨の魔法」 芹沢結子の出自は序盤ですんなり判明。まあ、推理小説ではないので、秘密を謎解きで明らかにするのが本作品の目的ではない。あくまでも星野百貨店と皆さんの素晴らしさを伝えることが大事なのだ。そして、ラストがネタばらし大会にならなくて本当に良かった。たとえクリスマス・イブであっても、日常の一日として百貨店は自然に普通に時を紡いでいく、今後のいろいろな展開を含みながら。 昨今、大型スーパーのイトーヨーカドーの閉店が相次いでいる。約10日に1店のペースだ。閉店当日には、住民が涙を流しながら「これまでありがとう」と口々に叫ぶ。今後も小型・地域密着型店舗への移行は止まらない。利益率・人件費等の諸問題は容易に経営を圧迫する。今はまだ星野百貨店は頑張って生きているだろう。もし経営が立ちいかなくなった場合は、村山さんには心を鬼にしてその経緯を歴史に刻む準備をして戴きたい、そして、閉店の日には、集まったお客さんに村山さんの新刊書を配布して戴きたい。

    10
    投稿日: 2025.01.31
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    題材は良さそうなものだが、文章が読みにくく話が入ってこない。言葉の使い方の不自然さで読書が止まってしまう。それと読点が多いのだと思う。 各物語に登場する人物の心情と言葉の煌びやかさが合っていないというか、心動かされていい場面なのに何故か感動できなかった。 外国語で語られる紙芝居見てる感じかもしれない。雰囲気の良さは伝わってくるけど、何言ってるかわからないような感じで、もったいないなと思った。

    1
    投稿日: 2024.12.13
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    風早の街に戦後の復興を願い仲間と建てた星野百貨店。 物語はそんな非日常的な百貨店が舞台だ。 そこには一つだけ願いを叶える魔法使いの子猫がいる。 皆が人生の帰路で願うこと、その願いの裏側にはどのようなストーリーがあるかを描いた作品だ。 温かい気持ちになった。

    2
    投稿日: 2024.12.03
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     経営が危ぶまれる地元に根付いた老舗百貨店の物語。願いごとを叶えてくれる魔法の白猫と謎のコンシェルジュ女性が上手く絡み合っていくことを期待したが、それぞれが中途半端なまま収束していく。キラキラした文章が延々と重ねられるため非常に読みにくい。同じような内容を少し表現を変えただけでずっと繰り返されるので、頁数の割に一向に読み進められない。内容はいたって普通なのに、こんなにしんどい読書は初めてだった。題材が良いだけに勿体ない。

    5
    投稿日: 2024.11.08
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    読みにくかった、、『コンビニ黄昏堂』の雰囲気が好きで期待してただけに途中で何度も挫折しそうになった。単調で物語に引き込まれない分、読むのが大変だった。

    2
    投稿日: 2024.08.14
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    百貨店が舞台という設定はすごくいいんだけど、なんか読んでてもなかなか前に進んでる感じがしなくて読みづらかった..ティディベアのストーリーなんか特に好きだけど読みずらい..他の方の感想で説明が長いとあったけどたしかにそれはあるかも。よくわからないけど...読みずらい不思議。

    2
    投稿日: 2024.07.04
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    地域に愛されて、従業員にも愛された老舗百貨店。 お店の素敵な雰囲気が伝わって来ました。 出てくるもの、人、どれも素敵なので、それぞれのエピソードをもう少し深く知りたいなと思いました。

    0
    投稿日: 2024.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    桜風堂物語に出てくる星野百貨店のお話。 ちょっとレトロな雰囲気の百貨店はほんと素敵なんだろうな〜、と想像が膨らむ。 登場人物はほぼ全員いい人。 優しい人しかいない世界。 ほっこりしたい時にいい作品。

    6
    投稿日: 2024.03.25
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    魔法という名の奇跡。おとなも奇跡を信じていいんじゃない?って思わせてくれる、とにかく優しくあたたかい物語だった。姉妹作「桜風堂ものがたり」も読んでみようかな。

    1
    投稿日: 2024.03.23
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    温かい気持ちになれるとともに、百貨店に行きたくなりました。ただ買い物をする場所ではなく、そこには大切な物語がある。どのストーリーもとても面白かったです。

    1
    投稿日: 2024.03.07
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    あかん。 キラキラした話が読みたくて開いてみたけど 序盤50ページ読んだところで 眠気が来て、いろいろ情報が交錯して なんのこっちゃか分からなくなった。 そこで読むのをやめました。

    7
    投稿日: 2024.01.01
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    最初は思ったよりも分厚いし、文字もぎっしりでなかなか手強いかと思いましたが、読み進める内にどんどん引き込まれていきました。 しかも、全然知らずに読んでいたのですが終幕ではクリスマスのお話で偶然にも読み終わった今日はクリスマスイブ✨✨ 本当に題名通り【百貨の魔法】かもです( *´艸) とっても小さな奇跡や人の優しさが繋がっている素敵な百貨店のお話でした(*^^*)

    2
    投稿日: 2023.12.24
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    登場人物はみんないい人ばかり。 でもそれが百貨店に逆風が吹き続ける今、百貨店ってこうだったと暖かい気持ちにさせてくれる。 そして願いを叶えてくれる猫ちゃん。 星野百貨店に行ってみたいな。

    10
    投稿日: 2023.11.10
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    正面玄関前、中央に吹き抜けがあり、上を眺めるとそこに天窓のステンドグラス。宝石のような光が降りそそぐ。 そのステンドグラスには、野の朝顔、月、太陽に取り巻かれた、愛らしい子猫の姿があしらわれていた。そして、星野百貨店のΗの 頭文字。 この本のお話、連作短編集のような感じで進んでいくが、少しずつ話は繋がっていることがわかる。 私はこの百貨店が潰れそうな、立ち行かなくなりそうな状態であるのを、経営を立て直していくという内容が、書いてある本だと思っていた。 ステンドグラスから飛び出して、夜、店の中を歩いているのかも知れない魔法の白い猫。ひとつ願いを叶えてくれると、噂がある。 ドアマンの、若かりし頃から、 年老いた今までの数々のでき事。 突然、コンシェルジュを採用したその真の目的。コンシェルジュの娘を皆は不思議に思っていた。 この本は、まだ終わっていない感じがする。 あとがきに「桜風堂ものがたり」 姉妹本となっているとあった。どうしよう? 読む?読まない? 2023、11、1 読了

    38
    投稿日: 2023.11.01
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    「空を泳ぐ鯨」 焦げたテディベア。 産まれたばかりではないというのに直ぐに思い出すことができたのは、離れていても大切に想っていたからだろうな。 「シンデレラの階段」 貴方の為だけの靴。 活動に限界を感じていたからこそ夢を諦める口実に使ったのかもしれないが、それも一つの選択肢だったのだろうな。 「夏の木馬」 いつも想っていた。 直接頼る事は出来なかったとしても、近場まで連れて行き別れを告げてから離れることも出来たのではないだろうか。 「精霊の鏡」 友達になりたいと。 誰にだってコンプレックスの一つや二つあるだろうが、それを受け入れることができた時に見える世界は違うのかも。 「百貨の魔法」 サンタクロースに。 今日しかないと頭では分かっていたとしても、今後のことを思うと言葉にして伝えるには中々難しいものだっただろ。

    0
    投稿日: 2023.10.06
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     この本を読んでいると、知らないうちに、白い猫が近くに来てくれます。  努力すれば出来る事は、お願いしてはいけない。どんなに努力しても、出来ない事を、お願いすること。納得です!

    0
    投稿日: 2023.08.22
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    戦後の焼け野原に佇む商店街の孤児たちの夢がたくさん詰まった古めかしいけど気品のある百貨店。 現代では見なくなった屋上の遊園地など、なんだか懐かしい。 売り上げの落ちて後継者のいない星野百貨店は、果たしてどうなるのか。 そこで働く人たちの様々な思い、出来事、不思議な目をした白い猫など、とってもミステリアスでワクワク。 「桜風堂ものがたり」の書店が入っている百貨店。

    2
    投稿日: 2023.07.06
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    昔図書館で借りて、読書感想文を書きました  本当に題名通り魔法みたいに素敵な本でした! また読み返したい

    7
    投稿日: 2023.03.25
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    初の作家さん。自分の近くには百貨店は失くなってしまったが、みんなのおもてなしの気持ちが百貨店を作っているのだ。

    3
    投稿日: 2023.03.09
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    この本を読んで、地元の百貨店に行ってみました。百貨店で素敵な物に出会えることが学べて、人生変わった一冊です。百貨店に不利な時代なのも事実ですが、それでも百貨店の魅力は廃れていない!と分かりました。

    1
    投稿日: 2023.01.19
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    第一幕、第二幕、第三幕、第四幕、幕間、終幕、と「章」ではない意味が、第四幕まで読んでやっとわかりました。 第一幕はぼんやりした感じで物語の世界に入り込めず、読むのに時間がかかりましたが、話としては第二幕が一番良く、それ以降も百貨店で働く人たちのそれぞれ異なるライフストーリー、そして少しずつ明らかになるコンシェルジュの結子の物語がうまくからんでまさに一つの舞台を見終わったような読後感。 「桜風堂ものがたり」の方も読んでみたいと思います。 2023.2.14 「桜風堂ものがたり」を読了。 この本の評価も上がりました。

    1
    投稿日: 2023.01.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    桜風堂ものがたりがとても良かったので、同じ作家さんの作品を読みたくなりました。 百貨店自体が入りにくい馴染みのない場所だという気がしますが、この物語のように地域に根ざした誰かにとって思い出深い場所になるならば日常に潜む不思議があってもいいのではないかという気になります。

    0
    投稿日: 2022.12.30
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    街の商店街にある星野百貨店は創立50周年。だが往時の賑わいからは程遠く、閉店の噂もちらほら聞こえている。そんな店には、どこからともなく不思議な白い猫が現れてねがいを叶えてくれるという噂があった。 レトロな風情を残した百貨店とそこで働く人々のすがたを描いた連作短編集。百貨店にコンシェルジュとしてやって来た女性を軸に、様々な出来事が描かれている。こんな百貨店があるといいなぁと思わせるような、ホッとさせられる物語ばかりで読み心地はいい。ただ、あまりひきこまれなかった。

    0
    投稿日: 2022.11.29
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    高級感があって近づきづらい百貨店のイメージが少し変わりました。 気品があって、でも一生懸命働いている百貨店の人たちの姿が素敵でした。

    1
    投稿日: 2022.09.15
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    ふう、満足。この物語には描かれていないサイドストーリーがたくさんあることを感じつつ、全部全部描いてほしいと願いつつ。

    0
    投稿日: 2022.09.03
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    おとぎばなしみたいな綺麗なお話 この世界観に浸るだけで幸せな気持ちになれる 昭和から平成に思いを繋いだ百貨店っていう存在、令和のいまではなかなか感じることのできない、人の暖かさを感じることができる

    0
    投稿日: 2022.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    目次 ・空を泳ぐ鯨 ・シンデレラの階段 ・夏の木馬 ・精霊の鏡 ・幕間 ・百貨の魔法 以前に読んだ、この作者が書いた本屋を舞台にした作品の時も書きましたが、経営努力なしの経営再建の話は現実味が全くなくて白けてしまいます。 いやこれは子ども向けだから、とか、ファンタジーだから、というのは、なしです。 そういう言い訳を用意しているのなら、まったくの夢物語にシフトすればよい。 現実に軸足を置いているのなら、少なくとも現実的な問題には現実的な対応をして欲しい。 この百貨店に努めている人たちが、職場を、そしてお客様たちを大切に思っているのはわかる。 それはもう過剰にそう書いてあるから、子どもにだってわかる。 だけどそうなら、閉店しないですむためには何ができるのか、何をすればいいのか、そこを悩もうよ。 気持ちがあっても行動がない。 気持ちだけでは解決しないことぐらい、誰にだってわかるだろう。 店員の善意だけで経営再建できるなら、倒産する店なんてもっと少ないはず。 創業者が、魔法の猫が、なんとかしてくれるんじゃないかと思っているだけで、自分が職を失うかもしれないという切実感がないよね。 いや、そういうリアルを描きたいわけじゃないんだ、ということはわかる。 でもあまりにも登場人物が善意の人ばかりで、能天気で、読んでいて胸やけがする。 子ども向けだから、ポプラ社だから? ポプラ社の『かがみの孤城』も『きみはいい子』も、痛みを抱えながら子供たちが現実に向かっていったよ。 そう、誰かが、まあ社長が、悪者になるのを覚悟で改革に汗を流すシーンがちょっとでもあったら、物語に厚みが出たのに。 本は分厚いけど、内容が薄いなと思ってしまいました。 この作者とは多分相性が悪いんだな。

    0
    投稿日: 2022.06.24
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    いつ閉店してもおかしく無い百貨店を取り巻く人々の百貨店を愛するお話。実際にはどう経営しようと年々厳しくなっている業界。それこそ魔法でもないと立て直しは大変。今どきネットで何でも買えちゃう、いかに足を運んでもらうかなんだろうけど、夢を与えていますじゃあ人は来ないよねー。外商などに力を入れてもねー

    0
    投稿日: 2022.06.07
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    桜風堂ものがたりの姉妹本ということで読んでみました。百貨店で働く人のドラマが繰り広げられていく短編集。穏やかに読み進められました。

    0
    投稿日: 2022.05.22
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    「閉店しそう」ということで悲しい結末を迎えるのかと思ってたら最後まで温かいお話。「こんな百貨店かなぁ」と想像しながら読むのも楽しかった。

    0
    投稿日: 2022.03.26
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    老舗百貨店で幻の魔法の白い子猫に会えたなら、お願い事を一つ叶えてもらえるローファンタジー連作短編集 創業50年、業界苦境のなかでも、創立から続くお客様をおもてなしする心を持って前向きに頑張る人々を描いた優しい作品です …とても良いお話なのですが、後半お腹いっぱいになってしまいました 結局、経営は回復したんでしょうかね…

    0
    投稿日: 2022.03.25
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    桜風堂ものがたりの姉妹本。 出会うと願いを叶えてくれるという白い猫が、ふと現れる。舞台は、百貨店。戦後の暗い世の中を変えようとして建てられた百貨店が、多くの人達に愛されている事が伝わってくる。

    0
    投稿日: 2022.02.16
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    甘い甘いお話 閉店してしまった百貨店にいた身としては、お話の舞台が別の場所だったらもう少し素直に読めたかなと…

    0
    投稿日: 2022.02.11
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    善意の塊のような人々のお話で、ファンタジーだな、実際はここまで良い人しかいない世界はないなー、と思いながらも、あまりの暖かさに涙が止まらず困った。危機を迎えた斜陽産業が立ち直るのはそれこそ奇跡みたいなもんだから、この百貨店の行く末が描かれてなくて良かった。八つ当たりだと分かってても、昔私の居場所だったテーマパークが潰れた時の事を思い出して、世の中こんな甘くない!と本を閉じてしまうことにならなくてほんとに良かった。

    0
    投稿日: 2022.01.28
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    心が温かくなるお話。 出てくる人は皆いい人 優しい魔法は信じる心に灯るんだなと思った クリスマスに読むと更にいいかも

    0
    投稿日: 2022.01.18
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    装丁に惹かれて購入、読了。 星野百貨店のお客さんも従業員さんたちも みんな素敵な人たちばかりで そういう心優しい人になりたいなと思いました。 読みやすくほっこりした気持ちになる作品でした☺️

    0
    投稿日: 2022.01.14
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    こどもの頃から今まで、百貨店が好きだ。作者の別の作品に出てくる百貨店を舞台とした物語。岡本歌織さんの手掛ける煌めく装丁が素敵です。

    0
    投稿日: 2021.12.14
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    舞台が「閉店してしまうかもしれない百貨店」なので、寂しくて少し暗いストーリーです。 それが詩のような言葉で優しく綴られているので、切ない気持ちになりました。 そして、その切なさの中に、時々心温まる小さなエピソードが散りばめられていて、思わず涙ぐみそうになることもありました。 百貨店と、すべての登場人物の、「その後」の幸せを願います。

    0
    投稿日: 2021.11.24
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    星野百貨店にある都市伝説"魔法の猫"に纏わる短編集。 短編はそれぞれ少しずつ重なり合い暖かい色になっている。 人の棘に触れ、癒されたい時におすめの本。

    1
    投稿日: 2021.11.16
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    この作品を一言で表すと、百貨店の百貨店による百貨店のための百貨店応援小説です。私自身あまり百貨店に行ったことがないのですが、この作品を読んでぜひ行ってみたいと感じた。いろいろな部門の従業員さんたちの汗と涙に包まれた百貨店の素晴らしさぜひ感じてみてください。百貨店言い過ぎてごめんなさい

    8
    投稿日: 2021.10.09
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    魔法?白い猫ちゃんがポケモンのミューに思えしまう。 優しいきれいなおばあちゃん、には号泣してしまいました。

    0
    投稿日: 2021.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    少しずつ読み進めましたが、最後まであったかいお話でした。これからも不況の中もがきながらも町の灯りとして続いていくと思いたいです。

    0
    投稿日: 2021.09.04
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    たくさんの要素からなる人生賛歌のような本。 要素をいくつか挙げると・百貨店の魅力・すべての人の人生には光と影があり、影も時間の経過とともに光になりうること・歴史の変遷・受け継いでいくもの・人も一歩前に進めるほんの少しの魔法の力です。 また、私は子供の頃にオッドアイの白猫をかわいがっていたので、そのころの自分自身を懐かしく思い出すことができた本でもありました。当時の自分を思い出すために、この本は本棚に残しておきたいと思います。

    4
    投稿日: 2021.07.08
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    甘くて優しいお話。 戦後の焼け野原から立ち上がった人々が、地元に希望の光を灯さんとして創業した地方の老舗百貨店『星野百貨店』 そこで働く人たちそれぞれの、小さな悩みや歴史、そして愛のお話でした。 お話の中心人物である『謎のコンシェルジュ』の正体は最初からわかってしまう感じですし、なんていうか、どのお話も甘さ強めなのですが、そうは言いながらも何度も涙ぐんでしまいました。 百貨店て、今どこも厳しいと聞きますが、星野百貨店のように社員や地元民に愛されるお店は、どんな時代もずっと続いて欲しいなあと心から思います。

    25
    投稿日: 2021.06.27
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    物語を描いてるときは、自分もその空間に降りたって、登場人物たちと同じ場所の空気を吸っているような、そんな日々を過ごすという作者。 一階正面玄関前の空間から、中央に吹き抜けのあるフロアの方を振り返ると、そこには天窓のスタンドグラスから降り注ぐ、宝石のような光の欠片。丸いガラス窓の中央には白い子猫。青いアサガオと月と星と太陽。 →目をつぶると想像できます。 「桜風堂ものがたり」にも登場する星野百貨店。 どんな内装で、どんな匂いがし、どんな音が聞こえているのか。そもそも、どういう歴史を持ち、その街のその場所に建っているのか。その空間にどんなひとたちの想いを抱いて、今日まで続いてきたのか。 p.322 まり子さんの言葉 「あなたには店を守るための大切な才能があるって。 だってね、たぶん、何かを守り育てるための、いちばん大切な才能は、そのものを好きだという純粋な思いだから。」 →今の自分に置かれている仕事場での立ち位置と重なり、まり子さんの言葉が深く心に刻み込まれた。 そのものを好きだという純粋な思い。

    16
    投稿日: 2021.06.26
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    百貨店、子供の頃から身近で憧れがあって、大好きな場所でした。屋上遊園地にスカイレストランにペットショップ。まだきらびやかな場所の象徴だった頃、家族や祖母に連れられていきました。あの頃の気持ちと思い出が懐かしく、子供だった頃の目線が思い出せます。大人になってからはコスメやプレゼント、お祝いや引き物は百貨店で買いました。地元の百貨店で、豪華装飾の古いエレベーターとエレベーターガール、その前の大理石の床と古代ヨーロッパ調の柱のある広場が好きでしたが、なくなることになったときは、やはり寂しかったです。 こちらは、百貨店を舞台にした大人のメルヘン小説という感想です。そこに関わる人たちの夢が優しく描かれていて、とても淡い優しい気持ちになりました。 読み終わって、ありがとうという気持ちになりました。

    0
    投稿日: 2021.06.26
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    先の戦争によって一面焼け野が原になってしまった『風早の街』。そんな街の平和西商店街に戦後復興の象徴として建てられ、今年、創業五十年を迎えようとしている『星野百貨店』には、創業当時から語り継がれるこんな伝承があるのだそうです。 『本館の中心にある、吹き抜けの高い天井の…ステンドグラス…に描かれた金目銀目の白い子猫が、たまに天井から抜け出しては、店内をひとり歩くらしい。…白い子猫は店内で遊んでいるときに自分を見つけた者の願い事を叶えてくれる。…魔法の力で、奇跡を起こしてくれる』。 そんな不思議な伝承を聞いて、あなたはどう感じるでしょうか? 馬鹿馬鹿しい、くだらない、そして、僕そういうの興味ないです…。科学技術が発達し、かつて魔法だ、奇跡だと思われていた事ごとも、科学の力でなんでも説明できるようになった現代社会。そのような伝承を一笑に付される方も多いと思います。下手に信じると、詐欺に巻き込まれる、今はそのような時代でもあり、ますます、不思議や奇跡は私たちの身近なところから遠のいていく、そう思います。 しかし、伝承の一つひとつを丁寧に見ていくと、現代の科学技術をもってしても十分には説明ができない事象も存在します。未だ解き明かされていない不思議の存在。そのような現状を思う時『魔法を使う子猫がいるって、もしかしたらほんとうの話かも知れないじゃない?』という考え方もあながち間違っているとは言い切れないのではないでしょうか?『世界にたくさんある不思議な話や奇跡の中には、もしかしたらー「ほんとうの夢」も交じっているかも知れない』という考え方。『世界には魔法もちゃんと存在していて、たまには願い事が叶うこともあるかも知れない』という考え方があってもいいのではないでしょうか? では、もし、『魔法の猫』に出会えるかもしれない百貨店へとあなたが足を運ぶことがあったなら、さて、あなたはその猫に何を願うのでしょうか? 2018年の本屋大賞にノミネートされたこの作品。村山早紀さんの作品と言えばすっかりお馴染みの『風早(かざはや)の街』にあり、創立50周年という記念の年を迎える星野百貨店を舞台に『魔法の猫』が奇跡を起こす物語が、五つの連作短編という構成の中で描かれていきます。そんな五つの短編はいずれも星野百貨店で働く人々に一人ずつ光を当てていきます。その中からまずは第一編の〈空を泳ぐ鯨〉の雰囲気を感じていただきましょう。 『戦後、慰霊のために植えられてきた』桜が咲き乱れる『三月終わりの、ある日のこと』、『その日も自らが乗る』手動式のエレベーターを操るのは主人公の松浦いさな。『三方がガラスとアクリルの板でできたシースルーエレベーター』からは『季節ごと、時間の経過につれて移り変わって行く』、『風早の街の景色』が一望できます。『レバーを操る合間に、窓の外を振りかえるたびに、空も街もなんて美しいのだろう』、『空を泳いでいるみたい』と思う いさな。そんな時、『雀の雛のように元気のいい男の子たち』が入ってきて『屋上をお願いします』と言いました。『承りました。屋上へ参ります』とレバーを操作する いさなは『見知った顔の子どもたちだ。目指すのは、書店やおもちゃ売り場のあるフロア、そして屋上だ』と思います。『本日も、当、星野百貨店にようこそいらっしゃいませ』と口上を述べようとした瞬間、ひとりの少年がこんな風に訊ねました。『この百貨店には、「魔法を使う猫」がいるって、ほんとうですか?』。それに対し『ええと、魔法を使う猫ちゃん、でございますか?』と戸惑う いさなは『冗談かしら』と思うも男の子の目は『冗談をいっている』ようには見えません。屋上に到着し『もういいです』と、駆けていった男の子。休憩時間になり社員食堂へと向かった いさなは『銀河堂書店の古株の学生アルバイト鵜野かおるに、インフォメーションのチーフ、美人で有名な宝田ゆかり』と相席します。早速、『魔法の猫』の話を持ち出した いさなに、二人は『目と目を合わせ、ああ、というようにそれぞれ笑い声を上げ』ます。『いさなちゃんは、この街で育った子じゃなかったものね。あのね、この百貨店には昔から、そういう猫がいるって噂があるのよ』、『有名な猫ですよね』と言う二人。『金目銀目の白い子猫が、気がつくと店内を歩いている…神出鬼没のその子猫を見つけて話を聞いてもらえれば、願い事をなんでもひとつ、きっと叶えてくれる』という話を聞いて、思わず『でも、百貨店の店内を猫が歩いてたらいけないんじゃないですか?』と空気を読めない発言をしてしまって後悔する いさな。そんな いさなに『小さなお客様に魔法の猫のことを訊かれたら、はい、そういう猫はたしかにおります、って答えてもいいんじゃないないかしら?』と言う ゆかりは『本館の正面玄関の吹き抜けの天井のステンドグラス ー 白い子猫がいるでしょう?その子猫がときどきそこから抜け出して百貨店の中を歩いているっていう言い伝えがあるのよ』と『魔法の猫』について真面目な顔で説明します。『もしかしたらほんとうの話かも知れないじゃない?…世界には魔法もちゃんと存在していて、たまには願い事が叶うこともあるかも知れない』と続けた後、『なあんてね』とさみしげに笑った ゆかり。そして、ひとりになった いさなは『願い事を叶える猫、か』と思いながら天井のステンドグラスの猫を見上げます。『もし、そんな猫がここにいるとしたら、自分はその猫に何を願うだろう』と思う いさな。そんな いさなが体験することになる『もしかして、あなた、魔法の猫なの?』…いう奇跡の物語が描かれていきます。 さて、あなたは、百貨店と聞いてどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?『わたしは昭和の三十八年の生まれです。ある意味、百貨店のいちばん華やかな時代が記憶にある世代かも知れません』と語る村山早紀さん。『日曜日には家族でそこにお買い物に行って、屋上の遊園地で遊び、レストランでお子様ランチを食べ、地下のお菓子売り場でキャンディを買ってもらって帰った、そんな子どものひとりでした』と続ける村山さんの記憶に刻まれた百貨店のイメージ。それは、恐らく村山さんと同年代の人たちにとっての共通のイメージなのではないでしょうか?私も小さい頃に両親に連れられて行った百貨店の光景、最上階にあるレストランの華やいだ雰囲気の中で食事をした記憶が残っています。しかし、時は流れ『絶対に揺らがない』と思われた往時の華やぎの象徴にも影が差す状況となっていることは皆さんご承知のことと思います。『国内の百貨店が斜陽の時代に入った』という現代にあって百貨店のイメージも変わりつつあるのだと思います。そのような変化はそこで働く人たちにとってはさらに身近な問題、深刻な問題だと言えます。『かつて、風早に星野百貨店ありと称えられ、地元の誇り、文化の守護者、とまでいわれたという百貨店は、静かに滅びつつある』、そんな気配を感じつつも『お客様のために、できることがあるとしたら』、『わたしにもできることがあるのなら』と、あくまで自らの仕事に誠実に向き合っていく従業員たちの姿は、凛とした、接客のプロらしさを強く感じさせるものでした。 全五幕から構成されたこの作品では、それぞれの幕で従業員たちの姿が丁寧に描かれていきます。それは、〈シンデレラの階段〉で『接客の基本は、相手を尊ぶことだ。自分を尊ぶように、他者を ー お客様を尊ぶ。品物を通して幸せであるように祈る。その思いが、床に膝をつき、靴を捧げ持つ姿勢になるのだ』という靴店の百田咲子。〈百貨の魔法〉で『正面玄関に立つようになってからは、あたかも門番のように、自分がこの店を守っているような、そんな神聖な気持ちになった』と高校卒業後からドアマンとして勤める西原保。そして、〈夏の木馬〉で『自分の手で、この人類の宝物のような品々を守りたいと思』い、『ひとつひとつの品々を、いちばん必要とし、大事にしてくれる誰かの手に渡すことができたら』と願い続け、時計と宝飾品のフロアで『「宝飾フロアの主」「執事のようだ」とたたえられる』佐藤健吾など、その仕事に向かう真摯な姿勢は文字の中から彼らの姿がリアル世界に浮かび上がってくるほどに存在感を感じます。しかしそんな彼らも星野百貨店の苦境は痛いほど耳にし、感じてもいます。『いつまで、星野百貨店は、各階のフロアを、いやこの美しい百貨店そのものを維持してゆけるのか?』と星野百貨店の行く末を案じる彼ら。物語は、この大切な場所、いつまでも輝き続けて欲しい、そんな場所に漂い始める黒い影を感じさせつつ、〈終幕〉へと歩みを進めていきます。 そんな星野百貨店には、ステンドグラスに『描かれた金目銀目の白い子猫が、たまに天井から抜け出しては、店内をひとり歩くらしい』という伝承がありました。『もし、この百貨店の中で、ステンドグラスを抜け出したその子猫にあうことができたなら、猫はひとつだけ、願い事を叶えてくれる』というその伝承。『神様の話やら妖怪の話やら、不思議な話が妙に多かったりする』という『風早の街』。そんな街の百貨店に『魔法の猫』の伝承があっても全く違和感はありません。それが村山さんが数々の傑作の中で作り上げられてきた『風早の街』の物語世界です。しかし、この作品で描かれる『魔法の猫』が巻き起こす『奇跡』の物語はいわゆる”魔法”というような描き方はされません。『直接的には、いなさが、そして何より結子が手を差しのべたからだ』というその先に描かれる『魔法が働いたからだ、と思うのも悪くない』といういわば感覚的なものとも言える描き方がなされる物語世界。それは、”箒に跨って魔女が空を飛んだり”、”かぼちゃが馬車になったり”する世界観とは全く異なるものです。この『魔法が働いたからだ、と思うのも悪くない』という偶然とも言える感覚の延長線上に描かれるのが村山さんの描くファンタジーの何よりもの魅力です。そして、この作品でそんな『魔法』を私たち読者に見せてくれたのは、上記した星野百貨店で働く人たちのお客様と真摯に向き合おうとする姿勢の先にあるものなのだと思いました。『このお客様のために、何かしてあげたい。このお客様に、喜んで欲しい』、『そう思ったときうまれるサービスは百パーセントを超えるレベルと熱量のものとなる』というその熱い想い。それを、『みんなを笑顔にできるひとになりたいの。サンタクロースのように笑顔を贈れるひとになりたいの。わたし、そんな魔法が使えるひとになれるかな?』と仕事に真摯に向き合っていく気持ちの先に続く熱い想い、それこそが『ささやかな奇跡と魔法の物語』を生み続ける星野百貨店が見せる魔法の、もしくは奇跡の真実の姿なのだと思いました。 『世界は無数の脇役で構成されていて、主役っていないと思うんです』とおっしゃる村山さん。そんな村山さんの綴る百貨店を舞台にしたこの作品では、『わたしたちは、幸せを売る、魔法使い』という従業員たちの熱い想いに支えられた百貨店の姿が描かれていました。将来への不安を抱える百貨店の未来に光明が差す結末含め、この作品に登場する人物は皆、善人ばかりです。この作品のレビューにその点を指摘され、現実離れしていると嘆かれる方もいらっしゃいます。もちろん、現実世界に目を向ければ、そこには善人ばかりではない、綺麗事の通用しない光景が広がっています。悲しいかな、それが現実世界です。しかし、これは小説世界です。悪人が必ず登場しなければならないというルールがない限り、そこに登場する人物が善人ばかりであろうと何の問題もないはずですし、小説を読んでまで、現実世界の延長のような嫌な気分に陥りたくはない、そんな風にも思います。『世の中には、不幸なことや悲しいことがあまりにも多すぎるので、物語の中だけでも、世界が平和で幸せになり、誰も泣かない時代が来ればいいなあ、と無意識のうちに願っている』という村山さんの描くファンタジーの世界。その作品世界の中でいっ時でも幸せを感じ、その素直な感情に涙する、そんな幸せな時間を過ごしたい、そんなひと時を求めて私は村山早紀さんが大切に紡がれる作品世界にこれからもずっとずっと手を伸ばし続けるのだろうなと思います。 村山さん、いつもながらに幸せなひと時を、幸せな感情を、そして、幸せな涙をありがとうございました!

    80
    投稿日: 2021.06.12
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    桜風堂物語を読んでいるから、このデパートかー!とテンション上がった。でも全体的に昭和感が…昭和が悪いわけじゃないけど中途半端な印象。 ファンタジーなんだろうけど、そこもちょっと中途半端な感じだった。

    0
    投稿日: 2021.05.31
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    百貨店を題材に働くいろいろな人の視点で語られるオムニバス形式の物語。 みんなが自分の仕事に誇りを持って働ける職場っていいなと感じた。 推理小説のようにまどろっこしい部分があったり、章によってはテンポがよくない?と感じる部分があり、没入できなかった。

    1
    投稿日: 2021.05.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    桜風堂ものがたりの最初の書店、銀河堂書店のある星野百貨店のお話 ファンタジーなのかな、とふわふわした感じで読み進み 最後には驚きの事実も

    1
    投稿日: 2021.04.29
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    最近はこんなホスピタリティを持った場所が減ったなぁ。 やっぱり、人々に余裕がなく、店側も客も他者に思いを寄せる社会では無くなっているのだろう。

    0
    投稿日: 2021.04.25
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    タイトル通り、魔法のお話しだった。 だってあの猫はいたし、みんなに奇跡が起こっていたからね。 百貨店は特別な場所であったけど、今は気軽に行く場所に変わった。 それでも、なかったら色々な意味で困る。 姉妹本も読んでみたい。

    5
    投稿日: 2021.04.03
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    桜風堂ものがたりを読んでいたのでその中にある銀河堂書店が出てきて嬉しかったです(*^^*) 物語に出てくるステンドグラス本当にあったらいいのになんて思いながら。 みんなが幸せになれるようなお話しで心暖まりますね(*^^*) 銀河堂書店さんのお話しもう少しあればよかったなぁなんて(⌒‐⌒) 百貨店なんて行かないものですから、こういう所なのかって想像しながら読めたので楽しかったです(*^^*)

    1
    投稿日: 2021.04.01
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    コロナ自粛期間に復活した読書の最初の一冊。これじゃなかったらこんなにまた本を読むこともなかったかも、と思える。心が温かくなる素敵な本です。気負わずゆっくり読めます。

    0
    投稿日: 2021.02.03
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    2020.12.8読了 風早という街にある、創業50年の百貨店の話。 オッドアイの白猫が願いを叶えてくれるという噂と、突然現れた結子というコンシェルジュを柱にした6編のアンソロジー。 プロットは面白いし、舞台となる百貨店も魅力的。 しかし、情景や感情の描写が多すぎてテンポが悪く感じる。 6から8言えば伝わるのに15位言われてる感じだった。

    0
    投稿日: 2020.12.08
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    架空の百貨店で働く人達を主人公にした連作短編集。タイトルや思わせぶりな展開からするともう少しファンタジー寄りの作品かと思ったが、意外(?)にも厳しい現実を舞台にホッと一息つけるような人情話だった。村山さんのお人柄を感じさせる優しさに満ちた世界を堪能した。オッドアイの魔法の猫、ぼくも会ってみたいにゃあ(ΦωΦ)。

    2
    投稿日: 2020.10.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とても綺麗なお話でした。 描写がかなり細かく書かれているので、頭に思い描きながら読み進めていけました。 こんな風に自分の仕事・働く場所を愛せたら幸せなんだろうなぁと思いました。

    0
    投稿日: 2020.09.22
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    本屋大賞2018年9位。ファンタジーというか童話というか。地方の街の百貨店でおこる不思議な物語。連作短編集っぽく一話毎に百貨店の各売り場で働く人が主役となってその人にまつわる心あたたまる不思議な話が語られる。狭い世界の話なので個々の話はそれぞれ関連しており、百貨店創業者の家族と百貨店経営の話が全体の柱となっている。ところどころむっちゃ感動する場面が突然でてきて3回ぐらいうるっときた。でも、退屈な話も多く、いい人どおしの心温まる話がだらだら続いて登場人物が勝手に感動してるけど読者はなかなか入っていけないような場面も多い。この人の前作、桜風堂ものがたりと同一の場面設定ということらしくて、それって本屋大賞じゃないのかなと思ってたら、2017年5位で最近読んでるではないですか。全然覚えてないわ。

    1
    投稿日: 2020.08.16
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    村山早紀さんの作品 と思って読みはじめた。 あ 桜風堂物語と同じだ 読みはじめると 登場人物が違う ああ 星野百貨店の物語なんだ いろんな職種の人の繋がりを 上手く絡めて 面白く切なく楽しく綴られ 楽しく読めました。

    4
    投稿日: 2020.08.01
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    閉店がささやかれる星野百貨店。 そこには「願いを叶えてくれる白い猫」の存在があった。街の人々に寄り添い、希望であり続けたいと願う従業員たち。 それぞれの想いを胸に、もし出会ったら何を願うのか?ファンタジーの要素も感じさせる優しい物語でした。

    2
    投稿日: 2020.07.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2020.06.①星野百貨店のエレベーターガールのいさな.外国から来たバイオリニストのサクラが焼け焦げたテディベアを持っているのを見つけ,専用カウンターに案内して修理を依頼する.このテディベアは,以前にサクラの母が星野百貨店で購入してサクラに贈ってくれたものだった.②星野百貨店の小さなテナントの靴屋の店長である咲子.以前にバンドでデビューしたが最後のコンサートに事故で無断欠席をしてしまった.金目銀目の魔法の白い猫を見てそのコンサートに舞い戻る.③星野百貨店の時計と宝飾品フロアーの責任者である佐藤.佐藤が幼い頃,彼がこの星野百貨店屋上の回転木馬に乗っている時に母は何処かへ行ってしまった.佐藤が屋上で金目銀目の猫を見て夢を見たあと,地方の病院から突然,母が入院したと電話が来る.母は佐藤の職場が書かれたメモをいつも持ち歩いていたのだ.④星野百貨店の資料室で働く一花.一花が高校生の頃,イラストコンクールで佳作に入選したことがある.その時の大賞を取った人は,イラストレーターとして活躍していて,一花は彼の絵がとても好きで憧れていた.ある日,一花が金目銀目の猫を見るとその彼が資料室にやって来て,コンクールの一花のイラストがとても好きなので,この星野百貨店の資料室に来たのだと告げられる.⑤星野百貨店のコンシェルジュの芹沢結子.結子は,星野百貨店創業者星野の孫だったがバレリーナとして世界を渡っていた.しかし,怪我をして途方にくれていた時に祖父の病気の連絡が入りコンシェルジュとして星野百貨店に戻ってきた.結子は,経営が傾いてきた星野百貨店のために力を尽くそうと考える.町の中心地に立つ昔ながらの星野百貨店に関する5つのテーマの異なる短編集.心温まる話で良かった.

    2
    投稿日: 2020.06.30
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    星野百貨店のフロアで、もし、猫と出会ったら? 一見、ファンタジーか?と思いきや、丁寧におられた織物のように、歴史ある古い百貨店で過ごした人々の物語でした。少し謎めいていて、少し不思議な偶然が重なる物語。 星野百貨店、行ってみたくなりました! 本当に、どこかの町にありそうなところがまたいいのです。姉妹版?として「桜風堂ものがたり」というお話もあるそうなので、ぜひそちらも読んでみたいです。

    2
    投稿日: 2020.06.30
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    ◆大切なものを守るために◆ 長い間、街で愛されていた星野百貨店は経営の悪化から閉店が囁かれていた。誇りを持って働き続ける一方、百貨店が無くなってしまうのではという不安をもつ従業員たち。そんな中、百貨店に住む願いを叶える魔法のネコの噂が話題になり、それぞれが百貨店への想いを馳せる。 思い出の百貨店を守りたいというコンシェルジュの決意が、徐々にまわりの心を動かしてゆく。百貨店に奇跡を起こせるのか…!

    0
    投稿日: 2020.05.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    はじめはウルウルする感動物語って感じで読んでいたけど、結子の正体をじょじょに明らかにしていくあたりから、まわりっくどくて鼻につく感じになっていった。 最後の「百貨の魔法」が一番イライラしたな。 私もデパートはよく利用する方だし、デパートならではの接客も生き残ってほしいと思うけど。 あんな客ばっかりで、それを相手にするのがメインの仕事(実際には売上的にはそうなんだろうけど)なんだな、と思うとね。

    0
    投稿日: 2020.04.03
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    ・「ええ話やなあ」系。 ・地域で愛されていた百貨店閉店のニュースをよく聞くご時世だがそれが地元の人にとっていかにせつないことなのか感じることができるかもしれない。 ▼星野百貨店についての簡単なメモ 【杏】咲子の幼馴染みであり今は有名な歌手。 【五つの誓い】星野百貨店の社是で要約すれば、文化を発信し人類の幸福に寄与する/風早の人々が飢えず震えず美しく着飾り本を読み文化を享受できる砦たらんとする/お客様に奉仕し社員の福利厚生につとめる/この地に住まう人びとの日常を支える/それらのためこの地にあり続ける。 【鵜野かおる】銀河堂書店で高校生の頃からバイトしていて今は大学院生。 【回転木馬】屋上の遊園地にあり佐藤健吾の心の拠り所。 【銀河堂書店】星野百貨店創業当時から百貨店内で営業している書店でこの店が本店なので運命をともにするつもりだと『桜風堂ものがたり』のときに書かれていた。 【早乙女一花/さおとめ・いちか】星野百貨店別館二階にある風早郷土資料室唯一の職員で美しいものが大好きで絵が上手いけど自分の容貌には自信がない。 【咲子】地下一階の百田靴店の店長。 【佐倉ユリエ】かつてコスメとファッション・雑貨のフロアのリーダーとして愛され「流浪の民」を口ずさみつつ帰る場所を欲しがっていた女性。 【佐藤健吾】役員の一人で別館六階の宝飾品と時計のフロアのマネージャーで姿勢がまっすぐな執事のような人。 【杉江まり子】星野百貨店創立時からある美容室サロン・ド・スギエの経営者であり創業者星野誠一の幼馴染みでもあり百貨店開業を成功させた立役者の一人で「星野百貨店の女帝」とも呼ばれている大株主で社員からは「まり子様」と呼ばれている。 【芹沢結子】松浦いさなが夜出会い白鳥をイメージし咲子は妖精のような女の子と思った女性で多くの社員に昔から知っているような気がすると思われている。 【空を泳ぐ鯨】第一章のタイトルで名前からしてエレベーターガール松浦いさなのことだろうと想像はし彼女がサクラという名のフィンランド女性に気をとめたことからそれぞれの夢見がちな親への想いが重なるというお話になるが個人的には漫画家だった頃のおーなり由子さんの「あこがれくじら」という作品を思い出した。 【鷹城夫妻】老後の悠々自適生活のためのあれこれを購おうと半日かけて芹沢結子とともに楽しげに星野百貨店を巡ることになり実際にも上客に対してそういうことはあるようだが今回は心の上客と百貨店全体の関わりを描ける状況が欲しかったのだろうと思う。 【宝田ゆかり】インフォメーションでチーフをしている美人で面倒見のいい百貨店の顔で以前エレベーターガールをしていたこともある。 【地下一階】海の底のようなイメージの場所。 【地下の印刷機】地下にある古い印刷機と製本機は今でもときおり大切な仕事をするが「桜風堂ものがたり」でも活躍した記憶がある。 【天文時計】カンパノラ・コスモサインというシチズンの腕時計で佐藤健吾がある人物に紹介し今は芹沢結子の腕を飾る。 【豊見城みほ/とみぐすく・みほ】星野百貨店一階コスメとファッション・雑貨のフロアの神秘的で美しい魔法使いと早乙女一花は考えているがもともとは自信を持てないタイプだったのが親友佐倉ユリエのアドバイスで自信を抱けるようになっていった。 【西原保】老いたドアマンで雄々しいライオンのようであれたらと思っているがかつて一度だけサンタクロースだったことがある。 【野々宮明子】ひまわり薬局の店長。 【ブルーペガサス】昔「シンデレラ・ウイング」という曲をすこしだけ流行らせた女性ツインボーカルの高校生バンド。 【別館】八階建てでホテル、ホール、宴会場、チャペル、美容室、そして宝飾品フロアなどがある。 【星野誠一】星野百貨店の創業者でクリスチャン。 【星野太郎】創業者誠一の息子にして現社長で覇気には乏しく笑顔で百貨店内を巡り何をするでもなく帰っていく毎日だが好人物かつ純粋で女性に好かれ二度結婚し現在は独身でそれぞれの妻のもとに子どもがおり女性社員の間では「太郎さん」と呼ばれている。 【星野百貨店】風早の平和西商店街にある老舗百貨店は野の朝顔がシンボルで音楽ホールや映画館も備え文化の守護者でもあり地元の誇りではあるが静かに滅びつつある。 【星野百貨店のエレベーター】50年前百貨店ができてからずっと稼働しているエレベーターで三方がガラスとアクリル板でできたシースルー。 【星野百貨店の社員食堂】お客様用食堂とほぼ同じ作りで創業者の意図で手厚すぎるほどの福利厚生の一貫として栄養に配慮し美味しくつねに温かく食堂からの見晴らしもよい。 【星野百貨店の旗】「H」の一文字と野の朝顔が白地に青く染められているが星野百貨店と平和西商店街のイニシャルでありheart、hope、healing、homeの頭文字でもある。 【松浦いさな】星野百貨店のエレベーターガールで背が高く海育ちのがっちりした体格で芹沢結子から見るとのほほんとした穏やかなフレンドリーさがありあれくらい美人だと人生楽しいだろうなあと思える女性。《一日、空を泳いでいるようなものだものね》p.6 【魔法を使う猫】星野百貨店にいると昔からウワサのあるオッドアイの白い子猫でもしかしたら本館正面玄関吹き抜けにあるステンドグラスの中にいる猫なのかもしれず見つけて話を聞いてもらえればなんでも願い事がひとつ叶うという話なのだがどちらかといえば叶えたいと猫が思った願いを持つ者の前に現れるという感じだろうか。 【百田靴店】星野百貨店の地下一階にある咲子の店で本店は商店街にあり父親がやっている。 【柳田六郎太】銀河堂書店の店長で魔法を使う猫のウワサを信じている。 【夢】《夢って、見るひとによってはそう良いものじゃない。毒になるってことも》p.81

    1
    投稿日: 2020.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんて優しい、なんて温かい、なんていい物語なんだろう。涙腺をがっつりやられしまった、最終章読むとき寝床読書で良かった。通勤電車で読んでたら、またしても怪しいおっさんに成り果てるところやったやん。 経営難の地方百貨店「星野百貨店」を舞台に色んなフロアで働く人々の掌編。その百貨店は創業50年の歴史をもち、良く言えば昭和の贅を味わえる、悪く言えば時代に取り残された古臭い店舗である。地元に愛され、地元のために貢献し、色々な歴史と思い出と伝説を持つ百貨店。 登場人物の誰もが優しく、百貨店の行く末に不安を持ちながらも、日々の仕事を丁寧にしっかりと勤める。そんな物語の中にちりばめられた仕掛けが、物語の終盤にマジックとして見事に花開く、その展開はお仕事小説の範囲を大幅に超えた「ファンタジー」と言ってもいいと思う。 既読の「桜風堂ものがたり」にリンクしているのか。内容をあまり覚えていなかったのは残念。最近本当に記憶力の劣化がひどくて…情けない。というのは余談。 それにしても、こういう店に買い物に行きたい。アマゾンじゃなく楽天じゃなく、こういうお店をゆっくり回って買い物をしたい。無性に地元のデパートに行きたくなってきた。西武から阪急に変わったあのお店に、週末にでも行ってみようかなぁ。

    2
    投稿日: 2019.11.28
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    ステキな百貨店の物語だった。どこにでもありそうなお店の話。それでいて、言い伝えられている魔法の猫の存在などあったりして。幕間ではちょっと戦争直後の悲惨な姿も垣間見れた。 この先もこういうお店が続いてほしいけれども、自分はそういうお店をちゃんと使っているだろうか。。。

    2
    投稿日: 2019.09.10
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    何となく三谷幸喜の有頂天ホテルを思い出した。 老舗の小さな百貨店で働くスタッフの小さな奇跡が周りの人を幸せにしていく。その一つ一つの奇跡が繋がっていく。 ファンタジー要素が少し苦手だったが、きれいな物語でした。

    0
    投稿日: 2019.06.22
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    桜風堂ものがたりに出てくる百貨店の話で、それといった繋がりはないように思えた。 それでも桜風堂ものがたりがとても面白かったから、同じ環境の話を読めてよかった。

    0
    投稿日: 2019.06.18
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    風早の街に古くからある星野百貨店。華やかだった時代は過ぎ、経営も傾きかけているが、地元の人々やそこで働く人々に愛され大切にされている百貨店。そこにコンシェルジュを置くことになり、芹澤結子というどこか不思議な雰囲気をもった女性がやってきた。その結子と、百貨店で働く人々がふとしたことで交わったことをきっかけに、それぞれの抱えている想いがふんわりとほどけていくような、ちょっと不思議な話が詰まっている。 他の作品もそうだけど、風早シリーズを読むと、きっとどこかに風早の街が存在していて、物語の人物たちがちゃんと生活をしているような気がしてくる。いつか私も風早に行ってみたい。なんて。

    0
    投稿日: 2019.05.26
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    表紙の感じ、デパート、魔法とすごく興味をそそられた。 けど、閉店間際の百貨店というシビアな面と、魔法の猫、妖精というファンタジーなワードがアンバランスな気がした。 それらの言葉が何度も出てきてどうも入り込めず、なかなかページが進まない。テンポも掴みにくく、あんまり相性が合わなかった。

    1
    投稿日: 2019.04.27
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    すごく好みなんです。それなのに、なぜだか、のめり込めず…自分でも悔しい感じ。 テンポ?リズム? なにかが、私の中で満たされず、残念でした。 いつか機会があったら、もう一度読んでみたいかな。

    1
    投稿日: 2019.04.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「桜風堂ものがたり」の姉妹編。 「桜風堂ものがたり」主人公が務めていた銀河堂書店の入っている星野百貨店の物語でした。 良い人ばかりが登場するファンタジーチックな物語ですが、伏線もわかりやすく、どんでん返しもなくハッピーエンドでした。 ただ、傾いてる百貨店が受ける試練に対して結子がどう対処していくのかは続編を作って明らかにしてほしいと思いました。 また、「桜風堂ものがたり」との時系列関係が分からないので、続編を作るならではその関係性も明らかにしてほしいですね。

    0
    投稿日: 2019.04.14
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    物語は主人公が操るエレベーターの様に 静かなに進み 白い手袋をし真鍮のレバーを動かくかの如く上下する。 白いネコの章は感涙ポイントだと思う。 . 処々「あれ?」って不思議に思った部分はあとがきが解決してくれた。 「桜風堂ものがりと姉妹作」 とのこと。 桜風堂ものがたりも人の温もりを感じさせてくれた素敵なお話だったことを覚えてる。 . 実は、「あとがき」を読むのが一番の楽しみ。 読み終えたあと著者がどんな思いで綴ったのか、自分の感想と似ていると飛び上がりたくなる! また、手元に届くまで、どんな人々が携わってきたかワクワクした気持ちで読んでる。 . 私はまた著者の魔法に心が揺らめいてみたい。と思う。

    0
    投稿日: 2019.04.14
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    時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける―。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!

    0
    投稿日: 2019.04.03
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    いかにも女性受けしそうなメルヘンチックな物語でした。とある老舗百貨店を舞台に、そこに携わる人々の優しく温かい群像が心地よいのでしょうかね。これを書く為に様々なアプローチをしたとあとがきにあるけれど、内部に詳しい私から見てもよく捉えてあります。内部暴露や経済的アプローチでは無いので、旧き良き時代の懐かしいデパート像が優しく描かれていてほんわかする小説でした♪

    7
    投稿日: 2019.03.21
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    百貨店の魔法の奇跡が起きる感動の物語でしたね。 いゃ〜!良かった。読後感がいいです。メルヘンチックな余韻が残ります。

    1
    投稿日: 2019.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    図書館で借りた本。 桜風堂ものがたりでおなじみの、星野百貨店には、オッドアイの不思議な白い子猫がいて、その姿をみた人は一つだけ願い事を叶えてくれるという。そんな子猫と薬価店の人々との暖かいお話たち。なぜオッドアイの子猫なのかという謎もなんとなくわかっていく。いい人ばかりの本を読むと、気持ちが綺麗になった気がするので、定期的に読みたいなぁ。

    0
    投稿日: 2019.03.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    色んなテナントがあって、それぞれがぞれぞれの思いで抗っている。 信じるキモチ すがりたくなるキモチ そんな想いを魔法の仔猫が救ってくれる。 ファンタジーじゃなく、働く人、真摯に挑む人たちのものがたり。

    0
    投稿日: 2019.03.11
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    あたたかい、よいお話だと思います。 でも・・・ でもね・・・ きれいごとくさいなと思う私の心は荒んでいるのかなぁ。 出てくる人たち全員、善人。 見た目もきれいで、才能があって、慎ましく、礼を知っており、人々から愛し愛されるキャラクターたち・・・。 しかし、現実では、1個1万円のスタイ(よだれかけ)を買うのは、ZOZOの社長とかだと思うので、心も見た目も麗しく慎ましく描かれている登場人物たちとのギャップが。 また、主人公の父の後妻とその息子へのこき下ろし方と、心が美しいはずの登場人物たちの落差はなんでしょう。 フィクションに目くじら立てても仕方ないんだけどさ。

    2
    投稿日: 2019.03.11
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    登場人物がみな良い人過ぎて若干とっつきにくかったのは、自分が純粋な心を失ってしまっているからだろうか。 少年時代に訪れた百貨店を思い出し、懐かしい気持ちにさせてくれた良作。

    0
    投稿日: 2019.03.02
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    最初は淡々として、少し物足りなさを感じていた。 2章くらいで読むのをやめようとしてしまったくらい。 でも、そこから夢のある話が広がっていき、こういう幸せな展開になっていくんだろうな、というのがちゃんとその通りになっていき、途中からはほのぼのと幸せな気分になりながら読めました。 私が小学生くらいの時の百貨店にはエレベーターガールがいたな、とか懐かしい気持ちにもなりました。

    0
    投稿日: 2019.02.25
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    やさしいお話。 この本を読んで、百貨店に行ってぶらぶらしたら、ドアマンやコンシェルジュ、店員さんに話しかけたくなるお話でした。

    2
    投稿日: 2019.02.23
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    最近心がしんどくなる小説ばかり読んでいたので、久々にゆっくりした小説を読んでみました。 軽くさっと読めて楽な気持ちになれる小説でした。

    0
    投稿日: 2019.02.15
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    閉店の噂が飛び交う星野百貨店。だが、スタッフたちは店を守ろうと、今日も売り場に立ちつづけ-。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語。「桜風堂ものがたり」の姉妹編。 そんなわけで「桜風堂ものがたり」を読んで紹介されていたので読んでみました。 私が白い猫に会ったら何をお願いしようかな? 乙女チックな優しい物語でした。

    0
    投稿日: 2019.02.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    確かに以前の方が百貨店は身近だった。買い物こそはそんなに出来なかったけれど、ふらっと行く場所だった。今はあちこちの大型ショッピングモールがその場所になっている。自分で買えるものが増えたからこそ、百貨店からは遠のいている気がする。経済的な側面ももちろんあるけれど。そんな中でも、存続の危機を匂わせながらも星野百貨店は確実に存続し続けると思う。愛されるお店は強い。お客様にも働く人にも愛されているのだから。優しい物語で魔法のような物語。私は桜風道物語の方が好きだったけど、こちらも、優しい気持ちになれる読後でした。

    0
    投稿日: 2019.02.06
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    子どもの頃は休みにデパートに行くとなったら本当にワクワクしたものだったなぁ、と思い出しながら読みました。 私には魔法が効かず、かなり距離を置いて読みましたが…

    0
    投稿日: 2019.02.02
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    あとがきによると、担当さんに百貨店を舞台にした物語を書かないかと言われて書くことになったようです。 その人がどうして百貨店というテーマを村山さんに勧めたのかはわかりませんが… とはいえ、自分から求めた題材でなかったとは思えないほど愛とセンス・オブ・ワンダーにあふれた作品でした。 今の若い人って多分、デパートって“オワコン”だと思っている(ハッ!“オワコン”も死語?) 残念ながら若くない私もそう思っています。 意気揚揚と「お伊勢丹」(うちの近所にある)のチェックの紙袋を提げて闊歩しているのは、後期高齢者以上の女性たちです。 この本に出てくる『星野百貨店』も、経営が傾いている。 作品全体が、死にゆく人が見ている、自分が輝いていた時代の美しい夢、最後の夢…という感じです。 百貨店そのものが、かつては夢を見せてくれる存在でした。 今は、どこにでもあるテナントが同じように入った、どこにでもあるファッションビルと化してしまっている。 夢を見せてくれる場所ではなくなってしまいました。 では、百貨店は必要なかったのかと言うと、「今は役目を終えた」というだけで、何も無いところから復興に向けて頑張ってきた、戦後の繁栄を支えてきた、高度経済成長の旗印だったのだと思います。 身を粉にして働き、休日に家族で最高のおしゃれをして出かける、ひととき贅沢な夢の世界に遊ぶ… 戦後、日本人が頑張るために、デパートは必要でした。 枯れたように見える大木の根元に若い芽が吹いているのかどうか… 星野百貨店の明日は分かりませんが、美しい時代を本の中に閉じ込めてもらって、百貨店の魂も喜んでいる…そんなふうに思います。

    1
    投稿日: 2019.02.01
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    「いい話」だとは思うし、若い子が安心して読める少し不思議なお仕事物語だとも思う。 けど、善意のよせあつめと、夢と希望ばかり詰め込みすぎて、現実を知ってしまった大人はたぶん少しばかり気後れしてしまう。 親を亡くした子どもが、そんなに頻繁に百貨店のお惣菜コーナーに立ち寄れるはずがないし、店員がプライベートの約束を反故にしてまでお客様のために雨の中を走ったりしない。 おとぎ話のように人間の綺麗な表面だけを紡いで、読ませるある意味フェアリーテイルなのだな、と。 結局経営の傾いた店をどうたてなおすつもりなのかな。 それも子猫の魔法に頼るのかなぁと。 この方の作品は児童書としては素晴らしいけれど、大人向けにしてはたぶん綺麗すぎる。 きっとご自身がすごくすごく優しい方で、人間の良い面を信じてして、日本のおもてなしの心をもっているのでしょうね。 善意で経営が安定するわけないやんと思ってしまうわたしのような黒い大人には眩しすぎました。 児童書も胸キュンの青春物語も卒業した、ハイティーンの女の子にはちょうどいいさじ加減の物語だと思いました。 物語に夢ばかりを求められない大人は避けたほうがいいかも。

    3
    投稿日: 2019.01.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    児童文学作家として活躍していた作者が、ここ2年連続で本屋大賞ランクイン。2018年本屋大賞9位作品です。 戦後の焼け野原に建てられた星野百貨店で起きる不思議な物語。百貨店で働く人にまつわる思い出と夢を魔法の猫がちょっぴり叶えてくれるファンタジー。 エレベーターガールは、傷だらけのテディベアにまつわる昔別れた母にまつわるお話。 百田靴店の咲子は、喧嘩別れした元バンド仲間との友情。 
贈答品フロアのマネージャー 佐藤さんは、子供の頃に百貨店の屋上で捨てられた母との再会。 
資料室の一花は、自信のなかった自分の良さに初めて気付き、ほのかな恋が始まる。

コンシェルジェの芹沢結子 本名星野結子。彼女が隠す謎とその正体とは? されぞれがちょっとづつ繋がって、それぞれがほのぼのとホロリとさせる良書です。

    0
    投稿日: 2019.01.14
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    閉店が危ぶまれる地方の老舗デパートで働く人たちのお仕事小説と思いきや、不思議な白い猫が出てきて願いを叶えるという童話でした。前向きな気分になれます。

    1
    投稿日: 2019.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ファンタジーな内容で、星野百貨店がみんなに愛され、長く続くといいなと思った。 一方で、百貨店に入った時に何となく、「自分は常連ではない」という疎外感を感じる気持ちが、この本の読後にも残った。「ひと」と書く表現方法の多用、「お利口くん」というネーミングセンス、心温まる物語を書いているようで、百貨店から離れていった二番目の妻や大福親子を深みもなく切って捨ててる感じ、あとがきに見られる印象では作者さんはまっすぐな方な気がして、やさぐれてる自分とは少し合わなかった。

    0
    投稿日: 2018.12.06
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    百貨店を心から愛し 思い出を大切にする 人たちの真摯な仕事ぶりが とても快い物語です 宝飾品売り場のフロアマネージャーの 思い出が一番好きかな 多分年代的に似てるのかも 屋上遊園地やレストランが懐かしいです

    5
    投稿日: 2018.11.30
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    メモ: ・小説と言うかファンタジー要素?でも明らかな超常現象としても描いていない。 ・スイスイ読める。読後感も良い。 ・続巻も有るとの事なので読みたい。

    0
    投稿日: 2018.11.21
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    百貨店を舞台に、そこで働く人たちのお話集。お話の内容としては、どこを切り取ってもあったかくて、きらきらしていて、私には眩しすぎたかも。もう少し毒がある方がのめり込みやすいなぁ。 文章もあったかみを出そうとしているからなのか、ひらがなと漢字の書き分け方とか、丁寧な言葉遣いとか、ちょっとこってりしてて、スラスラ読めなかった。

    1
    投稿日: 2018.11.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『桜風堂ものがたり』の書店が入っている百貨店が舞台、 登場人物で被るのは、店長さん位。 それも登場はごくわずかだから、単独で読んでも大丈夫。 閉店間際かと思われている、ひと昔まえの百貨店で起こる出来事 語り口を変えての短編で進んでいく。 暖かい話。 きっと新しい店長さんの元、きっと続くことでしょう。

    0
    投稿日: 2018.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    書店で装丁に一目惚れし、前情報なしに図書館予約。 期待値が割と高かったせいか、冒頭から少々躓きまして。一週間程第一幕の序盤も序盤、食堂シーンの途中で放置してしまいました。 貸出期限が残り一週間と迫ったため、一念発起して再び挑戦。 恐らく最初の段階で、文章が肌に合わないな、と感じてしまったのだと思います。 文章も内容も、繰り返しの多さに疲れてしまう。 内容以前のところで引っかかってしまうのは残念ですよね。勿体ないな、と思いつつ。合う人には合うのでしょう。 次に、主人公いさな。彼女の感性と自分の感性が違いすぎて、移入できなかったのもあるかも知れません。 前述の繰り返し案件にも繋がりますが、合わないな、と思う感覚を何度も何度もリフレイン。まだ前回から数ページも進んでいないのに。辟易してしまうほど。 全ての主人公と共感できるわけもありませんから、諦めず読み進めます。やはり文章表現がしっくりこない。自分のリズムとズレがあるのだと思います。登場人物を語る際に、名前を出しているにも関わらず、“その人は”が続くのにも違和感がありました。それが著者の味、もしくは作品の味だとすれば、やはり私の肌に合わない、と言うことになります。 さて、この辺りで一度、他の方の反応が気になり皆さんのレビューを覗いてみました。すると、別作品の姉妹作であることがわかりました。入り込めない理由はここにもありそうです。前情報0で臨むとこう言うことになるのですよね。 世界観を既に掴んでから読んでいれば違和感も無かったかも知れませんから。 この時点でまだ第一幕、1/2も読み進められていませんでした。ページで言うと34頁め。先は長いわけです。しかし評価されている作品です。最後まで読むと変わるかも、と気合を入れ直し。 作中具体的に曲名が幾つも登場します。これらも世界観の提示でしょう。どれも実在の曲ですから、読者は脳内でそのBGMを流すことでリアリティを感じられるかも知れません。著者にとっても音楽は創作する上で大切な着想源なのでしょうか。それとも本作での大切なファクトなのでしょうか。著者の作品は初めてなのでその辺りはわかりません。ちょっと古めの定番、メジャーな曲が多いので、その辺で世界観、空気感を読者にわかりやすく伝えようとしてくれているのかも。もしくはいさなと言うキャラクターが、音楽にそれほど知見がなく、メジャーな曲くらいしか知らない、一般的な人物と言うことを表しているか。 細かいことだけれど、からくり時計、1時間毎に電子オルゴール鳴るの、なかなか忙しないと言うか、多いな、と思ってしまった。生活空間まで届かないなら良いけれど、私の理想は1日2回くらいかな。 そのような作品としてべつに問題は無いのだけれど、私は気になる点が各所にあって気になってしまう。 そしてやっと一章読了しました。 なるほど。各章で主人公が変わるのですね。群像劇的短編集。ううむ。なかなか読み進められない。手強い。 第2章は四十代の女性が主人公。最初二十代のつもりで読んでいましたが。1章と比べると読みやすかったです。主人公死ぬのかと不安になりましたが。昭和の芸能界って実際のところどうだったんでしょうか。百貨店から少し離れたエピソードになったのが読み易さの所以かな。主人公の父親はなかなか好きなキャラクター。 ここまで読んで、どこかで見落としたのか、結子の年齢、容姿のイメージが掴めていません。初登場時勝手に金髪の妖精みたいな北欧人のおば様想定してしまったのですが違いましたね。 第3章。1章にチラッと登場した彼が主人公。その時はよくわからなかった人物像の解説がここで。年齢的にも想い出が古い昭和の香り。救いのある結末でよかったです。切ないながら。一番読み易かったかな。 第4章。文章自体がやはり合わない。タウン誌などに特集されながらもやはり経営難。登場人物が珍しい上に長い苗字で脳内で読むのに手こずった。どうしても人件費が気になる。この仕事だけに一人雇ってるのか、と。都度コンシェルジュが対応くらいでも良いのでは、と。どうでも良いけど、香水の趣味が合わなかった。 ここまで読んで、テーマが一貫しているのはわかるけれど、やはり似たアプローチになっているので、統一感と言えばそうかも知れませんが、飽きてしまうんですよね。綺麗なものが好きなのはわかった。3章から4章で願いのスケール感が落ちたと言うか。それも気になる。 やっと!! 読了しました!! 長かった……!! 私は基本的にファンタジー、ハッピーエンドが好きなので、ところどころ好きな要素はありました。ともかく貸出期間中に読み終えて良かったです。 本人の努力、行動で変えていけるのならば、自力で夢や願いを叶えて行こうってことですな。そしてしんどくなったら夢を見よう、希望を持とう。 辛いことがあると難しいけど。それでもそう言う気持ちを取り戻せば奇跡があるかもよ、と言うことかな。 善い人であれ。

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    投稿日: 2018.11.04