
総合評価
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powered by ブクログ本を読んで感じたことの言語化から逃げたくなくて、こんな風に感想を書くことを始めたのだけれど、この本は言葉に出来ない。 母性が欠如している母親に育てられた少女が、家族欲を満たすために始めた「カゾクヨナニー」。どんな欲望も工夫し、自分で満たしている少女が本物の家族を探す。 村田沙耶香ワールド全開。 とんでもないものを読んでしまった...
7投稿日: 2025.12.08
powered by ブクログ村田沙耶香教があったとして、その経典のよう 旧約聖書のようでもあり、人類補完計画に向かう人々のようでもあり 自分が手に入れようとしていたものが、自分の足元にあって嫌悪し諦めていたものだったと気付いた時の主人公の絶望と、ある意味の解放へ向かう捻れる世界観が凄まじい でもまだマイルド村田沙耶香かな
1投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログ"家族欲"に満たされない主人公が見つけた自己処理方法カゾクヨナニー。このワードが出た時点でとまどう。なんだそれ?村田ワールド全開じゃないか。 家族とは自分とはというテーマが狂気レベル高で描かれている。終盤は頭がついていけたのか怪しくて、上手く言葉に出来ない...。全く予想していなかった扉を開け放って行った。私はそれを呆然としながら見ているしかなかった。 もう解説の「あたまがおかしい 最高ですよ」を借りて私の感想としたいぐらいです。
8投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログ機能不全家族が故のコンプレックスを救ってくれるかな?と期待して読んだんだけど、結局家族に恵まれなかった場合、壊れる未来しかないのかなあと希望が持てなくなる作品で残念だった 私の想像力や理解力がもっとあれば面白かったのかなあ、コンビニ人間の方が好き
1投稿日: 2025.10.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
カーテンにくるまってオナニーする話生命式?の短編のなかで読んだことあるな〜、世界99もだけど短編の内容が長編まで膨らむことが村田さんのなかにあるんだろうか。 社会から家族を作れとか子供を産めとかそういうマジョリティ的な生き方を強いられそうになるとき、それってあなたの家族欲では?と思えるようになると思う。“家族”って何でそんな特別みたいに扱われるんだろう…。もちろん自分の両親や兄弟姉妹のことは大切なんだけど。それを自分から作りたいとはあんまり思ってなくて。「なぜ弟は母に欲望の処理を求めるのだろう」ってあって、愛されたいって欲望は家族欲なのかと腑に落ちて その処理をしたいされたいっていう双方向の矢印が伴わないってなったらただ自己処理すればいいって恵奈の考え方も本当にすごいな…… 「家族」を辞書で引いて「システム」に辿り着くところが好きだった。家族ってそういう社会的な単位なだけで大きな社会のなかの部品でしかないし、社会を回していくためのシステムだな〜って妙に納得してしまった。
0投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログ小学校5年生の頃だったか。「セックス」だったか「オナニー」だったか、その手のことばを大きな声で口走ったのだと思う。担任の先生が僕を捕まえて膝の上に乗せお尻を長い定規で叩いた。僕は○○君が言っていたから、などと弁解した。何か、言ってはいけない言葉を口にしたのだと印象付けられた。いや違う。あとで思い出したが、逆だった。僕はそんな言葉を口にはしていない。◯◯君が僕が言っていたと言ったのだ。だから僕には身に覚えのないことで叩かれたという想いがあった。そんなに嫌いな担任だったわけではないけれど、急に腹が立ってきた。中学校ではサッカー部に入った。1人のチームメイトが「オナ」と呼ばれていた。部活を早い段階で辞めているので姓が何だったかも定かではない。名前からとったのか、何らかの失言があってそう呼ばれていたのかは分からない。本人も嫌がっている様子はなかったのだが、イジメだったのだろうか。僕は加担していたのだろうか。本書は、小学生の少女のころから話が始まる。「オナニー」が何なのかを担任の先生が適当に説明している。それをもとに、少女は自分の部屋のカーテンに「ニナオ」と名前をつけ、家に帰ればそのカーテン相手に「カゾクヨナニー」に没頭する。母親は、子どもたちに対して愛情を示さない。仕方なく家事だけはこなす。父親は家に帰ってこない。家族欲が満たされない。それで「カゾクヨナニー」に走ってしまう。「家族っていったい何なんだ」「家族の皆よ、お前たちはいったい何なんだ」そんな叫びが聞こえてくる。早く家を出たい。恋愛をして結婚をして自分の家族を持ちたい。自分の理想とする家族を持ちたい。自分の理想?理想の家族っていったい何なんだ。村田紗耶香、特に初期の作品だろうか、いくつ読んでも本当に生きづらかったのだろうなあと思えてしまう。すべてが自分の体験というわけでもないだろう。小説なのだから想像で創造しているのだろう。しかし、それでも自分の中の原体験がこれを書かせているのだとしたら、なんとか救い出してあげたいと思えてくる。今回は塾の先生が登場しなかった。僕にとってはそれだけが救いであった。
4投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログまたもや無意識の常識を覆す作品だった。 親は必ず子供を愛せるのか?愛さなければいけないのか? 確かにそうできない人もいるだろう。。 確かにね。。
0投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログよくもここまで人の心理の解像度を上げられるなあと思うばかり。友達のミズキ、アリス、浩平、等々の登場人物がうまく繋がっていくのが面白い。クライマックスがホラー、、
0投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ「コンビニ人間」に続き圧倒された。 家族や恋とはなんなのか考えさせられるし、キラーフレーズの数々に圧倒されてしまう作品。 一度読み始めたら止まらない素晴らしい小説だった。 また村田沙耶香さんの作品を読もうと思う。
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ村田さんの言葉の作り方が好き。そして、よくここまで解像度を上げて物事を見れるなと思う。イカれてるのに、何故ここまで安心感に包まれるんだろうって不思議な読後感。
0投稿日: 2025.09.02
powered by ブクログネグレクトで育つた少女(小学生)が早く大人になって家を出たいと願いながら成長する物語 同じ様な内容は沢山あるが流石! 村田沙耶香さんの作品はハマる。 独特な気持ち悪さ満載だけど 母や主人公や弟の気持ちがわかる気がしたり個性がちゃんと描かれていて 最後は個性がぶっ飛び過ぎてちょっとわからなかったですがこれも作品の個性として大満足。
10投稿日: 2025.08.10
powered by ブクログ『家族ってなんだと思いますか?』 なんとも抽象的な質問からはじまった今回のレビュー。改めてそんなことを言われてもなかなか答えるのは難しいと思います。考えようによっては哲学的とも言えるこの質問ですが、問われた側としては、まずは自らの『家族』のことを思い浮かべると思います。 とは言え、『家族』の形にもさまざまなものがあると思います。何をもって『家族』と捉えるかという問題も出てくると思います。昨今の世の中、犬や猫も『家族』の一員と考える方も多数いらっしゃるでしょう。この問いには答える側の数だけ答えが用意されているようにも思います。 さてここに、『家族』について思いを深めていく一人の少女を主人公とした物語があります。”母性に倦んだ母親のもとで育った少女”を描くこの作品。そんな少女が『カゾクヨナニー』にはまっていく様を描くこの作品。そしてそれは、『あのトビラの向こうで、私たちの新しい未来が待ってる』と突き進む少女が『家族』の在り方を思う物語です。 『ごめんなさいね、ほんとに』と、『変に明るい調子で、早口に母が謝っているの』を聞くのは主人公の在原恵奈(ありはら えな)。『そりゃ、男の子同士ですからね、そういうこともあると思うんですよ。でもね、本当に、うちの子は少しも悪くなかったんですよ?勝手に玩具をとりあげられて、取り返そうとしたら一方的に殴られたんですから…』と『一気にまくしたて』る『母と同い年くらいの大人の女性』に、『うちは乱暴な家なんで…あたしからして、こんな感じなもんで。ごめんなさいね、本当に』と母親が『頭を下げ続け』る中に『さんざん文句を言ったあと、女性は帰ってい』きました。『怒られたら、なんか疲れちゃった。あー、甘いもの食べたい』と、『嫌なことがあると、ますます声が大きくなる』母親は、『大股でダイニングへと入ってい』きます。一方で『怒られも慰められもしないまま放置された啓太』は『立ち尽くしたまま』です。『啓太、入りなよ』と『家の中へと引き入れ』る恵奈は『啓太の膝から』血が出ているのを見つけ『ねえお母さん、啓太怪我してる』と言うも、絆創膏がトイレにあると言われ『なんでそんなところにあるの』と訊くと『トイレの棚の金具が壊れちゃって、ガムテープが見つからなくってさあ、絆創膏で止めたの、ははっ』と言われてしまいます。『弟の肘から血が垂れ』『慌ててティッシュで抑え』る恵奈に『さっきのおばさんの顔見た?目、吊り上げちゃって、可笑しかったあ…』、『なんで皆、自分の子供のこと、そんなに大切なんだろうね。ヒステリー起こしちゃうほどさあ』と言う母親。『あんまり、啓太の前でそういうこと言わないほうがいいよ』と諭す恵奈に『あーあ、またあたし、悪いこと言っちゃったのかなあ?あたしっていっつもそうなんだよね、デリカシーなくってさあ…』と笑う母親。そんな母親に『別にいいよ。あのおばさんみたいに、産んだからなんて理由で、好きになんかなってもらわなくても』と返す恵奈は『私たちだって、たまたまお母さんから出てきただけじゃん。だからって無理にお母さんのこと好きになる必要ないでしょ。お母さんも、私たちがたまたま自分のお腹から出てきたからって、無理することないよ。そんなのって、気持ち悪いもん』と続けます。 場面は変わり、教室の『ベランダのそばに立ち』、『漫画雑誌の付録についてきた』『小さなパスケースを』ポケットから出した恵奈。『自分の初恋をずっと待っていた』という恵奈は、『それが起こったらすぐに相手の写真を手に入れて、こうして持ち歩くと決めてい』ます。そんな時、『恵奈ちゃん、何してるの?』と『仲のいい千絵ちゃんが近寄ってき』ます。『ううん。つまらないなあと思って』と返す恵奈ですが、『先生が入ってき』たので、『それぞれの席に戻』ります。 再度場面は変わり、『家に帰ると』『自分の部屋に入りドアを閉めた』恵奈は、『CDプレイヤーのスイッチを入れ』、『ニオナ、ただいまあ』と言いながら『窓に近づくと鍵をあけて勢いよく開』きます。『部屋にかえるといつも、すぐ窓をあける』恵奈は、『そうするとニオナが生きているみたいに膨らむから』です。『オナニーをしよ、ニオナ』、『ニオナ。ね、ほら、オナニーだよ』と『風に揺れ始めたニオナを見上げて小さく呟』く恵奈。それは、『正確には』『「カゾクヨナニー」と名づけている行為』です。『オナニーのパートナーだからという理由で私がそう呼んでいるカーテンの名前』という『ニオナはまるで私の声に応じるかのように風に膨らみ始め』ます。『立ったままニオナと外の風の間に挟まれ』、『はじめるよ』と、『低く呟く』と、『ただいまあ、ニオナ』と手を伸ばす恵奈は、『そのままニオナに抱きついて、お日さまの匂いがする彼の胸元に顔を埋め』ます。そして、『その匂いを嗅ぎながら、ニオナに顔全体をこすりつけ』る恵奈は、『ニオナ。私、今日体育のとき50メートル走で一番だったんだよ。偉い?』、『ニオナ。ね、あとね、今日やなことがあったの。宿題のプリント、山本さんと熊野さんに写させてって言われて、貸してあげたんどけど…』と、『自分の日常を吐き出しながら、ニオナに体中を撫でられ』ます。『ニオナ。ねえ、ニオナ』と『顔を埋めて呼びかけるたび、自分の名前が呼ばれているような気持ちになる』という恵奈。そんな恵奈が『カゾクヨナニー』に慰められながら日常を生きていく姿が描かれていきます。 “母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか?「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。一見何が描かれているのか全くわからない表紙のイラストに付されたこれまた意味不明な書名が、これから何が起こるかわからないドキドキ感を醸し出してくれます。 さて、そんな物語を読み始めてまず気づくのが内容紹介に”母性に倦んだ母親”と記されている主人公・恵奈の母親である芳子の姿です。 (注) “倦む(うむ)”とは、疲れて飽きることや、意欲を失ってだるくなることを指します 『なんで皆、自分の子供のこと、そんなに大切なんだろうね』。 こんなことを娘に話しかける母親、それが芳子です。実の母親にこんなことを言われると普通には返す言葉が浮かばないと思います。また、恵奈のスニーカーを買いに出かけた先で母親はこんな言葉を発します。 『あんた、あんまり成長しないでよね。いちいち買い換えるの大変なんだからさあ』 こんな言葉を冗談でなく娘に言う母親・芳子は違和感しかない存在です。しかし、この感覚が普通に投げかけられ続けると娘の中にもある種の諦めの感情が湧き上がります。 『普通の母親からは温泉のように「湧いて出てくる」らしい感情が、母には存在していないのだった。母にとっては私たちの世話は仕事だった』。 これこそが内容紹介に記された”母性に倦んだ母親”ということの実態なのだと思います。『母性』に光を当てた小説というと、湊かなえさん「母性」が思い浮かびます。書名からストレートに『母性』を取り上げる同作では、”子どもを産んだ女性が全員、母親になれるわけではありません”という言葉の先に『母性』が欠如した苦しみを抱える女性の姿が描かれています。一方でこの村田沙耶香さんの作品でも、やはり、”母性に倦んだ母親”を描く中で、『母性』もしくはもう少し広く『家族愛』に飢えた主人公・恵奈があるものにそれを求めていく姿がキョーレツに描かれていきます。それこそが、怪しい響きを持ったこんな言葉がつけられた行為です。 ● 『カゾクヨナニー』の方法(笑) ・『淡い水色をした、つるつるとしたナイロン素材の』『カーテン』のことを『ニオナ』と呼ぶ ・『窓をあけ』『生きているみたいに膨らむ』『ニオナ』に抱きつく ・『オナニーをしよ、ニオナ』と呼びかけてはじめる ・『ニオナ。私、今日体育のとき50メートル走で一番だったんだよ。偉い?』とか、『ニオナ。ね、あとね、今日やなことがあったの。宿題のプリント、山本さんと熊野さんに写させてって言われて、貸してあげたんどけど…』とその日にあったことを語りながら『お日さまの匂いがする彼の胸元に顔を埋め』、『その匂いを嗅ぎながら、ニナオに顔全体をこすりつけ』る う〜ん、どうでしょうか?『オナニーをしよ、ニオナ』とはじまる行為は、文字の上からは、オイオイと突っ込みたくもなりますが、その日にあったことをカーテンの『ニオナ』に吐露している恵奈の姿を思うとなんとも言えない気持ちになってもきます。 『しっかりと手を繋いだ私とニナオは、名前を呼び合いながら何度も顔を寄せ合った。胃の少し下あたりで痛んでいた自分の欲望が、和らいできたのがわかる。欲望の「処理」が終わったのだ。私はすっとニナオから離れて、繋いでいた手を離した』。 そんな中に、 『今日はお終いだよ、ニオナ』 『自分の欲望が的確に処理されたのを感じ』『満足げに微笑む』恵奈の姿が描かれていく『カゾクヨナニー』の場面は物語中に幾度も繰り返し描かれていきます。一瞬引いてもしまいそうな行為ですが、その一方で描かれる”母性に倦んだ母親”の有り様が描かれるにつけそこには複雑な思いが読者を襲います。 “家族というものに対する飢餓感みたいなものが幼少期から、今もかな、ちょっと弱まりつつもずっとあります” そんな風におっしゃる村田沙耶香さんは、自らの経験も交えてこの作品誕生までの経緯を語られます。 “ぬいぐるみとか毛布に抱きついて発散することが多くあったのを自覚していました。それに加えて、家族って何なのかな、と思ったのが「タダイマトビラ」を書いたきっかけだった” そうです。『カゾクヨナニー』という一見キョーレツな行為が描かれていくこの作品の根底に流れるのは、『家族愛』に渇望する一人の少女の思いを描く物語なのです。 そんな物語では、主人公の恵奈の家族である母親の芳子、父親の洋一、そして弟の啓太の四人家族という在原家が壊れていく姿が描かれていきます。一方で作品冒頭で小学四年生だった恵奈は、中学生、高校生と大人の階段を上がっていきます。そこに描かれていくのは、『ドア』、『トビラ』といった言葉と共に描かれていく恵奈のその先への思いです。 『子供の頃から、私は、ずっとただ一つのトビラを探していた』。 物語の冒頭で告げられる言葉の中に見る『トビラ』に恵奈はこだわっていきます。 『あのトビラの向こうで、私たちの新しい未来が待ってる』。 大人に近づいていく恵奈の姿を描く中に、内容紹介にも記されている通り、物語は、”高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めた”恵奈の姿を描いていきます。そこに『家族』とはなんなのかを問いかけていく物語。 『「本当の家」なんて、ほんとはどこにもないんじゃないだろうか?家族になるというのは、皆で少しずつ、共有の噓をつくっていうことなんじゃないだろうか。家族という幻想に騙されたふりして、みんなで少しずつ噓をつく。それがドアの中の真実だったんじゃないだろうか』。 物語は後半へと入り激しさを増していきます。ある意味でいつもの通り読者を振り落とそうとするまでに難解な世界へと突き進む、”クレイジー沙耶香”の真骨頂とも言えるキョーレツ至極な展開が読者を襲います。そして、そんな物語が至る結末、そこには、『家族』とはなんなのだろう、という問いかけへの村田沙耶香さんらしい答えを垣間見る物語が描かれていました。 『いびつな家で苦しみながら頑張り続けるということが「家族」ということなのだろうか?』 そんな思いを自らに問いかけ続ける主人公の恵奈。「タダイマトビラ」というこの作品にはそんな恵奈が『家族』のあり方に思いを深めていく物語が描かれていました。『カゾクヨナニー』という発想のキョーレツさに驚くこの作品。物語後半の破壊力抜群な展開に村田沙耶香さんらしさを見るこの作品。 『家族ってなんだと思いますか?』という問いかけに思いを馳せてもしまう、そんな作品でした。
290投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログ入院先の病院で読了。ネグレクトの母親に育てられた、主人公の恵奈が「カゾクヨナニー」と名付けた行為で「家族欲」を解消する小説。 今回も著者の独特な視点が展開され、グロさ満載で終盤は主人公の心が崩壊するが…後味の悪い終わり方が著者の作品らしい。 主人公はいびつな家で苦しみながら「本当の家」に憧れ彷徨い「工夫」を続け「家族システムの失敗者」と分かると、家族システムが生まれる前の世界に帰ろうと言い出す。ガラス瓶に何年も閉じ込められ、死ぬと取り替えられるアリス(蟻)を破壊する。そして、これが自分たちがずっと迷い込んでいた不思議の国であり、正常な世界に帰ろうと主張する。 著者をインタビューで拝見した限り、ふわふわとした雰囲気の品の良いお嬢さんだった。お父さまは裁判官だったので、固いご実家だったのかもしれない。小説の中のネグレクトの母親もインナーチャイルドとの付き合い方に苦しんでいた。勝手な想像だが、著者自身も何か不安定な環境で育って来たのではないかと思ってしまうのは…私だけだろうか。
10投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログ私たちはみんなシルバニアファミリーの世界でごっこ遊びをしているという感覚があったけど、それが見事に表現されていた 大体の人には生まれた時から初期搭載されてる無料パックとして家族システムがあって、そのパッケージが導入されていると、いわゆる家族が行う営みを行うようになる。シルバニアのお家で複数の生物が集まって家族としての振る舞いのパターンをなぞるような初期搭載がある。さらに家族パッケージを更新するためには恋愛という麻酔をかけてオペをする必要がある、と。麻酔という表現はかなり言い得ている。 カゾクヨクという概念は今まで考えたことがなかったが、それは生物学的にもともと備わっているものなのか、それとも家族という概念パッケージを購入した際に否応なしに付随してついてくる付録みたいなものなのか。消滅世界では、恋愛対象が市場で売り出されているから恋や性欲が生み出されている気がする、というセリフがあった気が。それと同様のことがカゾクヨクにも言えないか。カゾクという概念に自分を当てはめるなかで発生させられた欲が、パターン実行により解消されていく、それがカゾクするという営み。どうしても付きまとう欲を自慰行為で解消しているに過ぎないのに、家族というものが本来性のある自然の形だと思っているのが実に滑稽で、みんな人形みたいで怖い。 村田沙耶香さんの本は、シルバニアファミリーに閉じ込められて自分が人形になりつつあることにすら気づかず過ごしている人たちを、その世界から解放し野に放とうとしていて、本当に読んでいて気持ちがいい 私の悩み、違和感を理解して欲しい、と思える相手がいたら、この本を差し出す。ドンピシャ ただ村田さんの本の登場人物のように、構造や枠組みを取っ払って野生に帰ることなんてできないので、狂気と知りながら宗教的な箱庭で周りと同じように狂って相対的に正常になることで適応を図るにとどまる。 だがこの違和感を傾聴してもらえている感覚が癒し
7投稿日: 2025.06.14
powered by ブクログ村田さんはとにかく、私たちがぼやーっと考えていたようなことを言語化して物語にするのが得意。だからこそ読み進めれば進めるほど、その世界観に飛び込みやすい。この作品も他作品同様に、気持ち悪さとリアルさが合い混ざって構成されていて、絶妙。私は好き!
0投稿日: 2025.04.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
思春期特有の悩みを抱える少女の成長を描く小説……ではない!ラスト50ページで奇妙な世界に放り込まれる快感は、読んでいて手が震えるほどでした。やっぱり村田さんのこういうカタルシスの解放が大好き!
1投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログ村田沙耶香さんの作品はいくつか読んだことがあるけど、その中でもかなり好きかも!エンディングが個人的にとても好きです♩
0投稿日: 2025.03.03
powered by ブクログ衝撃。全く想像もつかない結末。斜め上を行きすぎてページをめくる手が止まらなかった。 ラストはどう受け止めたらいいのかわからないけどこの混乱が癖になりそう。 村田沙耶香さんの本は初めて読みましたが、他の本も読みたいと思います。
1投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ今まで読んだ本の中で一番怖かった。背筋がずっとぶるってる。先に読んだ消滅世界と似た展開ではあるんだけど、あっちは感情移入してた主人公に途中から置いていかれてしまったのが、こっちではラストまで着いていってしまった感じ。一緒に狂いそうだった、そういう怖さ。
2投稿日: 2025.01.17
powered by ブクログいわゆる愛着障害の女の子の物語、になるのかな。ちょうど母性本能について大学で勉強したところだったので、個人的にとってもタイムリーな内容だった。「本能」の抽象性について思わず考え込んでしまった。愛着障害の原因は養育者との適切な愛着関係が形成できなかったこととされているけど、ほかの人間関係ではうまくいかないことってままあるのに養育者-子ども間の関係はうまく形成される前提なのもまたふしぎ。ふむふむと考えながら読み進めていったら最後に待ち受けていた壮大な村田ワールドに飲み込まれてびっくりしました。
1投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ当たり前すぎて認知もしてないようなことにスポットライトを当てて、狂気的なまでに分解してしまう村田さん。あまりにも気持ち悪くて、でもそれがたまらなく快感で、社会のなかでうまくやろうとしてる自分がいつも馬鹿馬鹿しくなる。私の毎日に必要不可欠な作家さん。
2投稿日: 2024.12.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最初から最後までが気持ち悪かった。 自分を慰める行為と家族への欲を合わせてカゾクヨナニーといって、主人公の女の子がカーテンを家族にみたてて自己満足してるところはいいとしても、語感が気持ち悪かった。 後半、ラストにかけていきなり主人公が家族というものに対して出した結論が突飛すぎて、最後すべてがないまぜになって無茶苦茶な終わり方をしていて、読者がおきざりにされたような苦い読後感が残る。 今回この作者の本を読むのが初めてだったのだけど、いつもこんな雰囲気なのだろうか・・。結局何を書きたかったのか、この作品こそ作者の自己満足に終始するのか。
1投稿日: 2024.12.05
powered by ブクログ家族に甘えたい頼りたいみたいな欲求?をカゾクヨナニーと称して行う主人公絵奈。彼女は家族の絆が薄いためそうして欲求を満たしていたが、友達や恋人との関わりを通して家族のあり方について考えるようになる。 最後は只の生命体になったみたいだけどよく分からない 大学で家族心理学の授業を受けたことがあります。教授曰く「家族とは今や意識的に維持しないと成り立たない」らしいのです。かつては家業や地域の祭事を行うために自然と家族は人間社会の最小単位として機能していたそうです。しかし現代ではそういった行事が必要ないですから、家族は家族らしい関わりを意識的にすることで維持するものらしいです。 じゃあもう家族なんて要らねーじゃん!って言いたいところですが、家族のあたたかさや安心感も捨てがたいという葛藤を描いた作品だと思います。
1投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログ村田先生のエッセイが楽しくて、次に初めて読んだ小説でしたが、これはとんでもないかんじ。読んで良かったんだろうかと読了後に悶々としてしまいました。小説内の色の表現が指す概念が気になって2回目も読みましたが、少し分かりかけたようで分かりません。 読むほどに禁断の世の真実を知ってしまったような漠然とした不安感と、他の人に教えたいような、でも教えちゃダメなような感じもしてきます。いつかこれが完全に理解できてしまったら...... …..........永遠にタダイマしてしまうかもしれません
2投稿日: 2024.12.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公が人間は入れ替わりでその存在を繋いでいく生命体にすぎないと気づいたのは理解ができるが、それを他者(家族)に強要したがる理由がわからなかった。ただ家族に対してカゾクヨナニーを各々楽しんでるんだなーと嘲っとくだけでよかったのでは?本書を読む限り主人公は他者を説得するより自己解決で満足できる性格に感じた。 あと瑞稀の存在がわからない。ただ渚さんに会わせるため?独り立ちに強い意志を持っている性格がどう主人公に影響したのかがも謎。 ラストの壮大な映画を観ているような気持ちにさせてくれる描写が好きです。
0投稿日: 2024.11.21
powered by ブクログいやもうほんとに、村田沙耶香さんの頭の中ってどうなってるんですかね…。普段何考えて生きてたらこんな話が思いつくのか、不思議だし不気味すぎる。私がこれまでに読んだ村田さんの作品の中では今のところダントツぶっ飛んでる話だった。「タダイマトビラ」ってタイトルから、ラストこんなふうに終わるなんて思いつかない。自分の価値観が揺らぐような名作本は数あれど、価値観云々以前に、そもそも自分の人間たる所以が揺らぐというか…とにかくめちゃくちゃなモンスター作品です。今夜は頭が混乱してうまく眠れなさそう…。
6投稿日: 2024.09.12
powered by ブクログ他の村田さんの作品が好きだったので、本作も図書館で借りて読了。 お母さんが変わり者。好きとも嫌いとも違う、不快なのは間違いないが、極悪人というわけでもなく、上手く"お母さん"をすることができない、そんな何とも言い難い登場人物の表現がすごいなぁと思った。 前半は、普通じゃない家庭で育った恵奈が、「カゾクヨナニー」をして家族欲を満たしながら生活をし、帰るための「自分のドア」を探していくー そんなお話だと思っていたが、後半はもう、村田ワールド全開過ぎて理解が追いつかなかった……。 きっと再読しても、理解は難しいんだろうなぁ。 普通とは?家族とは?と考えるきっかけになる作品だと思う。
11投稿日: 2024.08.14
powered by ブクログすげ ラストはよく分かんなかったけど、よく考えたらずっとよくわかんなかったのかも 家族に正解はないと思うので、何が正しくてどれが間違ってるとか考えること自体疲れちゃうね 理想の押し付けしてるだけなのかも あと私は自分の脳みそ騙せない、感情型だからさ、頭で解っても心が解らないとダメなんだよね
2投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログ一気読みした。途中まではついていけてたけど、最後はもうよく分かんなくなっちゃった。地球星人と似ているところがあったけど、地球星人の方が分かりやすく面白かった。 村田沙耶香さんの作品はやばいってことがわかった。
0投稿日: 2024.07.28
powered by ブクログ村田沙耶香ワールドというものがこれか、という感じ。 日常に支障をきたす。 母性も父性も不在の家庭で育つ主人公が、両親に育てられることが当たり前のしくみの中で、家族ってなに?と考え、結局、言語や文化を習得する前の動物に戻ろうっていう、原点回帰みたいな物語。 一人称に「お父さん」「お母さん」「お姉ちゃん」などをもつ日本人は、とくに家族制度へのこだわりが強い。 狭い文化圏の殻の中で思考する癖を打ち破って、ひらかれた世界を見せてくれる、そんな物語。 ただ、地球星人と似通った物語構造のような気がして、今ひとつ物足りなかったなという感じ。
0投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
好きなれないけど、黙々と読んでしまった。 恵奈が何を得たかったのかよく分からなかった。せっかく家族になれそうな人と一時的にでも一緒に暮らしてたのに、恋人が自分でカゾクヨナニーしてると気づいたときから、壊れてしまった恵奈の狂い加減が理解できなかった。なぜ恋人とカゾクヨナニーを切り離すのか、よく分からなかった。 最後は人間になる前の生命体に帰るとかいう話になってますます分からなかった。 家族とはなんなのか考えるきっかけを与えてもらった。
1投稿日: 2024.07.11
powered by ブクログ社会倫理の小説 わたしの大好きなジャンル 村田さんの世界観にハマっていて読む 短編ぽくて読みやすいかなと思ったけど、短編…ではない?でも、面白くてすぐ読んじゃった 渋谷行きの電車の中…帰りは音楽を聴きながら そうでもないと、村田世界に持ってかれる! そういうわけじゃないけど、集中できる音楽と共に小説読むのは、とても良い 村田さんの小説に出てくる主人公は、 何か社会に違和感を持っていて、終盤爆発して、すげえやばくなる笑 それが病みつきになって、また別作品を読みたくなる 次は何を読みましょう
0投稿日: 2024.06.22
powered by ブクログカゾクヨナニーで家族欲を満たす主人公の恵奈。恵奈の心理描写は読んでいて自分の持っていた家族という関係に対する違和感を肯定されたような気持ちになった。家族のことをシステムと表現するのはやや冷たさがあるけれども、家族とはいえただの人間。家庭の大変さに流されないように、家族という人間関係を上手く築けるかどうか家庭によって様々だと思う。最近は世間からの家族とはこうあるべきというイメージが強すぎるのだなと感じる。 この小説は万人受けはしないだろう。それでも、この小説を読めて良かった。
0投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ村田沙耶香ワールド全開の作品だった。後味が少し悪く感じた。母性の欠如した家庭で育った恵奈がニナオと呼ばれるもので「カゾクヨナニー」なるものをする様子はなんとも奇妙だった。
0投稿日: 2024.05.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中毒なのか、、、? 村田さんの本を見つけると手にとって「しまう」。 また今回も、とんでもない小説なんだろうな、と思いながら読む。 当たってた。 とんでもなかったし、読後感がとても良くない。(褒めてます) いつもだいたい悲惨なことになるし、怖いし気持ち悪いしキツいんだけど、何で読みたいと思って「しまう」んだろう。 村田さんの小説に流れる、現世を生きている居心地の悪さだとか、この世の色々なものを気持ち悪いと思う感覚に、共感できるところがあるからなんだと思う。 気持ち悪いけど、わかる。わかるから怖い。
1投稿日: 2024.05.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
かわいいかわいい人類。 とあるツイートのこの言葉を思い出した。主人公の私が最終的にホモ・サピエンスを「愛おしい」「かわいい」と捉える心理がとても興味深い。「終わりをもっとかわいく捉えたい」。女の子にとって「かわいい」とは何なのだろう。そのヒントのようなものが、この小説にはあった気がする。 物語が進むにつれて「壊れて」いっているのは明白で、それにしたって最終的には言葉が鳴き声みたいに細切れになっていくのはとても真理な気がして震えた。この圧倒的な飛躍。どこか早見純っぽくもあって、不思議と読後感は悪くない。
0投稿日: 2023.12.28
powered by ブクログ文庫本解説の樋口毅宏さんが、感想を代弁してくれている為引用させてもらう。 村田沙耶香さんの小説は、 「あたまがおかしい。最高。」これにつきる。 常識、意識をぶち壊し全く違うものを見せてくれる。 ラストは気分が悪くなるような描写、それでも光がさしているような終わり方。 家族や常識とはナニだろうか。
1投稿日: 2023.11.23
powered by ブクログありがちなネグレクトの話かなと思わせてからのラストシーンは衝撃的。ある種の救いなのかも。 ラストシーンで執拗なほど「かわいい」「愛しい」との言葉か使われているのが印象的。これらの感情はある意味で自身とは距離を置いた言葉でもあるんだなと思わされた。
3投稿日: 2023.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
家族愛に嫌悪感を抱く一方で家族愛に飢えてる、なんかそういう簡単に分類できないことや矛盾てあるよなあ ニナオとのカゾクヨナニーの時間はずっともう自分の一部で、自分の中だけの自分にだけ都合のよい理想のかたちだから絶対的に特別なもので 家族欲を欲したときにしてたカゾクヨナニーを、恋人が自分に!ってときのあの領域侵食された汚されたような侮辱感、なんかすごいわかる気がした 特に母へのモノ観察するような言い回し、この感じ安定してすき メモ 「それは本当に食べたくて食べているのではなくて、これしきのトラブルをまったく意に介せず呑気に大学芋を食べるサバサバとした自分でいたいのだった」 「唇を舐めるとまるで、弟が吸いたがっている甘い蜜のような味が舌に絡みついてきて、私は顔をしかめた」 「ワカメの量を間違えて具だらけになった吐瀉物のような味噌汁を、私は微笑んで受け取った」 ーーー 解説の村田沙耶香作品への感想、ほんとそれですよね
0投稿日: 2023.10.05
powered by ブクログ何が…何が起きているんだ…!!!!!!????? 家族なんてくだらないと村田沙耶香は現代人に叩きつけてくる…
0投稿日: 2023.09.30
powered by ブクログカゾクヨナニーのワードセンス。 家族は精神的構築のシステム、というような表現の仕方が、一理あるなと感じた。 クライマックスは、村田沙耶香作品の中でも、群を抜いて具合が悪くなった。(いい意味で) 恵奈のワンピースでカゾクヨナニーをする浩平のシーンが秀逸だった。
5投稿日: 2023.08.23
powered by ブクログ家族とはなに?子供愛の無い歪んだ母、父も帰ってこない。そんな中に育った主人公。夏休みの間彼氏の家に泊まり込んでもなんとも思わないヤバい母。この世界間はパラレルワールドのようだ。
0投稿日: 2023.08.14
powered by ブクログ2019年の1月1日に読んだ本。 当時のパートナーから借りた本。 この年の元旦は『シュガー・ラッシュ:オンライン』を観に行って、行き帰りの電車と幕間の時間にこの作品を読んで、そのまま一気に最後まで読んだ。 元旦は毎年映画を観に行く習慣があるけど、この年を機に本も読もうと決めて、今もどちらも続けてる。
0投稿日: 2023.04.27
powered by ブクログ私にとっては初めての村田作品 両親による兄との待遇差から生まれる家族欲を、年上の男性に甘えることで埋めていた時期がある。 自分で処理出来るってスゴイ… アリスは鳥肌たった。 終わり方は自分にはよく理解できなかった。 他の方たちの感想を読みたいです。
0投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログ『授乳』以来の村田沙耶香san。 もう苦しくないよ。あのトビラの向こうで、私たちの新しい未来が待っている。子供を愛せない母と、理想の家族を求める少女―。 ネグレクトの母親に対し「笑うと母親の顔には、真っ暗な穴があく。」や、父と喧嘩していた母が言った言葉「産んだからって、どうして必ず愛さないといけないの?」を聞いた時に、「その疑問は母からぽろりと転げ落ちて、廊下を転がってきた。私は、母の疑問が揺らした世界を見つめるように、廊下の暗がりを見つめていた。」という感覚。少女恵奈の冷淡さと孤独さ。「カゾクヨナニー」等、とにかく自分で工夫をして、脳を騙して処理をする。ニナオ、弟啓太、親友の千絵&瑞希、近所のお姉さんの渚など。このまま自分探しの物語が進むのかなぁと思っていたら・・・ 恋人の浩平を突き飛ばしてからは怒涛の展開。渚の家でアリスの取替え、トビラから聞こえた声「おかえり、恵奈」。家に帰り、母と弟をフルネームで呼んでからは、もう一枚世界が捲れました。生命体、ホモ・サピエンス・サピエンス、オスとメス、人間の最後の言語。 恐ろしいエンディングで頭がクラクラしていますが、これが村田sanワールドですね!大好きです。
0投稿日: 2023.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
確認したところ6作目の村田作品。 2年前に「殺人出産」を読んで以来ついつい手に取ってしまいすっかりハマってしまっている。 今作も性、成長、繁殖、家族がどきつく時にはグロテスクに描かれている。家族って何?母親って何?主人公の母に対する描写が容赦なくて辛くなってしまった。 そしてラストの怒涛の… あぁ怖い 別の世界の奇妙さがさらに怖い。
0投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ母親がいやいや子育てしてる家庭の 女の子が主人公 カゾクヨナニーとは・・・ 著者の独特な世界を堪能できる作品 まぁでもこういう著者の作品は好みが 分かれるだろうなとは思いますが 著者の世界は好きです
8投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
家族について考えさせられる作品。 主人公が家族に執着しない様にしている反面、実際は家族という存在に囚われている所が切なく、人間らしさを感じた。
2投稿日: 2023.02.03
powered by ブクログ小説でこのテーマを扱うのは矛盾していると思うし、よく書く気になれたな、と思う。主人公の行動原理にも致命的な矛盾があったため、オチは結構早く読めてしまった。 主人公は自分では直接そうとは語らないが「自分が規定される」ことがとてつもなく嫌なんじゃないか、と思う。人間はただこの世界に生まれてきて、生まれてきたという性質以外何一つ、本来ならば持ち合わせていない。それなのに、年齢や性別、趣向などなどを「言葉」によって強制されている。
2投稿日: 2022.12.20
powered by ブクログ母性の欠如した母親のいる家庭。幼児の頃から、家族欲が満たされぬ少女。恋人に、満たされぬ家族欲を求めるが、そこには、家族という形式を模倣するに過ぎない失望をみる。 ついに、家族欲から、解放された少女は、カゾクというシステム、概念さえ存在しない世界の扉を見いだす。 その扉の向こうには至福が待つ。家族が待つ家庭というシステム存在前の、最終的な帰着“おかえり”に満ちる。 突き抜け方に、気合と気概を感じる。
47投稿日: 2022.10.30
powered by ブクログ村田沙耶香ワールド全開。 リアルすぎて気持ち悪くなるのと、単純にうわ…となって気持ち悪くなる。だけど読む手を止められない。 村田さんはなぜこんなにも読者の古傷を抉るようなストーリーを思いつき、文章に書き起こせるのだろうか?
2投稿日: 2022.09.22
powered by ブクログ欲望を自分で処理すること全てをオナニーだと思い込む少女。 ショクヨナニー、セイヨナニー、 そしてカゾクヨナニーと自身の欲望を自分自身で工夫して処理するようになった。 カゾクヨナニーって言葉を作ったのすごすぎる。。 怖いけど。。 この少女も世間一般的な家族になりたいと本当は思っていたはず。 それが叶わないことが苦しくて、カゾクヨナニーを始めて脳を騙し続けていたために、その形に脳が洗脳されてしまったのだろう。
2投稿日: 2022.06.13
powered by ブクログ村田さんの本はこれで16冊目。 満遍なく薄く狂気があり話が進むにつれてどんどん濃くなり終盤の方で爆発する。 これこれきた〜〜と思う。もはや安心感がある。求めていたのはこれです。と思ってしまう。 ネグレクトな親のもとで育ってる主人公の話。家族とは何かが描かれてる。親も主人公も狂ってるんだけどだんだん「そんなの変だよ」と言ってくる人たちに対して「いや、そんなこと言ってくる過干渉で常に平均を求めるあなたの方が変です」って思わせてくれる。毎回そうです。 地球星人の時も思ったけど主人公の考え方合理的で強くて好きだなと思う。他の人と違うことを悩んで心壊して終わらず自分の価値観を作り出して突き抜けられるの清々しい。 常に大多数が正しいと言われがちな世の中で救われると感じた。
2投稿日: 2022.05.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
この人の作品はもう5冊目?くらいだけど、やっぱり独特の流れが好きすぎる 後半で浩平を自分と照らし合わせた展開がかなり面白かった 最後は地球星人とほぼ一緒の流れだった気がする、本当なのかSFなのかみたいな展開になるのが良かった
1投稿日: 2022.04.24
powered by ブクログ村田沙耶香さんの本を手に取る瞬間のドキドキは肝試しと同じ感覚。 「命の粒」「赤い液体の透けた触手」という表現が特にお気に入り
1投稿日: 2022.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少し判りにくいところもあって勧めやすさを考えると星を一つ削った 村田沙耶香作品を読むのはこれが二冊目 家族というシステム 「家族欲」、カゾクヨナニーというパワーワード ネタバレというほどのものではないし、確信をつくものでもないけど、配慮としてネタバレとする。 カーテンのニナオに包まれて、自分の欲求を自分で処理するカゾクヨナニーで、解消される家族欲。 脳を騙す事で始末される欲望は、どこに消えていくのか。渚さんの蟻のアリス、ままごとみたいな恋愛、リアリストな弟。 >私たちは共有の夢のシーンを、少しだけ嘘をつきながら一緒に演じるのだ。目の前の「幸福な家」という台本に、私たちは逆らわない。相手に見切りをつける瞬間まで、その台本を読み上げ続ける。 まさに、全ての人間が目の前にある台本を読み上げているのだろう。嘘を交え、時には自分を騙し、脳を騙し、でも時々その舞台の白々しさに、自分の役を忘れてしまう。相手役の、恍惚の表情に察してしまう。 カゾクヨナニーされていると理解した主人公の私(恵奈)は、その瞬間に素面になってしまう。そして、理解する。少なくともその不備のあるシステムの前の世界に帰る事を残念ながら、見つけてしまう。静かに、正しく壊れていく。 そして、意味深な言葉で再構築された世界は、外側から見れば何のことはない。一つの家庭で、一人の若い女が壊れ、そして、家族の全て壊し切ってしまう話だ。 結末は読み方次第で幾つか考えられるけれど、最も残酷で悲しい、しかし、それしか救済の道がなかったメリバとしたい。明確な表現がないだけに、命の取り替えがどうなされるのか、どのトビラを明け、どのトビラから出て「外へ帰って」いったのかはハッキリしないが、おそらく「外へ帰って」行ったのだろう。 同じ結論を想像した人がいたら、ゆっくりと握手をしたい。
1投稿日: 2022.03.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
読書備忘録634号。 ★★★★。 村田さんの初期作品。 作者の見ている世界は凡人とは異なる。ただ、ギンイロノウタより遥かに分かりやすかった。理解できた。笑 "ただいま"という言葉。普通に考えたら家に帰った時に使う言葉。じゃあ、家とは?家族とは? ネグレクトの家庭に育った主人公が"ただいま"と言いたかった世界とは? 主人公、在原恵奈。小学校から高校生までの成長過程で"ただいま"を見つける物語です。ちょっと悲しい。 恵奈の家庭は両親と弟の4人家族。夫婦関係は既に崩壊しており、母の芳子は食事を作ることだけを淡々とこなす。 そんな家庭に育った恵奈は、自分の部屋のカーテンにニナオという名前を付けて、カーテンになでなでしてもらうカゾクヨナニーという行為に耽る。ニナオはオナニーの逆読み。小学生ながら欲望を処理するのがオナニーと理解した恵奈は、理想の家族という欲望を処理するために、カゾク、ヨクボー、オナニーとくっつけて、カゾクヨナニーと。笑 ちなみに性欲を処理するオナニーはセイヨナニーと。 恵奈は本当の家族を作るために連れ合いを探す。女子高生になった恵奈は、学校の夏休みの間、大学生の浩平と同棲するようになる。最初は理想の家庭に向けてまっしぐらに思えた生活も、徐々に違和感を感じ始める。 ふと気づく。浩平も理想を追い求めて、私を使ってカゾクヨナニーをしていると!村田さん!ぶっとびです! そしてたどり着いたゴールは、家族はオナニーであり、真実ではない。家族から解放された世界、すなわち家族制度が出来上がる前の原始の世界が、"ただいま"の世界であると。 ラスト在原家の玄関のチャイムがなり、家族はただいまの世界に帰っていく・・・。 え???玄関の外はどこ?お父ちゃんと弟くんはどうしちゃったの? 謎のラストでした。笑 やはり村田さん。村田さんがどういう成長過程を経験してきたらこうなるのか、本人にしかわかりません。 クレイジー沙耶香ここにありです。 さて私も、なんたらヨナニーに勤しみます!
4投稿日: 2022.01.16
powered by ブクログやっぱり村田沙耶香さんのワードセンスが、ステキすぎる!! 家族欲を満たすための行為のことを 「カゾクヨナニー」だなんて、スゴいわー!! 主人公の恵奈は、「本当の家族」のために、 早く大人になりたいと小学生の頃から思っていた。 ほぼほぼネグレクトな親に育てられても、 よく料理などの最低限のことをしてくれてるなー って思ってるぐらいで、自分で 「本当の家族」を得ようとしていた。 途中までは、まぁ分かる内容だった。 でも、最後は村田沙耶香ワールド全開で ぶっ飛びすぎてて、わけわからなかったー笑 でも、そんな村田沙耶香さんの作品が好きな私ー笑 楽しませていただきましたー!!
2投稿日: 2021.12.11
powered by ブクログだんだん、壊れてく世界観好きです! 最後はどういう状況だったのでしょうか… 実際、こういう家族って数えきれないほどいますよね。 扱いづらいテーマを元に展開させていく村田沙耶香さんの作品好きです(^-^)
1投稿日: 2021.10.01
powered by ブクログ想像以上にぶっ飛んでいました。今まで読んだ村田さんの作品の中で一番ぶっ飛んでいた気がします。 そして、とにかく終始圧倒されっぱなしでした。 村田さんの作品ばかり読んでると、他の作家さんの作品を読んだ時に刺激が足りなくなりそうな気がして怖いです。
1投稿日: 2021.09.16
powered by ブクログ地球星人好きにはどストライクな作品◎ 血が繋がっているという理由だけで家族という括りに入れられて毎日一緒に過ごす、という日々に私も気持ち悪さを感じたりふと冷めたりする瞬間が幼い頃からあったからものすごく共感できた。"家族というのは、脳でできた精神的建築物なのだな、"という表現は思わずアッと言わされた。 村田沙耶香の常識を根底から覆してくるところが表現も含めたまらなく好き。
1投稿日: 2021.09.01
powered by ブクログ村田さん独特のフレーズがまた出てきた。いびつな家族環境。ふくらむ家族への憧れ。同調はできなかったがこんな考え方を思いつく村田さんの発想力に感心した。いつも不思議な話が多い。
1投稿日: 2021.07.20
powered by ブクログカゾクヨナニーって言う発想もだいぶぶっ飛んではいると思うけど結末がまたぶっ飛んでた。 普通に愛情のない毒親に育てられた話かと思ってたらこのラストはなに?って言う感じの村田沙耶香ワールドに引き込まれた。
2投稿日: 2021.06.25
powered by ブクログ母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか?「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語。
2投稿日: 2021.01.27
powered by ブクログ読んでいると 心の中に残りわずかな愛も希望も 一滴残らずに 本に吸いとらわれてしまったような気がした… 危険だが辞められない村田さんの小説…
2投稿日: 2020.11.11
powered by ブクログ多かれ少なかれ家族というものには偽りがあって それはどこか自己欺瞞のようなものなのかもしれなくて 理想を意図的に創り上げているのかもしれないなとおもった 人間を名乗って人間として生きる人間たちを客観的に見るとなんだか滑稽だなあとおもってしまう 人間は愚かだ ホモ・サピエンスの時代の方が まだ幸せだったのかもしれない 家族というシステムにぜんぜん魅力を感じないし 家族なんて作りたくないと思うような作品だけれど それはこの小説を読んだからではなくて 深層心理でそうおもっていたのが浮き彫りになっただけなのかもしれないとおもった 完璧なんて存在しないのだ
1投稿日: 2020.09.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ギンイロノウタの時にも思ったが 無機物を使った自慰行為の描写がよく出てくる。 家族というものに絶対的な憧れを抱いていたが 浩平のカゾクヨナニーに気がついて 両親と弟がカゾクヨナニーをはじめて 真の姿に気がついてしまうというところが村田沙耶香なんだろうなと思った。 主人公は精神のステージが上がったのだ それに喜んでいるのがとても良かった
1投稿日: 2020.09.22
powered by ブクログ28)「毎日ご飯作って洗濯も掃除もしてる」「そういう事じゃないだろ。お前がそんなだから俺だって家に早く帰る気をなくすんだ」「主婦としての仕事はちゃんとこなしてるのに何でだめなのか全然わかんない」「こなすってなんだ仕事を辞めさせた俺へのあてつけか?子育ては仕事じゃないだろ」父は平日の夜やたまに家にいる時もほとんど書斎にこもっているのだった。鍵の閉める音がすると私は音を立てないように階段を上がった。私は父の乱暴な手の衝動でまだ微かに振動しているようなドアを横目で睨みながら通り過ぎた。父の言う事はすごく薄気味悪い。 31)私はうんうんと適当に頷きながら家での常識は外では通用しない事を知った。異端児にならないように気をつけながら私は話を合わせて笑った。外で家族について話す時は用心深く言葉を選ぶようになった。
1投稿日: 2020.08.02
powered by ブクログ2011年の著書 村田さんの最近の作品を読んでいたが過去に何を書いていたのか知りたく少し古めのものを手にとってみた。 ……揺るがない! 親に愛されない子供の家族欲と世の中の家族観を描いていると思って読みすすめたのだがラストは揺るがない村田ワールド。 この世界の矛盾から逃げるのには細胞に戻ったり原始にもどったり宇宙人になったりするしかないのか? 途方もない絶望を想像を絶する表現でみせてくる。ついて行くのが精一杯な村田ワールドだけど他の作品も読みたくなるのは不思議。
8投稿日: 2020.07.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今作で村田作品を読むのは二作目。初めては『生命式』。そこで村田沙耶香の文才、発想力、生々しいけれど共感でき、かつ純粋さを感じる世界観に圧倒された。そんなときに本屋でふと出会った今作。読んでみた。 凄い。ひたすらに凄い。今まで私は文章を書くことが好きだった。自分で少し小説を書くことだってあった。しかしこの作品を読むと、彼女の圧倒的文才にひれ伏すこととなる。つまり自らの文章をとても稚拙に感じ、同時に彼女が作品を紡ぎ続けるのであれば私は文章を書くことをやめようかとも思えた。ここまで一つのテーマを深掘りして考えること、そして生々しいことも綺麗に表現できることを可能とする人間はいるのだろうか、いや、いない。 内容に入っていく。他のレビューに書かれていた「カゾクヨナニー」には驚かなかったしむしろ共感した。私も家族仲がとても悪く、両親はどこか他人行儀だった。どちらかというと今作に出てくる弟のようなタイプだ。しかし恵奈はそうではない。家族欲を満たすオナニーをする。自らでその寂しさを紛らわすのだ。そういう冷静な面を持ちつつ、パスケースに好きな男の子の顔を入れているのはとてもかわいらしいと思えた。途中でパスケースの色が白になるのは伏線なのかなと今気づいた。 そして時が経ち、浩平のカゾクヨナニーによって目を覚ます。家族のあり方について、原詩古代の世界まで遡り、最初は一つだったと気づく。ずっと現実的な世界を走ってきて、ここでパラレルワールドのような世界に行く。それについていけなくなったが、結局それはエヴァンゲリオンで読んだ「人類補完計画」のように感じた。皆が一つなら傷つくことはないという考え。そうしたら、自分にそれを気づかせてくれた相手、浩平や渚はどうなるのか、などと考えを及ばせるきっかけとなった。 私は最初、恵奈は瑞希と恋愛関係に及ぶのかなと思った。私が一番気になったのは彼女である。自分に好意を寄せる異性を突っぱね一人でいいと強がりつつ、オープンスペースへ恵奈を誘ったり、渚と恵奈が仲良さそうにしていると嫉妬のような一面を見せる。強がりつつも他者に依存しがちなところに私自身を重ねて読んでいた。終盤恵奈が覚醒してから一気に登場しなくなった。恵奈にとっては不要な人間だったのかもしれない。しかし恵奈に大人な一面を見せ、恵奈に長年寄り添っていたのは紛れもなく瑞希である。疑問だ。 また、前回読んだ『生命式』でも感じたが、この作者は何でこんなにも性的描写、オナニーなどを、純粋無垢なものだと扱い、表現できるのか。彼女の作品に登場する性的描写は、全くいやらしくないのだ。むしろとても美しく、透き通っている。その書き方が素敵だと、今回も思うことができた。 村田沙耶香は、天才だ。彼女をこの世に産み落としてくれた親や、彼女を作家にさせた環境、全てに感謝したい。ひたすらに、凄い。
6投稿日: 2020.07.02
powered by ブクログ家族に満たされない恵奈は、自分の脳を騙すことで家族から愛情を受けていると自分に言い聞かせる。その行為がカゾクヨナニー。とびらの向こうはこれだったのか。 義務でこなしてきた母親は、なぜ子供を愛しているフリだけでもしなかったのか。たとえ嘘はつきたくないとしても。親子だから嘘はつけなかったということか。 子供を愛したかった親と、 愛されたかった子、 親子関係のやりかたがわからない親子、きっとどこにでもいると思う。
5投稿日: 2020.06.18
powered by ブクログ冷徹に描かれるおぞましい家族像。これは私がよく知っている風景。子供の頃から感じてきた違和感が、克明に言語化されていて、痛快だった。 私はこの家族の中では弟・啓太に近い生き方をしていたんだと気づき、滑稽で、哀しくて笑えた。 さて、私はどこへ帰ろう。
3投稿日: 2020.03.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
母親からネグレクト(家にはいるが興味関心は持たれず、料理義務的に出してくれる)され育った恵奈という少女。自らの家族欲を解消する行為に「カゾクヨナニー」という名前をつけ、心を落ち着かせる。 一方で、過保護な親をもつ友人も家族に対して不満をもち、早く独り立ちしたいと願う。 10代の頃の長すぎる毎日と、親の管理下生活の苦痛を思い起こされた。 後半、恵奈が追い求めていた「家族」が手に入らんとするも彼氏が自分でカゾクヨナニーしていると感じて発狂し、家族というシステムができる前の世界を目指す。 私見。生物の世界での家族とは、産み育て繁殖するというシステムで、その中に愛情が介在してようには見えない。しかし「犬と仲良しなヤギ」などが存在することを考えると、愛情とやらは少なくても哺乳類システムには不可欠な機能なのかもしれない。 この本を読んで、なぜ親の愛情を求めたくなるかを考えるかということと、(直前に読んでいた本の影響もあり)生き物と愛情についても考えるきっかけになった。
0投稿日: 2020.03.09
powered by ブクログ私が祖母に手紙を書いて返事が来なかったら怒るのも、母が私のことは他人だと思うと不安になるのも、カゾクヨナニーが満たされてないからか。たしかに〜
1投稿日: 2020.02.29
powered by ブクログ「タダイマトビラ」 これは難しいことを。 恵奈の母親は母性に倦んでいた。家のことは作業として淡々とこなすだけ、恵奈と弟の啓太に愛情を注ぐことはない。そんな母親を避けるように父親は意図的に家に居なくなり、啓太は、より母親の愛情を求め、そして、失望していく。そして、恵奈は「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消する。 恵奈は、高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活に恵奈は気づいてしまう。この時の恵奈が受けた衝撃はとんでもないものだっただろう。恋人が恵奈に求めていたものは啓太が母に求めていたそれであり、そんな啓太を恵奈は鬱陶しがっていたわけだから。恋人との関係は啓太との関係よりある種濃いのだから、受けたインパクトはとてつもない。 テーマは家族。人が帰る所は本当に家族であるのかを現実的に幻想的に、そしてホラーチックに書き上げているのは、流石と感じる。ただ単に現実的に書くだけでなく、現実的だからこその怖さがあったり、理想的な家族との乖離を幻想的な手段で終結させたり、一般的な家族がテーマの小説とは違う。蟻を潰す辺りはホラーなんだけど、結局この行為が、家族とは何かに対しての解になっていて、扉に続いていく。ここのくだりは印象的。 また、個人的には表現の仕方が凄いなと。ニナオとのカゾクヨナニーという表現によって、一気に「ああ、これは普通の家族ものじゃないな」と。オナニーという性欲解消を家族に対する欲の解消という観点で表現し直すのは凄い。 村田沙耶香とは、王道になりがちなテーマを変わり種にしちゃうな、と改めて感じた一冊。
6投稿日: 2020.02.24
powered by ブクログ家族とはいえ、他人は他人なのに、血縁関係があるからこそ、色々ややこしくなるのかな。 予想を超える展開。どちらかというと得意ではない物語だったが、スラスラ読めてしまう。
3投稿日: 2019.12.26
powered by ブクログち、ちょ、ちょっと、ま、待って!!!ちょっと、いいから待って!? これ、凄いよ!!!!この本!!!なんでこの小説が三島由紀夫賞候補ってだけで受賞逃してるの?その審査員?って・・・みんなバカなの?死ぬの? マジでヤバいって、村田沙耶香って天才だと前から分かってたけど、マジで狂ってるって。ホント、天才的に狂ってるって。もう天才だって!!! 村田沙耶香の芥川賞受賞作『コンビニ人間』だけ読んで 『「普通」って何だろうなって考えさせられました!面白かったです!』 とか、普通にコメントしてる場合じゃないんだって!!!!! ホントにね、もう、僕の評価ではこの本は☆5とかじゃくてね。違うレベルの評価基準に行っちゃってるのよ。もう。 この『タダイマトビラ』は村田沙耶香の中長編の第6作目の作品で、僕は『コンビニ人間』『消滅世界』、そして処女作の『授乳』『マウス』『ギンイロノウタ』『星が吸う水』『ハコブネ』と上梓順に読みすすめてきたから、本作は僕にとっては8作目となる村田沙耶香作品なんだけど、僕が受けた衝撃は、今までで間違いなくぶっちぎりで1番だね。 前作の『ハコブネ』『星が吸う水』が『女性の性(セックス)』にテーマにした作品だったけど、この『タダイマトビラ』は『家族』についてテーマにしているのね。 もうね『クレイジー沙耶香』が『家族』を描くとこうなってしまうの。 もう『家族とは何ぞや?』という壮大な人類の歴史の最初まで遡ってしまうような狂気っぷりなのよ。 例えて言うなら『コンビニ人間』の評価が3狂気(←この『狂気』は僕が使っている、どれだけ小説が『正常に狂っている』かを表す単位ね☆)、セックスが無くなった世界を描いた『消滅世界』が10狂気、思春期の少女の精神世界を描いた『ギンイロノウタ』が15狂気くらいだとしたら、もう、この本書『タダイマトビラ』は2万8000狂気くらいのレベルですよ。 しかも、最初っからめちゃくちゃ狂ってる訳じゃなくて、いきなり『狂う』の。 このギャップ感が凄いのよ。 この小説の主人公は、小学四年生の恵奈。恵奈の父親は家族を放置して、他の女のところへ入り浸り、母親は食事や洗濯などの必要最低限の家事しかしない。弟の啓太はそんな母親を不満に思い、わざと母親にかまってもらおうと引きこもり的な態度をとる。 両親から正常な愛情を注がれていないと悟った恵奈は、自室の水色のカーテンに『ニナオ』と名前を付け、彼女が「カゾクヨナニー」と呼ぶ『ニナオ』を理想の保護者と見立てて『ニナオ』に抱擁されながら脳内で理想の家族を演じる一人だけの行為にふける。 恵奈は崩壊したこの家族に早々に見切りをつけ、将来、自分の為だけの『理想の家族』を作るために日々成長していくのだ・・・。 もう最初の2、3ページを読んだだけで、 こりゃ・・・、ちょっとヤバいやつだ・・・ という、そこはかとなく漂う不穏な空気のなか、この小説は始まる。 最初はスクールカーストに悩む二人の女の子の心の内を描いた『マウス』のような、小学校の女の子同士のたわいのない会話劇が進んでいくんだけど、恵奈が中学生、高校生と成長していくにつれ、彼女の考えが徐々に変わっていく。 そしてそんな恵奈に大きな影響を与える、一人暮らしをする近所の美しいお姉さんの『渚さん』の生き方もヤバい。 渚さんは小瓶に入った一匹だけのアリを『アリス』と名付け10年以上飼っている。もちろんアリはそんなに長生きしないので、その一匹が死んだら新しいアリと『取り替え』続けていくのだ。この描写も恐ろしくも美しい。 恵奈はそんな『アリス』が自分のような気がしてくる。いや、自分だけでなく、人間全体が交換可能な『アリス』なのだと感じていく。 やがて、恵奈は高校生になり、大学生の彼氏を作って結婚の約束までし、着々と『理想の家族』を作る準備をしていくのだが、ふと、恵奈はこれが正しい『理想の家族』であるのかに疑問をもってしまう。そして恵奈がとった行動は・・・。 まさに、ここまで突き詰めるとホラーの一歩手前だ。そして否応なく読者は『クレイジー沙耶香』の狂気の渦に取り込まれていく。 しかし、この小説を理解するにつれ、『狂気』と思われる恵奈の行動が、 こちらのほうが実は正しいのではないのか と感じてしまうところが不思議なのだ。 母親とは?父親とは?家族とは?結婚とは?生殖とは?子育てとは? 村田沙耶香はこの作品を通じて、僕たちがごくごく当たり前であると思っていることに対し それって、本当に正しいの? という素朴すぎる疑問を鋭いナイフの形にして、僕たちの首筋に突きつけてくる。 そして、村田沙耶香はある一つの『可能性』としての『回答』を僕たちにしっかりと『明示』してくれるのだ。 ここが村田沙耶香の凄いところなのだ。 2万8000以上の狂気レベル(※当人比)に曝されると、もはやそれが『狂気』ではなく『正常』なのだとすら感じてしまう。 まさに村田沙耶香の文章が僕の精神世界の中で『革命』をひき起こすのだ。 この今歩いている世界がぐるっと180度反転してしまうような。 黒い物が白く、白い物が一瞬で黒くなってしまったような、まさに、今まで見てきたものが全く異なったものに見えるように感じてしまうこの体験。 僕は村田沙耶香作品を読む以外においてこんな現象にぶち当たったことは一度も無い。 しかも、難解で理解しがたいSFチックで奇々怪々な文章が書いてある訳でもなんでもなく『ごく普通の』というと語弊があるが、非常に分かりやすく、理解しやすい村田沙耶香独特の美しい文体でその世界が構築されていくのだ。 これが、つまり、この読書体験を読者に与えることができるということが、村田沙耶香を『村田沙耶香』という唯一無二の作家であることを自ら証明しているのだ。 僕が未読の村田沙耶香作品は『しろいろの街の、その骨の体温の』『殺人出産』『地球星人』『生命式』そして最新作の『変半身』の5作品となった。 つまり、それは僕が愛する村田沙耶香の作品をまだまだ楽しめるということだ。 次に彼女は僕にどんな世界を見せてくれるのだろうか。 もう、次の一冊の1ページをめくるのが待ち遠しくてたまらない・・・。
36投稿日: 2019.12.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「コンビニ人間」がとても好きだったので読んだ1冊。 メモをとり、付箋を貼りながら丁寧に読んだ。一つ一つの言葉選びや主人公の思考はどれも印象深かった。 生命感のある物質の描写、経血や涎などの体液の描写が頻出するので、淡々とした語り口ながらもどこか生々しく不気味。 浩平が激しくカゾクヨナニーをしてからの急展開に強く引き込まれると同時に、主人公の思想についていけなくなってくる。が、主人公が最後に見出した「本当の家族」の形や、そこへ着地していく様が不気味ながらも面白かった。 「私たちは取り替えられていく。今まで消えてきた沢山のアリスと沢山の私が溶けた大気の中で、私は呼吸している。」 123頁 母がインナーチャイルド療法に失敗して2人で爆笑するシーン 主人公が爆笑したときの感情が難解で何度も読んでしまう。 「母は私たちを虐待するのを我慢しているのかもしれない。そう思うと顔の筋肉がますます持ち上がり、笑い声は止まらなかった。」 「人のいい母の辛抱強い努力によるものなのだろう。」 「この家で朽ちていく失敗者の母を思うと、笑いがこみあげてしょうがなかった。」 180頁 「この人、私でカゾクヨナニーしてる!」で思わず笑ってしまった。カゾクヨナニー、キラーワード過ぎるな。 恵奈、人におかずにされることがそんなに嫌か? ただ、確かにこのシーンの浩平のセリフは気色悪い。 主人公の語り口による洗脳か、カゾクヨナニーする人間達の生々しい描写が原因か、 カゾクヨナニーする浩平や伯父や家族達等、世間的にみれば「普通」なものが異質に感じてくる。 家族だから、血が繋がっているから愛情を持たなくてはないけないのか?という疑問は共感できたし、ただ母親としての任務を果たそうとする母親も主人公の「家族」への不信感もなにもおかしなことではないと私は思う。 「粘ついた糸」「水色」「真っ黒な穴」「ドア」 上記の言葉が頻出だったのが印象的で、一つ一つの言葉の使われ方を確認していきたい
2投稿日: 2019.10.08
powered by ブクログ才能がありすぎというか、やっぱり村田さんの書くお話は良い意味で本当に怖いよな……ぶっ飛んだ設定でも、自分とは違う価値観でも、描写が落ち着いていてお上手だから「あれ?怖い気がするけど、おかしいのはこれを怖いと思うわたしなのかな?」って思っちゃうんだよな………読んでいて心地良い作品ではないけど、どんどん引き込まれてしまう。解説の文章にあった、「異物」を「異物」のまま受け入れられるだろうか、という表現がとてもしっくりきた。村田さんの本は、甘い砂糖でコーティングなんかせず、ぼやかしたりせず、確かに異物なんだけど、決して違う世界だとは思えないんだよなあ。そこがまた怖い。 わたしにとっては読みたくなるときと読めないときの差が激しい作家さんです。わたしの脳が異物を求めてるときは読みたくなる。本当に本当にすごい人だと思う。いろんなお話を書いていただきたいです。
7投稿日: 2019.08.09
powered by ブクログ家族について考えるきっかけになる。ラストシーンにはあんまり意味がないように感じる。家族的なものへの違和感と対比させるための真っ白な現実味のない世界観、生命体?としての人間に向かって、まっしぐらに後半は転がり落ちていく。 対比させるものが、空虚というかフィクションすぎて、いまいち現実感がない。思想が薄い。なので現実サイドの方が印象強く、むしろ読み終わって家族のストーリーなのかな、という、現実の黒い線でしっかり書かれた部分が浮かび上がって見えた。 人によっては白い紙の上に砂糖で描かれた、おかしな世界の方に浸る人もいるのかもしれない。私にはその世界が読み取りにくかった。 最後の退場するところなど、随所に脚本チックなところがあり、作者の現実感のなさ、どうとでも受け取れる抽象度の高さが、作者の好みなのだろうかと思った。色彩表現が特徴的で、場面転換する前に三行ほど、いつも色彩の絡めた情景描写があり、主人公の心理展開が段階的に起こっていく。結果として、読者へのラストシーンへの心の準備になっているような気がしないでもない。 なので、そこが理解できないとラストシーンも意味不明になる。まあ、誰が読んでも意味は不明なのだが、小説として納得できない感じになると思う。 主人公が空色の鍵をアスファルトの床の上に落とすシーンで少し違和感があり、なんでこんな描写があるのか、と謎で思わず何度も読み返してしまった。後々そういう描写が増えたので、こういうものなのだと理解させながら読んだ。場面転換する前の描写を抜き出していくと、たぶん理論だっているのだと思う。 抽象度の高い演劇が好き、という人や女性なら、そこそこ読めるのではないかと思う。現実主義的な人や演劇の世界観に親しみのない人はポカンとして、小説って理解できないよね、と離れていってしまうかもしれない。 彼氏、めっちゃいい奴だったのに腹蹴られてかわいそう。なんか、女子やかつて女子だった人が意味不明な現実感のない世界に閉じこもるのはいいんだけど、現実で人を蹴飛ばした代償は受けろよという感情が芽生えてしまった部分に、自分の現実主義的な部分を感じつつ。 母親の性格のおかしさの説明が、会話に終始しており得に最初の方はどんな人間なのか理解しにくかった。会話以外の奇行がなかったから、たんたんとこういうおかしい人なんですよ、と説明を受けているようでイメージが沸き辛かった。 まあでもラストがあれなので、これくらい平面的な描写でちょうどいいのかなあ。彼氏との同棲だけがリアリティーを感じた。もし家族世界に再度おかえりすることがあれば、彼氏には、優しくしてあげてほしい。
0投稿日: 2019.06.11
powered by ブクログ"コンビニ人間"における発想の突拍子無さを体験して、他の作品も読みたくなった本著者。本作が勧められているのは何度か目にして、上記の次に手に取ったもの。やっぱり独特ですね。題名からは全然予想できんかったけど、まさか全人類を否定してひっくり返してくるとは。彼氏をほっぽらかして家庭に戻ってからの急展開が衝撃的。その彼氏も、結局それっきりだし。物語が破綻する一歩手前の荒業。素敵。他の作品も読まなくちゃ。
0投稿日: 2019.06.10
powered by ブクログ一緒に生きていくって、綺麗なことばかりじゃない。大変なことのほうがずっと多いけれど、それでもやっぱり、たまにはいいこともあるのよ
1投稿日: 2019.05.10
powered by ブクログ主人公よりずっと年齢重ねたおばさんなのに、親近感があって、そんなわたしは、やっぱり人と違うんだと思ったり、でも、ここまでには行き着かなかったと反省したり、読んでいる間、ドキドキして、ゾクゾクして、そして、果てました。
0投稿日: 2019.04.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
オナニーとは欲望の自己処理と知って、機能不全な家族に代わってカーテンにくるまってhshsすることをカゾクヨナニーと呼ぶことにした、とか、 水色のカーテンをニナオと名付けた、とか、 とにかくネーミングの面白さが抜群。 このカゾクヨナニーという概念とネーミングを思いついた時点で、作者としては勝ったも同然だ。 語り手の名前恵奈が胞衣(胎児を包んでいる膜および胎盤・臍帯)と同じ発音なのも明らかにダブルミーニングだろう。 ちなみにカゾクヨナニーが、インターミッションのごとく頻繁に行われるのも、実際のオナニーみたいで興味深い。 ところで初潮への嫌悪感は、「ギンイロノウタ」とは真逆。 なのにむしろセックスという行為自体にはすんなりと飛び込む。 そして閉じ籠る「ギンイロノウタ」に対し本作では「外に出る」(いろいろな意味で)。これも真逆だ。 恵奈がトビラやドアに固執するのは、母の子宮に帰りたいからだ。 なのに当の母は「インナーチャイルドを、撫でようと思ってもどうしてか血だらけになるまで殴っちゃうんだよね、ははははははははは」と言うほどの変わった人なのだ。 そして作者はよくある虐待ものとして描かない。 母親は決して悪意の塊ではない、自分自身も母親的になりかねない、なる可能性はある、誰もがああなり得るということを、割と突き放している。 「家族というシステムは、実はカゾクヨナニーシステムで、その中で皆、ヒトをバイブにして自慰を繰り返しているに過ぎないのだ」という達観を得てしまっては、もう誤魔化しの家族には戻れないだろう。 作者もあっちに行っちゃっており、読者をもあっちに連れて行っちゃう、極めて劇薬的に作用する小説なのだ。 ラストはビジュアル的には「グロテスクE.T.」だが、SFと解釈してしまっては野暮だろう。 内面の変容=進化=退化、によって世界がこんなふうに見えた、ということで、もうあっち側の視点なのだ。 アリス。アセクシャル。など少女的な趣味が盛り込まれているのも、あー今まで自分が着目していたものは間違いじゃなかったんだ、とも感じた。
2投稿日: 2019.03.25
powered by ブクログ村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を遥かに超えるぶっ飛んだ超異色作です。ネットで見たら村田さんのニックネームは何と「クレイジー沙耶香」と書かれていて随分と失礼な話だなと思いましたが良い意味(?)で当たっているかもとも感じましたね。「カゾクヨナニ―」「カーテンのニナオ」「蟻のアリス」、まあ普通の感覚ではありませんよね。そして誰もが唖然とするこの結末は、究極の非カゾクヨナニーつまりはヒロイン恵奈の巨大な妄想の産物なのか、それとも彼女は新人類で次第に人間は蟻社会みたいな方向に進むのでしょうか?どちらも怖いですね。
0投稿日: 2019.01.11
powered by ブクログうーん、自分にはイマイチ、スゴさがよく分からなかった。中二病的というか。 終盤、母親に家族というシステムに不備があるんだから全部やめることにしたと告げて、ここからどういう風に持っていくのか?と思ったんだけど、あの落とし方は自分は好きじゃなかった。 主人公や弟も可哀想なんだろうけど、お母さんが痛ましく哀しかった。
0投稿日: 2019.01.07
powered by ブクログとにかく、「すごいものを読んだ……」という感じ。 村田沙耶香さんの本は、『コンビニ人間』に続き2冊目。それがものすごく自分にフィットしたわけではないが、今回、書店で偶然手にとって、ページをめくる手が止まらなくなってしまったので購入した。 本書も同様、最終的に「感動した!」「すごく良かった!」という感想を抱くような一冊ではなかった(私にとっては)。でも、冒頭から有無を言わせず「読ませる」展開は、『コンビニ人間』のときにも感じたものだ。 作者の村田さんは、筆力に加え、深く考える力が強い方なのだろうと思う。
0投稿日: 2018.12.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
家族をこんな冷めた目で書かれた作品は初めてだった。家族ごっこよりも良い意味でひどい表現の"カゾクヨナニー"。自分が欲しかった家族像を演じる人間たちが気持ち悪く、違和感しかなく、滑稽にさえ感じてる主人公に共感した。常識にとらわれず日常をぶった斬る村田沙耶香さん最高です!!
0投稿日: 2018.12.08
powered by ブクログ両親には満たしてもらえない欲求を、名前を付けたカーテンに抱擁されて処理してる。 そんな子ども時代。 そして大人になってから。 人が社会で生きるとき、普通はあるもの、できることが前提になっているから それがない人は愚かに、おぞましく見えるけど、じゃあ...。
0投稿日: 2018.07.29
powered by ブクログ村田沙耶香には現実の世界が不思議の国に見えるんだろうなあ 村田沙耶香らしい作品だけど、後半SFっぽくて最後のシーンとかハードボイルドで映画映えしそう 「家族」という概念を見つめ直し解きほぐす物語と、言語がほぐれて意味をなくして世界に散らばって行くラストとリンクしてて、最後ぐにゃぐにゃの印象
0投稿日: 2018.06.11
powered by ブクログ29.8.11読了。 『家族というものは、脳でできた精神的建築物なのだな、とつくづく思った。』 恵奈が家族というシステムはカゾクヨナニーを互いがし合ってるのと変わらない、と気づいてから、家族までもが一つの生命体のように描写されていて、読後は少しヒンヤリした。なんて予想外な結末。
0投稿日: 2017.08.11
powered by ブクログ家族が絶対なのも、全てこの世が創ったもの. ふつうってなに?がいつも村田沙耶香さんの 小説読むと突き刺さる. 当たり前ってなに?揺さぶられる、揺さぶられる!!
0投稿日: 2017.07.07
powered by ブクログ図書館で予約した「コンビニ人間」を読むまでに予習として購入してみた。中盤までは理解できていたと思っていたのですが、ラストで崩壊。心がザワザワとして、なかなか難解な作品でした。恵奈ちゃん、何でもかんでも小難しく考えすぎだよ~と言ってやりたくなりました。
0投稿日: 2017.04.28
powered by ブクログフィクションを書くというときに、現実に何かを足したり現実の何かを入れ替えたりするのではなく、現実そのものが持っているフィクション性を引き算することでその外に出るというような。もちろん、この作品において引き算されるフィクションとは、家族である。 家族の愛に飢えていてそれを自分で工夫してなんとかする主人公は、普通なら異常なものとされ、成長の過程で現実の家族と和解するとか、それができなくても新しい家族を見つけて満たされるとかが成功とされる。あるいは、ついに家族愛にめぐりあえなかった不幸ということになる。だが、この話では、家族という欲望自体が「人類」と一緒にフィクションとされて、生命体へと退化することが、最も合理的であるかのような気にさせられてくる。 あと面白いのは、周りの恋愛が幼く見えるところだろう。彼女の家族欲が真剣すぎるだけに、家族欲にたどりつかず恋に燃える男とか、家族欲なのだろうが熱狂的で地に足がついていない男は、ぴんとこない。彼女の欲望は真剣だから、家族はオナニーのしあいであってはいけないし、持続的なものでなくちゃいけない。この欲求不満に耐えてそれ以外のものを受け容れるためには、彼女は他の人間全てを生命体に還元する必要があった。 設定こそ突飛で独創的であっても、物語の運びにはやり過ぎ感とか余計な飛躍とかが感じられず、それでもぐいぐい盛り上がって引き込まれる、みたいなところがある。読者を置いていかないようにかなり気が配られているのだろうな。
1投稿日: 2017.04.02
powered by ブクログこの世のすべての作品が、とはいいがたいかもしれないけれど、作品の結びに作品のタイトルがひたりと吸いつくことがある。 主人公はいわゆる「かわいそうな女の子」ではなく、家族も「特別な家」では決してない。人は自分の人生しか歩めないのだから、彼女にとっての日常はそこにしかない。それはこの世に生きる誰もにとって、同じことだ。主人公は生きることに工夫をして、「ふつう」に生きている。ふつうに生き、ふつうに成長をした、彼女のふつうが、どうしても「ふつう」ではいられなかった。わたしは傷ついたのだと嘆くこともしなかった主人公が、ある日なにかを決壊させてしまうまでの、人生を見つめた観察日記のような話だった。
0投稿日: 2017.03.12
powered by ブクログんんん~私には分からないやつ。 これ最後どうおさめるのかなと思ってたらこういうラストね~凡人には理解できなかったです。この人の前読んだのは好きだったのでぼちぼち読んでいくと思う。
0投稿日: 2017.03.05
powered by ブクログ家族という生活形態を成しながら絆を持たない親子4人。長女の冷めた視点から形骸化した人間関係を描く。この世の事とは思えない展開なのに一皮むけばどこにでもありそうな話だと思えてきてしまうのが恐ろしい。
0投稿日: 2017.03.05
powered by ブクログ母性が少ない母親、あまり帰らない父親、そんな家族を冷めた目で見て早く自分の家族がほしいと思う恵奈、両親の気を引こうと問題を起こす弟の啓太。 恵奈によって語られる壊れた家族の物語。 恵奈は小学生の頃から「家族欲」を満たすためにたくさんの工夫をして来て、高校生になってからは彼氏もできて、着々と自分の欲望を満たすために動いてきた。 彼氏と夏休みの間、同棲したことによって、やっぱり自分の求めているものが手に入らないと気づいてしまう。 そこからの精神の崩壊がすごかった。 ラストにかけて渚さんや家族に恵奈が語ったことなんてホラーだしもう狂気しか感じなくて、読んでいて怖かった。 恵奈の壊れた世界はもう修復されることはないんだろうか。 母性ってみんなが当たり前にもつものじゃなくて、やっぱり育ってきた環境も重要で、恵奈の母親が十分に愛されてなかったから、こんな状態になってしまったのかなとも思う。 それは恵奈にもかなりの影響を及ぼしている。 もちろん恵奈が悪いわけはなく、ただただ恐くて切なかった。 家族に与えられなかった愛情の代償は大きすぎた。
0投稿日: 2016.12.17
powered by ブクログなんでしょう、怖いです。「家族欲」って。少女とその家族を描いていますが、こんな家族あるんか、いや、あるかもな、、、と思わされました。ただ、最後はよくわかりませんでしたが。。。
0投稿日: 2016.11.29
powered by ブクログ家族小説の一つですが、これまで読んできたのとちょっと違います。 子供達に愛情を持てない母親。かといって虐待する訳では無いが子供には無関心。しかし家事は義務としてこなす。父親は家庭を顧みない。そんな家に育った娘・恵奈の物語。 今の家族に完全に失望した恵奈が行う家族欲を満たすための自慰的空想につけた名前がカゾクヨナニー。早く新たな本当の家庭を作ることを目標に「本当に好きな人」を探す恵奈だが、彼が自分に求めたものがカゾクヨナニーだと分かり。。。 何だかつらい話です。著者は「家族愛なんて存在しないよ。そんなのまやかしだよ」と言っているようです。でも自分の体験から言ってもそんな事は無いですよね。 最後は何だか妙なSF的世界に入って行きます。その辺りの違和感も含め、どうも私は村田さんを苦手なようです
0投稿日: 2016.11.19
